極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

無限延展性時代の鉄腕アトム

2024年03月13日 | デジタル革命渦論


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成の
せて生まれたキャラクタ「ひこにゃん」。





『ネオコンガーテック』事業が図星で毎日考察ボリュームが膨大でこの新しいブ
ログ掲載作業に追われ(使い勝手が悪い)、書き残しに追われている。ご容赦の
程よろしく。^^;

 コンパクトで汎用性に優れたLED
ams OSRAMは,屋内照明や店舗照明などの業務用途に最適なだけでなく,建築照
明や舞台照明などの特殊分野,さらに医療用としても理想的な,特に強力で汎用
性に優れたLED「OSLON Pure 1414」を発売.。

この製品は,1.4mmx1.4mmのサイズにより,現在市場で最もコンパクトなソリューションとなっている。また,優れた効率を確保しながら,取り扱いと熱管理を向
上している。設置しやすいLEDコンセプトと小型サイズにより,微細な設計と特に
狭いクラスタリングが可能になるという。特にボンドワイヤを使用しておらず,
間に空きスペースを必要としないため,光出力を必要とする高密度クラスターにとって理想的だとする。このようにこの製品は,非常に高い光出力を備えたコン
パクトなLEDが必要な場合に,カスタマイズされた照明ソリューションを実現で
きる柔軟性を提供するとしている。 


レーザー微細加工の分解能を飛躍的に向上
12日、東北大学の研究グループは,ベクトルビームと呼ばれる特殊なレーザー光をガラスの裏面に集光する条件において,ガラス界面での全反射の効果を使うことで界面近傍に極めて微小かつ高強度の集光点を形成できることを明らかにした。


ガラス越しのレーザー照射でナノ加工を実現
空気との界面での光の全反射によって加工分解能が飛躍的に向上

【要点】
1.材料と空気の界面での光の反射・屈折の効果を詳細に検討することで、レー
 ザー微細加工における加工分解能を飛躍的に向上できる条件を発見
2.ガラスの裏面にベクトルビームと呼ばれるレーザー光を照射して裏面に集光

 させると、裏面にはレーザー波長の1/16程度となるナノメートルスケールの微小
 な穴が形
3.半導体産業を始めとしたレーザー微細加工の応用分野でのさらなる微細化・

 高精度化に向けた新たな加工方法を提案
【展望】
本成果によって、ガラスのような光に対して透明な材料の裏面側において、従来
よりも遥かに小さなスケールでの穴あけや線描画などの加工を可能にする新しいレーザー微細加工法の開発につながると期待されます。また、電子デバイス産業
の基本となるシリコンなどの半導体材料に対しても、適切なレーザー波長を用い
ることでガラスと同様に裏面への集光・加工が可能となることから、本技術を適
用した半導体加工技術への展開も期待できます。特に、近年重要度を増している
半導体デバイス製造の後工程での応用が考えられる。また本結果は、材料界面に
おける光の反射や屈折といったよく知られた古典的な光学現象が、ベクトルビー
ムのような特殊な光波の可能性を効果的に引き出すことに成功した好例ともいえ
ます。基礎科学的な観点からも、本原理に基づく新たな光計測法や物質励起・反
応制御法の新規開発につながる重要な成果であると位置づけられる。
掲載論文
原 題::Laser nanoprocessing via enhanced longitudinal electric field of a radially   
        polarized beam             
掲載誌:Optics Letters
DOI:10.1364/OL.517382

URL:https://opg.optica.org/ol/fulltext.cfm?uri=ol-49-6-1405&id=547563

✺ IFEフォーラム開催,レーザー核融合への投資が加速
3月7日.レーザー核融合研究を振興するIFEフォーラムは3月7日,東京商工会議所(東京都千代田区)にて,公開シンポジウム「レーザーフュージョンエネルギー ∸学術から産業へ新たな展開ー」を開催。
昨年1年間の核融合スタートアップの数を見ると,2022年までは35社程度であっ
たが,現在は43社まで右肩上がりに増加している。また,昨年1年間の新たな追
加投資額は2,106億円で,累計で9,304憶円,さらに民間投資が政府予算を上回る
など,こちらも盛り上がりを見せているとした。
また,米やEUなど各国の核融合政策や開発ロードマップ比較,特に英の研究体制
の現状を詳細に説明するとともに,今後の見通しについても述べ,英政府の国家
戦略が触れた将来の核融合マーケット規模が1,000兆円であるといった規模感や産
業化へのロードマップについて触れ,世界的な期待感を示した。

❏ 可視-近赤外に反応する新規光触媒
3月8日、東京工業大学と台湾国立陽明交通大学は,Au@Cu7S4ヨーク-シェルナノ構造
を持つ二重プラズモニック光触媒を新たに開発し,可視光および近赤外線照射下で顕
著な水素生産を達成。
【要点】
1.励起波長2,200 nmで世界最高の量子収率(AQY)を持つAu@Cu7S4新型光触媒
 を開発。
2.Au@Cu7S4ヨーク-シェルナノ構造により、可視光および近赤外光励起の両方

 で長寿命の電荷分離状態を維持可能。
3.Au@Cu7S4ヨーク-シェルナノ構造により、可視光および近赤外光励起の両方

で長寿命の電荷分離状態を維持可能。



図1.Au@Cu7S4ヨーク-シェルナノ構造の特徴。(a)1-Au@Cu7S4、(b)3-Au@Cu7S4、
(c)5-Au@Cu7S4、(d)純粋なCu7S4、(e)純粋なAu、(f)Au+Cu7S4のTEM画像。(g)5-Au@Cu7S4のHRTEM画像。(h)TEM画像と対応する(i)SAEDパターン。(j)TEM-EDSマッピングプロファイル。

【展望】
光触媒として機能するAu@Cu7S4ヨーク-シェルナノ構造は、水素製造、環境浄化、
二酸化炭素還元などへの応用が期待できる。今後は、さらなる研究と開発によっ
て効率的な触媒システムとしての実用化が期待されている。これにより、環境へ
の負荷を減らし、エネルギーの効率的な利用を可能にすることによって、脱炭素
社会の実現に貢献できる。

【最新メターネーション製造方法及び装置②】
1.特開2024-021052 触媒構造体 日本特殊陶業株式会社
【概要】
プロトンと電子の授受を伴う反応の反応量を増大させる。プロトンおよび電子の
授受を伴う反応を促進する触媒構造体であって、プロトン伝導性セラミックスと、電子伝導性材料と、を含む多孔質部を備え、多孔質部において、プロトン伝導性
セラミックスが占める割合RPが16体積%以上50体積%以下であり、電子伝
導性材料が占める割合REが20体積%以上54体積%以下であり、空孔が占め
る割合RVが30体積%以上55体積%以下(但し、RP+RE+RV≦100
体積%)でプロトンと電子の授受を伴う反応の反応量を増大させる。

図1第1実施形態の触媒構造体の構成を模式的に表す説明図
【符号の説明】 10、100…触媒構造体 12…プロトン伝導性セラミックス
 14…電子伝導性材料  16…空孔  110…多孔質部  170…触媒金属
【特許請求の範囲】
【請求項1】プロトンおよび電子の授受を伴う反応を促進する触媒構造体であっ

て、プロトン伝導性セラミックスと、電子伝導性材料と、を含む多孔質部を備え、 前記多孔質部において前記プロトン伝導性セラミックスが占める割合RPが16
体積%以上50体積%以下であり、前記電子伝導性材料が占める割合REが20
体積%以上54体積%以下であり、空孔が占める割合RVが30体積%以上55
体積%以下(ただし、RP+RE+RV≦100体積%)であることを特徴とす
る 触媒構造体。
【請求項2】 請求項1に記載の触媒構造体であって、 前記プロトン伝導性セラミックスが占める割合RP、前記電子伝導性材料が占める割合RE、および、空

孔が占める割合RVが、各々、30体積%以上40体積%以下(ただし、RP+RE+RV≦100体積%)であることを特徴とする 触媒構造体。
【請求項3】 請求項1に記載の触媒構造体であって、 前記プロトンおよび電子

の授受を伴う反応は、二酸化炭素の水素化反応、または、脱水素化反応により水
素を生成する反応であることを特徴とする 触媒構造体。
【請求項4】 請求項1に記載の触媒構造体であって、 前記プロトン伝導性セラミックスは、金属酸化物と、金属リン酸塩のうちの少なくとも一方を含むことを

特徴とする 触媒構造体。
【請求項5】 請求項4に記載の触媒構造体であって、 前記プロトン伝導性セラ

ミックスは、CeO2系酸化物を含むことを特徴とする 触媒構造体。
【請求項6】 請求項1に記載の触媒構造体であって、 前記電子伝導性材料は、

金属であることを特徴とする 触媒構造体。
【請求項7】 請求項6に記載の触媒構造体であって、 前記電子伝導性材料は、

前記金属としてニッケルを含むことを特徴とする 触媒構造体。
【請求項8】 請求項1に記載の触媒構造体であって、 前記触媒構造体が備える

触媒は、電場印加により活性化可能であることを特徴とする 触媒構造体。
【請求項9】 請求項1から8までのいずれか一項に記載の触媒構造体であって、
 前記電子伝導性材料は、前記反応を促進する触媒金属を含むことを特徴とする 

触媒構造体。
【請求項10】 請求項1から8までのいずれか一項に記載の触媒構造体であっ

て、さらに、 前記多孔質部の表面に担持されて前記反応を促進する触媒金属を
備えることを特徴とする  触媒構造体。










【今夜の言葉】
音声や文字には、その背後に存在した対象から認識への複雑な過程的構造が関係
付けられているわけで、このようにして音声や文字の種類に結び付き固定された
客観的な関係を、言語の意味と呼んでいるのです。
         —三浦つとむ、『日本語はどういう言語か』(1976年)、44頁


コメント
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MIS型半導体装置の製造方法 ③

2024年02月02日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



今月、Seagateは主力製品であるExos製品ファミリーの一部であるMozaic 3+ハー
ドディスク・ドライブ・プラットフォームを発売。これには、熱アシスト磁気記
録(HAMR)技術が組み込まれており、ドライブプラッタ上のデータ密度が大幅に向
上。HAMRは、書き込みプロセス中に「ナノフォトニックレーザー」を使用してデ
ィスク材料を加熱することでこれを実現し、データトラックを大幅に狭くし、デ
ータビットを小さくすることができる。上図のように、世界最小かつ最も感度の
高い磁場読み取りセンサーの1つであるGen 7スピントロニックリーダーと、12ナ
ノメートル(nm)の統合コントローラーも組み込まれている。

 
 黒の革命

 



生成的人工知能活用術考

 われわれの知能の使い方と人工知能のプロセスは、まったく別のものなので
 はないのだ。とはいえ、本来の知能とは何かということは、人工知能から逆
 算してわかることではない。なぜなのか。そこには「意識」という怪物が介
 在するからだ。いまのところ、人工知能を突きつめても見えてこないもの、
 それが「意識」というものである。本書のタイトルは『人工知能は人間を超
 えるか』だが、人間を超えるのではなく、「人間っぽくなる」のをめざした
 いのだとしても、それは「意識のモデル化」に挑んでからのことなのだ。
                 
                      1603夜『人工知能は人間を超えるのか』
                                          松尾豊 松岡正剛の千夜千冊

生成的人工知能(generative artificial intelligence)または生成AI(生成的人工知能)
は、ユーザが入力する指示や質問、すなわち、プロンプト(Prompt)に応答して
テキスト、画像、または他のメディアを生成することができる人工知能システム
の一種。生成AIモデルは、入力された訓練データの規則性や構造を学習し、同様
の特性を持つ新しいデータを生成する。ジェネレーティブAI、ジェネラティブAI
ともよばれる。著名な生成AIシステムとして、OpenAIがGPT-3やGPT-4の大規模
言語モデルを使用して構築したチャットボットのChatGPT(および別形のBing C
hat)
や、GoogleがLaMDA基盤モデルに構築したチャットボットBardがあり、その
他の生成AIモデルとして、Stable DiffusionやDALL-Eなどの人工知能アートシステ
ムがあげられる。

生成AIは、アート、執筆、ソフトウェア開発、ヘルスケア、金融、ゲーム、マー
ケティング、ファッションなど、幅広い業界で応用できる可能性がある。生成AI
への投資は2020年代初頭に急増し、Microsoft、Google、Baiduなどの大企業だけで
なく、多数の中小企業も生成AIモデルを開発している[。しかし、生成AIを訓練
する目的での著作物の無法図な利用や人をだましたり操作したりするフェイクニ
ュースやディープフェイクの作成など、生成AIの悪用の可能性も懸念されている。
via Wikipedia

ディープラーニングは、Python開発における「コンボリューション」(Convolution)が主に
画像処理や信号処理の分野で使用される処理手法で、動画処理技術に包括されN
HK
技術研究所などにより広範に深化していくが、生成AI技術成果を悪用され膨
大リスク(人命、環境、軍事衝突などの破壊)が起きる可能性の測定を同時に進
めていかなければならない。国際的にはその仕組み構築がとわれている。いって
みれば、技術的特異点(シンギュラリティ)の恩恵を享受できる未来の準備の人
間力が問われている訳だが、個人的なそれを回避する心構え(精神的基軸)だけ
は今夜この時整理・整頓を済ませました。              
                                   了


 



LINK:NHK サイエンス・ゼロ

桁違いの大電力制御の力をもつ「ダイヤモンド半導体」の可能性

[関連特許]
5.特開2023-179710 MIS型半導体装置の製造方法
【0077】
水素終端処理後からh-BN貼り合わせを行う前の工程を下記に示す。 最初に、
前工程として、ゲートバルブ1012,1024、1026およびバルブ101
4を開き、ターボポンプ1013およびスクロールポンプ1016を用いて、水
素終端処理チャンバー1011および搬送中間室1027および試料搬送・一時
保管室1025を真空状態にする。このときの真空は真空計1063の読みで3
×10-5Pa以下とした。 その後、ゲートバルブ1012、1024、1026
およびバルブ1014を閉じ、バルブ1022,1019,1061を開け、上
述の水素終端処理を行った。また、この処理の間、バルブ1072と1026を
開け、ターボ排気セット1075を用いて試料搬送・一時保管室1025と搬送
中間室1027の真空を引いておいた。

【0078】 水素終端処理が終了したら、バルブ1022と1019を閉じ、ゲート
バルブ1012およびバルブ1014を開いてターボポンプ1013およびスク
ロールポンプ1016を用いて水素終端処理チャンバー1011を真空にした。
その後、バルブ1072を閉じ、ターボ排気セット1075をシャットダウンし
た。またべローズ配管1074を外した。ゲートバルブ1024および1026
を開き、試料搬送ロッド1029を使用して試料を試料搬送・一時保管室102
5に移動させた。そして、移動が完了したら、ゲートバルブ1026を閉じた。
しかる後、ゲートバルブ1012を閉じ、バルブ1022を開いてArガスを導
入して水素終端処理チャンバー1011と搬送中間室1027を大気圧にしてか
ら、1024を閉じた。

【0079】その後、ゲートバルブ1024と搬送中間室1027の接続部で試料搬
送部E2を水素終端処理部E1から切り離し、ゲートバルブ1043のところで
試料搬送部E2と貼り合わせ処理部E3を接続した。また、真空排気系E4をフ
ランジ1028のところで試料搬送部E2に接続し、搬送中間室1027をター
ボポンプ1103およびスクロールポンプ1105により真空排気した。真空が
1×10-3Pa以下まで下がったら、ゲートバルブ1026を開けた。アングル
バルブ1102を閉じたあと、ベローズ配管1111、バルブ1108、1110、
チャンバー1101、およびベローズ配管1109を介して、搬送中間室102
7と試料搬送・一時保管室1025にArガスを導入した。ここで、ベローズ配
管1111の接続先である貼り合わせ処理室(グローブボックス)1031は、
Arガスシリンダー1052および不活性ガス循環精製機(Arガス循環精製機)
1040により、大気圧で精製された状態のArガスが満たされている。


図9.実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

【0080】 しかる後、ゲートバルブ1043を開いて試料搬送ロッド1029を
操作して試料を貼り合わせ処理室1031に搬送した。そしてゲートバルブ10
43を閉じた。 この後、以下に示すh-BNの貼り付けを行った。グローブボ
ックス1031中でスコッチテープ法により、単結晶h-BN(物質・材料研究
機構内にて合成)の劈開を行った。
劈開したh-BNは、アクリル基板に貼って
あるPDMS(Polydimethyl
siloxane)上に転写した。光学顕微鏡を用いてPDMS膜上のh-BN
とダイヤモンドのチャネル領域との位置合わせを行い、その後h-BNとダイヤ
モンドを貼り合わせて、絶縁膜33aを形成した(図9(a)、図12(a))。


図12.実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図

【0081】 5.h-BN(六方晶窒化ホウ素)の貼り付け
上記のように水素終端処理チャンバー1011でダイヤモンド基板31の露出し
た第1主表面が水素終端処理された試料は、真空に保持された試料搬送・一時保
管室1025を経由して、Arガスで満たされたグローブボックス1031に搬
送された。この状態でのグローブボックス1031内の酸素濃度は0.6ppm
以下であり、露点は-79℃以下であった。
【0082】 グローブボックス1031中でスコッチテープ法により、単結晶h-
BN(物質・材料研究機構内にて合成)の劈開を行った。劈開したh-BNは、
アクリル基板に貼ってあるPDMS(Polydimethylsiloxan
e)上に転写した。光学顕微鏡を用いてPDMS膜上のh-BNとダイヤモンド
のチャネル領域との位置合わせを行い、その後h-BNとダイヤモンドを貼り合
わせて、絶縁膜33aを形成した(図9(a)、図12(a))。ここで、試料
がグローブボックス1031に搬送され、h-BNの貼り合わせが終了するまで
の時間は約2時間であった。しかる後、グローブボックス中でアニールを行った。
この際、20℃から100℃まで16分で昇温し100℃で30分保持、200
℃まで20分で昇温し200℃で30分保持、および300℃まで20分で昇温
し300℃で3時間保持するシーケンスを用いた。
【0083】
6.グラファイトの貼り付け
グローブボックス1031内でスコッチテープ法により、グラファイト(キッシュ
グラファイト、クアーズテック製)の劈開を行った。劈開したグラファイトは、
アクリル基板に貼ってあるPDMS上に転写した。光学顕微鏡を用いてPDMS
膜上のグラファイトとダイヤモンドのチャネル領域との位置合わせを行い、グラ
ファイトをh-BN/ダイヤモンド上に貼りあわせた。その後、グローブボック
ス1031中でアニールを行った。この際、20℃から100℃まで16分で昇
温し100℃で30分保持、200℃まで20分で昇温し200℃で30分保持、
および300℃まで20分で昇温し300℃で1時間保持するシーケンスを用い
た。
【0084】
7.ゲート電極の形成
試料をグローブボックス1031から取り出した後、前述の電子線リソグラフィ
法により、ホールバーのパターンを描画した。ここで、レジストはPMMA-A
6(Microchem製)を、描画には125kV電子線描画装置(エリオニクス製、
ELS-F125)を、現像液にはMIBK(メチルイソブチルケトン):IP
A=1:3の混合液を用いた。 その後、CCP-RIE装置により、ゲート電
極となる領域以外のグラファイトのドライエッチングを3分間行った。プラズマ
の条件はN2流量96sccm、CHF3流量2sccm、O2流量2sccm、
圧力10Pa、RF出力35Wである。なお、このエッチングの際、h-BNは
膜厚方向に途中までエッチングされる。しかる後、アセトン中に試料を入れ、エ
ッチングマスクとして用いたレジストを除去した。IPAで洗浄した後、窒素ブ
ローを行って、グラファイトからなるゲート電極34Gを形成した。なお、この
エッチングの際に、ダイヤモンド基板31の第1主表面の露出した領域は、酸化
されて酸素終端層43aが形成される(図9(b)、図12(b))。
【0085】
8.h-BNの整形
ゲート電極34Gを形成後、前述のレーザーリソグラフィにより、レジストパター
ン52を形成した(図9(c)、図12(c))。レジストはAZ-5214E
の単層である。 その後、CCP-RIE装置により、h-BNのドライエッチ
ングを3分間行った。プラズマの条件は、N2流量96sccm、CHF3流量2
sccm、O2流量2sccm、圧力10PaそしてRF出力35Wである。
その後、アセトン中に試料を入れ、エッチングマスクとして用いたレジストを除
去した。なお、このエッチングの際に、酸素終端層43aはより酸化されて、酸
素終端層43aは緻密に酸化された酸素終端層43に変わる(図9(d)、図12
(d))。
【0086】
9.素子分離用のh-BNの貼り付け
前述の貼り合わせの手法を用いて、ゲート電極34Gからのゲート電極配線62
Gが水素終端されたチャネル部32と電気的に接触しないように、ゲート電極配
線62Gを這わすためのh-BN(61)を、接触を防止する酸素終端と水素終端
の領域の境界71に貼り合わせた(図10(a)、図13(a))。

図10 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程


図13 実施例1のMIS型半導体装置の製造工程を断面図にて示した製造工程図
【0087】
10.配線の作製
前述のレーザーリソグラフィを用いて、ゲート電極配線(62G)、ソース電極
配線(62S)、ドレイン電極配線(62D)およびそれぞれのボンディングパッ
ドを形成するためのレジストパターン53を形成した。レジストはAZ-5214
Eの単層である。 その後、電子銃型蒸着装置によって、厚さ10nmのTiと
厚さ100nmのAuを順次蒸着し、TiとAuからなる導電膜62aを堆積さ
せた(図10(b)、図13(b))。 しかる後、アセトン中に試料を浸して
リフトオフを行い、IPAでリンスした後、窒素ブロー乾燥を行って、ボンディ
ングパッドを有するゲート電極配線62G、ソース電極配線62Sおよびドレイン
電極配線62Dが形成されたMIS型半導体装置201を作製した(図10(c)、
図13(c))。 作製されたMIS型半導体装置201を上面から撮った光学
顕微鏡写真を参考までに図16に示す。
【0088】
<電気特性>
前述の方法によって作製したMIS型半導体装置201のFET(電界効果トラ
ンジスタ)の電気特性を調べた。ここで、測定器としては、ソースメジャーユニ
ットB2901A(Keysight Technologies製)、ファンク
ションジェネレータ33220A(Agilent Technologies
製)、アンプ1201および1211(DL Instruments製)、デ
ジタルボルトメーター34401A(Agilent Technologies
製)を用いた。また、超伝導マグネットを備えた無冷媒冷却装置(仁木工芸製)
と上記測定器を用いてホール効果測定を行った。


図17.実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図

【0089】 ゲート電圧とホール(Hall)移動度の測定データを図17に、ま
た、ゲート電圧とホール(Hall)シートキャリア密度の測定データを図18
に示す。ここで、h—BNからなるゲート絶縁膜の膜厚は23nmで、測定温度
は300Kである。 図17から、600cm2V-1s-1を超える高いホール(
Hall)移動度が得られることが確認された。 また、図18から、ゲート電
極34Gに負電圧を印加するほど線形的にホール(Hall)シートキャリア密
度が増え、ゲート電極34Gに印加する電圧が-10Vのときには6×1012
cm-2を超える高いホール(Hall)シートキャリア密度が得られることが実
証された。


図18.実施例1で作製したMIS型半導体装置の電気特性を示す特性図
【0090】
図17と図18のデータを基に、ホール(Hall)密度に対するホール(Ha
ll)移動度の関係をプロットした結果を図19に示す。同図には、ダイヤモン
ド基板31の露出表面の水素終端処理後、絶縁膜33a(h-BN)を貼り合わ
せるまでの環境を大気とした場合と、非特許文献5に開示されたデータ(必ずし
もホール効果測定から得られたデータではない)も併せて載せている。さらに、
同図には、音響フォノン、表面ラフネス、表面電荷不純物、およびそれらの総和
の影響による、ホール移動度のホール密度依存性の理論曲線も併せて載せている。
ここで、以下に理論曲線の計算方法の詳細を記す。
【0091】
下記式(A1)-(A3)から、表面の負電荷による散乱、音響フォノン散乱、
および表面ラフネス散乱による緩和時間τimp、τac、τrをそれぞれ計算し、下
記式(A4)によってこれらの散乱全体による緩和時間τを計算した。 ここで、
式(A1)-(A4)は、それぞれ非特許文献6の式(1),(2),(4)お
よび(5)に基づくものであるが、非特許文献とは異なり、重い正孔バンド、軽
い正孔バンド、スピン軌道スプリットオフバンドそれぞれについて計算した。ま
た、有効質量も、表面平行と垂直を区別した。作製した試料と同様に、ダイヤモ
ンドの表面は(111)を考えている。そして、それぞれの移動度は、μHH=e
τHH/mcHH*、μLH=eτLH/mcLH*、μSO=eτSO/mcSO*より計算した。
【0092】

------------------------------------------------------------------------
【符号の説明】 11:炭素 12:水素 13:ホウ素 14:窒素 21:ダイ
ヤモンド基板 22:ダイヤモンド半導体層 23:ゲート絶縁体層(ゲート絶縁
膜) 23a:絶縁膜 24:導電体層(ゲート電極) 25:絶縁膜 25a:絶
縁膜 26:低抵抗化層 27:ゲート電極配線 28:ソース電極およびその電
極配線 29:ドレイン電極及びその電極配線 31:ダイヤモンド基板 32:
水素終端層 33:ゲート絶縁膜(ゲート絶縁体h-BN) 33a:絶縁膜 3
4G:ゲート電極(グラファイト) 35:導電膜 35a:導電膜 36:導電膜
36a:導電膜 37S:ソース電極 37D:ドレイン電極 42:低抵抗化層43:
酸素終端層 43a:酸素終端層 51,52,53:レジストパターン 61:
絶縁膜(素子分離用h-BN) 62:導電膜(電極配線) 62a:導電膜62G:
ゲート電極配線(ボンディングパッド配線) 62S:ソース電極配線(ボンディ
ングパッド配線) 62D:ドレイン電極配線(ボンディングパッド配線) 71:
酸素終端と水素終端の領域の境界 101:MIS型半導体装置 201:MIS
型半導体装置 1001:処理装置 1002:処理装置 1011:水素終端処
理チャンバー 1012:ゲートバルブ 1013:ターボポンプ 1014:バ
ルブ 1015:配管 1016:スクロールポンプ 1017:バルブ 1018:
配管 1019:バルブ 1020:バラトロン真空計 1022:バルブ 102
3:プロセスガス 1024:ゲートバルブ 1025:試料搬送・一時保管室
1026:ゲートバルブ 1027:搬送中間室 1028:フランジ 1029:
試料搬送ロッド 1031:貼り合わせ処理室(グローブボックス):1032:
仕切り扉 1034:パスボックス 1035:バルブ 1036:配管 1037
:スクロールポンプ 1038:バルブ 1039:圧力計 1040:不活性ガ
ス循環精製機(Arガス循環精製機) 1041:バルブ 1042:配管 10
43:ゲートバルブ 1044:バルブ 1045:配管 1052:Arガスシ
リンダー 1053:配管 1054:バルブ 1055:バルブ 1061:排気
量調整バルブ 1062:配管 1063:真空計 1071:配管 1072:バ
ルブ 1073:フランジ 1074:ベローズ配管 1075:ターボ排気セッ
ト 1101:チャンバー 1102:アングルバルブ 1103:ターボポンプ
1104:バルブ 1105:スクロールポンプ 1106:バルブ 1107:
配管 1108:バルブ 1109:ベローズ配管 1110:バルブ 1111:
ベローズ配管 1112:真空計 E1:水素終端処理部 E2:試料搬送部 E3:
貼り合わせ処理部 E4:真空排気系
                                                          この項つづく




 ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始 
2月1日、リコーとリコージャパンは,馬込第三小学校および厚木市役所本庁舎
において,ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始。

ペロブスカイト太陽電池は,有機材料で作られているため軽量で,照度の低いエ
リアや垂直設置でも発電が可能という特長があり,既存のシリコン系太陽電池に
代わる発電技術として注目を集めている。 一方で,屋外での耐久性にはまだ課
題があり,この実証実験では,因幡電機製作所,竹中製作所,立花電子ソリュー
ションズ,大阪エヌデーエスと連携し,屋外設置の庭園灯の電力としてペロブス
カイト太陽電池を設置し,発電量や電池の耐久性を検証する。また,馬込第三小
学校では,子供たちの次世代太陽電池・エネルギーの関心が高まるような取り組
みになるよう,課外授業も含めた取り組みも進めていく。厚木市役所では,本庁
舎前における実証を通して市民に先進的な取り組みを紹介するとともに,道路や
公園での活用に向けたデータの計測等の実証を行なう。リコーは,複合機の開発
で培った有機感光体の技術を応用し,低照度の室内光でも発電する固体型色素増
感太陽電池を世界で初めて販売している。また,2023年からはセブン-イレブン
店舗において次世代太陽電池の実証実験を国内で初めて行なっている。今回の実
証実験を通じて,ペロブスカイト太陽電池の早期事業化を目指すとしている。




      風蕭々と碧いの時代
Gackt.C
ANOTHER WORLD   2001.9.5
作詞・作曲:Gackt.C 
資生堂「neue(ノイエ)MEN'S」CMソング。PVは香港で撮影され、ストーリー構成になって
おり、『チンピラ達がマフィアと対立して壊滅し、生き残った男(Gackt)が敵を討つ』という内
容。自身が主役の映画『MOON CHILD』の世界観を引き継いでいる。また、2005年に行
われた「スキウタ〜紅白みんなでアンケート〜」では、Gacktの楽曲としては唯一ランクイ
ンし、白組91位を記録した。なお、この曲では、Gacktがギターを演奏している。演奏時間
は3分11秒と、Gacktのシングルの表題曲の中で一番演奏時間が短い曲である。

今夜の寸評 :日々の合唱 心の手当
             Thinking of those who have passed and putting your hands together
             each day bring you peace of mind.

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新成長経済理論考 ⑱

2023年12月17日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。


  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era
>新成長経済理論考 ⑱
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中


【全固体型リチウム電池特許事例 ②】


表面改質  形態制御
SEI分析(Solid Electrolyte Interphase)  全固体リチウム電池
図 二次電池負極SEI被膜の元素分布評価・化学状態評価

先回は、全固体型リチウム二次電池型負極の高付加価値のカーボンナノチューブ
シートの製造方法を考察したが、今回は正極の最新特許事例(審査請求中)を考
察してみよう。

1.特開2023-178184 常温駆動型全固体電池及びその製造方法 現代自動車株
 式会社他
【概要】

全固体電池は、正極集電体に接合された正極活物質層と負極集電体に接合された
負極活物質層、並びに正極活物質層と負極活物質層との間に固体電解質層が配置
された3段積層体で。一般に、前記負極活物質層は、黒鉛などの負極活物質の他
に、リチウムイオンの移動のための固体電解質を含む。固体電解質は、液体電解
質に比べて比重が大きい、全固体電池のエネルギー密度は液体電解質を用いるリ
チウムイオン電池に比べて低い。 前記問題を克服し、全固体電池のエネルギー密
度を高めるために、負極にリチウム金属を適用する研究が進められているが、界
面接合、リチウムデンドライトの成長などの研究的技術問題から、価格、大面積
化などの産業的技術問題まで商用化のために克服すべき障害物が多く存在する。 

近年、負極を除去し、リチウムイオン(Li+)を負極集電体上にリチウム金属
などに直接析出させる貯蔵型方式の無負極全固体電池に関する研究も進められて
いる。ただし、無負極全固体電池は、リチウムイオンが負極集電体上に均一に析
出されないため、不活性リチウム(Dead lithium)が形成されるなどの問題があ
る。本発明は、常温でも正常に充放電が可能な無負極全固体電池及びその製造方
法を提供することを目的とする。下図1のごとく、本発明の一実施例に係る全固
体電池は、負極集電体と、前記負極集電体上に位置する中間層と、前記中間層上
に位置する固体電解質層と、前記固体電解質層上に位置し、リチウムイオンを吸
蔵及び放出する正極活物質を含む正極活物質層と、前記正極活物質層上に位置す
る正極集電体と、を含み、前記中間層は、炭素材及びリチウム合金を含んでもよ
い。
前記リチウム合金は、リチウムと、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(P
d)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、
スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選択さ
れた少なくとも1つを含む金属との合金を含んでもよい。前記リチウム合金の粒
度(D50)は、50nm以下であってもよい。 前記中間層は、放電状態で前記
リチウム合金を含んでもよい。中間層は、前記炭素材30重量%~85重量%及
び、前記リチウム合金15重量%~70重量%を含んでもよい。
中間層は、それぞれ前記炭素材及びリチウム合金を含む複数の層から構成された
ものであってもよい。 
中間層の各層は、層間界面で互いに区分されており、前記層間界面は、リチウム
イオンは通過させ、前記リチウム合金は通過させないものであってもよい。中間
層の厚さは、3μm~30μmであってもよい。 記全固体電池は、駆動温度が
40℃以下のものであってもよい。本発明の一実施例に係る全固体電池の製造方
法は、負極集電体、前記負極集電体上に位置し、炭素材及びリチウムと合金を形
成し得る金属を含む前駆体層、前記前駆体層上に位置する固体電解質層、前記固
体電解質層上に位置し、リチウムイオンを吸蔵及び放出する正極活物質を含む正
極活物質層及び前記正極活物質層上に位置する正極集電体を含む積層体を準備す
るステップと、積層体を充電して前記金属とリチウムとの合金反応を起こすこと
により、前記炭素材及びリチウム合金を含む中間層を形成するステップと、を含
んでもよい。
前記金属は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)
銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、亜鉛(
Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを
含んでもよい。製造方法は、前記積層体を45℃~60℃で充電するものであっ
てもよい。製造方法は、積層体を2.5V~4.25Vの電圧範囲で、0.1C
~1Cの充電率で、SoC(State of charge)10%以下で充電して金属とリチ
ウムとの合金反応を起こすことであってもよい。 
記製造方法は、前駆体層をそれぞれ前記炭素材及び金属を含む複数の層から構成し
て、前記中間層をそれぞれ前記炭素材及びリチウム合金を含む複数の層から形成
することであってもよい。


図3.本発明に係る中間層の第2実施例
【符号の説明】
10:負極集電体 20:中間層 30:固体電解質層 40:正極活物質層 50:
陽極集電体 60:前駆体層
【発明の効果】
本発明によれば、常温でも正常に充放電が可能な無負極全固体電池を得ることが
できる。本発明の効果は、前述の効果で限定されない。本発明の効果は、以下の
説明で推論可能な全ての効果を含むものと理解されるべきである。

【発明を実施するための形態】 
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に関連する以下の
好ましい実施例を通じて容易に理解することができる。しかし、本発明は、ここ
で説明される実施例に限定されず、他の形態で具体化されてもよい。むしろ、こ
こで紹介される実施例は、開示された内容が徹底かつ完全になるように、そして、
通常の技術者に本発明の思想が 十分に伝達されるようにするために提供されるも
のである。 
図1は、本発明に係る全固体電池を示すものである。これを参照すると、前記全
固体電池は、負極集電体10、前記負極集電体10上に位置する中間層、前記中
間層20上に位置する固体電解質層30、前記固体電解質層30上に位置する正
極活物質層40及び前記正極活物質層40上に位置する正極集電体50を含んで
もよい。 
図1は、前記全固体電池の放電状態を示すものである。前記全固体電池を充電す
ると、前記正極活物質層40から放出されたリチウムイオン(Li+)は、前記
固体電解質層30を介して前記中間層20に移動する。その後、前記リチウムイ
オンは、前記負極集電体10と中間層20との間及び/または前記中間層20の
内部に析出及び貯蔵されてリチウム金属層(図示せず)を形成することができる。
前記負極集電体10は、電気伝導性のある板状の基材であってもよい。具体的に
は、前記負極集電体10は、シート、薄膜またはホイルの形態を有するものであ
ってもよい。

前記負極集電体10は、リチウムと反応しない素材を含んでもよい。具体的には、
前記負極集電体10は、Ni、Cu、SUS(Stainless steel)、及びこれらの組
み合わせからなる群れから選択された少なくともいずれか一つを含んでもよい。
従来技術で負極集電体上に炭素材、金属などを含むコーティング層を形成すると、
負極集電体上にリチウム金属を均一に析出することができるという結果が報告さ
れている。具体的には、充放電の初期にリチウムイオンと金属のリチウム化(Lit-
hiation
)反応が起こって合金が形成され、前記合金がリチウムイオンの円滑な伝
導及び均一な析出を誘導す
るということである。ただし、前記のようなリチウム
化反応は、約45℃以上の高温でのみ起こるため約25℃の常温では、前記の
ような無負極全固体電池が正常に駆動しない

図2

図2は、本発明に係る中間層20の第1実施例を示すものである。本発明は、前
記従来技術の問題点を解決するために、前記負極集電体10上に炭素材21及び
リチウム合金22を含む中間層20を適用したことを特徴とする。 
前記リチウム合金22は、前記中間層20内でリチウムイオンの移動経路を提供
することができる。特に、前記中間層20は、放電状態で前記リチウム合金22
を含んでもよい。すなわち、従来技術に係る無負極全固体電池とは異なり、本発
明は、充電の初期に前記リチウム合金22を形成するためのリチウムイオンと金
属とのリチウム化反応を必要としない。したがって、本発明に係る全固体電池を
常温で充電するとき、リチウムイオンは、前記中間層20内で前記リチウム合金
22を介して円滑に移動することができる。ここで、「放電状態」とは、前記全
体電池の容量残量が15%以下、または10%以下、または5%以下、または
ゼロとなる状態を意味する。
前記リチウム合金22は、リチウムと、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(
Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi
)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、及びこれらの組み合わせからなる群れから選
択された少なくとも1つを含む金属との合金を含んでもよい。前記リチウムと金
属の比率は特に制限されない。例えば、前記リチウム合金は、前記リチウムと金
属が0.1~99.9:0.1~99.9の重量比で合金化したものであっても
よい。
前記リチウム合金22の粒度D50は、50nm以下であってもよい。前記粒度
D50の下限は、特に制限されず、例えば、5nm以上、または10nm以上、
または20nm以上であってもよい。
前記炭素材21は、非晶質炭素(Amorphous carbon)を含んでもよい。非晶質
炭素は特に制限されないが、例えば、ファーネスブラック(furnace black)、ア
セチレンブラック(acetylene black)、ケッチェンブラック(ketjen black)な
どを含んでもよい。中間層20は、30重量%~85重量%の炭素材21及び
15重量%~70重量%のリチウム合金22を含んでもよい。リチウム合金22の
含有量が15重量%未満であると、間層20内のリチウムイオンの移動が滑らか
でないことがあり、その含有量が70重量%を超えると、分散性が低下すること
もある。
一方、具体的なメカニズムは究明されていないが、リチウム合金22は、その形
成過程で前記中間層20内に均一に分布せず、図2のように前記負極集電体10
側に移動する様子を示す。したがって、中間層20は、その厚さ方向に前記リチ
ウム合金22の含有量が高い部分と低い部分とに区分される。結果として、中間
層20のうち、リチウム合金22の含有量が低い部分ではリチウムイオンの移動
が滑らかでないことがある。
殿出図3は、本発明に係る中間層20’の第2実施例を示すものである。これを
参照すると、中間層20’は、それぞれ前記炭素材21’及びリチウム合金22’
を含む複数の層から構成されたものであってもよい。図3は、前記中間層20’
を2つの層で示しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、層の個
数は全固体電池の仕様、目的とする特性に応じて適宜調節することができる。

中間層20’の複数の層は、層間界面Aで互いに区分されてもよい。層間界面A
は抽象的または観念的な構成ではなく、各層を物理的に区分する界面を意味する。
したがって、前記中間層20’の製造過程において、各層に含まれたリチウム合
金22’が負極集電体10側に移動する挙動が見せても、前記層間界面Aを通過す
ることはできない。結果として、第2実施例に係る中間層20’は、その厚さ方
向にリチウム合金22’の含有量の分布に大きく差がないため、リチウムイオン
が円滑に移動することができる。また、リチウム合金22’が負極集電体10側
に移動して各層内にリチウム合金22’の含有量が低い部分が生じても、その距
離が短いため、全体としてのリチウムイオンの伝導度には大きな影響を与えない。 

一方、前記リチウム合金22’は、層間界面Aを通過できないだけで、前記層間
界面Aの周囲に分布しているため、リチウムイオンは前記層間界面Aを通過する
ことができる。前記中間層20の厚さは、3μm~30μmであってもよい。厚
さが3μm未満であると、リチウムイオンの均一な析出及び貯蔵が難しく、30
μmを超えると、リチウムイオンの移動が円滑でなく、全固体電池のエネルギー
密度が低くなることがある。前述のように、本発明に係る全固体電池は、放電状
態で前記中間層20にリチウムイオンを伝導できるリチウム合金22が存在する
ため、高温で充放電をする必要がない。すなわち、前記全固体電池の駆動温度は
40℃以下であってもよい。駆動温度の下限は、特に制限されず、本発明の属す
る技術分野において、通常考慮される電池の駆動温度の下限と同一または類似し
ていてもよい。前記固体電解質層30は、前記正極活物質層40から前記中間層
20にリチウムイオンを伝導する構成であってもよい。
前記固体電解質層30は、リチウムイオン伝導性のある固体電解質を含んでもよ
い。固体電解質は、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、高分子電解質、
及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを含んでも
よい。ただし、リチウムイオン伝導度の高い硫化物系固体電解質を用いることが
好ましい。前記硫化物系固体電解質は、特に制限されないが、Li2S-P2S5、Li
2S-P2S5-LiI、Li2S-P2S5-LiCl、Li2S-P2S5-LiBr、Li2S-P2S5-Li
2O、Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-
LiBr、Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-SiS2-P2S5-LiI
、Li2S-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ただし、m、nは、正の数、Zは、Ge、Zn、G
aのうち、1つ)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LixMOy(
ただし、x、yは、正の数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのうち、1つ)、Li10GeP2S
12などを含んでもよい。 前記酸化物系固体電解質は、ペロブスカイト型(perovskite)
LLTO(Li3xLa2/3-x
TiO3)、リン酸塩(phosphate)系のナシコン(NASICON)
型LATP(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3
)などを含んでもよい。 前記高分子電解質は、
ゲル高分子電解質、固体高分子電解質などを含んでもよい。 
前記正極活物質層40は、正極活物質、固体電解質、伝導材、バインダーなどを
含んでもよい。前記正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出する
構成である。前記正極活物質は、酸化物活物質または硫化物活物質を含んでもよ
い。 【0052】 前記酸化物活物質は、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiVO2、
Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3O2
などの岩塩層型活物質、LiMn2O4、Li
(Ni0.5Mn1.5)O4などのスピネル型活物質、LiNiVO4、Li
CoVO4などの逆スピネル型活物質、LiFePO4、LiMnPO4、Li
CoPO4、LiNiPO4などのオリビン型活物質、Li2FeSiO4、
Li2MnSiO4などのケイ素含有活物質、LiNi0.8Co(0.2-x
)AlxO2(0<x<0.2)のように遷移金属の一部を異種金属で置換した岩
塩層型活物質、Li1+xMn2-x-yMyO4(Mは、Al、Mg、Co、
Fe、Ni、Znのうち少なくとも一種であり、0<x+y<2)のように、遷
移金属の一部を異種金属で置換したスピネル型活物質、Li4Ti5O12など
のチタン酸リチウムを含んでもよい。 前記硫化物活物質は、銅シェブレル、硫化
鉄、硫化コバルト、硫化ニッケルなどを含んでもよい。

前記固体電解質は、酸化物固体電解質または硫化物固体電解質を含んでもよい。
ただし、リチウムイオン伝導度の高い硫化物系固体電解質を用いることが好まし
い。前記硫化物系固体電解質は、特に制限されないが、Li2S-P2S5、Li2S-
P2S5-LiI、Li2S-P2S5-LiCl、Li2S-P2S5-LiBr、Li2S-P2S5-Li2O、
Li2S-P2S5-Li2O-LiI、Li2S-SiS2、Li2S-SiS2-LiI、Li2S-SiS2-LiBr、
Li2S-SiS2-LiCl、Li2S-SiS2-B2S3-LiI、Li2S-SiS2-P2S5-LiI、Li2S
-B2S3、Li2S-P2S5-ZmSn(ただし、m、nは、正の数、Zは、Ge、Zn、Gaのうち
、1つ)、Li2S-GeS2、Li2S-SiS2-Li3PO4、Li2S-SiS2-LixMOy(ただし、
x、yは、正の数、Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのうち、1つ)、Li10GeP2S12
など
であってもよい。
前記導電材は、カーボンブラック(Carbon black)、伝導性グラファイト(Cond
ucting graphite
)、エチレンブラック(Ethylene black)、グラフェン(Graphene)
などであってもよい。 前記バインダーは、 BR(Butadiene rubber)、NBR(Nitrile but-
adiene rubber)、HNBR(Hydrogenated nitrile butadiene rubber)、PVDF(polyv-
inylidene difluoride)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、CMC(carboxymethylce-
llulose)であってもよい。  前記正極集電体50は、電気伝導性のある板状の基材であっ
てもよい。前記正極集電体50は、アルミニウム薄板(Aluminium foil)を含んで
もよい。 

図4.
図4は本発明に係る全固体電池の製造方法を説明するための参考図である。図1
及び図4を参照すると、前記製造方法は、負極集電体10、前記負極集電体10
上に位置し、炭素材及びリチウムと合金を形成し得る金属を含む前駆体層60、
駆体層60上に位置する固体電解質層30、前記固体電解質層30上に位置する
正極活物質層40及び前記正極活物質層40上に位置する正極集電体50を含む
積層体を準備するステップと、前記積層体を充電して前記金属とリチウムとの合
金反応を起こすことによって前記炭素材及びリチウム合金を含む中間層20を形
成するステップと、を含んでもよい。
 前記積層体の各層を製造する方法は、特に制限されず、乾式または湿式で製造し
てもよい。例えば、各層の材料を粉末状態で混合した後、一定の圧力で加圧する
か、スラリーに作った後、基材上に塗布及び乾燥して製造してもよい。 前記金属
は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(A
g)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、
及びこれらの組み合わせからなる群れから選択された少なくとも1つを含んでも
よい。

前記前駆体層60をそれぞれ前記炭素材及び金属を含む複数の層から構成すると、
図3のように複数の層から構成された中間層20’を形成することができる。 【
図4を参照すると、前記積層体を充電すると、前記正極活物質層40から放出さ
れたリチウムイオンが固体電解質層30を介して前駆体層60に移動する。前記
リチウムイオンは、前記前駆体層60の金属とリチウム化反応してリチウム合金
を形成する。
前記リチウム化反応を起こすために、前記積層体の充電は45℃~60℃で行っ
てもよい。前記積層体を45℃未満の温度で充電すると、リチウム合金が形成さ
れないこともある。また、前記積層体の充電は、2.5V~4.25Vの電圧範
囲、0.1C~1Cの充電率、10%以下のSoC(State of charge)の条件で
行ってもよい。ここで、「SoC」は、充電状態を意味し、現在、使用可能な電
池の容量を総容量で割って百分率で表現したものであってもよい。前記SoCは、
電圧測定法または電流積分法によって測定することができる。前記電圧測定法は、
電池の電圧を測定し、放電曲線と対照して計算するものであってもよい。前記電
流積分法は、電池の電流を測定した後、時間に応じて積分して計算することができ
。 

前記リチウム合金を形成するリチウムイオンは、以降、全固体電池の常温駆動時
に再び正極活物質に戻ることなく、リチウム合金として存在する。したがって、
積層体の充電をSoC10%超過条件で行うと、正極活物質に残っているリチウ
ムイオンの量が減り、電池の容量が低下することがある。また、前記のような問題
点を解決するために、リチウム合金を過量投入するか、正極活物質のローディン
グ量を高めることもできる。特に、正極活物質のローディング量を高めて正極の
容量が負極に比べて大きくなると、正極容量が全て発現しても負極の電位がリチ
ウム合金が分解する電位まで上がらないため、前記のような問題が生じることを
効果的に防止することができる。

以下、実施例を通じて本発明の他の形態をより具体的に説明する。下記の実施例は
、本発明の理解のための例示に過ぎず、本発明の範囲は、これに限定されるもの
ではない。
実施例1 図4のような積層体を準備した。具体的には、負極集電体上に炭素材及
び銀(Ag)を含む前駆体層を形成した。前記前駆体層上に、硫化物系固体電解
質を含む固体電解質層を形成した。前記固体電解質層上にニッケル-コバルト-
マンガン正極活物質を含む正極活物質層を形成した。前記正極活物質層上に正極
集電体を付着して積層体を作製した。 
前記積層体を、約50℃で、2.5V~4.25Vの電圧範囲、及び0.33C
の充電率で充電してリチウム-銀合金を含み、厚さが約5μm~10μmであり、
単層である中間層を形成した。前記中間層を含む全固体電池を実施例1として設
定した。

実施例2 前駆体層を2層から形成したことを除いては、実施例1と同様の方法で
積層体を製造した。 前記積層体を実施例1と同一の条件で充電してリチウム-銀
合金を含み、厚さが約5μm~10μmであり、2層である中間層を形成した。
前記中間層の各層の厚さは互いに同一に調節した。前記中間層を含む全固体電池
を実施例2として設定した。比較例 実施例1の積層体を比較例として設定した。


図5.
図5は、実施例1に係る全固体電池の断面を走査電子顕微鏡及びエネルギー分散
X線分光法(Energy dispersive X-Ray spectrometer、EDS)で分析した結果
である。

図6.
図6は、実施例2に係る全固体電池の断面を走査電子顕微鏡及びエネルギー分散
X線分光法(EDS)で分析した結果である。
図5のEDS結果を参照すると、実施例1は、中間層の厚さ方向に負極集電体側
に銀(Ag)元素が多く存在することが分かる。すなわち、実施例1の中間層は、
リチウム-銀合金がその製造過程で負極集電体側に移動して含有量の勾配が生じ
たことが分かる。
これに対し、図6のEDS結果を参照すると、実施例2は、中間層の厚さ方向に
銀(Ag)元素が均一に分布することが分かる。すなわち、実施例2では、層間
界面によりリチウム-銀合金の移動が抑制され、前記中間層の厚み方向にリチウ
ム-銀合金が均一に存在する。

実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池を、約25℃で、SoC100
%となるように充電した。 

図7aは、比較例に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断面
加工機-走査電子顕微鏡(Cross section polisher-Scanning electron micro-s
cope、CP-SEM
)で分析した結果である。これを参照すると、比較例は、リチウ
ムイオンが前駆体層を通過することができず、固体電解質層と中間層との間で電
着したことが分かる。これは、常温充電により、リチウムイオンが比較例の前駆
体層に含まれた銀(Ag)とリチウム化反応ができなかったためである。リチウ
ムイオンが固体電解質層と中間層との間に電着すると、樹脂状リチウムが成長して
電池の短絡が生じる可能性がある。 


図7b
図7bは、実施例1に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断
面加工機-走査電子顕微鏡(CP-SEM)で分析した結果である。これを参照す
ると、実施例1は、リチウムイオンが中間層に移動してその内部に電着したこと
が分かる。したがって、実施例1に係る全固体電池は、常温でも樹脂状リチウム
の成長を抑制しながら、可逆的な充放電が可能であることを確認することができ

図7c
図7cは、実施例2に係る全固体電池を充電した後、その断面をイオンビーム断
面加工機-走査電子顕微鏡(CP-SEM)で分析した結果である。これを参照
すると、実施例2は、リチウムイオンが中間層と負極集電体との間に高密度に電
着したことが分かる。これは、実施例2の中間層には、リチウム合金が均一に分
布するため、リチウムイオンが前記中間層内で円滑に移動したためである。 


図8
図8は、実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池の容量を測定した結果
である。前記容量は、各全固体電池を、約25℃で、2.5V~4.25Vの電
圧範囲で充放電して測定した。これを参照すると、実施例1及び実施例2が、比
較例に比べて充電容量が高く、抵抗が低いことが分かる。これは、実施例1及び
実施例2が比較例に比べてリチウムイオンの伝導性が高く、電着特性が改善され
たためである。

図9
図9は、実施例1、実施例2及び比較例に係る全固体電池の耐久性を評価した結
果である。各全固体電池を、約25℃で、2.5V~4.25Vの電圧範囲で充
放電し、各サイクルにおける容量保持率を測定した。これを参照すると、実施例
1及び実施例2が比較例に比べて容量保持率が高いことが分かる。これは、実施
例1及び実施例2においてリチウムが均一に電着するためである。特に、実施例
2は、30回の充放電を基準として約95%に達する容量保持率を示す。これは、
図7cから分かるように、実施例2は、リチウムが中間層と負極集電体との間に
リチウムが高密度に電着して可逆性が高いためである。

以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は前述の実
施例に限定されず、以下の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用
いた当業者の種々の変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に含まれる。
【関係技術情報】 リチウム カーボン 負極 是津信行 橋本剛社長 CNT(カー
ボンナノチューブ)搭載の高性能バッテリーが世界を席巻する日。 2021年5月19
日、信州大学が強みを持つ炭素素材カーボンナノチューブ(CNT)を電極に使用し
た、新たな高性能リチウムイオンバッテリーを開発・製造する信州大学発ベンチ
ャー、信州ボルタ(株)が事業を開始


【今夜の一冊】



全員、生き残るための工夫がすご過ぎる。海獣学者が解きあかす、すばらしき繁
殖戦略。
目次 1章 クジラの歌を聴け―海の哺乳類の求愛戦略(背ビレの大きさこそ強
さの証;ソングを奏でて振り向かせる ほか)
2章 ゴリラの背中を見よ―陸の哺乳類の求愛戦略(銀色に光る背中は成熟のし
るし;強いオランウータンは顔がでかい ほか)
3章 ヤギの交尾を見逃すな―オスの繁殖戦略(哺乳類最大の陰茎をもつセミク
ジラ;ヤギの交尾を見逃すな ほか)
4章 イルカは逆子で産みたい―メスの繁殖戦略(最も単純な子宮をもつ者;大
きく育てて1頭を産むウマ ほか)
5章 子ゾウは、笑う―子どもの生存戦略(子ゾウは、笑う;子どもを抱いて授
乳するジュゴン ほか)
田島木綿子[タジマユウコ]
国立科学博物館動物研究部脊椎動物研究グループ研究主幹。筑波大学大学院生命
環境科学研究科准教授。博士(獣医学)。1971年生まれ。日本獣医生命科学
大学(旧日本獣医畜産大学)獣医学科卒業。学部時代にカナダのバンクーバーで
出合った野生のオルカ(シャチ)に魅了され、海の哺乳類の研究者として生きて
いくと心に決める。



地球という名の都  ASKA 
2023.01.08 
作詞/作曲:ASKA/澤野 弘之



今夜の寸評: 


 

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新成長経済理論考 ⑰

2023年12月16日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。



     薄紅の莟咲かせる山茶花や 椿寄り添う小さき庭先
                          

    山茶花はつぎつぎ紅き莟もてり咲きをはるべきときの知らなく
                    中村憲吉『軽雷集以後』 

※中村憲吉(1889年1月25日 - 1934年5月5日)、三次中学(現広島県立三次高等
学校)に学ぶ。仲間と発行した回覧雑誌「白帆」に、随想や俳句を掲載。その後、
鹿伊藤左千夫に師事、「アララギ」の同人として活躍。歌集「馬鈴薯ばれいしょ
の花」(島木赤彦と共著)「林泉集」「しがらみ」「軽雷集」など。

【今夜のひとり鍋:ミネステロ-ネ鍋】



  


Anytime Anywhere ¥1/kWh era

新成長経済理論考 ⑰
 高付加価値としての再エネ事業の選択と集中

【全固体型リチウム電池特許事例1】


表面改質  形態制御
SEI分析(Solid Electrolyte Interphase)  全固体リチウム電池
図 二次電池負極SEI被膜の元素分布評価・化学状態評価
  
1.特開2023-175568 不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質
ートの製造方法(審査前)
【概要】
リチウムイオン電池は、パーソナルコンピューター、スマートフォン、リスト型
活動量測定装置、さらにはグリッドエネルギー貯蔵装置や電気自動車などの主要
なエネルギー貯蔵装置として、広く採用されている。従来、リチウムイオン電池
の電解質として、有機液体電解質が使用されてきたが、有機液体電解質は人体に
有害であることから漏洩防止に万全を期す必要がある。また、アノード上におけ
るデンドライト形成や副反応による短絡という問題もある。そこで、有機液体電
解質に代わる電解質として、固体電解質を用いた全固体リチウム電池が検討され
ている。
固体電解質として、ポリオキシエチレン(POE)等の固体高分子電解質が知ら
れている。固体高分子電解質は、厚くてもろい固体セラミック電解質に比べて、
柔軟性が高く、製造が容易で、電極との界面抵抗が小さいという利点がある。特
許文献1(特開2004-178995※却下処理)には、ポリオキシエチレン鎖を有する
高分子化合物及びリチウム塩を含んでなる固体高分子電解質とリチウム塩を含む
固体高分子電解質が記載されている。 しかしながら、特許文献1に記載されて
いる固体高分子電解質は、厚さが100~1000μmと厚い。リチウムイオン
電池に求められる、高い体積エネルギー密度と長いサイクル寿命という要求を満
たすためには、薄く、均一な厚さの固体高分子電解質が必要である。しかし、薄
く、均一な厚さの固体高分子電解質を製造することは、容易ではない、という課
題がある。
固体高分子電解質の厚さを薄くすることにより、機械的特性は損なわれる傾向に
ある。すなわち、固体高分子電解質を薄くすることにより、固体電解質シートの
引張強度は低下し、また、熱安定性も失われることになる。本発明の目的は、薄
膜化が可能であり、薄膜化しても高い引張強度を有し、さらに高い熱安定性を有
する不織布補強固体電解質シートを提供すること、及び、そのような不織布補強
固体電解質シートの製造方法を提供することである。

下図1 のごとく 不織布補強固体電解質シート1は、二層不織布基材10と、固
体高分子40と、前記固体高分子40に分散されたリチウム塩50と、を含む。
さらに、前記二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレートのマイクロ繊
維22を含むマイクロ繊維層20と、前記マイクロ繊維層20の一方の面に形成
され、ポリフッ化ビニリデンのナノ繊維32を含むナノ繊維層30を含んでもよ
い、薄膜化が可能であり、薄膜化しても高い引張強度を有し、さらに高い熱安定
性を有する不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製造
方法の提供。


図1.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を説明するために示す図

【符号の説明】  1…不織布補強固体電解質シート,10…二層不織布基材,
20…マイクロ繊維層,22…マイクロ繊維,30…ナノ繊維層,32…ナノ繊
維,40…固体高分子,50…リチウム塩,100…電界紡糸装置,110…シ
リンジ,112…キャピラリーチップ,120…コレクタ,130…電源装置,
200…キャスティング装置,210…ガラス基板,220…ドクターブレード

【特許請求範囲】
【請求項1】 二層不織布基材と、固体高分子と、前記固体高分子に分散されたリ
チウム塩と、を含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
【請求項2】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記二
二層
不織布基材は、ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有する
マイクロ繊維層と、前記マイクロ繊維層の一方の面に形成され、ポリフッ化ビニ
リデンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層と、を含むことを特徴とする、不織布
補強固体電解質シート。
請求項3】 請求項2に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記マ
イクロ繊維は、異なる融点を有する2種類のポリエステルを含み、前記2種類の
ポリエステルのうちの少なくとも一つは前記ポリエチレンテレフタレートである
ことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
【請求項4】 請求項2又は3に記載の不織布補強固体電解質シートであって、
前記マイクロ繊維は、延伸したポリエチレンテレフタレートと延伸していないポ
リエチレンテレフタレートとを含むマイクロ繊維、及び/又は、芯鞘構造を有す
るマイクロ繊維であって芯部が前記ポリエチレンテレフタレートを含み鞘部が前
記ポリエチレンテレフタレートより融点の低いエステルを含むマイクロ繊維を含
む、ことを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。

【請求項5】 請求項2に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記マ
イクロ繊維は、1μm~20μmの平均直径を有し、前記ナノ繊維は、50nm
~300nmの平均直径を有することを特徴とする、不織布補強固体電解質シー
ト。
【請求項6】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記
二層不織布基材は孔を有し、前記孔の平均孔径は、0.1μm以上3μm未満で
あることを特徴とする、不織布補強固体電解質シート。
【請求項7】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記固
体高分子は、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリメチル
メタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、デンプン、糖、繊維、ポ
リビニルアルコール、ポリホスファゼン、及び、ポリスチレンからからなる群か
ら選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シ
ート。
【請求項8】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記リ
チウム塩は、LiTFSI、LiPF6、LiN(CF3SO2)2、Li(C
F3SO2)3C、LiN(SOCFCF)、及び、LiB(CO)からなる群から
選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、不織布補強固体電解質シー
ト。
【請求項9】 請求項1に記載の不織布補強固体電解質シートであって、 前記固
体高分子と前記リチウム塩との質量比が4:1~26:1であることを特徴とす
る、不織布補強固体電解質シート。
【請求項10】 ポリエチレンテレフタレートを含むマイクロ繊維を有するマイ
クロ繊維層を形成する工程と、 前記マイクロ繊維層の一方の面にポリフッ化ビ
ニリデンを含む溶液をエレクトロスピニング法により適用してポリフッ化ビニリ
デンを含むナノ繊維を有するナノ繊維層を形成して二層不織布基材を得る工程と、
前記二層不織布基材のマイクロ繊維層の側からリチウム塩が分散された固体電解
質をキャスティングするキャスティング工程と、 を含むことを特徴とする、不
織布補強固体電解質シートの製造方法。
【請求項11】 請求項10に記載の不織布補強固体電解質シートの製造方法で
あって、 前記固体電解質がキャスティングされた前記二層不織布基材をホット
プレスするホットプレス工程をさらに有することを特徴とする、不織布補強固体
電解質シートの製造方法。
【請求項12】 請求項11に記載の不織布補強固体電解質シートの製造方法で
あって、 前記ホットプレス工程は、前記二層不織布基材を、80℃~120℃の
温度範囲、かつ20MPa~30MPaの圧力範囲で、10秒~120秒間、加
圧する工程であることを特徴とする、不織布補強固体電解質シートの製造方法。

【発明を実施するための形態】
本発明に係る不織布補強固体電解質シート及び不織布補強固体電解質シートの製
造方法について、説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に係る
発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素及び
その組み合わせの全てが本発明に必須であるとは限らない。

1.不織布補強固体電解質シート
1-1.全体構成
図1は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を説明するために示す図
である。図1(a)は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の概略図
である。図1(b)は、不織布補強固体電解質シート1をマイクロ繊維層20の
面から撮影した電子顕微鏡写真であり、図1(c)は、不織布補強固体電解質シ
ート1をナノ繊維層30の面から撮影した電子顕微鏡写真であり、図1(d)は
、不織布補強固体電解質シート1の断面の電子顕微鏡写真である。不織布補強固
体電解質シート1の表面、及び、断面の観察は、日本電子株式会社(JEOL)
の走査型電子顕微鏡(SEM)JSM-60を用いて行った。
 不織布補強固体電解質シートは、図1(a)に示すように、二層不織布基材1
0と、固体高分子40と、固体高分子40に分散されたリチウム塩50とを含む。
より具体的には、二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレート(PET
)を含むマイクロ繊維22を有するマイクロ繊維層20と、ポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)を含むナノ繊維32を有するナノ繊維層30と、を有する

不織布補強固体電解質シートは、図1(a)に示すように、二層不織布基材10
と、固体高分子40と、固体高分子40に分散されたリチウム塩50とを含む。
より具体的には、二層不織布基材10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)
を含むマイクロ繊維22を有するマイクロ繊維層20と、ポリフッ化ビニリデン
(PVDF)を含むナノ繊維32を有するナノ繊維層30と、維層30とを有す
る。

図2.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基材
10を説明するために示す図

1-2.二層不織布基材
図2は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基
材10を説明するために示す図である。図2(a)は、実施形態に係る二層不織
布基材10の概略図である。図2(b)は、二層不織布基材10の断面の電子顕
微鏡写真である。 【0029】 二層不織布基材10は、図2(a)に示すよう
に、マイクロ繊維層20と、マイクロ繊維層20の一方の面に形成されたナノ繊

1-2-1.マイクロ繊維層
マイクロ繊維層20は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を主成分として
含むマイクロ繊維22を有する。ここでポリエチレンテレフタレート(PET)
とは、エチレングリコールとテレフタル酸との脱水縮合によって得られるポリエ
ステルである。 なお、本明細書において「主成分」とは、対象としてみるもの
(繊維等)の重量の半分より多い重量を占める成分のことをいう。また、本明細
書において、「ある繊維」について「主に含む」とは、繊維の過半が「ある繊維
」であることをいう。 マイクロ繊維22は、異なる融点を有する2種類のポリエ
ステルを含むことが好ましい。マイクロ繊維22が、異なる融点を有する2種類
のポリエステルを含む場合、2種類のポリエステルのうちの少なくとも一つはポ
リエチレンテレフタレート(PET)である。
ポリエステルとは、ポリアルコールと多価カルボン酸とを脱水縮合して得られる
高分子である。ポリエステルは、主鎖にエステル結合を有する高分子であれば特
に制限なく使用することができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
また、ポリエステルは、変性ポリエステルであってもよい。ポリエステルの例と
して、ポリエチレングリコール(PEG)、イソフタル酸とテレフタル酸との混
合物とエチレングリコールから得られるポリエステル、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチ
レンナフタレート等を例示することができる。 
マイクロ繊維22が異なる融点を有する2種類のポリエステルを含む例として、
延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)と延伸していないポリエチレン
テレフタレート(PET)とを含む場合を挙げることができる。 
この場合、延伸したポリエチレンテレフタレート(PET)の融点は、延伸して
いないポリエチレンテレフタレート(PET)の融点より高い。これにより、
延伸していないポリエチレンテレフタレート(PET)がバインダーとして機能
し、マイクロ繊維層20にナノ繊維層20を形成するナノ繊維22を強固に接着
させることができる。この結果、不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導性
を高めることができる。
また、マイクロ繊維22が異なる融点を有する2種類のポリエステルを含む他の
例として、マイクロ繊維22が芯部と鞘部とを有する芯鞘構造を有し、芯部がポ
リエチレンテレフタレート(PET)であり、鞘部がポリエチレンテレフタレー
ト(PET)より融点の低いアモルファスのポリエステルである場合を挙げるこ
とができる。
マイクロ繊維22は、鞘部を構成する融点の低いポリエステルがバインダーとし
て機能し、マイクロ繊維層20にナノ繊維層20を形成するナノ繊維22を強固
に接着させることができる。この結果、不織布補強固体電解質シート1のイオン
伝導性を高めることができる。一方、マイクロ繊維22の芯部はポリエチレンテ
レフタレート(PET)であることから、不織布補強固体電解質シート1の引張
強度を強固なものとすることができる。 マイクロ繊維22の平均直径は、1.0
μm~20.0μmの範囲内にあることが好ましく、2.0μm~5.0μmの
範囲内にあることがより好ましい。マイクロ繊維22の平均直径が上記数値の下
限以上であることにより、マイクロ繊維層20、さらには不織布補強固体電解質
シート1の機械的強度を大きくすることができる。また、マイクロ繊維22の平
均直径が上記数値の上限以下であることにより、マイクロ繊維層20を薄膜化す
ることができる。
マイクロ繊維22の平均繊維長は、例えば4mmである。
また、マイクロ繊維
層20におけるマイクロ繊維22の目付量は、例えば7g/m2~60g/m2
である。

図3.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1を構成する二層不織布基
材10の分析結果。
図3(a)は、マイクロ繊維層20の表面状態を示す電子顕微鏡写真である。図3
(b)は、マイクロ繊維層20に含まれるマイクロ繊維22の直径の分布を示す
図である。図3(c)は、ナノ繊維層30の表面状態を示す電子顕微鏡写真であ
る。図3(d)は、ナノ繊維層30に含まれるナノ繊維32の直径の分布を示す
図である。
マイクロ繊維層は、図3(a)及び図3(b)に示すように、直径が3.5±
0.8μmのマイクロ繊維22が積層していることがわかる。また、マイクロ繊
維22とマイクロ繊維22との間には隙間があり、マイクロ繊維22の間に形成
された隙間は連結して、実質的に孔を形成する。なお、図3(a)に示す電子顕
微鏡写真は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維22の目付
量が7g/m2のときの電子顕微鏡写真である。 

1-2-2.ナノ繊維層
ナノ繊維層30は、マイクロ繊維層20の一方の面に形成される。図2において
は、ナノ繊維層30は、図中、マイクロ繊維層20の下に形成されている。
ナノ繊維層30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むナノ繊維32を有
する。ナノ繊維層30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の繊維の重量がナ
ノ繊維層30の重量の半分以上を占めるものであることが好ましい。ナノ繊維層
30は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32により構成されてい
ることがいっそう好ましい。
ナノ繊維32の平均直径は、50nm~300nmの範囲内であることが好まし
く、75nm~145nmの範囲内であることがより好ましい。ナノ繊維32の
平均直径が上記数値の上限以下であることにより、高い空隙率を実現することが
できる。また、ナノ繊維32の平均直径が上記数値の下限以上であることにより、
高い生産性を実現しつつ、ナノ繊維層30の強度を確保することができる。
 ナノ繊維層30におけるナノ繊維32の目付量は、例えば1g/m2~3g/
m2である。ナノ繊維32の平均直径は、ナノ繊維32を製造するときの製造条
件、具体的には、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)によりナノ繊維32を
製造するときに、材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の溶液を吐出さ
せるキャピラリーチップ112(図7参照)の内径を調整することにより、調整
可能である。なお、エレクトロスピニング法については、後で説明する。 


図7.実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の製造方法において好適に
使用することができる電界紡糸装置100を示す模式図

ナノ繊維層は、図3(c)及び図3(d)に示すように、直径が110.6±
31μmのナノ繊維32が積層していることがわかる。また、それぞれのナノ繊
維32は相互に連結して三次元繊維構造を示している。ナノ繊維32とナノ繊維
32との間には隙間があり、ナノ繊維32の間に形成された隙間は連結して、実
質的に孔を形成する。なお、図3(c)に示す電子顕微鏡写真は、ポリフッ化ビ
ニリデン(PVDF)のナノ繊維32の目付量が1g/m2のときの電子顕微鏡
写真である。 
二層不織布基材10は、空隙率が60%~70%であることが好ましい。空隙率
の数値範囲が、上記数値範囲の下限以上であることにより、不織布補強固体電解
質シート1のイオン伝導度を十分に高くすることが可能となる。また、空隙率の
数値範囲が、上記数値範囲の上限以下であることにより、不織布補強固体電解質
シート1の機械的強度を高めることができる。 なお、空隙率は、試料をn-ブ
タノールに室温で10分間浸漬する試験を行うことにより算出することができる。
すなわち、空隙率(%)は、空隙率をPとし、Wwを浸漬前の試料の質量とし、
Wdを浸漬後の試料の質量とし、ρbをn-ブタノールの密度とし、Vを試料の
体積とするとき、P=((Ww-Wd)/ρbV)×100 という式で求める
ことができる。 
ナノ繊維層30は、ナノ繊維32を密に積層することにより、空隙率を高くするこ
とが好ましい。 

1-3.固体高分子
固体高分子40としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど
のポリエーテルを挙げることができる。固体高分子40は、上記したポリエーテ
ルに加え、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、デ
ンプン、糖、繊維、ポリビニルアルコール、ポリホスファゼン、及び、ポリスチ
レンを含んでいてもよい。固体高分子40は、架橋されていてもよい。 

1-4.リチウム塩
リチウム塩50としては、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタン)ス
ルホンイミド)、LiPF6(ヘキサフルオロリン酸リチウム)、LiN(CF
3SO2)2(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)、Li(
CF3SO2)3C(リチウムトリス(トリフルオロメチルスルホニルメチド)、
LiN(SOCFCF)、LiB(CO)、及び、これらの混合物、などを挙げるこ
とができる。 
固体高分子40とリチウム塩50との質量比は、4:1~26:1であることが
好ましい。固体高分子40とリチウム塩50との質量比が上記数値範囲内である
ことにより、リチウム塩が分散した固体高分子の粘度を適宜なものとすることが
でき、また不織布補強固体電解質シート1を製造するときのキャスティングなど
の後工程において、製造を容易なものとすることができる。 
さらに、固体高分子40、及び、リチウム塩50に加え、酸化物、セラミック、
硫化物、可塑剤などを含んでいてもよい。上記した酸化物等を含むことにより、
不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導度を向上させることができる。
酸化物の例として、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化チタ
ン(TiO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛(PbTi
O3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、カーボンナノチューブ、カーボン
量子ドット、などを挙げることができる。
セラミックの例として、ゼオライト、Li7La3Zr2O12(LLZO)、
Li6.4La3Zr1.4Ta0.6O12(LLZTO)、などを挙げるこ
とができる。 
硫化物の例として、Li10GeP2S12(LGPS)、Li10SnP2S
12(LSPS)、Li6.25PS5.25C10.25、Li2S-P2S
5)、などを挙げることができる。
可塑物の例として、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、などを挙げることが
できる。

1-5.不織布補強固体電解質シート
図1(b)及び図1(c)からわかるように、不織布補強固体電解質シート1の
マイクロ繊維層20側の表面、及び、ナノ繊維層30側の表面は、平滑に形成
されている。固体電解質40及びリチウム塩50をキャスティングしたあとの二
層不織布基材10に対して、ホットプレスを行い、マイクロ繊維層20側の表面、
及び、ナノ繊維層30側の表面の凹凸をなくして平滑にしたことによるものであ
る。マイクロ繊維層20側の表面、及び、ナノ繊維層30側の表面を平滑な表面
にすることにより、電極との良好な接触を得ることができる。
不織布補強固体電解質シート1の厚さは、80μm以下であることが好ましく、
40μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることがさらに好ま
しい。不織布補強固体電解質シート1の厚さが上記数値範囲以下であることによ
り、固体電池の体積低減に貢献することができる。なお、実施形態に係る不織布
補強固体電解質シート1の厚さは、約23μmである。

2.評価、分析
2-1.二層不織布基材の熱質量分析
図4は、実施形態に係る二層不織布基材10の熱質量分析(TGA)による分析
結果を示す図である。図4において、グラフの横軸は温度(単位:℃)を、縦軸
は重量(単位:%)をそれぞれ示す。熱質量分析には、理学社の熱分析装置
Thermo plus TG 8200を使用した。 二層不織布基材10は、図
4に示すように、350℃までは、吸着水の蒸散によるわずかな重量減が認めら
れたのみで、安定であることがわかる。一方、350℃から450の間で、二層
不織布基材10の分解による重量減少が起きている。以上の結果より、二層不織
布基材10は350℃までの温度においては、構造を安定に維持できることが確
認できた。

図4.実施形態に係る二層不織布基材10の熱質量分析(TGA)による分析結
果を示す図

2-2.二層不織布基材の孔径分布
実施形態に係る二層不織布基材10は、上記したように、マイクロ繊維層20に
あっては、マイクロ繊維22とマイクロ繊維22との間に隙間を有し、マイクロ
繊維22の間に形成された隙間は連結して実質的に孔を形成する。また、ナノ繊
維層30にあっては、ナノ繊維32とナノ繊維32との間に隙間を有し、ナノ繊
維32の間に形成された隙間は連結して実質的に孔を形成する。
マイクロ繊維層に形成された孔、及び、ナノ繊維層に形成された孔の孔径は、
0.1μm以上3μm未満であることが好ましく、0.2μm以上1μm以下で
あることがより好ましい。 

図5.実施形態に係る二層不織布基材10の孔径分布を示す図

図5において、グラフの横軸は孔径(単位:μm)を示し、縦軸は分布(単位:
個)を示す。 孔径は1μmより小さく、平均孔径は約0.45μmである。孔
径が小さくなった原因は、マイクロ繊維層20側の方の面にナノ繊維層30が形
成されたためである。

3.不織布補強固体電解質シートの製造方法


図6、実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法を示すフローチャ
ート
実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法は、図6に示すように、
ナノ繊維層形成工程S10と、キャスティング工程S20と、ホットプレス工程
S30と、を含む。ナノ繊維層形成工程S10は、ポリエチレンテレフタレート
(PET)のマイクロ繊維を含むマイクロ繊維層20の一方の面に、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)を含むスピニング溶液を適用することにより、ポリフッ
化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32を含むナノ繊維層30を形成する工程
である。 
マイクロ繊維層20は、上記した不織布補強固体電解質シート1におけるマイク
ロ繊維層20と同様のものであるため、詳細な説明は省略するが、ポリエチレン
テレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含むマイクロ繊維層20は、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含む不織布として入手すること
が可能である。実施形態に係る不織布補強固体電解質シートの製造方法において
は、天間特殊製紙株式会社から入手したポリエチレンテレフタレート(PET)
のマイクロ繊維を含む不織布を使用した。ナノ繊維層形成工程S10においては、
まず、溶質の主成分としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むスピニング
溶液を準備する。
スピニング溶液は、ナノ繊維を形成するための高分子成分としては、ポリフッ化
ビニリデン(PVDF)のみを含むことが好ましい。また、スピニング溶液は、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他に、エレクトロンスピニングを補助するた
めの物質等を含んでいてもよい。例えば、スピニング溶液は、0.05wt%~
0.5wt%の過塩素酸テトラブチルアンモニウム(Tetrabutylam-
monium Perchlorate、TBAP)を含んでいてもよい。 
ナノ繊維層形成工程S10においては、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)
により、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維32を含むナノ繊維層3
0を形成することができる。
図7 電界紡糸装置模式図
図7は、実施形態に係る不織布補強固体電解質シート1の製造方法において好適
に使用することができる電界紡糸装置100を示す模式図である。 電界紡糸装
置100は、キャピラリーチップ112を取り付けたシリンジ110と、コレクタ
120と、電源装置130とを備える。シリンジ110としては2mL~10
mL、例えば5mLプラスチックシリンジを用いることができる。また、キャピ
ラリーチップ112としては、内径が0.4mm~0.8mm、例えば0.6mm
のものを用いることができる。 
コレクタ120としては、接地した回転型ドラムコレクタを用いる。紡糸時には、
コレクタ120をキッチンペーパー及びアルミ箔で覆うことが好ましい。 電源装
置130としては、例えば、松定プレシジョン株式会社のHar-100*12
を用いることができる。電源装置130のアノードとシリンジ110内のスピニ
ング溶液との間の電気的接続には、銅線132を好適に用いることができる。 
印加電圧及びキャピラリーチップ112とコレクタ120との間の距離(Tip
to Corrector Distance:TCD)は、紡糸するナノ繊維ごとに決定することが
できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維を紡糸するとき
には、印加電圧及びTCDをそれぞれ10kV~20kV、及び、10cm~
20cmの範囲で適宜設定することができる。 のキャスティング工程S20に
進む前に、固体高分子40/リチウム塩50のゲルを調製する。固体高分子40/
リチウム塩50のゲルは、室温で固体高分子40とリチウム塩50とを溶媒に混
合し、均一で安定なゲルを形成するまで攪拌することにより調整する。ゲルを調
製するために使用する溶媒として、DMFとアセトンとの混合溶媒(DMF/ア
セトン=3/1~3/2(v/v))等を例示することができる。


図8.固体高分子40のキャスティングにおいて好適に使用することができるキ
ャスティング装置200の模式図

図8は、固体高分子40のキャスティングにおいて好適に使用することができる
キャスティング装置200の模式図である。キャスティング工程S20において
は、図8に示すように、二層不織布基材10に固体高分子40/リチウム塩50の
ゲルをキャスティングする。  図8に示すように、二層不織布基材10をガラス
基板210の上に置き、調製した固体高分子/リチウム塩ゲルを二層不織布基材
10上にキャスティングする。このとき、ナノ繊維層30が下にマイクロ繊維層
20が上になるように二層不織布基材10を配置しマイクロ繊維層20の面から
、固体高分子40/リチウム塩50のゲルをキャスティングすることが好ましい。
ャスティング工程S20において、ナノ繊維層20を二層不織布基材10の下側に
配置することで、固体高分子40/リチウム塩50のゲルをポリエチレンテレフ
タレート(PET)のマイクロ繊維22からなるマイクロ繊維層20の孔に貯留
することができ、緻密で薄膜化された不織布補強固体電解質シート1を形成するこ
とが可能になる。
固体高分子40/リチウム塩50のゲルのキャスティング方法として、スラリーコ
ーティング法やドクターブレード法などが挙げられ、その方法は特に限定されな
いが、固体高分子40/リチウム塩50ゲルを均一に分布させることができると
いう点で、ドクターブレード法によることが好ましい。 
固体高分子40/リチウム塩50のゲルを、ドクターブレード220を用いて複
数回キャスティングすることにより、不織布補強固体電解質シート1の表面を平
滑化することができる。また、固体高分子40/リチウム塩50の二層不織布基
材10の空隙へ効率よく浸透させ、二層不織布基材10における固体高分子40
/リチウム塩50の均一な分布を得ることができる。固体高分子40/リチウム塩
50のゲルをキャスティングした不織布補強固体電解質シート1は、真空オーブン
に入れ、60℃で24時間乾燥させる。ットプレス工程S30では、乾燥した不織
布補強固体電解質シート1のマイクロ繊維層20とナノ繊維層30とを、80℃
~120℃の温度範囲で、20MPa~30MPaの圧力範囲で、0秒~120
秒間、加圧する。これにより、緻密で薄く、平滑で均一な不織布補強固体電解質
シート1を形成することができる。 

4.実施例
以下に本発明を実施例により説明する。なお、本発明はこの実施例により何ら限
定されるものではない。
4-1.試料の調製
4-1-1.実施例1
まず、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維6.9g/m2を
含むマイクロ繊維層の一方の面に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノ繊
維2.0g/m2を含むナノ繊維層を積層して、二層不織布基材を作成した。具
体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維6.9g/m
2を含む不織布を準備。また、3gのポリフッ化ビニリデンを15mlのDMF
/アセトン(3/1)の混合溶媒に溶解し、室温で12時間溶解することにより、
スピニング溶液を調製した。調製したスピンニグ液は、先端に導電性チップを有
するプラスチック製のシリンジに充填。エレクトロスピニング法によりポリフッ
化ビニリデン(PVDF)のナノ繊維を、ステンレス製のシリンダー・ローラーに
巻き付けたポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊維を含む不織布
の表面に堆積させた。導電性チップとシリンダー・ローラーとの距離は15cm
とし、導電性チップとシリンダー・ローラーとの間には15kVの電圧を印加し
た。
次に、固体電解質を構成するポリマー液を準備する。ポリマー液は、1.5gの
ポリエチレンオキシド(PEO)と0.98gのLiTSFIとを25℃で30
mlのアセトニトリルに混合し、均一な溶液になるまで攪拌することにより調整
した。二層不織布基材のマイクロ繊維層側からドクターブレードを用いてポリマ
ー液をキャスティングし、ポリエチレンテレフタレート(PET)のマイクロ繊
維22を含むマイクロ繊維層を被覆してポリエチレンオキシドのフィルムを形成
した。フィルムを60℃で24時間真空乾燥し、溶媒のアセトニトリルを除去し
た。最後に、フィルムを含む二層不織布基材を、110℃、20MPaで20秒
間、ホットプレスして、実施例1の不織布補強固体電解質シートを得た。 

4-1-2.実施例2
二層不織布基材のナノ繊維層に含まれるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナ
ノ繊維の量、及び、ナノ繊維層を形成する際のエレクトロスピニングの条件を表
1に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で二層不織布基材を製造
した。さらに、二層不織布基材に適用するポリマー液、及び、ホットプレスの条
件を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で、実施例2の不
織布補強固体電解質シートを得た。

4-1-3.実施例3
二層不織布基材のマイクロ繊維層に含まれるポリエチレンテレフタレート(PE
T)のマイクロ繊維の量、及び、ナノ繊維層を形成する際のエレクトロスピニン
グの条件を表1に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で二層不織
布基材を製造した。さらに、二層不織布基材に適用するポリマー液、及び、ホッ
トプレスの条件を表2に示すように変更したほかは、実施例1と同様の条件で、
実施例3の不織布補強固体電解質シートを得た。

表1.

表2


4-2.評価、及び、評価結果
4-2-1.熱安定性試験
実施例1の不織布補強固体電解質シートを使用して、不織布補強固体電解質シー
トの熱安定性を評価した。実施例1の不織布補強固体電解質シートを直径20
mmの円形に切り出し、所定温度に設定したオーブンの中に20分間放置した。参
考例として、同じサイズのポリエチレンオキシド(PEO)-LiTFSIから
なる固体高分子電解質を準備し、実施例1の不織布補強固体電解質シートと同じ
条件で、熱安定性を評価した。 
図9は、実施例1の不織布補強固体電解質シート及び、参考例の固体高分子電解
質の熱安定性試験の結果を示す図である。
図9(a1)(a2)(a3)(a4)は、RT(熱履歴なし)、160℃、
180℃、200℃の恒温槽に20分間放置後の、実施例1の不織布補強固定電
解質シートの状態を示す写真である。図9(b1)(b2)(b3)(b4)は、
RT(熱履歴なし)、160℃、180℃、200℃の恒温槽に20分間放置後
の、参考例の固体高分子電解質の状態を示す写真である。参考例の固体高分子電
解質は、図9(b2)に示すように、160℃で収縮し、図9(b3)及び(b
4)に示すように、180℃及び200℃において溶融した。一方、実施例1の
不織布補強固体電解質シートは、図9(a4)に示すように、200℃において
も形状変化は示さなかった。すなわち、実施形態に係る不織布補強固体電解質シ
ートは、従来の固体高分子電解質に比べ、熱安定性が大幅に向上していることが
わかる。本発明の不織布補強固体電解質シートは、熱的安定性に優れることから、
特に高温で使用したときにショートを抑制することが可能になり、安全に固体電
解質シートを使用できることができる。 

4-2-2.引張強度分析
実施例2の不織布補強固体電解質シートについて、引張強度を分析した。引張強
度試験には、エー・アンド・デイ社の卓上型引張圧縮試験機 Force Tester
MCT-2150を使用した。
図10は、本発明の不織布補強電解質シートの引張強度を説明するための図であ
る。図10(a)は、実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度試験
の結果を示す図である。図10(b)は、最近の論文で報告された固体高分子電
解質(参考文献1~6)の引張強度を示す図である。 

図10(a)において、グラフの横軸はひずみ(単位:%)を示し、縦軸は応力
(単位:MPa)を示す。図10(a)に示すように、実施例2の不織布補強固
体電解質シートは、引張強度試験において、13.9MPa、ひずみ53%とい
う結果が得られた。本発明の不織布補強固体電解質シートは、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)のマイクロ繊維22を有することから、機械的性質を犠牲
にすることなく、不織布補強固体電解質シート10の薄膜化を実現できることが
わかる。

図10(b)は、最近の論文で報告された固体高分子電解質(参考文献1~6)
の引張強度を示す図である。実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度
の測定データを一番右に示す。
論文で報告された固体高分子電解質においては、引張強度は最も大きいもので6
MPa程度である。一方、実施例2の不織布補強固体電解質シートの引張強度は
13.9MPaである。論文で報告された固体高分子電解質に比べ、引張強度が
優れていることがわかる。

4-2-3.イオン伝導度評価
実施例3の不織布補強固体電解質シートについて、対称型ステンレス製セルを作
成し、イオン伝導度を評価した。イオン伝導度は、Metrohm電気化学ワー
クステーションで測定し、各温度のイオン伝導度を計算した。イオン伝導度σは、
Lを不織布補強固体電解質シートの厚さ、Rを固有抵抗、Sを面積とするとき、
σ=L/RS により求めることができる。結果を表3に示した。
表3.


表3に示すように、実施例3の不織布補強固体電解質シートの30℃におけるイ
オン伝導度は、1.05×10-5Scm-1である。純粋なポリエチレンオキ
シド(PEO)のイオン伝導度は1.00×10-6Scm-1程度であること
から、本発明の不織布補強固体電解質シート1のイオン伝導度は非常に高いこと
がわかる。


 風蕭々と碧い時

地球という名の都  ASKA 
2023.01.08 
作詞/作曲:ASKA/澤野 弘之





今夜の寸評: 

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新成長経済理論考 ⑦

2023年11月30日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

毎年11月30日は世界で水餃子を楽しく頂きましょう!
Let's Eat Boiled Dumplings around the world!


Here we go!
It's the season for solo hotpot
With Japanese-style pot-au-feu.




SSS 532万画素SWIRイメージセンサ発売
11月29日、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、「SSS」)は、
産業機器向けに、業界最多1となる有効約532万画素のSWIRShort-Wavelength Inf-
rared
/
短波長赤外)イメージセンサー『IMX992』を商品化。本製品は、独自のCu-
Cu
接続
を用いることで、SWIRイメージセンサーとして業界最小※1となる3.45μ
mの画素サイズを実現した。同時に、効率的に光を取り込むために画素構造を最
適化したことで、可視光から非可視光である短波長赤外までの広帯域(波長:
0.4μm〜1.7μm)において、高精細な撮像を可能にした。さらに、新たに搭載し
た撮影モードが、暗い環境においても、ノイズを従来比で大幅に抑えた高画質な
撮影を実現。本製品に加え、画素サイズ3.45μmで有効約321万画素となる『IMX9
93』も商品化し、SWIRイメージセンサーの製品ラインアップを拡充。さまざまな
産業用途に向けて、多画素・高感度を両立する新たなSWIRイメージセンサーを
提案し、多様な産業機器の進化に貢献したいとのこと。
※1 InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)を用いたSWIRイメージセンサーにおい
て(ソニー調べ)。
【特徴】
1.業界最小※1 3.45μm画素による多画素化で、高解像度での撮像を実現
受光部のフォトダイオードを形成するInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)層
と、読み出し回路を形成するSi(シリコン)層をCu-Cu接続で接合することで、画
素ピッチを縮小し、業界最小1となる3.45μm角の画素サイズを実現。これに
より、小型でありながら、IMX992では業界最多1の有効約532万画素、IMX993
有効約321万画素を実現。多画素化は、微細な対象物の検出や広範囲の撮影を可
能にし、短波長赤外光を使った各種検査における識別や計測精度の大幅な向上に
貢献する。

2.撮影モードの切替で、暗所でも低ノイズでの撮像を実現
新たに搭載された撮影モードにより、環境の明暗に左右されず低ノイズでの撮像
が可能になりました。光量が限られる暗い環境においては、『High Conversion
Gain(HCG
)モード』により、光が電気信号に変換された直後のまだノイズが少
ない状態で信号を増幅させることで、その後に載るノイズを相対的に小さくする
ことができる。これにより、暗所におけるノイズの影響を抑えることができ、カ
メラの認識精度の向上につながる。一方、十分な光量が確保できる明るい環境に
おいて、『Low Conversion Gain(LCG)モード』により、ダイナミックレンジを重
視した撮像ができます。 さらに、『Dual Read Rolling Shutter(DRRS)』※2を有
効にすることで,イメージセンサーから特殊な2種類の画像が出力される。これ
らの画像をカメラ側で合成することによって、ノイズ成分を大幅に除去した画像
を取得することも可能となる。 ※2 DRRSを使用するには、画像演算をするため
に後段システムにフレームメモリ ーを設ける必要がある。

3.画素構造の最適化により、広帯域で高感度撮像を実現
SSSのSWIRイメージセンサーでは、可視光を吸収してしまう表面のInP(インジウ
ム・リン)層を薄膜化することで、その下のInGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ
素)層まで可視光を透過させることができ、可視帯域においても高い量子効率を
実現しています。本製品では画素構造の最適化により、従来比で可視光帯域の量
子効率が向上。これにより、0.4μmから1.7μmまでの広い波長帯域において、よ
り均質な感度特性を実現。波長ごとの画質差を最小限に抑えることで、多様な産
業用途への対応や検査・識別・計測の信頼性の向上に貢献できる。


【参考論文】
原子3個分の厚さしかない層状半導体中の励起子の動きを可視化
10億分の1メートルの世界最高精度で ➲2022.10.14
突破・飛躍には、まずは可視化!

 スマートフォンやインターネットなどの情報技術により、私たちの生活は飛
 躍的に便利になりました。その背景には、集積回路などの半導体工学技術や
 オプトエレクトロニクス(光電子工学)技術の発展があります。半導体素子を
 微細化することで高性能化が進んできましたが、従来技術では微細化が難し
 くなるなど、さらなる進展のための課題も見え始めています。  
 これを打ち破るため、次世代材料として注目されているのが、遷移金属ダイ
 カルコゲナイド(TMDC)半導体材料です。1層の厚みが原子3個分ほどしかな
 い極限的薄さのシート状物質で、光を吸収すると正の電荷(正孔)と負の電荷
 (電子)が結合した「励起子」と呼ばれる粒子が生成されます。その大きさは
 3ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)程度しかありません。
 半導体素子の光応答を決定づけるのはこの励起子であり、その動きを制御す
 ることで新たな技術応用の世界が開けます。このため、励起子の動きを1ナ
 ノメートルの精度で捉えることが求められています。しかし、これまでの手
 法では数十ナノメートルの精度が限界でした。
 本研究では、TMDC半導体の一種であるWS2(二硫化タングステン)やWSe2(2セ
 レン化タングステン)の励起子の動き(ダイナミクス)を1 ナノメートルス
 ケールの精度で可視化することに世界で初めて成功しました。複数の探針を
 用いて試料の電気特性を調べるマルチプローブ法、ナノメートルの空間分解
 能を持つ走査トンネル顕微鏡法(STM)、そして100フェムト秒(10兆分の1秒
 )の時間分解能を持つレーザー技術を組み合わせた成果です。
            『テクノロジー・材料 - TSUKUBA JOURNAL
【掲載論文】
Ultrafast nanoscale exciton dynamics via laser-combined scanning tunnelling ・croscopy
 in atomically thin materials.:超短パルスレーザーと走査トンネル顕微鏡を組み合わせ
 原子レベルの薄さを特つ物質中での超高光励起子ダイナミクスをナノスケールで可視化
・ 2D Materials and Applications、 2022.10.14
・https;//ぐ/doi.or8/10.1038/s41699-022-00345-1

TMDC のキャリア ダイナミクスを測定するための時間分解 STM (TR-STM) セット
アップ。 b STMによる励起子の検出メカニズムを示すバンド構造。 バンドの曲が
りの方向は、STM チップとサンプルの間に印加されるバイアス電圧によって決ま
る。 c 開発した時間分解マルチプローブ STM システムの概略構成。 BSビーム
スプリッター、PBS偏光ビームスプリッター、OPO光パラメトリック発振器、FRフ
ァラデー回転子、EOM電気光学変調素子(詳細については補足図1を参照)。



Google DeepMind  AIツールで新結晶構造220万種類発見

11月29日、800年分の知識に相当する220個の新結晶発見を共有した。
新しい材料の安定性を予測することで発見の速度と効率を劇的に向上さ
せる新しい深層学習ツールである Graph Networks for Materials Exploration
(GNoME
) を紹介。 GNoME を使用することで、人類に知られている技
術的に実行可能なマテリアルの数が倍増した。220万の予測のうち
380,000 が最も安定しており、実験合成の有望な候補になる。これらの
候補の中には、超電導体、スーパーコンピューターに電力を供給するも
の、電気自動車の効率を高める次世代バッテリーに至るまで、将来の革
新的な技術を開発する可能性を秘めた材料が含まれる。 GNoME は、AI
を使用して新しい材料を大規模に発見および開発できる可能性を示す。

世界中の研究室の外部研究者が、同時作業で実験的にこれらの新しい構
造を 736個独立して作成した。 ローレンス・バークレー国立研究所の
研究者チームも、Google DeepMind と提携して、AI 予測を自律的な材
料合成にどのように活用できるかを示す 2 番目の論文を Nature 誌に
発表。 GNoME の予測を研究コミュニティが利用できるようにした。
安定していると予測される 380,000 の材料を材料プロジェクトに提供
する予定。材料プロジェクトは現在、化合物を処理してオンライン デ
ータベースに追加。 これらのリソースが無機結晶の研究を推進し、機
械学習ツールの可能性を解き放つことを願う。 
Scaling deep learning for materials discovery | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06735-9
via  GIGAZINE

  Part 1 Chapter 12

  図書館で過ごす以外の空いた時間を、街の地図をつくることに費やした。
 曇った午後の時間を利用し、半ば気晴らしに始めたこの作業に、私はやが
 て没頭することになった。作業の手始めは、街のおおよその輪郭を把握す
 ることだった。言い換えれば、街を取り囲む壁の形状を理解すること。
 「きみ」が以前ノートに鉛筆で描いてくれた簡単な地図によれば、それは
 人の腎臓を横向けにしたような形をしていた(へこんだ部分が下になって
 いる)。しかし本当にそうなのだろうか? 実際にそのことを確かめてみ
  たいと思った。
  それは思ったより困難な作業だった。まわりには誰ひとり、その正確な形
  をいやおおま把握している者がいなかったからだ。君も、門衛も、近所に
  住む老人たちも(私は彼らの何人かと知り合い、ときおり短い会話を交わ
  すようになっていた)、街がどのような形をしているか、確かな知識を持
  たなかったしとくにそんなことを知りたいとも思っていないようだった。
 ま た彼らが「だいたいこんなものだろう」と描いてくれる街の形状はそれ
 ぞれに大きく異なっていた。あるものは正三角形に近く、あるものは楕円
 形に近く、あるものは大きな獲物を呑んだ蛇のような格好をしていた。
 「どうしてそんなことをあんたは知りたがるんだね?」と門衛は怪討そう
 な顔で私に尋ねた。
 「この街がどんな格好をしているか、知ったところで、なんの役に立つ?」
 純粋な好奇心によるものなのだと私は説明した。知識として得たいだけだ。
 何かの役に立つかどうかではなく……。しかし門衛には「純粋な好奇心」
 という概念が呑み込めないようだった。
 それは彼の理解能力を超えたものごとなのだ。彼は顔に警戒の色を浮かべ、
 こいつ何か良からぬことを企んでいるのではないか、という目で私を眺め
 まわした。だから私はそれ以上彼に質問することを諦めた。

 「あんたに言いたいのはね」と門衛は言った。「頭に皿を載せてるときに
 は、空を見上げない方がいいってことさ」
 それが具体的に何を意味するのか、今ひとつわからなかった。しかしそれ
 が哲学的省察というより、実際的な警告に近いものであるらしいことは理
 解できた。他の人々が君をも含めて-私のその質問に対して示す反応も、
 門衛のそれと似たり寄ったりだった。街の住民たちは、自分がどれはどの
 広さを持つ、どんなかたちをした場所で暮らしているか、そんなことには
 まるで関心を払っていないらしかった。そしてそのような事柄に興味を持
 つ人間が存在するという事実が、うまく呑み込めないみたいだった。それ
 は私には不思議なことに思える。自分が生まれ、暮らしている場所につい
 てより多くを知りたいと思うのは、人が自然に抱く気持ちではなかろうか。
 この街には好奇心というものがもともと存在しないのかもしれない。ある
 いはもし存在していたとしても、きわめて希薄なものであり、また範囲を
 狭く限定されたものなのだろう。考えてみれば、それは理にかなったこと
 かもしれない。もし街に住む多くの人々が様々な事柄に、たとえば壁の外
 にある世界に好奇心を抱くようになれば、彼は(あるいは彼女は)壁の外
 の世界を見てみたいと思い始めるかもしれないし、そのような心の動きは
 街にとって好ましいことではない。
 街は壁の内側で隙間なく完結していなくてはならないのだから。
 この街の形状を知りたければ、足を使って実地に確かめるしかないという
 結論に私は達した。歩くことを私はまったく厭わなかった。日々の運動不
 足を解消する役にも立つ。しかし弱視というハンディキャップのために、
 作業は緩慢な速度でしか進まなかった。長い時間外を歩けるのは、曇った
 日と夕暮れどきに眼られていたからだ。眩しい太陽は私の両眼を痛め、し
 ばらくすると涙が止まらなくなった。しかしありかたいことに(たぶんあ
 りかたいことなのだろう)時間だけはたっぷりとあった。いくらでも好き
 なだけその作業に日数を割くことができた。そして前にも述べたように、
 その秋は天候の悪い日が続いた。
 濃い緑色の眼鏡をかけ、何枚かの紙片と短い鉛筆を持ち、街を囲む壁の内
 側に沿って歩き、その形状をひとつひとつ書き留めていった。簡単なスケ
 ッチもした。磁石もメジャーもなかったから(この街には存在しない)、
 雲に鈍く隠された太陽のありかを探しておおよその方角を知り、歩数を距
 離の目安にするしかなかった。私は北門の門衛小屋を出発点とし、時計と
 反対回りに壁沿いを進むことにした。
 壁洽いの道は荒れていた。道が消えて、見えなくなっている箇所も少なく
 ない。人が歩いた形跡はほとんどなかった。かつては日常的に使用されて
 いたようだが(その跡はあちこちに残されていた)、今ではそこを歩く人
 はまずいないらしい。道はおおむね壁のすぐ近くを通っていたが、地形に
 よっては大きく内部に迂回し、あちこちで道を塞いだ藪をかき分けていか
 なくてはならなかった。そのために分厚い手袋をはめた。
 壁沿いの土地は長い歳月にわたって見捨てられ、放置されてきたらしかっ
 た。今では壁の周辺には人はまったく居住していないようだ。ところどこ
 
ろで人家らしきものを目にしたが、どれも廃屋に近い状態にあった。多く
 の屋根は風雨にさらされて陥没し、窓ガラスは割れ、壁は崩落していた。
 石の土台だけが僅かに痕跡を残している家屋も見受けられた。原形をほぼ
 そのまま留めている建物もたまに見かけたが、それらは生命力に富んだ緑
 色のツタに外壁を絡め取られていた。
 しかし荒れ果てた住居も、中身が空っぽなわけではない。近寄って中を覗
 いてみると、古びた家具や什器があとに残されていることがわかった。ひ
 っくりかえったテーブルや、錆びた什器や、割れた手桶のようなものが目に
 ついた。すべては厚く埃をかぶり、湿気を吸い込み、半ば朽ちていた。
 今より道かに数多くの人がかつてこの街に住んでいたようだ。当たり前の
 生活がそこでは営まれていたのだろう。しかしある時点で何かが起こり、
 住人の多くはこの街を捨てて立ち去った。
 慌ただしく、おおかたの家財道具を後に残して。
 いったい何か起こったのだろう?
 戦争か、疫病か、それとも大規模な政治的変革があったのだろうか? 人
 々は自らの意志でよその土地に移住していったのか? あるいは強制的な
 追放みたいなことがおこなわれたのだろうか?
 いずれにせよあるとき「何か」が起こり、住民の多くが取るものも取りあ
 えずよそに移ってい78った。残された人々は中央部の川沿いの平地や西の
 丘に集まり、そこで肩を寄せ合うように、ひっそり言葉少なに暮らすよう
 になったのだ。それ以外の周辺の土地は放棄され、荒れるがままに捨て置
 かれた。あとに残された住民がその「何か」について語ることはない。語
 るのを拒んでいるというのでもない。その「何か」が何であったのか、集
 合的記憶が丸ごと失われてしまっているように見える。おそらく彼らが手
 放した影と共に、そんな記憶も持ち去られてしまったのだろう。街の人々
 は地理についての水平的な好奇心を持たないのと同じく、歴史についての
 垂直的な好奇心もとくに持ち合わせていないようだった。
 人々が立ち去ったあとの土地を往来するのは、単角獣たちだけだ。彼らは
 壁近くの林の中を、三々五々徘徊していた。私が小径を歩いて行くと、獣
 たちは足音を聞きつけ、首をぐいと曲げてこちらを見たが、それ以上の興
 味は示さなかった。そしてそのまま木の葉や木の実を探し続けた。
 ときおり風が林の中を吹き過ぎ、枝を古い骨のようにかたかたといわせた。
 私はその見捨てられた無人の土地を歩きながら、壁の形状をノートに書き
 留めていった。
 壁は私の「好奇心」をとくに気にもかけていないようだった。そう望めば、
 壁は私の探索をいくらでも妨害できたはずだ。たとえば倒木で道を塞いで
 しまうとか、密生した薮でバリケードを築くとか、道そのものをわからな
 くしてしまうとか。壁の力をもってすれば、それくらいは簡単にできただ
 ろう----日々壁を間近に見ているうちに、そういう強い印象を私は捨つよ
 うになった。この壁はそれだけの力を持っている、と。いや、それは印象
 というより確信に近いものだ。そしてまた壁は、私の一挙一動を怠りなく
 見守っていた。その視線を肌に感じた。

ここまで、けだるい夢みごちごちな心象旅をつづけているようだ。これからも
続くのかと不安となる。
                             この項つづく

China Could Have 1,000 Nuclear Warheads by 2030, Pentagon Says
中国の核保有量1000発を超える
2010年代後半以降、いくつかの要因が重なり合った結果、中国は核兵器の備蓄
を大幅に増加し始めた。 約40年間にわたり約200発の弾頭を維持してきた新興
超大国は、新たな脅威と認識したものを考慮して、この兵器庫を近代化して
1,000発以上に拡大しようと努めた。インド太平洋地域の安全保障力学の進化は、
主に米軍のプレゼンスとその同盟関係に影響を受けており、中国政府に核戦力
の強さを再評価するよう促した。 他国によるミサイル技術の進歩についても、
中国自身の抑止力を損なう可能性があるとの懸念が高まっていた。 2015年から
2022年の間に、中国は核兵器備蓄を260発から400発以上へと60%増加させた。
この数字は2030年までに1,000発に達し*、現在は2035年までに1,500発ずつに達
する勢いである。これは習近平国家主席の長期目標の一部を形成している。 中
華人民共和国建国100周年にあたる2049年までに「世界クラス」の軍隊を創設す
るという短期目標。 数百の新しい弾頭に加えて、中国は陸、海、空での核運搬
システムのより多くの在庫を開発した。 また、この成長を維持するために必要
なインフラストラクチャにも投資してきました。 固体推進剤と液体燃料の両方
の大陸間弾道ミサイル用の新しいサイロフィールドが建設され、システムは
「警告発進」姿勢、つまりより迅速に発射できるようになった



November 4, 2021
この核能力の急速な拡大により、中国と近隣諸国、特にインド、日本、台湾と
の間の既存の緊張が高まっている。 これらの国々およびアジア太平洋の他の国
々は、自国の戦略的脆弱性を懸念し、自国の軍事強化を追求している。 一方、
米国は、この地域の戦略的安定を維持する上で新たな課題に直面している。
米国は同盟国に対する取り組みが試されており、全面的な軍拡競争を防ぐ努力
と抑止力のバランスを取る必要がある。 中国の軍備拡大は軍備管理交渉を複雑
にしており、現在、米国、ロシア、中国が関与する三者間の力関係を考慮する
必要がある。 これにより、朝鮮半島の非核化に向けた努力が台無しになった。
via  2030 Future Timeline 

 風蕭々と碧い時
1978.03.25 
主人公 さだまさし



 Thw Jolson Story
●  今夜の寸評:  革命的「ナノテク×ネオコン」に歯が痛い。

 

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超高密度ナトリウム固体電池

2023年11月19日 | デジタル革命渦論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと伝えら
れる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時代の軍団編成
の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体さ
せて生まれたキャラクタ。

 

 
 
Anytime Anywhere ¥1/kWh era

【再エネ革命渦論 194 アフターコロナ時代 185
技術的特異点でエンドレス・サーフィング

シリカガラスの詳細な原子構造を明らかに  
11月16日、日本原子力研究開発機構とAGCは,機械学習を応用してシリカガラス
の原子配列を高精度に再現する原子シミュレーション技術を開発し,これまで謎
とされてきたシリカガラスの詳細な原子構造を明らかにした。
【要点】
1.シリカガラスは光ファイバー、半導体製造、太陽電池など様々な分野で用い
 られ、現代の社会基盤を支える素材として重要な役割を果たしています。しか
 しながら、シリカガラスの原子レベルの構造は物質科学の大きな謎の一つとな
 っていた。
2.そこで、本研究では機械学習を応用した高速・高精度な原子シミュレーショ
 ン手法を用いることで、シリカガラスの原子レベルの詳しい構造を明らかにす
 ることに成功した。
3.そして、一見無秩序に見えるシリカガラスの原子構造に隠れている原子のネ
 ットワーク構造を詳細に調べ、その構造が材料の圧縮に伴って変化する機構を
 解明した。
4.ガラス材料の特性は、原子レベルの構造と密接に関係していることから、今
 回開発した解析手法は、今後の新しいガラス材料の研究開発において欠かせな
 いものになる。

[背景]
ガラスはスマートフォンやタブレット、車のウィンドウなど、私たちが日常的に
使用する数多くの製品に使用され、現代の社会基盤を形作る主要素材の一つと位
置づけられます。しかし、ガラスの詳しい構造については、実験で直接観察する
ことが困難なため、未解明な部分が多くある。なかでも、原子レベルで顕在化す
る中距離の秩序構造は、応用と理論の両方において重要な未解明の問題であり、
多くの研究者が解明にチャレンジ。

本研究で対象としたシリカガラスは、最も代表的なガラス物質の一つとして広く
研究されてkぃた材料。中でも中性子およびX線回折実験において観測される
0.4ナノメートル程度の波長領域に現れる鋭い回析ピークはFSDP(First Sharp
Diffraction Peak
)と呼ばれ、中距離の秩序構造を反映したものと考えられている
が、FSDPを生み出す中距離の秩序構造の詳細については、多くのモデルが提案
されてきたものの、原子配列の立体的配置そのものを中性子回析やX線回析では
直接得ることができないため、どのような原子配列がFSDPを生み出しているのか
を解明することは困難と考えられていた。

[方法]
最新の原子シミュレーション技術である機械学習分子動力学法----原子に働く力
を、人工ニューラルネットワークartificial neural network)を用いて学習する----
を活用し、シリカガラスにおける中距離の秩序構造を原子レベルで解明する研究
を行った。研究対象としたFSDPは、高密度化や熱処理により大きな影響を受ける
ことが知られている。そこで、高密度シリカガラスにおけるFSDPの変化と原子配
置の変化を詳細に解析した。シリカガラスの中距離の秩序構造は、熱的特性や光
学的特性と関連しており、本研究の成果は新しいガラス材料の研究開発に貢献が
期待されている。


図2.低温圧縮と高温圧縮でのシリカガラスの構造因子(実験1[参考文献1]、
実験2[参考文献2])。

【成果】
コンピュータ上に精確なシリカガラスの構造を再現するためには、高精度な原子
シミュレーション手法が必須となる。その手法は、量子力学に基づく第一原理計
があり、計算コストが大きく、扱える原子数も制限があるため、シリカガラス
における中距離の秩序構造を調べる研究には適していない。従って、第一原理計
算の精度を保ち、計算コストを大幅に削減することが必須となる。そこで、高精
度と低計算コストを両立可能な機械学習分子動力学法を採用。機械学習分子動力
学法では、原子に働く力を、人工ニューラルネットワーク(※4)を用いて学習す
る。一度学習すれば、機械学習モデルは立ちどころに答えを出力することができ
るため、高速な計算が可能となり、中距離の秩序構造を捉えるのに十分な規模の
原子集団のシミュレーションが可能になる。しかしながら、その計算精度は機械
学習モデルの精度に左右される。

高精度な機械学習モデルを実現に、二酸化ケイ素を対象とする数万通りもの小規
模な第一原理計算を行うことで、人工ニューラルネットワークに学習させる教師
データを作
成。このように構築された機械学習分子動力学法を用いて、二酸化ケ
イ素の各種結晶相、液相、ガラス状態に対する高精度かつ大規模な計算を短時間
でシミュレーション可能となった。圧縮により高密度化されたシリカガラスのFS
DP
を計算の対象とした。シリカガラスにおける中距離の秩序構造を反映するFSDP
は圧縮や熱処理といった高密度化のプロセスに依存して減少または発達すること
が知られている。しかも、シリカガラスの秩序構造は屈折率や光ファイバーの光
損失と深く関連しており、圧縮や熱処理による秩序構造の制御が、新しいガラス
材料の開発に直結する重要課題と考えられている。開発した機械学習分子動力学
法により低温圧縮と高温圧縮による構造の変化を高精度に再現可能であることを
確かめした(図2)。特に、高温圧縮におけるFSDPの発達は、従来の近似的な計
算手法では再現が困難でしたが、本研究によって初めて再現されました(図2(b))。

これまで、FSDPを生み出すシリカガラスにおける中距離の秩序構造の起源に関し
ては、数多くの理論やモデルが提唱されてきた。シリカガラスにおいては、ケイ
素-酸素共有結合によって形成されるネットワーク構造の中で、図3(a)のように、
特定の幅を持った構造が頻繁に現れるのが原因であるという考えが提唱されてい
る。その幅と同程度の波長をもった中性子やX線が強く反射されることで、結果
としてFSDPが観測されるというのが、現在の一つの有力な説明となっている。共
有結合ネットワークは、図3(a)の黄色囲みに示されるような、ケイ素-酸素か
ら構成されるリングを最小単位としています。私たちは、このリングの形状やそ
の配列を解析することにより、ネットワーク構造の中に現れる中距離の秩序構造
がFSDPを生み出す、という説の検証に成功しました。また、高密度シリカガラス
における秩序構造の変化のメカニズムを明らかにするために、圧縮時のリング構
造の変形挙動、特にリングのアスペクト比に注目しました。これは図3(b)の差し
込み図のように、リングの短辺と長辺の比率 l_2/l_3で表される量です。その結
果、低温圧縮では、全てのリングのアスペクト比が変化するのに対し、高温圧縮
では、大きなリングのアスペクト比がより大きく変化して細長くなることが分か
ります(図3(b))。この結果、高温圧縮ではリングの短辺の長さスケールが、
小さなリングから大きなリングまで揃うことになり、リングの幅が均一化するこ
とで、ケイ素-酸素共有結合のネットワーク構造中の周期性がより顕著になり、F
SDPの発達に寄与していることが明らかになった。


図3..(a): シリカガラスの構造因子におけるFSDPとケイ素-酸素の共有結合ネッ
トワーク中に現れる中距離の秩序構造。黄色で囲まれた部分は、ネットワークを
形成する最小単位、すなわちリング構造を示しています。(b): 圧縮に対するリ
ングの変形挙動。
[掲載論文]
Scientific Reports (16 Nopvember 2023)
・“Machine Learning Molecular Dynamics Reveals the Structural Origin of the
 First Sharp Diffraction Peak in High-Density Silica Glasses”
・ Keita Kobayashi,  Masahiko Okumura, Hiroki Nakamura, Mitsuhiro Itakura,
 Masahiko Machida (原子力機構)Shingo Urata (AGC株式会社) Kentaro
 Suzuya (J-PARCセンター)
・DOI:10.1038/s41598-023-44732-0.

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驚異的なエネルギー密度をもつナトリウムイオン電池の創製
2023年11月13日、東京理科大学らの共同研究グループは、ナトリウムイオン電池
やカリウムイオン電池用の新たな負極材料である「ZnO鋳型ハードカーボン(HC-Z
n)」を合成することに成功しました。このHC-Znを負極に使用したナトリウムイ
オン電池は、現行の商用リチウムイオン電池に匹敵するほど高いエネルギー密度
を示した。

[2.結果及び考察]
4.ナノポアテンプレートとしての ZnOの希釈と濃縮
ZnO テンプレートのサイズと分布は、Na貯蔵容量を高めるための重要な要素であ
ると予想される。したがって、追加の炭素源としてグルコース (Glc) を導入し
Zn Gluの追加のテンプレート源として酢酸亜鉛 (Zn(OAc)2) を導入により、ZnO
テンプレートHCの容量に対するテンプレートの希釈と濃縮の影響を調査した。
文献によると、不活性ガス雰囲気下であっても Zn(OAc)2 の熱分解後には ZnO
みが残り、酢酸イオン中の C原子はCO2またはアセトンとして除去される。した
がって、Zn GluZn(OAc)2 の混合物から得られる予熱された前駆体中の ZnO
量は、PRE-Zn中のZnOの量よりも多いことが合理的に予想された。

出発物質は、Glc、Zn、Glu、および Zn(OAc)2を凍結乾燥によって均一に混合する
ことにより調製された (詳細はサポート情報参照)。サンプルはPRE-Zn[x-y-z]、
wPRE-Zn[x-y-z]、または HC-Zn[x-y-z] として指定される。ここで、Glc、Zn Glu、
およびZn(OAc)2の混合モル比は x :yで表される。z、「Zn.」の後に付加される。
比較のために純粋な Zn Glu には凍結乾燥プロセスが採用された。 したがって、
HC-Zn[0-100-0] のサンプル調製条件は、両方とも純粋なZn Glu に由来するにも
かかわらず、HC-Znのサンプル調製条件とはわずかに異なる

未洗浄および洗浄前駆体、ならびに HC の XRD パターンを図 S10 (サポート情
報) に示す。 ZnO回折ピークの強度と幅の変化を除いて、パターンに大きな違い
がなく、HCの合成プロセスは一貫しているように見えた。 図S5(サポート情報)
に示すのと同じ方法で計算した、PRE-Zn[x-y-z]およびwPRE-Zn[x-y-z]ZnOの結
晶子サイズは、表S1(サポート情報)にまとめられている。ナノ細孔のテンプレ
ートとして利用できる ZnO ナノ粒子に由来するブロードな回折ピークを持つシ
ェラー方程式から計算された ZnOの結晶子サイズは、原料の混合比が異なっても
大きな変化はなかった。テンプレートの量が増加しても、HC の STEM-EDS マッ
ピングで証明されるように、ZnOが還元され、生成した Zn金属が後熱処理中に揮
発したため、最終製品であるHCでは Zn残留物はほとんど検出されず。図S11の[0
-75-25] (サポート情報)。 Glc Glu、Zn(OAc)2を100:0:0の割合で混合したサン
プルにはZnが全く含まれていないが、正式には「HC-Zn[100-0-0」と表記される]"
簡単にするために。 図S12 (サポート情報) に示されている PRE-Zn[100-0-0]
よび HC-Zn[100-0-0]XRDパターンは、サンプル中に結晶質 ZnO が存在しな
いことを確認している。

図4aは、Glc、Zn Glu、および Zn(OAc)2 の比率が異なる凍結乾燥混合物から合成
された HCの初期充電および放電曲線を示す。 図 aでは、Zn Glu へのGlcの添加に
よるテンプレートの希釈により、容量が減少した。逆に、25% Zn(OAc)2 を添加
してテンプレートを強化すると、可逆容量が最大 464 mAhg-1 (不可逆的な Na 挿
入がないと仮定した場合の NaC4.8 生成に相当) と91.7 という高い初期クーロン
効率が効果的に向上した。HC-Zn[0-75-25]の場合は%。HC-Zn[0-75-25] のナトリウ
ム化電位は Naめっき電位に近いですが、図S13 (サポート情報) に示すように、
HC-Znおよび以前に報告されたMgOテンプレートHCのそれに匹敵した。



図4
a) Na 半電池における HC-Zn[x-y-z] の初期充放電曲線。 b) Na 半電池における
HC-Zn[0-75-25] のサイクル性能。 c) 原料混合比と対応する HC の比容量との関
係。 d) HC-Zn[x-y-z]のSAXSパターン。 e)Na5/6Ni1/3Fe1/6Mn1/6Ti1/3O2//HC-Z
n[0-75-25]フルセルの充放電曲線。 f) この研究における NIB 間の重量エネル
ギー密度の比較。NIB は 2011 年に参考文献で報告しています。 [3] および
LiFePO4 とグラファイトからなる LIB。 図 4b は、HC-Zn[0-75-25] 電極が 200
サイクルにわたって良好な長期サイクル安定性を示し、200 サイクル後の容量保
持率が初期容量の 93% であったことを示しています。 図 3 に示すように、HC-
Zn (418 mAh g-1) と比較して容量が 48 mAh g-1 増加しても、サイクル性能は
損なわれませんでした。 -1 は近年報告されていますが、[13、14、16、17、49]、
十分なサイクル安定性、高い初期効率 (>90%)、および最小の電位ヒステリシスを
すべて備えた HC に関する報告は他にない。 MgO テンプレート HC を除けば、高
いエネルギー効率を実現します。[15] 実際のフルセル動作には高い初期クーロン
効率が必須の要件であるため[50]、テンプレート合成方法はNIBフルセルのエネ
ルギー密度を高めるのに非常に効果的であると考えられている。

Glc を含む混合物に由来する HC も、単一ピークに満足に適合できない SAXS パ
ターンを示しました。 私たちの分析では、HC-Zn[75-25-0]、HC-Zn、[50-50-0]
、および HC-Zn[25-75-0] のパターンに適合する 2 つのショルダー ピークの仮
定が必要です (「 図 S14a ~ c、サポート情報)。 ただし、Glc フリーの HC-
Zn[0-100-0] および HC-Zn[0-75-25] では、実験データと一致する単一のピーク
が観察されました (図 S14d、e、サポート情報)。 層間距離 d002、擬似黒鉛ド
メイン Lc の結晶子サイズ、XRD データから計算された積層数、細孔サイズ DSA
XS などの HC-Zn[x-y-z] の構造パラメーターは、表 S2 (サポート情報) にまと
められています。 HCに関する私たちの経験と最近の研究によると、高度に無秩
序なフレームワークに加えて、擬似グラファイトドメインの拡張中間層とナノ細
孔を区別するのが難しいため、これらのパラメーターとNa貯蔵容量の間の直接的
な関係を決定することは依然として困難です。 したがって、これらのパラメー
タは互いにほぼ相関しています。[24] ただし、一般的な傾向として、今回の大容
量 HC は次のような特徴を持っています。 1) d002 が大きく、Lc が小さいため
、積層数 n が少ない。 2)SAXSによって観察されるように、それらのサイ
ズ分布は非常に均一であり、平均細孔サイズは比較的大きい。 この傾向は、図
S15 (裏付け情報) に示すように、HC-Zn[25-75-0] および HC-Zn[0-75-25] の集
束イオンビーム処理 (FIB)-STEM 観察によっても裏付けられました。 HC-Zn[25-
75-0] の高倍率 STEM 画像では、約 5 nm のボイド状構造をもつ不均一構造が確
認できますが、HC-Zn[0-75-25] サンプルは緻密な構造をしています。 高い均一
性。 HC-Zn[25-75-0]の STEM 画像で観察される 5 nm スケールの細孔様構造は、
HC-Zn[25] の SAXS パターンの low-q ピークから計算された 4.34 nm の細孔直
径と一致しています。 -75-0] (表 S2、サポート情報を参照)。 したがって、原
料の混合比を最適化し、Na クラスタリングに適したサイズのナノ細孔の均一な
分布を達成することで、ZnOテンプレート カーボンの能力が最大化されると結論
付けています。 この考察は、Na 貯蔵容量を制御する際には平均細孔径よりも細
孔径分布の方が重要であるという Stratford らの最近の議論と一致しています。

負極材料として優れた可逆容量を示すHC-Zn[0-75-25]とNa含有層状遷移酸化物Na5
/6Ni1/3Fe1/6Mn1/6Ti1/3O2からなるNaイオンフルセル 正極材料として [51]、0.
2 vol% 炭酸ビニレンを添加した 1 mol dm-3 Na(PF6)0.8(FSA)0.2/EC:PC (1:1
v/v) 溶液を使用して作製しました。 HC-Zn[0-75-25]の可逆容量は HC-Mgの可逆
容量よりわずかに小さいですが、[50-50-0]参考文献の最適化されたMgOテンプレ
ートHC、[15]のシミュレートされた放電曲線 図S16 (サポート情報) に示すよう
に、完全なセルはほぼ同一です。これは、前者の方が後者よりも優れた初期クー
ロン効率を示すことが部分的に理由です。 NIBの充放電曲線を図 4eに示し、100
サイクルにわたる容量保持率を図 S17a (サポート情報) に示します。 正極質量
に基づいて 113 mAh g-1 (負極質量に基づいて 373 mAh g-1に相当) の比容量が
初期サイクルで実証され、その後の 100 サイクルにわたって満足のいくサイク
ル性能が達成された。 NIBフルセルの放電速度能力は、図 S17b (サポート情報)
に示されています。 容量とセルの分極は、電流率を 0.1 C から 1 Cに増加して
もほとんど変化せず、劣化します。10C の高いレートでも、セルは 0.1C の場合
と比較してその容量の約 76% を保持し、フルセルの堅牢なレート能力を実証し
ました。

研究で製造された NIBセルの放電曲線と重量エネルギー密度、2011年の研究 [3]
の放電曲線と重量エネルギー密度、および LiFePO4 (LFP) とグラファイトから
なる従来の LIB の放電曲線と重量エネルギー密度は、以下に示すように、同等
のテスト条件下で実験的に比較された。 図4f。この研究で作製したNIBのエネル
ギー密度は312Wh kg−1に達した。 この値は、2011年に報告された O3 型層状
NaNi0.5Mn0.5O2//Kureha の HC Na イオンセルの値よりも 1.5 倍大きくこれは
a 金属電極を含まない NIB の最も初期の実証の1つであり広く商品化されてい
るLFP型LIBのエネルギー密度に匹敵する。フルセルの長寿命化やNiフリー高容量
正極などの課題は残るが、大容量かつ初期クーロン効率の高いHC-Zn[0-75-25]材
料の開発に成功した。 これにより、NIB は LIB と同等以上のエネルギー密度を
持つことができる。

5. KIB負極への適用
ZnO テンプレート HC は、KIB の負極としてさらに適用されました。 K 半電池
の充電曲線と放電曲線 (それぞれカリウムの挿入と抽出に対応) を図 5a に示し
ます。 電位変動と可逆性は以前に報告された HC へのカリウム挿入の場合と類
似しているため [6、39、40]、酸化還元活性は可逆的な電気化学的カリウム挿入
によって引き起こされたと考えられます。 これらの ZnO テンプレート HC では、
K セルの比容量は Na セルの比容量と一致する傾向をたどりました。 たとえば
、Na 半電池で最大の容量を示す HC-Zn[0-75-25] は、K 半電池でも 381mAh g-1
という大きな容量を示しました。この可逆容量は、電極を通過するすべての電荷
が K挿入のために消費されると仮定すると、KC5.8 の形成に対応。K 濃度はステ
ージ 1 KC8 の濃度よりも高く、Li 濃度はステージ 1 LiC6 の濃度よりも高かっ
た。 高い K 貯蔵能力と相関する HC の高い Na 貯蔵能力の傾向は、セルロース
[39]、スクロース [6]、およびフェノール樹脂 [40] に由来する従来の HC で一
般的に観察されます。 50 サイクルにわたる HC-Zn[0-75-25] の高い可逆性 (図
5b) は、K 金属のめっき/剥離ではなく、炭素構造への可逆的な K 挿入に起因す
ると考えられる。



図5.
a) K ハーフセルにおける HC-Zn[x-y-z] の初期充放電曲線。 b) K 半電池にお
ける HC-Zn[0-75-25] のサイクル性能。 c) 異なるカリウム化状態におけるHC-
Zn の ex situ SAXS パターン。 d)K2Mn[Fe(CN)6]//HC-Zn[0-75-25]フルセ
ルの充放電曲線。

いくつかのサンプルが、Kセル内のグラファイトの理論容量 (KC8 化学組成の場合
279 mAh g-1) をはるかに超える大きな可逆容量を示したことを考慮すると [52]、
K 貯蔵サイトはかなり高い温度で K 原子を収容できると結論付けるのは合理的
である。これは、K-GIC で通常見られる KC8 の面内配置よりも高い濃度です。
最近の研究では、HC 材料の閉気孔内に準金属 K クラスターが形成される可能性
が示唆されています [53, 54]。アルカリ金属クラスター化に適した閉気孔のサ
イズは、アルカリ金属種に依存することが示唆されています。 Na のクラスタリ
ングには Li の細孔サイズよりも大きな細孔サイズが必要です [26]。 実際、図
S18 裏付
け情報) に示すように、この研究で開発された HC は、Na および K 半電池より
も Li 半電池の方が容量が小さくなっています。 K 挿入のメカニズムを解する
ために、ex situ SAXS 測定が実行されました。 図 5c は、元の状態、カリウム
添加された HC-Zn、および脱カリウム添加された HC-Zn の ex situ }SAXS パタ
ーンを示しています (図 S19、サポート情報の初期充放電曲線を参照)。 未処理
のサンプルと脱カリウム化されたサンプルの同一の SAXS パターンは、K 挿入が
完全に可逆的であることを示しています。 対照的に、カリウム添加サンプルのパ
ターンは、広い q 範囲にわたって散乱強度の減少を示しています。 ナトリウム
添加サンプルのパターン (図 3c) と同様に、ショルダー ピーク強度の減少は、
ナノ細孔と炭素マトリックス間の電子密度コントラストの減少を示していRU

したがって、さまざまな HC の Na と K貯蔵容量の相関関係[6, 39, 40] と ZnO
テンプレート HC。化学量論的な KC8 組成を明らかに超えていTU
。 負極としてグ
ラファイトまたは HC-Zn[0-75-25] を使用した仮想の KIB フルセルのエネルギー
密度の比較を図 S20 (サポート情報) に示しす。 グラファイトとHC-Zn[0-75-25
]の平均脱カポテンシャルはK+/Kに対してそれぞれ0.37と0.41Vであるため、HC-Z
n[0-75-25]は不利な作動電位を持っている。ただし、負極の重量あたりの仮想フ
ルセルのエネルギー密度は、異常に大きい容量のため、HC-Zn[0-75-25]の方がグ
ラファイトよりもはるかに高くなりる。

ZnO テンプレート HC が KIB の負極としてより大きな容量を提供することが判
明したことを考慮すると、1 mol dm-の K2Mn[Fe(CN)6] と HC-Zn[0-75-25] から
なる KIB フルセル 3 K(PF6)0.8(FSA)0.2/EC:PC 溶液[55] + 0.2 vol% ビニレン
カーボネートを、正極と負極に最適な質量比 2.0:1 で製造しました。 充放電曲
線とサイクル性能をそれぞれ図 5d と図 S21 (サポート情報) に示します。
KIB は、プレサイクルなどの電解液と電極の前処理を行わずに、平均放電電圧3.3
V および実質的な比容量 107 mAh (K2Mn[Fe(CN)6] の g)-1 を示した。これらの
結果は、大容量 HC が適切な正極と組み合わせた場合に KIB と互換性があり、KI
B 負極のグラファイトの有望な代替品であることを裏付けています。[56] 新しい
シリーズのテンプレート型多孔質炭素材料は、NIB や KIB などの次世代電池の活
物質としての可能性を秘めており、将来のエネルギーデバイスの電池や酸化還元
系に応じて合理的な設計によって強化される可能性があると考えている。 

3.結論
Na および KIB に適した負極として、大容量、高い初期クーロン効率、低い作動
電位を特徴とする新しい ZnO テンプレート HC が開発されました。 Mg Glu、Zn
Glu、および Ca Glu から誘導される前駆体および HC の体系的な特性評価と電気
化学的評価により、ZnO テンプレート炭素が MgO テンプレート HC に匹敵する有
望な NIB 負極であることが示唆されました。 適切な混合比の Zn GluとZn(OAc)2
の混合物から誘導された ZnO テンプレート HC は、464 mAh g-1 の最大容量を示
しました。 異なる混合比の Glc-Zn Glu-Zn(OAc)2 混合物から得られたさまざま
なサンプルの構造と電気化学的特性に関する包括的な実験に基づいて、最適化さ
れた ZnO テンプレート HC の大容量は、その好ましい細孔サイズと均一性による
ものであると考えられました。 Na クラスタリングの細孔分布。
ZnO テンプレート HC を備えた NIB フルセルは、LFP ベースの LIB に匹敵する
300 Wh kg-1 を超えるエネルギー密度を提供し、Na の重い原子量と高い標準電極
電位に伴う課題を克服します。 Na+/Naの。 さらに、ZnO テンプレートHC では前
例のない大きな K 貯蔵容量も見つかり、プレサイクル処理を行わずにZnOテンプ
レート HC を使用した KIB フルセルの実証に成功しました。 この発見は、HCが
黒鉛の代替として KIB負極の有望な候補であることを証明している。
この研究が
NIBとKIBのエネルギー密度をLIBを超えた新たなレベルに改善するきっかけとな
ることを期待している。

 黒の革命

 
モンベルのポーチで、家庭菜園やガーデニングをもっと快適に

    風蕭々と碧い時

スモーキン・ブギ 1974年12月5日

 1980年にダウン・タウン・ファイティング・ブギウギ・バンド
1981年12月31日に解散。"日本語ロック"の起点となったキャロルの後をうけ"日
本語ロックブーム"を決定付けたバンド。 1973年に宇崎竜童を中心に結成され同
年12月にメジャー・デビュー。1980年にダウン・タウン・ファイティング・ブギ
ウギ・バンドと改名する。1981年12月31日に解散。


 




 「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」(As Time Goes By)は、1931年にハーマン・フ
ップフェルドが、ブロードウェイ・ミュージカル『エブリバディズ・ウェルカム
』(Everybody's Welcome)のために作詞・作曲した曲。この劇中では、フランシ
ス・ウィリアムズ(Frances Williams)が歌っていた。
この曲が有名になったの
は、1942年制作のアメリカ映画『カサブランカ』のテーマ曲として採用されたこ
とによる。映画の中では古い流行歌として取り上げられているが、前述のとおり
、この映画のために作られた曲ではない。映画では印象的なシーンで効果的に使
われ、ドーリー・ウィルソンによって歌われている。ピアノはスタジオ・ピアニ
ストの、ジャン・ヴィンセント・プラマーが演奏している。

●  今夜の寸評: 

 

 

コメント
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再エネは俺に任せろ ①

2023年08月09日 | デジタル革命渦論

  
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

【俺の剪定日誌 ④】
寒さに強い柑橘類で 夏から冬まで収穫できる
ユ ズ
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【柚・柚子】ミカン科ミカン属
ユズは柑橘類のなかでも最も寒さに強く、東北南 部や北陸地方でも栽培さ
れています。若い間、数年は剪定をせずに枝葉を増やして樹勢 をつけさせ
ます。その後、枝が伸びて下垂すると自然に生育が鈍リ、枝元から勢いの
ある枝が発生するので、その枝を骨格に樹形をつくる。柑橘類は年に3回
枝が伸びます。4月に出た新 芽から月頃にいったん伸びを止めて春枝とな
る。8月中句くらいに先端の芽が伸びて夏枝となり、さらに10月に秋枝が
伸びる。春枝は翌年の結果母枝となるので大切に育て、夏枝は勢いがいい
ので残して樹形づくりに利用します。秋枝は充実していないので半分<ら
いに切り詰める。
ユズの花は両性花なのでよく結実するが、充実した実を収穫するために7
月頃に摘果する。

ユズは実がつくまでに年月がかかるのが難点。普通種では7年以上、接木苗
でも結実までに早期結実種で3~4年みる必要があります。その代わり、いっ
たん実がつき始めたら、8~12月にかけて長く楽しむことができる。
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 ユズの樹形づくリ
下垂した枝の元から、水平方向に伸びる勢いのよい枝が出るので、この枝を
育てて樹形をつくる。

【基本データ】
●樹高: 自然状態…2~3m 庭植目安…|~2.5m
●枝張り: 自然状態…2~3m
           庭植目安…|~|.5m
●生長速度:やや遅い
●陽当たり:陽樹
●乾湿:中庸
●大気汚染:普通
●萌芽力:普通
●主な病害虫:カイガラムシ、アブラムシ、
            カミキリムシ、ミカンハモグリガ
●栽培可能地域: 東北南部~沖縄
●花色:白
●実色:黄
●剪定難易度:普通


 

 
 
【再エネ革命渦論 152: アフターコロナ時代 153】
技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   特異点真っ直中  ㉜ 
宣言 ①

論より証拠!ここでは敢えて、『先端技術本位制宣言』 ①
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図1.無機-生物ハイブリッド型人工光合成システムの概略図
光触媒電極(光電カソード)では光照射に より電子(e-)と正孔(h+)が生成
される。対極(アノード)では水分解反応により電子(e-)が生成され光
電カソードに供給される。触媒である微生物はアノードと光電カソードで
生成された電子を直接 利用しCO2 還元有価物合成を行う。

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1.環境にやさしい光触媒電極を作製

8月7日、 北海道大学の研究グループは,光触媒電極ZnO/CuOナノ複合体
nano
orests,NFRs)を簡便で環境にやさしいガルバニック水中結晶光合成
G-SPSC
法により作製することに成功し,ZnO/CuO NFRsの光電気化学的
水素生成速度及び微生物への増殖阻害作用を初めて測定。

【要点】
1.常温・常圧・中性条件下で光触媒電極 ZnO/CuOナノ複合体(NFRs の
    作
製に成功 。
2.ZnO/CuO NFRsは光電気化学的水素生成速度 0.63 μmol/cm2/day 0 V vs.
   RHEを達成 。
3.無機-生物ハイブリッド型人工光合成システムへの適用可能性を示唆。
【概要】
光触媒電極 ZnO/CuOナノ複合体nanoforestsNFRsを簡便で環境にやさガルバ
ニック水中結晶光合成(G-SPSC法により 作製することに成功し、ZnO/Cu
O NFRs
の光電気化学的水素生成速度及び微生物への増殖阻害作用を初めて
測定した。
脱炭素社会の実現が急務とされる昨今、
二酸化炭素の排出抑制だけではな
く、固定化・再資源化が重要となり、エネルギーを利用した光水分解反応
により水素( 2H++生成を行う光触媒と、二酸化炭素を還元し有価物を合成
する微生物触媒を組み合わせた無機-生物ハイブリッド型人工光合成シス
テムは無尽蔵に存在する天然資源(水と CO2、太陽光)から有価物を合成
する新たな工光合成技術として注目されている。このシステムは光触媒の
みで反応を駆動する人工光合成と比べて自己増殖能をもつ微生物を触媒と
するため、安価で選択性が高く、目的物質を生成できるという特徴があり、
一部生物反応を用いることから半人工光合成と呼ばれる。

研究グループはこの無機-生物ハイブリッド型人工光合成システムに用い
る光触媒電極として、安価で豊富に存在し取り扱いが容易なZnO/CuO NFRs
を環境負荷の低いG-SPSC法をさらに改良し、常温・常圧・中性条件下の
蒸留水中で作製した。作製した ZnO/CuO NFRsの光電流値は -2.9 mA/cm2
であり、過去に報告された同様のナノ構造を有する ZnO/CuO複合体 と比
較して3倍以上高い値を示した。また、これまで報告例のなかった光電気
化学水素生成速度は 0.63 μmol/cm2/day。無機-生物ハイブリッド 型人工
光合成システムにZnO/CuO NFRsを光電カソードとして用いる際には微生
物への影響が重要なポイントとなる。そこで本研究では大腸菌(Esc-heric-
hia coli
に対する増殖阻害を実験的に評価したところ、電極電位を 0 V vs. R
HE
に制御することで Cu2+の溶出による増殖阻害を防げることがわかった。
これらの研究成果により、ZnO/CuO NFRsを無機-生物ハイブリッド型人工
光合成システの光電カソードとして適用可能であることが初めて明らかと
なり、その実現に一歩近づく結果を得る。

このプロセスは、「暗反応系」にも高価な金属触媒を利用する無機・無機
プロセスである 一般的な「人工 光合成」 と比較して、自己増殖能をもつ
微生物を触媒とするため環境負荷も低安価で選択性及び エネルギー転換効
率が 高いのが特徴。無機-生物ハイブリッド型人工光合成システムの重要
な構成要素として光を吸収する光触媒電極太陽光 エネルギーにより水を酸
素と水素に分解する「光触媒」を電池の負極「アノード」または正極「カ
ソード」として用いたものがある。光触媒電極には安価で豊富に存在し、
化学的安定性に優れている金属酸化物半導体が 有利とされCuOやZnO及び
そのナノ複合体の開発が活発に 行われているが、これまでの ZnO/CuO
ノ複合体(nanoforests、 NFRsの作製方法は、高温・高圧・高/低pH条件を必
要とし環境負荷が高く複雑な手法であった。近年、簡便で環境負荷の低い
ガルバニック水中結晶光合成(G-SPSC法が開発されているが、この手法で
は、高周波マグネトロンスパッタリング法を用いて真空条件下でZnOをCuO
メッシュ表面に蒸着(スパッタリング)する必要があり、作製方法には ま
だ改善の余地があった。また作製されたZnO/CuONFRsの 光電気化学的 水
素生成能や無機生物ハイブリッド型人工光合成システムの光電カソードと
して使用する場合の微生物への増殖阻害影響など は全く評価されていなか
った。
そこで、G-SPSC法のさらなる簡素化・最適化を行い、作製したZnO/CuO NF
Rs
の水素生成能力及び微生物への増殖阻害影響を評価することで、微生物
と組み合わせたハイブリッド型人工光合成システムへの適用可能性を評価
した。その結果、ZnO/CuO NFRsは 0 V vs. RHEで、光電カソードとしての
光電気化学的水素生成及び無機-生物ハイブリッド型人工光合成システム
の 光電カソードとして適用可能であることが明らかになった。
【方法】
蒸留 水中で CuOとZn箔を接触させ紫外線を照射することでZnO/CuO NFRs
を作製した G-SPSC法)。この時、CuO表面に ZnOのシード層を構築するス
パッタリングの有無と紫 外線照射時間を 24時間及び 48時間とした。この
ZnO/CuO NFRsを 0 V vs. RHEに制御し光照射することで 光電気化学的な水
素生成を行 いました。無機 -生物ハイブリッド 型人工光合成 システムに
ZnO/CuO NFRsを応用する際には微生物への影響が重要なポイントとなる。
ZnO/CuO NFRsが Escherichia coliに毒性を示すか、増殖阻害を評価すること
で 無機 -生物ハイブリッド型人工光合成システムへの適用性を確認しまた。
ZnO/CuO NFRsを E. coli培地に浸漬し 光照射の有無や電位制御の 有無の条
件により増殖速度が異なるか確認した 。
------------------------------------------------------------------

図2.本研究で改良型G-SPSC 法により作製したZnO/CuO NFRs の模式図(A)
  電子顕微鏡画像(B)。CuO のメッシュ表面にCuO ナノワイヤが構築され、
  その表面にZnOナノロッドが存在している。
------------------------------------------------------------------
【成果】
G-SPSC法による ZnO/CuO NFRsの作製に成功した (図2に
作製したZnO/Cu
O NFRs
は高い真空度を要求するスパッタリングを行わなくても比表面積や
光電流値 、 水素生成速度に関して十分な吐能を示ヂことが確認され、こ
れまご以上に前便ご畷燈にやさしい方渋ぐZnO/CuO NrRsを作製ぐることに
成功した。この方法で作製したZnO/CuO NrRsの光電流値は、2.9 mA/cm2 び
あり、過去の報告された同様のナノ桔造を有るZnO/CuO複合体と比較しで
3倍以上高い電流値を示した。また、光電気化学水素生成速度は、0.63μ
mol
/cm2/day
であり、これまで測定されていなかったZnO/CuoNrRsの光電気化学
的な水素生成能力を初め明らかにした。
ZnO/CuONrRsは、培地に浅漬ダるとCu2+を溶出し光照射の有無に関わらず
E.coliの増殖を55%前後阻害した。しかし、ZnO/CuONrRsの電位を0Vvs
.RHE
制御した場合、Cu2’の溶出は抑制されE.coliの増殖阻害は起きなか
った。この結果からZnO/CuO NrRsは無機-生物ハイブリッドシステムの光
電カソードとしで利用可能であることが示唆され。これらの結果より、G-
SPSC
の節季化に成功し、作製した ZnO/CuO NrRsの光電気化学的水素生成
能を初めじ明らかにした。また、微生物との親和性を増殖阻害という観点
から評価し無機一生物ハイプリッドシステムの光電カソードとしでの適用
可能性が示唆された。
【展望】
今回の結果から、ZnO/CuO NrRsを環境負荷の低い筒使な方浩円乍習ごきる
ことが示されました。また、光電カソードとして無機一生物ハイプリッド
型人工光合成システムヘの適用の可能性が示唆された。今後は無機一生物ハ
イプリッド型人工光合成システムの二酸化炭素固定を実証するなど。
実用
化へのさらなるステップアップに期待できる。

✔持続可能な有機化合物合成法で高耐久性(強ロバスト性)ならば、未来
は開ける。まずは、実証実験を含め3年(¥3oku)規模の事業計画(案)
------------------------------------------------------------------
【掲載論文】
論文名:Fabrication of ZnO/CuO nanoforests and their applicability to microbial
photoelectrochemical cells(光触媒電極ZnO/CuO ナノ複合体(NFRs)の作製及
び生物光電気化学的セルへの適用性評価)
雑誌名: Applied Catalysis B: Environmental(Elsevier)
DOI 10.1016/j.apcatb.2023.123097

ゼロ磁場下で超伝導ダイオード効果を磁化制御 
極性構造を有する超格子を利用
8月7日、京都大学らによる研究グループは、薄膜積層方向に極性構造を有する
超格子において、ゼロ磁場下で超伝導ダイオード効果を磁化制御することに成功
した。今回の成果は、超低消費電力の不揮発性メモリや論理回路の実現に貢献
するとみられる。 不揮発性メモリや論理回路へ応用、超低消費電力を実現へ 研
究グループは、薄膜積層方向に極性構造を有する超格子において、ゼロ磁場下
で超伝導ダイオード効果を磁化制御に成功した。今回の成果は、超低消費電力
の不揮発性メモリや論理回路の実現に貢献するとみられる。消費電力が極めて
低い電子回路の実現に向けて、超伝導ダイオードの研究が進んでいる。ところが、
これを動作させるためには外部磁場や複雑な磁気状態の制御が必要で、ダイオー
ド効果の効率も低く、これまでは実用レベルに達していなかった。そこで、超伝導
ダイオード効果が発現する微視的なメカニズムを調査。
今回、空間反転対称性の破れた超伝導体としてニオブ(Nb)、バナジウム(V)、
タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)および、 鉄(Fe)からなる超格子をスパッタリング
で作製。薄膜積層方向に極性構造を有する超格子試料を細線形状に加工。
その上で、電流源と電圧計を用い4端子電気抵抗測定を行った。
実験では、超格子面内で電流と直交する方向に外部磁場を印加し、Feに由来す
る磁化の方向を変化させながら、電気抵抗の直流電流依存性を調べた。この結
果、超格子は超伝導と強磁性が共存するだけでなく、超格子の臨界電流密度は
磁化と印加電流の方向によって異なり、クーパー対に作用する交換相互作用と
スピン軌道相互作用を顕在化させることが分かった。
これによって、磁化の角度に依存する巨大な非相反の臨界電流密度(非相反臨
界電流密度)を観測できたという。 京都大学らによる研究グループは、薄膜積層
方向に極性構造を有する超格子において、ゼロ磁場下で超伝導ダイオード効果を
磁化制御することに成功した。今回の成果は、超低消費電力の不揮発性メモリや
論理回路の実現に貢献するとみられる。
今回、巨大な非相反臨界電流密度を利用し、ゼロ磁場における超伝導-常伝導ス
イッチングを実証することに成功した。この時、超伝導ダイオード効果の効率は40
%を超えた。



小型で高精細のガラス投射型ディスプレイ
容量は約1.3リットル、重さは約1kg
マクセルは、小型で精細度が高い「Bright Mirror Display(BM-Display)」を開発。
自動車のフロントガラスや商業施設の透明ガラスに、映像や情報を写し出す用途
に向ける。 マクセルは2023年8月、小型で精細度が高い「Bright Mirror Display(
BM-Display)」を開発したと発表。自動車のフロントガラスや商業施設の透明ガラ
スに、映像や情報を映し出す用途に向ける。 マクセルは、2021年4月より乗用車
向け「AR-HUD(拡張現実型ヘッドアップディスプレイ)」の量産を始めている。
今回発表したBM-Displayも、AR-HUDで培った高効率のバックライト技術をベー
スに、製品の小型軽量化を実現。 製品の容量は約 1.3リットル、重さは約 1kgで
ある。自動車向けBM-Displayの主な仕様は、視野角が11×4度、解像度が1920
×480ピクセルとなっている。また、独自の画像補正技術を用い、製品の共通化を
図ることで、低コスト化と開発期間の短縮を実現した。BM-Displayは小型軽量化
により、これまで搭載が難しかった小型車両や商用車、建設車両、電車などのフ
ロントガラスなどにも、容易に取り付けることが可能だという。自動車に応用した
場合、車両の位置情報や経路案内、インジケーターおよび、警告灯などをフロント
ガラスの下端部に表示できる。このため、従来の位置にあるメーターに比べ、運
転者の視点移動が少ないという特長がある。 トラックなど商用車への後付け対
応も検討している。安全性のさらなる向上を目指すもので、速度情報や連続運転
時間、休息時間といった情報表示が行える。

風蕭々と碧いの時

John Lennon Imagine



「恋を抱きしめよう」("We Can Work It Out")は、ビートルズ初の両A面
シングルで、1966年に全米No1のヒット(片面「デイ・トリッパー」)。
アルバム「ラバー・ソウル」のレコーディング時に録音され、発売が同日
というもの。

Songwriters: LENNON, JOHN WINSTON / MCCARTNEY, PAUL JAMES

Try to see it my way,
Do I have to keep on talking till I can't go on?
While you see it your way,
Run the risk of knowing that our love may soon be gone.
 
---------------------------------------------------                

・https://www.youtube.com/watch?v=IgRrWPdzkao
・https://www.youtube.com/watch?v=Qyclqo_AV2M
----------------------------------------------------------

POPの系譜を探る:2023年代】

 

開けてみなければわからない/ I have to open it to know

今夜の寸評:このままくたばる訳にはいかん/ I can't die like this
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植物一細胞で遺伝子発現誘導

2023年06月10日 | デジタル革命渦論


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救
ったと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備
え。(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした
部隊編のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。
愛称「ひこにゃん」。

 

     


 

【再エネ革命渦論 133: アフターコロナ時代 332】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑯
ここ数年の科学技術進展に驚く昨今。今日も気になる事例を摘出。


📑植物の狙った一細胞で遺伝子発現を誘導できる技術
6月8日、横浜市立大学・横浜市立大学・基礎生物学研究所・龍谷大
学の共同研究グループは、植物体の中の任意の一細胞で特定の遺伝
子発現を誘導することができる技術の確立に成功。
【要点】
1.植物体の中の任意の一細胞で特定の遺伝子発現を誘導すること
 ができる技術を確立
2.狙った一細胞での遺伝子発現のON・OFFやゲノム編集なども可能
 になることが想定され、植物多細胞組織での細胞と細胞のやりと
 り(細胞間相互作用)を介したさまざまな生命活動のメカニズム
 をこれまでにない精細さで理解できるようになることや、この技
 術を用いた全く新しい研究手法の開発や品種改良につながる新た
 な研究技術の開発など期待できる。

植物でのオプトジェネティクスに新時代到来
【概要】
多細胞生物である植物や動物は、からだを構成するたくさんの細胞
同士がオーケストラのように協調して働くことで生きている。受精
卵から個体が形作られていく過程も細胞間の相互作用が必要であり、
また、さまざまなストレス応答も同様。一般に、生命の設計図であ
る遺伝子一つ一つの機能は、その遺伝子が機能しない状態になった
生物(機能欠損変異体)を調べることで理解されてきた。一方で、
「無い状態」からその機能を予測するだけでなく、「ある状態」を
調べなければわからないことも多々あるため、その遺伝子を全身で
過剰に発現させるなどして、その影響を調べることも行われている。
➲多細胞生物の中で、どの細胞がどんな役割を果たしているのか
は生物学の中では古くからある大きな疑問であっあ。これは現代生
命科学で言えば、どの細胞で、どの遺伝子が、どんな役割を果たし
ているかということになる。遺伝学が発展しても、特定の遺伝子の
全身的な欠損や過剰発現だけではこういった細胞間の相互作用はな
かなかわからず、古くからキメラ*の作成などで各細胞の役割解明が
試みられてきた。近年では、遺伝子組換え技術を用いて、特定の遺
伝子をある特定の細胞種でのみ発現させたり、化学物質など特定の
刺激に応じて局所的に発現させる技術が大きな役割を果たしてきた
が、それでも細胞種の制限や化学物質処理技術の限界などもあり、
一細胞レベルで遺伝子発現を制御することは困難だった。近年、動
物分野では、植物由来の光受容体を人為的に改変して動物細胞で発
現させた上で特定の波長の光を一細胞などの局所に照射することに
より、一細胞レベルで遺伝子発現をコントロールするオプトジェネ
ティクス*が隆盛となっていたが、元々それら受容体を持つ植物では
可視光を使ったオプトジェネティクス技術の利用は困難を極めてい
た(上図1)。
➲一方、、顕微鏡視野下で標的一細胞に赤外レーザーを照射する
ことができるIR-LEGO(Infrared laser-evoked gene operator:赤外レーザ
誘起遺伝子発現操作法
)装置を開発し、さまざまな動植物種におい
て標的となる一細胞でヒートショックを誘導して熱応答性プロモー
ター制御下で目的の遺伝子発現を誘導する技術を確立。この技術は、
遺伝子組換え生物を構成する単一細胞を赤外レーザで加熱すること
により、導入した熱ショックプロモーター支配下の任意の遺伝子を
任意の時間に誘導する方法を確立。
➲この技術は、動物はもちろん、植物での新たなオプトジェネテ
ィクス技術として期待されていたが、植物特有の細胞壁を持った大
きな細胞サイズなどの課題もあり、標準プロトコールのようなもの
もなく、誰もが使える状態ではなかった。また、植物分野で汎用さ
れていた熱応答性プロモーター(HSP18.2プロモーター)が定常時に
も一部の細胞で活性を持っていたために、特に、誘導して機能を調
べようとしている遺伝子が成長や形態に悪影響を与えたり、細胞毒
性を持っている場合など、非誘導時の望まない遺伝子発現が問題と
なる課題もあった(図1)。
➲このような中、本共同研究グループでは、
1)従来よりも熱応答により特化した熱誘導性プロモーター領域(
pHSP18.2v2)の発見、
2)ステロイドホルモン受容体融合型CRE組換え酵素とloxP配列の利
用。
3) 数多くの試行データからデータサイエンス的技法を用いての最
適なレーザー出力値の予測、の3点を融合させることで モデル植物
であるシロイヌナズナでの再現性の高い標的一細胞遺伝子発現誘導
プロトコールを確立(図2)。



図2.シロイヌナズナにおけるpHSP18.2v2媒介CRE-GR/loxPシステ
 ムの特性評価。 (A) この研究で使用したドライバーおよびレポ
 ーター コンストラクトの概略図。 ドライバー構築物では、CRE-
 GR 融合遺伝子は pHSP18.2v2 により駆動される。 VENUS レポー
 ター構築物では、p35S および転写ターミネーターが続く VENUS
 遺伝子の小胞体常在型が、2つの loxP 部位に隣接する二重転写
 ターミネーターを含む配列によって破壊された。 CREリコンビナ
 ーゼ活性の存在下では、紫色のバーで示される2つのloxP部位に
 隣接する領域が除去され、その後VENUSが発現された。 (B) さま
 ざまな処理後のドライバー構築物とレポーター構築物の両方を含
 むトランスジェニック実生の画像。 通常の 1/2MS 培地 (-DEX)
 または DEX を含む 1/2MS 培地 (連続) で生育した 2 系統の 3
 本の苗木を、23℃ (室温; RT) で 60 分間、または 37℃ (HS)
 で 10 分間、または 37℃ (HS) で 60 分間。 温度変化実験(24
 時間)の前日に、一組の苗をDEXを含む1/2MS培地に移し、同じ処
 理を行った。すべてのサンプルをさらに 23℃ 連続光下で一晩(
 
インキュベートし、蛍光実体顕微鏡を使用して写真を撮影した。
  この実験を 2 回繰り返したが、同様の結果が得られた。代表的
 な実験セットからの明視野 (BF) および VENUS 画像を図示 (C)
 37℃で60分間処理した苗の系統#3-7の葉組織(C、D)および系統#3-
 3(D)の根組織の拡大共焦点画像の最大強度投影。画像は、(B) と
 同様に一晩インキュベートした後に撮影された。 VENUS、クロ
 ロフィル由来の自家蛍光、および合成画像 (C)、および VENUS
 BF、および合成画像 (D) を示す。スケール バーは 2.5 mm (B)、
 75 μm、(C)、および 250 μm (D) を表す。


図3.根の表皮細胞への IR レーザー照射後の VENUS 発現効率。
 (A、B) IR レーザー照射後の VENUS 発現パターンの分布
------------------------------------------------------------
本手法で用いた、ヒートショックとステロイドホルモンという二重
ロック機構によるゲノム組換えシステムは、研究の妨げになってい
た非誘導時の望まない遺伝子発現が検出限界以下であり、植物体の
中の狙った一細胞でのさまざまな機能を持った遺伝子発現のON・OFF
制御はもちろん、一細胞レベルでのゲノム編集などに応用されるこ
とが期待されます。また、実データからのデータサイエンスに基づ
く解析は、細胞サイズごとの適切なレーザー出力値も予測しており
大小さまざまなサイズバリエーションを持つ植物細胞を実験対象に
する上での重要な指針も示しており、植物を用いたオプトジェネテ
ィクスの標準プロトコールとなる。
➲以上のように、本成果は、植物分野ではまだ発展途上の技術で
あるオプトジェネティクスの重要なブレークスルーとなるものであ
ると言える。尚、本研究は以下に示す研究費(主要なものを抜粋)
による成果である。

【関連技術情報】
1.論文情報:①原題:Targeted single-cell gene induction by optimiizng
   the dually regulated CRE/loxP system by a newly defined heat- shock
  promoter and the steroid hormone in Arabidopsis thaliana
  ②掲載誌:Frontiers in Plant Science 5 June 2023 Volume 14 - 2023  
  ③ DOI:doi.org/10.3389/fpls.2023.1171531
2.キメラ:異種の細胞や同種で系統の異なる細胞が混ざった状態
 の体をもつ生物。接ぎ木も異なる植物を繋いでいる場合は一種の
 キメラと言える。
3.オプトジェネティクス:光で細胞状態を変化させるような外来
遺伝子を導入して発現させ、光によって細胞状態を操作する実験
技術の総称。光遺伝学ともいう。可視光を利用して動物の神経細
 胞などを操作する技術を指す場合が多い。本研究では目に見えな
 い赤外光を利用する技術開発を進めることで、オプトジェネティ
 クス分野の発展に貢献することも目的の一つである。
4.IR-LEGO(Infrared laser-evoked gene operator:赤外レーザ誘起遺
 伝子発現操作法及び装置:産業技術総合研究所の弓場俊輔博士を
 中心とした研究チームによって世界初の技術。この技術は遺伝子
 組換え生物を構成する単一細胞を赤外レーザで加熱で、導入した
 熱ショックプロモーター支配下の任意の遺伝子を任意の時間に誘
 導する方法。実験対象とする生物は、その内部に赤外レーザが集
 光でき、熱ショックプロモーターが機能するような遺伝子組換え
 生物であれば、特に生物種を選ばない上に、レーザによる光毒性
 が無いことからその効果に高い再現性も有し、今後、遺伝子機能
 を探る新しいツールとして普及が期待されている。






脳血管が脱落する!?アルツハイマー病の治療研究 最前線
アルツハイマー病は脳の神経障害によって認知機能が低下する病気
だが、この病気を“脳血管障害”ととらえる研究が注目されている
という(「アルツハイマー病は脳の神経障害によって認知機能が低
下する病気だが、この病気を“脳血管障害”ととらえる研究」2023.
6.4. NHK)。
1.脳の血管:まず。脳の重さは体全体のたった2%ほど、血流量
 で見ると体全体の15%も流れ込み、脳は“血管のかたまり”と言
 われるほど、血液を必要とする臓器。新潟大学脳研究所で、脳血
 管の知られざる姿を捉える研究がおこなわれている(アルツハイ
 マー病は“脳血管障害”!? 認知症の原因・治療法 最新研究
 サイエンスZERO - NHK)。
2.光シート顕微鏡:亡くなった患者の脳を組織診断のために病理
 解剖し、認知症をはじめとした脳の病気の原因を研究。下の写真
 が実際の人の脳の一部。1cmほどに切り出され、特殊な処置で透
 明にされたもので、これをある装置で見ると血管が見えてくる。


画像:人の脳の一部

その装置とは、最新鋭の顕微鏡 “光シート顕微鏡”。通常の蛍光
顕微鏡は、光が1点から狭い範囲に当てられるため薄く切った標本
しか撮影できず、脳の血管を平面で観察。サイズの大きい標本を撮
影には標本を薄く連続した切片に切り分ける必要があり、膨大な手
と時間を要すが、光シート顕微鏡では光を薄く広げたシート状に照
射することができるため、標本の平面像を直接撮影することができ
ず、それを垂直方向に何枚も積み重ねることで脳血管を高速で立体
的に観察できる



新星渦 4次産業形成!知られざる脳血管の姿
解った!認知機能の低下と脳血管障害

一方、認知機能が低下していた患者の脳血管。黄色で示した動脈が
ブツブツと切れ、血管が脱落。血管が脱落すると、その部分から先
の血流が悪くなり、その状態が続くと障害が及び認知症になること
がわかっている。アルツハイマー病やパーキンソン病でも、このよ
うな脳の微小血管の障害、変性がリスクファクターの一つであると。
脳から切り出した切片で比較すると毛細血管が約30%減少する事例も
あるが。その原因物質がアミロイドβはアルツハイマー病の原因物
質の一つとされるタンパク質。これにより、“脳アミロイド血管症”
と言われ、アルツハイマー病の人の9割近く起き、血管の壁がアミ
ロイドβで血管が詰まってしまうが、血管平滑筋(筋肉細胞)の収
縮で、アミロイドβが血管の壁を流れ、脳から外に出るが、加齢や
生活習慣病などによって血管が硬くなり血管平滑筋の働きが悪くな
ると、アミロイドβを排出する力が低下。アミロイドβが血管の壁
にたまり、加齢や生活習慣病などによって血管が硬くなり血管平滑
筋の働きが悪くなると、アミロイドβを排出する力が低下。アミロ
イドβが血管の壁にたまる。

アルツハイマー病 超音波治療の研究
2022年11月に行われた「日本認知症学会学術集会」でアルツハイマ
ー病に対し「超音波」を使う「低出力パルス波超音波(LIPUS)」と
いう特殊な弱い超音波を使う治療法新たな治療法が公表されている
が、これは、超音波治療では、アルツハイマー病の患者さんの脳に
特殊な弱い超音波を当てて、脳血管の細胞を刺激します。すると血
管を広げる作用のある「一酸化窒素・NO」などが出され、脳の細い
血管の障害が修復される。この超音波治療の研究は現在、治験の第
二段階(探索的治験)が終了したところで、2023年の夏ごろに被験
者の数や施設数を増やした大規模な検証的治験が開始される予定。

【関連技術情報】
1.ライトシート顕微鏡:共焦点レーザー顕微鏡や2光子顕微鏡と
 同じく、光学切片を得ることで3次元、4次元(XYZT)の
 蛍光像を撮る顕微鏡である。しかし、ライトシート顕微鏡は側面
 から光を当てる点が他とは大きく異なる。


図1.ライトシート顕微鏡の基本原理

この顕微鏡の長所は、一言でいえば高速さと光照射による試料ダメ
ージの少なさである。前者は(他の顕微鏡がポイントスキャンなの
に対して)基本的に面で撮影していること、後者は観察したい平面
にしか励起光を当てていない、照射エネルギーの少なさによる。こ
の高速性を生かすと、原生動物の運動など非常に速い現象のイメー
ジングが可能になる。また透明化した巨大な試料を見るのにも適し
ている。透明化した試料は奥まで見えるためZスキャンの回数が非
常に多くなり、かつ巨大な試料でタイリング撮影を行うと、ポイン
トスキャンでは何時間もかかってしまうからである。光によるダメ
ージの小ささは、たとえば光毒性がよく問題になる発生現象のライ
ブ観察ではライトシート顕微鏡を使えば光毒性をあまり気にせず時
間解像度を上げることができる。一方で、空間分解能については共
焦点には一歩譲る。NAの大きな対物レンズを使えないせいである。
深部観察能については、体感的には共焦点顕微鏡と2光子顕微鏡の
中間である。ライトシート顕微鏡では深部は暗くならないがぼやけ
ていく。また、同一平面内でも照射光がサンプルに入る場所ではき
れいな画像が得られるのに対し、反対側では背景光の増加や縞状の
影が発生して画質は劣化する。
図1.
ナノシート酸化物半導体トランジスタ
光シート顕微鏡だけではない。6月7日、東京大学生産技術研究所小
林 正治准教授と、 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学領
域 浦岡行治教授らによる 共同研究グループは、原子層堆積法を
用いて酸化物半導体のナノ薄膜を成膜する技術 により 低温で形成
可能なナノシート酸化物半導体をチャネル材料とする高性能で高信
頼性なトランジスタ開発に成功する (図 1) 。
【要点】
1.ナノシート状の酸化物半導体を用いて高性能・高信頼性なトラ
 ンジスタを開発
2.原子層堆積法により極めて薄い酸化物半導体の成膜方法を開発
 しデバイス集積
3.半導体の高集積化とそれによる高機能化により、ビッグデータ
 を利活用する社会サービスの展開に期待
【概要】
半導体は大規模集積化が進められており,現在,三次元集積化によ
り,さらなる高集積化と高機能化が進もうとしている。従来のシリ
コン基板上に形成される半導体集積回路の配線層にトランジスタを
形成することで,高機能回路を三次元積層して高集積化することが
できる。そのためには低温で形成できる半導体材料が必要であり,
また,その材料を用いたトランジスタは高集積化のために微細化し
ても高性能・高信頼性を有する必要がある。酸化物半導体は,これ
までフラットパネルディスプレーで用いられてきた半導体材料だが
半導体集積回路への応用にはナノ薄膜の均一な成膜が必要であり,
また,それを用いた高性能・高信頼性なトランジスタ技術の開発が
望まれていた。原子層ごとに成膜が可能で,均一な膜厚が得られる,
原子層堆積法による酸化物半導体のナノ薄膜の成膜方法を開発し,
ナノシート酸化物半導体をチャネル材料とする高性能で高信頼性な
トランジスタを開発。
【展望】
原子層堆積法による酸化物半導体のナノ薄膜の均一な成膜が可能と
なった。研究グループは今後,高移動度で高信頼性な酸化物半導体
ナノ薄膜の開発を推進し,微細なトランジスタや三次元構造のトラ
ンジスタへと展開し,半導体の三次元高集積化に資する研究開発を
行なっていく。

✔ こうみると20年前に構想した『ネオコンバーテック』が輩出す
 る事業創成に驚く。
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6月8日、魚介類などに含まれる物質「タウリン」の補充が老化防止
に有望であることを動物実験で確かめたと、米コロンビア大などの
国際チームが科学誌サイエンスで公表。タウリンは人間の体内でも
作られ、コレステロールを減らしたり、肝機能を強化したりする効
果があるとされる。栄養ドリンクの成分としても知られる。


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図1.2050年時点までの世界の太陽光発電の導入ペースの目安
今後10年間で年間導入設備量を10倍程度まで拡大させることで、持
続的な社会において必要と想定される規模の導入設備量(この例で
は2050年頃に75TW)に達する。これまでの実績と今後の見通しから
は、この目標は達成可能と示唆。

 テラワットスケールの太陽光発電
世界の太陽光発電研究者からの提言
5月30日、産業技術総合研究所は独フラウンホーファー研究機構 太
陽エネルギーシステム研究所・米国国立再生可能エネルギー研究所
と合同で「The Terawatt Workshop 3」(「ワークショップ」)を開
催。3機関を中心とする世界中の専門家たちにより、テラワット(
1012ワット=10億キロワット)単位の太陽光発電が普及する時代
を迎え、気候変動を十分抑えるために必要な普及量を目指す上で必
要な事柄を検討。と合同で「The Terawatt Workshop 3」(以下「ワ
ークショップ」という)を開催した。3機関を中心とする世界中の
専門家たちにより、テラワット(1012ワット=10億キロワット)単
位の太陽光発電が普及する時代を迎え、気候変動を十分抑えるため
に必要な普及量を目指す上で必要な事柄を検討。その後、3研究機
関を中心にワークショップでの議論を論文としてまとめました。こ
の論文が2023年4月6日付のScience誌へ掲載。論文のタイトルは「
Photovoltaics at multiterawatt scale: Waiting is not an option」で、世界が
持続的な社会に向かうにあたり、今後必要な太陽光発電の普及速度
の目安や課題を提示(上図1参照)。

【要点】

1.持続可能な社会の実現に際して、世界で必要になりそうな量の
 太陽光発電を導入するペースや、課題となる点を紹介
2.今後10年間ほど現在の市場成長率を保ち、普及速度をおよそ10
 倍にする必要性を指摘
3.技術革新やエネルギー使用効率の向上のほか、世界的な生産拠
 点の分散化など、持続可能なエネルギーシステムの実現に向けた
 方策を提言
【概要】
気候変動の影響が顕在化する中、環境とエネルギーの2つの持続可
能性を早急に両立させることは、全世界的な要請であり、挑戦的な
課題。この課題の解決に際し、太陽光発電は重要な役割を担える技
術である。太陽光発電は、環境、経済性、エネルギー安定供給の点
で優位性を発揮し、主要な発電手段の一つとして普及が加速してい
る。太陽光発電の技術がさらに発達し、発電コストの大幅な低減も
進むなか、普及をいかにスムーズに進めるかが、持続的社会の実現
の鍵を握ると考えられている。
【成果】
気候変動対策として世界の温室効果ガス排出量を2050年時点で十分
に減らすシナリオは、既に世界で多数検討・報告された。その中で
必要になる太陽光発電の導入設備量の想定はシナリオによって幅が
あるが、著者らはこれら既存の検討結果を参照した上で、挑戦的だ
が実現可能と思われる値として75TWの導入設備量を想定し、必要な
普及速度の目安や、実現までの課題や留意事項をまとめた。

太陽光発電は近年、年25%前後の市場成長率を記録。この市場成長
率を10年ほど継続すると、年間約3.4TWの年間導入設備量となる。
その後は同じ年間導入設備量を維持することで、2050年に75 TWに
達するシナリオを想定。本論文ではこのようなシナリオをスムーズ
に実現するための課題や留意点として、公的機関、企業、行政府や
シンクタンクなどの持つデータや見解、学術的な知見を集約した結
果、下記のような事項を指摘。

•今後10年のうちに規模を拡大しておくのが大事である。後になっ
てから拡大しようとした場合、急激な拡大に追いつけなくなったり、
(供給能力が一時的に過大になって)持続性を欠いたりする危険性
がある。
•太陽光発電の急速な普及に追いつけるように、インフラの計画は
前向き、かつ積極的に行われなければならない。
•大量の太陽光発電を導入していく過程では挑戦的な課題も発生す
る。風力や水力との組み合わせ、送電網の増強、蓄電、デマンドレ
スポンス、水素、ヒートポンプや電気自動車との連携等、複数の戦
略を活用して解決に取り組む必要がある。
•最新の技術水準やコスト、十分な解像度をもつ電力系統のシミュ
レーションモデル、他分野の電化まで考慮した将来のエネルギー供
給システムの検討結果はいずれも、太陽光発電が大きなシェアを担
う結果を示している。
•輸送コストや供給障害のリスクを抑え、普及をスムーズに進める観
点からは、関連機器の生産拠点を一つの国や地域に集中させ過ぎな
いよう、分散させるべきである。
•発展途上国や新興国におけるエネルギーシステム拡大においては、
(安さや扱いやすさ等から)太陽光発電が第一の選択肢となる。
•リサイクルを促進する取り組みは今すぐ拡大させる必要がある。
•さらなる持続性向上のため、変換効率向上やエネルギー使用量削
減等に関する継続的なイノベーションも求められる。
•太陽光発電の普及拡大と並行して、蓄電や(水素用の)電解装置
の規模拡大も必要になる。
•建材一体型太陽光発電(BIPV)や電気自動車への充電、ソーラーシ
ェアリング(agriPV)等の新しい利用形態も有用である。
•水素、合成燃料、原料等を持続的な形で製造するには、太陽光発
電や風力発電の大規模な普及が必須である。
•次の10年間が決定的である。気候変動や大気汚染に起因するコス
トを踏まえ、幅広い電化を進め、古すぎる想定を排し、素早い変化
への対応が必要となる。
•これまでの実績と今後の見通しは、2050年に75 TWを導入する目標
が達成可能だと示唆している。(これを踏まえて、「座して待つこ
とは選択肢ではない」と論文のタイトルで表現している)。

本論文で挙げたような挑戦的な課題への対応を進めつつ、現在の市
場成長率を当面維持することで、世界のエネルギー供給体制を持続
的なものに変革していくにあたり、太陽光発電がその決定的な役割
を果たせるものと考えられます。 本論文は世界の太陽光発電の今
後の普及速度の一つの目安となると共に、関連分野との連携戦略や
研究開発方針の策定の助けになるものと期待される。


【展望】
産総研、Fraunhofer ISE、NRELの3研究機関は持続的社会の実現加速
のため、今後とも世界の太陽光発電の専門家たちと連携し、普及
加速のための分析や情報発信に取り組む。
【掲載論文】
1.掲載誌:Science、AAAS 380, 39 (2023) 
         DOI: 10.1126/science.adf6957

2.原 題:Photovoltaics at multiterawatt scale: Waiting is not an option
         25% annual PV growth is possible over the next decade

有機ELより低コストな発光電気化学セルの動作メカニズム
6月1日、筑波大学らの研究グループは、電子スピン共鳴(ESR)法
を用い、発光電気化学セル(LEC)の動作機構を解明。有機性発光
素子の一つで、有機発光ダイオード(有機EL)と比べ構造が簡単で
柔軟性にも富むことから、印刷技術を活用するなど低コストでの製
造が可能。また、有機ELより低い電圧で駆動できることなども利点
で、次世代の省エネ発光素子として注目されているが、その動作メ
カニズムが微視的なレベルでは未解明のままで、LECは、電気化学発
光を応用した有機発光素子。有機発光材料とイオン液体の陽イオン
(P66614+)および陰イオン(TFSI-)からなる「発光層」や、「陽極」
「陰極」で構成される。有機ELに比べ、構造が簡単で柔軟性に優れ
ている。印刷技術を用いることにより製造コストを削減でき、低電
圧駆動によって電力消費を抑えることも可能である。半面、「応答
速度が遅い」「駆動寿命が短い」といった課題もあり、このことが
実用化に向けた研究の障壁となっていた。


図1.電子スピン測定要の発光電気化学の構造 出所:筑波大学


図2.動作しているLECのESR信号 出所:筑波大学

そこで研究チームは、課題解決に向けてLECの詳細な動作機構を解
明することにした。具体的には、発光材料としてスーパーイエロー
を用いたLECについて、電子スピン共鳴(ESR)法を用い、LECが動
作している状態で電荷のスピン状態を観察したところ、LECに印加
する電圧(Vbias)が高くなると、発光とESRがいずれも増えること
が分かった。得られた信号を理論解析したところ、ESR増加の起源は、
スーパーイエローに注入された「正孔」と「電子」であることを明
らにした。しかも、電荷ドーピングの進行が輝度の上昇と相関関係
にあり、これはドーピングされた電荷が発光層上に分布しているこ
とを示唆。
【関連技術情報】
・原 題:Investigating the operation mechanism of light-emitting electroc-
 hemical cells through operando observations of spin states, :スピン状態の
   オペランド観察による発光型電気化学セルの動作機構の解明
・Communications Materials,  DOI  :10.1038/s43246-023-00366-3


特集|最新ペロブスカイト太陽電池特許技術
2022~2023年度
❏ 特開2022-152729 太陽電池の製造方法及び太陽電池 積水化学工
 業
株式会社

【要約】
下図3のごとく、複数の太陽電池セルは、隣接する太陽電池セル同
士が
直列に接続しており、基材上1に透明電極2を製膜し、透明電
極を切削
加工する工程(1)と、切削加工された透明電極上に光電
変換層3を製膜する工程(2A)と、リフトオフによって透明電極
の基材側とは反対側の界面を剥離しながら光電変換層を除去し、光
電変換層に切削溝を形成する工程(2B)と、切削加工された光電
変換層上に電極を製膜し、電極の切削加工を行う 工程(3)とを有
し、光電変換層は、一般式R-M-X 3(但し、Rは有機分子、M
は金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表
される有機無機ペロブスカイト化合物を含む太陽電池の製造方法。
光電変換層の切削加工を良好に行うことができ、光電変換層を挟む
上下の電極の電気的接続を安定して確保することができる太陽電池
の製造方法を提供する。


図3. 従来のレーザーパターニングによって光電変換層に切削溝を形成し
たときの状態を模式的に表した断面図

【符号の説明】 1 基材 2 透明電極 3 光電変換層
【概要】
従来、太陽電池として、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層
とを配置した積層 体が盛んに開発されており、上記N型、P型半導体とし
て主にシリコン等の無機半導体が用いられている。 しかしながら、このよ
うな無機太陽電池は、製造にコストがかかるうえ  大型化が困難であり、
利用範囲が限られてしまうという問題があった。 そこで、近年、中心金属
に鉛、スズ等を用いたペロブスカイト構造を有する有機無機ペロ ブスカイ
ト化合物を光電変換層に用いた、ペロブスカイト太陽電池が注目されてい
る(例 えば、特許文献1、非特許文献1)。ペロブスカイト太陽電池は、高
い光電変換効率が期 待できるうえに、印刷法によって製造できることから
製造コストを大幅に削減することが できる。

一方、近年、ポリイミド、ポリエステル系の耐熱高分子材料や金属箔を基
材とするフレキシブルな太陽電池が注目されるようになってきている。 フ
レキシブル太陽電池は、薄型化 や軽量化による運搬、施工の容易さや、
衝撃に強い等の利点があり、例えば、 フレキシブル基材上に、光が照射
されると電流を生じる機能を有する光電変換層等の複数の層を薄膜状に
積層することにより製造される。更に、必要に応じてフレキシブル太陽電
池の上下面を、太陽電池封止シートを積層して封止する。例えば、特許
文献2には、シート状のアルミニウム基材を含む半導体装置用基板、及
び、 この半導体装置用基板を含む有機薄膜太陽電池が記載されている。


風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2004年代

今夜の寸評:(いまを一声に託す) 最善を尽くすのみ



 

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人口減少時代の地域再生概論④

2023年04月24日 | デジタル革命渦論

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。




【思い出の南イタリア:青の洞窟の三毛猫 ⑦】



アグリジェント(イタリア語:Agrigento)は、イタリア南部のシチリア
島に位置するアグリジェント県の県庁所在地となっている都市(コムーネ)。
アグリジェントの人口は 83,071人(2017年2月28日現在)。古代ギリシ
アの植民都市アクラガスを起源とする街で、古代ギリシャ時代からの遺跡
が残されており、「アグリジェントの考古学地域」の名称でユネスコの世
界遺産(文化遺産)に登録。アグリジェントの観光名所としては、コンコ
ルディア神殿、エルコレ神殿(ヘラクレス神殿)、テローネの墓、ヴァッ
レ・デイ・テンプリ、ゼウス・オリンピオス神殿、ディオスクーロイ神殿、
ヴァルカーノ神殿(カストール・ポルックス神殿)、ネクロポリ・パレオ
クリスティアーナ、ジュノーネ・ラチニア神殿(ヘラ神殿)、州立考古学
博物館、ヘレニズム期・ローマ時代地区 等があるす。古代には30万人もの
人々が住み、海からは数キロに渡りせり上がった斜面に古代ギリシャの神
殿郡が集中することからも詩人ピンダロスをして、「人類の都市で最も美
しい場所」と言わしめたほどの発展を遂げた街であったアグリジェント。
現在は古代ギリシャ時代の遺跡群が並ぶ都市として多くの観光客を迎え入
れるシチリア島のハイライトと言える観光地『神殿の谷』。



アランチーニとは、イタリアの主にローマやナポリ、シチリアなどで食べ
られている郷土料理のライスコロッケ。熱々を食べると、中からカマンベ
ールチーズがあふれ出し、たまらない。



【寄せ植え×詩歌:四月の実践スタート①】

   高層の部屋にどざきぬ夜の街のひかり集めてくる風の音

   覚悟して垢穢くゑのはらわた切らむとす痛みど引き換へ

   コロナ損の病棟なればいづこにも観葉棟物の匂ひのあらす

                      外塚  喬 「去年今年」
                      角川短歌 2023年4月号

略歴:1944年~、栃木県生れ。木俣修に師事。修没後、十年間「形成」の
編集に関わる。「形成」解散後、1994年「朔日」を創刊。2008年より十年
間「木俣修研究」を刊行。歌集『喬木』『火酒』『山鳩』『散録』他。
歌書『現代短歌の視点』『木俣修のうた百首鑑賞』『実録・現代短歌史現
代短歌を評論する会』他。

※加齢と闘病と向き合う切迫の日常を綴る三首選びました。



デザイン別:高低差(段差)系
金亀は、表麺を三つのゾーンに分け、正面から見て後方に背の高いもの、
中央に中程度のもの、前方に低い植物をひな壇状に配置して、奥行きと立
体感を出す(今日は学習・準備段階、実際の寄せ植え写真は後日掲載)。 

     




【再エネ革命渦論 117: アフターコロナ時代 316】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
”再エネ・リサイクル・ゼロカーボン最先進国”宣言!

出所:富士キメラ総研
注目半導体デバイス13品目の世界市場(単位:億円、2022年は見込み、
2023年以降は予測)



先端/注目半導体デバイス、2028年に55兆円  
 4月17日、富士キメラ総研は、データセンター向けサーバや自動車関連用
途によるが需要をけん引で、先端/注目半導体デバイス(13品目)の世界
市場が、2022年見込みの約40兆円に対し、2028年は55兆5373億円規模に達
すると予測。
【要点】
1.先端/注目半導体デバイス13品目の世界市場 55兆5,373億円(141.5
 %):データセンター設置のサーバー、自動車関連の需要増加を背景に
 市場拡大
2.半導体関連装置6品目の世界市場 8兆4,280億円(192.2%):大手IDM
 (
垂直統合型デバイスメーカー)やファウンドリーの生産能力増強が進む
3.サーバー向けアクセラレーター 5,123億円(3.5倍) クラウドサービ
ス事業者の需要が引き続き高まる



マルチメディア革命ビジネス渦論 ①:
 人間拡張(Augmented Human、オーグメンテッド・ヒューマン)」という
言<葉を耳にする機会が増えている(➲3年ぶりに更新されたエレクトロニ
クスと実装技術の将来展望:福田昭のデバイス通信(377) 2022年度版実
装技術ロードマップEETimes Japan)。『マルチメディア マインド』(浜
野保樹著)の考察を開始した当時は、視覚・聴覚の2つのメディア科学・
文化発展史を基に『デジタル革命渦論』として未来科学技術論として研究。
その後三十年経て、作年「2022年度版 実装技術ロードマップ」が出版さ
れることとなり、EE Times Japanに「福田昭のデバイス通信(377) 2022
年度版実装技術ロードマップ(1)、2022年12月16日から掲載開始。
尚、人間拡張は、『デジタル革命渦論』の六つの基本則の「エクスパンシ
ョン(拡張)」の第六則の概念に当たる。
さて、人間拡張は一言で表すと「人間の能力を補完・向上する、あるいは
新たに獲得するための技術」であり、様々な社会課題を解決する効果をも
たらすと期待が集まっている。

 人間拡張の代表的なアプリケーションであるパワーアシストスー(人
 体の動きをサポートする装着型の装置)は、運動能力を向上すること
 で荷物を運搬する際の負担を軽減し、作業時間を短縮できるなど、一
 人一人の生産性向上や労働力不足を解消する効果が期待されている。
 また、けがや老化などにより喪失/低下した能力を補うことで、自立
 した生活の支援、それによる医療・介護費を低減する効果も期待され
 る。
                 「人間拡張:Augmented Human」
                 みずほリサーチ&テクノロジーズ 

人間拡張:Augmented Human(PDF/1,958KB)
さて、このロードマップの概要で注目したのは第2・3節の3項の「人間
拡張」であり、この特集では、人間拡張の概念・技術・社会貢献・展望・
触覚・味覚・臭覚・クロスモータル・脳科学に分科する。

➲概念:人間拡張(にんげんかくちょう、Human Augmentation)とは、
一時的か永続的かを問わず、現在の人間が持つ認識および肉体能力の限界
を超えようとする試みを意味する。この用語は技術的手段を使って人間の
特性や才能を選択または変容させ、その変容によって既存のヒトの範囲を
超えた特性や才能を得るかどうかは意味しない。その場合、技術が治療目
的以外で使われている点が重要で、生命倫理学者の中には、治療目的でな
い人体への各種技術(ニューロ技術、サイバー技術、遺伝子技術、ナノテ
クノロジー)の応用に限定する考えもある。

➲技術:人間強化技術 (human enhancement technologies, HET) は、単に
病気や障害に対処するために使うものから、人間の能力や特性を強化する
ために使うものまである。HETを先端技術とほぼ同義と見なす向きもある。
また、人体への遺伝子工学適用と同義と見る向きもある。一般的には、ナ
ノテクノロジー、生物工学、情報技術、認知科学を集約してヒトの能力を
向上させることを指すのに使われ、①デジタルと人間の融合と②ゲノム編
集による能力強化の視点から説明されているものがある。

➲デジタルと人間の融合:2010年代に入ってから人体をロボット技術を
使って強化する、または、AI技術で人の認知機能を拡張するといった動き
が活発化。このような人間拡張技術は人間の可能性を向上させると共に、
事故などで低下ないし消失した機能を補うことも可能にする。人体の強化
では、着用することで重たい物を軽々と運ぶことができるパワードスーツ
の開発が進められているほか、ARやVRを使って従来では不可能だった認知
を可能にする技術が様々な分野で活用されている。日本のような生産年齢
人口が減少し続けている国では、人間拡張で1人あたりの生産性を向上さ
せる取り組みに注目が集まっているというが、その評価システムの定義と
確立が急がれる。 

George McDonald Church、1954年8月28日 -)
チャーチは、ゲノムのシークエンシングとそのデータの解釈、 合成生物
学とゲノム工学、および脳活動のマッピングと「機能的コネクトーム 」
の確立を提案する神経科学の新興領域における専門家の貢献で知られる。
中でも、チャーチはパーソナル・ゲノミクスと合成生物学の専門分野を開
拓したことで知られる。彼はこれらの領域、およびエコロジカル製品およ
び天然製品化学から燃料生産に至るまでの数々の事業を共同創設してきた。
今まで起業してきたものにはKnome、LS9、およびJoule Unlimited(それぞ
れ、人間のゲノミクス、グリーンサスティナブルケミストリー、および太
陽電池の事業)などがある。
------------------------------------------------------------------
➲ゲノム編集による能力強化、人間にゲノム編集を施すことで各種能力
を増強する構想もある。2019年、遺伝学者のジョージ・チャーチは人間強
化に必要な遺伝子リストを公開。リストには肉体強化、学習能力の強化、
放射能に対する耐性強化、精神力の強化、必要睡眠時間の減少などを可能
にする遺伝子が記載されており、副作用についても併記されているが、副
作用に関しては分かっていない部分も多いとされ、この解決がなければ。
わたし(たち)の考える第五次産業の生成は難しいと考える。

➲倫理的課題:1990年代以降、一部の研究者(Institute for Ethics and Em-
erging Technologies
の一部のフェローなど)が人間強化の適切な支持者と
なったが、他の研究者ら(たとえばブッシュ大統領の生命倫理諮問委員会
(The President's Council on Bioethics) のメンバー])は批判を強めていった[
2018年11月に中国の南方科技大学の賀建奎(英語版)副教授が、世界初の
デザイナーベビー「露露と娜娜(英語版)」としてゲノム編集によってヒ
ト免疫不全ウイルス(HIV)への耐性を与えた双子の女児の出産を発表し
て中国当局の調査で事実と認定されて世界的な物議を醸した際は、同様の
遺伝子操作が脳機能や認知能力の強化をもたらしたとする動物実験に賀は
言及していたためアルシノ・シウヴァらから知能増幅を行った可能性も懸
念された。人間強化を擁護・推進する立場は「トランスヒューマニズム」
と同義に扱われるようになっていった。これは心身を維持または改造する
という権利を認識・保護すべきだというイデオロギーおよび運動であり、
物議をかもしている。自身および彼らの子どもに対して人間強化技術を使
用する選択の自由とインフォームド・コンセントを保証すべきだと主張す
する。ニューロマーケティング(英語版)のコンサルタントであるザック・
リンチは、遺伝子治療よりもニューロ技術(英語版)の方が先に社会的影
響を持つようになり、過激な人間強化よりも抵抗は少ないだろうと主張し
ている。また "Enablement" という概念を提唱し、「治療」と「強化」の
境界線についての議論が必要だとしている。人間強化についての提案の多
くはフリンジサイエンスに依存しているが、人間強化の観念と可能性は幅
広い議論を巻き起こしてきた。多くの批判的な人々は、「人間強化」とい
う用語が優生学的響きを伴った「充填された語」であるとしている。すな
わち、一般的な健康の基準を超えた(人間の生物多様性と神経多様性(英
語版)を損なう可能性のある)遺伝的改良を暗示しており、その本来の意
味を超えて否定的反応を引き起こすという。さらに、「病気にかかりにく
くする」といった明らかによい強化はむしろ例外的であり、そういった強
化でさえ「ADHDに関する論争」で明らかに示されているように倫理的トレ
ードオフがあるだろうとしている。人間強化への一般的な批判は、人間強
化が個人への長期的影響や社会への影響(「持てる者」と「持たざる者」
の間で肉体的または精神的不平等が生じるなどの懸念)を無視して利己的
かつ短期的視野でむやみに行われる(かもしれない)点に向けられる。
via jp.Wikipedia
                                        この項つづく                         


【人口減少時代の地域再生概論 ④】



水津 陽子【著】 実業之日本社(2019/04発売)NDC分類 318.8 Cコード
C2076 【内容概説】 自治会・町内会が抱える悩み・課題に対し、実践的
なヒントや解決策を満載!

第1章 自治会・町内会のお悩み・トラブルQ&A
1-1 入会・退会にまつわるトラブルや嫌がらせ

  2019年 9月、奈良弁護士会は奈良県内のとある自治会で、特定の住民に
村し、理不尽な嫌がらせや村八分が行われていることに対し、人権侵害に
当たるとして当該自治会に是正勧告を出しました。このニュースが報じら
れると、多数の批判が寄せられるとともに同様の事案が大分県など、他の
地域でも起きていることが報じられました。  
閉鎖的で因習に満ちた小規模な地域などでは珍しいことではなく、過去に
もこうした事案は多数発生していたと考えられますが、以前は自治会・町
内会への注目は今ほど高くなく、これほど大きく取り上げられることはあ
りませんでした。自治会・町内会への注目が集まる中、それが表面化、社
会問題として大きく取り上げられるようになったと言えます。一方で、加
入したくても加入させてくれないなどの事案も発生しています。これには
地域が受け取っている補助金の分配が絡んでいることが多く 1人増える
とそれだけ分配合が減ることになるため加入を拒否するなどの例が生ま
れます。こうしたケースでは訴訟に訴える例も出ていますが、訴訟は費用
も時間もかかりますし、そこに往み続ける場合、その後も有形無形の不利
益や無視や悪口などの嫌がらせを受ける可能性を排除できません。関係が
更に悪化することも十分あり得ます。美しい自然に囲まれ、県外からの移
住者が多い地域で、移住から20年たった人が未<だよそ者扱いされるという
声はよく聞きます。これから移住する方向けては移住するならオープンマ
インドを特った地域や事前に地域をリサーチすることなどをお勧めするこ
ともできますが、すでに移住している場合、住み替えのやり直しもそうそ
うできません。
できることは限られよすが、常識を超えた理不尽な扱いに対しては声を上
げ、改善を求めていかなくてはなりません。役所に訴えても何もしてくれ
ないという声もよく聞きますが、ここ数年、新聞社などは読者から地域の
困りごとなどの情報を募集し、地域や社会への問題提起や適切な対処を求
める特集記事を掲載するところも増えています。

加入を断った場合、ゴミステーションの利用を断られるケースもあります
が、地域によってはゴミステーションや外灯の管理にかかる共益費部分を
負担してもらう仕組みを導入しているところもあります。必要なサービス
は一つだけなのに、不要な9つの機能がセットになった商品を売るような
活動になっていないでしょうか。こうした活動の仕方には不信感を特つ方
も増えています。
自治会・町内会側の言い分ち分かりますが、自分たちの主張を一万的に押
し付けるのではなく、どうすればお互いがハッピーになれるかを対話によ
って考えていくことが必要です。
任意団体である自治会・町内会には指導監督権限を持つ所管庁も存在しま
せんが、様々な事業を委託したり、活動に対し、補助金や助成金を出して
いる自治体にはもう少し当事者意識を持ち、リーダーシップを持ってこう
した地域課題への対処、解決に向けた役割を果たすことが期待されます
特に積極的に移住を呼び込んでいるような自治体においては、誠意ある対
が求められます。
✔ 新型コロナパンデミックや2年前の豪雪などがあった、3年間の自治会
の役員活動経験を通して、高齢化率上昇(介護施設への転出)、空き家の
増加、住民人口は微増、宅地化急速な増加、可処分所得減(年金所得者の
貧困かや若年層の所得格差拡大)などが印象的だった。また、自治会館の
パンデミック対策、耐震化及び老朽化などの改修課題が浮上。さらには河
川の美化・町内の美化清掃日当の各戸還付化(それまでは、自治会への一
括還付)などの対応で忙殺。根底には、活動資金不足を実感(消費税の地
方への百パーセント環流させる抜本的な税制改革の必要性)した次第。

彦根市の概況 ①
令和4年(2022年)3月31日現在
人口 111,483人
世帯数 49,260世帯
面積 196.87k㎡


図1 彦根市の人口推移と予測(出所:彦根市)

図2.彦根市年齢別人口 2021年(出色:彦根市統計書 2021年版)

図3.外籍人口推移


図4.彦根市歳入推移 20019~2027(出所:彦根市 2022.11)
------------------------------------------------------------------
市税は、近年、約160億円後半から約170億円前半で推移していたが、2017
年年度以降、景気の緩やかな回復を背景に180億円台まで増加、2020年度
以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、落ち込み、2021年度決算
では約172億円となる見込み。2022年度は、新型コロナウイルス感染症に
よる厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられることにより
増収となる見込み。また、歳入全体に占める市税の割合は2010年降は40%
前後で推移しており、2022年度については35.4%になる見込み。


図5.彦根市住民1人当たり個人所得の推移
2020年度における彦根市の住民1人当たり個人所得は前年度比2.8%増の157.5
万円。8年度連続の増加。2000年度以降で当年度が最大。また同年の対全国
比(全国平均=100)は93.7。


図6.彦根市の持ち家比率 (1983年~2018年)

図7 彦根市空き家数推移グラフ(2003年~2018年)
                           この項つづく

川崎市も太陽光発電の設置を義務化
川崎市が新築建築物に太陽光パネル設置を義務付ける条例改正を実施。東
京都に続く新たな設置義務化条例として注目されている。本稿ではその制
度概要と東京都版の制度との違いなどを解説する➲ 4月19日、スマート
ジャパン

建築物太陽光発電設備誘導支援制度
川崎市では、新築・増築建築物だけでなく、既存建築物も含めて太陽光発
電設備の普及を進めるため、太陽光発電設備導入に関する新たな支援の枠
組みを創設する。本制度は、2023年秋ごろ開始の予定。

大規模建築物への太陽光発電導入制度
全国推計(2013年度)によれば、延べ床面積2,000㎡以上の大規模建築物は、
建築物着工件数の約1%であるにも関わらず、そのエネルギー消費量は建築
物全体の4割を占めるなど、建築部門全体のエネルギー消費量に与える影響
が大きい。このため川崎市では、中小規模建築物だけでなく、延べ床面積
2,000㎡以上の大規模建築物(特定建築物)に対して「特定建築物太陽光発
電設備等導入制度」のもと、太陽光等の再エネ設備の設置を義務付けるこ
ととする。  
中小建築物では義務者は建築事業者であるのに対して、大規模建築物では
これを新築・増築する建築主とする。  また本制度では、基準量の算定対
象とする再エネ設備は、太陽光発電に限らず、太陽熱利用設備、バイオマ
ス利用設備、風力発電設備、地中熱利用設備なども対象とする。義務対象
者が設置しなければならない再エネ設備の設置基準量は、延べ床面積と建
築面積を考慮し、特定建築物の規模に応じた設置基準量を設定する。現時
点の基準量のイメージは以下のとおりであるが、今後、技術的見地からの
意見を踏まえて検討する予定としている。


図1.

大規模建築物向けの本制度においても、物理的に再エネ設備の設置が困難
等の場合には、オフサイトPPAや非化石証書によらない再エネ電源調達とい
った、代替措置を検討する。ただし、大規模な特定建築物は、環境負荷に
対する社会的責任が大きいため、除外規定は設けない予定である。本制度
についても、仮に建築主が義務を履行できなかった場合、市は行政指導や
助言、勧告、公表を行うことにより、適正な履行を促す。

大規模建築物向けの本制度においても、物理的に再エネ設備の設置が困難等
の場合には、オフサイトPPAや非化石証書によらない再エネ電源調達といっ
た、代替措置を検討する。ただし、大規模な特定建築物は、環境負荷に対す
る社会的責任が大きいため、除外規定は設けない予定である。本制度につい
ても、仮に建築主が義務を履行できなかった場合、市は行政指導や助言、勧
告、公表を行うことにより、適正な履行を促す。

再エネ義務制度の導入により期待される効果
大規模建築物を対象とした「特定建築物太陽光発電設備等導入制度」、中
小規模を対象とした「特定建築事業者太陽光発電設備導入制度」、大小両
方を対象とした「建築士太陽光発電設備説明制度」、これら3つの「再エ
ネ義務制度」の導入により、年間4,600kW程度、2025~2030年度の累計で、
2.5万kW程度の再エネが導入されると試算されている。ただしこれは、2030
年度目標達成に必要とされる6.5万kWの約4割に過ぎない。


図2.再エネ義務制度導入の効果試算 出所:川崎市

川崎市ではこれ以外に、「1.地域エネルギー会社の設立による民間向けの
再エネ設備導入(約0.4万kW)」、「2.設置可能な市公共施設への太陽光発
電設備の導入(約0.6万kW)」、「3.脱炭素先行地域での民間施設の再エネ
設備導入(約0.5万kW)」の取り組みを進める予定としているが、これらの
取り組みによる導入量を加えても、目標の達成には届かない状況である。 
現時点、この不足分をどのように補うかは明らかにされていないが、3つの
義務制度の強化(目標値の上乗せ)もしくは別の新たな制度が必要になる
と考えられる。

太陽光発電による経済的メリット
川崎市では、太陽光発電システム(4kW)を30年間設置した場合の支出と収
入を以下のように試算している。この試算の枠外の金額としては、

•市の補助金:現行2万円/kW(最大10万円)
•パネルの廃棄リサイクル費用:約30万円(屋根の吹き替え等と合わせて実
 施した場合の撤去費を含む)
•点検費用:1回約3万円 などの支出等があることに留意が必要である。

などの支出等があることに留意が必要である。

今後のスケジュール


以上、川崎市条例の改正に伴い新たに創設された5つの制度は、段階的に施
行される予定である。

風蕭々と碧い時代


Johon Lennon

J-POPの系譜を探る:1985年代】



BOØWY  / ホンキー・トンキー・クレイジー



竹内まりや / プラスティック・ラヴ

ニューミュージックから新世代といわれ、84年と85年。中間点。劇的な年。

その1つが吉田拓郎の「ONE LAST NIGHT IN つま恋」と吉田拓郎、オフコ
ース、チューリップ、松任谷由実、サディスティック・ユミ・バンド、ユ
ーミン、サザンオールスターズ、佐野元春、ラッツ&スター、チェッカーズ
アン・ルイス、白井貴子、南こうせつ、イルカ、さだまさし、武田鉄矢が
参加した楽イベント「ALL TOGETHER NOW」

今夜の寸評: (いまを一声に託す) Chatgdpt ?  所詮、大国・大資本が囲い込み
                 み、技術先行、倫理追随の人権救済劇が続くのだろう。

---------------------------------------------------------------------------------------------------
【Apple CarPlay】をマツダコネクトで軽く触ってみた~ 
デジタル対応に遅れたメーカは無理みたい。 パクリじゃないの?YouTube 可能
な"CarPlay" の進化形も市販されているようだし、有人(マニュアル)走行中は要
細心だね


------------------------------------------------------------------

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さぁ!自信をもって進もう⑦

2023年03月30日 | デジタル革命渦論

  

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。


2023.3.29 11:00
井伊直弼像と彦根城博物館に中央に位置する公園で一期一会観桜会



旧知が再会し三年間の我慢していた酒宴を急遽開催。天候好、桜満開。



春爛漫 一組の新婚お披露目行列や職場仲間(後藤さん)との遭遇もあ
り、用意していたお弁当などをたいらげ、さらに缶ビールを現地調達。
佐々木さんと吉田さんはご機嫌に世間話に桜を咲かせ、長老の「今日一
日一日を気持ちよく生きることが親鸞の教え」との締めにて解散。彼女
の送迎自動車で帰宅の途につく。





2056年までに「日本の人口一億を切る
20世紀のほとんどの期間、日本は高度な人口増加を経験する。戦後の
奇跡は、1980 年代までにその急成長する経済が米国に次ぐ第 2 位に急
上昇したことを示す。 この急速な拡大期は、1991 年の資産価格バブル
の崩壊で終わった。いわゆる「失われた10 年」が続き、21 世紀まで続
きました。 日本は経済的にも人口的にも停滞した。2010 年までに、国
の人口は 1 億 2,800 万人でピークに達し徐々に容赦なく減少し始めた。
いくつかの要因が、今後数十年にわたって世界における日本の地位を定
義するこの長期的な傾向に貢献。先ず、日本の出生率は長年低下してお
り、21世紀初頭には世界で最も低い国の1つになる。女性1人あたりの
平均出生児数は 2020年までに 1.34人にとどまり、代替レベルの2.1を大
きく下回った。また、日本は世界で最も平均寿命が長い国の 1 つであり、
その結果、急速に高齢化が進んでいる。65歳以上の高齢者の割合は引き
続き上昇し、生殖年齢の若者の数は減少した。一部の孤立した農村地域
では、この人口動態の変化が非常に深刻になり、コミュニティ全体が消
滅。経済的および社会的要因も役割を果たした。女性の高い教育と雇用
機会、都市化、家族の価値観の変化により、結婚率の低下と出産の遅れ
が生じた。さらに、日本は歴史的に制限的な入国管理政策に従っており、
これにより、仕事や生活のために入国する外国人の数が制限されていた。

これらの要因は、日本の経済、社会福祉制度、および将来の見通しに大
きな課題をもたらし、2040年までに、国は年間約 750,000人の損失に達
した。2056年までに、総人口は 1 億人を下回りました。これは 1960年
代以来の水準。緩和された移民規則を含むいくつかの政策変更の試みに
もかかわらず、この全体的な傾向は世紀の残りの間続き、日本はその状
況の必然性と世界の舞台への影響力の低下の対処に、「管理された衰退
」を達成に苦労する。導入されているソリューションの中には、社会の
車輪を回し続けるためのロボット使用の拡大があり、日本のロボットへ
の愛情と経験 (鉄腕アトムや鉄人28号のごとく、おそらく他のどの国
よりも)すでに確立された産業は、この点で役に立ち、そのように人口
減衰の影響を軽減しうる。
via 2056 Future Timeline | Technology | 2050s | Predictions | Events

     

 

【再エネ革命渦論 106: アフターコロナ時代 305】

 
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
”再エネ・リサイクル・ゼロカーボン最先進国”宣言!



特集|動的π共役系の機能発現 ②
有機ELカラー表示器とペロブスカイト太陽電池の事業開発をコアとして
先端ナノ光構造を用いた高感度バイオセンシング  Ⅱ                  
4.単一生体分子のラマン分光センシング
ラマン分光法は,無染色で生体分子を同定・検出することができるため,高分
析能なバイオセンシング手法として有用であり、ラマン散乱の断面積は
蛍光の
それと比べて10桁以上小さいため,微弱なラマン散乱光をプラズ
モニックな金属ナノ構造を利用して増強して検出する必要がある。この
手法は表面増強ラマン分光として知られており,ラマン増強能が高い金
属ナノ構造の設計・作製が重要となる。筆者らは,ナノギャップアンテ
ナ型の金属ナノ構造を設計・作製し,単一生体分子(ペプチド)のラマ
ン散乱光を検出することに成功している。金属ナノ構造によって増強さ
れたラマン散乱は分子の構造のみならず分子配向にも鋭敏であるため,
ラマンスペクトルの時間変化を解析することによって,ペプチド分子が
回転していることがわかった生体分子のダイナミクスは抗原抗体反応
機構とも相関があるため,基礎医学と臨床医学の両観点からも,このよ
うな生体ダイナミクスを一分子スケールで解析することは大変意義深い。


図3.ナノギャップアンテナを用いた単一生体分子ダイナミクスのラマ
  ン分光

5. 超解像振動分光イメージング
光の回折限界を超越した空間分解能で分光イメージングをおこなう手法
は,組織切片内の微小な病変箇所の特定などに有効。前出の金属ナノ構
造を用いたラマン分光法を応用すると,バイオイメージング分析が可
となる。この場合,基板上に固定した金属ナノ構造を用いるのではな
く,走査型プローブ顕微鏡のプローブ探針を金属コートしたものを用い
る。金属ナノ探針先端に誘起される光増強場をナノ光源として用い,試
料表面上を2次元走査することによって,ナノラマン分光イメージングが
可能となる(図4)。この手法は探針増強ラマン分光法と呼ばれ,筆者
らはこれまでに,カーボンナノチューブや二次元原子層材料のナノ分光
分析に応用してきた。現在は,基礎医学研究者と共同で,生体材料や細
胞などのナノラマン分光イメージング分析に取り組んでいる。


図4 細胞・生体組織切片の超解像ラマン分光イメージングの概念図

ラマン散乱と相補的な情報を与える赤外吸収も,バイオメディカルイメ
ージング分析への応用が精力的に行われている。一般的な赤外顕微鏡の
空間分解能は5μm程度に制限されるが,試料が赤外光(ポンプ光)を吸
収した際の微小な熱膨張や屈折率変化を,可視光(プローブ)光を使っ
て検出すると,サブミクロンの空間分解能で赤外吸収分光が可能となる。
この顕微鏡は中赤外フォトサーマル(Mid-Infrared PhotothermalMIP
顕微鏡と呼ばれ,国内では東大の井手口らのグループが先進的な研究を
おこなっている。著者の理化学研究所は矢野隆章は、MIP顕微鏡を独自
に構築し,薬剤,生体組織切片,歯科材料などのイメージング分析をお
こなっている。(上図4参照)
                         この項つづく

YouTube

国産超伝導量子コンピュータ初号機の公開
理研が国産初の量子コンピューターを発表しました。スーパーコンピュ
ータと比べてもケタ違いの計算速度を誇り、私たちの世界を大きく変え
ていく可能性があるそうですが、一体どんな活用が期待されているので
しょうか。via TBS NEWS DIG

理化学研究所(以下、理研)、産業技術総合研究所(以下、産総研)、
情報通信研究機構(以下、NICT)、大阪大学、富士通株式会社、日本電
信電話株式会社(以下、NTT)は24日、6者の共同研究グループが、3月27
日に量子コンピューターを理研からクラウド公開し、外部からの利用を
開始を公表。



今回公開する超伝導量子コンピューターは、量子ビットを64個並べた64
量子ビットの集積回路が用いられる。装置には、「2次元集積回路」と「
垂直配線パッケージ」という二つの特徴がある。  2次元集積回路の上
では、正方形に並べられた4個の量子ビットが、それぞれ隣り合う量子
ビットをつなぐ「量子ビット間結合」で接続されており、正方形の中に
「読み出し共振器」「多重読み出し用フィルタ回路」などが配置されて
いる。この4量子ビットからなる基本ユニットを2次元に並べることによ
り、量子ビット集積回路を作ることができる。今回の64量子ビット集積
回路は、16個の機能単位から構成され、2cm角のシリコンチップ上に形
成されている。また、量子ビットと同じ平面上で配線を行う場合、チッ
プ内に並ぶ量子ビットの数に対して、配線を外部へ取り出すための辺の
長さが不足してしまうため、個々の量子ビットに対する制御や読み出し
用の配線の取り回しにも工夫が必要になる。  
----------------------------------------------------------------

図1 垂直配線パッケージ •(左)垂直配線の概念図。量子ビットに対す
る制御・読み出し用配線が信号用コンタクトプローブを介してチップに
対して垂直に接続される。この配線を通してマイクロ波信号の送受信が
行われる。 •(右)量子ビット集積回路チップが装着された配線パッケ
ージ。

図2 垂直配線パッケージ
(左)垂直配線の概念図。量子ビットに対する制御・読み出し用配線が
信号用コンタクトプローブを介してチップに対して垂直に接続される。
この配線を通してマイクロ波信号の送受信が行われる。
(右)量子ビット集積回路チップが装着された配線パッケージ。


図3.量子ビット制御装置
マイクロ波信号の発振器や受信機で構成された量子ビット制御装置。今
回の64量子ビット量子コンピュータでは、制御と読み出しのために入力
配線96本・出力配線16本を用いて量子計算を行う。

この課題に対しては、2次元平面に配置され>     

 
<た量子ビットへの配線をチッ
プに対して垂直に結合させる垂直配線パッケージ方式を採用。さらに、
量子ビット集積回路チップへの配線を一括で接続できる配線パッケージ
も開発した。これらの特徴的な「2次元集積回路」と「垂直配線パッケー
ジ」は、容易に量子ビット数を増やすことを可能にする高い拡張性を備
えたシステム構成となっており、これにより、今後の大規模化に際して
も基本設計を変えることなく対応できるとしている。  
また、量子ビットを制御するための信号には、マイクロ波の周波数(8~
9GHz)で振動する電圧パルスが用いられる。しかし、量子ビットごとに
異なる周波数のマイクロ波が必要となることから、共同研究グループは
高精度で位相の安定したマイクロ波パルス生成が可能な制御装置および
これを用いて量子ビットを制御するソフトウェアを開発した。  

理研では、今回開発した超伝導量子コンピューターをどこからでも利用
できるよう、「量子計算クラウドサービス」を提供する。量子計算など
の研究開発の推進・発展を目的とした非商用利用であれば、いずれの研
究・技術者でも利用申請できる。ただし、当面は、理研との共同研究契
約を通じて利用手続きを行う形となる。ユーザーは、理研外のクラウド
サーバーに接続することで、超伝導量子コンピューターへのジョブ送信
や計算結果の受信が可能となり、共同研究の目的に合致した用途であれ
ば、超伝導量子コンピューターを利用できる。
 
共同研究グループは、さらに多くの量子ビットでの量子計算動作を可能に
するため、希釈冷凍機内の配線の高密度化など、さらなるシステム開発
を進めており、また、超伝導量子コンピューターをNISQ応用プラットフ
ォームのテストベッドとして提供しつつ、ユーザーのニーズなどを踏ま
え、公開装置についてもさらなる高度化に向けた必要な研究開発を進め
ていくと説明。今回の量子計算クラウドサービス公開を通じて、量子ソ
フトウェア開発者や量子計算研究者および企業開発者との協力を深める
ことで、量子コンピューター研究開発を一層加速するとしている。 

【展望】
量子コンピュータの開発は、固体素子初の量子ビット実証から、現在ま
で20数年で発展を遂げてきました。しかし、従来の半導体集積回路を用
いたコンピュータのように、どこでも自由に使えるようになるには、ま
だ長い開発期間が必要です。今後、拡張性の高い集積回路(図6)を主
要技術として、100量子ビット、1,000量子ビットといったマイルストー
ンを達成していく予定である。また、将来的に大規模量子コンピュータ
を実現し、社会実装するために、100万量子ビット級の集積化の技術開発
エラー訂正・誤り耐性量子計算]の実現を探求していく。



   


図6.スロット ダイ コーティングされた小面積およびミニ モジュール
PSC の優れた太陽光発電性能。 a) HTL としてMe-4PACz を使用した最
適なデバイスの J–V 曲線。 セルは、Fraunhofer ISE CalLab で測定およ
び認証されました。 挿入された表には、太陽光発電のパラメーターが含
まれている。 b) 5 x 5 cm のミニモジュールの J–V 曲線。挿入図はは、
対応する光学画像。

前駆体インク使用スロット・ダイ塗工ペロブスカイトソーラ
                    変換効率22.54%達成

ドイツの研究者は、ペロブスカイト太陽電池の製造にスロットダイコー
ティングを使用すると、リブ効果が減少したことで、これまでにこの技
術で構築された最も効率的な太陽電池であると主張。
同グループの Helmholtz-Zentrum Berlin für Materialien und Energie GmbH
の開発グループは、ハロゲン化ペロブスカイト太陽電池のフィルム品質
を向上させる新しい前駆体インク技術を開発。Advanced Energy Materials
最近掲載された研究「22%を超える電力変換効率、マイクロモジュール、
および1年間の屋外性能評価を備えたスロットダイコーティングされた
ペロブスカイト太陽電池を可能にするインク設計」では、スロットダイ
コーティングプロセスで2-メトキシエタノールに基づくホルムアミジニ
ウム三ヨウ化鉛(FAPbI3)前駆体インクを使用。 スロットダイは、限ら
れた材料の無駄と低い運用コストで、薄くて均一な膜を堆積するために
使用されるコーティングプロセス。 「スロットダイコーティングは、シ
ートからシートへの連続的なロールからロールへのコーティング、およ
び有機電子デバイスやポリマー太陽電池などの溶液処理可能なオプトエ
レクトロニクスデバイス技術を可能にする最も有望なプロセスの1つ。業
界では、ペロブスカイト・セル製造にスピンコーティングが一般的に使
用されている。同グループは、新しい前駆体インク法は、スロットダイ
を備えたペロブスカイトソーラーデバイスで通常発生し、堆積されたウ
ェットペロブスカイトフィルムに不規則な形状を引き起こす、いわゆる
リブ効果(畝織)の抑制に着目. 「リビングは、インク、スロットダイ
、および基板間の粘性力と毛細管力のバランスが取れていない場合に、
下流のメニスカスで観察される一般的な効果。濃度46%のアセトニトリ
ル (ACN) によってインクの粘度調整。この化合物は、FAPbI3 薄膜の共
溶媒として機能し、その品質と層の均一性を改善。


図2.2つの異なる前駆体インク(i)a)0%ACNおよびb)46-ME/ACN混合(46
%ACN)インクの薄膜層の均一性の比較。(ii)の画像はコーティングされ
た湿潤ペロブスカイト薄膜を示し、(iii)の画像はメニスカスのスケッチ
とその結果生じるリブ現象を示す。アニール後の薄膜の画像を列(iv)に
示し、対応するSEMトップとアニール後のペロブスカイト薄膜の画像の断
面図を列(v)に示す。

同グループは、この技術を小面積の太陽電池に利用し、22.54% の電力
変換効率を達成。これは、スロット ダイ コーティングされたペロブス
カイト太陽電池でこれまでに認定された最高値。 デバイスは、1.088 V
の開回路電圧、24.9 mA cm2 の短絡回路電流、および 83.1%の曲線因
子にも達しました。ドイツの Fraunhofer ISE CalLab がこの結果を確認
した。チームはまた、アクティブエリアが 12.7 cm2で効率が 17.1%の
ミニモジュールも構築。カプセル化されたデバイスの最大電力点を継続
的に追跡する 1 年間の屋外安定性テストが実施され、これらのデバイス
が冬と春の間、最初のパフォーマンスのほぼ 100%を維持し、その後、
より暖かい夏の間はパフォーマンスが大幅に低下することを実証。将来
を見据え、この技術をより大きなデバイス領域に拡張し、さまざまな長
期暴露性能評価を行う。
via https://doi.org/10.1002/aenm.202203898

  風蕭々と碧い時代



Jhon Lennone Imagine

J-POPの系譜を探る:1975年代】       
     


曲名: 初夏  1975年    唄:ふきのとう
作詞: :山木康世 作曲::山木康世

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)さぁ!自信をもって進もう⑦

 

 

コメント
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さぁ!自信をもって進もう③

2023年03月22日 | デジタル革命渦論

 
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」。





ピザハット、パクチー山盛りピザ「パクチーすぎて草」
期間限定新発売

パクチー(コリアンダー)の栽培取り組み出していると、ピザハッ
ト、パクチー山盛りピザ「パクチーすぎて草」を販売するという(3
月20日から4月9日までの期間限定)。パクチーを惜しみなく3株もト
ッピングした、まさにパクチーが主役のピザ。その下には、トマト
ソースとヤンニョムソースをベースに海老をトッピングしており、爽
やかかつ独特な香りが特徴のパクチーの魅力を存分に味わえる一品。
本当? パクチー好きにはたまらないし、苦手な人にもたまらない


David Popa
NFT(non-fungible token)とは、非代替性トークンと翻訳されているが、
ブロックチェーン上に記録される一意で代替不可能なデータ単位であ
るが、NFTは、画像・動画・音声、およびその他の種類のデジタルフ
ァイルなど、容易に複製可能なアイテムを一意なアイテムとして関連
づけられ、代替可能性(fungibility)がないという点で、NFTはビット
コインなどの暗号通貨とは異にする。NFTは、「関連づけられている
ファイルなどの真正性や所有権を証明する」と主張されているが、N
FT
によって保証・譲渡される法的権利は不明瞭な可能性が指摘されて
おり。また、NFTには、関連づけられているファイルの共有や複製を
制限する機能は存在せず、ファイルの著作権を必ず譲渡する訳でもな
く、同一のファイルに関連づけられた別のNFTを無制限に発行可能
あるとされる。 via jp.Wikipedia


     

 

 
【再エネ革命渦論 102: アフターコロナ時代 301】

 

● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング

”再エネ・リサイクル・ゼロカーボン最先進国”宣言!
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電解水素製造事業技術動向リサーチ②
※ 特開2023-031449 電解質膜シートの帯状物およびその製造方法 東
  レ株式会社
【要約】
図1のごとく、帯状の基材フィルム上に電解質膜が積層された電解質
膜シートの帯状物であって、前記電解質膜の厚みが40μm以上であ
り、前記電解質膜が前記基材フィルム側から順に高分子電解質を含む
第1の電解質層、多孔質基材と高分子電解質とを含む複合層および高
分子電解質を含む第2の電解質層を有し、前記基材フィルム、前記第
1の電解質層および前記複合層の幅方向両端部が同位置で、かつ前記
第03.+9/962+.0A+2の電解質層の幅方向両端部がそれぞ
れ、前記基材フィルム、前記第1の電解質層および前記複合層のいず
れの幅方向両端部より内側にあることを特徴とする、電解質膜シート
の帯状物で、触媒層の積層工程を適切に実施することが可能な電解質
膜シートの帯状物の提供。

本発明の電解質膜シートの帯状物の一つの形態における幅方向の断面
模式図
【符号の説明】
10 基材フィルム、11 第1の電解質層、12 複合層 13 第2
の電解質層

【概要】
水素は2次エネルギーであり、様々な作製方法があるが、再生可能エ
ネルギーによる余剰電力を使用して水を電気分解すれば、二酸化炭素
を排出することなく電力を水素エネルギーに変換可能である。水の電
気分解による水素製造方式には、アルカリ水電解と固体高分子電解質
膜(PEM)型水電解がある。PEM型水電解は高電流密度での運転
が可能であり、再生可能エネルギーの出力変動に柔軟に対応できると
いう特長を有す。PEM型の水電解式水素発生装置において、生成さ
れた水素がカソードからアノードに逆透過することを抑制する必要が
あり、水素バリア性を高めるために①膜厚の比較的大きい電解質膜を
用いる
ことが提案されている。一方、高分子電解質膜の耐久性を高め
るために、②電解質膜内部に多孔質基材(補強材)を配置することが
知られている。このような多孔質基材を含む複合電解質膜として、多
孔質基材に高分子電解質を充填させた複合層の両面にそれぞれ高分子
電解質からなる電解質層を備えたものが知られており、上記複合電解
質膜の製造方法として、例えば、長尺帯状の基材フィルムに電解質溶
液を塗布し、その上に多孔質基材を重ね合わせて電解質溶液を含浸さ
せた後に多孔質基材の他方の面に電解質溶液を塗布して製造すること
が提案されている。③ そして、上記のようにして製造された電解質膜
シートの帯状物に触媒層が連続的に積層されて触媒層付き電解質膜が
製造され、さらにガス拡散電極が積層されて膜・電極接合体が製造さ
れ、この膜・電極接合体が燃料電池や水電解式水素発生装置などに適
用する。


従来の電解質膜シートの帯状物における幅方向の断面模式図

上記複合電解質膜の製造方法においては、例えば、図8のように、多
孔質基材を含む複合層12の両面に配置される第1の電解質層11と
第2の電解質層13は、多孔質基材に電解質溶液を含浸させるため、
通常、多孔質基材を覆うように積層される。このようにして製造され
た電解質膜シートの帯状物を、次の加工工程、例えば、触媒層を積層
する工程に供給するに際し、その幅方向長さを調整するため、あるい
は幅方向両端部位置を揃えるために、スリット切断することがある。
例えば、切断位置s1およびs2でスリット切断されて、図9に示さ
れているような帯状物が製造される。


従来のスリット切断後の帯状物における幅方向の断面模式図

※ 特開2023-028092 水素製造システム、水素製造方法 日立製作所
【要約】
図3のごとく、本発明に係る水素製造システムは、前記不具合スタッ
クの箇所、および、水電解スタックの劣化のしやすさを示す劣化特性
に基づき算出した複数の水電解スタックの劣化予測に基づき、前記水
電解スタックの各々の直列部への電力分配を制御できる複数の水電解
スタックを用いて水素を製造する水素製造システムにおいて、不具合
スタックが発生した場合であっても、水電解スタックの劣化を効果的
に抑制することができる技術の提供。

【概要】
水素エネルギーの普及に向け、水素価格の低減が求められている。水
素価格を低減するためには、水素の製造に要するコストの低減が必要。
水素の製造は、例えば水の電気分解(以下、水電解と表記)などの方
法により行われる。水素製造コストは設備コスト(CAPEX:capital  
expense
)と運用コスト(OPEX:operating  expense)に大別される。
OPEXは、水電解に用いる電力の調達コストやシステム保守コスト
などからなる。CAPEXを低減するには、以下の取り組みが必要と
なる。
・設備価格の低減
・設備稼働率の向上(水素製造量の増加)
・設備の耐用年数の向上(設備償却費の低減)
ところで、 特定の水電解スタックにおいて不具合が生じたとき、他の
水電解スタックに対する影響を緩和する手法は、様々に考えられる。
例えば、
特許605820においてある水電解スタックに不具合が生じたと
仮定する。このとき、水電解システムへの入力電力を1ストリング分
減少した上で、不具合スタックを含むストリングをOFFすれば、他
ストリングの負荷増大や劣化を防止可能である。ただし、OFFした
ストリング中の正常スタックの分だけ、水電解システムの稼働率を低
下させることになる。これに代えて不具合スタックのみOFFするこ
とも考えられる。しかしこの場合、当該ストリングの中で1スタック
分が短絡状態になるので、他のスタックに対して印加される電圧が上
昇し、過負荷によるスタック劣化が進行する可能性がある。前出特許
文献においてはストリング毎に電圧調整する機構がないので、各スタ
ックに対する印加電圧が上昇してスタック劣化を加速するからである。
したがって単に不具合スタックをOFFするのみでは、不具合対策と
して不十分であると考えられる。 特許4842577においてある水電解ス
タックに不具合が生じたと仮定する。前出の特許605820のように不具
合スタックを個別にOFFした上で、そのストリングに対する電力供
給をDC/DCコンバータによって調整すれば、水電解システムを稼
働継続できる。しかし特許文献2と同様に、他のスタックに対する負
荷が増大することにより、スタック劣化が進行する可能性がある。
これら2つの特許文献においては、スタック劣化を抑制するための具
体的手法は十分考慮されていないからである。
【効果】
本発明に係る水素製造システムによれば、不具合スタックが発生した
場合であっても、水電解スタックの劣化を効果的に抑制することがで
きる。
■ 実施の形態1
図1は、本発明の実施形態1に係る水素製造システム1の構成図であ
る。水素製造システム1は、再生可能エネルギーや送配電系統が供給す
るAC(交流)電力を用いて水素を製造するシステムである。水素製
造システム1は、供給される電力を用いて水電解スタック11を稼働
させることにより、水素を製造する。水素製造システム1は、水電解
スタック11、DC/DCコンバータ12、AC/DC整流器13、
電力分配制御システム14、不具合検知部3を備える。 
20
水電解スタック11は、水を電気分解することによって水素を製造す
る。図1においては、2つの水電解スタック11が直列接続され、さ
らに2つの水電解スタック11を1つのペアとして3つのペアが並列
接続されている。水電解スタック11が製造した水素は、輸送設備や
貯蔵設備へ出力される。
21
AC/DC整流器13は、水素製造システム1に対して供給される交
流電力をDC(直流)電力に変換し、DC/DCコンバータ12へ出
力する。DC/DCコンバータ12は水電解スタック11に対して電
力を供給することにより、水電解スタック11の動作状態を制御する。 
電力分配制御システム14は、DC/DCコンバータ12に対して動
作指令を出力することにより、DC/DCコンバータ12を介して水
電解スタック11の動作状態を制御する。電力分配制御システム14
は、稼働計画策定部141、スタック動作割当部142、電力分配指
令部143、劣化特性データ管理部144、劣化率試算部145を備
える。
23
稼働計画策定部141は、水電解スタック11の稼働ローテーション
計画を策定する。ここでいう稼働ローテーションとは、各水電解スタ
ック11の動作状態として、後述する稼働優先スタック/停止優先ス
タックのうちいずれかを割り当てる順番のことである。スタック動作
割当部142は、稼働計画策定部141が策定した稼働ローテーショ
ン計画にしたがって、各水電解スタック11の動作状態を決定する。
電力分配指令部143は、水電解スタック11がその動作状態にした
がって動作するように、DC/DCコンバータ12に対して電流指令
値を与える。
24
劣化特性データ管理部144は、水電解スタック11の劣化特性を記
述した劣化特性データを保持している。稼働計画策定部141は、こ
の劣化特性にしたがって稼働ローテーション計画を策定することがで
きる。劣化率試算部145は、その計画にしたがって水電解スタック
11を稼働させたと仮定したときにおける各水電解スタック11の劣
化率を試算する。
水電解スタック11(またはストリング)における「不具合」は、仕
様通りの水素製造能力を発揮できないことを意味する。「劣化」は、
不具合の原因の1例であり、運転時間の累積にともなって構成部材等
が消耗または変質することである。一般的に、通常の使用方法で製品
を使用し続けた場合、経年劣化が生じることは想定されている。「故
障」も不具合の原因の1例であり、劣化として想定されていない事象
を意味する。故障は経年的でなく突発的に発生することもある。本発
明は、劣化・故障いずれに起因する不具合も対象として含むので、以
下では両者を包含する用語として「不具合」を用いる。
26

実施形態1における各水電解スタックへの電力供給を制御する手順を
示す模式図

図2は、本実施形態1における各水電解スタックへの電力供給を制御
する手順を示す模式図である。複数の水電解スタック11が直列接続
されたものをストリング(直列部)と呼ぶことにする。電力分配制御
システム14は、不具合が発生した水電解スタック11(不具合スタ
ック)を含むストリング(不具合ストリング)に対する電力供給を、
不具合発生前よりも減少させる。必ずしも電力供給を停止することが
必須ではなく、少なくとも不具合発生前よりも電力供給を減少させれ
ばよい。
27
電力分配制御システム14は、不具合ストリングに対する電力供給の
減少分を、他のストリングに対する電力供給の増加によって補う。図
2に示す例においては、第3ストリングにおいて不具合スタックが発
生しているので、第1、第2、および第4ストリング(正常ストリン
グ)に対する電力供給P1、P2、P4を、不具合発生前よりも増加
させる。ただし単純に電力供給を増加させると、水電解スタック11
の劣化を促進する可能性がある。そこで電力分配制御システム14は、
劣化特性にしたがって、水電解スタック11の劣化をできるだけ抑制
するように、各ストリング(さらには各水電解スタック11)に対す
る電力供給量を調整する。 
28
正常ストリングに対する電力供給の1例として、特願20211-023663が
記載しているものと類似する稼働ローテーションを活用することによ
り、同一ストリングに対して大電流を長時間流さないように電力分配
を制御することが考えられる。そこで以下では稼働ローテーションの
例とその効果について説明する。

29
図3は、正常ストリングに対する電力供給を増加させる1例を示す。
ここでは図2に示すように第3ストリングにおいて不具合スタックが
発生したと仮定する。正常時(不具合発生前)において各ストリング
は電流密度1.5A/cm2で動作していたものと仮定する。 
30
分配方法(1)は、第3ストリングに対して供給していた電力を、第
1、第2、第4ストリングに対して等分配するものである。不具合発
生前において各ストリングに対して供給する電流密度は1.5A/cm2
であったので、不具合発生後において各ストリングに対して供給する
電流密度は2.0A/cm2となる。
31
分配方法(2)は、第3ストリングに対して供給していた電力を、第
1、第2、第4ストリングの間で稼働ローテーションによって分配す
るものである。ある期間においていずれかのストリングが第3ストリ
ングの電力を全て負担し、次の期間において別のストリングが第3ス
トリングの電力を全て負担し、といったローテーションを繰り返す。
不具合発生後において各ストリングに対して供給する電流密度は1.5
または3.0A/cm2となる。電流密度1.5A/cm2は「少配分直列
部」に相当し、3.0A/cm2は「多配分直列部」に相当する。
32
分配方法(3)は、分配方法(2)と同様にローテーションするが、
分配方法(2)とは異なり、いずれか2以上のストリングが第3スト
リングの電力を共同して負担するものである。ある期間にわたる負担
の合計がストリング間で均等となるように、各時点における負担割合
をローテーションによって分配する。この例においては、不具合発生
後において各ストリングに対して供給する電流密度は1.5、2.0、
または2.5A/cm2となる。電流密度1.5A/cm2 は「少配分直列
部」に相当し、2.0または2.5A/cm2は「多配分直列部」に相当
する。
 33
いずれの分配方法を用いるかは、劣化特性にしたがって定めることが
できる。電力分配制御システム14は、劣化特性に基づき、これらの
電力分配を実行した場合の将来の劣化率を試算し、劣化率を最小化す
る分配パターンを選択する。以下では非特許文献1~3が記述してい
る劣化特性データを例として、劣化率の試算例を説明する。 
34
分配方法(1)のように、一定の電流密度(2.0A/cm2)を供給す
る場合については、194mV/h(非特許文献※、あるいは267
mV/h(非特許文献2)といった劣化率の数値が報告されている。
劣化率は電圧上昇率と等価であり、電圧上昇率が高いほど劣化が大き
いことになる。
35
分配方法(2)(3)のように電流密度を変動させる
場合については、非特許文献※において、電流密度2.5
A/cm2
1.0A/cm26時間毎に切り替える動作を約300時間実施し、続い
て3.0A/cm2と1.0A/cm2を6時間毎に切り替える動作を約4
00時間実施した(すなわち合計700時間動作させた)結果、63
mV/hという劣化率の数値が報告されている。これは分配方法(1)
の1/3以下の劣化率である。
非特許文献3の条件は、分配方法(2)(3)と同一ではないものの、
水電解スタックに対して供給する電流密度を一定にするよりも動的に
変化させるほうが劣化率を抑制できるという傾向は、非特許文献2に
おいても報告されている。したがって分配方法(2)(3)は、分配
方法(1)よりも劣化率が低いことが期待される。 
以上より、水電解スタック11の劣化特性を考慮した電力分配制御に
よって、劣化特性を考慮していない場合(=電力増分を等分配する場
合)に比べて、水電解スタック11の劣化率を低減(上記見積によれ
ば1/3以下)することができる。劣化特性データは、以上のような
劣化特性を記述している。電力分配制御システム14は、この劣化特
性にしたがって、電力分配を制御する。例えば劣化特性データは、電
流密度とその切り替え間隔と劣化率の組み合わせをそれぞれ記述して
おり、電力分配制御システム14はそのなかで最も劣化率が小さいと
想定される組み合わせを用いる。 
水電解スタック11の不具合を検知する方法について説明する。既知
の方法としては、各スタックの電圧・電流といった特性値、あるいは
水素発生量などの性能値をモニタリングすることにより、水電解特性
に関する不具合を検知することが可能である。不具合検知部3はこれ
らのパラメータをモニタリングすることにより、水電解スタック11
の不具合を検知する。 
不具合スタックへの電力供給について、スタックの不具合の程度によ
り、以下の場合分けを用いてもよい。
40
(1)不具合の程度が小さく、継続使用可能の場合:
(1-1)不具合発生前における水素製造システム1全体の電力供給
量を、不具合発生後においても維持する。不具合ストリングに対する
電力供給量を不具合発生前よりもやや減少させ、その減少分を正常ス
トリングが負担する。減少量は、不具合スタックの劣化進行を抑制で
きる程度とする(例えば不具合スタックに対して供給する電流密度を
1.0A/cm2とする)。急激に停止させると却って劣化進行する可能
性があるので、正常時よりも小さいが0ではない程度の電力供給量を
維持することが望ましい。他方で正常ストリング間においては、例え
ば図2~図3で説明した稼働ローテーションを実施すればよい;
(1-2)電力インバランスまたはこれにともなうペナルティを許容
できるのであれば、不具合発生前における水素製造システム1全体の
電力供給量を不具合発生後において維持しなくてもよい。この場合、
不具合ストリングに対する電力供給量は、不具合スタックの劣化進行
を抑制できる程度まで減少させ、その減少分は必ずしも正常ストリン
グが全て負担しなくともよい。
41
(2)不具合の程度が大きく、交換が必要な場合
(2-1)不具合スタックに対する電力供給量を経時的に低減する。
急激に完全停止すると、スタックの劣化が急速に進む恐れがあるから
である。経時的に電力を低減しつつ最終的には停止させてもよい。低
減した電力供給量は、正常ストリングにおいて負担する。正常ストリ
ングにおいては、全スタックを稼働させつつ、稼働ローテーションに
より、電力供給量の増加分をスタック間で分担して負担する;
(2-2)不具合スタックに対する電力供給を停止する。動作し続け
ると危険な場合は、電力供給を完全に停止することにより、不具合ス
タックを停止させることが望ましいからである。例えば特許文献1記
載のようなマイクロショート、不具合発生後の焼損リスクなどが生じ
るおそれがある場合がこれに相当する。低減した電力供給量は、正常
ストリングにおいて負担する。正常ストリングにおいては、全スタッ
クを稼働させつつ、稼働ローテーションにより、電力供給量の増加分
をスタック間で分担して負担する。 
42
(補足)不具合スタックの不具合の程度は、不具合を検出する手法に
応じて定義することができる。例えば水素製造能力の低下によって不
具合を検出する場合、製造能力の低下量が大きいほど、不具合の程度
も大きいといえる。あるいは後述の実施形態で説明する健全度を用い
てもよい。不具合の程度があらかじめ定めた基準値未満であれば上記
(1)を実施し、基準値以上であれば上記(2)を実施すればよい。


図4 水素製造システム1の別構成例を示す図
43 図4は、水素製造システム1の別構成例を示す図である。図4に示
すように、1つのDC/DCコンバータ12が2以上のストリングを
制御してもよい。1つのDC/DCコンバータ12が制御するストリ
ングの個数は、全てのDC/DCコンバータ12について同じであっ
てもよいし、DC/DCコンバータ12ごとに異なってもよい。 

図5は、電力分配制御システム14が提示するユーザインターフェー
スの例である。ユーザインターフェースは、例えばディスプレイ上に
画面表示する画面インターフェースとして提示することができる。ユ
ーザインターフェースは、例えば表示画面と制御メニュー画面によっ
て構成することができる。図5においては、制御メニュー上で各スタ
ック/ストリングの状態を表示するメニューを選択した様子を示した。
45
電力分配制御システム14は、表示画面において、不具合スタックの
箇所と不具合の内容を表示する。図5の例においては、ストリングB
の2番目の水電解スタック11(#5)に不具合があること、当該ス
タックからの電圧が異常であること、を示している。さらに、「停止」
ボタンによって、ストリングを停止させることもできる。図5におい
てストリングBは既に停止している。 
電力分配制御システム14は、制御メニュー画面において、ユーザが
選択することができる制御メニューを表示する。図5の例においては
以下の5メニューを例示している:(a)各ストリングに対する電力
配分とその配分によるスタック劣化率の組み合わせを複数提示する;
(b)劣化予測結果に基づく各ストリングへの最適な電力配分を提示
する;(c)水素製造のために今後用いることが予定されている電力
計画を提示する;(d)不具合発生時において水素製造用電力を維持
または変更する場合それぞれにおける各ストリングへの電力配分を提
示する;(e)各スタック/ストリングの状態を表示する。 
47
ユーザインターフェースを提示するに際して、各部は以下のように動
作する:(a)水電解スタック11の劣化率は劣化率試算部145が
劣化特性にしたがって計算する;(b)各ストリングに対する電力配
分は、稼働計画策定部141が策定した稼働ローテーションにしたが
って、スタック動作割当部が各水電解スタック11の動作状態を割り
当てることによって決定する。


【図6】実施形態2に係る水素製造システム1の構成図

【結論】本実施形態1に係る水素製造システム1は、不具合スタック
の箇所、および、水電解スタック11の劣化のしやすさを示す劣化特
性に基づいて算出した水電解スタック11の劣化予測に基づいて、各ス
トリングへの電力分配を制御する。これにより、不具合スタックが発
生した場合であっても、水電解スタック11の劣化を効果的に抑制す
ることができる。
49
本実施形態1に係る水素製造システム1は、不具合スタックを含まな
い正常ストリングにおいて、不具合ストリングに対する電力供給の減
少分を、1以上の正常ストリングが分担して負担するように、稼働ロ
ーテーションを調整する。これにより、不具合スタックが発生した場
合であっても、特定の水電解スタック11のみの劣化が進行すること
を抑制できる。本実施形態1に係る水素製造システム1は、不具合ス
タックの不具合程度が小さい場合は、不具合ストリングに対する電力
供給を正常時よりも減少させた上で、その減少分を正常ストリング間
でローテーションによって分担する。これにより、不具合程度が小さ
い場合は、不具合ストリングもある程度の電力を負担しつつ、正常ス
トリングにおいて稼働ローテーションによって劣化を抑制しながら減
少分を負担することになる。したがって、正常ストリングの負担を過
剰に増加させることなく、不具合ストリングの劣化進行を抑制できる。
 51
本実施形態1に係る水素製造システム1は、水電解スタック11の劣
化特性(例えば分配方法(1)(2)(3)とともに説明した劣化特
性)にしたがって、不具合ストリングの劣化が正常ストリングの劣化
よりも抑制されるように、電力分配を調整する。例えば不具合ストリ
ングに対する電力供給量を減少させ、その減少分を正常ストリングに
おいて稼働ローテーションにより負担する。これにより、不具合スタ
ックが発生した場合であっても、劣化特性に準じて水電解スタック11
の劣化を効果的に抑制することができる。

■ 実施の形態2
図6は、本発明の実施形態2に係る水素製造システム1の構成図であ
る。本実施形態2において、各水電解スタック11は、スイッチ151
を備える。スイッチ151は、水電解スタック11を個別にON/O
FFすることができる。例えば水電解スタック11とスイッチ151
を並列接続し、スイッチ151が水電解スタック11の両端を短絡す
ることにより、その水電解スタック11に対して電圧が印加されない
ことになるので、その水電解スタック11をOFFすることができる。
スイッチ151は電力分配制御システム14が備えるスイッチ制御部
146によって制御される。 【0053】 不具合検知部3が不具合
スタックを検知すると、電力分配制御システム14は、その不具合ス
タックのみをスイッチ151によってOFFする。不具合ストリング
におけるその他の正常スタックは、不具合発生前と同じ状態で稼働継
続する。これにより、不具合ストリングに対する電力供給は、不具合
スタックに対する電力供給がなくなった分だけ減少することになる。
その減少分は、実施形態1と同様に正常ストリングがローテーション
によって負担する。実施形態1と比較すると、正常ストリングに対す
る電力配分の増加分が実施形態1よりも小さいので、正常ストリング
の劣化進行をさらに抑制できる。
54

【図7】スイッチ151に加えてダイオード152を備える構成例

図7は、スイッチ151に加えてダイオード152を備える構成例を
示す。ダイオード152は、スイッチ151ごとに配置され、スイッ
チ151に対して直列接続(水電解スタック11に対して並列接続)
されている。スイッチ151を閉じたとき(水電解スタック11をO
FFしたとき)におけるダイオード152の両端電圧は、水電解スタ
ック11に対する印加電圧と同程度となるように構成されている。
55
電力分配制御システム14は、スイッチ151によって不具合スタッ
クをOFFする。このとき、不具合発生前において不具合スタックに
対して印加されていた電圧は、ダイオード152の両端電圧として印
加されることになるので、不具合ストリングにおけるその他の水電解
スタック11に対する印加電圧は変化しない。これにより、不具合ス
トリングにおけるその他の水電解スタック11に対する印加電圧の変
動を抑制できる。ただし不具合ストリングにおける水素製造量は、不
具合発生前よりも低下する。
 図7においてはダイオード152を用いているが、水電解スタック
11が正常動作しているときの印加電圧を不具合発生時において負担
することができれば、その他の電気的負荷を用いてもよい。

■ 実施形態3
本発明の実施形態3においては、水電解スタック11の健全度をモニ
タリングした結果にしたがって、各ストリングに対する電力分配を調
整する例を説明する。健全度モニタリングは、不具合検知と近い技術
であるが、以下のように区別することができる。不具合検知は、水電
解スタック11の出力電圧・出力電流などの測定値が規定範囲外に逸
脱したことを検知するものである。これに対して健全度モニタリング
は、その測定値が正常範囲内であるとき、水電解スタック11の性能
が健全度100%時からどの程度低下しているかにしたがって、水電
解スタック11の劣化度(または正常度)を監視するものである。ス
トリングの健全度は、そのストリングに属するスタックの健全度の平
均などによって定義できる。 

図8は、本実施形態3に係る水素製造システム1の構成図である。本
実施形態3において電力分配制御システム14は、健全度監視部14
7を備える。その他の構成は実施形態1~2と同様である(図8にお
いては実施形態1と同様の構成例を示した)。健全度監視部147は、
水電解スタック11の健全度を監視する。健全度の例としては、水素
製造の効率(電解効率)などが挙げられる。健全度を表す数値は、新
品が健全度100%になるように規格化される。
電力分配制御システム14は、不具合スタックが発生したとき、正常
ストリングに対する電力配分を、健全度に応じて定める。実施形態1
においては、各正常ストリングが負担する電力配分は、経時変化を合
計すると均等である。これに対して本実施形態3においては、健全度
が高いストリングに対する電力配分を、健全度が低いストリングに対
する電力配分よりも多くする。例えば図3の分配方法(2)において、
第1ストリングと第2ストリングは健全度が100%に近いが、第4
ストリングは健全度がやや低い(例えば90%)と仮定する。この場
合、第4ストリングが負担する電流密度を例えば2.7A/cm2と
し、残りの0.3A/cm2は第1および第2ストリングが負担する
ようにしてもよい。
66
本実施形態3に係る水素製造システム1は、水電解スタック11の健
全度にしたがって、不具合発生時における正常ストリングに対する電
力配分を按分する。これにより、健全度が低いストリングの劣化が抑
制されることになるので、正常ストリングの劣化進行を均一化すること
ができる。 

■ 実施の形態4
図9は、本発明の実施形態4に係る水素製造システム1の構成図であ
る。本実施形態4においては、実施形態1~3で説明した構成に加え
て、マネジメントシステム41と分配器42を備える。マネジメント
システム41と分配器42は、水素製造システム1の一部として構成
してもよいし、水素製造システム1とは別の機能部として構成しても
よい。 本実施形態において、分配器42は、マネジメントシステム
41からの指示にしたがって、再生可能エネルギー発電設備43が発
電した電力を、水電解スタック11に対して供給するかそれとも需要
家44へ売電する(すなわち受け取った電力を送配電系統へ出力する)
かを切り替える。マネジメントシステム41は、例えば両者間の分配
比率を分配器42に対して指示する。 

マネジメントシステム41はさらに、需要家44から各種エネルギー
(電力、熱、水素など)の需要データを収集し、そのデータにしたが
って、エネルギー流通を制御する。例えば、電力需要やそれを反映し
たエネルギーのスポット価格を予測し、電力需要が大きいときは売電
比率を高め、電力需要が小さいときは水素を製造する、などの制御を
実施することができる。これらエネルギーの供給量についても同様に
データを収集し、需要と供給のバランスにしたがって上記制御を実施
してもよい。
64
水素製造システム1からの売電電力が事前申告した計画量に対して増
減した場合(すなわちインバランスが発生した場合)、売電者に対し
てペナルティ料金を課す制度が、多くの国において設けられている。
このペナルティ料金は、電力需要を反映して上下変動する場合がある。
そこでマネジメントシステム41は、不具合スタックが発生したとき、
ルールに準じてペナルティ料金を試算した上で、不具合発生前の売電
量を不具合発生後において維持するか否かを判断してもよい。売電量
を維持する場合(すなわち水素製造量を維持する場合)は、以上の実
施形態で説明した稼働ローテーションなどによって、水電解スタック
11の劣化を抑制しつつ売電量を維持する。 マネジメントシステム
41は、水素の需給データに関しても、需要のひっ迫度合を考慮し、
水素製造量を維持するかどうか(すなわち売電量を維持するかどうか)
を判断してもよい。例えば不具合スタックが発生したとき、水素需要
が大きければ、以上の実施形態で説明した稼働ローテーションなどに
よって、水電解スタック11の劣化を抑制しつつ水素製造量を維持す
る。あるいは需要家の性質上、水素製造量が減ると支障をきたす(例:
製造プラントにおいて一定程度の水素を常時必要とする)場合は、水
素製造量を維持するように分配比率を決定する。需要家が水素貯蔵設
備を有しており、ある程度の水素製造量の変動を許容できる場合は、
水素製造量を維持する要請は小さい。マネジメントシステム41は、
これらの事情に鑑みて、水素製造量を維持するか否かを定めてもよい。
66
 ■ 本発明の変形例
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形
例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説
明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構
成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構
成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、
ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置
換をすることが可能である。 非特許文献1の劣化試験において、電
流密度ゼロの時にも水電解セルには1.4V以上の電圧が印加されて
いるとの記載がある。これは水の電気分解の理論電圧(1.23V)
よりやや高く、電解反応が開始される付近の電圧値である。もし運転
中に電圧を0Vまで低下させると、逆電流が流れ、水電解セルを劣化
させる恐れがある。したがって本発明においては、水電解スタック
11に流れる電流がゼロとなる時であっても、水電解スタック11に
対して電解反応の開始付近の電圧を印加できるように、水電解スタッ
ク11に対する電力供給経路の入口にDC/DCコンバータ12を配
置した。同様の役割は、少なくとも2通り以上の電圧出力が可能な電
力変換器によって代替することが可能である。したがってDC/DC
コンバータ12に代えて、そのような電力変換器を配置してもよい。
68 
本発明は、水電解の逆反応である燃料電池にも適用できる。その場合、
水電解スタック11は燃料電池スタックに置き換わり、電力分配制御
システム14は発電分担制御システムに置き換わり、電力と水素の流
れは逆向きとなる。以上の実施形態において、電力分配制御システム
14およびその各機能部は、これらの機能を実装した回路デバイスな
どのハードウェアによって構成することもできるし、これらの機能を
実装したソフトウェアをプロセッサなどの演算装置が実行することに
よって構成することもできる。不具合検知部3、マネジメントシステ
ム41、についても同様である。 
                                            この項つづく      
--------------------------------------------------------------
※ 特開2023-18241 循環型反応器を用いた無触媒の合成メタン製造技
  術 国立大学法人東海国立大学機構
※ 特許第7216232号 水素充填設備、水素提供システム及び水素提供
   方法 三菱化工機株式会社/那須電機鉄工株式会社
尚、特許番号及び件名並びに申請者のみの記入したものは後日掲載。
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  風蕭々と碧い時代


Jhon Lennone Imagine



【J-POPの系譜を探る:1972年代】
CAROL(キャロル)は、1970年代に活動した日本のロックバンド。
1972年に結成し同年デビュー、1975年解散。メンバーは矢沢永吉(ベ
ース・ボーカル)、ジョニー大倉(ギター・ボーカル)。内海利勝(
ギター・ボーカル)ユウ岡崎(ドラムス)。1970年代前半、吉田拓郎、
かぐや姫などの活躍で興隆するフォーク勢とは対照的に、マイナーな
存在に甘んじていた日本のロックシーンにとって一筋の光明となった
のがキャロルだった[95][96][97]。単なるサブカルチャーでしかなか
った日本に於けるロックという分野も、キャロルの成功によって一気
にその道が開く。それまでのロック・リスナーのメイン層はハイティ
ーンで、長髪にジーパン姿がロック・ファッションの定番であったが、
リーゼントに革ジャン姿のキャロルの登場は、コンサート会場にリー
ゼント族や女の子たちを動員させ、ロック・リスナー層を一気に"女・
子供"までに広げることに成功。日本のロックバンド「HOUND DOG」(
ハウンド・ドッグ)のボーカル、俳優、タレントの大友 康平(1951.
11.01 - )は、「70年代の唄に会いに行く: 日本がいちばん輝いてい
た時代」(週刊現代 2014.05.24)で、次のよう述べている。

 矢沢永吉さんのキャロルが出て来て日本のロックシーンは変わり
 ました。デビュー曲の『ルイジアンナ』がラジオから流れた瞬間、
 日本語でもロックはいけるんだと震えました。当時はめちゃめち
 ゃなミキシングだと批判されていたけど、今聞くとすごく新しい
 し、昔はドラムの音が前面にくるサウンドがなかったので革命的
 でしたね。

また、日本の社会学者、武蔵大学社会学部メディア社会学科教授の南
田勝也(1967-)は、、『ロックミュージックの社会学』で次のよう
に論じている。

 1960年代中後期のロック生成期において、ロックンロールとロッ
 クを隔てる最大の要因はアート指標の有無にあったが、キャロル
 はその時期を参照体系にしないで済ませた。1950年代から1960年
 代前期にかけてのロックンロールの価値観ーすなわち肉体、タフ
 ネス、成功への欲望などーに基づいたアメリカン・ドリームの幻
 想をダイレクトかつ戯画的に日本の1970年代に現出させたのがキ
 ャロルという存在だった。この方法論は何度でも通用するわけで
 はなく、その戯画的なイメージには一定の真実味がもたされなけ
 ればならない。その点で矢沢永吉は、著書『成り上がり』という
 タイトルが示すように、過酷な生い立ちに対する反骨の意志を動
 力にするという物語―極端なまでのすさんだ境遇の描写が逆に真
 実味を帯びるようなリアリティ感覚―を可能にするキャラクター
 だった。だからこそ、矢沢及びキャロルは、1970年代という時期
 にメジャー化したうえで、『ロックである』との認証を得たほと
 んど唯一の存在になり得たのである。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)さぁ!自信をもって進もう。

久しぶりに本格的な特許調査と事業開発の研究を始めだしたうえに、WBC
の決勝戦観戦で朝から夜まで、ヘトヘト状態。







 

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さぁ!自信をもって進もう。

2023年03月18日 | デジタル革命渦論

 
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」。



昨夜10時放送の最終回『大病院占拠』が終了する。何故か視聴者を引
きつける番組なのだが、時間帯が悪いのか見逃し大半ハラハラ、ドキ
ドキがだけが残り、筋書きの了解なき残り、主演の武蔵三郎役の桜井
翔と青鬼/大和耕一役の菊池風磨の技量が印象が残る(武蔵/大和と
はあの玉砕地位没した戦艦が「非勧善懲悪ドラマ」の意図している。
ところで、「P2計画」の全貌のシーンは見逃しているので最終回だけ
では"一知半解状態"(現実場面でも経験する「和かった風な態度・行
動」)。



そこでネット・サーフするとP2計画とは、感染症対策に強い関心を抱
くようになった長門(筒井真理子)が、極秘に進めていたワクチン開
発計画のことだった。長門は1年前に界星堂病院を設立し、その地下
4階に密かに研究所を設置。ホテルオシマで死亡した3人は、研究過程
でウイルスに感染して死亡。その上、長門はその中の一人・琴音(上
西星来)の遺体をワクチン開発のサンプルとして地下4階に冷凍保存。
琴音は相模(白洲迅)の婚約者だった。青鬼・耕一(菊池風磨)は、
その3人が感染したウイルスと同じものを長門に注入して長門を解放。
そのウイルスは、周囲に感染が広がれば、最悪の場合日本全国で15
万人以上が死亡するウイルスだった。耕一は自分にもそのウイルスを
注入し「問題です。目の前であなたの愛する人が死にかけています。
ですが、あなたの愛する人が死ねば日本国民1億2000万人が助かります。
あなたならどちらを選びますか? 愛する人の命か、1億2000万人の
命か」と国民に問う。そして「愛する人が多ければ私の勝ち。1億2000
万人の方が多ければ知事の勝ち。勝った方の命が助かります」と言い、
抗ウイルス薬を見せる。(via:<大病院占拠>感動の「ウソだろ」
からのまさかの展開 視聴者も「ウソだろ」(ネタバレあり)(MANT
ANWEB)- Yahoo!ニュース) 

さて、「P2計画」については理解できた。が、物語のラストで、武
蔵が家族で過ごしているシーンが描かれ、穏やかな生活が戻ってきた
かのようなシーンが流れ後、シーンが切り替わり、ある1通のメールが
映し出された。それは「ありがとうございました blue(青鬼送信を
意味する)」と書かれたメール。駿河(捜査支援分析センター(KSBC)
の情報分析官宮本茉由)はそのメールを削除し、眼鏡を外してニヤリ
と笑い、(エンドレス)シーン・ループを閉じる。



※大病院占拠』(This hospital is like a birdcage)は、2023年1月14日か
ら3月18日まで日本テレビ系「土曜ドラマ」枠で放送されたテレビドラ
マ。主演は櫻井翔。 同枠で放送され、シリーズが2作製作された『ボ
イス 110緊急指令室』の制作陣が集結して製作されている。鬼の面を
被った謎の武装集団によって占拠された大病院で、休職中の刑事が、
人質を救うため犯人に立ち向かうオリジナルのサスペンスドラマ。

※百鬼夜行:いろいろな妖怪が夜にひしめき歩くこと。転じて、多く
の悪人や怪しい者が勝手気ままにふるまうこと。
使用例viaトバンク
➲宇宙は永久に怪異に充みちている。あらゆる科学の書物は百鬼夜行
絵巻物である。それをひもといてその怪異に戦せん慄りつする心持ち
がなくなれば、もう科学は死んでしまうのである[寺田寅彦*化物の
進化|1929]
➲あなたもそろそろ、眼が見えなくなって来たようだから、それだ
け、あなたのなかに住んでいる、いろいろな化物は、横行し出すはず
よ。つまり百鬼夜行ですよね[円地文子*花食い姥うば|1974]

     

 

 
【再エネ革命渦論 100: アフターコロナ時代 299】

 

● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
”再エネ・リサイクル・ゼロカーボン最先進国”宣言!
【水素サーキュラーシステム編:水素燃料電池発電Ⅱ】
最新クリーン燃料電気航空機向けの燃料電池システムの方法及び装置
の参考事例として3件掲載する。








✔「再エネ革命渦論 96」(持続可能な製造能力③ 2023.3.6)で掲載
した、超高速水透過と脱塩を両立するフッ素化ナノチューブ技術や、
同じく、「大型航空機用燃料電池が離陸?」(2023.3.18)での Zero
Avia
社の高温陽子交換膜 (HTPEM) システム、アデレード大学の非金属
触媒などの知見なども考慮し、低コストで高密度電力、耐久性の水電
解水素製造システムが2030年までには実用化されているでしょう。


図:ダイヤモンド基板にフェムト秒レーザーパルスを1 回照射するだ
けで、NV 中心をミリメートルサイズで形成することを実現。

パルス1回の照射でNV中心を広域に形成
超短時間でダイヤモンドを超高感度量子センサに
3月14日京都大学と東海大学の研究グループは、ダイヤモンド基板に
フェムト秒レーザーパルスを1回照射するだけで、窒素-空孔(NV
中心をミリメートルのサイズで実現。
現在は、"第二次量子革命渦期”に突入している。量子力学の原理を
利用し、さまざまな物理量を高精度に計測できる「量子センサ」の研
究開発が劇的に進行。原子や分子レベルの小さな物体の挙動を観測す
ることで、現状のセンサーでは計測できなかった微弱な信号や生体内
の活動などを調べられる。大学などの研究機関だけでなく民間企業の
参入も広がり、自動車業界などに向けた量子センサの販売も始まって
いる。


図1.(a) フェムト秒レーザーパルスのパルス照射回数、フルーエン
スを変えてダイヤモンド基板に照射するための測定系。(b)照射位置
でのビームスポットの画像。(c) ダイヤモンド基板上にフルーエンス
を変えながら照射した後に観察した発光画像。各画像ともパルス数は
1 回ずつ照射。

図2.ダイヤモンド基板に直径1.1 mm のスポット径を持つレーザー
パルスを1 回照射した試料の表面観察結果. 位置を確認しやすくする
ため、基板の写真を背景に表示。

量子センシングでは物質中のスピンや原子気体を量子センサとして利
用するが、周囲の環境に影響を受けやすく、その挙動を観測すること
で高精度なセンシングを実現。スピン演算に用いる量子コンピューテ
ィングでは、この不安定さが正確な演算の妨げになっているが、量子
センシングはそれを逆手にとり優れた機能を発揮する。
さて、高感度、高空間分解能をもつ、ダイヤモンド中のNV中心を用い
た量子センサは、センサとして用いるNV中心の数を増やすほど感度が
上がり、室温で超伝導量子干渉計並みの高感度を実現できる。
【展望】
今回は大面積領域におけるNV 中心の作成を実証しましたが、今後は3
次元的に広い領域での作製実証を目指す予定です。更にそれを用いた
量子センサの高感度化も実証していきたいと考えています。ダイヤモ
ンドを用いた高感度量子センサは、極めて高い感度が要求される分野、
例えば医療機器、化学分析や、素粒子探索研究への応用など、幅広い
分野での適用が期待されている。
【書誌情報】
Masanori Fujiwara, Shunsuke Inoue, Shin-ichiro Masuno, Haining Fu, Shigeki
Tokita, Masaki Hashida, Norikazu Mizuochi (2023). Creation of NV centers
over a millimeter-sized region by intense single-shot ultrashort laser irradiation.
APL Photonics, 8(3):036108.
https://doi.org/10.1063/5.0137093

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※量子センシング:量子効果を利用して物理量を計測する手法であり、
 量子そのものを計測するわけではない。従来の計測手法よりも量子
 効果を利用することにより高感度化が期待できる。極低温に冷却す
 る必要がある機種も存在する。
※ジョセフソン接合:典型的には厚さ2~3 nm以下の絶縁体を2枚
 の超伝導体により挟んだサンドイッチ構造を有する超伝導体を利用
 した微小接合素子のこと。絶縁体層が非常に薄いため、量子トンネ
 ル効果により接合間をクーパー対(超伝導状態の材料における電子
 対のこと。超伝導状態では必ずペアで運動する)が透過し、その結
 果、接合間を流れるトンネル電流には超伝導状態の特性が鋭敏に反
 映される。その特異な伝導特性はジョセフソン効果と呼ばれ、超伝
 導デバイス応用の基礎を与える。



※超伝導量子干渉計:via Wikipedia
超伝導量子干渉計 (superconducting quantum interference device, SQUID)
とは、ジョセフソン接合を含む環状超伝導体に基く、極めて弱い磁場の検出
に用いられる非常に感度の高い磁気センサの一種である。 SQUID は数日
かけて平均しながら計測すれば、5 aT (5×10−18 T) もの弱い磁場も検出で
きるほどの感度を誇る。ノイズレベルは 3 fT/(Hz1/2) という低さである。
比較に、典型的な冷蔵庫マグネットの作る磁場の強度を挙げると 0.01 テス
ラ (10−2 T) 程度であり、また動物の体内で起こる反応により発せられる磁
場は 10−9 T から 10−6 T 程度である。近年発明されたSERF原子磁気セン
サは、潜在的により高い感度を持っているうえ低温冷却が必要ないが、サ
イズ的にオーダーが一つほど大きく (~1 cm3)、かつほぼゼロ磁場下でしか
作動できないという欠点がある。


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温度によらず必要な時に力を加えて熱を取り出せる新規合金
日中に蓄えた熱を夜間に効率的に放出する等、蓄熱システムの中核技
【要点】
1.材料の蓄熱と放熱を外力で制御する技術を開発
2.任意の温度で、新規開発合金に蓄えた熱を取り出すことに成功
3.廃熱の有効利用でカーボンニュートラル実現に貢献

3月8日、産業技術総合研究所は、TiNi系相変態合金を用いることで、
従来、蓄熱・放熱ができなかった温度域で動作できる蓄熱材料の作製
手法を開発。蓄熱材料としての用途を開発してきました。これまで
蓄熱材料は、例えば水と氷のような液体と固体の相変化が利用されて
きた。しかしこのような相変化材料は、用途に合った動作温度に変え
ることが難しく、また吸熱と放熱の温度差が小さいため、高温で蓄熱
しても直ちに放出し、実際に利用したい低温まで保持できない。一方
TiNi系合金を昇温すると、固体のまま結晶構造が低温相から高温相に
相変態。また、高温相は人間の力程度の応力(数十kg程度の物体を持
ち上げる力)を加えることで低温相へ相変態可能です。相変態は潜熱
による自発的な吸・放熱を伴うので蓄熱に利用できるが、これまでの
TiNi系合金では、実用に要求される大きな潜熱が得られなかった。ま
た、吸熱と放熱の温度差による制御もできなかった。


図1.(上)応力で熱を取り出す際のイメージ図。(下)昇温により
 合金に蓄えた熱を温度が下がった際に、コイルに力を加えることで
 取り出せる。


図2.冷間圧延後に各温度で大気中、1時間の熱処理を行った試料の
DSC曲線。加熱時の高温相へ変態終了温度(▼: T3)と降温時の低温
相へ変態開始温度(▲: T2)が未処理材に比べて変化している。


図3 冷間圧延後、400 ℃で1時間の熱処理を施した合金に引張変形を
与えた場合の試料温度変化。試料は一旦60 ℃まで昇温することで蓄
熱したのち(加熱時の変態終了温度は42 ℃)、13 ℃まで降温させた。
【展望】
今後は目的に合わせて動作温度調整できるように、合金設計、加工熱
処理の最適化を進め、また、蓄熱部材としての可搬性やモジュール化
あるいは、応力動作に有効となる形状への加工自由度を活用し、コイ
ルや薄板などの種々の形状への加工による部材化を目指す。

大気中かつ室温での太陽電池の作製を実現
   低コストで簡便に太陽電池の製造が可能に
3月14日、京都大学の研究グループは、素材のSiウェハから大気中か
つ室温の工程のみで太陽電池を作製することに成功し10%を超える発
電効率を得た。作製した太陽電池は、PEDOT:PSS/Siヘテロ接合太陽電
池であり、この有機-無機ハイブリッド太陽電池では、従来のSi太陽
電池と異なり、不純物濃度の高いSiウェハを用いても発電が可能であ
ることを見出しました。それによって、電極の実装条件を大幅に緩和
することができた点が要因です。この手法は、簡便で低コストかつ高
生産速度な太陽電池の作製を可能とし、開発途上国や教育現場などを
含む幅広い用途に活用できるものと期待されます。

【展望】波及効果、今後の予定 本研究より創出された技術は、現状
において太陽電池の生産コストや生産速度面のネックとなっている、(
ク リーンルームや大型製造・加工機器といった)高温加熱、真空(
調整ガス)雰囲気中での製造工程を省略する ことができるようにな
り、これにより、高速・簡便に、低コストにて太陽電池を生産するこ
とが可能となり、太陽光発電の大規模普及につながる。さらに、過疎
地域や発開発途上国、あるいは、教育現場などを 含む幅広い用途に
活用できるものと期待されます。今後は不純物や添加物濃度の詳細な
最適化、また、光閉じ込め構造の導入などにより、更なる性能の向上
を目指していく。 

大気中かつ室温での太陽電池の作製を実現―低コストで簡便に太陽電池の製造が可能に―

【関係論文】
1.原題:“An all ambient, room-temperature processed solar cell from a
     bare silicon wafer”;素のシリコンウェハから大気中、室温で作製さ
   れた太 陽電池
2.DOI:10.1093/pnasnexus/pgad067 
3.掲 載 誌:PNAS Nexus
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 酸化スズの新しい結晶多形の合成に成功
  
  ➲人工光合成への応用に期待
3月16日、東京工業大学らの研究グループは、酸化スズの新しい結晶
多形
である、直方晶[用語2]の四酸化三スズ(Sn3O4)の合成に成功。
以前から、可視光を吸収して光触媒活性を示す安価で安定な酸化物半
導体が求められてきた。近年、そうした酸化物半導体の一つとして単
斜晶[用語3]のSn3O4が報告され、可視光照射下で水から水素を生成す
る光触媒機能をもつことが確認されている。一方、本研究で合成に成
功した直方晶Sn3O4は、単斜晶Sn3O4よりも幅広い可視光を吸収するこ
とができる。この直方晶Sn3O4は、光吸収によって生成した電子の還
元力が強いため、二酸化炭素を還元できる光触媒として、人工光合成
への応用が期待できる。 本研究では、直方晶Sn3O4を温和で簡易な水
熱法で合成することができた。さらに、水熱法の条件のうち、反応容
器内の気相酸素量を制御することで、結晶多形を作り分けることに成
功した。こうした水熱法の知見は、酸化スズの合成にとどまらず、こ
れまでに報告例のない結晶多形や新物質の合成につながることも期待
される。 本研究成果は、ドイツ化学誌「Angewandte Chemie International
Edition
」にて、オンライン版が3月13日に掲載された。


図1.直方晶Sn3O4の結晶構造(c軸方向の投影図、グレーの球がスズイオ
  ン、赤の球が酸素イオン)
【要点】
1.簡易な水熱法で直方晶の四酸化三スズ(Sn3O4)の合成に成功。
2.従来の酸化スズよりも幅広い可視光を吸収することが可能。
3.二酸化炭素を還元できる光触媒として、人工光合成などへの応用に期待。


図3.液占有率80%で合成した物質のEDSマッピング像(a)と、原子分解能
の高角度環状暗視野STEM像(b) 

【展望】  本研究では、SnPb2O4との類似性からSn3O4の結晶構造を直方晶
に帰属させたが、正方晶1]の結晶構造と極めて近いため、今後は結晶性の
高い試料の合成を試みて、精密な結晶構造解析を行う予定である。 また、
本研究の直方晶Sn3O4は、温和で簡易な水熱法で合成することができた。今
回、直方晶Sn3O4の合成成功のポイントになったのは、水熱反応条件におけ
る原料溶液の容器占有率や気相部分の酸素濃度だった。ここから得られた、
気相の酸素量がSn3O4の結晶生成・成長に大きな影響を及ぼすという知見
は酸化スズの合成だけでなく、他の酸化物の新しい結晶多形や新物質の合
成にも役立つことが期待される。
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『地域脱炭素概論:川崎市編』
※「脱炭素先行地域」の選定など2050年カーボンニュ-トラルを目指す中
で、地方自治体でも本格的に脱炭素に取り組むところが増えている。日
本の製造業の心臓、カーボンニュートラルヘまい進 川崎市は、
政令
指定都市の中で一番多く二酸化炭素を輩出している自治体だ。人

は1,538,825人(2022年1月1日時点)で百万人をゆうに超える巨大都

であり、沿岸部には日本の製造業の中心ともいえる川崎コンビナー

トが広がる。川崎市も他の自治体同様、力-ボンニュートラルを進め
ているが、工業地帯を抱えているため二酸化炭素の削減は大きな問題
だ。同市はどのようにその問題を解決じていくのか・・・。
※環境ビジネス 2023年春季号

地域産業で主要産業が工業のウエイトが大きい川崎市は二酸化炭素排
出量も多いのだろうか(下表参照)。

票1 川崎市製造品出荷額等ランキング 2018年


表2.川崎市温室効果ガス排出量の政令市ランキング 2020年度

首都圏中心部に位置し、京浜工業地帯の中核として日本経済の発展を支
えてきた川崎市。 2020年に脱炭素戦略を策定した同市は、『川崎カーボン
ニュートラルコンビナート構想』を掲げ、 産業都市として日本のカーボンニ
ュートラルヘ大きなインパクトを与えるべく、取り組みを推進する。

川崎臨対顔が説炭素への起点
世界の動きと連動し、日本国内でも多くの自治体で脱炭素へ向けた取
り組みが進む。川崎市でも2020年2月に“2050年のC02排出実質ゼロ"
を表明。2022年3月には「川崎市地球温暖化対策推進基本計画」を策定
し脱炭素化ヘの取り組みを加速する。同市では、2030年度までの温室
効果ガス削減目標を市全体で50%(2013年度比)としており、5大プロジ
ェクトとしてく再エネ〉〈産業系〉〈民生系〉〈交通系〉く市役所〉の部門ごと
に細かな計画を立てて進めている。
化学工業及び石油製品・石炭製品製造業の製造品出荷額で政令指定
都市1位の川崎市。 二酸化炭素排出量の約7割が産業系からの排出とz

なっている。
同市・環境局脱炭素戦略推進室の加藤剛史氏は「世界の社会・ビジネス
が脱炭素へ移行するなか、京浜工業地帯の中核として日本経済をけん引
する川崎市が、脱炭素社会の実現を目指すことの役割と重要性は非常に
大きいと語る。
同市において非常に重要なエリアと言えるのが川崎臨海部。石油、化学、
鉄鋼、電気など、化石資源を燃料・原料とする産業や発電所が巣積するコ
ンビナートエリアで首都圈への重要なエネルギー供給拠点ともなっている。
 「川崎市の製品出荷額の4分の3が、このコンビナートから生み出される一
方で、市内の二酸化炭素排出量の4分の3も、ここから出ています」と臨海
部国際戦略本部の篠原顕氏。川崎臨海部のコンビナートから生まれるエ
ネルギーや製品をカーボンニュートラルなものにしていくことは、同市だけ
でなく首都圏にとっても大きな意味を持つ。将来的には日本のカーボンニ
ュートラルにとっても非常に重要なことになるので、まずは、ここが脱
炭素への起点となって
いくと説明する。


出所:川崎市

2050年の目指すぺきコンビナート像
同市では2022年3月、2050年の目指すべきコンビナート像を描いた『
川崎
カーボンニュートラルコンビナート構想』を策定した。同構想の
コンセプトは
大きく3つ。1つは〈水素〉。原油や液化天然ガス(L
NG)に替わる二酸化炭素フリーの水素等
を海外から受入れ、水素を
軸としたカ
-ボンニュートラルなエネルギーを首都圏に供給していく。
川崎市では2015
年に全国に先駆け『川崎水素戦略』を策定し、水素の
利活用に関する先導的
な取り組みを実施してきた。ブルネイから海上
輸送した水素を発電利用する
実証事業(2021年3月終了)や、 レゾナ
ック(旧昭和電工)川崎事業所で使用済みプラスチックから製造した
水素をパイプラインで川崎キングスカイフロント東急REIホテルまで
輸送、ホテル内の電気や熱として使用する実証(2022年3月終了)など
も実施している。
2つ目は〈炭素循環〉。首都圏の廃プラや臨海部内外のC02など、
再資源化可能な炭素資源から素材・製品を製造する、炭素循環型コン
ビナートの形成を目指す。
そして、3つ目のコンセプトはくクリーンエネルギーのネットワーク
形成〉。将来的に生み出されるC02フリーの電気や水素をエリア内
で効率的に共有し最適化。カーボンニュートラルなエネルギーが安価
に安定的に手の届くエリアを目指すことで、脱炭素を目指す企業が集
まってくるような産業地域を実現していく。
同市では構想の実現へ向け、新たな官民協議会を立ち上げ、企業間連
携によるプロジェクトを推進。また、地域間連携でも2022年7月、隣
接する横浜市と水素等の次世代エネルギーの利活用拡大に向けた協定
を締結。さらに、2023年 1
月には、世界経済フオーラムが主導する『産
業クラスターのネットゼロ移行。イニシアティブ』に、川崎カーボン
ニュートラルコンビナートとして日本で初めて参画(市内立地企業14
社が賛同)した。同イニシアティブはカーボンニュートラルの実現へ
向け、国際的なクラスター間のノウハウ・知見を共有し、協業による
ネットゼロを目指すもの。
国際的な情報の収集と、オールジャパンとしてアピールする上での情
報発信、両面で参画を決めた。

2050年にも輝く産業エリアに
川崎市地球温暖化対策推進基本計画」の推進にあたり、川崎市では条
例の改正、新たな制度の実施へ向けた検討を進めている。
150万の人口を擁し、エネルギーの大量消費地でもある同市では 産業
部門だけでなく民生部門でも取り組みを進めることが重要だ。
民生部門では、「建築物太陽光発電設備等総合促進事業」として、住
宅用・事業用の建築物への太陽光発電設備の設置を促すとともに産業
部門においては、「事業活前説炭素化取組計国書・報告書制度」の導
入に向けて取組を進める。
2050年へ向けては、「カーボンニュートラルをコストではなくチャン
スと捉え、新しいビジネスを生み出すことが、国内だけでなく国外に
対しでも訴求できるような産業への変革に繋がります。
2050年のカーボンニュートラルは国策でもありますので、そうなった
社会でも、川崎市の産業エリアが引き続き輝ける存在であるよう、市
として支援していきたい」と篠原氏。
一方「川崎市ぱ住工共生のまぢ」と話す加藤氏。「川崎市は、大企業
だけではなく、内陸部の多くの中小企業にも支えられています。カー
ボンニュートラルが進んだ世界でも、そうした中小企業がしっかり立
地し機能していけるまちであれるよう、取り組んでいきたいと川崎市
は話す。


 
  風蕭々と碧い時代


Jhon Lennone Imagine



【J-POPの系譜を探る
1970年代
忌野清志郎&仲井戸麗市  『宝くじは買わない』
「宝くじは買わない」は、RCサクセションのデビューシングル。1970年3月5日
発売。発売元は東芝音工。ハ長調。作詞&作曲は忌野 で作詞は 肝沢幅
一との共作。RCサクセション(RC SUCCESSION)は、忌野清志郎を中心と
して結成された日本のロックバンド。「King of Rock」「King of Live」の異名
をとるなど「日本語ロック」の成立、現在日本で普通に見られるロック・コン
サート、ライブ・パフォーマンスのスタイルの確立に大きな影響を及ぼした。
1991年より無期限活動休止状態に入ったまま復活することはなく、2009年
に忌野の
死去しにより、事実上バンドは解散。
 1951年〈昭和26年〉4月2日 - 2009年〈平成21年〉5月2日)は、日本
のロックミュージシャン、俳優。本名:栗原 清志。
血液型A型。 RCサクセションを筆頭に、忌野清志郎 & 2・3'S、忌野
清志郎 Little Screaming Revue、ラフィータフィーなどのバンドを率い、
ソウル・ブルースを下地にしたロックサウンドを展開。そのステージ
上における圧倒的な存在感と、1983年に発表されたRCサクセションの
ライブアルバム「THE KING OF LIVE」の印象から、ザ・キング・オブ・
ロックの異名を取った。アニメ監督の西久保瑞穂は従弟、消しゴムハ
ンコ作家の百世は娘にあたる。



仲井戸麗市  『アメリカン フットボール』
https://youtu.be/4RHSWoOo7xo
東京都新宿区生まれの新宿育ち。実家は印刷業を営んでおり、従業員
の「クボさん」が昼休みにギターやウクレレを弾き歌っていたのに興
味を持ち、ギターを始める。新宿の喫茶店で開かれていた「グリンカ
マンドリンクラブ」でクラシックギターを松浦先生に3年間習う。ス
テージ・ネームの「麗市」は彼が敬愛するフォーク・シンガー、ドノ
ヴァン・フィリップ・レイチのファミリー・ネームから取った(ただ
し以前は「Reiichi」「れいいち」とクレジットされていた)。妻は
写真家のおおくぼひさこ。 10代前半でビートルズ、エレクトリック・
ギターと出会う。ブルースやソウルの偉大なミュージシャンたちに深
く傾倒し、ギター演奏やボーカルスタイルに影響を受けている。ソロ・
ミュージシャンとしての活動と並行して取り組んでいるポエトリーリ
ーディング(詩の朗読会)も活動の柱の一つである。 文筆家であり、
発表作品のライナーノーツには、長めの文章を仲井戸自身が書き下ろ
すことがよくある。


破廉 ケンチ(はれん けんち、1951年9月19日 - )は、日本のフォー
ク、ロックミュージシャン。本名 桶田賢一。RCサクセション時代の愛
称は「ケンちゃん」。九州出身。中学時代に国分寺市立第三中学校に
転校し、忌野清志郎、小林和生らと出会う。1966年に忌野、小林と共
にバンド「ザ・クローバー」を結成。ザ・クローバーは後の1968年に
RCサクセションとなる。主にアコースティック・ギター(リード)を
担当。コンサートでの毒舌は忌野と双璧をなしていた。RCのセカンド
アルバム「楽しい夕に」には彼の数少ないソロ・ヴォーカル曲「忙し
すぎたから」が収録されている。 RCの不遇時代には福生で三浦友和と
同居していた。次第にバンドがそれまでのアコースティックサウンド
から、エレクトリック・ギターを前面に押し出したサウンドへと移行
する中、1976年頃にはエレキに上手く順応することができないことな
どから鬱状態となり、アルバム『シングル・マン』リリース後、RCを
脱退した。その後は加藤和彦のマネージャーなどを歴任・存命。

●今夜の寸評:(いまを一声に託す)さぁ!自信をもって進もう。


コメント
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電力・通信ワイヤレス融合

2023年02月27日 | デジタル革命渦論

 
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」

【今夜の新商品カタログ】



化粧品:日本臓器製薬手荒れ防止ゆずローション
塗るとすぐサラサラになり食材・食器にさわれ、水仕事前や水仕事中
にも使えるローション。 ゆずの村 高知県うまじ馬路村のゆずを使用
しています。
成分:水、ユズ種子エキス、エタノール、ヒアルロン酸Na、ユズ果実
油(ゆずから取った天然の香り成分)、グリセリン、アルギン酸Na、
キサンタンガム、安息香酸Na、フェノキシエタノール


シルクのようなやさしい肌あたりながら、十分な水圧で約50%もの節
水を実現。肌が敏感な方やお子様にもおすすめです。散水板の穴の大
きさ、配置、水流の速度などを徹底的に研究し、シルクのような肌ざ
わりの快適な水流を実現しました。やさしい肌あたりで、汚れをしっ
かりと洗い流します。特に肌が敏感な方や、お子様に合わせて設計し
ています。 シルクタッチシャワーⅡ(STA-2B) - arromic
  
   


 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
   
【再エネ革命渦論 93: アフターコロナ時代 294】
量子電池を考察を進めることで微弱信号を情報通信だけでなく電送電
源として通信中もその逆の通信しない場合も最大蓄電量にまで自動(
自働)的に受電出来るシステム関してその結果を掲載する。尚、電波
による(身体や生態系への)電磁派障害や本システム起因事故(火災・
漏電・爆発など)を限りなくゼロを求めて開発・完成させるものであ
る。
わたしの記憶ではこれに関係する研究・開発は2000(平成12)年から
に活発化してきた(正確には2010(平成22)年頃、パンデミック対策
の始まりと同じ時期)。例えば、2021(令和4)年度の総務省による「
令和四年度から新たに実施する電波資源拡大のための研究開発の基本
計画書(案)」によると次の3つの計画案が提出されている。

1.空間伝送型ワイヤレス電力伝送の干渉抑制・高度化技術に関する
 研究開発
2.周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発
3.テラヘルツ波による超大容量無線 LAN 伝送技術の研究開発 

つまり.第1計画案の目標として、「モバイル機器や多数の IoT 接
続デバイスへの屋内外における空間伝送型ワイヤレス給電に伴って生
じうる他の無線システムに対する干渉問題を抑制し、干渉抑制・高度
化技術を確立することで、周波数の有効利用に資することを目的とす
る」と記されている。
【関連情報】
※「無線給電」実用化に動き出すニッポン、世界と1.5兆円市場争奪戦
 が始まった,ニュースイッチ by 日刊工業新聞社, 2021.11.11
”有線ケーブルを使わずに電気を供給する「無線給電」技術の実用化
 に日本が動き出す。総務省は2021年度内にも3帯域で専用の電
 波を割り当てる方針。電気はケーブルで伝わるという常識をくつが
 えす無線給電技術は日本や米国、中国が開発にしのぎを削る。10
 年後に1兆5000億円を超えるとされる世界市場の争奪戦が始ま
 った。


出所 丸文とオシア

※ ワイヤレス送電システムでいつでもビーコン
丸文は無線で電気を飛ばす無線給電の機能を組み込んだセンサーキッ
トを米ベンチャーのオシアと共同開発した。顧客が自社のシステムに
センサを接続すれば無線給電の評価試験を行えるようになる。従来は
顧客自身がプログラムを組んで試験する必要があった。無線給電に関
しては総務省が近く規制を緩和するとみられ、国内でも関連市場の拡
大が期待される。顧客の評価も進むとみられることに対応する。
センサーキットに組み込むのはオシアの無線給電技術「Cota(コ
タ)」。顧客がキットを自社のシステムにつなげると、センサーは感
知した温度や湿度などの情報を本体側に伝える。有線ケーブルなしで
電力を送れるほか、センサーの動作制御の様子をモニターで確認もで
きる。今月から順次提供を開始し、2022年4月には一般にも提供
する。無線給電技術の評価に関する顧客の負担を軽減することで、工
場や倉庫、小売店など幅広い分野でコタ技術の採用につなげたい考え
だ。コタは10メートル以内のデジタル機器などに無線で電力を送る
ことができる。送電側がビーコン信号を利用して給電ルートを検出し、
受け取り側に焦点を合わせる方式を取る。受け取り側が移動しても充
電できる。 ※ WO2023014444A1 ワイヤレス送電システムでいつでもビーコン
【要約】 
図2のごとく、ワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス電力伝送
システムからワイヤレス電力を受け取るように構成されたワイヤレス
電力受信機クライアントから配信され、それによって開始される符号
化されたビーコン信号を受信する。 また、ワイヤレス電力伝送システ
ムは、ワイヤレス電力をワイヤレス電力受信機クライアントに供給し
同時に、追加のワイヤレス電力受信機クライアントから配信され、開
始された追加のエンコードされたビーコン信号を検出することで、ワ
イヤレス電力伝送システムを操作するためのシステムおよび方法を提
供する。

図2.
※ 総務省は21年度中にも省令改正で920メガヘルツ(メガは
100万)、2・4ギガヘルツ(ギガは10億)、5・7ギガヘルツ
を無線給電に割り当て、屋内での利用を認める見通し。日本でも企業
や大学の技術開発が加速している。 
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特許第5963765号 量子電池 2011.10.30
【要約】
第1の金属電極と、 絶縁性物質で覆われ、電圧を印加することにより
電子を捕獲して充電するバンドギャップ中のエネルギー準位を有する。
n型金属酸化物半導体からなる充電層と、p型金属酸化物半導体層と、
第2の金属電極と、を順に積層して構成され、前記第1の金属電極と前
記第2の金属電極のいずれか一方が、酸化防止機能を有する金属電極
であること、 を特徴とする繰り返し充放電可能な量子電池。  特許5963765-繰り返し充放電できる量子電池 図000017
半導体テスター用プローブカードの大手企業として知られる日本マイ
クロニクスが、新構造の二次電池「バテナイス」の実用化に向けて開
発を加速している。バテナイスは、リチウムイオン電池などの化学電
池や、電気二重層キャパシタなどの物理電池を上回る特性を持つ“量
子電池”だという。

via  化学電池と物理電池を超える“量子電池”、「バテナイス」とは
電気自動車; MONOist 特開2021-090309 無線送電器、および無線受電器
【要約】
図3のごとく、無線送電器が、電波を送信するアンテナと、このアン
テナにより送信される電波の位相を変える移相回路と、少なくとも
移相回路を制御する制御装置と、バックスキャッタ信号を受信するバ
ックスキャッタ信号受信機と、を備え、前記制御装置は、前記無線送
電器が受信するこれらのバックスキャッタ信号の強度が最大になるよ
うに前記移相回路を制御する位相最適化処理を実行することで低消費
電力で、受電電力を向上させる無線送電器を提供する。
--------------------------------------------------------------
※ 関連論文
分散マイクロ波ワイヤレス給電システムのシミュレーションと実装
【要約】

近年、モノのインターネット(IoT)デバイス向けのマイクロ波電力伝
送(MPT)が活発に研究されています。分散マイクロ波電力伝送(DMPT)
は、比較的広いエリアに分散配置された複数の送信アンテナを協働さ
せることで効率的に電力を供給することができる。この記事では、レ
イトレースベースのモンテカルロシミュレーションを使用してDMPTの
利点を示す。さらに、位相を最適化するためのアルゴリズムが提案さ
れ、その収束について議論される。さらに、後方散乱ベースの閉ルー
プシステムを用いたDMPTの実装が提案されている。このシステムは、
オープンソースプラットフォームのGNU Radioを使用して構築され、
実験結果から提案システムの有効性が示された。
【鍵語】マイクロ波給電,ビームフォーミング,無線IoT


図2.マイクロ波給電受信電力と送電距離の関係
Titol:Simulation and Implementation of Distributed Microwave Wireless
Power Transfer System 

Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE) 
DOI10.1109/tmtt.2022.3142259 2022.2

量子電池は、量子状態から作られたデバイスであり、エネルギーを高
速かつ効率的に貯蔵および放出するため、将来の技術的応用に多くの
可能性をもたらす。「量子もつれ」充電----バッテリー内部のセル全
てを同時に充電するによる、充電スピードを劇的に改善できるという
Robert AlickiとMark Fannesが2012年に「量子バッテリー」という概
念を提唱----操作を使用できる可能性があるため、例えば、セル数が
200のバッテリーを備えた場合、並列充電する従来法と異なり200倍充
電速度が向上する。

達成可能な最大速度アップはセルの数が多いため、古典的に達成可能
な線形スケーリングを超える充電電力の最大2次スケーリング(二次
関数)を提供。このようなスケーリングに到達するには、すべてのセ
ルをまとめて充電するグローバル充電プロトコルを採用する必要があ
る。これにより、量子電池の充電電力の限界に関する探求が終了し量
子法が従来の対応物よりも最大で二次スケーリングをが追加されると
いう。



図 1. 現在の電気自動車と量子電池技術に基づく未来の自動車の比較
図。 量子充電を採用すると、一般的な EV で 200 倍の速度が得られ
る。つまり、充電時間が 10 時間から約 3 分 (自宅) に短縮され、
充電ステーションでは 30 分から 9 秒に短縮される。
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AIによる新しい充電規則の発見 マイクロメーザー量子電池
量子電池 (QB) のパラメータに基づくモデル依存を最適化するための
一般的な計算フレームワークを提案
。この方法を2つの異なる充電に
適用するマイクロメーザーQBのシナリオと、安定化のための新しい充
電プロトコルを発見した。
制御された自動化された方法で、上層のヒ
ルベルト スペース チャンバー内のバッテリーを安定させるための新
しい充電規定を発見する。この規定は安定し、堅牢であることがわか
っており、充電の改善につながるマイクロメーザーQB効率であり、さ
に、最適化理論は汎用性が高く、効率的で、あらゆる規模でのQB技術
の進歩に大きな期待が寄せられている。
1.緒言:(省略)
2.最適化の枠組み
 このセクションでは、勾配降下法を使用して充電プロセスを最適化
する、量子電池の一般的なモデルに適した最適化フレームワークを紹
介します。勾配降下メソッドは、微分可能な関数の最小値を見つける
ために広く使用されている最適化手法。これは通常、損失関数 Lと呼
ぶ。その人気の主な理由の1つは、幅広い最適化問題の優れた解を見
つけるのに有効です。さらに、実装が比較的簡単で、さまざまな分野
の実務家にとって便利なツールである。与えられたモデル パラメー
ターの初期セット ~p、アルゴリズムは反復的に ~p を次の方向に調
整する。モデル パラメーターに関する損失関数の負の勾配は次のと
おりである。
  
ここで、η は学習率と呼ばれるハイパーパラメーターであり、更新
のステップ サイズ (つまり、元のパラメーターから差し引かれる勾
配の割合) を制御。
最適化プロセスは、損失関数が許容範囲によって設定された許容可能
な最小値に達すると終了。
提案された最適化アプローチを図 1 に示します。 これにはいくつか
の重要な利点がある。第一に、それは汎用性があり、図1のセルCで表
されるように、一連のパラメータ~pによって記述される幅広い量子電
池モデル(大規模システムを含むモデルを含む)に適用できます。第二
に、 暗黙的または明示的にモデルパラメータ ~p に依存する損失関数
L(~p) が与えられた場合、自動化された方法で問題の最適解を効率的
に見つけることができる。
全体として、この最適化フレームワークは、量子電池モデルのさまざ
まな側面を最適化するための有望なソリューションを提供する。


図 1: 使用した量子電池の充電プロセスの最適化の一般的な表現計算
グラフ。

バッテリは状態 ρB(0) で初期化され、セル C(τ) を通じて充電され
る。τ 、一般に、完全に正でトレース保存 (CPTP) マップによって
表される。このプロセスにより、最終的なバッテリー状態 ρB(τ)
が得られる。モデル パラメーター ~p に依存する損失関数 L(~p) は
充電プロセスの最後に計算され、アルゴリズムの次の反復でパラメー
タを更新するために使用される。

2.1 マイクロメーザー QB の最適化
マイクロメーザー の充電プロセスは、単一モードの連続的な相互作
用で構成される。状態で準備された 2 レベル システム (キュービッ
ト) の流れを持つ空洞内の電磁場次のように書くことができる。


ここで、q は反転分布の程度、c は一貫性、|gi と |ei はそれぞれ
量子ビットの基底状態と励起状態。量子ビットと空洞の相互作用の図
では、システムの進化はハミルトニアンによって記述されます。

ここで、g は量子ビットとフィールドの間の結合定数を表し、単位が
選択されている。¯h = 1 となります。量子ビットの下降演算子と上昇
演算子は ˆ − と ˆ + で表される。それぞれ; ^a と ^a† は、それぞ
れフィールドの消滅/生成演算子。量子ビットと場の周波数が等しい
共鳴の場合を調べて [61]、ここで! で示されます。
量子電池の充電速度を最適化するために、超強力結合領域 0.1 <g! <1
は、考慮すべき最も興味深いもので、残念ながら、このレジームでは
逆回転項 (式 (3) の最後の 2 項) は説明が複雑な関連性があり、ダ
イナミクスをさらに拡大する。 特に、この中でどのハミルトニアンを
使用しなければならないかの選択でさえ、活発な議論の問題としてあ
る。この報告書では、これらの複雑さを回避するために[64] で導入
されたアプローチを利用願う。量子ビットとフィールドの同時周波数
変調を実行することによって無視され結果のダイナミクスは Jaynes-
Cummings ユニタリ演算子 [48] によって記述される。

  
ここで = 1 は、アプローチの有効性に影響を与えることなく修正でき
る [46]。 さらに、コヒーレンス パラメータ c は、z 軸に沿って回
転を適用することで実数に設定できる。時間発展演算子 ˆUI (g) を変
更する。図2aに示すように、バッテリーの充電プロセスは、その地面
の空洞によって開始される。状態 B(0) = |0i h0|。 結合量子ビット
空洞システムは、テンソル積によって得られます。


ここで、B(k) はk 個の相互作用後のバッテリー状態。時間発展は再帰
的に書ける。



ここで、(k)は、前の式から得られたシステム状態に対応。 (5) で
あり、Trq は量子ビットの自由度をトレースする。 これにより、バッ
テリー状態 B(k + 1) が出力される。
※ 深入りしすぎたので、今夜はここまでとし、後日つづきを掲載。
【原論文】
AI-discovery of a new charging protocol in a micromaser quantum battery.
arXiv:2301.09408v2 [quant-ph] 8 Feb 2023

✔ ワイヤレス送電とワイヤレス通信のシームレス化の考察をすすめること
で、オールソーラーシステム統合(リサイクルを含め)の「エネルギー貯蔵」
領域での全固体電池の種類の「選択」に課題が残っているが、残りの太陽
光と二酸化炭素による有機化合物合成についての開発展望を考察を進め
る。
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【最後の読書録 Ⅸ]

新・国債の真実―99%の日本人がわかっていない
目次
はじめに
1章 まず「これ」を知らなくては始まらない―そもそも「国債」っ 
  て何だろう?(企業は金を借りて運営する、国も同じ;政府は予算 
 br />  を立て、「足りない額の国債」を発行する ほか)
2章 世にはびこる国債のエセ知識―その思い込い込みが危ない(何
 の知識もなく語っている人が多すぎる;「倹約をよしとする」と「
  借金は悪」となる ほか)
3章 国債から見えてくる日本経済「本当の姿」―「バカな経済論」
 に惑わされないために(なぜ財務省は「財政破綻する」と騒いでい
 るのか?;財務省ロジックに乗っかる人々もいる ほか)
4章 知っているようで知らない「国債」と「税」の話―結局、何を
 どうすれば経済は上向くのか(経済を「道徳」で考えると、大きく
 見誤る;政府がお金を使うということは、国内にお金を巡らせるこ
 と ほか)
第5章 「国債」がわかれば「投資」もわかる銀行に預けるくらいな
ら国債を買え(金利下では、国債が最強の金融商品 ほか)

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今は「変動型10年満期」がいい

 個人が買える国債には、いくつか種類がある。
 大きく分けて「個人向け国偵」と「新型窓口販売方式国偵(新窓販
国債)」があり、さらに、それぞれが金利のつき方や償還期間で分か
れている。

 ●個人向け国債
  「固定金利型3年満期」
  「固定金利型5年満期」
  「変前金判型10年満期」

 ●新型窓口販売方式国債(新窓販国債)
  「2年固定利付国債」
  「5年固定利付国債」
  「10年固定利付国債」

 それぞれの違いは、後の表(図9)で確認してほしい。
 いろいろあって迷いそうだが、今の低金利という金利環境では、「
変前金判型10年満期」が一番いいと覚えておけばいい。この商品設計に
アドバイスをしたのは、じつは私である。  
 便宜上、「10年満期」となっているが、満期が来る前に売却、換金
することができるから、この期間には、あまり意味はない。
 重要なのは、「変動金利」という部分だ。「固定型」だと、買った
ときの金利が償還時までずっと続くが、「変動型」では、半年ごとに
金利が変わる。金利が変わるのは、経済状況が刻一刻と変化している
からだ。景気がよくなれば金利は上がり、景気が悪くなれば金利は下
がる。


 そういう非常に細かい変動がずっと起こっているのだ。ただ、そう
頻繁に国債の金利を変えると、利払いの際の計算が大変だ。だから前
金判型10年満期」の国債は、半年ごとに金利が変わるように設計した。
 これは、半年満期の短期国債を10年間にわたり、20回、乗り換えて
いく(ロールオーバーしていく)のと、じつは変わらない。ただ「10
年間は滅多なことでは売却しませんよ」という形になっているだけだ。
 といっても、実際には、すでに説明したように、満期を迎える前に
も換金できるから、10年間まったく手をつけられないわけではない。
 なぜ「変動型10年満期」がおすすめかというと、買った後に起こり
うる金利上昇に備えることができるからだ。
 「固定型」では、国債購人後に金利が上がっても、買ったときの金
利がずっと続く。 「額面金額1万円、利率O・Iパーセントの5年
債」なら、たとえ5年の間に金利がO・2パーセントに上がっても、
額面に対してO・1パーセントの利子を受け取り続けることになる。
 これが「変動であれば、半年ごとに利率が見直される。金利が上が
れば、受け取る利子も増えるということだ。
 もちろん、これとは逆パターンもありうる。購人後に金利が下がっ
てしまったら、「変動型」より「固定型」のほうが、相対的に高い利
子を受け取ることができる。ただ、今のような低金利では、これ以上
金利が下がることは考えにくい。
 どちらかというと今後、金利は上がる可能性のほうが高いというこ
とで、今は「変動型10年満期」が一番いいといえるのだ。

「個人向け国情」なら
「元本割れ」のリスクはない
 個人向け国債」は、元本割れしないようになっている。 先ほど説
明したように、発行1年以降は、政府が額面価格で買い取ってくれる
からだ。中途換金時の調整順にさえ気をつければ、元本割れはしない。
 元本割れする危険があるのは、政府買取りによる換金ではなく、市
場に売る場合だ。
 たとえば買ったあとに何らかの理由で金利が上昇した場合、国債の
市場価格が下がり、売却損が生じる(元本割れする)可能性がある。
個人が買える国債で売却損が出る可能性があるのは、「新窓販国債」
だ。これは、国の買取りによる途中換金制度がないから、国債を現金
に換えたいときには、市場に売ることになる。
 ちなみに、「新窓販国偵」には「1年経過」ルールがないから、買
った後いつでも売却できる。
 3章でも説明したが、なぜ金利が上がると、国債価格が下がるのか
についてもう一度触れておく。
 「固定型」では、買ったときの金利が満期まで続く。買った後に金
利が上がると、市場では、みな、より高い金利の国債を欲しがる。す
ると、金利が低かったころの国債には買い手がつきにくくなる。この
「需要と供給の関係」で金利が低い国債の市場価格が下がるのだ。金
利が動かない分、価格のほうが動かなくては市場が満足できないとい
うわけだ。
 単純にいえば、額面100円が98円に下がれば、1万円で買った国
債が9800円に下がる、といったことが起こるのである。
 国債は、利払いも元本も国が保証しているから、国が潰れない限り、
満期まで待てば、元本はまるまる戻ってくる。しかし「新窓販国債」
を満期前に売却すると、売却時の金利状況、および市場価格によって
は、元本割れもありうるということだ。
 もちろん、逆パターンで売却益を得る(元本以上になる)ことも、
可能性としてはある。
 ただ、ここで「そもそも論」になってしまうのだが、元本割れは大
騒ぎするようなことでもない。たとえ売却損が出ても、その売ったお
金で金利が上がった国債を買えば、損した分もすぐに取り返せるから
だ。
 とはいえ、金利の変動や市場価格を気にして売るタイミングを考え
たり、出てしまった売却損をどうやって回収するかを考えたりするの
は、投資を生業としているような人たちがやることだ。
 プロの投資家にとっては、ここが一番投資の面白いところであり、
腕の見せどころなのだ。
 その点、「個人向け国債」の「変動型10年満期」は、素人の感覚に
合った金融商品といえる。投資で食っている人たちにはつまらない商
品だが、素人には優しい仕組みになっているのだ。半年ごとに勝手に
金利が変わってくれる。途中で換金したいと思ったら、中途換金調整
額は取られるものの、基本的に、買ったときに払った金額と同じ金額
が戻ってくる。要するに、わかりやすいのである。

外国債を買っても意味がない

国債を買うというと、なかには、アメリカ国偵など外国債に関心が向
く人もいるかもしれない。  しかし結論からいえば、外国債はおすす
めしない。
 外国債を買うときには、当然、外貨建てで買うことになるが、為替
はつねに移り変わる。つまり、買うときの為替と、償還時(売却時)
の為替は還っていて当然だ。
 これが素人には厄介なのだ。
 円を外貨に替えて外国債を買う。しばらくあとに、外貨で償還され
たお金を円に替える。あるいは、償還前に外国債を売って得た外貨を
円に替える。こんな煩雑な手続きをするなかで、どれくらいの得が生
まれるのか、あるいは損をすることになるのかなんて、素人にはわか
らない。おまけに、外貨と円を交換する際にも手数料がかかるし債券
をもっている間に金利も移り変わる。
 為替と金利、この両面から、いつ買い、いつ売るべきかを素人が判
断するのは、ほとんど不可能だと思ったほうがいいだろう。
 もっといえば、日本国債も外国債も、収益率はだいたい同じになる
はずだ。
 国債の金利は、為替を介して連動している。ここでも市場の調整機
能が働くから、どこかの国の国債だけが、最終的な収益率において圧
倒的に有利ということは、基本的に起こりえない。
 たとえば、利率がいいから、という理由でアメリカの10年債を買う
とする。その場合、まず円からドルに替えて国債を買う。10年間、ド
ルで利子を受け取り続け、10年後にドルで償還される。利子と償還費
は円に替える必要がある。
 一方、日本の10年債を円で買う。10年間、円で利子を受け取り続け、
10年後に円で償還される。
 数式を立てれば明らかなのだが、この印,‥‥の最終的な収益率は、
大して変わらないのである。むしろ、円からドル、ドルから円に替え
る際に手数料がかかることを考えれば、アメリカ国債を買ったほうが
損ということもしばしばありうる。
 もちろん、市場はつねに100%公明正大とはいかず、多少の歪みが
生じることもある。投資を生業としている人たちは、その歪みを狙っ
て、利ざやや売却益を得ることも多いようだ。
 あるいは、「この国には近々、投資が渠中する」と山を張って、後
進国の国債を買い、人気が出て国債価格が上がったところで売り抜け
る、といったやり方もある。
 しかし、これらのやり方は、ほとんどギャンブルだ。山師の仕事を
素人が真似しないほうが 投資に興味をもちはじめると、とたんに「
外国債で大きく儲ける」といった怪しげな儲け話がたくさん聞こえて
くるかもしれない。そこで欲を出さず、あくまで自分が理解し、把握で
きる範囲の金融商品に留めたほうが賢明だ。
 プレーンバニラである国債から離れた商品ほど、魅力的に見えるか
もしれない。しかし、これは素人を編せる余地も大きくなるので、金
融機関にとって魅力的なのだ。 例えば、「国債」十「外国」十「保
険」という商品もあるが、これなんか、理解できる個人はまずいない
だろうし、理解していれば金融機関を儲けざせる商品であることがす
ぐわかってしまうだろう。

投資のプロに任せれば安心」という大誤解

 投資信託は「プロが選んでくれるから安心」というが、本当にそう
だろうか。
 そもそも「プロ」に任せたところで、金利は市場で決定される。
 ざっと100個くらいの金融商品を同時に観察して瞬時に判断を下
す、というような、ほとんど「全知全能」レベルの能力がなくては、
市場を読みきることはできないのだ。  
 そんなことができる人間は、いないだろう。もし可能になるとした
ら、AI(人工知能)だ。すでにAIの分析力を使った金融商品も出
てきているから、ファンド・マネージャーの仕事がすべてAIに取っ
て代わられる日も近いのかもしれない。 そのため、より利回りを高く

見せるために、公債や社債をミックスした「公社債投資信託」という
のもある。「これなら、国債だけ、公債だけを買うより高い利回りに
なりますよ」というわけだ。
 だがそれも、私から見れば「だから何? そのぶん、リスクが高い
ということでしょう」でおしまいだ。
 金利の裏側には、リスクがある。少しくらい金利が高くても、そう
いう金融商品に飛びつくよりは、国債を買っておいたほうが賢明なの
である。たしかに国債は金利が低いが、破綻リスクがないのだから、
それで十分と見るべきなのだ。

銀行預金も「金融商品」という
当たり前の認識が欠けている  

 もし銀行に定期口座はもっているのに、国債はもっていないとした
ら、私にはちょっと信じがたいことだ。 多くの人が誤解しているよ
うに思えるのだが、銀行は、ただお金を貯めておく場所ではない。銀
行口座を開くのも、一つの投資行動なのである。銀行口座にお金を「
貯めている」のではなく、銀行から口座という金融商品を「買ってい
る」のだ。この認識がないのだとしたら、銀行業を理解していないこ
とになる。 タンス貯金と比べてみれば、すぐにわかるはずだ。自宅
のダンスにお金を溜め込んでも、そのお金はお金を生まない。 一方、
銀行にお金を預けると、今はほとんどゼロに近いが、一応は定期的に
利子が 入ってくるだろう。  それはなぜかといえば、銀行は、あなた
から受け取ったお金で投資をしているからだ。彼らは、その利子収入
で食っている。そしてあなたの銀行口座に振り込まれる利子は、彼ら
の金融商品を買ったことで生じた収益なのである。  
 お金を使うときには、必ず考えるものだろう。  
 食品を買うなら「この値段に見合うほどおいしいだろうか」、洋服
を買うなら「この値段を払ってもいいほど自分に似合うか」などと吟
味するはずだ。それなら、金融商品を買うときにも、考えてしかるべ
きではないか。  
 もし、すすめられるままに定期預金口座を開いたのだとしたら、何
も考えないで買ったということだ。定期預金は銀行の金融商品だから、
相手の支払い能力や破綻リスクなど、まったく考えずにお金を投じたこ
とになる。  
 生活に必要な分を、銀行の普通口座に入れておくのはわかる。しか
し、わざわざ貯蓄のために定期預金口座まで作っているのなら、その
お金すべてを使って国債を買ったほうがいい

銀行か政府か、

どちらに金を貸すほうが安全か?

 国債も銀行の預金も「金融商品」であり、発行者から見れば「借金
」ともいえる。
 貸し手である私だちとしては、銀行か政府か、どちらにお金を貸す
ほうが安全か、という話である。そのうえ、昨今の金利環境により、
より安全な国債のほうが、より利子が高いという状況になっているの
だ。
 ただ、銀行からすれば、預金してくれる人が多いほど都合がいい。
その預金で国債に投資すればいいのだから、楽チンだ。融資や株式、
社債は慎重に判断しなくてはいけないが、安心・安全な国偵は、大し
て頭を使わなくても、「買えばいい」という判断になる。銀行は、個
人向け国債の仲介をするより、白分たちが国債をもっておきたい。
 つまり個人が預金を引き上げ、国債を買い始めたら、ものすごく都
合が悪いのだ。
 だから、国債は、個人でも銀行を介して買えるのに、銀行は決して
国債購入をすすめない。銀行のコマーシャルでも、まず「国債を買お
う」なんてものは、見かけないだろう。売りたくないものは宣伝しな
い、当たり前の話だ。
 「国債は暴落する」と警告しているエコノミストも多いが、彼らは、
こうした思惑の
ある金融機関の息がかかっていると見ていい。そうやって個人を国偵
から遠ざけ、定期預金など、別の金融商品を売ろうとしているのだ。
 ただ、国債が暴落するような状況になったら、銀行はもっとひどい
ことになるに決まっている。そうなれば、銀行が売りつけたがってい
る「別の金融商品」の金利も元本も危険にさらされる。
 このように、ちょっとでもリテラシーがあれば、「国債が暴落する
危険があるから、別の金融商品」というのは、かなりおかしなロジッ
クであることに気づけるはずだ。

みんなが国債を質ったら、<
企業が困る?  

 今は、国債が最強の金融商品。となると、資金が国債に集中して、
民間企業は株や社債が売れなくなって困ってしまうのだろうか。  
 まず、そういうことは起こらない。  
 みんなが国債を買おうとすれば、当然「需要と供給」の関係で、国
債の市場価格は上がる。価格が上がるほど、利回りは下がる。たとえ
ば、市場で「額面1万円、金利O・1%の5年偵」を、1万円で買っ
た場合と1万1000円で買った場合とを比べてみれば、後者のほう
が低い利回りになる。  
 利回りの出し方は前にも説明したが、単純な算数だ。  
 こう言われても、パッとわからない人のために改めて説明しておこ
う。か 「額面1万円、金利O・I%」の国債の利子は、1万円×O・
1%で10円になる。これ を1万円で買った場合は、1万円を払って
10円の利子だから、利回りはO・1%だ。  
 しかし1万1000円で買った場合は、利回りが変わる。利子は額
面金額にかかるから、やはり10円だ。1万1000円を払って10円の
利子だから、利回りは約O・09%に下がってしまうのだ。  
 低い利回りの金融商品を、誰も好んで買わない。したがって、いっ
たんは人気が集まって利回りが下がった国偵は、次第に人気が落ちて
いく。  
 一方、国債に人気が集中すると、逆に人気がなくなる株や社債は、
やはり「需要と 供給」の関係で価格が下がる。価格が下がると、利
回りは高くなる。先はどの国債の 利回りが下がったのと、ちょうど
逆のことが起こるわけだ。  
 そうなると、国偵より株や社債を買おうという人がたくさん出てき
ても、不思議は ないだろう。このように市場全体で考えれば、国債
に投資が集まりすぎることはなく、株や社債 にも、ちょうどよく資
金がばらけていく。金融資本市場には、こうした「価格調整機能」が
ある。公明正大で、じつによくできた世界なのだ。

1万円で「消費」するか、
1万円で「投資」するか

 まず1万円でも国債を買ってみたらどうだろう。少し外食を我慢す
れば、準備できる金額のはずだ。
 すでに説明したように、銀行や信用金庫で国債用の口座を開き、ネ
ットバンキングの申し込みもすれば、あとはネット上で簡単に取引で
きる。はっきりいって、1万円で国偵を買ったところで、大して利益
は感じられないだろう。それでも実際に買ってみると、もっと実感と
して国債の仕組みがわかる。リテラシーが高まるという意味では、有意
義だ。人は日々、消費をしている。外食をするのも、洋服を買うのも
、すべて消費だ。それは社会の一員として経済を動かすということだ
から、まったく否定はしない。 ただ、今まで消費ばかりに使ってき
たお金の一部分でも、投資に回してみたらどうか、という話である。
 消費は、後に何も残さない。「おいしい」「楽しい」「うれしい」
という気持ちが残るだけで、お金は消えてしまう。モノなら、あとで
転売できるかもしれないが、基本的に買ったときの値段で売れること
はないだろう。
 一方、投資をすると、「資産」を得ることになる。投資したお金は、
「お金を生むお金」となるということだ。
 それが「個人向け国債」であれば、財政破綻して暴落しない限り、
元本割れする可能性はない(財政破綻リスクはきわめて低いというこ
とは、すでに説明してきたとおりだ)。そのうえに、わずかながら利
子が上乗せされていく。
 仮に今、手元に1万円があったとして、それを消費に回すか、投資に
回すか。そう考えてみるといい。
                           この項了
                                                 

風蕭々と碧い時代


Jhon Lennon Imaginen



曲名:ドラマティック・レイン 唄:稲垣順一  1982年 City Pops
作曲:筒井恭平 作曲:秋元 康

レイン もっと 強く 降り注いでくれ 濡れて 二人は mmh 
今夜のおまえは ふいに 長い髪ほどいて 光るアスファルト 二人 佇む
あぁ 都会の夜は ドラマティック

車のライトが まるで 危険な恋 誘うよ もしもこのまま 堕ちて行くなら
あぁ 男と女 ドラマティック ......

「雨のリグレット」でデビューした稲垣だったが、2作目「246:3AM」
はチャートインを果たせず、レコード会社がヒットメーカーの筒美京
平に作曲のオファー]。筒美は稲垣がデビューした時に、所属事務所か
ら作曲の依頼を受けていたが断っていたが申し入れを受諾。メロディ
ーを完成させる。 高校在学中に放送作家の仕事を始めた秋元康は、そ
の仕事に物足りなさを感じ、1981年10月、23歳の時にAlfee(現・THE
ALFEE)のシングルB面曲「言葉にしたくない天気」で、作詞家として
の活動を開始。筒美の曲が出来上がった後、レコード会社は、秋元を
含めた3人の作詞家が曲に詞を書くコンペし、秋元の詞が最も評価が高
く採用されシングルA面曲での発売が決定。チャート最高位8位、半年
にわたりチャートイン、稲垣にとって、また秋元にとっても初のヒッ
ト曲となる。
※1982年は西安から帰国。しばらく休養と学んだことを整理し、工場
 全体の節水化を完了する。1983年に稲垣潤一の唄を知る(中森明菜
 とのディエット曲もある)。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)それでも時は流れる

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困難の道行く②

2023年02月23日 | デジタル革命渦論

 
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」

【今日の世界の工芸品シリーズ】
三浦景生
 MIURA,Keisei
末摘花
  Screen entitled, "Sue-tsumu-hana"
 Cloth Inlay,  1972年 ,  166.2×181.6cm



【わくわくする園芸づくりシリーズ①】
頑張らなくても、楽しくステキに植物を楽しむ秘けつを『趣味の園芸
』でNHKはEテレビで放送されていたが、成長がゆっくりで大きく
なりすぎない植物を選ぶのがコツ。エリナカスケード、アセビ、ヤブ
ラン、クリスマスローズなど。名人おススメのステキな多年草&低木
が紹介されていた。"もうすぐ三月だ!"と法面の季節づくりをはじめ
なくてはと、休憩がてら近くののカインズやアヤハの園芸コ-ナーに
でかける。結局のところ「カランコエ」1鉢を買う。^^;


via 極東極楽 2018.1.4

【男子厨房に立ちて環境リスクを考える】
今夜はトリフトとイチゴの話題を取り上げる。

国産トリュフを人工的に発生させることに成功
2月9日、森林総合研究所のグループが、フランス料理などの高級食材
して知られるきのこ、トリュフの人工栽培に国内で初めて成功という。
断念ながら、黒トリュフを口にしたことはあるが白トリフは経験はな
い。このブログでもトリュフ栽培の情報を特集したことがある。


出所:NHK 茨城県のニュース

現在、流通しているトリュフはすべてが海外から輸入、国内でも自生
しているが、人工栽培の技術は確立されていない。同研究グループは
「コナラ」の苗木の根に国内に自生する白トリュフの1種「ホンセイ
ヨウショウロ」の菌を付けて植えることで、人工的にトリュフができ
るかどうか調査し、2015年から研究を進めた結果、2022年11月、茨城
県と京都府の試験地で、合わせて22個のトリュフができ遺伝情報の
解析から人工栽培によるものだと確認。人工栽培はフランスなどでは
行われたが、国内では今回が初めてだ。

香りに特徴のある高級食材のトリュフは樹木の根についた菌からでき
るきのこで、人工的に管理された環境で栽培できるしいたけなどとは
異なり、野外の生きた樹木がある環境でしか出てこないため、人工栽
培は難しいとされてきた(欧州産はキログラム当たり約8万円;2020年
度財務省貿易統計)。同グループは国内各地に20種類以上自生して
いるとされるトリュフのうち、広く分布していて比較的大きく味や香
りが食用に向いていると考えられる黒トリュフの1種の「アジアクロ
セイヨウショウロ」と白トリュフの1種の「ホンセイヨウショウロ」
を選び、それぞれが育ちやすい土壌について調査。

【成果】
図1左:京都府内試験地で確認した子実体の写真 図1右:茨城県内試験地で確認した子実体の写真
図1. ホンセイヨウショウロを共生させた苗木を植栽した後に発生した
子実体左:京都府内試験地で発生、右:茨城県内試験地で発生

食材として有望な国産白トリュフであるホンセイヨウショウロを共生
させたコナラ苗木を、国内各地の4つの試験地に植えて栽培。茨城県
内の試験地(平成29年10月植栽)および京都府内の試験地(令和元年
4月植栽)にて、令和4年11月に、それぞれ8個および14個の子実体発生
を確認(図1)。

図2樹木の根に共生して増殖する菌根菌(トリュフ)の増殖様式を示した図
図2. 菌根菌の増殖様式
菌根菌は樹木の根に共生し樹木から光合成産物を獲得します。反対に、
菌根菌は土壌中に栄養菌糸を拡げて、養水分を効率的に集めて、樹木
に供給。菌根菌はこのように樹木との共生関係を成立させて増殖。
【展望】
人工栽培に必要な生育環境の条件をさらに詳しく調べて、10年後を
めどに販売でを目指す。
国産白トリュフの人工発生に初めて成功 | つくばサイエンスニュ
   ース
国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所の公式
   Facebookページ
✔10年後には国産の人工栽培トリュフが輸出され世界を席巻している
 ことでしょう。このように人工加工制御能力を高めることで食生活
 の安全保障の高度化と食生活の充実を実現、そのイメージ考察はこ
 のブログに掲載してもいる。そういえば東大は伊豆でカカオ豆の栽
 培研究もされいましが、それほどまでに日本の農畜水殖産技術は、
 世界貢献してきましたよね。


vir Japanese Strawberry Growing Secrets or Why They Cost $500 Per Piece

イチゴのジャストインタイム生産の開発
さて、2021年4月、農研機構は、イチゴのジャストインタイム生産の実
現に向け、イチゴの生育情報を自動収集する生育センシングシステム
を開発。これにより、生育モデルやAIを活用した生育制御技術とを組
み合わせることで、イチゴの収穫日を将来的に高い精度で制御を実現。
今後、イチゴの需要が高まる時期と出荷の最盛期を確実に合わせ、イ
チゴ農家の所得向上が狙う。生育センシングシステムにより収集され
る開花日・果実温度のデータを用いて、今後、高精度な生育期間予測
AIを構築いたします。最終的には、施設環境制御システムと組み合わ
せ、JIT生産システムの実現を目指す。今年度、ハウス等での試験を通
じて、JIT生産システムを実証し、導入効果を検証している。


図1.イチゴのJIT生産システムの概要


図4.開花日特定に向けた開花認識AIの改良

ダイズ適期灌水()実現の 『灌水支援システム』を公開
これはおまけ。2月22日、農研機構は「ダイズへの適期灌水を実現する
『灌水支援システム』---- ダイズが乾燥ストレスを被る時期を推定し、
アラートを発出----Webシステム開発者向け標準作業手順書」を本日
ウェブサイトで公開。

 
※ 畝間灌水では流入速度を確保が重要。1ha圃場において24時間で圃
場全体に水が浸潤させるには、1 t min-1の流量が必要)。これは幅
44 cmの用水で水深が20 cmの場合、1 mを5秒で流れる水量に相当。
【標準作業手順書掲載URL】ダイズへの適期灌水を実現するための『
灌水支援システム』Webシステム開発者向け 
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/156514.html 

ソーラーパワージェルで水の浄化
2月8日、プリンストン大学の研究者グループは、世界中の人々がきれ
いな水を使えるようにするための鍵となる、次世代の太陽光吸収ゲル
技術を開発。
このスポンジ状のゲルは低コストで使いやすく、太陽光だけで重金属、
油、マイクロプラスチック、一部の細菌などの汚染物質を水からろ過
することができるため、オフグリッドの浄水用として利用することが
できる。このデバイスは、2021年に開発された第一世代の技術に比べ、
約4倍のろ過率を実証しています。厚さ1cmの素材1平方メートルで、わ
ずか10分で1ガロン以上の水を作ることができ、世界の多くの地域で日
々の需要を満たすのに十分な量のきれいな水を提供できる。この装置
のスポンジのような外観の核となるのは、ポリ(N-イソプロピルアク
リルアミド)またはPNIPAmとして知られるポリマーで形成されたゲル。
温度に応じて、水を吸収したり放出したりすることができる。

【要約】
ハイドロゲルは、持続可能でオフグリッドの水の浄化と収穫を含む、
エネルギーと環境への応用のための有望な軟質材料。技術の転換に対
する現在の障害は、毎日の人間の需要をはるかに下回る低い水の生産
率。この課題克服に、さまざまな汚染源から約 26 kg m–2 h–1 の速度
で飲料水を生成できる、迅速な応答性、防汚、ヘチマにヒントを得た
太陽吸収剤ゲル (LSAG) を設計。 毎日の水需要を満た。 エチレング
リコール (EG) と水の混合物を使用した水性処理により室温で生成さ
れる LSAG は、ポリ (N-イソプロピルアクリルアミド) (PNIPAm)、ポ
リドーパミン (PDA)、およびポリ (スルホベタインメタクリレート)
(PSBMA) の属性を独自に統合。 強化された光熱応答性と、油汚れや
生物付着を防止する能力により、オフグリッドの水浄化を可能にする。
EG-水混合物の使用は、水輸送が強化されたヘチマのような構造形成に
重要であった。 驚くべきことに、1 太陽と 0.5 太陽の太陽光照射下
では、LSAG は、貯蔵された液体水の約70%の放出にそれぞれ 10 分
と 20分を要す。 同様に重要なことは、小分子、油、金属、およびマ
イクロプラスチックを含む、さまざまな有害物質から水の浄化にLSAG
の能力を実証する。
 この新しいハイドロゲルの繊維状構造は、浴室や台所でたわしのよ
うに使われるヘチマの成熟した実によく似ている。


図.

図 1.ハイドロゲルの作製と階層的な多孔質構造。 (a) L-PNIPAm およ
び LSAG の製造方法の概略図。 (b) LSAG の熱駆動水放出プロセスの
概略図。 (c) 天然ヘチマスポンジと LSAG の写真と微細構造。

【結果及び考察】
1.L-PNIPAm の形成とキャラクタリゼーション


図 2. 溶媒媒介形態と相転移挙動。 (a) 室温で EG と水の混合物で
合成された L-PNIPAm および C-PNIPAm ヒドロゲルの SEM 画像。 (b)
EG-水溶液中の C-PNIPAm の温度依存の正規化された光透過率。 (c)
EG-水溶液中の C-PNIPAm の相転移温度。 (d) 相転移のエンタルピー
ΔH は、EG の体積分率に依存します。 (e) EG-水混合物中のC-PNIPAm
の状態図。

2.L-PNIPAm内の水輸送


図 3. 温度応答特性の比較。( a )さまざまなEG-水溶液で重合した
ゲルの吸水。 開孔構造と閉孔構造を持つゲルの湿潤挙動 (b) と吸水
速度論 (c)。 (d) 膨潤状態のゲルの DSC サーモグラム。 (e) 60℃
でのゲルの水放出挙動。 (f) それぞれ 60℃および 25 ℃ の水浴に
浸漬したときの L-PNIPAm の収縮および膨張。 水分放出プロセス中の
L-PNIPAm (g) および C-PNIPAm (h) の表面変化を示す光学顕微鏡。
(i) L-PNIPAm の視覚的な圧縮と回復。

3.LSAG の水輸送および防汚特性評価


図4.光熱および防汚機能を備えたゲルの設計。 (a) LSAG 形成とそ
の防汚挙動の模式図。 (b) LSAG の解像度が異なる SEM 画像。 (c)
PSBMA 修飾前後のゲルの DSC サーモグラム。 (d) 1 つの太陽光の下で
の LSAG に対する 9 サイクルの光熱試験の結果。 (e) 60 °C で加熱
したときの LSAG の質量変化。 ( f )さまざまな強度のシミュレー
トされた太陽光照明下での経時的なLSAGの質量変化。 (g) LSAG と異
なる油との水中油接触角 (OCA)。 (h) 水に浸した後、ナイル赤ラベ
ルのオリーブ オイルの液滴によって汚れた LSAG の写真。 (i) L-PN
IPAm ゲル (不透明) と LSAG (黒) の可視光と紫外光の下で撮影した
写真。 それぞれ (j) ガラス スライドおよび (k) LSAG 上の大腸菌吸
着の蛍光顕微鏡画像。(後略)
【脚注】
Quick-Release Antifouling Hydrogels for Solar-Driven Water Purification
Xiaohui Xu, Néhémie Guillomaitre, Kofi S. S. Christie, R. Ko̅nane Bay, Navid Bizmark,
Sujit S. Datta, Zhiyong Jason Ren, and Rodney D. Priestley
ACS Central Science 2023 9 (2), 177-185
DOI: 10.1021/acscentsci.2c01245   
--------------------------------------------------------------
太陽吸収剤ゲル (LSAG):


2016年2月17日、東京工業大学大学院理工学研究科の村上陽一准教授ら
は、日本化薬株式会社と共同で、不燃性と不揮発性、光学透明性、非
流動
性をすべて兼ね備えた、光エネルギー変換に未利用な長波長光を
利用可能な短波長光に変換する“光波長変換イオノゲル”の開発に世
界で初めて成功している。太陽光に適用できる光アップコンバージョ
ン材料は従来、流体(有機溶媒)ベースが大半であり、応用に適さな
かった。また、流動性抑制のためにポリマー埋め込みや溶媒のゲル化
等を行った場合でも、可燃性や揮発性、光学的な濁りなどを伴い、応
用実現に向けて問題が存在していたもの。


サンスクリーン剤: jp.WikipediA
※あらゆる水をソーラーで浄化!オフグリッド型浄水システム


2018/10/23
「デソールネーター」はソーラーパワーを活用したオフグリッド型の
浄水システム。上部に装着したソーラーパネルで太陽光を集め、電力
と熱を組み合わせて浄水のためのエネルギーに活用しているのが特徴。
「デソールネーター」に水を注ぐと、熱によって95°Cで煮沸されて
水蒸気になり、これが冷やされて飲用水となる仕組み。1Lあたりわず
か1.1円のコストであらゆる水を浄化できる。2019年には発売される
見通し。

 

● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング


【再エネ革命渦論 91: アフターコロナ時代 292】
● 
リチウムイオン電池性能向上 
パルスレーザーアニーリングで
グラファイトアノードの微細構造と欠陥改善
【要約】
ナノ秒パルス レーザー アニーリングで、リチウム イオン電池 (LIB)
のサイクル性と電流容量を大幅に改善できる。このパルス レーザー
アニーリング (PLA) を使用して Li+ イオン トラップ サイトの数密
度を高め制御し、グラファイトに存在する微細構造と欠陥を改善。
PLA 処理により、(1) 粒子間に表面ステップと溝が作成され、Li+ イ
オンの充電とインターカレーション率が向上。  (2) グラファイト粒
子の上部および粒子間から不活性ポリフッ化ビニリデン (PVDF) 結合
剤を除去します。 (3) Li+ 充電サイトを提供できる (0001) 面に炭素
空孔が生成する。 X線回折データから、回折ピークのアップシフトま
たは平面間隔の減少が見られ、そこから空孔濃度は約1.0%と見積もら
れ、これは空孔の熱力学的平衡濃度よりも高い。 レーザー処理は、Li+
イオンサイトで単一および複数の C 空孔を形成し、また、Li+ イオン
が挿入サイトに入るステップと溝も形成。 これらのサイトの形成によ
り、充電および放電サイクル中の Li+ イオンの吸収が促進。電流容量
は平均 360 mAh/g から 430 mAh/g に増加、C–V はレーザー処理後の
SEI 層形成の大幅に減少する。空孔濃度が高すぎて充放電サイクルが
長い場合、Li+ による電子のトラップが発生し、LiO の形成と Li メ
ッキの電流容量低下が生じる。
【結論】
リチウム イオン電池 (LIB) で使用されるグラファイト アノードのナ
ノ秒レーザー アニーリングにより、LIB の電流容量と性能が大幅に
(>20%) 向上することを実証した。


Source:ScienceDirect
※•https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.2c18918



写真:トロント大学
逆ペロブスカイト太陽電池で効率23.9%、高耐久性を実現
米国とカナダの研究グループは、ルイス塩基分子を使用して、ペロブ
スカイト太陽電池の表面パッシベーションを改善しました。 同グルー
プは、高い開回路電圧と顕著な安定性レベルを備えたデバイスを製造
した。
【要約】
界面および粒界 (GB) で配位不足の鉛原子を結合するルイス塩基分子
は、金属ハロゲン化物ペロブスカイト太陽電池 (PSC) の耐久性を高め
ることが知られている。密度汎関数理論の計算を使用して、ホスフィ
ン含有分子は、ここで研究したルイス塩基分子のライブラリーのメン
バーの中で最も強い結合エネルギーを持っていることがわかった。実
験的に、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(DPPP)(界面
とGBを不動態化し、結合し、架橋するジホスフィンルイス塩基)で処
理された最高の逆PSCは、よりわずかに高い電力変換効率(PCE)を保
持することがわかり、シミュレートされた AM1.5 照度下で最大電力点
で 40℃で 3500時間以上連続動作した後の初期 PCEは ~23%。DPPP処
理されたデバイスは、85℃で 1500 時間以上開回路状態に保たれた後、
同様の PCE の増加を示す。


写真2 トロント大学



Photo: Business Wire
 完全機能・高性能パターン電池の3Dプリントに成功
カリフォルニアに本拠を置くSakuu社は、12月以来、シリコンバレーの
バッテリーパイロットライン施設で、3Dプリントされた完全に機能す
るバッテリーをカスタム形状とサイズで一貫製造していることを公表。
同社は、リチウムイオンからリチウム金属、全固体電池まで、幅広い
電池技術の商業生産を実現する特許取得済みの Kavianプラットフォー
ムに依存していた。同社の最高技術責任者(Karl Littau)は、「同社
のパターン化されたバッテリーセルは、完全乾燥プロセスで熱管理パ
ターン化された開口部で製造➲パターン化されたバッテリー印刷に
より、熱動的調節の新しい経路でバッテリーセルの体積をより効果的
に使用できる。



2016年に設立され、すでに重要工程を達成。昨年、同社は第1世代
印刷されていないリチウム金属電池で800Wh/L
というベンチマークエネ
ルギー密度達成を発表。さらに、第1世代のリチウム金属電池は、200
サイクル後に97%という高いエネルギー保持率を達成。このバッテリ
ーは、デンドライト・フリー状態を維持しながら、サイクリングが完
了すると、800サイクルで80%の性能保持の記録を達成すると予想され
ている。この表明標は、2023年までに 1200 Wh/L を超える出力が可能
な、完全に3D印刷できる全固体電池製造するこにあった。これは、500
~70 Wh/Lの範囲で機能する、現在最も売れているEVに見られるリチウ
ムイオン電池を大幅に上回ります。同社の最新の成果は、バッテリー
製造においてこの種のものとしては初めてであり、世界中のギガファ
クトリーにある同社のKavianプラットフォームから、全固体電池を含
む次世代 SwiftPrintバッテリーの商業規模の生産計画に向けた重要な
ステップであると説明されている。同社の「Kavianプラットフォーム」
は、他のバッテリーメーカーだけでなく、自動車、e モビリティ、航
空宇宙メーカーにも販売され、さらには、従来のロール・ツー・ロー
ル製造または Kavian製造を使用するギガファクトリーで製造される、
リチウム金属と固体の両方の独自のバッテリー化学のライセンス供与
を計画している。
                        この項つづく
--------------------------------------------------------------
【最後の読書録 Ⅶ】



新・国債の真実―99%の日本人がわかっていない
目次
はじめに

1章 まず「これ」を知らなくては始まらない―そもそも「国債」っ 
  て何だろう?(企業は金を借りて運営する、国も同じ;政府は予算 
  を立て、「足りない額の国債」を発行する ほか)
2章 世にはびこる国債のエセ知識―その思い込い込みが危ない(何
  の知識もなく語っている人が多すぎる;「倹約をよしとする」と「
  借金は悪」となる ほか)
3章 国債から見えてくる日本経済「本当の姿」―「バカな経済論」
 に惑わされないために(なぜ財務省は「財政破綻する」と騒いでい
 るのか?;財務省ロジックに乗っかる人々もいる ほか)
4章 知っているようで知らない「国債」と「税」の話―結局、何を
 どうすれば経済は上向くのか(経済を「道徳」で考えると、大きく
 見誤る;政府がお金を使うということは、国内にお金を巡らせるこ 
 と ほか)
--------------------------------------------------------------
4章 知っているようで知らない「国債」と「税」の話

「半年先の借金を今する」とナンセンス
 財務省が「歳出」をカサ増しすることには、もう一つ理由がある。
「補正予算」という言葉は聞いたことがあるだろう。いったん予算が
成立した後に起こった事象に応じて、予算の内容を修正したものだ。
 この補正予算まで見越して、財源を確保するために、財務省は最初
に成立する本予算の時点で「歳出」を多く見積もる。それが、「国債
費」の「利払い費等」や「債務償還費」に化けているのだ。
 補正予算まで見越して、本予算の歳出が多く見積もられれば、本予
算成立時の国債発行額も多くなる。要するに、「先々に必要になるか
もしれないお金」を、先に確保しておくということだ。
 これほどバカな話はない。
 民間の企業でも、ずっと先の資金を今から調達するなんてことはし
ない。
 借金をした時点から利払いが発生するのだから、必要になったその
ときに借金をす
るのが、もっとも無駄がない。
 国債だって同じだ。補正予算が成立したときに国債を増発しはじめ
ればいいのに、前もって余計に国債を発行することで、余計な利払い
が生じているのである。
 もっとも私は、国債発行には肯定的だ。
 今のように金融市場で国債が「品薄」になり、それが経済の不活性
につながっているような状況では、政府はもっと積極的に国債を発行
すればいいと思う。
 国債発行には、財政経由で世の中に出回るお金を増やし、経済を活
性化する効果がある。
 銀行や証券会社にも、つねにふんだんに必要だ。
 しかし、必要もないタイミングで国債を発行するというのは、また
別の話である
 年の後半に使うかもしれないお金を、年の最初に借りても、政府に
余計な利払いをさせるだけだ。
  これは、国益にはまったくかなわない。
 つまり、減債基金のための借換債発行には否定的だが、教育国債の
ような投資のためになら、国債をもっと出していいという立場である。
--------------------------------------------------------------
第5章 「国債」がわかれば「投資」もわかる
銀行に預けるくらいなら国債を買え

低金利下では、

国債が最強の金融商品
 もし投資に回せる資金があるのなら、この低金利の環境では「個人
向け国債」が 最強の商品といえる。投資は、リスクとリターンのバ
ランスで判断する。国債より、もちろん株や社債の ほうがリターン
は高い。しかし、そのぶんハイリスクだ。「会社勤めをしながらちょ
と投資もしてみたい」というような投資の素人は、まず手を出さない
ほうがいい。  
 では、「投資のプロ」にお金を預ける投資信託はどうか。  
 はっきりいって論外である。
 「投資のプロ」といっても、神様ではない。
 どれほど賢い人でも、市場の細かい動きを百%予見することなどで
きない。いってしまえば、投資信託とは、「投資のプロ」 の山カン
に手
数料を払うシステムだ。投資信託で「これだけ利益が出た」とい
っても、毎月、けっこうな手数料をとられていることを考えれば、そ
れほど喜べる話ではない。投資信託なんかを運用する人たちは、その
うちAI(人工知能)にとって代わられ るだろうと私は思っている。  
 自分で株や社債を買うのも、投資信託にお金を預けるのも、やめた
ほうがいい。  
 となると残る選択肢は、銀行預金か国債か、である。今は、銀行口
座に入れておい ても、スズメの涙ほどの利子しか入ってこない。普
通、銀行預金の利率より国債の利 率のほうが高いということは起こ
りにくいのだが、そんなレアケースが日本では、しばしば起こってい
る。実際のリターンは、銀行預金より国債のほうが、わずかながら大
きい。  
 リスクという点で考えても、銀行より国のほうがはるかに安全だ。
銀行が潰れる可 能性はあるが、日本政府が潰れる可能性は、今のと
ころ、きわめて低い。万が一、日本政府が潰れるようなことになれば、
銀行はもっとまずいことになる。  
 どのみち、銀行預金に入れてねくくらいなら、より安全で、ちょっ
とでも利益率の高い国債を買ったほうがいいという結論になるのだ。

 本来は、あらゆる金融商品のなかで、もっともリスクの低い国債の
金本来は、あらゆる金融商品のなかで、もっともリスクの低い国債の
金利が、もっとも低いのが自然だ。
 しかし、国債の金利は、じつは「最低でもO・05%」と決められ
ている。このミニマム設定があるために、今の低金利下では、よりリ
スクの低い国債の金利のほうが、よりリスクの高い銀行の金利より高
いという、いわば「リスクプレミアムの逆転現象」が起こっているの
だ。
 差はわずかだが、銀行口座と国債とで比べれば、よりリスクが低く、
よりリターンが多いのは国債なのである。ためしに、付き合いのある
銀行の預金口座の金利と国債の金利を見比べてみるといい。
                        この項つづく
 
風蕭々と碧い時代


Jhon Lennon Imagine


プロフェッサー・ロングヘア Big Chief
also https://youtu.be/KDjkrNCF1qY

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)困難の道行く②
先ず武力衝突を止め、命軽しロシア・ウクライナから人々を救いだし、
パンデミックや地殻変動に備え、人為的気候変動回避と超えるべきが
山積である。

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今夜もテクがてんこ盛り ⑩

2022年11月03日 | デジタル革命渦論


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救っ
たと伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。
(戦国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編
のこと)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひ
こにゃん」
 


1.ハケイト 2.パンパス・グラス 3.ベンケイソウ 
4.リンドウ

【園芸植物×短歌トレッキング:リンドウ 竜胆】

    つづらをりはるけき山路登るとて路に見てゆく竜胆の花 

    わが妻が好めるはなは秋は竜胆春は椿の藪花椿

                                              若山牧水
おなじく山国の花に、竜胆りんだうがある。春竜胆もあるが、秋がほんたうの
竜胆らしくていゝ。これは秋も末、冬のはじめの日向などに落葉に茎
を埋められて咲いてゐるのが、ほんたうにいい。濃紫にいくらか藍の
まじつたといふ様な深い色、それはどうしても落葉の早い山国でなく
ては見られない。



りんどうの「勝利」や「正義感」という花言葉は、りんどうの根が薬
や漢方として使われていたことから付けられたと言われている。日本
をはじめ中国などでも古くからりんどうの根は薬や漢方として利用さ
れていた。そこから、りんどうの力で「病気に打ち勝つ」=「勝利」
と、なったと言われている。
                                           秋草と虫の音
                           若山牧水


男子厨房に立ち環境リスクを考える:】



【小父さんの園芸奮戦記:カバーグラスは玉竜】

細長い葉っぱを茂らせる、グランドカバーに人気のタマリュウ。花壇
の縁取りや木の根元の飾り、寄せ植えのリーフプランツなどに利用幅
の広い多年草。カバーグラスには、1年の試験栽培の結果玉竜に決定。
【理由】
1.常緑なので一年中美観を維持できる
2.管理が簡単なので、園芸初心者でも簡単に育てることができる
3.他の植物に比べて強く、病気に強い
4.日陰、半日陰でも元気に成長する
5.水やりは植栽後、3週間経過すれば水やりはほとんど不要
6.期に施肥をすれば、追肥は頻繁にする必要なし
7.1年に一度刈り込み、病害虫の予防と新芽を出して美観維持可
【植え方】
1.穴掘り
2.穴に培養土と肥料を入れて混ぜる
3.穴に培養土と肥料を入れて混ぜる
4.タマリュウをポットから外し、穴に入れる
5.水をあげる
6.初期の水やりは根付くまで、2日おきにたっぷりとあげる
7.定点写真を撮る
【費用を抑え、成長を見守る植え方】
1.ポットタイプは15cm間隔で植えて1年から2年くらいで繁茂す
 る計画植栽は、マットを敷き詰める場合に比べてコストを25%ほど
 に抑える
ことができる。

2.15cm間隔で植える場合は、1平米あたり36ポット必要。
3.ある程度成長してきたら株分けをしてあげることで、さらに違う
 場所も緑化することができる。
4.タマリュウに化成肥料などを与えると肥料焼けを起こす。
5.何度も踏みつけるとダメージを負って枯れる。
6.タマリュウの草丈が3cmほど残るようにしっかり刈り込む
7.タマリュウは1年で10cm程度成長する。
8.土留めとして活用できる。



【世界の工芸:】




 

【再エネ革命渦論 063: アフターコロナ時代 262】
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コンパクトでスマートでタフな①光電変換素子と②蓄電池及び③水電
解に④水素系燃料電池、あるいは⑤光触媒由来有機化合物合成と完璧
なシステムが実現し社会に配置されようとしている。誰がこれを具体
的に想定しただろうか。その旗手に常に日本や世界の若者達の活躍が
あった。
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術的特異点でエンドレス・サーフィング
   再生可能エネルギー革命 ➢ 2030 63


この円安でもエクスセレントカンパニーは増益にある。つまり、"ドル
決済主義制”下では日系企業は為替変動を直に受けるからだ。つまり。
為替変動制下では不安定(変動)を増幅させ変動幅が大きくなるのは
必然の経験則。11月1日、ソニーグループは2022年度第2四半期(同年
7月1日~9月30日)の決算説明会を開催した。 同期の売上高は前年同
期⽐16%増の2兆7519億円営業利益は256億円増の3440億円と増収増益
で、第2四半期および上半期の実績として過去最高を 更新したことを
報告。好調な業績の背景には、急進する円安がある。中でもイメージ
センサが主力のI&SSや、デジタルカメラなどを手がける 「エンタテ
インメント・テクノロジー&サービス(ET&S)などで円安の影響が 大
きな追い風。見通しを上方修正できたのは、円安の影響に加え、懸念
材料だった中国スマートフォン市場の減速がおおむね想定した範囲内
だったことが大きい。ハイエンドのスマホ向けのセンサー大判化や高
画質・高性能化による売上高増の見込みも想定通りという。ロジック
半導体の供給改善で大判・高画質センサの増産対応がある程度可能に
なっている。今後もハイエンド製品を中⼼に⾼付加価値センサーの導
⼊を積極的に進めていくと語る。



そんな中、9月14日、ソニーとオリンパス、両社の医療事業合弁会社で
あるソニー・オリンパス
メディカルソリューションズ(SOMED)の 3
社は、外科手術用内視鏡システムの新製品 「VISERA
ELITEⅢI(ビセ
ラ・エリート・スリー)」を共同開発。内視鏡外科手術の対象となる
患部を高精細に確認できる4K映像に加えて、3D立体視や、がんなどの
病変部や血管の位置を蛍光薬剤と近赤外光で分かりやすく把握できるI
R観察、NBI(狭帯域光観察)などの機能を1台に集約するとともにフ
ォーカス自動調整や焦点深度の拡大、さまざまな診療科での利用を想
定したオープンプラットフォーム化など、ユーザーである医師の利便
性を大きく高めており3社協業開発製品としてさらなる進化を果たし
ている。同年9月以降、オリンパスの販路で、欧州を皮切りに、中東、
アフリカ、アジア一部地域、オセアニアおよび日本で順次発売する予
定。現時点で北米市場は規制対応が完了していないが、対応が完了次
第速やかに発売する方針。

VISERA ELITE Ⅲの最大の特徴は、3社協業開発の1例目となるVISERA
4K UHDと、オリンパスの外科手術用内視鏡システムの現行機種である
「VISERA ELITE Ⅱ」の機能を1つのプラットフォームに統合した。こ
れにより、VISERA 4K UHDで可能だった4K映像による観察とNBI、VISER
A ELITE Ⅱの3D立体視、IR観察、NBIの機能を1台のシステムで完遂で
きるため、院内のオペレーションがシンプルになり、手技の効率化や
医療従事者の負担低減につなげられる。



このように、デジタル革命渦論と第4次産業勃興(図画像処理技術を
コアとした新興産業の成長)関連情報が次々と飛び込み手に負えない
状況にあり正に"テクが天こ盛り"である。

高出力フェムト秒UVレーザでポリマー薄膜の高品質切断 
10月17日、オプトロニクスオンラインによると、OLEDディスプレーや
フレキシブル回路基板,マイクロエレクトロニクス,医療機器,バッ
テリーなど様々な技術分野で,ポリマーが活用される例が増え、ポリ
マーは,断熱性,絶縁性,強度および耐腐食性に優れている。特に多
くのアプリケーションで使用されているポリマーには,ポリイミド(
PI),ポリエチレンテレフタレート(PET)ならびに,「Teflon」の商
標名で一般的に知られるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の3つ。
こうした材料を加工するため,従来の機械的なレーザー技術からの切
り替えが進み,最小限の熱影響で高強度を実現するフェムト秒パルス
レーザーがより一般的になりつつある。アプリケーションや要件にも
よるが,フェムト秒赤外・グリーン波長レーザーは,既に多くのアプ
リケーションで広く使用されている。フェムト秒UVレーザーは,さら
に高度な精度や品質が要求されるアプリケーションに対応する。

図1. IceFyre FS UV50フェムト秒UVレーザーを用いて切断,厚さ75µm
  のPIフィルムの入射側,断面および出射側の顕微鏡画像

以上の結果から,フェムト秒UVレーザーは,ポリマーの切断において
優れた品質と高いスループットを兼ね備えていることを示し,特に先
端的なディスプレーやマイクロエレクトロニクス装置向けのポリマー
の加工に理想的な製品となっている。

  歩行運動からの発電が90倍の振動素子
近年、環境中に存在する熱や光などの微小なエネルギーから電力を取
り出すエナジーハーベスティングと呼ばれる技術が注目を集めている。
中でも、振動する物体が持つ運動エネルギーから電力を取り出す技術
は振動発電呼ばれ、天候や気象に左右されないという特徴でこのブロ
グでもおなじみ。
大阪公立大学らの研究グループでは、これまでに、圧電効果を使った
振動発電素子の開発に取り組んでおり、これまでにモーターや洗濯機
ど周期が一定な機械的振動からはマイクロワットレベルの電力を得る
ことに成功していなかったが、人の歩行運動等で発生する衝撃的な振
動では、発電電力が大幅に低下するという問題があった。
【要点】
1.U字型の振動増幅パーツを取り付けた1円玉サイズの小型の振動発
 電素子を開発
2.素子の面積を増大させることなく、発電性能を約90倍に高めるこ
 とに成功
3.歩行運動を含む非定常的な振動から、小型電子機器を駆動可能な
 発電量を生み出す技術への応用が期待
【関連論文】
1.掲載誌:Applied Physics Letters
2.原 題:Enhanced Performance on Piezoelectric MEMS Vibration Ener-
  gy Harvester by Dynamic Magnifier under Impulsive Force


図1.紫外線発酵ダイオードUV-LED市場
 RGBの高効率マイクロLED
10月27日、ナイトライド・セミコンダクターは,従来のマイクロ紫外
線(UV)LEDピーク波長385nmに加えて,赤(R)LEDピーク波長620nm,
緑(G)LEDピーク波長510nm,青(B)LEDピーク波長450nmの 3種類の
可視光のマイクロLEDの高効率発光に成功する。マイクロLEDディスプ
レーは,液晶(LCD)及び 有機ELディスプレーの次世代ディスプレー
として,各国企業が開発を競っているが,マイクロLEDチップの コス
トと安定供給が課題になっている。特に,赤色のLEDは ガリウムひ素
(GaAs)やガリウム燐(GaP)が,材料的に脆弱, 屈折率が高いため
に光取り出し効率が低いといった理由で,マイクロチップ化すること
が困難なだけでなく,高効率化にも課題を抱える。



同社は,マイクロUV-LEDで,赤,青,緑の3種類の蛍光体を励起する方
法でディスプレーの開発を進めているが,今回,高度な結晶成長技術
を応用して,赤色,青色,緑色InGaNマイクロLEDチップの量産技術の
開発に成功した。チップサイズは赤色が24μm×48μm,緑と青は12μ
m×24μmとなっている。これによりユーザーは,従来から進める,赤
,青,緑のマイクロLEDチップを実装する方法で,マイクロLEDディス
プレーの量産を実現できる。そこで同社は,マイクロLEDディスプレー
を量産するにあたって,様々な波長,及びサイズのチップを試して最
適なチップを選択できるよう,キットを販売する。価格は1セット:
USD7000ドル若しくは日本円100万円。



位相コントラストX線CTシステム発売開始 
11月1日、島津製作所は位相コントラストX線CTシステム「Xctal(エ
ックスシータル)5000」を国内外で発売。 販売価格1億1,000万円~(
税別)。わたし(たち)は軟X線の 三次元解析装置の購買開発してこ
ろ30数年まえだが、このようなX線発生装置と検出器の間で回転する
ワークにX線を照射することで,その内部を3次元で観察・撮影する
装置は、非破壊で観察できるため, 品質管理や研究開発で使われてい
る。近年,カーボンニュートラルを目指して 新素材の研究開発が進ん
でおり,「自動車向けの軽量化素材としての炭素繊維強化プラスチッ
ク(CFRP)などの内部を検査」「異なる樹脂を組み合わせた新素材の
接着接合状態を観察」といった非破壊での観察需要が高まっている。
従来,「吸収像」で微細な構造を観察する際は「高拡大撮影が必要で
視野が狭くなる」「ワークを小さく切断しなければならない」という
課題があった。この製品は「散乱像」を用いて,内部の細かい傷や繊
維束の流れといった微細な構造群を観察できる。最大100mmという広視
野を持つため,ワーク全体から細かい傷などの有無や位置に見当を付
けられ,撮影回数を重ねたりワークを切断したりする必要がないため
検査対象品をハンドリングロボットを配置すれば、ロンゲストプロセ
スの半製品を省力型非破壊中間検査システムとして投入できる。






 【衝撃】日本が開発した「次世代太陽電池」に世界が震えた!
【ペロブスカイト太陽電池】【ついに実用化!?】


図2.世界の生産量(メートルトン)と地殻希少性(kgSi単位のCSP式/ g)
あらゆる技術の太陽光発電モジュール生産に関連する鉱物については、
2010年と2019年。対数スケールは、グラフの両方の軸で使用されてい
る。英国地質調査所のデータ44とアービッドソンら。[カラーフィギュ
アはwileyonlinelibrary.com 参照]
【完全クローズド太陽光システム事業整備ノート ③】
 ソーラーの持続可能性の鍵となるリサイクル
原題:将来のネットゼロ排出シナリオにおける太陽光発電技術の持続
Sustainability of photovoltaic technologies in future net-zero emissions scenarios
First published: 26 October 2022 https://doi.org/10.1002/pip.3642

1.鉱物不足、世界の生産量、PVシステム製造の需要
グラフで使用されている対数対数 データポイントの分布はCSPを年間
生産量に関連付ける逆べて記述される傾向に制限境界を示されている。
この境界をはるかに下回る元素は、ガリウム(実際には2010年から年
にかけ生産量を大幅に増加させた)やゲルマニウム(その場合、BGS及
USGSびレポートには一部の国からの非公開の生産が含まれてめ、デー
タはあまり信頼できない)の場合のように、生産性が増える傾向があ
る。これは、Ⅲ–V族 および将来のアモルファスSi / Geタンデムセル
にも敏感である)。上記の逆べき乗則は、数十億トン(FeとC)のより高
い生産速度で飽和し、AlやSiで観察されたようなより小さな生産につ
ながるが、それでもはるかに大きな生産の可能性がある。過去10年間
のテルル生産の大幅な増加は、はるかに低いレベルにあるが要観察で
あるCdTe技術はテルル生産に大きく依存しており、市場シェアは減少
傾向にあるが、最初の薄膜技術であり、モジュール生産量は2020年に
すでに6GWを超えている。


図3.いくつかの技術の太陽電池の生産に関連する選択された鉱物の
 年間生産量(メートルトン)の進化。シリコンの生産量は数十億トン
 のオーダーだが、他の鉱物の生産量は数百トン。パーセンテ
 ージの数字は、過去10年間の進化を示す。英国地質調査所
 のデータ44[カラーフィギュアはwileyonlinelibrary.com】

鉱物の年間生産量のデータは、5つの鉱物についてより詳細に示され
ている傾向に従っています:図3の上部にあるシリコン(フェロシリコ
ンと金属の両方の段階)は、金属シリコンの生産量が30億トン以上に
達し(過去10年間で着実に 52%増加)、さらに17億トンのフェロシリコ
ン(過去に生産量が-34%減少)で補完。)、まとめると、シリコンの生産
は大幅に増加。図3の下部では、インジウム、ガリウム、テルル、ゲル
マニウムのデータが示されており、この場合、年間生産量は数百トン
とはるかに低く、インジウムは+ 32%増加し、ガリウム(+157%)とテル
ル(+360%)ははるかに強い増加を示すが、ゲルマニウムは生産量を減
らしている(-22%、この減少は、上記のように、一部の国で実際の生
産データにアクセスできないことが原因)。このアプローチは、鉱物の
世界の年間生産量とさまざまな技術のPVモジュールの製造に対する実
際の需要との関係の研究で補完されるべきです。方法論のセクション
で示されているように、2つのレベルの相関が確立されている。最初
のものは鉱物とそれらの鉱物を必要とするモジュールの両方について、
2019年の実際の生産からのデータを比較するものです。各技術の鉱物
量は、モジュールに埋め込まれた元素の量と総生産量(2019年の実際の
データと2030年の予測)を組み合わせたセクション2で説明されている
方法論に従って計算されます。過去数年間の技術の進歩と今後8年間で
予想される元素の量を減らす可能性があるものは考慮されていないた
め、このリスクレベルは、次の理由でおそらく将来低くなる上限を設
定している。 第1に、PVモジュールの生産は、2030年に考慮された
比較的楽観的なNZE2050シナリオによって提案されたものよりも低くな
る可能性があり、第2に、技術の進歩は、Wあたりの埋め込み要素の
削減につながる。相関関係の結果は図4に要約されている、選択され
た鉱物のPVモジュール製造の年間生産量と需要、および2019年(市場
データを含む)および2030年(NZE2050 IEAシナリオによる予測データ)
からの変化を示し、2020年現在のさまざまなPV技術で同じ市場シェア
を考慮に入れている。過去5年間安定しています。両軸の対数スケール
は、両方の値の間のべき乗則関係を示していますが、PVの需要がどの
ように動いているかが非常に明確になり、世界の生産量よりも高い値
に速く移動する必要があるため、すべての鉱物の挿入図に示される比
率が増加する。


図4.選択された鉱物の世界生産量(メートルトン)とPV製造の需要(メ
ートルトン)の両方を対数スケールで示し、2019年(市場)と2030年(NZE
2050 IEAシナリオによる予測)からの変化を示す。挿入図は、両方の年
の各鉱物の年間PV需要と年間世界生産量の比率(%)を示す。[カラーフ
ィギュアはwileyonlinelibrary.com 参照]

PV製造に必要な要素の年間需要とその年間生産量の比率は、2019年の
生産と需要の実際の市場データに基づいて計算され、2030年のNZE2050
シナリオの予測に基づく。これらの比率を図4の挿入図に示す。図4に
示されている最も心配な発見は、挿入図に示されている高い比率。
2019年のすべての鉱物はまだ100%未満です(つまり、グラフの対角線
より上のポイントで、毎年生産は年間需要をカバーし、すでに抽出さ
れた埋蔵量を使用する必要はない)が、銀(電気接点のすべての技術で
使用)とテルル(CdTe技術のみに影響を与える)の比率は特に高い。こ
の事実は、銀の比率を大幅に増加させる(200%を超え、対角線を横切
る)投影によって強調され、シリコンベースの技術の非常に集中的な
研究分野である代替品を探すことが義務付けられている。最良の代替
品は、スズ含有量が高く、アルミニウムを含む合金です。スズはまた
市場の緊張を引き起こす可能性があり(比率>80%に達する)、アルミニ
ウム(地球の地殻で最も豊富な金属の1つである)は、その製造プロセス
のためにより高いエネルギーが埋め込まれているが、より良い代替品。
インジウムは長い間、マイクロエレクトロニクス産業に必要な重要な
金属として特定されており、PV用のIII–V活性層化合物用の合金、高度
な高移動度マイクロエレクトロニクスデバイス、およびインジウムド
ープ酸化スズITOが約0.022 g / Wの多くの電子用途で透明導電性酸化
物(TCO)の幅広い用途で使用されている。pインジウムおよび0.045 g/Wp
スズは、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)に置き換えられない限り、前面電
極としてTCOを必要とする新しい新興技術の大規模な展開に対する制限
となる可能性がある。 これらの調査結果にもかかわらず、PVシステム
製造の鉱物不足に関連するリスクの研究は、再生可能エネルギーの高
度な展開(およびパリ協定に関連する国が決定した貢献の良好な遵守)
を考慮するNZE2050シナリオの場合でも、今後8年間(2030年まで)の供
給緊張が限定的な楽観的な見方を提供する。政治的コミットメントと
技術的能力によってサポートされている場合にのみ、IEAモデルに含
まれている)。したがって、4956GWの展開p計算のために考慮された世
界的には、その製造を妨げる可能性のある鉱物不足によって脅かされ
ていない。鉱物生産とPVモジュール製造の地理的依存と関連するリス
クに関しては、結果は標準的なLCA方法を超えている。鉱山または主要
一次生産者の地理的位置による鉱物生産と潜在的なリスクの分析を図
5に示し、商用PV技術に最も関連性の高い鉱物の生産シェアを含める。
研究に選択された7つの鉱物の中で中国がより大きなシェアを保持し
ていることは明らか。メキシコが主導する銀生産は唯一の例外であり
結晶シリコン技術にとって最も重要な要素、つまり(現在および近い
将来に)最高の市場シェアを保持する元素のリスク供給を軽減する。


図5.商用PV技術の製造に使用される7つの主要要素の鉱物生産のシェ
ア。c-Si技術は、電極用の他の金属と置き換えることができる銀の使
用によってのみ影響を受ける。CdTeおよびCIGS技術は、潜在的な供給
リスク(それぞれテルルおよびインジウム)の影響をより受ける。英国
地質調査所のデータ(2019年のデータ)。44総生産量の単位(トン)[カラ
ー図はwileyonlinelibrary.com で見ることができる

]図5に示す鉱物生産とその地理的分布を超えて、図6に示すようにPV
モジュールの生産の次の段階も中国の製造に強く依存。シリコン結晶
インゴットの生産から始めて、中国は2010年に40%以上、2021年に75
%以上を生産し、他の国にシリコン製造センタを設置する努力にもか
かわらず、市場の優位性が高まっているこの傾向は、生産の他の段階
特にシリコンウェーハの生産についても同様であり、2021年には中国
の優位性が非常に強く、95年の生産の202%以上を占めている。中国が
2021年に世界の供給の79%を生産し、残りは他のアジア諸国によって
生産されているセルの場合。モジュールの最終組み立てのみが安定し
ているようで、より多様な市場シェアは依然として中国によって支配
されており、66%しかありません(過去10年間でほぼ同じだが、ヨーロ
ッパの生産を犠牲にして他のアジア諸国の参加が増加している)。
これらの傾向が2030年まで近い将来に変化する可能性があるという兆
候はなく、中国や他のアジア諸国が世界市場に投入され、関税戦争な
しに生産を分配が不可欠。持続可能性の観点から、中国と他のアジア
諸国のエネルギーミックスが温室効果ガス排出量の削減とより効率的
な一次エネルギーから電力への変換(実際の約35%の改善率の改善)と再
生可能エネルギーのグリッドへの直接投入に向けて進化すれば、生産
されたウェーハ、セル、モジュールに埋め込まれた排出量を大幅に削
減できる。中国は主要なPVモジュール生産者であるだけでなく、世界
の主要なPVモジュール設置業者でもあり、この目標は手の届くところ
にある(253.8GWp2020年末に設置された累積容量、そのうち48.2GWpそ
の年に設置された場所である


図6.異なる製造国または地域間のシリコンインゴット、ウェーハ、セル、モ
ジュールの生産シェア、2010年と2021年の比較。IHSマークイットからのデ
ータ  [カラーフィギュアはwileyonlinelibrary.com 参照 ]                       
                                      この項つづく



中世期最大の詩人のひとりであり、学問と識見とで当代に数すくない
実朝
の心を訪れているのは、まるで支えのない奈落のうえに、一枚の
布をおい
て坐っているような境涯への覚醒であった。本書は、中世初
期の特異な武
家社会の統領の位置にすえられて、少年のうちからいや
おうなくじぶんの〈
死〉の瞬間をおもい描かねばならなかった実朝の
詩的思想をあきらかにし
た傑作批評。

【目次】
1 実朝的なもの
2 制度としての実朝
3 頼家という鏡
4 祭祀の長者
5 実朝の不可解さ
6 実朝伝説
7 実朝における古歌
8 〈古今的〉なもの
9 『古今集』以後
10 〈新古今的〉なもの
11 〈事実〉の思想
実朝における古歌 補遣
実朝年譜
   
【著者略歴】 吉本隆明(1924-2012年)は、東京生まれ。東京工業大
学電気化学科卒業。詩人・評論家。戦後日本の言論界を長きにわたり
リードし、「戦後最大の思想家」「思想界の巨人」などと称される。
おもな著書に『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』『心的現
象論』『マス・イメージ論』『ハイ・イメージ論』『宮沢賢治』『夏
目漱石を読む』『最後の親鸞』『アフリカ的段階について』『背景の
記憶』などがある。  
      

Ⅲ 頼家という鏡 ②

    定
     起請文条々
 一 鼻血が出ること
 一 起請文を書いた後に柄むこと(但し元三から柄んでいだけあ
  いは除く)
 一  ハトやカラスが尿をかけること
 一 鼠に衣裳を喰いやぶられること
 一 身体から血を流すこと(但し楊枝を用いるとき、ならびに月
  経中の女性および所柄を除く)
 一 重軽の服あること
 一 父子に非科がおこること
 一 飲食の時むせること(但し背を打つほどになったときに失と
  定める)
 一 乗っている馬がたおれること
 右、起請文を書いてから、七日間右のような失態がなければ、ま
 た七日間延長して神社内に参詣させるべきものとする。もし二七
 日間なお右の失態がないばあいは、すべて道の理にかなうもの
 として成敗がきめられるべきものである旨、仰せによって定める
 ところ件の如くである。

 この迷信による法的な裁決は、関東武門に固有なものであった。
 このなかで訴訳者のあいだに責任かおるのは「父子罪科出来事」
 だけであり、そのほかの箇条はすべて〈自然現象〉にしかすぎな
 い。しかしながら、自然に異変があるのは人間の心身の行為に原
 因するという考え方は中世における固有の信仰であり、『吾妻鏡』
 にもしばしばこの種の理念がおおまじめに語られている。また、
 それを除くために陰陽道の占星術や加持祈祷がまともに修行され
 ている。ただ、関東武門層のおいでは、鼠一匹、馬一匹に禍福、
 正邪の象徴をよみとるような貧しい生活意識があったのだといっ
 てよい。
  頼朝の創設した幕府理念の変容は、その死後幕下の御家人中の
 有力な諸族のあいだに対立と抗争がはじまる予兆であった。北条
 氏を核においた殺伐な殺しあいと内証は、すぐに萌しはじめたの
 である。
  まず、はじめは頼家将軍白身からであった。朧か真か保証する
 手だてはないが、『吾妻鏡』や『北条九代記』の記載によると、
 三河の往入室平目郎重広の非道の報があり、頼家は安達弥九郎景
 盛に命じてこれを追討させ、その留守中に景盛の思い女を営中に
 引き入れて囲ってしまった。帰来した弥九郎景盛は嘆き悲しんだ
 が、これがため主君に逆恨みをいだいていると告げるものがあり、
 頼家は近習の寵臣をつかって弥九郎を討たせようとした。さすが
 に母政子の諌言によって思いとどまったが、政子は偵察が政道を
 かえりみず、民の愁をおもわず、色に遊びふけり、近習にはおべ
 んちやらを集めて、北条踏歌をはじめ剛直の武将をしりぞけて、
 禍根をのこすことになっていると辛辣に言いけなフたといわれて
 いる。
  この事件は幕府の家人からの乱のさきがけであった。ほとんど
 信じ難いほど、家人たちの殺しあいが間断なくつづき、坂をころ
 げおちるように、源家三代の終末までゆきつくことになる。
  まず争乱は、帽家将ボがぴきおこした事件にたいする結城七郎
 朝光の批判に端を発した。朝光は侍所に参内のおりに、頼朝公が
 死んだとき出家遁世しなかったのは不覚であった、近ごろは将軍
 から下々にいたるまで、まるで薄氷をふむような危っかしいこと
 ばかり仕出かしているとロばしったのを梶原景跡にざん訴された。
 頼家は限って朝光を討つべきことを申しだした。朝光は仲のよい
 三浦党の右兵衛尉義行に相談した。前付はいままで梶原泉跡のざ
 ん言で一門を滅亡させられたものは数しれない、宿老たちをあつ
 めて梶原を退治すべき方策を練るべきであるとして、諸将連名で
 梶原景跡の所業を頼家将軍に訴えた。梶原泉跡はやがて諸将から
 排せきされて鎌倉を追い出され、一門を連れて京都を志したが、
 駿河の国情見開で、諸将の非公式の討手とたたかい亡ぼされた。
 足跡は、京都に入リ、九州の反源氏の徒党だちと呼応して鎌倉幕
 府に抗う構想をたてるにいたったとされているが、もちろん、真
 偽のほどは確かではない。頼家の失政はつづいた。正治二年(一
 二〇〇年)十二月二十八日に諸国の田文を提出させ、大輔房源性
 に算用させて、治水・首相年間よりこのかた、新患によって領地
 とされたものから人ごとに五百町にかぎり、余りの田地を召放っ
 て貧窮した近習にあたえるべき旨の指示をくだした。大江広元は
 これをきて仰天し、また世のそしり、人の憂慮はつのるばかりだ
 というので宿将たちは手に汗をにじませて周章狼狽した。大夫属
 入道善信がしきりに諌めたので、頼家はまずおもいとどまった。
 諸将は心の底で離反するばかりであった。頼家の視野はすでに身
 辺に供奉するものの範囲までせばまっていて、それ以外のことは
 投げてしまったといってよい。
  頼家はたしかに愚かで粗暴な入物だったかもしれないが、『吾
 妻鏡』や『北条九代記』の記事ほどに否定さるべき存在であった
 かどうかは疑わしい。むしろ、ひしひしと、だが陰湿に追ってく
 る北条氏の圧迫にたいして、それなりの抵抗をしめしたともいえ
 。まだ、頼朝時代の合戦と武断の余殖が追っているかぎり、頼
 家がやったことは、北条氏のために頼朝の幕府創設の理念が変質
 されてゆくのに抗う果敢な自滅の仕方だともいえるからである。
 もし頼家のこういう振舞いがなかったら、実朝の出番はなかった
 かもしれない。出番という意味は、鎌兪幕府創設のはじめにあっ
 た武力的な制覇の意味を、頼家が、決定的に〈無化〉したために、
 幕府は宗教的な象徴性と武力的な象徴性の分離を促進されたとい
 うことである。執政権が、すでに、武門勢力のうちで頭角をあら
 わしてきた北条氏一族にあるとすれば、将軍職は宗教的な象徴で
 ある以外はない。実朝は資質的にみればこの適役であった。北条
 氏の眼に視えない糸にからめとられている自分を発見していたと
 しても、実朝は頼家のように、じかにぶつけるような資質ではな
 い。平気を装って、のほほんとした貌でその上にのっかっている
 ことができた。坪内逍温も武者小路実篤も、実朝と北条義時の〈
 不和〉という仮定をもとにして、戯曲をつくりあげた。そして、
 原因を実朝の内心にあるものとみた。べつのいいかたをすれば、
 実朝はじぶんが人形や将棋の駒のように北条氏にのせられている
 だけであることへの不満がかさみ、長い年月億積されたことが、
 〈不和〉の原因だという理解の仕方をした。これはけっして嘘だ
 とはいえまいが実朝はどうも、そういう不平や不満をすぐに行動
  にあらわす人物ではないようにおもわれる。実朝は不平があれば、
  宗教的にか、または思いもおよばない仕方でうちだすだけの見識
 をもっていた。たとえば畠山氏や和田氏の供養を公然とやったり、
 渡来の計画をたてたりというように。太宰治は逍遥や武者小路の
 やった解釈の通俗さをきらって、実朝と義晴とは評判とちがって、
 互いによくわかりあった主従として描いている。そして、このほ
 うがずっと実際にちかかったようにおもわれる。実朝と北条氏一
 族との〈不和〉は、むしろ〈制度〉的な〈不和〉であり、その意
 味では個人的な不和にも、個人的な和解にもゆきつかないような
 決定的なものであった。個人として不和であったか、気心がよく
 わかっていたか、ということで、どうなるものでもなかったので
 ある。
  建仁三年(一二〇三年)七月二十目、『吾妻鏡』の記載では偵
 察は急に病気になり、T時は危篤状態に陥ったとされている。偵
 察は同年八月二十七日に幕府の統領として跡目のことを申出した。
 この偵察の病気というのは、たぶん心身の消耗ということで、こ
 の状態は母北条政子と時政とが合作してつくりだしたという公算
 がおおきい。でたらめな所業のために心身の衰弱状態になったの
 か、それを廃嫡の口実として作りあげられたか、そのいずれかで
 あった。
  頼家が申出しだのは、関東二十八カ国の地頭ならびに惣守護職
 をじぶんの長男一幡幡、関西三十ハカ国の地頭職を弟千幡(のも
 の実朝)に譲るという内容であった。もし頼家の自発的な沙汰で
 あれば、家督は長子一幡へ継承されることとなるはずであるが、
 母政子と北条氏の合意で、舎弟実朝にも跡目の分与が強制された
 と推定される。頼家はむしろ強引に退位させられたのである。北
 条氏はサボタージュと極道で抵抗した頼家を見捨て、源泉に世襲
 するなら、当無頼家の長子にゆくはずの家督権を実朝にあたえよ
 うとした。一幡の母親若狭局の父にあたる比企能員は、この処理
 に不服であり、すべてがじぶんの外孫にあたる一幡に譲らるべき
 ものとし、北茶時牧を討って千幡の勢力をあらかじめそぐための
 謀議をめぐらした。この動灘はすぐに北茶時政に察知され、頼家
 は呼び出されて謀殺された。一族は知らせをきいて一幡の住居で
 ある小御所にこもり、戦いに具えたが、北条政子の指令で、動員
 された諸将の兵力にかこまれ討ちとられた。また系累のものは処
 罰された。
                                       吉本隆明著『源実朝』
                                         Ⅲ 頼家という鏡
                                               筑摩書房刊

                         この項つづく

 風蕭々と碧い時代

Jhon Lennon  Imagine

                      


● 今夜の寸評:(いまを一声に託す ⑤)


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