極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

福島原発汚染処理水とは ③

2023年05月31日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん





かつおのレモンバジルサラダ



ベチュニア
学名:Petunia  原産地は南 アメリカ
和名:ツクバネアサガオ(衝羽根朝顔)
科名 / 属名:ナス科 / ツクバネアサガオ属(ペチュニア属)
花言葉:あなたと一緒なら心がやわらぐ your presence soothes me
日本には衝羽根朝顔(つくばねあさがお)の名称で渡来。寒さと雨に弱
く、枯れてしまうことが多かったので、日本では当初人気はなかったが、
1989年にサントリーが日本の気候に対応できるよう改良し、「サフィニ
ア」を開発した後から人気が高まった。

          空豆や にわか床屋も うすみどり  
                           



メランポジウム 寄せ植え
学名:Melampodium divaricatum(M. paludosum)
その他の名前:メランポディウム
科名 / 属名:キク科 / メランポジウム属



渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

福島原発汚染処理水とはなにか ③
福島第一原子力発電所からの長年にわたる陸地トリチウムの漏えいと
策と汚染水との関係
掲載日:2020.11.16

【要約】
方法:

サンプルコレクション➲ 環境サンプルは、FDNPP が位置する 福島県
大熊町で収集された(図 6)。 FDNPP は北西太平洋に隣接し、 東京か
ら 230 km 離れている。地下水サンプルは 2013 年から 2019年に 収集
された。大熊町の大部分は依然として放射性セシウムで高濃度に汚染さ
れており、再居住は困難な状況にある。FDNPPの原子炉建屋(R/B)とター
ビン建屋(T/B)は、図3の青緑色で示すように、海抜10m以下の 北西太平
洋に面している。 標高35mの丘の上にピンク色で示された治療施設(図
3)。汲み上げ水のサンプリングは、FDNPP境界の海抜 17 m の崖下で実
施された。図3 の写真に示すように、サンプのサンプルは崖に突き刺さ
ったパイプから直接採取された。崖壁にパイプが刺さっていたので、地
下水を直接採取することができた。地下水は、汚染された土壌や植物に
触れることなく排水溜めから直接サンプリングでき、地下水汚染を評価
するのに最適な場所であった。

トリチウム分析➲ 水中の 3H は、希ガス質量分析法と液体シンチレ
ーションカウンターによって測定された。 環境水の浮遊物を濾過(ア
ドバンテック5C)により除去し、文部科学省公定の方法に従って3
を抽出した。 約 50 mg の KMnO4 と 50 mg の Na2Oを 50 mlの  濾過
水に加え、1 日間蒸留した。 液体シンチレーションカウンター (LSC)
を使用して 3Hベータ放出をカウントした (Perkin Elmer Tricarb 3180 TR)。
検出効率は、クエンチ補正を行った自己吸収曲線に基づいき決定する。
ベータ数には 133Ba を使用した外部標準源法を適用しました。 20 mL
の低カリウム LSC バイアルを使用し、10 mLの水サンプルと 10 mLのカ
クテル剤 (UltimaGold LLT、Perkin Elmer) を各バイアルに加え、よく撹
拌。 自家蛍光を除去するために撹拌してから少なくとも2時間後にベー
タ放射を測定。 ほぼすべてのサンプルで、消光量、つまり変換された
外部標準スペクトル指数 (tSIE) は約 300~ 400 で、検出効率は約 23
%であった。バイアルあたりの測定時間は1
日 (1時間サイクル、24回
) であった。3H の検出限界は約 1.5 Bq/L。

いくつかのサンプルは、3H LSC 測定をチェックするために、In-growth
法を使用した希ガス質量分析により測定された。 ヘリウム 3 内部成長
法では、東京大学AORIで収集されたサンプル中のトリチウム濃度が測定
された。地下水サンプルを濾過し、蒸留した後、ステンレス鋼のボトル
に入れた。ヘリウムを含むすべての溶存ガスは、ポンプでポンプを送り
超音波槽内でサンプルを振盪することによって地下水から抽出された。
完全に脱気した水サンプルを容器に密封しました。 数か月後、AORI
(Helix-SFT; GV Instruments Ltd.)
の 従来の希ガス質量分析計を使用して、
3H 崩壊によって生成された 3H が分析された。 トリチウム濃度は 測
定された 3He 量から間接的に測定された。3H 測定の検出限界と分析不
確かさは、それぞれ約 0.003 Bq/L と 10%と推定された。 放射性崩壊
は、
サンプリング日の時点で補正された。内部成長分析法とLSC を比較
すると、測定された放射能が良好な一致を示した。



図 6. 日本の福島県にある福島第一原子力発電所 (FDNPP) の位置。

50 mL の水サンプルを蒸発させ、5 mL の 8 M HNO3 で溶解しました。
HNO3 溶液は、分析グレードの Tamapure AA-100 試薬 (68% w/w) と M
illi-Q2 精製水 (25 °C で > 18 MΩ cm) を使用して調製されました。
ストロンチウムの分離では、粒子サイズ 100 ~ 150 μm の DGA およ
び Sr 抽出クロマトグラフィー樹脂 (Eichrom Technologies Inc、米国)
0.5 mL をポリプロピレン重力カラム (Muromac、日本、サイズ、長さ 4
2 mm、直径 5 mm) に充填し、洗浄しました。 10 mL のH2Oを使用し、流
量約 0.2 mL min-1 の 8 M HNO3 5 mL で前処理する。サンプルを 5 mLの
8M HNO3 に溶解し、準備したカラムにロードし、3 mL の 8 M HNO3 およ
び 3 mL の 3 M HNO3 ですすぎました。 最後に、3 mL の 0.05 M HNO3
を使用して Sr 樹脂から Sr を剥離しました。 この最終溶液を約0.1
mLまで蒸発させ、0.5mLのHNO3 および0.5mLのH 2O 2
混合した。 溶液を10分間沸騰させ、蒸発乾固させた。 その後、Sr
を含む残留物を0.25mLの1M HNO3 に溶解し、蒸発させて小さ
な滴とした。 Sr を含むこの小さな液滴を、1 マイクロリットルの TaF5
活性化剤とともに、脱気した単一レニウム フィラメント (99.999%) に
ロードする。TIMS分析の詳細 他の場所で紹介されている 。
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用語解説
注1:トリチウム(水)
原子核に陽子1個、中性子2個を擁する水素の同位体を3重水素(トリチウ
ム)と言う。本研究では、この三重水素原子を水分子に含んだ水をトリ
チウム水と呼称します。トリチウムは原子力発電所に限らず、宇宙線に
よっても生成する、比較的身近な放射性物質の一つである。半減期は
12.3年でベータ(-)崩壊する特徴があります。
 注2:不透水層
主に粘土などで構成される、地下水を通しにくい層(地層)のことです。
本研究で観測した地下水は、現場の状況から地上から最初の不透水層ま
での間(不圧帯水層)からではないかと想定しています。
注3:ストロンチウム安定同位体比
天然に存在する安定なストロンチウム(Sr)の中で、87の質量数と86の
質量数のストロンチウムの濃度比(87Sr/86Sr)を示す。本研究では、地
下水中の87Sr/86Srの違いによって、水源の違いを議論することができる。
なお、この議論においては、放射性ストロンチウム(90Sr)は関連ある。
87Sr/86Sr および 90Sr/86Sr 同位体分析。 2か所で採取した水(  図6の
「*」と「**」)を用いてSr安定同位体比(87Sr/86Sr)分析と90Sr(T1/2=
28.8y)分析を行い、泉源を特定しました。 水と90Sr汚染の可能性があ
ります。この目的のために、Phoenix X62 (Isotopx、英国) の熱イオン化質
量分析装置 (TIMS) が使用されました。安定したストロンチウム濃度測
定のために、Agilent-8800誘導結合プラズマ質量分析計(Agilent Tec
hnol-
ogies, USA
)を利用した。詳細なストロンチウム分析方法については、別
の場所で説明さする。TIMSには、9つのファラデー カップ (最大 10V)、
デイリー イオン カウンティング システム (光電子増倍管 PM) (50 mV
= 3 × 106 CPS)、二次電子増倍管 (SEM)、リア軸ファラデー、およびと
して知られる 4 つのダイノード チャネル電子増倍管が装備されている。
Channeltron マルチイオンカウンティングシステム。 コレクターシステ
ムには、豊富な感度と伝送効率を向上させるためのワイドアパーチャ遅
延電位 (WARP) フィルターも含まれる。ストロンチウム安定同位体分析
にはマルチダイナミック手順が適用され、90Sr 分析には静的手順が適用
された。 最初に 87Sr/86Sr 同位体比を測定し、次に 90Sr/86Sr 同位体
比を測定した。 
                                                   この項つづく


     



【再エネ革命渦論 129: アフターコロナ時代 328】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑫

図1.さまざまな コロイド量子ドット( CQDの接合と電気伝導性(導
電性)の模式図
(a) 絶縁性オレイン酸を 配位子に 持つ二つのCQD。ドット間の距離が
  大きいため、電気伝導は起こらない。
(b) 短い 有機分子の配位子で架橋された CQD。 電気伝導が発現するが 、
 低移動度にとどまる。
(c) 今回開発したCQD。隣接するCQD間を直接接合し、電気伝導性を高め
 た構造

高移動度の半導体コロイド量子ドット超格子を実現
エピタキシャル接合により、高性能化に成功
 5月25日、理化学研究所らの共同研究グループは、半導体コロイド量子
ドットの高秩序な超格子薄膜を作製した結果、移動度の大幅な増強に成
功し、キャリアドープによる金属的伝導性を初めて実現。これまで、コ
ロイド量子ドットからなる材料を光電デバイスへ展開する場合、特に移
動度の低さが障害となっていたが、将来の光電デバイス[5]開発のため
の新たな基盤になるものと期待されている。今回、共同研究グループは、
有機配位子によって安定化された硫化鉛(PbS)コロイド量子ドットを
有機溶媒表面上で集積させました。そして、量子ドットの表面を形成す
るいくつかの結晶面から選択的に有機配位子を除去することで、量子ド
ット同士をエピタキシャル接合させ、結晶の向きをそろえて広い面積に
配列させた「量子ドット超格子」とも呼ぶべき薄膜をシリコン基板上に
写し取ることに成功。この超格子薄膜の電気伝導特性を電界効果トラン
ジスタデバイスにより調べたところ、従来の商用コロイド量子ドット薄
膜よりも1,000~100万倍以上も大きな移動度を観測。また低温での電気
抵抗測定から、この薄膜はキャリアドープによって金属的伝導性を示す
ことも明らかにした。


図2.エピタキシャル接続された PbS 量子ドット超格子 (QD-SL)。a
8.1 nmを含むQD-SLの透過型電子顕微鏡(TEM)写真 直径PbS QD。 (挿
入図) 顕微鏡写真の高速フーリエ変換 (FFT)。b 斜入射小角 X 線散乱
(GISAXS) パターン対応するサンプルは QD の2次元順序付けを示す。
単層。 c プロットは、抽出された QD の平均直径を比較。対 TEM 画像
からの中心間 (QD 間) 距離 (黒色) 正方形)、およびから作製された
QD-SLのGISAXS測定(赤い点)さまざまな直径の QD ビルディング ブロ
ック。 エラーバーは標準を表す偏差。 d 高解像度 TEM は量子ドット
のエピタキシャル接続を示す。選択視野電子回折 (SAED)、PbS 原子を
証QD-SLの方向。これは放牧事件によって裏付けられた結論であるはる
かに大きなサンプルから取得された広角散乱 (GIWAXS) パターン断面。
g 散乱 X 線波数ベクトル (q) の方位線カットオフ (χ)GIWAXS パター
ンの for {Ⅲ}AL と h {200}ALは、すべてのQD直径を注文。i PbS QD-S
Lを再構成した図に対する原子格子の配向を示す基板上の配列通常の表
面。

次に、電界効果トランジスタ により、このCQD超格子薄膜の電気伝導特
性を調べたところ、下図3aのトランジスタの出力特性から、移動度は、
13.5cm2/V・sであることが分かった。この移動度の値は、現在の商用CQD
デバイス、量子ドット ディスプレイにおける移動度の100万倍以上、量
子ドット太陽電池の移動度の1,000倍以上に相当する。今回実現した高
移動度が電子デバイスに応用されれば、量子ドットディスプレイはより
明るく、より鮮やかにより少ないエネルギーで表示できるようになり、
量子ドット太陽電池のエネルギー 変換効率は格段に向上すると考えら
れる。
図3bは CQDトランジスタの電気抵抗の温度依存性を、さまざまなゲート
電圧で測定したグラフである。ゲー電圧が低いときには、温度を下げる
と電気抵抗が上昇する絶縁体的な振る舞いであったのに対し、ゲート電
圧を高くしてキャリア密度を上昇させると(キャリアドープ、電気抵抗
が劇的に低下し、温度に依存しない、金属的な振る舞い(金属的伝導性
を示すことが分かった。このような、キャリア密度により絶縁体的な振
る舞いから金属的な振る舞いに変化する現象は、これまで CQD集合体で
は見られなかった。このことから、エピタキシャル接合したCQD超格子は、
新たな量子物性・機能の発現の場になる可能性があると考えられている。、


図3 開発した CQD超格子 の電気伝導性と 電気 抵抗 の温度依存性
(a) 電界効果 トランジスタ特性。n型半導体としての特性を示し、移動
 度は 10cm2/V・ sを超えている。
(b) 赤線のように、 CQD超格子に 低いゲート電圧 VGを加えて温度を下
 げると、電気抵抗が上昇した(絶縁体的な振る舞い)。ゲート電圧を
 高くしてキャリア密度を上昇させると、低温においても劇的に電気抵
 抗が低下して 高い電気伝導性を示し、金属的な振る舞い(金属的伝
 導性に移行した。

【展望】
CQDは他の多くのナノ材料や有機半導体と比較して、優れた発光体・光吸
収体である。その波長特性は、結晶サイズを変更することで、他の材料
ではアクセスできない範囲まで調整できる。今回、このように光学特性
に優れたCQD超格子で高い電気伝導性が得られたことは、既存の技術より
もはるかに優れた性能を持つ光電デバイスの開発に貢献する。
また、電流駆動レーザー、高効率熱電材料、超高感度光検出器へのCQD
材料の利用も、従来のCQDでは無理だったが、今回の発見により大きく
変化すると考えられている。さらに、CQDは溶液プロセスによるデバイ
ス作製が可能で、真空プロセスが不要となり、二酸化炭素排出量(エネ
ルギー使用量)と材料使用量を削減できる可能性がある。この特性を生
かし 持続可能な社会構築に貢献できると期待されている。
【脚注】
※電流駆動有機半導体レーザー:現在、有機ELに続く次世代発光デバイ
スとして、有機半導体レーザの実現を目指して研究に注目されている。
有機材料の多くは、特定の電子状態が4準位系を形成し、容易に反転分
布をとることができ、低い励起密度での誘導放出が可能である一方、無
機半導体に比べてキャリア輸送特性・熱耐性で劣っているため、さらな
る低閾値化、伝播損失の抑制等が求められている。 


Organic Laser Diode (OLD)
有機レーザダイオード | 安達千波矢 研究室

【関連技術論文】
・原 題:Enabling Metallic Behaviour in Two-Dimensional Superlattice of
        Semiconductor Colloidal Quantum Dots
・著者名:Ricky Dwi Septianto, Retno Miranti, Tomoka Kikitsu, Takaaki
        Hikima, Daisuke Hashizume, Nobuhiro Matsushita, Yoshihiro Iwasa,
                    Satria Zulkarnaen Bisri
・ 掲載誌 :  Nature Communications,  DOI:10.1038/s41467-023-3


YouTube
325 回視聴 2023/05/12
MEG 342C QD-OLED|目を奪う次世代の映像美 34.18インチ|
UWQHD(3,440 × 1,440)|175Hz|0.1ms(GTG)
量子ドットと有機ELを組み合わせた最新のパネルで次世代の映像美を実現

フィルム状有機半導体センサ
液肥を一定濃度に制御した植物工場で、レタス栽培に成功
4月17日、東京大学・NEDO・(株)ファームシップの共同研究グループは、
フィルム状の有機半導体センサーを開発し、液肥の主要成分であるカリ
ウムイオンの安定的な計測技術を確立。また、このセンサーを用いて液
肥を一定濃度に制御した水耕栽培設備でレタスの栽培実験に成功。
【概要】
植物工場は露地栽培に比べて天候に左右されず、狭い土地で安定的に生
産できることから近年、生産が拡大。一方で植物工場内の温湿度や照度
などの栽培条件は、ばらつきをモニタリングして、一定に制御する必要
があるが、従来の植物工場では液肥成分の濃度を多地点のモニタリング
でリアルタイムに計測する小型で安価な機器がなく、栽培制御の課題と
なっている。
【成果】
1.有機半導体を用いたフィルム状のセンサーを開発
液肥濃度の分布は野菜生産のばらつきを推定する重要なパラメーターで、
成長制御のためには液肥の主要成分であるカリウムイオン(K)、アン
モニウムイオン(NH4+)、硝酸イオン(NO3-)、リン酸イオン(HPO42-
のイオン濃度を簡便に計測できるデバイスが必要。従来、銀-塩化銀な
どの電極電位を測定する場合の基準となる参照電極を用いたイオンセン
サーが使われていますが、大型で高価なものが多く、現場では多地点で
常時モニタリングでききない。そこで今回は有機半導体を用いたイオン
センサーを組み込んだ液肥成分の検出装置の開発を進めてきた。液肥中に
置かれた有機半導体の電気伝導度は、隣接イオンとの電気的相互作用に
よって変化し、この原理により、イオン濃度を測定することが可能。東
京大学大学院新領域創成科学研究科が開発した有機半導体は、大気中で
塗布することができ、安価で大面積な有機半導体単結晶薄膜を得られる。
これをフィルム基板上に成形し、電極形成を工夫することで、電気二重
層トランジスタとして利用する。このような電気二重層トランジスタに
イオン選択感応膜を搭載し構造を工夫することで、水溶液中のイオン濃
度測定が可能となる。最初に開発する対象イオンとして、野菜成長成分
として重要とされるカリウムを対象としたセンサを開発(図1)。塗布
プロセスで作成でき、安価なデバイスが実現可能。表面の平たんな単結
晶薄膜を用いることで、水中での安定かつ鋭敏な電気的動作が可能。

図1.開発したデバイスの構造イメージ

2.液肥の主要成分であるカリウムイオンの安定的な計測技術を確立
植物工場の水耕栽培では、長方形の液肥プールの中で植物を育てる。片
側から新たな液肥を供給し、反対側から液肥を回収し、浄化後に再度供
給する循環方式が一般的。上流に生育旺盛な株が液肥成分を多量に吸収
すると、下流ではその濃度が低くなる。この状況を定量的にモニタリン
グできれば、供給する液肥の濃度流量を調整して一定の濃度を保つ。し
かし、液肥モニタリングを多地点で行うとコスト増につながることから
栽培制御に取り込めていないのが実態。その結果、収穫時の重量に大き
なばらつきが発生する。今回、植物工場の栽培で開発したセンサを使っ
て、液肥の主要成分であるカリウムイオン検出による液肥の一定濃度制
御に成功。イオンセンサーの濃度と出力との例を図2に示す(割愛)。
イオン濃度に比例した出力が得られており、一般的な水耕栽培条件の下
でイオンセンサーとして用いることができる。

3.液肥を一定濃度に制御した水耕栽培設備でレタスの栽培実験に成功
今回開発した有機半導体を用いたイオンセンサーを用いて小型の水耕栽
培液肥濃度安定化システムとして構築し、液肥を一定濃度に制御するシ
ステムの動作を確認して、レタスの栽培実験に成功しました(図3、4;
割愛)。この成功でイオンセンサーにおける基本構造の検証ができた。
【展望】
精度の向上や安定性を検証するとともに、実際の生産現場に適用できる
システムの開発を行い、レタスなどの植物工場だけでなく、温室などで
行われる養液栽培への適用、さらには農業で広く使われるイオンセンサ
への検討も進めます。本センサは、イオン選択感応膜を変えることで、
さまざまなイオンに対応できる。また、印刷プロセスで多種類の感応膜
を一度に形成でき、マルチイオンセンサへの適用も検討する。その後は
、本事業の一環で開発した市場価格の予測アルゴリズムや重量予測技術、
良苗判定技術などと組み合わせることで、フードロス削減につながる高
精度な需給調整システムの実現を目指す。



1滴の溶液と1分の時間でナノシート膜を自動製膜
ナノシートの工業化に前進
4月6日、名古屋大学の研究グループは、酸化物、グラフェン、窒化ホウ
素などの二次元物質(ナノシート)を、1分程度の短時間で基板上に隙
間なく配列して、薄膜を作製する新技術「高速薄膜作製法」を開発。
この技術は、自動ピペットを利用することで、専門的な知識、技術の必
要がなく、ワンクリックで高品質なナノシート膜の大面積製膜が可能で
あり、ナノシートの各種デバイスの工業的製造に向けた重要な技術に発
展するものと期待されている

【要点】
・酸化物、グラフェンなどの二次元物質を用いた高速薄膜作製法を開発。
・溶液1滴、1分で高品質なナノシート膜の大面積製膜を実現。
・専門的な知識、技術の必要がなく、ワンクリックで自動製膜。
【概要】
ナノシートは、電子・イオン移動度や誘電性、透明性、耐熱性などに優
れており、その応用が期待されている。このためには、基材の表面にナ
ノシート膜を秩序正しく配列させる必要がある。ところが、従来の「ラ
ングミュア・ブロジェット」方法は、条件設定や操作が難しく専門的な
知識や技術が必要で、製膜時間も1層で約1時間を要するなど、本格的な
実用化に向けては課題があった。研究グループは今回、自動ピペットを
用い酸化物やグラフェン、窒化ホウ素といったナノシートのコロイド溶
液を、基板に1滴落とした後、これを吸引するという手法を用いた。この
結果、ナノシート同士が隙間なく秩序正しく配列。しかも、わずか約1分
という極めて短い時間で、単層膜の自動製膜に成功したという。実験結
果から、エタノールを1~2%添加した希薄コロイド水溶液(濃度は0.02
~0.05g/L)を用いた時が、最も良い結果が得られた。また、製膜も工
程を繰り返し行うことで、多層膜を作製することが可能なことも確認し
た。研究グループによれば、ワンクリックで、4インチウエハーへの製
膜や、小数ロットのオンデマンド自動製膜などが可能。
----------------------------------------------------------------
【関連技術論文】
原 題:Automated One-Drop Assembly for Facile 2D Film Deposition
掲載誌:ACS Applied Materials & Interfaces
DOI: 10.1021/acsami.3c02250


図1.体内に入った多層カーボンナノチューブは主に免疫細胞のマクロファージ
に取り込まれ、炎症性サイトカインIL-1β分泌や細胞死により炎症を引き起こ
し、それが肺疾患の発症につながる。Tim4受容体はマクロファージ細胞表面
上に発現し、カーボンナノチューブの認識に関わる。なお、Tim4はアスベスト
を認識せず、マクロファージによるアスベスト取り込み機構は未だに不明である

カーボンナノチューブの毒性発現機構の一端を解明 
免疫細胞が病原体と誤認識して過剰応答 


4月7日、立命館大学らのの研究グループは、カーボンナノチューブ(CNT)
を認識するヒト免疫受容体を「世界で初めて」(同研究グループ)発見。
【概要】
CNTは、機能特性や熱伝導性、電気伝導性にも優れている日本発の次世代
ナノ材料だ。しかし、一部のMWCNTでは、アスベストと似た炎症毒性が動
物実験において複数観察されていて、その原因については分かっていな
かったが、同研究グループは、免疫細胞の一つであるマクロファージが
細胞表面のヒト免疫受容体「Siglec-14」を介して多層CNT(MWCNT=
Multi-Walle d CNT
)を取り込み、炎症を引き起こすことを明らかにした。
また、新たに作成した「抗Siglec14阻害モノクローナル抗体」や「Siglec-1
4
の炎症シグナル阻害薬」を用いることで、MWCNTの炎症毒性を軽減でき
ることが分かった。今回、同研究グループは、既に結晶構造解析されて
いる約15万種のタンパク質三次元構造の中から、CNT認識に必須な芳香族
アミノ酸クラスタを持つヒト受容体を探索し、「Siglec-14」を発見し
た。Siglec-14受容体は、ヒトマクロファージにおいMWCNTを認識すると
リン酸化酵素「spleen tyrosine kinase(Syk)」の活性化を経由して、
MWCNTを取り込み、炎症シグナルを伝達する。実験では、マウスには、
Siglec-14がないため人為的にマウス肺胞マクロファージにSiglec-14を
導入してMWCNTを投与すると、Siglec-14を導入していないマウスに比べ
て肺炎が増悪した。また、このモデルマウスにSyk阻害薬を経口投与す
ると、肺炎が軽減した。
【展望】
中皮腫はアスベスト曝露およそ 20 年後に発症する疾患であり、CNTs曝
露されたヒトに おいて中皮腫が発症するかはまだ分かっていません。
しかしながら米国の CNTs を扱う工 場の複数の作業員に肺疾患が既に認
められており、その安全対策が急務とされている。本研究成果は、今後
CNTs 曝露による肺疾患において Tim4 経路を阻害する治療の開発、およ
び Tim4 に結合しない安全な CNTs の設計・開発につながることが期待
される。
---------------------------------------------------------------
【関連技術論文】
原 題:Tim4 Recognizes Carbon Nanotubes and Mediates Phagocytosis
      Leading to Granuloma Formation”
 
掲載誌:Cell Reports
Doi.org/10.1016/j.celrep.2021.108734




John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:2000年代

 
                     

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)野に咲く花の名前は知らない、
                   だけど 野に咲く花は好き 
                          寺山 修司

                     

 

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福島原発汚染処理水とは ②

2023年05月27日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん
」。



        日々草 痛みとれぬと 足見せる
                         

                       

フェアリースター
極小輪ニチニチソウ
キョウチクトウ科ニチニチソウ属
[花言葉]楽しい思い出、友情
[季 語]三夏



多層構造のフタが電子レンジからのマイクロ派を遮断。食材の水分構造
を極力壊さず、本体底部内部の無機多層プレートがマイクロ波だけを吸
収・発熱し、フライパンで焼いたような焦げ目(180℃近辺に加熱)を付
け、フタ付きなので油はねせず、レンジを汚さず時短調理にも。内側は
ふっ素樹脂加工。使用後は丸ごと洗え、お手入れ簡単。[本体]アルミ
メッキ銅板(本体内面:ふっ素樹脂塗膜加工)、SPS(シンジオタクチック
ポリスチレン)、セラミック、アルミナ繊維、シリコン[フタ]アルミメ
ッキ鋼板、SPS(シンジオタクチックポリスチレン) ■サイズ(約cm)/22.5
×25.8×高さ11.5(フタ含む) ■重量/約809g(韓国製)という優れもの。
目玉焼き、ハンバーグ、焼き肉、お好み焼きなど簡便につくれるという。
[関連特許技術]
1.特開2013-153943 高周波加熱用トレー、および高周波加熱装置 三菱
  電機株式会社他
2.特開2013-111107 調理器具およびそれを用いた加熱装置 パナソニッ
  ク株式会社


渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

福島原発汚染処理水とはなにか ②

福島第一原子力発電所からの長年にわたる陸地トリチウムの漏えいと
策と汚染水との関係
掲載日:2020.11.16
東京大学らの国債研究グループは、2013年から2019年にかけて、福島第
一原発の南側陸地の地下水から、天然に存在するレベルを超えたトリチ
ウム水を検出し、その濃度は平均で約 20 Bq/Lであったことを明らかに
した。これは、原発周辺の地下水からトリチウムを含んだ地下水が継続
的に検出されている初めての報告である。
【要約】
先回からのつづき➲
 海洋への直接放出と大気への放出が報告されている。事故により推定
0.1 ~ 0.5 PBq の 3H が北太平洋に流入しました。トリチウムは 事故
から1か月後、福島県広野町沖の北西太平洋で検出された。 事故、降水
中の3Hの調査は、大気中への3H の放出を確認する最も簡単な方法の1つ
と考えられる。降水中のトリチウム濃度が最も高かったのは、事故から
10日後の 342TUと推定された(158Bq/Lに相当).水田で184(±2)Bq/L
3Hの地表水濃度が検出されたFDNPP 工場から 1.5 kmの場所にある。
どちらの報告も日本の自然3H レベル (1.1 ~ 7.8 TU)を大きく上回って
いたため、0.13 ~ 0.92 Bq/L に相当)または 6 TU(0.71 Bq/Lに相当
)2,14、3H がFDNPP事故。 また、サンプル採取は事故から約 1 か月後
に行われたため、3Hは 地下水経由ではなく、大気からの降水として発生
した可能性が最も高い。地下水からの 3Hの漏洩は解析が困難。この研究
では、自然レベルよりも 3Hが 高いことが報告されている。2013年から
2019年にかけ、地上から約30m離れた陸上で採取された地下水から継続
して検出された。この研究の重要点は、調査された水が地表水ではなく
地下水にある。地下水源の水文地質学的起源を明らかにするため、Sr
同位体比(87Sr/<.sup>86Sr)も測定された。水と岩石の相互作用と地下
水の混合パターンの自然なトレーサーとして 2013 年から 2019 年にか
けてFDNPPでは地下水汚染の防止にいくつかの対策が講じられてきまた。
敷地外への漏洩から。トリチウムの詳細な測定結果も含めて関連性を議
論する FDNPP敷地内外で採取した水に含まれる。
[結果]
FDNPPからの地下水への3Hの流出。FDNPP に存在するトリチウムの大部
分は推定された三元分裂によって生成されたものと考えられ 再臨界が
起こらない限り、新たなトリチウムは発生しないが、タービン建屋には
未確認のトリチウムが1.8×1015Bq存在すると推定されている。事故後に
外部に放出された量またはがれき中の量に加えて、 汚染水中に含まれ
る量。 日本では、トリチウムの海洋放出限度は、一般的な原子力施設
では 6.0 × 104 Bq/L ですが、 FDNPP では、1500 Bq/L がトリチウム
流出の規制値。したがって、1.2 × 1012 L を超える水は、希釈が必要
となる。図1は事故後の原子力発電所敷地の模式図。

図1.

陸側遮水壁(凍土壁)と海側遮水壁(鋼板)杭)は FDNPPの周囲を取
り囲むように設置され、敷地外への 3Hの流出を防ぐ。凍土壁鋼矢板が
汚染されていない地下水が原子炉や建物に近づくのを防ぐ。潜在的に汚
染された地下水が海洋に拡散するのを防ぐ。地下水の量を減らすために、
FDNPP の上流の海抜 35 メートルで一連の井戸が掘削されました。原子
炉建屋の下には井戸水が流れており、常時汲み上げられていた(地下水
バイパス)。 の井戸は工場の敷地内の不透水層の真上の深さまで掘削
された。 図2は、2014年6月から2019年6月までこのバイパスを流れる
地下水中のトリチウムの放射能。水バイパスシステムには 12 の南側に
ある井戸(No.1 から No.12)があり、放射能濃度が最も高かったのは
BNo.10であった。2014年6月の3H濃度は10Bq/Lでしたが、4月には 3000
Bq/Lを超えた。2016年に発生し、その後徐々に減少し、2019年には 約
1400 Bq/L となりました。10 番井戸の隣にあります。 No.11も他の井
戸より3H高いレベルで、2019年6月11日時点で700Bq/Lである。No.12 は
最南端。 しかし、No. 10 および No. 11 井戸とは異なり トリチウム
レベルは 1 から単調減少する傾向があった。ピークは 2014年 4月21。


図2. FDNPP の地下水バイパスを促進する井戸から収集された水中の3H
放射能汚染調査井戸の位置を図1に図示。 井戸水に含まれるトリチウム
の絶対量を評価するには、流量などの情報が必要となるが、東京電力は
流量を公表していない。3H放射能漏れ で示した地点で採取された排水中
3H 濃度図 3の星印を図4に示しす。排水管水で観察された3Hは 15 ~
31 Bq/L の範囲であり、ほぼ一定(平均20Bq/L)。3H は予想される自然
レベル (最大 7.8 TU(1 TU = 0.118 Bq/L)) を超え、3H は 0.92 Bq/Lで
あったため、3H はFDNPP に由来すると考えられる。排水溝の水が溜まっ
ていたので、崖から直接出た場合、排水溜め水中のトリチウムはFDNPP敷
地の地下を通過したであろう。さらに、下水には放射性セシウム(セシ
ウム134とセシウム137)も含まれていた。セシウム137の濃度は広範囲に
わたる3~4Bq/kg、事故当時のセシウム134/セシウム137放射能の比はほ
ぼ1であった。この水は FDNPP サイトから発生したことを示唆する。



図 3. FDNPP を南側から見た鳥瞰図。揚水採水地点は崖下(※)だが、
海抜17メートルのところにある。壁に突き刺さったビニールパイプから
流れ出た排水溝の水は、直接サンプリングした。海岸線でも汚水が確認
された (**)。 南側には川が流れ北西太平洋に達す。この地図は、日本
地理空間情報局電子地形図を加工し作成。


図 4. 図 3に示す FDNPP 境界の崖下に集められた排水中のトリチウム
 (単一アスタリスク *)。

空気を介して地表水中に沈着したトリチウムは 地下水と混合するとは
考えられない。トリチウムを超えない 研究期間中(2013年から2019年)、
FDNPP周辺の大気と降水量から自然レベルが検出された。FDNPPでは 地
表水の地下水への浸透を防ぐために 4つの対策が講じられている。

1. 表面グラウト注入(雨水の地中浸透防止)(2014年10月~)
2. サブドレンからの揚水(2015年9月~)、
3. 原発4基周囲の凍土壁(2016年3月~)、
4.海側遮水壁(2015年10月~)。

浸出水に含まれるトリチウムの放射能と直接の相関関係がないことは明
らかだった それぞれの工期と比較。 核から 約500メートル離れた流動
井戸では自然レベルを超えるトリチウムは検出されなかった発電所。
(補足データを参照)。 流井水のトリチウム濃度は 0.003 ~ 0.01 Bq/
L の範囲。日本の自然界の 3H レベルは 0.13 ~ 0.92 Bq/Lの範囲。
その間に放射能は 流水中のトリチウムの濃度は 0.01 Bq/L 未満。水の
放射能は少なくとも8分の1。それは控えめな推定値よりも少なくとも 3
半減期長いと考えられ、トリチウムは湧き出る井戸からの地下水の中に
は、40年近い年齢のものがあった。


図5.(a) H4エリア (プラント敷地内) 周辺の井戸 (E1 ~ E14、ウェル
ポイント、F1) 水中の3H の放射能。赤い矢印はタンクからの漏れがい
つ発生したかを示します。(b) 井戸水(G1~G3)中の 3Hの放射能H6エ
リア(工場敷地内)付近。 赤い矢印はタンクからの漏れがいつ発生し
たかを示す。

[考察]
議論 対策と汚染水の関係。 トリチウムが放出されたFDNPPによる北西太
平洋は、事故前は液体として2009年に2.0×1012ベクレルと報告されてい
たが、2008 年には 1.6 × 1012 Bq、2007 年には 1.4 × 1012 Bq。これ
らのトリチウムの放出は合法であり、計画されたものでした。定量的に、
そしてそれに比べれば、この研究で指摘された漏れの量は大きな問題で
はないかもしれない。ただし、トリチウム地下水漏洩経路が陸側に存在
に留意することが重要である。敷地の内側から外側へ。今後さらに漏洩
が起こる可能性がある。将来的に漏洩が発生する可能性がある3つのシ
ナリオを想定する。

まず、地表水が地下水に浸透している可能性があります。1km以内の川
の水研究期間中に、図3のサイトの周囲の半径がサンプリングされ、3
時間分析されたが、自然レベルを3時間超える検出はなかった。したが
って、最初の可能性は証明されなぁつた。第二に、崖のすぐ上にあるタ
ンク群から漏水が発生した可能性がある。2013年8月下半期 2014年2月に
はH6地域でも汚染水がタンクから地上に漏洩した。H4では この地域では、
流出量は約 300㎥メートル で 8.4 × 107 Bq/L (合計ベータ値) と報告
されている。ほとんどの水が浸透した状態で 地面。 H6 地域では3.0×
106 ~ 2.3 × 108 Bq/L(トータルベータ)が約 100m3 に漏洩した。放
射能 H4(E1~E14、井戸ポイント、F1井戸)およびH6エリア周辺の観測
井戸から汲み上げられた水中のトリチウムの濃度 (G1〜G3ウェル)をそ
れぞれ図5a、bに示す。汚染水タンクからの漏洩時期は、赤い矢印で示さ
れている(図5a、b)。 H4 エリアでは、E1井戸に含まれるトリチウムが
最も高かった (790 kBq/L、2013年10月17日)。 2013年以降、E1井戸の
放射能は徐々に減少する傾向にあった。漏れのあるタンク(E1、E10)の
近くの井戸は、他の井戸よりも高いトリチウム放射能を持っていた。こ
のため、トリチウムがタンクから漏れて井戸水に漏洩し続けた可能性が
ある。一方で、H6地域の井戸内のトリチウムと漏洩との間に明確な相関
関係はなかった。H6タンクの漏洩水はまだ到達していない可能性がある。
汚染水の可能性も否定できない汚染水は徐々に地下に広がり、最終的に
は敷地外に漏洩した可能性も否定できない。これと敷地外への流出の直
接的な証拠は見つかっていないが、2013年と2014年にタンクからの偶発
的な流出によりトリチウムが地下に浸み込み、敷地から直接漏洩した可
能性がある。 第三に、地下水はFDNPPの下の不透水層の上に水平に広が
っている可能性がある。図2および図5a、bに示すように、トリチウムは
FDNPPの井戸で広く検出されている。したがって、
トリチウムは敷地境
界の崖によって遮水層が遮断された箇所から浸出していると考えるのが
妥当である。しかし、浸出水中のトリチウム放射能は常に一定であった
が、トリチウムが不透水層に沿って移動しているかどうかを判断するに
はデ
ータが不十分である。崖の下で検出されたトリチウムの量は特別高
いわけではないが、トリチウムが敷地外の地下経路を通って漏洩する水
路が確立されているようである。新たな地震や津波が発生した場合、さ
らに高濃度の汚染水がルートを通って流出する可能性がある。陸上側の
監視システムは非常に脆弱であり、改善する必要がある。

表 2. 崖(図 3の*)と海岸線(**)の間の地下水の Sr 同位体分析


トリチウム含有水の起源:これまでの議論で、福島原発の崖の上にある
不透水層からトリチウムが漏れ出ていることが明らかになった。水が工
場の南側に広範囲に広がっているかどうかを確認するために、ストロン
チウム同位体比(87Sr/86Sr)分析が実行された。崖で採取した水 (図3
の *) と海岸線で採取した湧き水 (図 3 の **) の間のストロンチウム
の比較は2つの場所の間に水文学的なつながりが存在するかどうかを確
認するために実行された。結果を表 2に示します。Sr濃度は、サイト*
およびサイト ** でそれぞれ 185 ppb と121 ppbで特異的ではなかった。
しかし、2つのサイトの地下水の 87Sr/86Sr比を比較すると、Sr同位体分
析の不確実性に関して、2つの値は明らかに異なる。
結果が NIS-T987 炭酸ストロンチウム同位体標準 (87Sr/86Sr の標準値
は 0.710248)に正規化されると、違いがより顕著になる。この目的のた
めに、次のように「デルタ表記」が適用されている。

      

デルタ表記の明らかな相違は、水と岩、または水と水の明確な相互作用
を反映しています。したがって、(*) と (**) の地下水の水理地質学的
起源は異なると考えられる。このことは、不透水地盤上の地下水の流路
が単純ではないことを示しています。いずれもストロンチウム90の汚染
は確認されず、ストロンチウム90の濃度は検出限界以下であった。2013
年末以来、FDNPP由来のトリチウムが敷地の南側から検出されている。
敷地の陸側で継続的にトリチウムが検出されたという初めての報告であ
る。 敷地の陸側でトリチウムが上昇した原因は 2つ考えられます。1つ
は 2013年と2014年のタンクからの汚染水の漏洩。あるいは、最初の事故
によるトリチウムの漏洩は既にFDNPP敷地の地下に広く拡散していた。
漏洩した水中のトリチウム濃度は約20Bq/Lで核施設で検出されたトリチ
ウム濃度よりも低い。さらに、87Sr/86Sr 同位体比分析により発電所の
南側の不浸透層を流れる地下水は異なる水理地質学的経路を持っているこ
とが明らかになった。汚染水の地下ルートが確立されたとみられ、
将来の問題につながりかねない。FDNPP の海洋境界と陸上境界の両方で
の漏水監視を強化する必要がある。
                          この項つづく

     



【再エネ革命渦論 128: アフターコロナ時代 327】


技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑩


<ペロブスカイト太陽研究 全球的飛躍
画像:タンデムPV

ペロブスカイトの PV 限界を押し上げる
5月27日、米国エネルギー省 (DoE) の PV 商業化施設で製品をテストす
るためにメーカーが集結し、池の両側の学者がここ数カ月で新たな進歩
を発表するなど、ペロブスカイト太陽電池開発競争は激化している。
4月中旬、カリフォルニア州サンノゼの太陽光発電メーカ、タンデムPV
の研究開発スタッフは、一連のペロブスカイト特有の信頼性を確保する
ために、ニューメキシコ州にあるエネルギー省の商業化技術用太陽光発
電加速器(PACT)に出荷するモジュールのバッチを慎重に梱包した。
テスト。 この性能試験は、創業7年のタンデムPVが機械的に積層された
ペロブスカイトシリコンタンデム(四端子)PV技術の商業化に向けて取
り組んでいる最新のステップである。Tandem PVは、潜在的な顧客およ
び生産パートナーと協力している。担当責任者は、学術パートナーと協
力してIEC 61215加速テストに合格した100cm2パネルを製造し、3倍の長
さのIEC 61215テストに合格したという初期データを受け取ったという。
Tandem PV が対象とする最初の用途は、屋上太陽光発電で、元スタンフ
ォード大学の研究員は、経済的に見て、屋上設置はメ-カとユーザにと
っても理にかなっていると語り、住宅用モジュールのメーカは出力の向
上に熱心で、設置業者は設置コストを削減するソリューションを望んで
いる。Tandem PVは昨年、シリーズAおよび非希薄化ファンドで 1,300万
ドルを調達し、製造施設の着工と資金調達の選択肢を模索する。「PACT
テストは 6 ~18週間実施されため そのタイミングを早めることはでき
ないという現実がある。

北米での活動
別の取り組みとして、US Manufacturing of Advanced Perovskites (US-MAP)
グループがある。これは、メンバーをより大面積のデバイスと高歩留ま
りで信頼性の高いプロセスの初期生産への移行として。 2020年に設立さ
れた業界および研究グループのコンソーシアム----業界関連企業11社 に
加え、4つの研究グループある。US-MAPは、メンバーの研究開発コスト
を削減し、潜在的な投資家にとっての技術リスク軽減の横断的機能をサ
ポートする。 メンバーは、NREL、ワシントン大学ワシントン クリーン
エネルギー テストベッド、ノースカロライナ大学チャペルヒル校、トレ
ド大学が協力する。グループ内のオリジナルの PV 開発6社は、BlueDot
Photonics、CubicPV (2021 年に 1366 Technologies と Hunt Perovskite  Techn-
ologies が合併)、Energy Materials Corp.、First Solar、Swift Solar及びTandem
PV
。新しいメンバーは、プロセスおよび材料会社4社 (Dow、FOM Tech-
nologies、Ntact、Tau Science) と PV 開発会社 Caelux
が含まれる。国境の北、
ノバスコシア州ハリファックスに拠点を置く創業6年のレイリー・ソーラ
ー・テック社は、最近、柔軟で軽量なペロブスカイト太陽光発電技術の
パイロットラインを委託。カナダの会社はまた、オーストリア工科大学
と協力し、85cm2 のカプセル化薄膜モジュールで 14.8%の屋外効率を検
証しました。柔軟で軽量な形式が利点となる屋内および屋外の PV アプ
リケーションをターゲットとする。レイリーの中核となる太陽光発電プ
ラットフォームは、スケーラブルなロールツーロール製造プロセスを使
用して製造できるセルスタックを備えた、広く入手可能な非貴金属材料
を使用する。同社は、射出成形自動車ボディパネルの用途に関して、テ
ィア 1 自動車サプライヤーである Magna International と協力して、製
品開発のパートナーを探している。

限界を超える
北米の大学や研究機関は、ペロブスカイト太陽電池の性能を向上させ、
競争力を高めるために取り組んでいます。ノースカロライナ大学のJinso-
ng Huang
氏のグループは、ペロブスカイト太陽電池とモジュールのアプ
ローチを研究しており、2014年以来、低コストで高収率のプロセスとし
てオープンエアブレードコーティング法とスロットダイコーティングを
実証してきた。 同グループは、単接合デバイス、タンデムデバイス、
両面受光デバイスなど、セルからモジュールへの効率損失を最小限に
抑えるペロブスカイトセル用モジュールを実証した。Nature Energy
最近、「効率と安定性を向上させるための両面ペロブスカイト ミニモ
ジュールの設計最適化」を受理しました。この論文は、ノースカロラ
イナ州のグループが、60℃±5℃で 6,000 時間放置した後でも単接合
ペロブスカイト ミニモジュールの低劣化を達成した方法の
論文。 
Huang
グループは、モジュール効率を向上させる経路を特定するモデ
ルも検証しました。 ノースカロライナ大学からスピンアウトしたペロ
テック社は、柔軟なペロブスカイトモジュールを開発する。(後略)
---------------------------------------------------------------
 via. pv magazine International
https://www.pv-magazine.com/2023/05/27/weekend-read-pushing-perovskite-
pv-limits/

【関連技術特許】
特開2022-171642 着色太陽電池の製造方法 メルク パテント ゲゼルシャフト
ミット ベシュレンクテル ハフツング
【概要】
太陽電池は、過去数年にわたって大きく成功し、2019年には国際送電網接
続設備の600GWを上回り、その大部分が実用的規模で設置されている。全
ての太陽電池の基本的機能は同じ。つまり、光活性物質が、光を吸収し、励
起電子正孔対を生成する。この電子正孔対は、電子及び正孔の移動性が異
なる領域、いわゆるp-n接合によって太陽電池内で分離される。種々の光吸
収物質を使用できるため、太陽エネルギー産業では下記のような種々の太陽
電池技術が知られている。

1)結晶シリコン太陽電池(単結晶c-Si及び多結晶mc-Si)
2)カドミウム-テルル化物太陽電池(CdTe)
3)銅-インジウム-ガリウム-ジセレニド(CIGS/CIS)
4)非晶質シリコン太陽電池(a-Si)
5)Ⅲ/V太陽電池、例えば、ガリウム-ヒ化物(GaAs)太陽電
池、又はゲル
マニウム/インジウム-(アルミニウム)-ガリウム-
ヒ化物又はリン化物(
In(Al)GaAs/P)のようなⅢ族及び
V族の元素のスタックから構成される多
接合太陽電池
6)色素増感太陽電池(DSSC)
7)有機太陽電池(OSC)
8)ペロブスカイト太陽電池(PSC)
9)量子ドット太陽電池(QSC)
10)セレン化亜鉛(ZnSe)又は硫化鉄(FeS)のようなⅡ族及
びⅥ族の元素か
ら構成される他のⅡ/Ⅵ太陽電池
11)タンデム太陽電池


それでも、例えば建物のより多くの表面及び他の物体(例えば自動車)
の表
面を使用することは、太陽エネルギー生産のために使用される全表
面積を増
大させる。この目的のため、魅力的な色の太陽電池を作り、か
つ、様々な吸
収角度での効率を高めるための新しい技術及び手法は、太
陽エネルギー事
業にとって重大な関心事である。 WO2019/12
2079A1は、エフェクト顔
料を適用媒体、例えば透明ラミネーショ
ン材料に組み込み、次に太陽電池モ
ジュールに適用することによって、
最新の単一太陽電池、又は電気的に相互
接続されている複数の太陽電池
から形成された太陽電池モジュールを着色
する方法を開示している。
WO2019/122079A1には更に、エフェクト顔料
が、ガラス
又はSiに印刷された場合又はEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体

フィルムに使用された場合に、全体的な太陽電池効率を著しく低下させ
るこ
となく、十分な色を提供できることが記載されている。エフェクト
顔料は、可視
太陽光の一部を反射するが、エネルギーを生産するために
必要な光を通過
させる。しかしながら、エフェクト顔料は小さな板状体
の形をしているためそ
の端が太陽モジュールの見える面を向くように顔
料小板が配向するほど、そ
の反射色は減少する。したがって、エフェク
ト顔料の大部分がモジュール表
面に対して実質的に平行に配向する必要
があるが、それでも、ある程度の
不規則な配向が色彩の印象に関連する
視野角を維持するために望ましいこ
とがある。封入された太陽電池モジ
ュールを製造するための既存の最新技
術は、一般的にフロントガラスと
バックシート又はガラスに積層された封止
フィルムに埋め込まれたバス
バー(bus bars)を備えた太陽電池とのスタック
を組み立てることを含
む。次にスタックは、例えば130℃~160℃(使用され
る封止材の
種類に左右される)まで加熱されて、真空又は他の物理的圧力
によって
まとめて圧縮される。最終的な封入された太陽電池モジュールの構
成要
素は、図1に例示的に示されており、フロントシート(11)と、フロン
ト封止
フィルム(12)と、バスバーを有する太陽電池のパターン又は
アレイ(13)と、
リア封止フィルム(14)と、リアシート(15)
と、を含む。矢印は、入射光の方
向を示す。 しかしながら、エフェクト
顔料を含むフロント封止フィルム(12)を
使用すると、積層形成の後
に単一電池及び/又はバスバーの周りの特定の
領域が他の領域よりも暗
く見える様子が観察された。

特定の理論に拘束されることを望むわけではないが、小さな板状体の形
をした顔料は、その配向を、フィルム表面に対して望ましい平行の配向
から、より直交の配向へ変化させ、減少した反射色をもたらす傾向にあ
ると考えられる。顔料の配向の乱れは、積層工程中の溶融重合体の流出
及び/又は封止フィルムの収縮によって説明可能である。結果として、
着色太陽電池モジュールにおける電池及びストリング(strings)/バス
バー(bus bars)の特定の拡張パターンが見えている状態のままである
。これは欠点であり、建物の正面のような特定の領域又は光起電装置を
組み込んだ建物の他の領域においてエフェクト顔料によって着色された
封止フィルムの使用を制限する可能性がある。
【要約】
図2のごとく、本発明は、配向したエフェクト顔料を含む着色ポリマー
フィルムを含む着色太陽電池又は着色太陽電池モジュールの製造方法及
びこの方法によって製造される着色太陽電池又は着色太陽電池モジュー
ルに関する。エフェクト顔料を含むポリマーフィルムを太陽電池又は太
陽電池モジュールに積層するための改善された方法を提供する。


【符号の説明】
【図1】最終的に封入された太陽電池モジュールの構成要素の概略図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態に係る方法によって製造された太陽電池
モジュールの概略図
【図3】比較例1のスタック2に従って製造された太陽電池モジュールの平面図
【図4】実施例1のスタック2に従って製造された太陽電池モジュールの平面図
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記ステップを含む、着色太陽電池又は着色太陽電池モジュー
ルの製造方法。 a)少なくとも1つのエフェクト顔料を含むポリマーフィルムを
、フロントシートに積層する。 b)任意選択で、前記エフェクト顔料を含む積層
された前記ポリマーフィルムを有する前記フロントシートを冷却する。 c)下記
層を含むスタックを、前記エフェクト顔料を含む積層された前記ポリマーフィル
ムを有する前記フロントシートの上に供給する、又は前記エフェクト顔料を含
む積層された前記ポリマーフィルムを有する前記フロントシートを、C1~C4
の層の前記スタックの上に供給する。 C1)任意選択で、少なくとも1つのフロ
ント封止フィルム C2)少なくとも1つの太陽電池、又は、導電性部品によって、
好ましくはバスバーによって電気的に相互接続されている太陽電池のアレイ
C3)任意選択で、少なくとも1つのリア封止フィルム C4)リアシート d)C1~
C4の層の前記スタックを、前記エフェクト顔料を含む積層された前記ポリマー
フィルムを有する前記フロントシートに積層する。
【請求項2】 ステップc)における前記スタックが、前記エフェクト顔料を含む前
記ポリマーフィルムと前記太陽電池又は太陽電池アレイとの間にフロント封止
フィルムを含み、前記フロント封止フィルムが、エフェクト顔料を含まない、請
求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記リアシートが、黒色又は暗色であり及
び/又は、ステップc)における前記スタックが、前記太陽電池又は太陽電池
アレイと前記リアシートとの間に設けられた追加のシート又は封止フィルムを含
み、前記追加のシート又は封止フィルムが、黒又は暗色である、請求項1又は
請求項2に記載の方法。
【請求項4】 前記太陽電池を相互接続している前記導電性部品が、前記エフ
ェクト顔料を含む前記ポリマーフィルムの適用の前に黒色又は暗色で着色さ
れている、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】 暗色のグリッドが、前記太陽電池又は太陽電池アレイに組み込ま
れており、前記グリッドが、前記太陽電池と前記導電性部品との間の空間を
含むがこれに制限されない明るい領域を覆っている、請求項1~請求項4の
いずれか1項に記載の方法。
【請求項6】 前記エフェクト顔料を含む前記ポリマーフィルム、前記フロント封
止フィルム及び前記リア封止フィルムが、ポリオレフィンフィルム、好ましくは、
EVA、EBA、EMA、EEA、POE及びBPOフィルムから選択されるポリエチレ
ン共重合体フィルム、又はPVB若しくはTPUフィルムから選択され、非常に好
ましくはEVAフィルムから選択される、請求項1~請求項5のいずれか1項に
記載の方法。
【請求項7】 前記フロントシート及び/又は前記バックシートが、ガラスシートで
ある、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】 前記フロントシート及び/又は前記バックシートが、ポリマーシー
トである、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】 前記太陽電池又は前記太陽電池モジュールが、非晶質シリコン
太陽電池、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、CIGS太陽電
池、CdTe太陽電池、III/V太陽電池、II/VI太陽電池、ペロブスカイト太陽電

池、量子ドット太陽電池、有機太陽電池及び色素増感太陽電池から選
択される、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】 前記積層ステップa)及びd)が、熱及び/又は圧力を加えること
によって、又は接着剤又は接合用の剤若しくは層を使用することによって、好
ましくは真空プレスの中で、実施される、請求項1~請求項9のいずれか1項
に記載の方法。
【請求項11】 前記積層ステップa)及びd)における加熱温度が、130℃~16
0℃の範囲である、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】 前記エフェクト顔料及び/又は前記エフェクト顔料を含む前記ポ
リマーフィルムが、太陽スペクトルの可視領域において選択反射最大を有する
、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】 前記エフェクト顔料及び/又は前記エフェクト顔料を含む前記ポ
リマーフィルムが、260~1200nmの範囲の放射線に対して少なくとも60%
の全透過率を有する、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】 前記エフェクト顔料及び/又は前記エフェクト顔料を含む前記ポ
リマーフィルムが、260~1200nmの範囲の放射線に対して<40%の全反
射率を有する、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】 前記エフェクト顔料が、真珠光沢顔料、干渉顔料及び多層顔料
から選択される、請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】 前記エフェクト顔料が、合成又は天然の雲母、フレーク状ガラス
基材、フレーク状SiO2基材又はフレーク状Al2O3基材をベースとする、請求
項1~請求項15のいずれか1項に記載の方法。 【請求項17】 前記フレーク
状基材が、Ti、Sn、Si、Al、Zr及びZnの金属酸化物及び/又は金属酸化物
水和物の少なくとも1つの層で覆われている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】 前記ポリマーフィルム中の前記エフェクト顔料の量が、0.2~
40質量%の範囲である、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の方
法。
【請求項19】 前記エフェクト顔料を含む前記ポリマーフィルムの厚さが、5~
1000μmの範囲である、請求項1~請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】 前記エフェクト顔料を含む前記ポリマーフィルムが、有機ポリマー
材料の溶融押出によって製造され、前記エフェクト顔料が、押出前に前記ポリ
マーの溶融物に添加される、請求項1~請求項19のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項21】 前記エフェクト顔料を含む前記ポリマーフィルムが、少なくとも2
つの層の共押出フィルムあり、前記少なくとも2つの層の1つが、前記エフェク
ト顔料を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項22】 請求項1~請求21のいずれか1項に記載の方法によって製造
される、着色太陽電池又は着色太陽電池モジュール。

風蕭々と碧いの時代



John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:1999 年代

 

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)抗AIワクチン開発の準備
エマージェンング パンデミック時代 Emerging Pandemic Era

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福島原発汚染処理水とは①

2023年05月26日 | 環境リスク本位制



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。




渡辺 悦司/遠藤 順子/山田 耕作【著】
汚染水海洋放出の争点―トリチウムの危険性
緑風出版(2021/12発売)

福島原発汚染処理水とはなにか ①


図 1. FDNPP の回路図。 1号機から4号機の原子炉建屋とタービン建屋
はわずか4メートル太平洋の海面よりも高い。

福島第一原子力発電所からの長年にわたる陸地トリチウムの漏えいと
策と汚染水との関係
掲載日:2020.11.16
東京大学らの国債研究グループは、2013年から2019年にかけて、福島第
一原発の南側陸地の地下水から、天然に存在するレベルを超えたトリチウ
ム水を検出し、その濃度は平均で約 20 Bq/Lであったことを明らかにし
ました。これは、原発周辺の地下水からトリチウムを含んだ地下水が継
続的に検出されている初めての報告である。
【要約】
2013年以降、福島第一原子力発電所の陸側へのトリチウム地下水漏えい
が発生している。地下水は2013年末から2019年まで継続的に採取され、
平均トリチウム濃度は約20Bq/Lでした。 東京電力ホールディングス(TE
PCO)が公表しているトリチウムデータ(17,000点)から、(1) 2013年から
2014年に発生した汚染水槽からの漏えい、(2) 敷地下の不透水層に広く
広がったトリチウムの漏えいが想定されている。我々の結果に基づいて
海側と陸側のトリチウム漏れ監視システムを強化する必要がある。
【概説】
福島第一原子力発電所(FDNPP)の事故は、2011年以降、大量の放射性物
質を環境に放出した。ほとんどは気体状態にあり、主に大気を介して東
日本の陸地と北西太平洋に放出された。放出量は約520PBqと推定された。
放射性ヨウ素(主に131I)、放射性セシウム(134Cs,137Cs)、および次のよう
な希ガス133Xeはリリースされた金額の大部分を占める。トリチウム(3H,
T1/2 12.3 年)放出された放射性物質の追加部分であったが、「ソフト」
または低エネルギーのベータエミッターと見なされている。トリチウム
ベータエネルギーは低く(最大18.6keV)、大量の放射線量を必要とするた
め、事故直後の人体保護を検討する際には、他の核種の測定が優先され
た。そのため、FDNPP事故後の環境中のトリチウムに関するデータは、日
本では未だに限られている。
沸騰水型原子炉内のトリチウムは主に三元核分裂によって生成される。
FDNPPでは、8.51 × 1013 Bq/月、1.1 MW の動作は三元核分裂によって
生成された。トリチウムは原子炉内で 10B(n, 2α)3H、10B(n, α)7Li、
7Li(n, α)3H、または 6Li(n, α)3H、2H(n, γ)3H5。 FDNPP の原子炉に
おける累積 3H収率は、0.01% ~ 0.0108% の範囲であると推定されてい
る。2011年の事故直後に行われた推定では、3H の在庫は 東京電力ホー
ルディングスの最近の報告によれば、事故発生時の濃度は 1.81 × 1013
Bq。(東京電力)によると、事故直後の
8.51 × 1013 Bq/月、1.1 MW の
動作は三元核 分裂によって生成された。トリチウムは原子炉内で 10B(n,
2α) 3H、10B(n, α)7Li、7Li(n, α)3H、または 6Li(n, α)3H、2H(n,
γ)3H5。 FDNPP の原子炉における累積 3H 収率は、0.01% ~ 0.0108% の
範囲であると推定されています6,7。 によると 2011 年の事故直後に行
われた推定では、3H の在庫は 東京電力ホールディングスの最近の報告に
よれば、事故発生時の濃度は 1.81 × 1013 Bq8 でした。 (東京電力)
によると、事故直後の3Hのインベントリーは1号機で1.0×1015ベクレ
ルと推定されており、 2 号機で 1.2 × 1015 Bq、3 号機で 1.2 × 1015
Bq、合計 3.4 × 1015 Bq4。 2016年3月24日現在、7.6×1014ベクレル FD
NPPサイトの貯蔵タンクに2.7×1013ベクレル、原子炉建屋(R/B)に2.7×
1013ベクレル、推定1.8×1015ベクレル 原子炉の外または瓦礫の中に放出
された(下表 1)。

 表1 事故直後のトリチウム在庫の推定値

【関連技術情報】
1.論文:
原 題:Landside tritium leakage over through years from Fukushima Dai-ichi-
       nuclear plant and relationship between countermeasures and contami-
      nated water,"
掲載誌: Scientific reports: 2020年11月16日, doi:10.1038/s41598-020-76964-9.


                          この項つづく



     



【再エネ革命渦論 127: アフターコロナ時代 326】


技術的特異点でエンドレス・サーフィング
  特異点真っ直中 ⑨



2023.05.25


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Image; Oxford PV

フルサイズのタンデムセルで 28.6% の効率記録
 5月24日、英国とドイツで事業を展開する大手ペロブスカイト太陽光発
電会社オックスフォードPVは、258.15cm2セルの2端子ペロブスカイト
シリコンタンデムセルで28.6%の電力変換効率を達成。「フルサイズ」
に基づくデバイスとしては世界記録。「シリコンウエハー」。この記録
はフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所 (Fraunhofer ISE)
によって認定された。
オックスフォード PV は、大型ペロブスカイトシリコンタンデムセルの
効率 28.6% という新しい世界記録を樹立。この測定はドイツのフラウン
ホーファー ISE によって確認された。ペロブスカイトシリコンタンデム
セル効率の全体的な記録は現在、サウジアラビアのキングアブドラ科学
技術大学のグループが保持、1cm2のデバイスで33.2%を達成。工業的に互
換性のある技術を使用し製造される高効率をより大きなデバイスサイズ
への変換は、この技術の商業化の重要なステップとなる。 最新の効率達
成率28.6%は、昨年の記録を 1.5% 以上上回り、年間 1% 増加のロードマ
ップ計画を上回るものである。オックスフォード大学のスピンオフとし
て2010年に設立されたオックスフォードPVは、ドイツのブランデンブル
ク・アン・デア・ハーフェルにある同社の統合生産ラインでセルを生産
しており、効率27%のデバイスが製造されているのと同じラインという。
同社の最高経営責任者によると、このマイルストーンは同社の技術と才
能を示すが、商業化に向けた取り組みは続いている。 小型の研究用サイ
ズの太陽電池でペロブスカイト・オン・シリコン技術革新を続けている
が、市場向けに商用サイズのセルを改良し、生産を増やし、太陽電池モ
ジュールのパートナーとの協力にあり、ソーラーパネルに組み立込の準
備を行い、2023年中に同社のモジュール製造社に手渡す。 

 

米国で効率16.1%のフレキシブル逆ペロブスカイト太陽電池
米国国立再生可能エネルギー研究所 (NREL) とルイビル大学の研究グル
ープは、イットリウムをドープした酸化スズナノ粒子を使用した太陽電
池を開発。 これにより、電荷抽出と全体的なパフォーマンスが向上。
【要約】
フレキシブル ペロブスカイト太陽電池 (f-PSC) の溶液処理は、軽量で
スケーラブルでコスト効率の高いフレキシブル太陽電池のスケーラブル
な高スループット印刷への道を提供。しかし、完全に溶液処理された金
属酸化物電荷輸送層をペロブスカイト上に堆積することは、金属酸化物
ナノ粒子の溶媒の不適合性と高い処理温度によって制限されてきた。こ
の研究では、酢酸塩で官能化したイットリウムドープ SnO2 ナノ粒子を
ペロブスカイト上にインクとして無水エタノール中でブレードコーティ
ングにより直接堆積により、高性能の逆 f-PSC を作製できる。
イットリウムをドーピングすると、直列抵抗が減少して電荷抽出が改善
され、開放電圧と曲線因子が改善され、デバイスの性能が向上。 0.1cm2
デバイスのチャンピオン電力変換効率は、アンドープ SnO2 の 14.3% か
ら 2% Y:SnO2 ドーピングの 16.5% に増加。これは、ETL として SnO2
を使用する ITO-PET 基板上の f-PSC では前例のない。
【関連論文】
原 題:High Performing Inverted Flexible Perovskite Solar Cells via Solution
               Phase Deposition of Yttrium-Doped SnO2 Directly on Perovskite

掲載誌:ACS Appl. Energy Mater. 2023, 6
, 9
, 4496–4502
       
https://doi.org/10.1021/acsaem.2c03720

フラーレン誘導体中間層で無機ペロブスカイト太陽電池効率向上
ペロブスカイト層と電子輸送層の間に導電性フラーレン誘導体中間層を組み
込むことにより、全無機ペロブスカイト太陽電池の効率を15.44%から17.04%に
向上。さらに熱安定性も向上。材料科学者のグループは、ビス-ジメチルアミノ
官能化フラーレン誘導体 (PCBDMAM) と呼ばれる中間層を追加し、全無機ペ
ロブスカイト太陽電池 (PSC) の電力変換効率 (PCE) と熱安定性を改善。無機
太陽電池は、有機無機光吸収材料で作られた太陽電池と比較して、効率は高
くなるが、熱安定性が低くなる。電子輸送と PCE を強化するために、酸化亜鉛
(ZnO) 電子輸送層 (ETL) と全無機 CsPbI2.25Br0.75 ペロブスカイト層の間に
位置する中間層に焦点を当て、 中間層の追加により PCE は 17.04% に増加し、
制御デバイス効率 14.44% を大幅に向上。 熱安定性の点では、PCBDMAM
を組み込んだ PSC デバイスは 600 時間の加熱後も初期 PCE の約 80% を保
持したが、制御デバイスは同一条件下で約 62% まで急速に劣化た。小分子
ポリマー、無機化合物、2Dペロブスカイト層、フラーレン、およびその誘導体な
どのさまざまなタイプの中間層の使用で、全無機PSCの欠陥不動態化を実現。。 
 
【関連論文】
原 題:Synchronous defect passivation of all-inorganic perovskite solar cells
      enabled by fullerene interlayer
掲載誌:Nano Research Energy, 2023, https://doi.org/10.26599/NRE.2023.9120073 
      Published: 16 May 2023
風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:1998 年代】




2020.4.17

「HOME」(ホーム)は、日本の音楽ユニット・B'zの楽曲。1998年7月8日
にRooms RECORDSより25作目のシングル。、「自分の中のよりどころ、ゆ
るぎないもの、それがあれば当面何がおきても大丈夫」という稲葉の思
いから付けられた[9]。イントロに入っているアコーディオンは、かつ
てパリを訪れた際に駅で演奏しているのを見た稲葉が、「パリの地下鉄
駅構内風のイントロを入れたい」という要望を採り入れたもの[9]。コー
ラスにひみつのアッコちゃんに登場する魔法の呪文「テクマクマヤコン
」が出てくる。このコーラスは、合いの手としてコーラスを入れること
が考えられた際に稲葉が歌いだしたもの。 via. Wikipedia




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ネオビジネスマン考 ④

2023年05月25日 | ネオコンバーテック



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。

                         


           虚無僧に 吠えかかる 桐の花
                                                夏目 漱石

          桐の花 老い迫れども 吾ゆかん
                            宇

 リブアイステーキ

ロングドライブがたたり彼女の左足の痛みが激しく治療・養生にはいる。
パート先の離職手続きを終え、近くのココス大藪店でお肉が食べたいと
いうので、お抱え運転手として同伴。二人で戴いたランチがこの「リブ
アイステーキ」部位としては霜降りではないが、サーロインよりかぶり
がなく、フィレより脂身が多いが筋肉が丁寧に切除されていれば上級品
となり大変おいしく頂けるが、ここもタッチパネル入力され入力要領が
分からず目も悪い、この眼精疲労は、スーパーマーケットなどの日用品
の購入にも影響しトラブルの元凶となり、疲労量に相乗するというわけ。
何とか工夫をしなけばと、俳句にその思いを認めておいた。


5月22日、株式会社矢野経済研究所は、パワー半導体の世界市場の調査を
実施し、市場概況や採用動向、個別メーカの設備投資計画や製品戦略を
明らかにした。ここでは、2030年までの世界市場規模予測について公表。
【展望】
2030年のパワー半導体の世界市場規模(メーカ出荷金額ベース)は 369
億8,000万ドルに拡大すると予測する。2024年以降も IoT (Internet of  Th-
ings
)の 普及拡大、脱炭素社会実現に向けて、情報通信や民生、産業、
自動車の各分野でパワー半導体の需要は堅調に推移する見込みである。
特に、自動車分野は2026年~2028年頃に向けてEV(電動化)、ADAS/A
D
(先進運転支援システム/自動運転)、E/Eアーキテクチャ(統合ECU
による集中制御、車両におけるECUやセンサ、アクチュエータの設計・
構成)、IVI(次世代車載情報通信システム)、コネクテッドカーの開発
が同時に進んでおり、クルマ一台あたりのパワー半導体搭載金額が急激
に増加する見通しである。 SiCパワー半導体では、パワー半導体メーカ各
社の設備投資が活発化しており、各国による次世代半導体政策が強化される
ため、供給量は増加して搭載用途も広がる見込みである。 SiCパワー半導体
市場をけん引するのは、新エネルギー(太陽光/風力発電)機器やEV用インバ
ータ向けSiCパワーモジュールであり、特に2026年~2027年頃に投入される新
型EVにおいてSiCを適用したインバータの採用が進む見込みであり、バッテリ
容量が大きく800V給電システムを採用するハイエンドEV(高級・大型EV)向け
の需要が伸長する見通しである。2030年のSiCパワー半導体の世界市場は、
パワー半導体世界市場の17.4%を占める64億5,000万ドルに成長すると予測。

     




Graphene Revolution



※グラフェンとして知られる驚くべき素材と、その未来への変革的な影
響について探る。二次元格子状に配列された炭素原子の単層であるグラ
フェンは、「驚異の素材」とされる優れた特性を備える。その強度、導
電性、柔軟性により、エレクトロニクス、エネルギー貯蔵、航空宇宙、
医療などの業界が再構築されている。この魅惑的な探求でグラフェンと
その応用の無限の可能性を切り開き高付加価値事業の扉を開こう。


 【再エネ革命渦論 126: アフターコロナ時代 325】

技術的特異点でエンドレス・サーフィング
 
特異点真っ直中 ⑧
レーザーを用い、グラフェン膜をナノ精度で加工
グラフェン膜の表面洗浄なども可能!



左図1.レーザー照射により穴あけ加工されるグラフェン膜のイメージ
図、右図2 (a) 実際のレーザー加工系の構成図。(b) グラフェン膜上に
32個のレーザースポットが形成される。(c) 多点穴あけ加工されたグラ
フェン膜の画像。穴が開かない程度の低いエネルギーのレーザーが照射
された領域を、高性能の電子顕微鏡で観察したところ、グラフェン膜表
面の汚染物が除去されていることが判明。


右図3、走査透過電子顕微鏡法で取得したレーザー加工したグラフェン
膜の画像。黒い領域は穴が開いている。白く写っているものは表面の汚
染物。


図4.高倍率で取得した透過電子顕微鏡法による画像。赤色の領域は穴
が開いている。青色の領域は汚染物。矢印で示した箇所に原子欠陥が存
在する。


グラフェンを利用するナノデバイスの開発を加速する要素技術!

5月29日、東北大学の研究グループは、フェムト秒レーザーを用い、グラ
フェン膜を100nm以下というナノ精度で加工することに成功したと発表。
レーザー照射の条件を調整すれば、グラフェン膜の表面洗浄や、数ナノメ
ートルの細孔および原子レベルの欠陥形成などに応用も可能となる。
【要点】
1.世界で最も薄い素材である炭素原子1層分のグラフェン膜を、レーザ
 ーで微細加工することに成功
2.レーザーの照射条件を調整することで、グラフェンの表面洗浄や、
 原子レベルの欠陥形成などにも応用の可能性があることを発見
【概要】
優れた物理特性をもつことから「夢の素材」として知られるグラフェン
----2004年に初めて原子1層のグラフェン膜が単離されて以来、次世代の
半導体素材として盛んに研究がなされ、グラフェンを使ったトランジス
タ、透明電極、センサーなどの実証が報告されてきたが、これらのデバ
イスを社会実装に導くには、グラフェン膜をマイクロメートル(マイク
ロ=100万分の1)からナノメートル(ナノ=10億分の1)のスケールで効
率的に加工する技術を必要とする。マイクロ/ナノスケールの素材加工・
デバイス製造には、一般的にナノリソグラフィ集束イオンビーム法
用いられる
。しかし、これらの手法は装置が大掛かりであったり、加工
/製造に長い時間を要したり、操作が困難であったりと、基礎研究・開発
の現場では利用しづらいものでした。また、グラフェンデバイスの性能
は僅かな表面状態の変質によって大きく変化するため、化学的な修飾や
結晶構造の大きな乱れが生じやすいこれらの手法の適用には限界があっ
たが、従来のナノ技術注2では論文などで提案される種々のグラフェンデ
バイスを効率的に作製することは困難。これはグラフェンが極限的に薄
いシート状の素材であり、また、表面の汚染や構造の変質に敏感で、デ
バイスの特性を損なわずに加工・製造困難であった。東北大学多元物質
科学研究所の上杉祐貴助教、小澤祐市准教授、佐藤俊一教授、大学院工
学研究科知能デバイス材料学専攻の門口尚広大学院生(研究当時)、同
専攻の小林哲郎大学院生、金属材料研究所の長迫実助手らの研究グルー
プは、フェムト秒レーザー注3を使って炭素原子1層分の厚さからなるグ
ラフェン膜を、100ナノメートル(ナノ=10億分の1)以下の精度で加工
することに成功。また、レーザー照射したグラフェン膜を高性能の電子
顕微鏡注4で観察したところ、表面の汚染物が除去され、数ナノメートル
の細孔や原子レベルの構造変化を生じさせることができることを発見す
る。研究グループは、これまでに厚さ 5~50ナノメートルのシリコン系
薄膜を、フェムト秒レーザーを使って微細加工する独自技術の開発。
この手法を極限に薄い原子1
層分のグラフェン膜に適用することで、膜
を破損することなく、多点穴のパターニング加工を施すことに成功(上
図1, 2)。レーザーのエネルギーと照射回数を適切に制御することで、
使用したレーザーの波長(520ナノメートル)よりも小さな直径70ナノメ
ートル程度の微細穴から、原理的には直径1ミリメートル以上の開口まで、
自在な加工を施すことができると考えられる
これらの知見は、グラフェン素材のエンジニアリング手法の確立に役立
つとともに、次世代半導体産業や量子科学産業の開拓を加速する研究成
果である。
関連論文】
タイトル: Nanoprocessing of self-suspended monolayer graphene and defect
        formation by femtosecond-laser irradiation

著者: Naohiro Kadoguchi*, Yuuki Uesugi*, Makoto Nagasako, Tetsuro Kobayashi,
      Yuichi Kozawa, Shunichi Sato

*責任著者: 東北大学大学院工学研究科知能デバイス材料学専攻 修士課
程学生 門口尚広(2023年3月修了), 東北大学多元物質科学研究所 助
教 上杉祐貴
掲載誌: Nano Letters
DOI: 10.1021/acs.nanolett.3c00594

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2021.9.22 田中貴金属

IDTechEx の最新レポート
Sustainable Electronics Manufacturing: 2023-2033 」では、
プリント基板 (PCB) や集積回路 (IC)の製造における環境への影響が、
革新的な材料の選択と加工方法によってどのように削減できるかを検討
。これには、低温処理の実施、余分な無駄なステップの排除、可能な場
合には材料のリサイクルと再利用、長期的な可能性が予見される新しい
アプローチの採用が含まれ、IDTechEx は、10 年以内に PCB の 20% が、
ドライ エッチング、印刷、低温はんだコンポーネントの取り付けなどの
より持続可能な方法を使用して製造されるようになると予想する。この
レポートでは、サムスン、IBM、インテル、東芝、アップル、デルなど、
多くの有名電子機器メーカーが費用対効果が高く持続可能な対策を講じ
るために何を行っているかを調査。

この調査で取り上げる持続可能な製造方法 このレポートは、エレクトロ
ニクス製造の持続可能な方法を評価し、プリント基板と集積回路内の革
新に焦点を当てる。また、持続可能なイノベーションがフレキシブル エ
レクトロニクスの新時代をどのように推進できるかを評価し、効果的な
長期持続可能性の向上を実現できるさまざまな材料と製造プロセスを取
り上げる。さらに、PCB および IC 製造のバリューチェーンの各主要段
階をカバーし、イノベーションから恩恵を受けることができる領域を特
定。これらは、排出量、材料、水の消費量だけでなく、実装の拡張性と
コスト効率の観点からも比較。分析では次の領域を網羅。



『目次』
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1. 全体概要 2. はじめに 3. 市場見通し 4. プリント基板の最新持続可
能な製造手法 4.1. デザインのオプション 4.2. 基板の選択肢 4.3. パ
ターン形成と金属被膜化 4.4. 構成部品接合 4.5. 耐用年数 5. 集積回
路の持続可能なイノベーション 5.1. ウェハー作製 5.2. 酸化膜形成
5.3. パターン形成と表面ドーピング 5.4. 金属被膜化 5.5. 耐用年数
6. 企業概要


図1.
繰り返し充放電が可能な全固体空気二次電池
放電速度15Cの発電実験で、30回繰り返し充放電を確認
5月19日、山梨大学と早稲田大学の研究グループは、繰り返し充放電が可能
な「全固体空気二次電池」を開発した。酸化還元反応する有機化合物とプロト
ン伝導性の高分子薄膜を組み合わせ実現。空気二次電池は、空気中の酸素
(正極活物質)と金属(負極活物質)、イオン伝導性の電解質からなる。他の二
次電池に比べ、極めて高い理論エネルギー密度を持つ。ただ、液体電解質を
用いると液体の漏れや蒸発、発火などの心配がある。また、酸素や水分により、
負極活物質が劣化することも課題となっていた。  
【要点】
1.水素イオン(プロトン)を可逆的に取り込みできる有機化合物とプロトン伝
 導性の高分子薄膜を組み合わせて、繰り返して充放電できる全固体空気二
 次電池を開発
2.本研究で開発した全固体空気二次電池の概念図。負極活物質にジヒドロ
 キシベンゾキノンまたはその高分子体、電解 質膜にプロトン伝導性高分子
 ナフィオンを用いることで、薄型で安全な全固体空気二次電池を構築出来る。 
 一定速度(放電レート15C)における発電で、30 サイクル繰り返し充放電可能
 なことを確認
3.小型軽量で液漏れや発火の危険性がなく折り曲げても使える可能性があ
 るため、モバイル機器な どへの応用が期待できる

(1)これまでの研究で分かっていたこと
繰り返し充放電が可能な二次電池は携帯機器や電気自動車など様々な分
野に応用されており、小型軽量化、高容量化、低コスト化を目指した研
究が世界的に活発に進められています。なかでも正極の活物質に空気中
の酸素を使う空気二次電池は、他の二次電池と比べて著しく高い理論エ
ネルギー密度を持つことから注目を集めている。これまでの空気二次電
池は負極活物質としてリチウムなどの金属、電解質として非水系の有機
電解質溶液が主に用いられているが、負極活物質の劣化や電解液の漏れ
出しなど多くの課題がある。固体電解質を用いた全固体空気電池も提案
されているが、負極の課題は解決されていない。最近、負極活物質に酸
化還元活性な有機化合物を用いた空気二次電池がいくつか開発された(
Li et al., Chem, 5, 2159-2170, 2019: Oyaizu et al., Chem. Commun., 56, 4055-4
058, 2020
)が、高分子電解質膜との組み合わせによる全固体空気二次電
池はこれまで存在していませんでした。

(2)今回の研究で新たに実
現しようとしたこと、明らかになったこと


図2. 本研究で開発した全固体空気二次電池の概念図。負極活物質にジヒド
ロキシベンゾキノンまたはその高分子体、電解質膜にプロトン伝導性高分子
ナフィオンを用いることで、薄型で安全な全固体空気二次電池を構築出来る。
尚、Cレートとは、充電及び放電のスピードのことです。定電流充放電測定の
場合電池の理論容量を1時間で完全充電(または放電)させる電流の大きさを
1Cと定義する。

有機化合物を用いた電極と固体電解質から成る空気二次電池に挑戦しした。
負極活物質としてプロトン伝導性高分子薄膜(ナフィオン)、正極として白金触
媒を含むガス拡散電極(活物質は酸素)を組み合わせた全固体空気二次電池
の可能性を検討し、その結果、原理の実証に成功した。

(3)今回、新しく開発した手法
負極活物質であるジヒドロキシベンゾキノンの酸化還元反応を促進し、
電解質膜との界面でのプロトン
移動を円滑に進めるために、電子伝導性
材料(カーボン粉末)とプロトン伝導性高分子(ナフィオン)を
混合し
た負極構造を設計・構築した。電流電位測定により負極での反応とその
可逆性を確認し、充放
電、レート特性、サイクル特性を評価した。さら
にジヒドロキシベンゾキノンを高分子化したところ
負極活物質の利用率
が40%以上向上し、全固体空気二次電池の容量も8倍以上向上すること
を見出し

本研究により開発した「全固体空気二次電池」は繰り返して充放電する
ことができ、一定速度(放電レ
ート15C)における発電で、30 サイクル
充放電可能。


図3.高分子化したジヒドロキシベンゾキノンを負極活物質に用いるこ
とにより
30
回繰り返して安定に充放電出来る(クーロン効率は充電容量
に対する放電
容量の比率

(4)研究の波及効果や社会的影響
リチウムイオン二次電池の性能や耐久性は日々向上しているが、リチウ
ム資
源は限られており、また、液体電解質を用いた課題(漏れ出し、蒸
発、発火の
危険性など)は本質的に解決が困難です。本研究で開発した
全固体空気二
次電池は安全な有機レドックス化合物とプロトン伝導性高
分子薄膜を用いて
おり、
これら物質はそもそも水分が含まれた状態で用
いており水や酸素で電
極が劣化することが無く。極めて安全性に優れて
いる。また、高分子化合物
の特徴を活かしてフレキシブルなデバイスに
できる可能性もあります。今後、
構成材料の高性能化・最適化や耐久性
などを改善することで。携帯電話や小
型電子デバイスなどモバイル機器
用電源としての応用が期待される。


研究グループは今回、有機化合物を用いた電極と固体電解質から成る全
体空気二次電池を開発することにし、負極活物質として有機レドック
ス化合物
(ジヒドロキシベンゾキノンおよびその重合体)を、電解質と
してはプロトン伝導
性高分子薄膜(ナフィオン)を、正極には白金触媒
を含むガス拡散電極(活物
質は酸素)をそれぞれ用いた。 具体的には、
負極活物質の酸化還元反応を
促進し、電解質膜との界面におけるプロト
ン移動を円滑に行うため、電子伝導
性材料(カーボン粉末)とプロトン
伝導性高分子(ナフィオン)を混合した負極構
造としている。

【関連論文】
雑誌名:Angewandte Chemie International Edition
論文名:All-Solid-State Rechargeable Air Batteries Using Dihydroxybenzoquin-
one and Its Polymer as the Negative Electrode
DOI:10.1002/anie.202304366


5月18日、NTTアノードエナジー株式会社と有機系太陽電池技術研究組合は、
建物構造の制約や耐荷重で、太陽光発電を導入できないといった課題を改善
するため、ペロブスカイト太陽電池を用いた太陽光発電システムに関する共同
研究を、有機系太陽電池技術研究組合(以下、RATO)と4月から開始した。ま
た、ペロブスカイト太陽電池システム構築に必要なエンジニアリング技術の早
期獲得を図り、普及拡大を推進することで地方自治体、企業のカーボンニュー
トラル実現に貢献する。
【背景】
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、太陽光発電や風力発電の導
入拡
大が期待されています。そうした中、太陽光発電の主流となってい
るシリコン系
太陽電池は耐荷重や建物構造の制約で、一部の建物では導
入できないといっ
た課題がある。ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ
柔軟性が高い
特長から、この解決策として注目され、また、日本政府が
主導するGX実行会
議(2022年12月27日) ※4において、ペロブスカイト太
陽電池の2025年までの技
術確立および早期社会実装が議論されるなど、
官民を挙げての研究・
開発が進んでいるが、太陽光発電システムとして
の研究開発事例が少なく、
社会実装に向けてのエンジニアリング技術の
確立は必要不可欠となっている。
 NTTアノードエナジーは、ペロブスカ
イト太陽電池の研究・開発に取り組む複数企業で構成されているRATOに
参画し、太陽光発電の構築などに関するノウハウを共同研究に生かすこ
とで、新たな太陽光発電システムの開発に協力していく。
【展望】
ペロブスカイト太陽電池は、耐荷重や建物構造の制約でこれまで太陽光発電
パネル(設備)の設置が難しかった公共施設や都市部の建物等への導入が期
待でき、またNTTアノードエナジーは、今回の共同研究で獲得した技術や知見
を活用し、ペロブスカイト太陽電池の社会実装を通じて、地域におけるエネル
ギーの地産地消を含む再生可能エネルギーの普及拡大をさらに推進し、2050
年カーボンニュートラルの実現をエンジニアリングでも支援していく。



世界最高性能の日射遮蔽膜を開発
世界最高性能の日射遮蔽膜= 近赤外反射率53%と太陽熱カット
5月22日、名古屋大学の研究グループは,高い近赤外反射性能をもつ新
しい透明導電体ナノシート(Cs2.7W11O35−d)を発見し,これをガラス上に
コートすることで,世界最高性能の近赤外反射率53%と遮熱効果を示す
日射遮蔽膜(太陽熱カットフィルム)の開発。
【要点】
1.高い近赤外反射性能をもつ透明導電体ナノシーを発見

2.ナノシートコートガラスで世界最高性能の近赤外反射率53%と太陽熱
 カットを実現

3.建築物、自動車の高性能遮熱エコガラスへの応用


【概要】
ITOなど従来の日射遮蔽膜は,希少金属の利用やの製造コストなどの問題
がある。また,近赤外光吸収による遮蔽効果の特性向上には,膜厚やキ
ャリア濃度を増大させる必要があり,可視光透過性が低下するというト
レードオフの問題点があった。研究グループは,高い近赤外反射性能を
もつ新しい透明導電体ナノシート(Cs2.7W11O35−d:dは酸素欠陥量)を発見,
環境にやさしい水溶液プロセスにより世界最高性能の日射遮蔽膜の開発
に成功し,上記の問題点を一掃した。 層状構造を持つ酸化タングステン
の層状構造を層1枚までにバラバラに剥離することで,酸化タングステン
ナノシート(Cs2.7W11O35)を合成。ナノシートは,水に分散したコロイド
水溶液として合成できるため,室温,水溶液プロセスで薄膜を製造でき
る。 研究グループで開発した高速・液相薄膜作製法(単一液滴集積法)
で単層膜を作製。単層膜作製の操作を繰り返すことで,ナノシートの厚
み単位で膜厚を精密に制御した多層膜を作製した。 作製したCs2.7W11O35
ナノシート単層膜,多層膜は透明半導体であり,透明導電体の利用のた
め,酸素欠陥の導入によるキャリア注入を試み,酸素欠陥が導入された
還元型ナノシート膜(Cs2.7W11O35−d)を作製した。 この還元型ナノシート
膜の表面層へのキャリア注入が実現し,膜厚1−50nmの超薄膜ながら,ITO
に匹敵する優れた導電性(シート抵抗:2.2×102Ω/☐)を示すことを確認
した。また,優れた近赤外反射特性と可視光透過性を示し,膜厚(積層
数)とともに近赤外反射特性が向上することを確認した。特に,膜厚50
nm(積層数20層)の超薄膜は,高い可視光透過率(71%)を維持しつつ,
世界最高性能の近赤外反射率53%を実現した。検討の結果,金属−半導体
ヘテロ構造が重要であり,表面の金属層(キャリア注入層)で効率的に
近赤外光が反射されていることが明らかになったという。夏場にサーモ
グラフィによる遮熱試験を行なったところ,還元型ナノシート膜では,
ナノシートコートなしの石英基板に対してマイナス16℃という優れた遮
熱効果を確認した。研究グループは,開発した日射遮蔽膜は,建築物,
自動車の窓ガラスに適用することにより,冷房負荷削減,空調の省エネ
ルギー化を実現するキー技術としての発展が期待されるとしている。
【関連論文】
雑誌名:ACS Nano
論文タイトル:Gigantic Thermal Shielding in 2D Oxide Nanosheets
著者:Hirofumi Tsunematsu, Yue Shi , Eisuke Yamamoto , Makoto 、Kobayashi
Tomohiro Yoshida, Minoru Osada  

DOI:10.1021/acsnano.3c00815
URL:https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acsnano.3c00815

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:1997 年代





あいみょん 愛の花

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)
立つ鳥跡を濁さず
It is simply common courtesy to clean up after yourself;
a bird does not foul the nest it is about to leave;
on leaving a place、one should see that all is in good order.
➲ Leave everything neat and tidy when you go.



無理が祟って、彼女の足の痛みが酷くなり。負荷を懸けられなくなる。
その後様態と行動をみていて、諺・箴言が過ぎる。

 

コメント
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ネオビジネスマン考 ③

2023年05月23日 | 環境工学システム論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。

 

高山竹林園



【供養度:生駒市高山編】
ここ数年、つぎつぎと近親者が他界。町内の役回りやこの度の新型コロ
ナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)もあり、物故者への供
養がかなわず、やっと、時間的にも、心身的にも平穏感を取り戻せるよ
うになり、彼女と二人で或いは一人で供養度しはじめる。ところで。サ
ンスクリット語の「プージャー」または「プージャナー」と称される
『供養』は。供養の語源となっている言葉の「プージャー」「プージャ
ナー」は、尊敬を意味するという。現代の供養は、仏壇やお墓などで故
人に供物や花をお供えして、亡くなった人の冥福を祈ることを指す。ま
た、お坊さんに読経してもらいお線香をあげる行為なども供養にあたり、
さらには、人だけでなく動物や人形、お墓、仏壇、鏡、針なども供養の
対象となっている。命を持たないものに対しても、感謝の気持ちを込め
て祈りを捧げて供養するのは、なにやら「生命の心根」は「感謝」と対
をなし、「恩義」とはことなるものと位置づけられるものだが、1998年
にマーティン・セリグマンによる『ポジティブ心理学』心理学感謝大系
研究にはじまったとされる(via Wikipedia)。とは言え、「義理が廃れば
この世は闇」とも、「知恩」「報恩」というからややこしいが、無理し
てロング・ドライブで足腰の不具合が生じるような行動は高齢者は避け
るべきだと後で知ることになる。




  妹に逢はずあらばすべなみ 岩根踏む 生駒の山を 越えてそ 吾が来る

                                      万葉集 第十五巻 3589/3590 
                                             遣新羅使人 作者不詳

訳文:あなたに逢わないではいられなくて、岩を踏んで険しい生駒山を
   越えてきました。

 君があたり 見つつを居らむ 生駒山 雲な隠しそ 雨は降るとも
              『新古今和歌集』巻十五 恋歌五 1369
                           作者不詳  
 
訳文:あなたがいらっしゃるあたりを見続けておりましょう。生駒山、
   あの人がいる方角をどうか雲よ、かくさないでおくれ。たとえ雨
   はふったとしても。

      伏見にて望月
  さすらふる 身はなにぞとよ 秋深み 生駒の山の 月しみつれば    
                     源経信(1016~1097)  

訳文:流浪する我が身は何だというのだ。秋も深まった頃、生駒の山に
   昇った満月を見たのだから。

     渡の辺や 大江の岸に やどりして 雲井に見ゆる 生駒山かな
                                         良暹法師(後拾遺集)


この大江の岸とは、渡辺からおこってはるかに生玉・天王寺へとつづ
く高台の西側の断崖の総称。 京都から淀川を船で下って天王寺・住吉・
高野、あるいは遠く紀州熊野へおまいりする皇族や公家たちは、みなこ
の渡辺から上陸して、上町台地を南へと道をとってゆく。そのような関
係から、やがてこの津がしらに渡辺王子(また窪津王子)がまつられるこ
とになりました。熊野九十九ヵ所の第一王子で、それから熊野街道(いま
の阿倍野街道)を、日数をかさねて熊野までの旅を続けたもの。この渡
辺王子はのちに四天王寺西門前に移され、明治中期に廃絶した。その第
二王子が、いまも阿部王子神社として残っているという。 渡部橋はい
つごろできたものかはっきりしないが、「元亨釈書」に、聖武天皇の天
平十七年、行基が難波ノ橋をかけたというのがこれにあたるのでは推察
されている。その後洪水のためしばしば流されてはかけかえられたと想
像されている (出所:難波津 - 永田屋昆布)。

さて、茶筌の国内生産量のほとんどを占めて日本唯一の茶筌の生産地の
高山町。
500年前、ここ高山は、室町幕府八将軍足利義政時代は鷹山氏が
支配。高山城(大和鷹山城)主の次男鷹山民部丞入道宗砌(たかやまみん
ぶのじょうにゅうどうそうせつ)が親友の村田珠光に依頼されて作ったの
が始まりと伝えられ、その後、珠光が京都に移り、時の帝、後土御門天皇が
茶の湯の席へ出かけられた折に、宗砺が献上した自作の茶釜を鑑賞、その
美しさに感動し「高穂たかほ」と名付けられ、感激した宗砌が茶釜づくりに力
を入れ、その製法を鷹山家の秘伝とする。今も続<「高山」の名は、「鷹山」の
文字を、後土御門天皇から賜った御銘「高穂」にちなみ改める。以後、“一
子相伝"の技として今日まで脈々と受け継がれてきた茶釜づくりで、高山
は全国で唯一の茶釜の産地として発展してきた。

※鷹山(大和鷹山)氏は、日本の氏族のひとつ。中世の武士として、大
和国や伊賀国、甲斐国にその名が見える。平安時代中期の武将。清和源
氏、六孫王経基の嫡男の源満仲を父とする源賴光の遠裔(高山家系図歴
代紀)とされ、鎌倉時代中期に大和国添下郡の鷹山荘(庄)に移住し、
南北朝期には南朝に仕えたと伝わる。
※父親か聞かされている『高山右近の末裔』との説をたどれば、高山右
近(または、高山重友)の説にしたがえば、天文21年〈1552年〉または
天文22年〈1553年〉~ 慶長20年1月6日〈1615年2月3日〉は、戦国時代か
ら江戸時代初期にかけての武将、大名である。代表的なキリシタン大名
として知られ、カトリック教会の福者(beātus)でもある。父は摂津国
人・高山飛騨守、母は洗礼名マリア。同じく摂津国人の中川清秀は従兄
弟とされる。右近の幼名は彦五郎。長じて友祥(ともなが)、長房(な
がふさ)と称し、通称は右近。また南坊、等伯と号した。外国側の史料
にもジュスト・ウコン殿とある。 洗礼名はポルトガル語で「正義の人、
義の人」を意味するジュスト(ユストとも)。号は南坊。千利休の七高
弟(利休七哲)の一人としても知られる。  高山氏は摂津国三島郡高山
庄(現在の大阪府豊能郡豊能町高山)出身の国人領主であり、
出自は秩
父氏の一派の高山党の庶流とも甲賀五十三家の一つともいわれる。父の
友照が当主のころには当時畿内で大きな勢力を振るった三好長慶に仕え、
三好氏の重臣・松永久秀にしたがって大和国宇陀郡の沢城(現在の奈良
県宇陀市榛原)を居城とする。右近は人徳の人として知られ、多くの大
名が彼の影響を受けてキリシタンとなった。たとえば牧村利貞・蒲生氏
郷・黒田孝高などがそうである。細川忠興・前田利家は洗礼を受けなか
ったが、右近に影響を受けてキリシタンに対して好意的であった。また
、領内の多くの寺社の記録には「高山右近の軍勢により破壊され、一時
衰退した」などの記述があるものの。『フロイス日本史』などのキリス
ト教徒側の記述では、あくまで右近は住民や家臣へのキリスト教入信の
強制はしなかったが(実際に寺社への所領安堵状も受洗後に出している
)、その影響力が絶大であったために、領内の住民のほとんどがキリス
ト教徒となった。そのため廃寺が増え、寺を打ち壊して教会建設の材料
とした。天正18年(1590年)の小田原征伐にも建前上は追放処分の身の
ままでありながら前田軍に属して従軍。金沢城修築の際には、右近の先
進的な畿内の築城法の知識が役に立ったともいわれる。また利家の嫡男
・前田利長にも引き続き庇護を受け、政治・軍事など諸事に渡って相談
役になったと思われる。慶長14年(1609年)には、利長の隠居城・富山
城の炎上により、越中国射水郡関野(現富山県高岡市)に築かれた新城
(高岡城)の縄張を担当したといわれる。慶長19年(1614年)、加賀で
暮らしていた右近は、徳川家康によるキリシタン国外追放令を受けて、
人々の引きとめる中、加賀を退去。長崎から家族と共に追放された内藤
如安らと共にマニラに送られる船に乗り、マニラに12月に到着。しかし、
船旅の疲れや慣れない気候のため老齢の右近はすぐに病を得て、翌年の
1月6日(1615年2月3日)に息を引き取った。享年63。1634年には、右近
の遺骨はサン・ホセにあったコレジオの聖堂に移される。現在、石川県
羽咋郡志賀町代田、福井県福井市、大分県大分市に直系の3つの「高山
家」がある。高山右近没後400年にあたる平成27年(2015年)、日本の
カトリック中央協議会は「高山右近は、地位を捨てて信仰を貫いた殉教
者である」として、福者に認定するようローマ教皇庁に申請。 同年6月
18日、教皇庁の神学調査委員会が最終手続きに入ることを了承、翌2016
年(平成28年)1月22日に教皇フランシスコが認可。 同年6月23日、カト
リック中央協議会は教皇庁国務省が高山右近の列福式を平成29年(2017
年)2月7日に大阪市で執り行うと発表。 平成29年(2017年)2月7日に
大阪府大阪市の大阪城ホールで列福式が執り行われた。列福式には、教
皇代理として教皇庁列聖省長官のアンジェロ・アマート(英語版)枢機
卿が来日して司式する。 via Wikipedia 


今回、訪問、供養させていただいたのは、従兄弟の故有山美昭さん。
享年八十六(今年存命であれば八十八歳)。また、由子奥様は今年八十
四歳でお元気でした。                       
尚、その日には、同い年の従兄弟の吉岡清徳さん宅も訪問、供養(奥様
)、会社経営(装置システム設計)は個人規模に縮少ながらも元気につ
づけている様子。ノーベル賞・イグノーベル賞を狙って仕事を続けてい
ると笑いを交え互いの健勝誓い帰宅する。
 サンマルク奈良学園前
若鶏と彩野菜のグリル マスタードソース
1,419円(税込み)

京都・大津から北生駒間の道路事情が大きく変わっていることに驚かさ
れる。特に阪奈和高速基幹道と条里道の拡幅整備が最終段階に入ってい
ること、関係ナビゲーション表示システムの不具合が目立ち、新規利用
者の心労負荷を増加させる。帰りに、近鉄北生駒駅に立ち寄りベットタ
ウン化事情を観光。『サンマルク奈良学園前』で昼食を摂る(価格帯と
料理も申し分ない)。ところが、サイドバックをうかつにも忘れていた
が、アンケートが摂られていたので、携帯電話で知らさせ店に戻り、無
事に戻る。加齢の集中力の衰えを嗤う(Sneer)。次回の供養度は『四天
王寺編』(6月3日)。

     


 

 

【再エネ革命渦論 125: アフターコロナ時代 324】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング

特異点真っ直中 ⑦


虐殺の街「ブチャ」復興を日本企業が支援
5月19日、ロシア軍により400人以上の民間人が殺害されたウクライナ・
ブチャ市で、日本のスタートアップがエネルギー復興事業に参画するこ
とがテレビ東京の取材でわかった。東京工業大学発のスタートアップ
「つばめBHB」は、安価にアンモニアを生産できる世界初の触媒技術を
もつ。同社は、ブチャ市で進む復興事業に参画するため、19日に提携の
署名をする。今後、独自の小型生産設備を用いてブチャ市でアンモニア
を生産し電力や燃料、肥料などに活用することを検討する。燃やしても
二酸化炭素を出さないアンモニアは、脱炭素化のエネルギー源としても
注目されている。ウクライナは電源の多くを天然ガスや石炭に依存して
いるが、ロシアによる侵攻で多くの火力発電所やボイラー施設が破壊さ
れた。農業で使う肥料もロシアからの天然ガスを原料としており、復興
に向けては化石燃料依存から脱却し、再生可能エネルギーを軸とした自
立した電源の確保が検討されている。 ブチャ市の復興事業の中心とな
るのはポーランドの再生可能エネルギーを手がける企業で、つばめBHBと
連携することで、ウクライナ全土で水素やアンモニアを使った地産地消
のエネルギーシステムの構築も目指していくという。 企業のウクライナ
復興事業への参画には、政府の後押しもあった。岸田総理は3月21日にブ
チャ市を訪れ、市長らに対して「日本はウクライナの平和を取り戻すた
めの最大限の支援を行っていく」と述べた。それを受け、在ウクライナ
日本大使館や経済産業省などが連携し、民間企業による復興支援の枠組
みを検討した。


2023.05.19 つばめBHB ウクライナ・ブチャ市で進む
Green Industrial Zoneプロジェクトへ参画

        どんな国だって、 豊かになれる。



アンモニアは燃やしても二酸化炭素を排出しないことから、現在、発電
の燃料として使われている石炭や天然ガスと置き換えることで、大幅な
二酸化炭素の排出削減が期待されている。従来アンモニアは化石燃料を
原料にして製造されてきたが、近年では太陽光などの再生可能エネルギ
ーを用いて製造する試みもなされている。もしこれが実用化できれば、
アンモニアはカーボンフリーの燃料になる。日本政府は「戦略的イノベ
ーション創造プログラム(SIP)」で課題の一つとなっている「エネル
ギーキャリア」では、アンモニアの直接燃焼が研究開発のテーマの一つ。
アンモニアを直接燃焼させる基盤技術の開発に取り組み、2014年に世界
で初めてアンモニア燃料のガスタービン発電を実現させた。さらに2018
年3月、メタンに20%のアンモニアを混ぜた燃料で2MWの大型ガスタービ
ン発電に成功する。


図1.アンモニア専焼試験の燃料供給と発電出力の変化
出所:国立研究開発法人 科学技術振興機構

特開2023-51720 ガスタービン設備 三菱重工業株式会社
【概要】
球環境保全の観点から温暖化の一因となる二酸化炭素の排出量を抑制す
るため、ガスタービンの燃焼器にアンモニア、水素等を燃料として用い
ることが計画されている。気化器から燃焼器に燃料を供給する配管には、
その上流側から下流側に向かって順に第1開閉弁、第2開閉弁及び第1
制御弁が設けられている。また、第1開閉弁と第2開閉弁とを接続する
配管には、第3開閉弁を介してアンモニアガスを回収する回収槽が接続
されている。さらに、気化器から燃焼器に燃料を供給する配管には、そ
の上流側から下流側に向かって順に第1開閉弁、第2開閉弁及び第1制
御弁が設けられている。また、第1開閉弁と第2開閉弁とを接続する配
管には、第3開閉弁を介してアンモニアガスを回収する回収槽が接続さ
れている( ➲参照 特開2019-178840)。第2開閉弁を閉じた状態で気化
器からアンモニアガスをアンモニア供給管に供給した後、第1開閉弁を
閉じることにより、リークチェック管内を密閉空間として、漏洩が発生
しているか否かを検査することが記載されている。また、この特許文献
には、リークチェック後やプラント停止後、第3開閉弁を開くことによ
り、アンモニア供給管に残留するアンモニアガスを回収槽に回収するこ
とが記載されてもいるが、スタービンの緊急停止時において、アンモニ
ア供給管内に残留する未燃燃料であるアンモニアガスが大気に放出され
るといった不具合が発生するおそれがある。また、ガスタービン設備で
は、ガスタービンの緊急停止時において、未燃燃料に起因する不具合を
防止することが望まれている。未燃燃料に起因する不具合には、アンモ
ニアガスが大気に放出されることの他、燃料が水素である場合に、残留
する未燃燃料である水素ガスが意図しない場所やタイミングで発火するこ
とが含まれるため、ガスタービンの緊急停止時に未燃燃料に起因する不
具合を防止できるガスタービン設備を提供することにある。下図1のご
とく、ガスタービン設備(100)は、燃料供給設備(16)に接続さ
れる燃料配管(17)と、ガスタービン(GT)の燃焼器(3)に接続
される燃料供給配管(15)と、燃料を処理する燃料処理装置(32)
に接続される燃料処理配(33)と、燃料配管(17)に接続される入
口ポート(31i)、燃料供給配管(15)に接続される第1出口ポー
ト(31oa)、及び、燃料処理配管(33)に接続される第2出口ポ
ート(31ob)を有する三方弁(31)と、を備える。


図1実施形態に係るガスタービン設備の構成の概略を示す図
【符号の説明】
1…圧縮機、2…タービン、2N…回転速度センサ、3,3D…燃焼器
3s,3Ds…車室、4…発電機、5…圧縮空気、5a…燃焼空気、5
b…2次燃焼空気、5c…希釈空気、6…燃焼ガス、8…煙突、9…起
動用モータ、11,102…副燃料配管、12,18,24,54,7
3,104,113…流量調節弁、13,19,25,57,59,7
4,82,105,114,119…遮断弁、14,20,26,29,
30,34,36,56,75,78,83,106,115…開閉弁
15…主燃料供給配管(燃料供給配管)、16,71…主燃料供給設備
(燃料供給設備)、17,72,117…主燃料配管(燃料配管)、1
7Pa…入口圧センサ、17Pb…出口圧センサ、17T…燃料温度セ
ンサ、23…窒素ガス配管、31…三方弁、31i…入口ポート、31
oa…第1出口ポート、31ob…第2出口ポート、32,77…燃料
処理装置、32T…水タンク、33,76…燃料処理配管、37…制御
装置、38…入力装置、40…内筒、41,41D…バーナ、41a…
燃料ノズル、41b…旋回器、41Da…液体燃料ノズル、42…点火
栓、43…外筒、44…エンドカバー、45…内筒キャップ、46…噴
出孔、47…噴出孔、48…トランジションピース、49,49s…噴
霧ノズル、50…水マニホールド、51,51s…水供給配管、52…
水ポンプ、53…圧力調節弁、55,55s…遮断弁(水遮断弁)、5
8…第2分岐管、80…ドレン孔、81…ドレン配管、98,99…噴
霧孔、101…エンクロージャ、118…第1分岐管、140…アンモ
ニア濃度センサ、150…マニホールド、Fag…アンモニアガスの燃
料流量、Fb1…第1分岐水流量、Fb2…第2分岐水流量、Fk…灯
油の燃料流量、Fla…液体アンモニアの燃料流量、Fng…天然ガス
の燃料流量、Fw…噴霧水流量、GT…ガスタービン、S1,S1B,
S1D…主燃料供給システム、S2,S2D…副燃料供給システム、S
3,S3B,S3C…燃料処理システム、S4…窒素ガス供給システム、
S5,S5D…水供給システム  

図2.第1実施形態に係るガスタービン設備の構成の概略図

特開2023-065706 燃焼装置及びボイラ 株式会社IHI
【概要】 二酸化炭素の排出量を削減することを目的として、主燃料であ
る天然ガスにアンモニアを添加して燃焼させるアンモニアを含む燃料を
燃焼させる複合エネルギーシステムは、アンモニアを燃料の一部として
燃焼させた場合には燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の増加が
懸念される。天然ガスのような炭素燃料とアンモニアのような窒素含有
燃料とを一緒に燃焼させる場合には、実用性の観点から窒素酸化物の増
加を抑制することが必要不可欠であるが、下図2のごとく、火炉に設置
されると共にアンモニアを燃料として燃焼可能な燃焼装置であって、燃
料の噴射方向から見て中心部に配置されると共にアンモニアを噴射する
内筒ノズルと、燃料の噴射方向から見て内筒ノズルを径方向外側から囲
んで配置されると共に内筒ノズルの周囲にアンモニアを噴射する外筒ノ
ズルと、内筒ノズル及び前記外筒ノズルの少なくとも一方の流量を調整
する流量調整部とを備えることで、アンモニアを燃料として燃焼可能な
ボイラにおいて、窒素酸化物の増加を抑制する。

図1.実施形態におけるボイラの要部構成を示す模式図
図2.実施形態のボイラが備えるバーナの概略構成を模式断面図
図3.実施形態のボイラが備えるバーナが形成する火炎を含む模式図
【符号説明図】
1……ボイラ 1A……ボイラ 2……火炉 2a……排出口 3……煙道
3a……水平煙道 3b……後部煙道 4……バーナ 4A……バーナ 5
…二段燃焼空気供給部 6……アンモニア供給部 6a……アンモニア供
給源 6b……燃料アンモニア供給部 6b1……燃料アンモニア供給配
管 6b2……流量調節弁 6b3……第1配管 6b4… 第1流量調節
弁(第1流量調節部) 6b5……第2配管 6b6……第2流量調節弁
(第2流量調節部) 6c……アンモニア供給制御装置 7……微粉炭供
給部 41……内筒ノズル 42……外筒ノズル 43……微粉炭噴射ノズ
ル 43a……内側管 43b……外側管 44……二次空気供給部 45
……アンモニア旋回器(旋回器) 46……空気旋回器 F……火炎 L
……軸心

特開2018-162939 燃焼装置及びガスタービン 株式会社IHI
【概要】
電力需要の減少やガスタービンの点検等のなんらかの理由により、燃料
用アンモニアの供給を停止する場合があり、燃料アンモニアを燃焼器に
供給する供給系統の配管内に高圧のアンモニアが残ってしまう場合があ
るが、何らかの原因によりこの配管内のアンモニアがさらに高圧化し、
その圧力が配管の設計圧力を超えてしまう場合には、毒性を持つアンモ
ニアが漏洩するリスクがある。したがって、その配管内の高圧のアンモ
ニアを何らかの手段で処理し、配管内の内部圧力を低減させる必要があ
る。
下図1のごとく、窒素酸化物の還元剤として一次還元用アンモニアを燃
焼器内に供給すると共に、前記燃焼器から排出される燃焼排ガスに対し
て二次還元用アンモニアを混合させることでこの燃焼排ガス中の窒素酸
化物を還元するアンモニア供給部と、燃焼器から排出された後の、燃焼
排ガスに含まれる残留窒素酸化物の濃度と残留アンモニアの濃度とに応
じて、一次還元用アンモニアの供給量と燃焼排ガスへの次還元用アンモ
ニアの混合量との少なくともいずれかを制御する制御装置と、を備える
ことで、アンモニア供給系統内の圧力を低減する。

図1.実施形態の燃焼装置及びガスタービンの全体構成示すブロック図
【符号の説明】 A,B ガスタービン C,D 燃焼装置 1 圧縮機 2
燃焼器 3 タービン 4 触媒還元部 5 天然ガス供給部 6 アンモニア
供給部 7 アンモニア供給経路 8 還元剤供給経路 9 アンモニア分流
経路 10 第1の弁 11 第2の弁 12 第3の弁 13 制御装置
15 循環経路 41 還元触媒チャンバ



図:細野栄誉教授が開発したアンモニア合成触媒
(エレクトライド触媒)

WO2018/030394 アンモニア合成用触媒の製造方法及びアンモニアの
製造方法 国立大学法人東京工業大学
【要約】
製造方法や製造設備の面の制約があり、特に工業スケールでの製造に制
約が大きいアンモニア合成用の担持金属触媒を、より簡便で、かつ得ら
れる触媒の活性が高い触媒の製造方法を提供する。本発明のアンモニア
合成用触媒の製造方法は、比表面積が5m2/g以上の12CaO・7
Al2O3を調製する第一の工程と、前記12CaO・7Al2O3に、
ルテニウム化合物を担持する第二の工程と、前記第二の工程で得られた
ルテニウム化合物を担持した12CaO・7Al2O3を還元処理する
第三の工程と、を含む。前記還元処理を、前記還元処理後のルテニウム
の平均粒子径が、前記還元処理前のルテニウムの平均粒子径に対し、1
5%以上増大するまで行なうことを特徴とする。
【発明の効果】  
本発明の触媒の製造方法は、アンモニア合成用触媒として高い性能を有
する触媒を、従来のC12A7エレクトライドを担体として用いた触媒
に比べ簡便に製造することができる。特に工業的な製造に好適な製造方
法により、アンモニア合成用触媒を提供することができる。本発明の触
媒の製造方法は、アンモニア合成用触媒として用いた際、長時間継続し
て反応を行っても安定してアンモニアを生成し、反応活性の低下が小さ
い触媒を製造することができる。すなわち得られる触媒の寿命が長いた
め、高い製造効率でアンモニアを製造することができる点で有利である。



【図1】実施例1~3に記載のアンモニア合成用触媒を用いたアンモニ
 ア合成用反応の結果を示すグラフ
【図2】実施例3に記載のアンモニア合成用触媒を用いた際のアンモニ
 ア合成反応の圧力変化の検討結果(実施例3A)を示すグラフ

WO2020/175519 成形焼結体および成形焼結体の製造方法 国立大学
法人東京工業大学

【要約】
マイエナイト型化合物、無機バインダー焼結物および遷移金属を含む成
形焼結体であって、無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結体100
質量部に対して3~30質量部であり、窒素吸着法による細孔径分布測
定により得られた成形焼結体の細孔径分布において、成形焼結体は細孔
径が2.5~20nmの範囲および20~350nmの範囲にそれぞれ
細孔ピークを少なくとも1つ有する成形焼結体、ならびに、マイエナイ
ト型化合物の前駆体および無機バインダー焼結物の原料を混合して混合
物を作製する工程、混合物を成形して混合物の成形体を作製する工程、
成形体を焼成して焼成物を作製する工程、および焼成物に遷移金属を担
持して成形焼結体を作製する工程を含み、混合物を作製する工程は、上
記の無機バインダー含有量を満たすように原料を配合する方法により触
媒活性が高く、圧壊強度が高い成形焼結体と、その製造方法を提供する。


図1 実施例1~4および比較例1~3の成形焼結体における無機バイ
  ンダー焼結物の含有量とアンモニアの生成速度および圧壊強度との
  関係を示すグラフ

WO2020/085324 アンモニア合成システムおよびアンモニアの製造方法
   つばめBHB株式会社

図1.実施形態に係るアンモニア合成システムを示す概略図
【符号の説明】
1A~1I アンモニア合成システム 10,10A~10D アンモ
ニア合成反応部 11,12,14 アンモニア合成反応器 13,70,
80 熱交換器 20 アンモニア冷却器 30 気液分離器 40 ア
ンモニア合成用ガス供給部 50 アンモニア合成用ガス圧縮器 60 
循環ガス圧縮器

  シミュレーションによるガス圧縮器の動力の評価結果


WO2019/156029 複合物、触媒及びアンモニアの製造方法 国立大学法
 人
東京工業大学 他
【要約】
本発明の複合物は、マイエナイト型化合物と前記マイエナイト型化合物
に担持された活性金属とを含む複合物であり、複合物を20℃の温度か
ら10℃/分の昇温速度で450℃の温度まで加熱し、450℃の温度
及び3MPaの圧力の環境下で、窒素ガス:水素ガスの体積比率が1:
3である窒素ガス及び水素ガスを含む混合ガスを複合体に接触させながら
10時間保持した後の活性金属の平均粒子径が5.5nm未満であり、
かつ活性金属のうち、粒子径が1nm以上3nm未満の活性金属の割合
が60%以上である。本発明の触媒は本発明の複合物を含有する。本発
明のアンモニアの製造方法は本発明の触媒に窒素と水素を含むガスを接
触させてアンモニアを製造する工程を含む。本発明によれば、触媒活性
が高い触媒を得ることができる複合物、その複合物を含有する触媒及び
その触媒を用いたアンモニアの製造方法を提供することができる。

図1.実施例1及び比較例1の触媒を用いた場合のアンモニア合成反応
  における圧力を変化させたときのアンモニアの生成量を示すグラフ


以上の結果から、実施例1の触媒として用いた複合物は、その複合物を
20℃の温度から10℃/分の昇温速度で450℃の温度まで加熱し、
450℃の温度及び3MPaの圧力の環境下で、窒素ガス:水素ガスの
体積比率が1:3である窒素ガス及び水素ガスを含む混合ガスをその複
合体に接触させながら10時間保持した後の活性金属の平均粒子径が
5.5nm未満であり、かつ活性金属のうち、粒子径が1nm以上3n
m未満の活性金属の割合が60%以上である複合物であることがわかっ
た。 

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:1996年代



● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)

 

 

コメント
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ネオビジネスマン考 ②

2023年05月19日 | 政策論



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。 



焼鯖蕎麦(鯖はセブンイレブンで購入)

早速、電子レンジで加熱調理し戴く、ヤマサの和風だし(鰹だし)、ミ
ツカン味ぽんで出汁(スープ)に粉山椒と一味(唐辛子)をふりかける。
臭味があり、食酢、味醂など加えてみるが完全抑制はできなかったが、
それを除き、美味しく戴いた。におい対策としては、①浜焼き(下画像
山椒)にし油分など臭味成分揮発・酸化で除去たものを購入(朽木屋)
するか、甘露煮するか、質量-熱分析装置で徹底分析----重量×温度×
時間×分離回収物質の同定だけでなく、前処理プロセス×切り身の凍結
有無×封止方法(減圧有無×封入剤の有無×封入剤の獣類)など条件を
替える----ターゲット成分を光・電磁波学的除去方法や異臭物質の趨勢
と構造解明----を行った上で和蕎麦の香り・味。食感を損なわないこと
に留意。勿論、新鮮な鯖あるいは水。アルコール、檸檬酸、麹などによ
る化学的除去・抑制方法などでできるだけ簡便で廉価な方法で抑制でき
るかもしれない。蛇足である確立できれば、加工食品全般に応用できる
まるで外科・生理医学レベル、良い勉強になりました。


セブンイレブンの焼さば(参考つぉいて他社との比較評価している)

 
浜焼きさば 


鯖の甘露煮


※ 1980年2月25日受理


Do books
最新版 ビジネス図解 不動産取引
平田 康人【著】
内容説明 :ビジネスとして不動産に関わる人から土地・建物を売ろう
としている人・買おうとしている人まで、『不動産取引』を知るために
必要な80項目を厳選し、ビジュアルな図解でわかりやすく解説する。
取引に関わる法律、売買価格に影響する要因、さまざまな売買手法のメ
リット・デメリット、重要事項説明書の留意点から、土地活用で失敗し
ないコツまで実践的な知識がラクラク身につく!
目次
1章 これだけは知っておきたい!「不動産取引のしくみ」を理解する
   ポイント
2章 必ず押さえておきたい!不動産取引の「基本」と「考え方」とは?
3章 誰も教えてくれない!不動産の取引価格に影響する要因とは?
4章 知らない人は損をする!取引価格を決定づける「売却手法の選び
   方」とは?
5章 ここだけは見落とせない!重要事項説明書(不動産トリセツ)の
   留意点
6章 トラブル防止の視点で見る!「不動産売買契約書」の最重要ポイ
   ント
7章 安全な不動産取引を行なうための必須書類とその目的とは?
8章 これが常識!「住宅ローン」で失敗しないための基礎知識!

著者等紹介
平田康人[ヒラタヤスヒト] 1968年徳島県生まれ。不動産コンサ
ルティング会社(株)フェアトレード総合研究所代表取締役。スターツ
コーポレーション(株)、アーバンライフ(株)にて「分譲マンション
開発、不動産仲介、賃貸管理、土地活用・相続対策コンサルティング、
テナントリーシング、不動産オークション事業」等取引総額200億円
以上の不動産実務に従事した後、(株)船井総合研究所にて「経営戦略
立案、マーケティング戦略・マネジメント計画策定、商品開発、人材育
成・採用」等で約12業種250社以上の経営コンサルティングに携わ
る。 宅地建物取引士。行政書士。2級ファイナンシャル・プランニン
グ技能士。賃貸不動産経営管理士。公認不動産コンサルティングマスタ
----------------------------------------------------------------
  まえがき  
  不動産取引を巡るトラブルや紛争のほとんどは、「そんなことは
 間いていない」ということから発生します。 この「間いていない」
 の内容は、本当に「間いていない」という場合もあれば、「間いた
 けれど忘れた」「間いたかもしれないけれど、よく理解できなかっ
 た」など、様々な理由があります。  
  国土交通省の「宅地建物取引業法施行状況」調査によると、一時
 減少傾向にあった、宅地建物取引業者に対する監督処分等(免許取
 消・業務停止・指示・勧告等を合む)の件数は、近年増加傾向にあ
 り、なかでも紛争相談件数の最も多いのが「重要事項の不告知を合
 む重要事項説明等」で、過去5年間においても断トツで1位の原因
 となっています。  
  「重要事項の不告知等」とは、買主(借主)にとって「契約する
 か否かの重要な判断材料」となる事項が告知されなかったり、事実
 とは異なる告知(不実告知)がなされることで、売主(貸主)に告
 知義務違反があったり、宅地建物取引上に調査義務違反や説明義務
 違反があった場合に起こります。
  しかし、不動産取引の当事者が、「不動産取引のしくみ」を正し
 く理解していれば、間違った解釈や理解不足のまま不動産取引が進
 むことはありません。当事者間でチェック作用が働き、想定される
 トラブルや紛争の「芽」は取引前に摘み取られ、あるいは契約内容
 に盛り込んで合意することが可能になるからです。  
  本書は、不動産取引に関わるすべての当事者が、「不動産取引の
 しくみ」を正しく理解することで、不動産取引に対する間違った解
 釈や理解不足から生じる様々なトラブルや紛争を未然に回避して、
 安全な不動産取引が行 なえるようになることを目的としています。  
  本書の特徴は、法律の専門家が不動産取引を解説する法律書とは
 フ楳を團し、不動産取引実務のプロが、「トラブル防止の観点」か
 ら不動産取引の要所を図解で解説していることです。実際に取引で
 使用する契約書類や各証明書類の読み解き方や使用目的、不動産用
 語、不動産取引手法の正しい理解等、言爪することで「小動産取引
 のしくみ」が体系的に理解できるように構成しています。
  そのため、不動産取引の実務を行なう際の「手引書」として活用
 することができる内容になっているので、一般消費者の方はもちろ
 んですが、企業不動産の管理担当者、不動産取引に不慣れな専門家
 (干菜、経営コンサルタント、生保・損保関係者等)、そして不動
 産に興味がある方にもお勧めです。とくに不動産業界に従事する皆
 様にはお勧めです。新人や中堅社員、事務職員の方は、日常業務の
 「基本」と「考え方」を知ることができるので、お客様への対応力
 が格段に上がり、会社組織力が向上します。さらに管理職社員にと
 っては、自らの経験が整理でき、かつ部下育成のマネジメントツー
 ルとしても使うことができます。

    不動産取引は、日々の生活の中で身近なものですが、一般の消費
  者にとってはたびたび経験することではなく、やり取りする金額も
 高額です。専門性が高く、用語や取引慣習等、不動産取引を経験し
 ないとわからないことも多々あります。しかし、不動産取引を進め
 る中で「俯に落ちない」ことがあったとき、本書を活用することで
 契
約締結前に問題解決が図られ、未然にトラブルの芽を摘むことが
  
できれば、本書の出版に意義があると思います。

   最後になりましたが、本書の企画段階からアドバイスをいただき、こ
  いてびの出版に導いてくださった同文脈出版株式会社取締役ビジネ
  ス書編集部部長の古市達彦様、船井総合研究所に在籍時より大変お
  世話になり、本書の内容構成に多くの気づきを与えていただいた、
    有限会社経営コンサルティングアソシエーション名誉顧問の宮内
  享様には、心より感謝申し上げます。

 1章 これだけは知っておきたい!「不動産取引のしくみ」を理
    解す
るポイント
 ①不動産業の「分類」と「規制される法律」とは?
 ②不動産取引業を規制する「宅地建物取引業法」とは?
 ③「宅地建物取引業免許」の意味とは?
 ④消費者を保護する「営業保証金」と「保証協会」とは?
 ⑤不動産業界必須の国家資格「宅地建物取引士」とは
 ⑥不動産取引に関連する「その他の資格者」とは?
 ⑦不動産の用益や取引に関連する「法律・条例」とは?
 ⑧今後ますます注目される「不動産信託受益権」とは?
 ⑨意思表示に欠陥がある取引は「取消し」「無効」になる!
 ⑩不動産特有の法律「借地借家法」とは?
 ●コラム1.
  農地の取引は「許可や届出」がなければ効力が生じない!

 不動産業の「分類」と「規制される法律」とは?
 不動産業は「3つの業態」に分類することができる
 「不動産」とは、不動(動かない)の資産のことで、土地およびそ
 の定着物(建物、立木等)を指します。不動産以外のすべての物は
 動かせる資産ということで、「動産」に分けられます。
  この不動産を取り扱うのが不動産業であり、不動産業は大きく3
 つの業態に分類することができます。そして業態ごとに規制される
 法律が異なってきます。

 法律の規制で受ける影響も違ってくる
  不動産業の業態の第一は、「不動産取引業」です。不動産取引業
 には土地・建物売買業、不動産代理業・仲介業があります。不動産
 会社が自ら売主となって宅地分譲や新築分譲を行なう上地・建物売
 買業や、不動産を「売りたい人・貸したい人」からの依頼に薬づい
 て「買いたい人・借りたい人」に対し、代理や仲介の立場で不動産
 を斡旋する、いわゆる「街の不動産屋さん」は、宅地建物取引業法
 により規制されることになります。
 第二は、「不動産賃貸業」で、不動産貸行業には不動産賃貸業、賃
 家業・貸間業、駐車場業があります。個人や二股事業法人が、資産
 活用や節税対策等を目的として自ら貸主として「不動産賃貸業」を
 行なっているもので、いわゆる「昔ながらの地主や大家さん」はこ
 れに該当します。この「不動産賃貸業」には規制される法律はあり
 ません。
 第三は、「不動産管理業」です。不動産管理業は、分譲マンション
 管理する管理業と賃貸不動産を管理する管理業に分けられます。建
 物の清掃やエレベーター等の設備点検を行なって建物の資産価値を
 維持するという点ではこれらは同じですが、平成12年(2000年)に「マ
 ンションの管理の適正化の推進に関する法律」が施行され、マンシ
 ョン管理上資格制度やマンション管理業者の登録制度を実施するこ
 とで、マンション管理の適正化を推進することとなりました。分譲
 マンションを管理する管理業はこの法律によって規制されます。
 不動産本書では、宅地建物取引業法によって規制される不動産取引業
 」を中心に解説を進めていきます。



 ところで、 2030年に日本で表面化すると考えられる社会問題の総
称です。2030年には、少子高齢化による人口減少や人口構造の変化によ
り、雇用、年金制度などにさまざまな影響が及ぶと予測されている。 
①少子高齢化・人口減少
日本の総人口は、2008年の約1億 2,800万人をピークに減少の一途をた
どっており、2030年には約1億1,900万人になると見込まれている。
また、生産年齢人口(15~64歳)は、2015~2030年にかけて853万人減
少し、高齢人口(65歳以上)は329万人増加するとされている。このよ
うな少子高齢化の進展は、“夫婦と子”世代の減少、単身世帯の増加に
つながることから、住宅ニーズにも変化が表れる

②空き家の増加・既存ストックの老朽化
国内における空き家の総数は、2018年までの30年間で394万戸から846万
戸へと増加しています。賃貸・売却用を除き、利活用されていない空き
家の数に関しては、347万戸にまで増加。5年前の2013年と比べても29万
戸の増加となっています。さらに今後は、2017年から20年間で、築40年
を超えるマンションが279万戸増加し、既存ストックの老朽化問題も顕著
になると予測されています。 不動産業界においては、中古住宅の流通を
活性化させるために 空き家や既存ストックの利活用が求められます。
➲出典:総務省統計局『平成30年住宅・土地統計調査住宅数概数集計
結果の概要
』)

④生活環境・企業活動の変化
2030年には、インターネットやIoTなど、IT技術のさらなる発展により、
生活環境・企業活動が変化すると考えられています。 オンライン契約や
オンライン内見といったIT技術を取り入れたサービス提供により、不動
産会社の立地に関する制約も緩やかになることが予測できます。デジタ
ル社会を迎えるこれからの時代、不動産業界が競争優位性を構築するた
めには、IT技術を活用したよりよいサービス、暮らしの提供が求められ
るでしょう。

 ④働き方改革の進展
不動産業界に限ったことではありませんが、少子高齢化による働き手不
足を解消することを目的として、働き方改革がさらに進展すると考えら
れます。限られた労働力を有効活用し、生産性の向上やワークライフバ
ランスを実現するためには、一人ひとりに合った柔軟な働き方ができる
環境の構築が必要です。具体的には、仕事と育児・介護を両立できる労
働制度の導入やライフステージに合った働き方ができる多様なキャリア
パスへと見直しが求められる。

⑤国債競争力の強化

2030年には、大都市への人口集中によって、アジア主要都市の競争が加
速すると考えられます。さらに、外国人旅行者・在留外国人が増加する
ことで、新たな住宅需要の拡大も見込まれています。 不動産業界におい
ても、国際競争力の強化をはじめ、外国人の住まいのニーズに対応する
ことが重要です

⑥国土構造の変化
2027年には、品川・東京間、2037年頃には、名古屋・大阪間のリニア中
央新幹線の開通が予定されており、これらが実現すれば東京圏・名古屋
圏・大阪圏といった三大都市間の移動がより身近になります。 主要都
市へのアクセスの利便性が向上することにより、人々の生活や働き方に
も変化が表れると考えられます。消費者の住宅選びにおいて予測される
のは、デュアルライフ(二拠点生活)という選択肢が新たに広がること
です。 今後は、月契約の賃貸住宅やサブスクリプション型住居など、多
様化する住宅ニーズへの対応が求められるでしょう。

⑦環境問題の制約
地球温暖化への対策は、世界共通の長期目標とされています。パリ協定
をはじめとする国際的な取り組みが推進される一方で、2016年3月時点
で、省エネ基準を満たす国内の住宅はストック全体で約8%にとどまっ
ている状況です。 2030年に向けて、人々の生活の基盤となる住宅につい
ても、省エネ住宅・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・低炭素
建築物などといった環境への配慮が求められます。

⑧消費者ニーズの変化
高齢化が進むなか、健康への関心度合いが向上している傾向がある。内
閣府の『令和3年版 高齢社会白書(全体版)』のうち、団塊の世代の
意識調査によると、「収入が伴う仕事をしたい(続けたい)」という人
は、60歳以上の高齢者のうち40.2%いるとの結果です。 不動産業界では、
高齢者雇用をはじめとする働き方改革の進展とともに、健康的に暮らせ
る住まい・サービスの提供が求められます。

⑨自然災害の激甚化
近年、地球温暖化に伴う気候変動によって、自然災害が頻発している傾
向が見られます。さらに、今後30年以内で、深刻な被害を及ぼしうる地
震の発生率が約70%にも達すると予測されています。生活基盤となる住
宅を扱う不動産業界においては、安心して暮らせる住環境づくりに向け
て防災・減災対策が必要不可欠といえる。 (出典:国土交通省『不動産
業ビジョン2030』/内閣府『平成25年版 高齢社会白書(全体版)』)

不動産業界における2030年問題への対策
さまざまな社会問題が表面化するとされる2030年の日本。不動産業界が
2030年問題に対応するためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
不動産業界に必要となる2030年問題への対策には、主に3つが挙げられ
る。
①時代に合わせた住宅
・サービスの提案 高齢化による単身世帯の増加、健康意識の高まり、
環境保護に対応するためには、時代に合わせた住宅
・サービスの提案が求められます。 時代とともに移り変わる社会のニ
ーズに対応することで、新たな需要の創造にもつながります。

▼時代に合わせたニーズへの対応例
管理業
•地域での見守りや生活相談サービスとの連携
•民泊の運営、外国人対象の住宅提供 仲介業
•多様な住宅ニーズに対応できる賃貸物件の提案 (サブスクリプション
 型住宅、シェアハウス、月契約賃貸住宅等)
•省エネ性能に優れた住宅の取扱い
•リフォーム事業との連携

②自治体・他事業と連携した空き家の活用
人々のライフスタイルやワークスタイルの変化により、地方郊外の住宅
・地域が選ばれやすくなる可能性も高まると考えられます。地方郊外に
ある空き家や既存ストックを有効活用することで、不動産流通市場のさ
らなる活性化が期待できます。

▼空き家の活用例 管理業
•空き家リノベーションによる賃貸経営 •住宅の適切な情報共有による安
全性の確保 仲介業 •空き家バンク活用、自治体による移住者支援の紹介
•インスペクションの実施やリノベーションなど一貫したサービスの提供

③IT技術の導入
IoT・AIなどのIT技術を活用して、新たなサービスや付加価値の提供、ビ
ジネスモデルの変革が求められます。IT技術を積極的に取り入れること
で、競争力の強化、人手不足の解消、防災強化などさまざまな問題の対
策につながります。
▼IoT・AIなどを活用したサービスの例 管理業
•ITツールによる災害状況の監視・住民への通知
•入居者管理ツールによる管理品質の向上
•テレワークの導入による働き手の確保 仲介業
•Web契約やWeb内見の導入による立地に関する制約の解消
•顧客管理ツールによる営業力の強化                         
                         この項つづく

     


 

 

【再エネ革命渦論 124: アフターコロナ時代 323】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング

特異点真っ直中 ⑥


世界初、10か月間の木材宇宙曝露実験完了
5月16日、京都大学と住友林業の共同研究グループは、2022年3月より
取り組んできた「国際宇宙ステーション(ISS)での木材の宇宙曝露実
」で、約10ヶ月間の宇宙空間での木材試験体の曝露実験が完了し、
2023
年1月に試験体は地球に帰還。NASA、JAXAを経て3月、木材試験体を受理
し、外観、質量等を測定する1次検査を実施。木材の割れ、反り、剥が
れなどはなく、温度変化が大きく強力な宇宙線が飛び交う極限の宇宙環
境下で、試験体の劣化は極めて軽微で材質は安定しており、木材の優れ
た耐久性を確認しました。2024年に打上げを計画している木造人工衛星
(LignoSat)1号機に使用する樹種は、今回の実験結果を踏まえホオノ
キを使用することに決定。


注1.木材試験体:ヤマザクラ、ホオノキ、ダケカンバの 3 樹種。地
上での各種物性実験により木造人工衛星に使用する最終候補として選定。
注2.LignoSat(リグノサット)は、Ligno(木)と 人工衛 星(Satel-
lite
)からなる造語で本プロジェクトにて命名。
注3.ホオノキはモクレン科モクレン属に属する落葉高木の1種である。
別名としてホオ、ホオガシワなどともよばれる。大きな葉が輪生状につ
き、枝先に大きな花が上向きに咲く。日本自生の樹木の中では、最大級
の葉と花をもつ。南千島から九州に分布する。大きな葉は、食べ物を包
んだり焼いたりすることに使われる。





 マグネシウム金属蓄電池をドライルームだけで作製
命題:酸素の透過を抑制する人工亜鉛被膜は可能か
5月16日、NIMSは、乾燥した空気中でのマグネシウム金属負極の電気化
学的活性の喪失の原因を突き止め人工保護被膜を開発。
【要点】
1.乾燥した空気中でのマグネシウム金属負極の電気化学的活性の喪失
  (不活性化) の原因を明らかにし、それに基づく人工保護被膜を開発
2.資源制約がなく、リチウムイオン電池を凌駕する高エネルギー密度
化が見込めるマグネシウム金属蓄電池は、大規模蓄電池としての応用展
開に大きな期待を持たれ、研究開発が進められています。しかし、マグ
ネシウム金属は、酸素や水分に触れると表面に酸化物被膜が形成され、
不活性化してしまう物質です。そのため、マグネシウム金属蓄電池の生
産には、材料の保管から評価に至るまで、アルゴンや窒素などの不活性
ガス中での作業が必要。
3.解液・溶存酸素・マグネシウムの三相境界面に生じる超高抵抗が、
大気下でのマグネシウム金属負極の電気化学活性の喪失を引き起こすこ
とを発見。
4.イオン交換反応を利用して、酸素透過を抑制する人工亜鉛被膜をマ
グネシウム金属表面に形成させることで、乾燥した空気中でのマグネシ
ウムの酸化を抑え、不活性化を抑制することに成功。


図 :(a) 人工被膜を被覆したマグネシウム金属断面の電子顕微鏡像。電
圧電流測定後の断面観察から、被膜を介してマグネシウム金属が溶解し
ていることが分かります。(b,c) 乾燥空気雰囲気下における亜鉛被覆お
よび未処理マグネシウムの、(b) 電圧電流応答、ならびに、(c) これらを
負極に用いたマグネシウム金属蓄電池の充放電試験結果。
【展望】
研究チームは世界最高水準の電解液およびマグネシウム金属の負極材料
を開発しており、正極材料の研究開発を加速し実用化すれば、既存のリ
チウムイオン電池の生産ラインを、マグネシウム金属蓄電池生産用に転
換して利用できる。
【関連論文】
題目 : Oxygen - A Fatal Impurity for Reversible Magnesium Deposition/Dissoluion
著者 : Toshihiko Mandai and Mariko Watanabe
雑誌 : Journal of Materials Chemistry A
掲載日時 : 英国時間2023年4月10日オンライン公開
DOI : 10.1039/D3TA01286G



5月15日、京都大学アイセムスらの共同研究グループはフラーレンC60の一次
元部分構造をもつ新たな有機材料の開発に成功。
【概要】フラーレンは多数の炭素原子からなる球状分子であり、優れた電子受
容体として有機エレクトロニクス材料への応用が検討されてきました。フラーレ
ンは他の多くの有機材料とは異なり、多くの電子を受け入れても分解しないと
いう特徴を有していますが、この性質はフラーレン特有の球状構造に起因する
と長らく考えられてきました。本研究では、フラーレンの電子受容体としての特
徴を実現するためには五角形の部分構造が重要であるとの考えのもと、フラ
ーレンC60と五角形の連結様式が同じ一次元状の有機分子「オリゴビインデニ
}リデン」を設計し、その合成に成功しました。この分子は、五角形の炭素骨格
が一次元状に連なった構造をもち、C60よりも対称性がはるかに低く、個々の炭
素原子も平坦な構造をもつにもかかわらず、五角形の数と同数までの電子を
受容できることがわかりました。この成果を通して、フラーレンの電子受容体と
しての性質の根本を支えているのは五角形の部分構造であることを明らかに
しました。
【展望】
この分子設計手法は、炭化水素骨格のみで優れた電子受容性を実現できる
新手法であることから、有機半導体や太陽電池、電池や触媒など、電子の輸
送や授受がかかわる様々な機能性材料の開発につながると期待されている。
【関連論文】
論文タイトル:“Flattened 1D fragments of fullerene C60 that exhibit robustness t
oward multi-electron reduction” (参考訳:多電子還元に対する堅牢性をもつ、
フラーレン C60 の平らな一次元フラグメント)
著者:Masahiro Hayakawa, Naoyuki Sunayama, Shu I. Takagi, Yu Matsuo,
     Asuka Tamaki, Shigehiro Yamaguchi, Shu Seki, Aiko Fukazawa
Nature Communications |DOI: 10.1038/s41467-023-38300-3



【樹種】ブラックウォールナット(無垢材)
【サイズ】W2040×W1050×H720



出所:TBS YouTube




【人口減少時代の地域再生概論 ⑩】
『奥飛騨温泉郷 中尾地熱発電所』
温泉文化と地熱発電、共に助け合い繁栄する未来のために
2023年2月28日、 岐阜県中部山岳国立公園

日本百名山の一つとして知られる、活火山の焼岳。北アルプスの玄関口
に位置する「中尾温泉」目前に広がる北アルプスの絶景や、焼岳を熱源
とする良質なかけ流し温泉など、登山客だけでなく、日常を忘れて寛げ
る温泉地として多くの人が訪れる観光地その麓に位置する中尾源泉は、
高温・高圧の地熱を利用した自噴泉で、温泉浴用としての利用はもちろ
ん、冬期の融雪などにも使用され、自然の恵みが無駄なく活用されてい
る。 地熱資源、世界第3位のポテンシャルを持つ日本 。


火山帯に位置する日本は、地熱資源量がアメリカ、インドネシアに次い
で世界で第3位(2,347万kW相当)と豊富な資源量を誇る。しかしながら、
国内で稼働中の地熱発電所の総出力は52万kWと地熱資源量のわずか2.2%
の世界第10位。せっかくの資源を十分に利用できていないのが日本の現
状です。豊富な資源量を誇りながら、なぜ地熱開発が進まないのか?そ
の理由として以下の3つが挙げられる。

・日本特有の温泉文化と、地熱発電との共存・共栄が不可欠であること。
・地熱発電に適した土地の大半が、国立・国定公園に立地するため、
熱発電が完成するまでには、地元合意から始まり、調査→各種許認可→採掘
と進むため、地元の温泉事業者の同意が大前提。ですが湯量の減少などを懸
念し、近隣の温泉事業者が開発に反対する事例も多いのだとか。 また地熱構
造は複雑で、地上からどれだけ調査しても、実際に採掘しないと分からないこ
とがたくさんある。 中尾地熱発電所では、地元との共存・共栄の文化を築くた
め、発電所で使用しない熱水を中尾温泉へ供給する仕組みが考えられた。そ
れにより、中尾温泉が保有する既存の温泉井戸を休ませることができ、中尾
温泉の維持管理費が低減されるというメリットがうまれる。今後世界3位の地
熱資源を活かし『温泉地との共存』のモデルケースとしての期待も高まる。
※  岐阜県中部山岳国立公園



地熱発電は、地下にあるマグマの熱エネルギーを利用して発電する。地上で
降った雨は、地下の高温マグマ層まで浸透すると、マグマの熱で蒸気になって
地下1000m〜3000m付近に溜まる。一般的にはこの層を「地熱貯留層」と呼ん
でおり、そこに抗井(こうせい)と呼ばれる井戸(生産井)を掘ることで、地熱流
体を地上に取り出す。この地熱流体でタービンを回して発電するのが、地熱発
電の一般的な仕組み。 地熱発電は、天候を問わず24時間発電することができ、
同じ「再生可能エネルギー」の太陽光発電や風力発電と比べ、設備容量に対す
る発電電力量が多く、
設備利用率が高い安定電源である。また、火力発電
に必要な石油や石炭などと違い、なくなることがない資源のため、ずっ
と使えることが特徴としてあげられる。

※ダブル・フラッシュ方式とは
地熱発電には、噴出した熱水で熱媒体を温めて蒸気を発生させる「バイ
ナリー発電」と、噴出した蒸気と熱水を分離して蒸気でタービンを回す
「フラッシュ発電方式」(上図 ダブル・フラッシュ発電方式の仕組み
参照)がある。中尾地熱発電所では、地下から噴出する「高圧蒸気」と
同時噴出する熱水を減圧沸騰させた「低圧蒸気」の2種類を蒸気タービ
ンに導いて発電する『ダブル・フラッシュ方式』が採用されており、仕
事を終えた温水の一部は、冬場の融雪に活用するなど、自然の「熱の力」
を無駄にしない工夫が凝らされている。昨年12月1日に商業運転が開始と
なった「中尾地熱発電所」だが、第一生産井の掘削が始まったのは、お
よそ10年前となる2013年11月。 第一生産井の掘削完了後、確認できた蒸
気量は、目標としていた熱量には遠く及ばない数値。 ここが地熱発電の
難しいところの一つ。 事前にどんなに調査を実施しても、実際に掘って
みないと分からないことが多い。 その後、第二生産井の掘削するために
地元合意を再び得て、深度1,500mに及ぶ掘削が開始されたが、蒸気はわ
ずか1週間で停止。 原因、「低透水性」と呼ばれる地下水を通しにく
い地層であった。 元々あった中尾温泉の井戸(深度400m)付近であれば、
発電可能な熱量が得られることが予め分かっていながら、なぜ第二生産
井を深度1,500mにしたのか? それは、中尾温泉に影響を与えてしまう
可能性があるため「あえて」差が付けられていたのです。 事業撤退の危
機が迫る中、思わぬ提案をしてくれたのが地元の中尾温泉の方であった。

地下400mの地層からくみ上げてもかまわない
中尾温泉に影響があるかもしれない深度からのくみ上げを提案。地元と
の共存・共栄のため、現地作業から地元の方々とのコミュニケーション
など、これまでの苦労が報われる。深度を変えることで工事は急速に進
み、開発に10年かけてきた中尾地熱発電所は、昨年12月、待望の商業運
転が開始。年間約4,000世帯分の電力の発電が計画されている。今後も、
温泉と発電が組み合わせることでうまれるメリットと、純国産エネルギ
ーを利用することで、日本のエネルギー自給率の向上に注目が集まる。


「共存共栄のスキーム」とは何か
地熱発電に使う熱量はあくまでも2000kW分。ただ発電分以上の熱量を得
られることもある。あるいは、検査などによるプラント停止もある。そ
んな時でも、井戸を止めたり絞ったりせずに、全ての熱を無償で中尾温
泉に「温泉」として供給しているのだ。一方、中尾温泉はもともと、8本
井戸を保有・管理しており、こうしたスキームによって中尾温泉の
「井
戸管理」の手間が省け、そのコストをその他の活動に----例えば、
廃熱を利用して「付加価値の高い動植物の養殖・栽培に----活用できる。



風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:1995年代

  



● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)
復興税を軍事費に転用するのは、戦後世代へのわたし達への"しっぺ返
し"なのか、それにしても酷い冗談だ。
Diverting the reconstruction tax to military expenses is
"tit for tat"  on us to the postwar generation,
but it's a terrible joke.

事故は起きないとの約束を反故し、原発事故、何の謝罪もなく、年金か
ら復興税の罰金をを取り立て、公約違反の消費税増税(罰金)、敵基地
反撃能力の具体的な模擬実験の報告もなく軍事費の罰金。しかもパンデ
ミック対策費を削減する。そんな無茶クチャな付和雷同の政府に言葉を
失い、とほほのホッ^^;。
 

コメント
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ネオビジネスマン考①

2023年05月17日 | 時事書評



彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。 

 
   第1部
   第2章

  この実際の、、、世界で、ぼくときみは少し離れた場所に住んでいる。
 ずいぶん遠くというほどではないけれど、思い立ってすぐに会いに
 行けるほど近くもない。電車を二度乗り換え、一時間半ばかりかけ
 れば、きみの住む街に着くことができる。そしてぼくらの住んでい
 る街は、どちらも高い壁に囲まれているわけではない。だからもち
 ろん行き来は自由だ。ぼくは海に近い静かな郊外住宅地に住んでお
 り、きみはずっと大きくて賑やかな都市の中心部に住んでいる。そ
 の夏、ぼくは高校三年生、きみは二年生だ。ぼくは地元の公立高校
 に通い、きみはきみの街にある私立の女子校に通っている。いつか
 の事情があって、ぼくらが実際に顔を合わせるのは月に一度かニ度、
 そんなところだ。ほぼかわりばんこに、ぼくがきみの住んでいる街
 を訪ね、きみがぼくの住んでいる街にやって来る。

                          
 ぼくがきみの街を訪ねるとき、ぼくらはきみの家の近くにある小さ
 な公園か、それとも公共の植物園に行く。植物園に入るには入場料
 が必要だが、温室の隣にはいつもあまり混んでいないカフェがあっ
 て、そこがぼくらのお気に入りの場所になる。そこでぼくらはコー
 ーヒーと林檎のタルトを注文し(ちょっとした贅沢だ)、二人だけ
 のひっそりとした会話に耽ることができる。
  欲求に駆られないわけがない。でもそういうのはもっと先になっ
 てからでいいだろうと、ぼくは本能的に感じる。今のところぼくが
 必要としているのは、月に一度かニ度きみと顔を合わせ、ニ人で長
 い散歩をし、いろんなものごとについて率直に話し合うことだ。お
 互いの情報を親密に交換し、もっと深く知り合うことだ。そしてど
 こかの木陰で抱き合い、唇を重ねる----そのような素敵な時間にぼ
 くは、それ以外の要素を慌ただしく持ち込みたくなかった。そんな
 ことをしたら、そこにある大事な何かが損なわれてしまい、もとあ
 った状態にはもう戻れなくなるかもしれない。
  身体的なものごとはもっと先のこととしてとっておこう。ぼくは
 そう思う。あるいは直感がぼくにそう告げる。
  でも、そこで二人で額を寄せ合って、いったいどんな話をしてい
 たのだろう? 今となっては思い出せない。あまりにも多くを語り
 合ったため、ひとつひとつの話題を特定することができなくなって
 しまったのだろう。しかしきみが高い壁に囲まれた特別な街の話を
 語るようになってからは、それがぼくらの会話の主要な部分を占め
 るようになった。
  主にきみがその街の成り立ちを語り、ぼくがそれについて実際的
 な質問をし、きみが回答を与えるというかたちで、街の具体的な細
 部が決定され、記録されていった。その街はもともときみがこしら
 えたものだ。あるいはきみの内部に以前から存在していたものだ。
  でもそれを目に見えるもの、言葉で描写されるものとして起ち上
 げていくにあたっては、ぼくも少なからず力を貸したと思う。きみ
 が語り、ぼくがそれを書き留める。古代の哲学者や宗教家たちが、
 それぞれの忠実で綿密な記録係を、あるいは使徒と呼ばれる人々を
 背後に従えていたのと同じように。ぼくは有能な書記として、ある
 いは忠実な使徒として、それを記録するための小さな専用ノートま
 で作った。その夏、二人はそんな共同作業にすっかり夢中になって
 いた。
                         この項つづく

 

『目次』
プロローグ 衝撃の海外レポート
第1章 一億人国家シナリオの行方
第2章 高出生率国と低出生率国の違い
第3章 出生率向上のための「3本柱」
第4章 「地方創生」と「移民政策」
第5章 議論百出の人口戦略法案
第6章 波乱の「人口戦略国会」
エピローグ 「始まり」の終わりか、「終わり」の始まりか

【著者略歴】
山崎 史郎(やまさき しろう、1954年〈昭和29年〉12月17日 - )は、
日本の厚生・厚労官僚。リトアニア国駐箚日本国特命全権大使等を経
て、内閣官房参与(社会保障・人口問題担当)。 
---------------------------------------------------------------------------------------------
   第1章 一億人国家シナリオの行方

   未来への不安
  出生率の「勝ち組」と「負け組」

  
これに対し、1970年代以降、出生率低下に歯止めがかからず、
 1・2~1・4で低迷しているのが、日本やイタリアなどで、その
 「負け組」にいたドイツは、2011年には1・36と日本などと同
 じ水準だったにもかかわらず、2016年は1・60にまで急回復し、
 2019年も1・54となっている。最近のドイツの勤きは、私も大
 いに関心を持っている。 そして、近年、出生率が急速に低下して
 いるのが、東アジア諸国である。 図(l-10)で分かるように、
 韓国、シンガポール、香港、台湾は出生率の低下が著しく2019
 年の出生率は、軒並み日本を下回る水準にまで低下している。中で
 も韓国は、2018年についに1を割り込んでO・98となり、20
 19年はO・92、2020年にはO・84を記録し、予想より4年早
 く、2020年から人口減少が始まった。こうした東アジアの低出
 生率の要因として、家庭内で女性の状況や教育・雇用面での激しい
 競争、雇用形態の変化、東アジア経済の体質などをあげる人口学の
 専門家もいる。 

図 1-10
  中国についても、2020年の人口は14億1177万人、出生
 率は1・3との政府発表があったが、これは国連の推計を下回るも
 のであり、従来の見通しより5年早く、2022年には人口減少に
 転じるのではないかという見方もある。先般の海外レポートによる
 と、国連は中国の出生率が上昇すると見込んでいるが、人口の専門
 家は、2100年の出生率は1・4~1・5程度にとどより、中国
 の総人口は現在に比べ半減し、7億5400万人程度になるだろう
  と予測している。もっと厳しい見通しとしては、5億6000万人
  まで激減するという ものもある。  さらに中国は、過去の「1人
  っ子政策」の副産物として、男児と女児の比率が120対100と
  いう特異な状態となっており、人口維持のためには、女性の出生率
  はより高くなければならない、というハンディを負っていると指摘
  されている----。

「国論分裂」の中で、政策は決まってきた
  壱岐は、話を続けた。 すべての国家と国民において、自らの国の
 人口をどう考え、人口問題にどのような基本政 策で臨むかは最重要
 テーマである。  
  それゆえに、基本政策の決定に際しては、しばしば激しい議論が
 起き、国論が分裂することも ある。政策如何によって、国の消長の
 みならず、民族の行方や地域の存続、さらには個人生活の あり方に
 まで大きな影響が及ぶのだから当然である。  
  いくつかの国の事例を紹介しよう。  先に述べたように、フラン
 スは100年以上にわたり、国をあげて出生率向上に取り組んでき
 たが、同じく高出生率国であるスウェーデンも、少子化対策につい
 て古い歴史を有している。  
  スウェーデンは、1930年代に当時の欧州の中で最低水準の出
  生率となり、その時、大きな 政策論争が起きた。「このままでは、
  スウェーデン人が消滅する」という危機感が高まり、保守派は、独
  身者や無子夫婦への課税、反産児制限などを提起した。これに対し、
  福祉の向上の観点 から、人口減少は歓迎すべきことだと主張し、米
  国のマーガレット・サンガーが提唱していた産 児制限運動を推し進
  めようとした.「新マルサス主義者」と呼ばれる人々が鋭く対立した。
   この対立の中で、後にノーベル賞を受賞する経済学者のグンナー・
  ミュルダールは、妻アルヴァとともに、『人口問題の危機』(19
 34年)を著し、保守派と新マルサス主義者の双方を批判した。保
 守派に対しては、出生率低下を個人のモラルの問題とする考え方は
 誤りであり、民主主義 理念に基づき産児制限は認めるべきだとした。
  同時に、新マルサス主義者に対しては、人口減少は決して歓迎され
  るべき現象ではないとして、出産を奨励する必要性を訴えたのであ
  る。
    ミュルダールは、経済学の視点から人口減少が続けば、いずれ消
   費や投資加減返し、最終的に 失業と貧困が増加することを危惧し
   ていた。出生率の低下に伴い高齢化率が高まることによっ て、労
   働意欲・労働生産性が低下し、広範な社会心理的停滞が引き起こさ
   れるのではないか、と 懸念したのである。  
     そして、人口減少による困難な事態が顕在化する前に、それを避
   ける「予防的社会政策」を講じることが重要であり、その方策とし
   て、すべての子どもの出産育児を国が支援する「普遍的 福祉政策」
   を推進すべきであると主張した。  
     ミュルダール夫妻は、1935年に政府が設置した人口問題委員
   会において主要な役割を果たし、今日に至るスウェーデンの普遍主
   義的な家族政策の形成に大きく貢献した。 

   2人の女性大臣が主導した、ドイツの「政策の大転換」
  ----もっと激しい国論分裂の中で、「政策の大転換」を行ってい
 るのがドイツである。 ドイツは、人口問題について大きな「負の
 遺産」がある。ナチス政権下において遂行された国家主義的・人種
 差別的な人口政策の存在である。これに対する深い嫌悪と反省から、
 出生率や出産奨励策をめぐる論議は、旧西ドイツでは長らくタブー
 とされてきた。国家は個人的領域に介入すべきではないとするのが
  多くの政治・行政関係者や有識者、さらに一般国民に浸透した考え
  方だった。  
    そして、旧悪ドイツのもう1つの特徴は、男性は働き、女性は家
  で育児をするという「伝統的家族モデル」を政策の基本に据えてき
  たことである。このため、旧悪ドイツの保育サービスは質量ともに
  明らかに乏しい状況にあった。  
    こうした状況下で、出生率は1975年の時点で1・45まで低下
  し、それ以降も低迷し続けた。しかし、そのような深刻な状況にな
  っても、出産奨励策を支持する者は多くなかった。行き詰まりの状
  況にあったドイツにおいて、2000年代に連邦政府の家族政策担
  当大臣を相次いで務めた2人の女性が、それまでの政策の方向を大
  きく転換させた。その1人が、2002年にシュレーダー政権の担
  当大臣に就任したレナーテ・シュミットである。彼女は、長年のタ
  ブーを打ち破って、人口問題を意識した家族政策の重要性を訴え、
  家族政策において、「家族により多くの子どもを、社会により多く
  の家族をもたらす」という政策目標を掲げた。そして、従来の経済
  的支援中心から、仕事と育児の両立支援へと、家族政策を転換する
  方針を打ち出した。  
    これを引き継いだのが、2005年に成立したメルケル政権で担
  当大臣となったウルズラ・フォン・デア・ライエン(現・欧州委員
  長)である。彼女は、シュミット前大臣と同様に、出生率向上のカ
  ギは、男女が子どもを持ちながら職業生活を送れるようにすること
  であるとし、仕事と育児の両立支援を家族政策の中心に置き制度改
  革に邁進した。改革の中心となったのが、2007年の育児休業制
  度の「両親手当」導入である。これは、スウェーデンを参考に、従
  来の制度を抜本的に改め、給付の大幅引き上げや父親の育児休業促
  進などを盛り込んだものであった。ライエン大臣は、この両親手当
  は、「我々の社会が、子どもをも つかどうかの各人の選択に無関心
  ではない、という強いメッセージを示す制度である」と述べて いる。  
  そして、もう1つの柱となったのが、保育制度改革である。ドイツ
  は保育制度でも大きな困難に直面し、特に旧西ドイツ地域における
  保育所不足は深刻だった。政府は期限を定めて保育所整備に取り組
  んだが、実態はほとんど改善せず、2002年時点で3歳未満児の
  保育所供給率は、旧西ドイツ地域ではわずか2・7%にとどまって
  いた。このため、ライエン大臣は、連邦と若州 の間で協定を結び、
  保育所整備に精力的に取り組んだ。こうした制度改革は、国をあげ
  ての大論争を巻き起こす。そもそも国家が個人生活に介入すること
  に対する反対・慎重論に加えて、与党内の保守派は伝統的な家族観
  に反するとして、強く反発した。宗教界内部や有識者の意見も真っ
  二つに割れた。このような激しい対立の中でも、ライ エン大臣はひ
  るまず制度改革を推進し、両立支援策の道筋を定めていった。  
    この「政策の大転換」が、ドイツの今後の出生率にどのような影
  響をもたらすかは、まだはっ きりしていない。が、いずれにせよ、
  厳しい意見対立を乗り越えながら、長年にわたる低出生率 の状態か
  ら、ドイツは何とか脱しようと努力している。このことは、同じよ
  うな状況にある日本 にとって、大いに参考になると思う。  
    ちなみに、いまや出生率が日本より低くなっている韓国でも、1
  990年代後半に大きな政策決定が行われた。それまで30年以上の
  長きにわたり強力に進められ、人口減少の最大の要因とされた「人
  口抑制政策」を転換したのである。2005年には、政府全体で少
  子化と高齢化問題に取り組む体制が作られ、現在、5年ごとに戦略
  的目標を設定した「5か年基本計画」に基づき、出生率向上に向け
  て総合的な政策が展開されている。韓国も国をあげて取り組んでい
  る。
世界の歴史は、人口問題で勤く
 ----
世界の歴史を見ても、人口は、各国の命運に重大な影響を与え
 てきたと言える。自国のライバルと見なす国の人口動向は、国家間
 の緊張関係を高め、時には戦争を引き起こす要因にもなった。
 たとえば、1914年の第T次世界大戦は、ドイツの著しい経済成
 長と人口増加に対する英国やフランスによる恐怖心と、逆にドイツ
 が当時人口が急増していたロシアに抱いた恐怖心によって、性急に
 引き起こされたという分析がある。
  また、1つの国の国内に複数の民族集団が存在するようなケース
 では、民族集団の出生率の違いが国内紛争の原因となる場合も多い。
  各国の国力(政治力・経済力・軍事力)も、人口によって規定さ
 れる面が強い。日本についても、戦後の急成長は、実は1945年
  時点で日本は世界最大級の人口を有しており、当時、急速な人口増
  加という重大な強みがあったからだとする見解もある。
   その日本が、人口減少時代に突入した。今後は人口が急速に減少
  し、あわせて高齢化が進み、「大円オーナス」の時代が続く。そう
  なると、国際社会における日本の存在感は低下し続けるだろう、と
 いつのが洵外の中心的な目万方である。今回のレポートの予測も、
 海外の有識者の問では、特段の驚きをもって受けとめられていない。
 現在も各国の人口は常に変動しており、それが国際関係に構造的変
 化をもたらしている。特に最近のコロナ禍によって、世界各国の出
 生数が急速に減少している状況が見られる。このため、各国の少子
 化や人口減少の動きはさらに進み、それが将来の各国の経済成長や
 国際関係のあり方などに大きな影響を及ぼすのではないかと考えら
 れている。今後も、世界の人口動向には目が離せないのである。

  人口規模が経済力を決める
  その後、意見交換に移った。経営者の古賀が、「一国の『経済力
 』とは、何なのですかね」と問うと、国際政治専門の鈴木が答えた。
 「国際政治の視点から言えば、やはりGDPの大きさ、経済規模で
 すね。その経済規模は、人口に密接に関連しています。イギリスの
 人口学者のポール・モまフンドは、著書で、次のように述べていま
 す
」として、次の一文を紹介した。

  ----「オランダの繁栄は18世紀も汐世紀も続いたが、人口はそ
 れほど多くなかったため、17世紀に比べると、世界の舞台での存
 在感を失った。汐世紀末ヽブリテンはアメリカ合衆国に人口で披か
 れ、アメリカに対する優位性を夫った。ルクセンブルクは現在のヨ
 ーロッパで最も繁栄している国の1つだが、重要性はとても低い。
  国民は豊かだが、数が少ないため経済的にはずっと小さな存在だ。  
    対照的に、中国はまもなく世界最大の経済大国になると思われる
  (見方によってはすでになっている)が、それは平均的な人々の生
  活レベルは貧しくても、膨大な数の力を持っているためだ。そのた
  めに中国は売り手としても買い手としても世界経済で大きな力を持
  つこととなった。またそれで軍事大国となるのに必要な資金も手に
  入れやすくなった」  

   「小国」として生きるとは  
   モーランドの見解を聞いた古賀は問いを垂ねる。
  「なるほど。それでは、先日の新聞が紹介していた海外シンクタン
  クのレポートのことなんてすが、 日本が『小国として生きるすべを
  学ぶ』っていうのぱ、一体どんなことなんですか」  
    すると、鈴木が次のような話を紹介した。

   ----「小国」というと、すぐ思い出すことがある。それは、2
  010年7月のASEAN地域フォ-ラムでの、中国の楊潔箇外
  相(当時)の発言だ。ASEANが南シナ海問題で米国に仲介し
  てもらうことを要望したのに腹を立てて、彼は、ASEANの外
  相たちに向かって、「我々の間には、基本的に大きな違いがある」
  と前置きしたあと、こう言い放った。  
  「中国は大国であり、あなた方は小国だ、それは厳然たる事実だ」
    ジャーナリストの船橋洋一氏は、このことに触れながら、古代
  ギリシャの歴史家、ツキジデスが紀元前5世紀のペロポネソス戦
  争を記した『歴史』の記述を紹介している。それによると、超大
  国アテナイが中立国メロスに朝貢を要求するにあたって送った特
  使が、メロスの民に向かって こう言ったという。
  「強者はしたいことをする。弱者はしなければならないことを強
  いられる」

   鈴木は、さらに言う。  
  「国際政治では小国には小国なりの外交があるとされてい圭すが、
  基本的には、国際関係の基本構造 は大国が----決め、小国はその
  中で生き残る方策を考えるということになりますね。ただし、私
  自身は、あの海外レポートの表現には、若干違和感を持っていま
  すが」
   メンバーは、国際政治の厳しいパワーゲームの現実を改めて認
  識した。  

  ドイツの出生率回復
  ここで経済学者の片岡が話題を変えた。  
 「ところで、ドイツの出生率が回復してきているのには、驚きまし
 た。ちょっと前まで、ドイツは、日本とイタリアと並んで『少子化
 三国同盟』の一員だったのに、1人抜け出した。研究者の間では、
 出生率がI・5をいったん切ると、I・5以上に回復するような国
 はほとんどないと言われていたぐらいだから、驚きます。移民が増
 えた影響が大きいのではないですか」
  確かに移民の影響は大きい。最近の出生率の急上昇は、シリアな
 ど出生率が高い国からの移民 が増えたのが主な要因となっているこ
 とは間違いない。しかし、ドイツ市民権を持つ母親の出生率も、2
 003年に、1・28だったのが2019年には1・43となっており、
 急速ではないながらも、じわじわと出生率が上昇する実績が表れて
 いるという見方がある----  壱岐がこう述べると、それに重ねるよ
 うに社会保障研究者の小川が、
  「私も、ドイツ政府による2000年代後半の『家族政策の転換
 (パラダィム転換)』が、出生率の回復をもたらしていると問いて
 います」とうなずいた。  
  すると、前回も厳しい発言をしていた経済学者の片岡が気色ばむ。
  「一方、キツイことを言うようですが、日本の場合は、政府はい
 ろいろと対策を講じてきていると言うけれど、出生率はあまり向上
 していないし、最近ではまた低下してきています。一体、どうなっ
 て るんですかね」  
  壱岐が、「人口減少問題は、対策の効果が出るのに時開かかかり
 圭すから」と、以前説明した話を持ち出しても、収まらない様子で、
  「時間が経てば効果が出るのならいいけれど、目本の少子化対策
 がトウー・リトル、トウー・レイトで、いつまで経っても何も変わ
 らなかったら、取り返しのつかない事態になってしまいますよ」と
 苛立ちを隠そうとしなかった。  

  日本と中国の人ロバランス  
  会議も終盤になって、鈴木が、「国際政治の視点からは、やはり
 人口大国中国の動きが最も気にかかりますね。日本と中国の人口バ
 ランスが今以上に崩れてしまうような事態は、何としても避けたい
 」と強い危機感を示した。これに噛みついたのが片岡だった。  
 「いくら人口減少が進むといっても、2100年ごろでも日本は6
 000万人程度の人口規模はある のだから、国際関係でそんなに
 神経質になる必要はないんじやないですか。欧州のフランスや英国、
 ドイツと遜色ない規模の人口なんですから」  
 「失礼ですが、それは『地政学』というものをよく理解しておられ
 ない。同程度の国力の国が並存し ている欧州と、世界最大級の人口
 大国の中国がすぐ隣に位置している日本とでは、状況はまったく異
 なります。日本にとって、中国との国力のづフンスをどう確保する
 かは、永遠に重大な問題であり続 けます」珍しく語気を強くした鈴
 木に、  
  「地政学ねえ……」  
  片岡が不貞腐れたような表情を見せた。  
  それが気になったのか、鈴木が、  
  「まあ、専門家の予測では、中国も深刻な人目減少が進むという
 ことなので、そんなにづフンスが崩 れることはないと思いますが」
 とフオローしたのだが、片岡は逆に、  
 「甘いんじやないかな。先はどの予測は何も対策を講じなかったら
 の語でしょ。最近は中国も真剣に人口減少対策に取り組んでいるし、
 新型コロナウイルス対策じやないけど、中国はやると決めたら、勣
 きは遠く、徹底しているから、人口減少を止めるのだって可能です
 よ」と混ぜっ返す。
 「中国政府が、今後どう勣くのかよく分かりませんが、民間企業の
 立場で言えば、日本と韓国、それにいずれ中国が加わって、アジア
 系人材の奪い合いが熾烈を極めてくることは確かですな」古賀が民
 間経営者らしい発言をして、その場を収めた。
 雰囲気が落ち着いたところで、百瀬がこう締めくくった。
 「皆さんが言われるように、海外が日本の将来に対して見る目には、
 厳しいものがあります。彼らが抱く懸念は『人口減少』と『国家債
 務』の2つであり、特に、人口減少とそれに伴う超高齢化が日本の
 国力を衰退させていくのではないか、という見方が強いのは確かで
 す。そして、多くの日本国民も、人口減少に大きな不安を抱いてい
 ます。
 したがって、日本政府は、人口減少問題に対して、これから数十年
 先さらには100年先の将来を見通して、しっかりとした対策を打
 たなければなりません。『一倍入国家』という国家の目標をどうす
 るのかをも含めて、総裁選後の新政権は、この日本を覆う暗雲をど
 う打ち払うかが、最大のテーマになるのじやないかと思います」
  百瀬が主宰した朝食勉強会は、こうして4回で終わった。
  最後に百瀬は、参加してくれた壱岐、小川、片岡、鈴木そして古
 賀に丁寧に礼を言いながら、「皆さんからいただいたご指摘は、必
 ず政策に反映させますから」と述べ、「また近いうちに、お会いし
 ましょう」と結んだ。実際のところ、この朝食勉強会は、百瀬や野
 口らにとって非常に有意義な機会となった。

✔仮想会議劇で進行しているため、要点の拾い上げで通そうと考えてい
たが、中途半端で思案している。さて、どうする。
                         この項つづく
ネオビジネスマン考①



知識ゼロからの空き家対策
著者名:杉谷範子【著】/名和泰典【著】
幻冬舎(2021/09発売)
“今”から始める空き家対策
「空き家をどうしようか」――気にはなっていても、何をすればいい
かわからない。問題化してしまう「空き家」対策のすべきことをお教
えします!
【要点】
●多様化する空き家の活用法
●親が元気なうちから対策を
●空き家対策の流れ ほか
【目次】
第1章 ●空き家問題と対策のポイントを理解する ●負不動産になる空
き家と富動産になる空き家 ほか
第2章 ●空き家の履歴書を作成し、実態を把握する ●空き家の履歴書
の作り方 ほか
第3章 ●空き家の片づけ ●空き家の管理 ●外部に相談する ●相続登
記 ほか
第4章 相続争いを防ぎ、“未来の空き家”に備える ●未来の空き家の
原因 ●家族信託とは ●遺言とは ほか
第5章 これだけは知っておきたい トラブルを防ぐ不動産取引の基礎知
識 ●不動産取引の基本 不動産会社の選び方 査定 媒介契約 など ●売
るとき 全体の流れ インスペクション 測量 など ●貸すとき 全体の流
れ 賃貸条件 賃貸借契約 など

第1章-負動産と富動産
A:2年前に、ひとり暮らしだった母が亡くなって実家を受け継いだ
のですが、手つかずのままで。何とかしなくちやとは思っているので
すが……。
Q: 空き家を相続しても、具体的に何をしたらいいかわからない。
そういう人はとても多いんです。でも、そのままほうっておくと、空
き家は「負動産」になっていくんですよ。

A:「負動産」ってどういうことですか?
Q;空き家は持っているだけ で、固定資産税などのコストがかかりま
す。また、建物が劣化すると、近隣住民に迷惑をかけたり、犯罪を招
いたりするリスクもあります。自治体から「特定空家等」に指定され
ると、住宅用地の特例がなくなり、固定資産税が最大6倍になること
も。さらに、台風などで建物が壊れて通行人にけがをさせたり、火災
が起こって隣地に延焼してしまったりしたら、空き家の持ち主が賠償
金を支払わなくてはなりません。

A:そうなんですか! それは大きなリスクですね。
Q:人が住んでいない建物は、想像以上に劣化が早いものです。適切
な管理で建物の劣化速度を抑えれば、その後の活用にも つなげやすく
なります。うまく活用すれば、利益を生み出す「富動産」にもなるん
です。
✔連休の疲れがとれず、売薬を服用して、残件処理の読書してタイピ
ング(この疲労感も相当なものっだが)。山積する問題に向かい合い
っているなかで「ネオビジネスマン」という言葉が脳に浮かんだ。臨
死の期間は「ビジネスする理由があるんだ?!」と。これは新鮮な思
いつきだと”宣言"する。
                         この項つづく

     


 

【再エネ革命渦論 123: アフターコロナ時代 322】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング

特異点真っ直中 ⑤

大画面化とアプリ拡充により実用性が向上した
27型
空間再現ディスプレイ  ソニー発



ソニーは,実在感のある立体映像(3DCG)を裸眼で見られる,27型の
空間再現ディスプレー「ELF-SR2」を2023年6月12日より発売する。こ
の製品は大画面化により,立体映像を見る際の没入感が高まるだけな
く,3DCGデータの細部の確認が容易になり,コンテンツ制作の品質向
上に貢献する。また,原寸大表示が可能になる分野が広がりインダス
トリアルデザインでは実物と比較しながらデザインレビューができ,
医療教育分野では人体構造を原寸大で確認できるなど実用性を高めた。
また,超解像エンジン搭載により,大画面においても高精細な立体映
像再現が可能。4K映像を高精細に表示するだけでなく,2K映像も4K映
像にアップコンバートして再生でき、水面や細い木の枝といった自然
物を含む様々な被写体に発生する色モアレ(偽色)補正や裸眼立体視
でおきるクロストークを低減する処理を追加しており,細部や線をよ
りはっきりと正確に表示する。 さらに,Adobe RGBの色域を約100%カ
バーし,高い色再現を実現。3DCGコンテンツのクリエイターが使用す
る2D用モニターと併用しても違和感のない色再現が可能となる。 加え
て,視線認識精度および追従性能が向上し,薄暗い環境でも画面を見
る人の視線を正確にとらえ続ける。大画面化にあわせたレンズ設計に
より広い視野角を実現し,画面の幅で顔を振って見る角度を変えても
自然で快適な立体映像体験を提供するとしている。 この製品はスタン
ド部分が着脱でき,展示用什器などへのはめ込みが可能。VESAマウン
ト規格にも対応しており,一般的なモニターアームに取り付けること
もできる。従来PC側で行なっていた視線認識処理をディスプレー側で
行なうため,PCのCPUへの負荷を低減しており,ゲーミングノートPCな
どと接続して本機を駆動させることも可能。


【展望】
空間再現ディスプレー用のアプリを簡単に検索できるサイト「空間再現
ディスプレー アプリセレクト」を開設。このサイトでは,様々な業務
用途の対応アプリと,その活用方法や実用事例を紹介し,空間再現デ
ィスプレーを導入しやすい環境を提供するとし,今後,多様な業界のク
リエイターによる対応アプリや実用事例を順次追加し,拡充していく。

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る:1994
年代 

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)一触即発。A Tougch-and-go
Russian 9K720 ISKANDER-M Tactical Missile: Load Launch Impact 
                         

動画:YouTube
プーチンが「戦術核」使用の可能性 専門家は「広島サミットの最中
に」窮地のロシアはキーウを消滅させる!(SmartFLASH) - Yahoo!ニ
ュース 2023.5.17 6:02
----------------------------------------------------------------
9K720「イスカンデル」(ロシア語:9К720 "Искандер"ヂェー
ヴャチ・カー・セミソート・ドヴァーッツァチ・イスカンデール)はロ
シア製の短距離弾道ミサイル(SRBM)。固体燃料推進で、車両に搭載され
る移動式の戦域弾道ミサイル複合(TBM、Оперативно-так
тический ракетный комплекс、ОТРК)で
ある。北大西洋条約機構(NATO)の用いたNATOコードネームでは、“SS-
26 Stone(「石」の意)”と呼ばれる。「イスカンデル」とは古代マケ
ドニアの英雄アレクサンドロス大王の異称である。
「イスカンデル」は戦域レベルの紛争用に設計された戦術ミサイルシス
テムである[3]。ポイントやエリアの標的、例えば敵火力兵器、防空・
対ミサイル防衛兵器、司令所や通信ノード、密集地帯の軍隊などに合わ
せて通常弾頭を使い分けることで、活動中の軍部隊・標的の両方を破壊
することにより敵軍の戦闘遂行能力を弱体化させる。このシステムは敵
の活動妨害環境の中でも高い確率で任務を遂行することができ、ミサイ
ルの発射準備中や飛行中でもほとんど故障しない。ミサイル飛行経路の
計算と入力は、発射装置が自動で行う。システム搭載車両は移動可能で、
耐用年数の延長や操作の容易さも相まって、高いレベルの戦術的作戦能
力および戦略的機動性を有している。 「イスカンデル」にはクラスター
爆弾弾頭、燃料気化爆弾弾頭、威力増大型弾頭、バンカーバスター用の
地中貫通弾頭、対レーダー作戦用の電磁パルス弾頭など、いくつかの異
なるタイプの通常弾頭が用意されている。製造企業であるロステック会
長セルゲイ・チェメゾフは、国内仕様には核弾頭搭載能力が備わること
を明言している。  via Wikipedia


✔ 
ほんまかいな! そこまで反動するの?(驚く!ひこにゃん)

 

コメント
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特異点真っ直中 ④

2023年05月15日 | 量子電池


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。

 岩魚蕎麦
 鮎蕎麦(甘露煮)

【蕎麦愛シリーズ:鮎・鱒・岩魚】
今日もランチは、和蕎麦(具材は豚ロース肉に卵、鰹だしにゆずぽんに
すりごまと七味、野菜はスライスニンジンと刻みネギ。ご機嫌だ。そこ
で、淡水魚(鱒・岩魚・鮎・本諸子)プラス海水魚(鯖・鰯・飛び魚・
鱵・鱚)の甘露煮、焼きものを試食する(調理法は電子レンジ即席レシ
ピのみ)。写真掲載。


【特集光合成炭化水素化合物製造技術 Ⅰ】
❏ 特開2023-65331 藻類培養システム及び藻類培養方法 公益財団法人
   農村更生協会
【概要】藻類や微細藻類は高い増殖特性や細胞から取り出すことの出来
る有用物を利用することによって、食糧やエネルギー、又はバイオマス
燃料等の各種の分野において多様な用途が開発されており、藻類を培養
するための種々の技術がある。なかでも、大気中にある二酸化炭素を光
合成によって吸収することで燃料や油を作る。藻類によって作り出され
たバイオ燃料は、燃焼させても二酸化炭素が増えないためクリーンなエ
ネルギーとして期待されている。 参考特許1の培養槽(微細藻類を培
養する方法として、円形ポンド、レースウェイポンド、フラットパネル
型培養槽、チューブ型培養槽など様々な方法が考案・実証されてきた)
は、レースウェイポ型培養槽を用いて、攪拌手段で水流を起こしながら
二酸化炭素供給源から培養液内に二酸化炭素を直接溶解させているが、
底部に存在する光合成微生物に十分な量の光を届けるために水深が浅く
設計されている。浅い水深であっても水中に十分な量の二酸化炭素を溶
解させるために攪拌手段にカバーが設けられ、当該カバー内に二酸化炭
素供給源から二酸化炭素が供給する特徴をもつ。
参考特許2の培養システムは、二酸化炭素を含む火力発電所から排出さ
れる燃焼ガスから湿式又は乾式の有害物質除去装置を用いてガス内の有
害物質を除去し、培養槽に供給するもので、ユーグレナ等の藻類を大量
に培養するためには非常に多くの二酸化炭素が必要となるが、火力発電
所の排出ガスを藻類の培養に利用することによって、排気ガスの有効利
用を図るとともに藻類を効率的に培養することができる。
【参考特許】
1.特開2012-23979号
2.特開2015-198649号
ただし、特許文献1に記載のようにカバーに覆われた環境下で二酸化炭
素を曝気によって水中に供給する場合は、カバーの隙間等から外部に漏
れ出てしまうため効率的に二酸化炭素を供給することが難しかった。ま
た、特許文献2に記載の藻類の培養システムでは、排気ガスから鉛や硫
黄化合物等の有害物質を除去する工程が必要となるため、二酸化炭素の
供給プロセスが煩雑になるなど、藻類の培養に関する技術は発達途上で
あり、培養の工程における効率化が課題となっている。特に、藻類の種
類に応じて各種気象条件や海水条件が大きく異なるため安定的に藻類を
培養することが難しい。また、藻類に供給する栄養剤についても十分な
研究がなされておらず、更なる効率的な培養方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
まず、①培養液を攪拌する攪拌部が設けられた藻類を培養するため培養
槽と、培養槽にフルボ酸を含む腐植液を投入する腐植液投入部と、閉鎖
された溶解槽にガスを投入して培養液を供給することにより前記培養液
に前記ガスを溶解させる溶解部と、溶解部によって生成された二酸化炭
素を含む前記培養液を前記培養槽に供給する供給部とを有する特徴をも
たせ上、②腐植液投入部の前記腐植液の培養槽への投入量を制御する制
御部と、培養槽の環境データを検出するセンサ部と前記培養槽の温度を
調節するための温度調節部と、をさらに有し、制御部は、前記センサ部
から検出された環境データに基づいて、温度調節部と、溶解部に溶解さ
せるガスの量を制御する特徴を有す。
③第1の発明に記載された藻類培養システムであって、腐植液にガスを
溶解させる腐植液溶解部をさらに有し、腐植液溶解部は、腐植液投入部
に接続され閉鎖された腐植液溶解槽に、ガスを投入して腐植液を供給す
ることにより、腐植液にガスを溶解させることを特徴とし、
④さらに、培養液を攪拌する攪拌部が設けられた藻類を培養槽で培養す
るステップと、培養槽にフルボ酸を含む腐植液を投入するステップと、
閉鎖された溶解槽にガスを投入して培養液を供給することにより培養液
にガスを溶解させるステップと、溶解槽で生成された二酸化炭素を含む
培養液を前記培養槽に供給するステップと、を有することを特徴とする
藻類培養方法を提供する。

【図1】第1の実施の形態の藻類培養システムのブロック図
【図2】第1の実施の形態の藻類培養システムのフロー図

【符号の説明】
1 藻類培養システム 2 培養部 3 腐植液生成部 4 溶解部 5 制御部
21 培養槽 22 攪拌部 23 照射部 24 センサ部 25 ポンプ 2
6 温度制御部 27 調整部 31 製造タンク 32 保管部 41 溶解槽
50 二酸化炭素供給源


【図3】本発明の第2の実施の形態の藻類培養システムの培養槽を示す図
【図4】本発明の第3の実施の形態の藻類培養システムのブロック図
【図5】本発明の第3の実施の形態の藻類培養システムのフロー図
【効果】
①の発明で、腐植液投入部がフルボ酸を含む腐植液を培養槽に投入する
ため、培養槽内で培養される藻類の繁殖を促し効率的な培養が可能とな
る。また、閉鎖された溶解槽にガスを投入して培養液にガスを溶解させ
ているため、培養液に高濃度でガスを溶解させることができる。さらに、
閉鎖された溶解槽においてガスを溶解させるため、ガスが外に漏れるこ
となく効率的に培養液に溶解させることができる。また、溶解部によっ
て生成されたガスを含む培養液を培養槽に供給するため、培養槽を所望
の環境とすることができ、効率的な藻類の培養が可能となる。
②では、制御部が腐植液の投入量を制御するため、藻類を好適な環境下
で培養することができる。また、制御部がセンサ部からの環境データに
基づいて温度調節部及びガスの量を制御するため、藻類を好適な環境下
で培養できる。
③では、閉鎖された腐植液溶解槽においてガスを溶解させるため、ガス
が外に漏れることなく効率的に腐植液に溶解させることができる。また
、腐植液溶解部によって生成されたガスにより高濃度化されたフルボ酸
等を含む腐植液を培養槽に供給するため、効率的な藻類の培養が可能と
なる。
④腐植液を投入するステップにおいてフルボ酸を含む腐植液を培養槽に
投入するため、培養槽内で培養される藻類の繁殖を促し効率的な培養が
可能となる。また、閉鎖された溶解槽にガスを投入して培養液にガスを
溶解させるステップを有するため、培養液に高濃度でガスを溶解させる
ことができる。さらに、閉鎖された溶解槽においてガスを溶解させるた
め、ガスが外に漏れることなく効率的にガスを培養液に溶解させること
ができる。また、溶解するステップによって生成されたガスを含む培養
液を培養槽に供給するため、培養槽を所望の環境とすることができ、効
率的な藻類の培養が可能となる。
【産業上の利用可能性】
本発明の藻類培養システム及び藻類培養方法は、細胞内に炭化水素や多
糖類などの有機物を貯蔵する藻類を培養によって増殖させるために使用
することができる。藻類培養システムによって培養された藻類は、健康
食品、医薬品、飼料、化成品、又は燃料等の用途で利用できる。
✔  国土面積が小さい地方ではコンパクトか要請される。垂直反培養設
備型としての展開設計も必要。

❏ 特開2022-111456 トリプタンの製造装置および製造方法 本田技研工
業株式会社
従来、トリプタン(2,2,3-トリメチルブタン)の各種の製造方法
が知られている、例えば、特許文献 特表2005-501894号では、ナフサに
含まれる炭素数が5または6の環式炭化水素を、触媒反応により水素存
在下で選択的に開環し、異性化することでトリプタンを製造。 工場排ガ
スなどから回収された二酸化炭素を利用してメタノールを合成し(再生
可能メタノール)、ガソリンなどの燃料の製造に利用することが期待さ
れている。しかしながら、上記特許文献1の製造方法では、原料として
ナフサを用いるため、温暖化対策に貢献することが難しい。そこで、本
発明の一態様であるトリプタンの製造装置は、空気中の二酸化炭素を回
収する二酸化炭素回収部と、再生可能電力により水を電気分解して水素
を生成する水素生成部と、二酸化炭素回収部により回収された二酸化炭
素と、水素生成部により生成された水素とから一酸化炭素を生成する一
酸化炭素生成部と、一酸化炭素生成部により生成された一酸化炭素と、
水素生成部により生成された水素とからメタノールを生成するメタノー
ル生成部と、メタノール生成部により生成されたメタノールと、二酸化
炭素回収部により回収された二酸化炭素または一酸化炭素生成部により
生成された一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成する酢酸生成部と、酢
酸生成部により生成された酢酸からアセトンと二酸化炭素とを生成する
アセトン生成部と、アセトン生成部により生成されたアセトンからピナ
コロンを生成するピナコロン生成部と、メタノール生成部により生成さ
れたメタノールからグリニャール試薬を生成するグリニャール試薬生成
部と、ピナコロン生成部により生成されたピナコロンと、グリニャール
試薬生成部により生成されたグリニャール試薬とを反応させて2,3,
3-トリメチル-2-ブタノールを生成するトリメチルブタノール生成
部と、トリメチルブタノール生成部により生成された2,3,3-トリメ
チル-2-ブタノールから2,2,3-トリメチルブタンを生成するト
リプタン生成部と、を備える製造方法であれば、地球温暖化対策に貢献
することができる。
【図1A】本発明の実施形態に係るトリプタンの製造装置の構成の一例
を概略的に示すブロック図

【図1B】本発明の実施形態に係るトリプタンの製造装置の構成の別の
例を概略的に示すブロック図

注)図1Aの上部フローのみ変化、下部は同じである。

図1Aは、本発明の実施形態に係るトリプタンの製造装置(以下、装置
)1Aの構成の一例を概略的に示すブロック図である。図1Aに示すよ
うに、装置1Aは、発電装置2と、水電解装置3と、DAC装置4と、
逆シフト反応器5と、メタノール製造器6と、酢酸製造器7Aと、アセ
トン製造器8と、二量化反応器9と、ピナコール転移反応器10と、グ
リニャール反応器13と、水素置換反応器14と、塩素置換反応器11
と、グリニャール試薬製造器12と、ガス精製器15とを有する。 発電
装置2は、例えば、半導体素子により太陽光エネルギーを電気エネルギ
ーに変換する太陽光発電装置や、風車により風力エネルギーを電気エネ
ルギーに変換する風力発電装置として構成され、再生可能電力を生成す
る。水電解装置3は、発電装置2により生成された再生可能電力により
水を電気分解して水素(再生可能水素)を生成する。 DAC(Direct Air
Capture
)装置4は、工場排ガスなどの二酸化炭素を含有する原料ガスか
ら、いわゆるカーボンニュートラル炭素源として、例えば化学吸収法に
より二酸化炭素を分離、回収する。具体的には、原料ガスをアミンなど
の吸収液に選択的に吸収させ、吸収液を加熱して高純度の二酸化炭素を
分離、回収する。原料ガスや吸収液の輸送用のポンプ、吸収液の加熱用
のヒータには、発電装置2により生成された再生可能電力が使用される。
逆シフト反応器5は、DAC装置4により回収された二酸化炭素と、水
電解装置3により生成された水素とが供給され、銅やニッケルなどの触
媒存在下、600~700℃で、下式(i)の逆シフト反応(平衡反応)に
より一酸化炭素と水とを生成する。逆シフト反応器5で未反応の二酸化
炭素は、後の酢酸製造工程に供給される。逆シフト反応器5の加熱用のヒ
ータには、発電装置2により生成された再生可能電力が使用される。こ
の反応における一酸化炭素の収率は、700℃で約67%であるが、水
素過剰条件とすることで、さらに向上することが可能であり、例えば
100%とすることができる。 CO2+H2→CO+H2O ・・・(i)
メタノール製造器6は、逆シフト反応器5により生成された一酸化炭素
と、水電解装置3により生成された水素とが供給され、銅-亜鉛触媒の
存在下、240~260℃、50~100気圧で、下式(ii)の反応によ
りメタノールを生成する。メタノール製造器6の加熱用のヒータ、加圧
用のポンプには、発電装置2により生成された再生可能電力が使用され
る。この反応におけるメタノールの収率は、約95%である。
CO+2H2→CH3OH ・・・(ii)
酢酸製造器7Aは、メタノール製造器6により生成されたメタノールと、
水電解装置3により生成された水素と、DAC装置4により回収された
(逆シフト反応器5で未反応の)二酸化炭素とが供給され、ルテニウム
-ロジウム触媒存在下、200℃、100気圧で、下式(iii)の反応に
より酢酸を生成する。酢酸製造器7Aの加熱用のヒータ、加圧用のポン
プには、発電装置2により生成された再生可能電力が使用される。この
反応における酢酸の収率は、約77%である。
CH3OH+H2+CO2→CH3COOH+H2O ・・・(iii)
アセトン製造器8は、酢酸製造器7Aにより生成された酢酸が供給され
、クロム-亜鉛-マンガン触媒存在下、325℃、常圧で、下式(iv)の
反応によりアセトンと二酸化炭素と水とを生成する。アセトン製造器8
の加熱用のヒータには、発電装置2により生成された再生可能電力が使
用される。この反応におけるアセトンの収率は、約96%である。
2CH3COOH→CH3COCH3+CO2+H2O ・・・(iv)
二量化反応器9は、アセトン製造器8により生成されたアセトンが供給
され、マグネシウムなどの触媒存在下で、下式(v)のピナコールカップ
リング反応によりピナコールを生成する。
               - 中略 -
ガス精製器15は、アセトン製造器8により中間生成物として生成され
た二酸化炭素が供給され、供給された二酸化炭素ガスを精製する。ガス
精製器15により精製された二酸化炭素は、酢酸製造器7Aに供給され
る。すなわち、酢酸製造器7Aには、DAC装置4により回収され、逆
シフト反応器5で未反応の二酸化炭素に加え、ガス精製器15により精
製された二酸化炭素が供給される。このように、中間生成物として得ら
れた二酸化炭素を再循環させることで、装置1A全体として二酸化炭素
を排出することなく、DAC装置4により回収されたカーボンニュート
ラル炭素源を有効利用することができる。
図1Bは、図1Aの装置1Aの変形例である装置1Bの構成の一例を概
略的に示すブロック図である。装置1Bの酢酸製造器7Bは、メタノー
ル製造器6により生成されたメタノールと、逆シフト反応器5により生
成された一酸化炭素とが供給され、ロジウムまたはイリジウム触媒存在
下、200℃、30気圧で、下式(xi)の反応により酢酸を生成する。酢
酸製造器7Bの加熱用のヒータ、加圧用のポンプには、発電装置2によ
り生成された再生可能電力が使用される。
CH3OH+CO→CH3COOH ・・・(xi)
装置1Bのガス精製器15により精製された二酸化炭素は、逆シフト反
応器5に供給される。すなわち、逆シフト反応器5には、DAC装置4
により回収された二酸化炭素に加え、ガス精製器15により精製された
二酸化炭素が供給される。このように、中間生成物として得られた二酸
化炭素を再循環させることで、装置1B全体として二酸化炭素を排出す
ることなく、DAC装置4により回収されたカーボンニュートラル炭素
源を有効利用することができる。 
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)装置1A,1Bは、空気中の二酸化炭素を回収するDAC装置4と、
再生可能電力により水を電気分解して水素を生成する水電解装置3と、
回収された二酸化炭素と、生成された水素とから一酸化炭素を生成する
逆シフト反応器5と、生成された一酸化炭素と、生成された水素とから
メタノールを生成するメタノール製造器6と、生成されたメタノールと
、回収された二酸化炭素または生成された一酸化炭素とを反応させて酢
酸を生成する酢酸製造器7A,7Bと、生成された酢酸からアセトンと
二酸化炭素とを生成するアセトン製造器8と、生成されたアセトンから
ピナコロンを生成する二量化反応器9およびピナコール転移反応器10
と、生成されたメタノールからグリニャール試薬を生成する塩素置換反
応器11およびグリニャール試薬製造器12と、生成されたピナコロン
とグリニャール試薬とを反応させて2,3,3-トリメチル-2-ブタ
ノールを生成するグリニャール反応器13と、生成された2,3,3-
トリメチル-2-ブタノールから2,2,3-トリメチルブタンを生成
する水素置換反応器14とを備える(図1A、図1B)。 
工場排ガスなどから回収されたカーボンニュートラル炭素源である二酸
化炭素を利用して合成された再生可能メタノールを原料としてガソリン
の改質剤となるトリプタンを製造することで、改質ガソリンの炭素強度
を低下させ、温暖化対策に貢献することができる。 
(2)装置1Aはアセトン製造器8により生成された二酸化炭素を精製
するガス精製器15をさらに備える(図1A)。酢酸製造器7Aは、メ
タノール製造器6により生成されたメタノールと、DAC装置4により
回収された二酸化炭素およびガス精製器15により精製された二酸化炭
素とを反応させて酢酸を生成する(図1A)。中間生成物として得られ
た二酸化炭素を再循環させることで、装置1A全体として二酸化炭素を
排出することなく、カーボンニュートラル炭素源を有効利用することが
できる。 
(3)装置1Bはアセトン製造器8により生成された二酸化炭素を精製
するガス精製器15をさらに備える(図1B)。逆シフト反応器5は、
DAC装置4により回収された二酸化炭素およびガス精製器15により
精製された二酸化炭素と、水電解装置3により生成された水素とを反応
させて一酸化炭素を生成する(図1B)。酢酸製造器7Bは、メタノー
ル製造器6により生成されたメタノールと、逆シフト反応器5により生
成された一酸化炭素とを反応させて酢酸を生成する(図1B)。中間生
成物として得られた二酸化炭素を再循環させることで、装置1B全体と
して二酸化炭素を排出することなく、カーボンニュートラル炭素源を有
効利用することができる。 
上記実施形態では、化学吸収法により原料ガス中の二酸化炭素を回収す
るDAC装置4を用いる例を説明したが、空気中の二酸化炭素を回収す
る二酸化炭素回収部は、このようなものに限らない。例えば、活性炭や
ゼオライトなどの吸着剤に二酸化炭素を選択的に吸着させ、減圧により
二酸化炭素を分離、回収するPSA(Pressure Swing Adsorption)法を用
いてもよい。上記実施形態では、一酸化炭素、メタノール、酢酸、アセ
トン、ピナコロン、グリニャール試薬、2,3,3-トリメチル-2-
ブタノールおよび2,2,3-トリメチルブタンを生成するときの触媒
や試薬、反応条件などを例示したが、これらに限定されない。 
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上
述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。
上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可
能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
1A,1B トリプタンの製造装置(装置)、2 発電装置、3 水電解装
置、4 DAC装置、5 逆シフト反応器、6 メタノール製造器、7A,
7B 酢酸製造器、8 アセトン製造器、9 二量化反応器、10 ピナコ
ール転移反応器、11 塩素置換反応器、12 グリニャール試薬製造器
13 グリニャール反応器、14 水素置換反応器、15 ガス精製器

❏ 特開2023-62240 二酸化炭素分離回収装置、二酸化炭素分離回収シ
ステム及び二酸化炭素分離回収方法 清水建設株式会社
【概要】

建築物環境衛生管理基準には、空気調和設備を設けている場合の居室に
おいては、二酸化炭素の含有率を1000ppm(体積基準)以下にす
ることが定められている。このように、空気調和設備を設けている建築
物の室内においては、室内の空気から二酸化炭素を除去する技術が望ま
れている。酸化炭素は、適切な方法で回収することにより、有価物の製
造に利用することができるが、特許文献 特開2015-528743号の技術では、
二酸化炭素の吸収率(吸着効率)に改善の余地がある。加えて、特許文
献の技術では、吸収した二酸化炭素の再利用については、何ら考慮され
ていない。ここで、より効率よく二酸化炭素を吸着させ、吸着した二酸
化炭素を再利用できる二酸化炭素分離回収装置、二酸化炭素分離回収方
法及び二酸化炭素分離回収システムを目的とする。上記課題を解決する
ために、以下の態様を有する。
[1]冷却機と、二酸化炭素を吸脱着できる吸着材を有する吸脱着部と
を備え、 前記吸脱着部は、着脱自在に設けられ、 前記冷却機で生成し
た冷却空気を前記吸脱着部に供給する、二酸化炭素分離回収装置。
[2]前記冷却機がヒートポンプである、[1]に記載の二酸化炭素分
離回収装置。
[3]前記吸脱着部の二次側に、二酸化炭素濃度測定器をさらに備える、
[1]又は[2]に記載の二酸化炭素分離回収装置。 
[4][1]~[3]のいずれかに記載の二酸化炭素分離回収装置と、
取り外された前記吸脱着部から、前記吸着材に吸着されている二酸化炭
素を脱着する二酸化炭素脱着装置と、を備える、二酸化炭素分離回収シ
ステム。 
[5]二酸化炭素を含有する空気を冷却し、冷却空気を得る冷却工程と
吸着材を有する吸脱着部に前記冷却空気を接触させることで、前記吸着
材に前記二酸化炭素の一部又は全部を吸着させ、清浄空気を得る吸着工
程と、前記吸脱着部を取り外し、二酸化炭素が吸着した前記吸着材から
二酸化炭素を脱着する脱着工程と、前記脱着工程で脱着された二酸化炭
素を回収する回収工程と、を有する、二酸化炭素分離回収方法。
[6]前記冷却工程で、前記二酸化炭素を含有する空気に含まれる水分
を低減する、水分低減操作をさらに有する、[5]に記載の二酸化炭素
分離回収方法。
[7]前記清浄空気の二酸化炭素濃度と、前記二酸化炭素を含有する空
気の二酸化炭素濃度との差が10%以下となった時に、前記脱着工程を
実施する、[5]又は[6]に記載の二酸化炭素分離回収方法。
【発明の効果】
本発明の二酸化炭素分離回収装置、二酸化炭素分離回収システム及び二
酸化炭素分離回収方法によれば、より効率よく二酸化炭素を吸着させ、
吸着した二酸化炭素を再利用できる。


【符号の説明】
1⋯二酸化炭素分離回収装置、2⋯屋内空間、3⋯二酸化炭素脱着装置、
4⋯回収容器、 10⋯筐体、11⋯蒸発室、12a,12b⋯空気導入口、
13⋯凝縮室、14a,14 b⋯空気排出口、16⋯隔壁、18⋯排水口、
20⋯冷却機、21⋯蒸発器、22⋯凝縮 器、24⋯圧縮器、26⋯膨張弁、
30⋯吸脱着部、40a,40b⋯送風機、50⋯二 酸化炭素濃度測定器、
100⋯二酸化炭素分離回収システム、L1,L2,L3⋯配管

図1・本発明の一実施形態に係る二酸化炭素分離回収装置を示す概略図
図2.本発明の一実施形態に係る二酸化炭素分離回収システムを示す概
  略図

特開2023-053820 二酸化炭素還元触媒の製造方法 国立大学法人山口大学
【概要】
現在、人工的な光合成でCO2を取り込み、燃料(アルコール)を合成す
る研究が活発化している。CO2の還元生成物としては、オレフィンや
燃料などへの転換技術が確立されている一酸化炭素(CO)や蟻酸(H
COOH)が望ましい。CO2から燃料(アルコール)を合成する研究開
発(CO2の固定化)は、環境と資源・エネルギーの問題を同時に解決
可能となる技術である。しかし、CO2から一酸化炭素(CO)や蟻酸
(HCOOH)への還元反応は、標準電位が-0.53Vと-0.61
V(vs.NHE)であり、H2生成反応の標準電位0V(vs.NHE)よ
り卑電位側であるため、水溶液中でH2生成反応の阻害を受けずにCO2
を電気化学的に還元することは困難である。 CO2還元のための電気化
学触媒電極の開発は、主としてCO2還元に対する触媒活性を高め、H2
生成よりもCO2還元過電圧を低めるアプローチで研究開発が進んでい
る。CO2を選択的に電気化学還元可能な電極触媒として、金属、合金、
炭素ナノ構造などが報告されている。金属電極では、CO2還元反応の
生成物がCOラジカル(反応中間体)と電極表面の吸着力で変化すると
の報告がある。COラジカル吸着力の弱いHg、In、Sn、Cd、Pb
ではHCOOHが生成し、吸着力が強すぎるPtやNiでは、生成物が
脱離せずH2生成反応のみが起こる。吸着力が中程度のAu、Ag、Cu、
ZnはCO2還元活性が高く、特にCuは還元電位をH2生成電位より
も低下させることができ、H2生成の阻害なくCOやCH4を高効率に
生成することができる。しかし、Cu電極は電極表面の腐食や生成物の
付着により活性が低下する。したがって、耐久性が高く長期間利用可能
な電極材料は実現できていない。また、表面構造の制御により、Au、
Ag、Cu、Znと同等のCOラジカルに対する吸着力を示す界面も作
製できていない。つまり高活性(H2生成とCO2還元の分離)と高耐久
性を併せ持つCO2還元電極の具現化にはいまだ至っていない。
炭素材料としては、導電性を付与したアモルファスカーボンが開発され
(特許文献 特開2008-189997参照)、センサー用のガス透過膜への使用
(特許文献 特開2011-185910参照)、セシウムの酸化還元反応等の電気
化学センサーの電極、リチウム電池の集電体などへの使用(特許文献 特
開2012-188688参照)が提案されているが、CO2の還元に適用できるも
のではなかった。本発明の課題は、電位窓が広く水溶液の電解で水素生
成反応による阻害を受け難く、耐久性にも優れた高い電流効率の二酸化
炭素還元触媒を提供することである。本発明者は、上記課題を解決する
ためにアモルファスカーボンの利用を検討した。アモルファスカーボン
は通常導電性を有さないが、不純物原子を導入して導電性を付与した導
電性アモルファスカーボンが開発されている。導電性アモルファスカー
ボンは二酸化炭素還元活性を有さないが、これに二酸化炭素還元活性を
付与できれば、電解による二酸化炭素還元のための触媒や触媒電極とし
て利用が広がる。本発明者は検討を進めたところ、アモルファスカーボ
ン表面の窒素、特にアミノ基が二酸化炭素還元活性サイトの形成に関与
していること、アモルファスカーボン表面の酸素含有官能基が触媒表面
への二酸化炭素の吸着量を増加させて二酸化炭素還元活性を促進するこ
とを見いだした。表面の窒素、特にアミノ基や酸素含有官能基を増加さ
せ、表面でのこれらの密度を増加させた導電性アモルファスカーボンは、
水素生成反応と分離して高い電流効率で二酸化炭素還元反応を引き起こ
すことができ、この反応の分離はグラファイトやダイヤモンド等の炭素
材料では不可能である。また、二酸化炭素還元電極として知られるCu
電極に比べ、非常に安定性が高かった。本発明は、こうして完成された
ものである。
つまり、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)導電性アモルファスカーボンをアンモニアプラズマ処理する又は
窒素を含む導電性アモルファスカーボンを水プラズマ処理することによ
り、二酸化炭素還元触媒を得る二酸化炭素還元触媒の製造方法。
(2)導電性アモルファスカーボンが窒素若しくはホウ素ドープアモル
ファスカーボンであり、窒素若しくはホウ素ドープアモルファスカーボ
ンをアンモニアプラズマ処理する、又は窒素ドープアモルファスカーボ
ンを水プラズマ処理することを特徴とする上記(1)記載の二酸化炭素
還元触媒の製造方法。
(3)基材上に導電性アモルファスカーボン層を形成し、形成された前
記導電性アモルファスカーボン層をアンモニアプラズマ処理する、又は
基材上に窒素を含む導電性アモルファスカーボン層を形成し、形成され
た前記窒素を含む導電性アモルファスカーボン層を水プラズマ処理する
ことにより、二酸化炭素還元触媒電極を得る二酸化炭素還元触媒電極の
製造方法。
(4)導電性アモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方
法であって前記導電性アモルファスカーボンの表面に窒素及び酸素を導
入し、前記導電性アモルファスカーボンの表面の窒素及びアミノ基並び
にC=O結合を増加させることにより、前記導電性アモルファスカーボ
ンに二酸化炭素還元活性を付与する方法。
(5)窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与す
る方法であって、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面に酸素を
導入し、前記窒素ドープアモルファスカーボンの表面のC=O結合を増
加させることにより、前記窒素ドープアモルファスカーボンに二酸化炭
素還元活性を付与する方法。 (6)導電性を有し、さらに表面に窒素原
子及びアミノ基並びに酸素原子及びC=O結合を有し、表面における前
記窒素原子の量が7atom%以上かつ前記アミノ基における窒素原子
の量が1.5atom%以上であり、前記酸素原子の量が7atom%
以上かつC=O結合における酸素原子の量が7atom%以上であるア
モルファスカーボン二酸化炭素還元触媒。
【効果】
本発明の製造方法により、電位窓が広く水溶液の電解で水素生成反応に
よる阻害を受け難く、耐久性にも優れ高い電流効率の二酸化炭素還元触
媒及び二酸化炭素還元触媒電極を製造することができる。
【要約】

図1.実施例1及び比較例1で得られた電極のサイクリックボルタモ
  グラムを示す図


図2.実施例1及び2で得られた電極のリニアスイープボルタンメトリ
 ーを示す図

上図2のごとく、導電性アモルファスカーボンをアンモニア プラズマ処
理する又は窒素を含む導電性アモルファスカ ーボンを水プラズマ処理す
ることにより、二酸化炭素還 元触媒を得る二酸化炭素還元触媒の製造方
法。導電性ア モルファスカーボンに二酸化炭素還元活性を付与する方法
であって、前記導電性アモルファスカーボンの表面に 窒素及び酸素を導
入し、前記導電性アモルファスカーボ ンの表面の窒素及びアミノ基並び
にC=O結合を増加さ せることにより、前記導電性アモルファスカーボ
ンに二 酸化炭素還元活性を付与する方法で、電位窓が広く水溶液の電解
で水素生成反応による阻害を受け難く、耐久性にも優れた高い電流効率
の二酸化炭素還元触媒を提供することである。


図3、比較例1で得られた電極のリニアスイープボルタンメトリーを示
す図
図4(a)~(c)、実施例1における窒素ドープアモルファスカーボ
ン(アンモニアプラズマ照射前)のXPSスペクトルを示す図


図5(a)~(c)は、実施例1におけるアンモニアプラズマ照射後の
窒素ドープアモルファスカーボンのXPSスペクトルを示す図
図6(a)~(c)は、実施例2における水プラズマ照射後の窒素ドー
プアモルファスカーボンのXPSスペクトルを示す図



図7.実施例3及び比較例2で得られた電極のリニアスイープボルタン
メトリーを示す図
図8、本発明におけるCO 2 還元の仕組みを示す図
図9、実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理したアモルファスカ
ーボン の走査速度を変化させたときの還元ピーク電流値を示す図


図10、定電位電解で得られた電解液のUV吸収スペクトルを示す図
図11、実施例1で得られたアンモニアプラズマ処理したアモルファス
カーボンとCu電極の電解時間に対する電流値の減少の割合を示す図
図12は、定電位電解後のCu電極の様子を示す写真。

✓この連載を考える前、「バイオマス発電の矛盾」を考察をしようと考
え、森林木材の含水量を簡便でに下げる術を考えたが難しいので時間稼
ぎに「人工光合成」「カーボンゼロ」の最新技術の考察に切り換える。
これはこれで、難しいが継続することに。
                         この項つづく

     


【再エネ革命渦論 122: アフターコロナ時代 321】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング


特異点真っ直中 ④



持続可能なエネルギー評価  2023.5.15 vol.57
小規模産業における太陽エネルギーの統合:
:地ビール醸造所への応用

【要約】
業界の脱炭素化を達成の太陽エネルギーの統合はまだ初期段階。工業用醸
造プロセスにおける太陽熱および太陽光発電の統合の報告された数少ない
事例は、中規模および大規模の醸造所に属す。したがって、この研究目的は、
太陽エネルギーの統合が現在の市況の下で中小企業にとっても有益である
かどうかを判定することにある。スペイン南部にある地ビール醸造所の消費プ
ロファイルを特徴付けるためにモニタリングキャンペーンが実施され、零細醸
造所と大規模醸造所の間で比エネルギー消費量に大きな違いがあることが
明らかにした。さらに、低温供給用の小規模コンポーネントの性能曲線は、実
際の動作条件下で調整。その結果、エネルギー消費量を計算するためのシミ
ュレーションツールがTRNSYSで作成された。その結果を測定データおよび電
力消費請求書と比較した。さらに、スペインで実施された技術経済分析により
現在の市況下では、太陽光発電システムは、グリッドからすべてのエネルギ
ーを購入する場合と比較して常に収益性が高いことが明らかになった。冷暖
房供給のためのエネルギーコストは日射量の最良の条件と市場価格で最大
39.9%削減できるが、より穏やかなシナリオでは、エネルギーコストの削減は
3.63%から11.23%の間で変動。さらに、回収期間は、有利なシナリオでは4.3
〜6.6年、慎重なシナリオでは14〜24.9年。主に日射量、従来のエネルギー価
格、および太陽光発電システムのサイズによって異なる。





※ Titol:Integration of solar energy in Small-scale Industries: Application to
    microbreweries , Sustainable Energy Technologies and Assessments,7 (2023)
    103276 ,
   Departamento de Ingeniería Energ´etica, Universidad de Sevilla, Camino de
    los Descubrimientos s/n, 41092 Seville, Spain
    AICIA - Andalusian Association for Research and Industrial Cooperation,
    Camino de los Descubrimientos s/n, 41092 Seville, Spain
    Keywords: Levelized Cost of Heat and Cold Photovoltaic Industrial heat and
     cold TRNSYS 

風蕭々と碧いの時代


John Lennon Imagine

J-POPの系譜を探る1993年代】



J-POP を語るなら1993
年のヒット曲を聴け。
夏を待ちきれなくて、Bye For Now、がじゃいも、すれ違いの純情、愛を語るよ
り口づけをかわそう、YAH YAH YAH、愛を贈りたいから、僕らが生まれた
あの日のように、夢 with You、慟哭、KISSに撃たれて眠りたい、晴れたらい
いね、サボテンの花、ポケベルが鳴らなくて、TRUE LOVE、裸足の女神、真
夏の夜の夢、 負けないで・・・・・・。



[YAH YAH YAH / CHAGE and ASKA

「初恋」村下孝蔵

五月雨は緑色
悲しくさせたよ一人の午後は
恋をして淋しくて
届かぬ想いを暖めていた

好きだよと言えずに 初恋は
ふりこ細工の心
放課後の校庭を 走る君がいた
遠くで僕はいつでも君を探してた
浅い夢だから 胸をはなれない 

「♪ 浅い夢だから/胸をはなれない」  "淡い”と表現せず"浅い"とし
たのが、"共感力"を押し広げことに成功しているのではと考えました。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)ゆっくり休んで また動き出す
         When you are tired, take a rest , Then start forward afresh.
                         浄土宗 月訓
 

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特異点真っ直中 ③

2023年05月13日 | 政策論


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。   


via Wikipedia

         山藤は二十余りと零れ咲く
                       宇   

下の息子が丈、五、六メートルはあるとおもわれる雑木林から咲き溢れ
の山藤の房が滝のように溢れ落ちるかのような様をみて花の名を彼女に
尋ねるので山藤よと応えたと話す。そして、こうとも離す。近頃は河川
の管理に手が入らずかわりに山藤が繁殖し、蔓性だから巨木も絞め殺さ
れるのよねと。後二十六年でいまより2℃気温上昇するから猶更繁殖し
荒廃するねとつぶやき彼女の横顔をみる。



   藤波ふじなみの 影なす海の 底清み 沈しづく石をも 玉とぞ我が見る 
                                          大伴 家持
                                      万葉集 vol.19- 4199

    むらさきの淡き垂り花山藤なり柔くそよめき遠近をちこちに見ゆ
                                          河野 祐子
                                          花の歌二

河野 裕子(かわの ゆうこ、1946年7月24日 - 2010年8月12日)は、日
本の歌人。「塔」選者。夫は歌人の永田和宏。長男永田淳、長女永田紅
も歌人。熊本県上益城郡御船町に生まれ、滋賀県石部町(現湖南市)に
育つ。京都女子大学文学部国文科卒業。大学4回生(23歳)のときに角
川短歌賞受賞。宮柊二に師事。みずみずしい青春の恋愛歌を収め、新鮮
な言葉で女性の心をのびやかにうたった第1歌集『森のやうに獣のやうに
』でデビュー。感覚と身体性を総動員して生の実感を表現する作風で、
戦後の女性短歌のトップランナー。

   檜林のにあらはれてたち仰ぐむらさきこゆき山藤の花
                                          安藤  直彦
                                          佐夜の鄙歌


「線状降水帯発生情報」気象庁が最大30分早く発表へ

5月12日、気象庁は災害を起こすような大雨をもたらす「線状降水帯」の
発生を知らせる情報を、今月25日から、これまでよりも最大30分早く発
表する運用を始めると発表。線状降水帯は発達した積乱雲が直線状に並
んで長い時間、大雨を降らせ続ける現象で、近年、災害をもたらす大雨
の要因の一つ。線状降水帯が発生したと判断した場合に、水害や土砂災
などの起きる危険度が急激に高まっていることを知らせる「顕著(け
んちょ)な大雨に関する情報」を発表していますが、今月25日からは予
測技術を活用してこの情報をこれまでよりも最大30分早く発表すること
を明らかにした。なおJNNでは、情報の意味が明確に伝わるよう、この
顕著な大雨に関する情報」をこれまでどおり「線状降水帯発生情報」と
呼称する。



近海でとれなくなったアオノリを陸上養殖で
エビや魚などの水産物を陸上の施設で飼育する「陸上養殖」は、天候に
左右されず安定的に生産できることなどから新規参入が相次いでいる。
民間の調査会社の試算によると、陸上養殖に必要な設備の市場規模(国
内)は2021年には90億円、30年には200億円規模と倍に増えると予測され
ている。高知市内の料理店は、陸上養殖で育った海藻の一種「スジアオ
ノリ」を使っています。香りがよく、地元の名産として観光客にも人気。
この店の板長は「香りも強くて品質もいいし、助かっている」と話す。 

via NHK
陸上養殖広がるビジネスの可能性 新たな雇用の場にも
   2023.01.23
EVシフトで事業変革 部品メーカーの意外な活路

✔ 環境リスク本位制時代は、DXでグリーンなグローカル・キャピタリ
  ズムがマッチするというのがわたし(たち)の経済政策言論である。
  この考察はブログにて非連続連載していきたい。
-----------------------------------------------------------------
人工細菌に糖分を与えるだけで温室効果ガスの大幅削減
5月3日、ローレンス・バークレー国立研究所とカリフォルニア大学バー
クレー校の共同研究グループは、価電子を6個しか持たず電荷を持たな
い、二価の炭素化学種「カルベン」を、燃料や化学物質の製造、創薬や
合成に利用したいと考えてきたが、カルベン反応は試験管を用いて少量
ずつしか行うことができず、かつ、反応を促進するためには高価な化学
物質が必要であった。はこの「高価な化学物質」をストレプトミセス
いう細菌の遺伝子組み換え株で生産可能な天然物に置き換え、化学合成
で一般的に用いられる有毒な溶媒や有毒ガスを使用せず、カルベン反応
が可能になった。人工細菌は、糖を代謝してカルベン前駆体とアルケン
基質に変換したほか、進化したP450酵素を発現し、カルベン前駆体とア
ルケン基質を用いて、新たな生物活性化合物や高度なバイオ燃料の持続
的生産に使用できる可能性のある高エネルギー分子・シクロプロパン
生成。

【関連技術情報】
Complete integration of carbene-transfer chemistry into biosynthesis
  Nature https://doi.org/10.1038/s41586-023-06027-2



高輪ゲートウェイ駅
透明な“窓タイプ”の太陽光パネルを駅に導入
ENEOSホールディングス、JR東日本、YKK AP、日本板硝子(NSG)は2023
年4月、高輪ゲートウェイ駅構内において透明な窓型の太陽光パネルを利
用した発電実証に取り組むと発表。今回の実証で利用するのは、米ユビ
キタスエナジーが開発した透明な太陽光発電窓パネル「UE Power」。紫
外線と赤外線を利用して発電が可能でありながら、一般的な窓と同程度
の透明度を維持しつつも、遮熱性と断熱性に優れているのが特徴だとい
う。既に2021年9月から約1年間にわたって、ENEOSとNSGが共同で行った
同パネルの屋外使用実証実験では、日本国内の日照、気候条件下において
も、想定通りの発電量、省エネ効果などの性能が確認できたとしている。
 今回は第2弾の実証実験として、同パネルの屋内使用時における発電性
能について検証。2023年5月8日~7月14日の約2カ月間、高輪ゲートウェイ
駅構内で既設の窓ガラスの内側に同窓パネルを設置し、定量的な評価を
行う計画。


ナトリウムイオン電池時代へ
関連メーカーが50社超で価格はLIBの1/2
「我々のナトリウム(Na)イオン電池(NIB)は、中国Chery(奇瑞汽車
)の電気自動車(EV)に搭載される」――。2023年4月16日の中国CATL(
寧徳時代新能源科技)による発表は、電池にとっての新時代の幕開けに
なった。蓄電池の主役がニッケル水素電池からリチウム(Li)イオン2次
電池(LIB)にほぼ切り替わって約10年。ここにきて、次の主役になり得
る新型電池、つまりNIBが急速に台頭。わずか2年前、NIBの開発、量産に
取り組んでいるのは世界で数社だった。ところが、現時点ではCATLだけ
ではなく、電池セルメーカーだけで現時点で少なくとも20社超。原材料
や部材メーカーも含めると約50社(表2)にのぼる。今後はさらに
増える見込み。



図1 EVや電動2輪向けから定置用までNIB製品が続々 VW:ドイツ・フォ
ルクスワーゲン (出所:(a)は中国HiNa Battery、(b)同JAC Group、(
c)同CATL、(d)同BYD、(e)同・立方新能源、(f)同・華宇鈉電、(
g)同Naion Power Batteries、(h)フランスTiamat Energy、(i)英
Faradion) 


表2 NIBの主な材料/部材メーカー (出所:公開資料と一部日経クロス
テックの推定を基に日経クロステックが作成) 増えた企業は、中国企業
が中心で、これまでLIBの製造を手掛けてきたメーカーのほか、鉛蓄電池
のメーカー、さらには、電子回路基板のメーカーなどさまざまだ。新し
く合弁会社を起こして参入する企業も多い。そして、生産能力だけみれ
ば2023年内にも合計で30GWh/年を超える規模と推測されている。
2030年には347GWhが出荷か  中国の研究所China YiWei Institute of Econ-
omics
(伊維経済研究院)の伊維智庫(EVTank)が2023年2月に発表した
「中国ナトリウムイオン電池業界発展白書」によれば、2023年中のNIBの
実際の生産量は、3GWhに留まる。それでも、2030年には347GWhが生産、
出荷される見通しで、平均の年間平均成長率(CAGR)は97%と驚異的な数
字になる計算。 NIBが主役になり得るのはさらに先である。電気自動車
(EV)や定置用蓄電システムの世界的な需要増を受けて、LIB市場自体も
NIBに劣らない成長率で伸びるからである。同じEVTankによれば、LIBは
2030年には約6TWh/年生産される。つまり、その時点でのNIBの割合は、
容量ベースで5%超にすぎない。 NIBを発表した2日後の2023年4月18日、
CATLは今度は重量エネルギー密度が500Wh/kgと非常に高いLIB「凝聚態電
池」の年内量産を発表した。こうしたLIB技術の発展も考慮すると、将来
の蓄電システムは、高いエネルギー密度を必要とするドローンや電動航
空機、一部の航続距離重視のEVではLIB、それ以外の一般的なEVや定置用
蓄電システムではNIB、とすみ分けが進むとみる。 米Tesla CEOのイーロ
ン・マスク氏によれば「世界は年間10TWhの蓄電システムを必要としてい
る」という。これは現時点の約10倍だ。この需要水準では、LIBの正極用
ニッケル(Ni)や同コバルト(Co)を安定的に調達するのは難しい。
Liの調達も保証されないだろう。このため、今後、NIBが不要になる状況
は考えにくい。

道路交通法に基づくレベル4
特定自動運転に係る国内初の許可を取得
5月12日、国立研究開発法人産業技術総合研究所は、2021年度より経済産
業省および国土交通省の「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支
援事業(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実証
プロジェクト(テーマ1:2022 年度に限定エリア・車両での遠隔監視の
み(レベル4)で自動運転サービスの実現に向けた取組))」を幹事機関
として受託し、永平寺町におけるレベル4の無人自動運転移動サービスの
社会実装に向けて、ヤマハ発動機株式会社、三菱電機株式会社、株式会社
ソリトンシステムズとともに研究開発を進め、福井県吉田郡永平寺町(
以下、永平寺町)、まちづくり株式会社ZENコネクトの協力を得て、自動
運転移動サービスの車両実装のための実証を進めてきた。3月30日に国内
で初めて、遠隔監視のみのレベル4の自動運行装置を備えた車両として、
中部運輸局から永平寺町での走行環境条件の付与の認可を受けている。
これに続き、この車両を用いた運行のための道路交通法に基づく特定自
動運行に係る許可申請を、永平寺町のまちづくり株式会社ZENコネクトが、
福井県公安委員会に提出していたところ、本年5月11日付けで、国内で初
めての許可を取得。今回のレベル4自動運転車両を用いた特定自動運行の
許可により、車内にも遠隔地にも運転者がいない状態での運行が可能と
なる。特定自動運行主任者が3台を運行する予定だが、常時遠隔監視は不
要で、車両が不具合などで自動停止した後の対応をする。さらに、交通
事故時等には現場措置業務実施者が、現場に駆け付けることになる。


【要点】
1.レベル4自動運転車両の道路交通法上に基づく特定自動運行の国内
 で初めての許可
2.車内にも遠隔地にも運転者がいない状態での自動運転(特定自動運
 行)が可能
3.ドライバー不足や交通弱者への対応と地域の活性化に交通手段とし
 て貢献


【展望】
今後、4月に改正される道路交通法による特定自動運行に係る許可の取得
により、車両内無人でのレベル4の自動運転移動サービスが可能となる。
移動サービスの開始に向けては、サービス面での実証実験などを行う予
定である。

「縦型GaN」の高コストという課題
世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Europe 2023」(2
023年5月9~12日、ドイツ)において、シリコン並みのコストで縦型GaN(
窒化ガリウム)パワートランジスタの実現を目指す欧州のコンソーシアム
「YESvGaN」が、その取り組みを紹介。
近年、SiC(炭化ケイ素)およびGaN(窒化ガリウム)を始めとしたワイ
ドバンドギャップ(WBG)パワー半導体の開発/市場導入が加速している
が、シリコンと比べ高コストであるという課題は残ったままだ。また、
GaNパワーデバイスには、シリコンウエハー上にGaN活性層を形成する「
横型」と、GaN基板をそのまま使用する「縦型」がある。シリコンウエハ
ーを用いる横型は比較的低コストでGaNの高周波特性を得られるものの、
650V以上などの高耐圧を求める場合には不向きだ。一方の縦型は、横型
に比べ高電圧、大電流に適するが、GaNウエハーは高コストで、またサイ
ズも2~4インチ程度と小径。

シリコン基板上にGaNを形成して、シリコンとバッファー層除去
同研究は、シリコンやサファイア基板上でのGaNのヘテロエピタキシャル
成長によるコストメリットを得つつも、縦型の特性を両立するという方
向で進められている。 そもそもGaN on Silicon(シリコン基板上への
GaNの成長)で縦型を作れないのは、絶縁性のバッファー層が必要となる
ためだ。また、サファイアはそれ自体が絶縁体だ。そこで同プロジェク
トは、GaN成長後にデバイス領域直下にあるバッファー層やシリコンおよ
びサファイア基板自体を取り除き、裏側から直接金属コンタクトでGaN層
と接続する「縦型GaNメンブレントランジスタ」の開発を進めている。目
標は、300mmまでのシリコンやサファイアウエハーを用いた耐圧650~1200
Vクラスの縦型GaNパワートランジスタの実現で、実現すると厚さ数マイク
ロメートルながら、縦型構造のメリットとGaN on SiliconあるいはGaN on
Sapphireの低コストの両立が可能になる。


出所:Robert Bosch
YESvGaNが目指す縦型GaNメンブレントランジスタのメリット

YESvGaNではこの実現に向け、参画企業/組織がそれぞれ下記のような各
ステップで研究を進めている

•650~1200Vクラスを実現するための、最大300mmのシリコン/サファイ
 ア基板に厚いドリフト層のエピタキシャル成長を実現する技術開発
•シリコンIGBT並みのコストで4mΩcm2のオン抵抗を持つ最大1200V/100A
 の縦型GaNパワートランジスタとプロセス技術の開発
•ドライエッチングによるシリコン基板とバッファー層の除去、レーザー
 剥離によるサファイア基板のリフトオフおよびオーミック接触の形成、
 裏面パワーメタライゼーションを可能にする高度なボンディングおよび
 デボンディング技術
•開発されたパワートランジスタのアセンブリおよび相互接続技術の開発、
 対応する信頼性特性評価
•開発されたパワートランジスタのデータシート作成と、複数のアプリケ
 ーションデモ機におけるシステム効率向上の実証

出所:Robert Bosch  各ステップにおける目標
今回のPCIMでは複数の参画企業/組織が各ブースで、YESvGaNの取り組み
を紹介。Robert Boschのブースの一角では、プロジェクトコーディネー
ターのChristian Huber氏が担当していた。ブースでは、ダイオードのブ
レークダウン電圧が500Vを超えるスタック層をシリコンやサファイア上
に成長させたこと、150mmのGaN on Siliconウエハーからシリコンを除去
し、厚さ4μmのGaN膜を最大直径5mmのサイズで欠陥なく形成したこと、
ショットキーダイオードを備えた縦型デバイスの実証実験を行ったことな
ど各ステップでの進展の様子を紹介。また、実際にGaNのデバイス領域か
らシリコンを取り除いたウエハーなども展示していた。
Huber氏は、「現時点では最終的なトランジスタが完成しているような段
階ではない。また、われわれはあくまでこの技術が実現可能か実証する
ことを目的として研究を進めているが、同技術が実現すれば、縦型GaNの
量産化が加速できると期待している」と話すという。
via EE Times Japan
シリコン並みのコストで縦型GaN目指す「YESvGaN」:PCIM Europe 2023 -


     


 

【再エネ革命渦論 121: アフターコロナ時代 320】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング


特異点真っ直中 ③
 

 多数のベンゼン環からなる「ポリアセン」を合成
5年9日、東京大学の研究グループは、多数のベンゼン環が直線状に連結した
「ポリアセン」を合成することに成功。太陽電池やナノデバイスなどへの応用を
目指す。
【概要】 ベンゼン環が直線状につながった構造のアセン類は、ベンゼン環の個
数が増えるほど優れた光電子特性を示すことが分かっている。しかし、アセン
分子が長くなると、溶解性や安定性が大幅に低下するため、合成するのが極
めて難しかったという。実際に、現状で最も長いアセンは、2020年に発表された
12個のベンゼン環からなる「ドデカセン」である。研究グループは今回、規則的
なナノサイズの細孔を持つ多孔性金属錯体(MOF)に着目した。これまでも、
MOFのナノ細孔を反応場にすることで、高分子やナノカーボン材料の制御合
成に成功してきた実績があるが、ではまず、MOF内にポリアセンの原料となる
モノマーを導入し連結反応を行うことで、ポリアセンの前駆体となる高分子を合
成した。MOFの細孔内ではモノマーが一次元的に配列しており、適切な反応
位置で連結させる➲得られた複合体を塩基で処理した。これによりMOF骨格
のみを選択的に除去し、前駆体高分子を分離し得られた複合体を塩基で処理。
これによりMOF骨格のみを選択的に除去し、前駆体高分子を分離し➲加熱
処理を行いポリアセンに変換した。さらに、奈良先端科学技術大学 らの協力
を得て、ポリアセンの構造を解析。 本研究によって、これまで理論上の存在で
しかなかったポリアセンを実際に合成することに 成功しました。
【成果】
ベンゼン環が平均で19個、長いものでは数十個つながっていることを確認する。
今回開発した手法を用いると、ポリアセンの大量合成が可能となる 。


【展望】
今後は、反応のスケールアップによる大量合成が可能なことから、これまで未
踏であるポリアセンの光・電子・磁気特性の解明に取り組み、最細グラフェンの
特異な機能を 利用した太陽電池やナノデバイスなど広範な応用展開を目指す

GaNへ最高効率・低消費電力でスピンを注入 
5月9日、大阪大学の研究グループは、日本発の高性能半導体材料として注
されている窒化ガリウム(GaN)上に高性能スピントロニクス材料(ホイ
スラー合金
磁石)を作製することに成功し、高性能磁石/GaNからなる低接
合抵抗電極構造
を用いた室温・高効率スピン注入技術を開発。GaNは、光
エレクトロニクスやパ
ワーエレクトロニクスなど、多くの分野での応用が
期待される高性能半導体材
料だが、電子のスピン自由度を積極的に活用
するスピントロニクス分野におい
ても期待され始めている。特に、半導
体スピントロニクスデバイスとして期待されているスピン発光デバイス用
の半導体材料として魅力的な材料です。しかし、これまでの研究のほとん
どは、強磁性体からGaNへのスピン注入の際に 「強磁性体/絶縁体トンネ
ルバリア/GaN」という絶縁体トンネルバリア層を用いた高抵抗の電極構
造を用いることが一般的であり、デバイス動作に大電圧が必要であるば
かりでなく、素子性能に直接関わるスピン注入効率もそれほど高くない
という応用上の課題がある。
【要点】
1.日本発の高性能半導体材料として注目されている窒化ガリウム(GaN)  
 からなるスピントロニクスデバイスの実現に向けた室温で従来比3~4  
 倍の高効率なスピン注入技術の開発
2.GaN上に結晶構造が大きく異なる高性能スピントロニクス材料(ホイス  
 ラー合金磁石)をエピタキシャル成長し、従来よりも低接合抵抗のスピ
  ン注入電極構造を開発
3.バッテリーレベルの低電圧で駆動する小型・低消費電力の次世代ス
 ピン発光デバイス実現への道を切り拓く成果


図1. (左) 高性能磁石(ホイスラー合金磁石)と高性能半導体(GaN)の結
 晶構造.
(右) 高性能磁石/GaN接合の電子顕微鏡写真.


図2. スピン注入現象を検証するためのテストデバイスとして作製した
 GaN横型スピントロニクス素子(左)と室温スピン伝導信号の例(右).
【成果】
従来から検討されてきた磁石/絶縁体トンネルバリア/GaNという高抵抗電
極構造を用いた電気的スピン注入技術ではなく、高性能ホイスラー合金磁
石/GaN直接接合が実現する低抵抗電極構造を用いた低消費電力・高効率ス
ピン注入技術を開発。ホイスラー合金磁石は、高性能スピントロニクス
材料として知られており、GaAsやGeなどの半導体材料への高性能なスピン
注入源材料として利用されてきが、体心立方構造のホイスラー合金磁石
とウルツ鉱型結晶構造のGaNは、結晶構造が大きく異なり、表面の原子配
列も整合していないため(図1)、GaN上にホイスラー合金
磁石を高品質に作
製する(エピタキシャル成長する)ことは極めて困難であった。
この研究では、ホイスラー合金磁石とGaNの接合界面に六方最密充填結晶
構造のコバルト(Co)を数原子層(約0.4 nm)挿入することで、GaN上にホイ
スラー合金磁石をエピタキシャル成長し(図1)、ショットキートンネル直
接接合を実現することに成功しました。また、独自に開発した微細加工プ
ロセスを用いて、ショットキートンネル直接接合電極構造を用いたテス
トデバイス構造を作製し、室温でスピン注入信号を観測することに成功
(図2)。高性能磁石とGaNの間に絶縁体トンネルバリア層を用いていないス
ピン注入電極構造であるため、従来よりも3桁以上低い接合抵抗値を実現
し、低消費電力でのスピン注入を実現しています。また、スピン注入源と
して高性能ホイスラー合金磁石を利用することで、従来よりも3~4倍以上
高いスピン注入効率を実現しています。つまり、今回の研究成果は、GaN
への「低消費電力かつ高効率」なスピン注入技術の実証であり、今後、電
池レベルの低電圧で駆動するスピン発光デバイスの開発につながることに
期待する。 
【展望】
スピン発光デバイスの代表例であるスピンレーザーは、光通信技術にお
ける大容量暗号通信用の低消費電力量子光源への応用などが期待されて
いる。今後、本研究成果をもとに、室温でのスピン注入効率をさらに増
大させ、低消費電力かつ高効率なスピン注入電極構造をレーザーデバイ
ス構造に適応して研究開発を進めることで、室温・低電圧で電流注入に
より駆動する小型のGaN系スピンレーザーの実現につながることが期待さ
れている。 

ナノ結晶表面の有機分子を光で可逆的脱離 
-触媒活性・導電性・光機能を光で自在に変調できる新ナノ材料創成に資する
新たな発見

5月11日、立命館大学らの共同研究グループは、半導体ナノ結晶表面に機
能性有機分子を配位した複合ナノ材料において,可視光線を照射するこ
とで有機分子が脱離し,その後数秒以上かけて再度表面に配位する現象
を発見,解明。
【要点】
1.半導体ナノ結晶表面に配位した機能性有機分子が光で脱離する現象を
 初めて観測に成功
2.有機配位子の光脱離反応はほぼ可逆的に進行 
3.ナノ結晶表面の有機分子はナノ粒子の分散性、触媒活性、電気伝導性
 発光特性などを決めること から、光でそれらの性質を自在に制御でき
 る新材料開発が今後期待される

【成果】機能性有機分子であるペリレンビスイミド(PBI)を配位子とし、
硫化亜鉛(ZnS)ナノ結 晶に配位させた複合ナノ材料(PBI-ZnS)をモデ
ル物質として合成し、その光励起状態の詳細をさまざま なレーザー分光
計測や量子化学計算によって解析。その結果、可視光線で PBI を励起す
ると超 高速電子移動が起き、PBI がナノ結晶表面から脱離することを初
めて明らかにしました(図2)。さらに、脱 離した PBI と ZnS ナノ結
晶は数秒以上のきわめて長寿命の電荷分離状態を形成し、その後再度ナ
ノ結 晶に配位することも明らかにした。


【成果】有機無機複合ナノ材料研究においてこれまで見過ごされてきた
根幹的な現象を見出したも のであり、ナノ材料化学や光化学分野におい}
て重要な知見であると言えます。それだけでなく、ナノ結晶 表面の有機
配位子はナノ結晶の分散性、触媒活性、電気伝導性、発光特性などのさま
ざまな機能を決 めることから、光で分散性、触媒活性、発光特性などを
制御できる光触媒(図3)や、ナノ結晶フィルムの 導電性回路の微細パ
ターニング(図4)など、新しい光機能材料の開発に応用されることが
期待される。



※1 有機分子が表面に配位することによって安定化されたナノメートルオ
 ーダーの半導体微粒子
※2 光照射によって生成する物質(正確には物 質内の電子)のより高
 いエネルギー状態



風蕭々と碧いの時代


John Lennon

 

J-POPの系譜を探る:1992年代】



曲名: それが大事  1991~92年  唄:大事MANブラザーズバンド
作詞/作曲:立川俊之 編曲: 大事MANブラザーズバンド&渡辺禎史

「それが大事」(それがだいじ)は、大事MANブラザーズバンドの楽
曲、3枚目のシングル。1991年8月25日に発売。最初はテレビ朝日系列で
放送されていた『スポーツフロンティア』のエンディングテーマとして
流され、この時はまだヒットするまでには至らなかったが、フジテレビ
系『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』のテーマソングとして使用さ
れるようになった後の1991年12月9日のチャートで17位にランクイン。翌
週には5位入り。さらに翌週に2位、そして12月30日付のチャートで1位
を獲得。オリコン集計で160.3万枚の売り上げを記録。
『来歴』
ボーカル・立川の出身地埼玉県草加市で結成。男女混成であることや曲
調・グループ名の印象などから「埼玉のサザンオールスターズ」の異名
をとる。デビュー以降アルバム1枚とシングル2枚をリリースするがヒッ
トに繋がらなかった。そんな中、所属事務所から「次の作品でヒットを
出せなければ危ない」と契約解除をほのめかされ背水の陣で制作した「
それが大事」を発表。立川曰く[いつ?]、「曲がモンスターのように一
人歩き」するように大ヒット。その後、所属事務所とレコード会社との
契約上のトラブルで移籍、発表したシングル・アルバム共にヒットせず1
996年に解散。1992年、香港の歌手、ハッケン・リー(李克勤)が、「
それが大事」を「紅日」というタイトルで、広東語でカバーしている(
作詞は李克勤本人が担当)。『紅日』に収録。
via Wikipedia

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)ゆっくり休んで また動き出す
         When you are tired, take a rest , Then start forward afresh.
                                       浄土宗 月訓
 

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特異点真っ直中 ②

2023年05月09日 | 量子電池


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん」。




  夕光の微粒子に部屋つつまれしかばハナムグリの愉悦を理解す

                      永田和宏『饗庭』

コガネムシ科の昆虫、春から秋にかけていろいろなな花をもとめて飛び
回る。全体が緑色で、体長は2センチくらい。花にもぐって蜜を食べる
のでこの名がある。 花潜(はなむぐり) ハナムグリ(花潜、Cetonia
(Eucetonia)pilifera pilifera
)は、コウチュウ目・コガネムシ上科・コガネ
ムシ科・ハナムグリ族・ハナムグリ亜族・ハナムグリ属に属する昆虫の
一種名(和名)である。春から秋にかけて各種の花に飛来し、背面は緑
色で、体長は14-20mmほど。花の受粉に深く関わっている昆虫の一つで
もある。ハナムグリは昼行性で昼間に活発に飛翔する種類が少なくない。
Protaetia属、Cetonia属、Oxycetonia属等は他のほとんどの甲虫のように鞘
翅(しょうし、さやばね)を展開せず、外側を僅かに持ち上げることによ
って腹部との間に隙間を作ってここから後翅(こうし)を広げる。これ
によって多くの甲虫に比べて格段に機敏な飛翔をすることが可能になっ
ている。ただ、アシナガハナムグリ属やヒゲブトハナムグリ亜科等はこ
のような飛翔様式をとらない。灯火にも飛来することがある。




       気がつけば 吾と添い寝し 花潜はなむぐ
                          宇

※和名の由来は成虫が花に潜り、花粉や蜜を後食することによる五月/
 三夏の季語である。

※永田 和宏(ながた かずひろ、1947年5月12日-)は、日本の歌人・細
胞生物学者。京都大学名誉教授、京都産業大学名誉教授。短歌結社「塔」
前主宰。夫人は歌人の河野裕子。長男永田淳、長女永田紅も歌人。滋賀
県出身。

 

【持続可能な食品製造事業:SFMB:昆布とわかめ
最近、昆布茶をコンビニで昆布茶を探すが手に入らなかった、また、近
くの「スーパ-マ-ケット」にもそれがなかったのでその代わり、田中
食品株式会社の『ソフトふりかけ  いか昆布』を試食。美味い。また別
の日には『くきりんの茎わかめ うす塩味』を食べてみた。美味い。そ
こで、これに寒天を加え、味付けしシート状にして裁断して販売すれば
絶対に和食の持続可能な新しい総菜が創れるとひらめく。
『寒天』
江戸時代初期、現在の京都府に、ところてんが冬に凍り、乾物化したこ
とで偶然発見され、その後、寒天を活用した練り羊羹が開発され、和菓
子に広く使われ、食物繊維の生理機能を持ち、便通改善による健康増進
効果が証明されたことから、特定保健用食品として市販されている。原
料は、テングサ科、オゴノリ科などの紅藻類。カラギナンと似たような
構造をし、ガラクトースを基本の骨格とする直鎖の構造で、アガロース
という中性多糖と、酸性多糖類(アガロペクチン)により構成され、そ
の多くはアガロースが占める。
【製造工程】
寒天には糸寒天、角寒天、粉末寒天、フレーク寒天などあり。寒天の基
本的な製造工程は、まず原料となる紅藻類をアルカリ処理、水洗いして
異物を除去します。そして煮沸し硫酸や酢酸で微酸性にして抽出。その
後、ろ過、冷却によりゲル化させてから凍結乾燥することで糸寒天や角
寒天ができあがります。そこから粉末状に粒砕したものが、粉末寒天。

『昆布』
昆布は、糖質が主成分で、脂質が少なく、食物繊維を多く含む。栄養成
分としてのグルタミン酸、ヨウ素、アルギン酸、フコイダンやカリウム、
カルシウム、鉄などのミネラルを含み、糖尿病・動脈硬化・高血圧の予
防、大腸ガンの発生率低減、老化防止などの効果があることが知られて
いる。従来、日本では昆布は出汁に使用されるほか、酢昆布、昆布巻き
など食用に供されてきたが、いずれも酢や醤油ベースの調味液で調理し
た伝統的な日本料理であった。また、昆布が食用されるのは、日本、韓
国、中国の一部の東アジアとその他の国の海に近い地域に限られていた。
昆布で具材を包み、周辺を閉塞し、揚げ物にする。
「特許事例」特許第4614190号 昆布食品 重松 正久


『茎わかめ』
そのまま食することができ、かつ食感がよいわかめ加工品、その製造方
法、及びこのようなわかめ加工品を製造するためのわかめ処理液を提供
する。わかめを、食塩濃度0.1~1質量%、カルシウムイオン濃度2
0~180ppm、マグネシウムイオン濃度80~800ppm、カル
シウムイオン濃度に対するマグネシウムイオン濃度の比率(マグネシウ
ムイオン濃度/カルシウムイオン濃度)が3.5~5.5、かつカルシ
ウムイオン濃度に対するナトリウムイオン濃度の比率(ナトリウムイオ
ン濃度/カルシウムイオン濃度)が15~23である水性処理液と接触
処理する工程を含むことを特徴とするわかめ加工品の製造方法。 従来か
らわかめは大量に消費されているが、北半球においてはわかめの採取時
期が1月から4月に限定されているために、年間を通じて食膳に供する
ためには何らかの保存法が必要である。そのために古くよりわかめを乾
燥して乾物にする方法、湯通し後に食塩を加える湯通し塩蔵法等が知ら
れている。また、より生わかめに近い風味と食感を求めて、湯通し後に
冷凍処理を行う方法も知られている。しかし、乾燥わかめは、喫食に適
した状態にするために、水などで復元する必要があり、手間がかかる。
また、水で復元したものの風味は生鮮わかめの風味と比べると劣る。ま
た、湯通し塩蔵わかめも、喫食に適した状態にするために、脱塩して水
戻しの前処理が必要であり、手間がかかる。また、湯通し冷凍わかめも、
喫食に適した状態にするために、解凍の前処理を必要とし、手間がかか
る。さらに、これらのわかめ加工品を上記のように前処理して喫食に適
した状態にした後、流通や保管の段階で長く放置すると、時間の経過と
共にわかめの肉質が膨潤、軟化してわかめの食感が悪くなり喫食に耐え
られない状態になるという大きな問題がある。
「事例特許」特開2009-22188 わかめ加工品及びその製造方法 理研食品
株式会社
後は「持続可能な製造システム」を完成させるだけ。基本設計は条件は
以下の通り。
1.丘水産(陸上養殖)
2.製造条件は、①廃棄物ゼロ、二酸化炭素排出ゼロ、②養殖(水温・
 光源・水圧/浸透圧(溶解鉛濃度)などの完全制御・使役設備の再生/
  省エネ化)
3.乾燥・粉砕・混合調製の完全特許化及びコンパクト・システムの世
 界販売(有償/無償)
4.希少/有害物質の都市鉱山化(完全リサイクル)及び完全無害化
尚、混合材料は広範に魚介・農産物・昆虫食・畜産物などを利用。また、
乾燥には急速冷凍などの優れた有形/無形知財をフル活用し、高品位感
性工学を応用し世界に貢献できるビジネスモデルを2047年までに確立す
る。

     


【再エネ革命渦論 120: アフターコロナ時代 319】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング

特異点真っ直中 ②



二次元バーコードの進化
わたしたちは、デジタル革命渦は膨張し、科学技術の特異点の真っ直中
にいることを毎日実感する。例えば、最初の伝統的なバーコードは1940
年代に米国フィラデルフィア大学の研究グループにより発明され1972年、
英国のスーパーマーケットチェーンSainsbury'sが、UPCで在庫管理シス
テムを導入、1994年には日本のトヨタ研究所が水平軸と垂直軸の両方に
データを埋め込む最初の2Dバーコードを発明。クイックレスポンス(QR)
コードはそれまでの350倍桁以上の文字を処理、現在は宇宙の原子の総
数よりも多い109403の可能な組み合わせが可能になり、人類がコードを
使い果たすこができないと言い、2010年代には、カメラとコードスキャ
ン機能を備えたスマートフォンの普及により、さらに広く使用されるよ
うになった。2019年のCOVID-19パンデミックは、情報を表示する「タッ
チレス」システムとして付加価値を高め、例えば、栄養成分、成分リス
ト、アレルゲン情報など、製品に関するより多くの情報は保存でき、こ
れにより、食事制限やアレルギーのあるお客様にとって非常に重要であ
り、お客様と食品生産者の間の透明性と信頼を促進するのに役立つ。コ
ードを使用し、レシピ、ゲーム、割引やロイヤルティ報酬の提供など、
顧客向けのインタラクティブな体験できる。



中国CATL、高容量「凝縮系電池」 独自開発
有人の電動航空機や高級EVへの搭載へ
4月19日、中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)はエネ
ルギー密度を大幅に高めた「凝縮系電池(コンデンスドバッテリー)」
と呼ぶ新型電池を発表。同社によれば、新型電池はセル単体でのエネル
ギー密度が1キログラム当たり最高500Wh(ワット時)に達する。
現在量
産されている電池のエネルギー密度は、高性能なものでも同300Wh
程度
「凝縮系電池を有人の電動航空機に搭載する計画で、パートナーと共同
開発を進めている」。CATLのチーフ・サイエンティストを務める呉凱
氏は、上海国際モータショーでの発表会でそう明かした。一般的に、電
池はエネルギー密度が高いほど(過熱や破裂を防ぐための)安全性の確
保が難しくなる。呉氏によれば、CATLは独自開発した「凝縮系」の電解
質を用いることでその問題をクリアした。この電解質が具体的にどのよ
うなものか、呉氏は情報を明かさなかったが、いわゆる「半固体電池」
ではないと述べた。



電解質や負極材の詳細は明かさず
エネルギー密度は正極および負極に使う材料の組成で決まる。一方、電
解質とセパレーターは正極と負極の間で(電荷を帯びた)イオンの移動
を媒介するとともに、両極の短絡を防ぐ役割を果たす。凝縮系電池の正
極と負極の材料はさまざまな組み合わせが可能だ。1キログラム当たり5
00Whの凝集系電池の場合、正極にはニッケルの比率を高めた三元(ニッ
ケル・コバルト・マンガン)系の材料、負極には完全新開発の材料を採
用。この負極材の詳細についても、オープン-化にせず。 電動航空機に
搭載する凝縮系電池のパッケージには、軽量なラミネートパウチを採用
する。しかし、正負極の材料やパッケージを変更して生産コストを抑え
れば、高級EV(電気自動車)にも搭載可能だと呉氏は説明した。 CATLは
すでにEVメーカーと凝縮系電池の商談を始めており、2023年内に量産を
実現できるとしている。

建造物統合のための半透明のペロブスカイト太陽光発電   
      Translucent perovskite photovoltaics for building integration

【要約】
透明な太陽光発電は、さまざまなレベルの平均可視透過率 (AVT) を提
供すると同時に集光を行い、ガラスのファサードや窓を太陽光発電に利
用できるようにする。 ただし、商用化の可能性と社会的受容を高める
には、電力変換効率 (PCE) と美学の改善が必要です。この作業は、建
物の統合に適した光学品質で、効率的なマイクロパターンの半透明ペロ
ブスカイト太陽光発電のスケーラブルな製造を示す。 最適化されたレ
ーザー スクライブされた透明領域 (25 μm) は、電気的性能への悪影響
を軽減し、44% AVT のペロブスカイト太陽電池を特徴としニュートラル
な演色性 (CRI 97) とわずか 3% のヘイズによって工業用ガラスの品質
を実証します。 スケーラビリティを強調するサブモジュールは、32%
AVT (4 cm2 開口面積) で 9.0%のPCEを生み出す。
12% AVT で 17.7%、31% AVT で 11.1% の PCE を示す 2 端子ペロブス
カイト - ペロブスカイト タンデム太陽電池への移行は、最初の半透明
ペロブスカイト タンデム太陽光発電を示す。 最後に、サブモジュール
の AVT の7% -1 絶対変化と12.0% PCE の透過率勾配の新しい概念が
提示され、アーキテクチャの個別化の基礎を提供する。



【広範な背景】
土地をめぐる競争の激化に伴う再生可能エネルギー技術への移行に後押
しされて、建物一体型太陽光発電(PV)の適用は、都市空間の効率的な使
用に不可欠です。ファサードや窓などの表面もアクセス可能にするには、
透明なPV技術が必要であり、これまでのところ、強い着色、不均一な外
観、およびしばしば効率の大幅な低下に関連していた。本研究では、独
自の光電子特性により有望なPV技術である薄膜ペロブスカイトベースの
太陽光発電と、最適化されたレーザー誘起マイクロパターニングを組み
合わせ、多様なレベルの透明性を備えた効率的な太陽電池を作製する。
結果として得られる光学的外観は、工業用ガラスの品質基準で達成され
る均一でニュートラルな演色性。さらに、モジュールへの効率的なアッ
プスケーリング、より複雑で効率的なタンデムデバイスへの移行、透明
性のバリエーションを伴う新しい設計コンセプトが提示される。


図1.透明太陽光発電の平均可視透過率の関数としての電力変換効率は、
さまざまな技術的アプローチに基く。アスタリスク(*)の付いたデータ
ポイントは、業界で入手可能な透明な太陽光発電パネルを表し、m2寸法。
データポイントに関する詳細情報は、図1にまとめられている。ESI の
S1 およびテーブル S<>。†透明PVの技術的および経済的実行可能性に
関する推定アプリケーション要件は、色付きの背景区分として描かれて
いる。



図2.図2 さまざまな透明領域形状を使用した、レーザーベースのマイ
クロパターン化された半透明ペロブスカイト太陽電池の光学的および電
気的特性と性能の特性評価。 (a) 不透明なペロブスカイト太陽電池とレ
ーザーでスクライブされたさまざまな形状の透明な領域の光学顕微鏡画
像。右下の画像のスケール バーはすべての画像に適用されます。 (b)
得られる AVT レベルの範囲に対して異なる透明領域形状を使用した PS
C の透明領域透過率。 (c) 透明領域のレーザー スクライビング前 (不
透明) とレーザースクライビング後の、製造されたデバイスのシャント
抵抗と直列抵抗。 (d) 各デバイスの正規化されたPCE。 破線は、各AVT
での保持 PCE の関数としてのデバイスの理論的有効性レベルを示す。
               -中略-
【結論】
この研究では、半透明ペロブスカイト太陽光発電について報告し、BIPV
に適した光学品質を取得しながら、単接合およびタンデムアーキテクチ
ャ向けの効率的な半透明 PV デバイスのスケーラブルな製造に焦点を当
ている。カスタムメイドのレーザースクライビングセットアップを利用
することで、直径 25 μm までのさまざまな透明領域形状の製造が最適
化され、AVT用ペロブスカイト太陽電池の電気的性能に対する悪影響を最
大44%まで最小限に抑えることが実現されました。結果として生じる半
透明の領域は均一な外観を示し、97%もの高い CRIと 3%までの最小限
のヘイズを備えたニュートラルな演色性を通じて工業用ガラスの品質を
実証する。開口面積 4 cm2 のサブモジュールにプロセスを移行すると、
AVT 32% で最大 9.0% (sPCE 8.4%) の PCEが得られ、同様の光学品質
でプロセス効率 79%(相対的な PCE 損失に対する AVT ゲインの比) が
得られる。この製造技術のスケールアップが容易。さらに、その後の 2
端子ペロブスカイト - ペロブスカイトタンデム太陽電池への移行は、
12% AVT で 17.7%、31% AVT で 11.1% もの高い PCE と、最大79%
のプロセス効率を実現しました。半透明ペロブスカイトタンデム太陽電
池。最後に、モジュールおよびセル内の透過率勾配の概念が提示され、
サブモジュールは 7%cm-1 と最大 12.0%PCE の透過率の絶対変化を特
徴とし、新しいアプリケーションとアーキテクチャの個別化のための基
盤を提供することに成功した。



熱駆動熱音響ヒートポンプシステム

  A heat-driven thermoacoustic heat pump with a single direct-
coupling configuration capable of utilizing medium/low-grade
heat for domestic applications Volume 26: Closing Carbon Cycles –
A Transformation Process Involving Technology, Economy, and
Society: Part I
https://doi.org/10.46855/energy-proceedings-10133

  
熱音響現象とは

【概要】
この論文では、家庭用アプリケーションの暖房供給に中/低品位の熱を利
用できる熱駆動熱音響ヒートポンプシステムを提案。このシステムは、
直接結合構成を備えた 1 つの単純な熱音響エネルギー変換ユニットで構
成されているため、従来の多段熱音響システムと比較してシステムの複
雑さが大幅に軽減されます。 システムの寸法パラメータは、ヒートシン
クと熱源の温度が 55 ℃と 7℃の公称条件下で最適化されました。
シミュレーション結果は、提案されたシステムが公称条件で 5.7 kW の
暖房能力と 1.40 の総合成績係数を得ることができることを示す。経済
的パフォーマンスは、年間の燃料エネルギーの節約と、個々のシステム
のエネルギー コストの節約が 20.3 MWh/年と 675 ドル/年であることを
示す。環境評価は、提案されたシステムが 3.72 tCO2/年に相当する CO2
排出を置換できることを示す。次に、システムのエネルギー変換プロセ
スをよりよく理解するために、各コンポーネントのエクセルギー損失が
与えられました。さらに、異なる熱源とヒートシンクの温度下でのシス
テム性能が研究されました。熱的要因によって音波が発生する現象が、
熱音響現象として知られている。熱音響現象の一例を、図9を参照しな
がら説明する。以下においては、説明の便宜上、小さな気体の固まりを
規定する。これは気体分子よりも大きな固まりであり、以下「気体粒Q」
とよぶ。 いま、細管内にある気体粒Qが、圧縮されつつ+X方向に変位
したとする。変位中は気体粒Qの速度が比較的大きいため、管壁Wとの
間での熱交換がなされない。したがって、このときの変化は断熱的であ
り、気体粒Qは昇温する。 +X方向の変位が最大になる点Aでは、気体
粒Qの速度が比較的小さいため、管壁Wとの間での熱交換がなされる。
点Aの近傍における管壁Wの温度が気体粒Qの温度よりも高い場合、管
壁Wから気体粒Qに熱が流入する。すなわち、気体粒Qに熱が与えられ
る。 
続いて、気体粒Qが、膨張されつつ-X方向に変位したとする。このと
きの変化も断熱的であり、気体粒Qは降温する。-X方向の変位が最大
になる点Bでは、管壁Wとの間での熱交換がなされる。点Bの近傍にお
ける管壁Wの温度が気体粒Qの温度よりも低い場合、気体粒Qから管壁
Wに熱が流出する。すなわち、気体粒Qから熱が奪われる。以上のサイ
クルが繰り返されると、気体粒Qの振幅が次第に大きくなって不安定化し、
大きな圧力変動(音波)を発生する。このように、振動の位相と加熱お
よび冷却の位相との間に特定の関係が形成された場合に、熱的要因から
音波が発生する。この熱音響現象を利用した熱機関の一つとして、熱エ
ネルギーを投入して音響エネルギーを発生させる熱音響機関(熱音響エ
ンジンとも呼ばれる)が知られている。熱音響機関の構成例を、図10
を参照しながら説明する。ここに示される熱音響機関9は、音波を発生
させるループ管91と、ここで発生した音波を伝播させる共鳴管92と
を有する。ループ管91の途中には、無数の細管が束ねられた構造を有
する蓄熱器93が設けられる。また、蓄熱器93の一方側に、高温側の
熱交換器(加熱器)94が設けられ、他方側に低温側の熱交換器(冷却
器)95が設けられる。 このような構成において、蓄熱器93の両端に
熱交換器94,95によって所定の閾値を超える温度勾配が形成されると、
熱音響現象によって、蓄熱器93の細管の内部にある流体(作動流体)
の自励振動が発生し、ループ管91に音波が生じる。すなわち、熱エネ
ルギーが音響エネルギーに変換される。このとき、共鳴管92には、定
在波と進行波が混在して発生しており、進行波成分によって、共鳴管92
の基端部(ループ管91との接続端部)から先端部C1に向けて、音響
エネルギーが輸送される。熱音響機関9で発生した音響エネルギーを取
り出すためには、共鳴管92の先端部C1に、音響エネルギーの供給を
受ける他の機関(以下「負荷機関」ともいう)90を接続して、熱音響
システムを構築する必要がある。例えば、熱音響機関9に発電機を接続
して、音響エネルギーを電力に変換する熱音響システム(熱音響発電シ
ステム)が知られている(特許文献1参照)。 
ところで、熱音響機関9と負荷機関90が接続されてなる熱音響システ
ムにおいて、熱音響機関9における負荷機関90と接続される面(接続
面)C1の音響インピーダンスと、負荷機関90における熱音響機関9
と接続される接続面C2の音響インピーダンスとが乖離していると、熱
音響機関9で発生した音響エネルギーを負荷機関90で取り出すことが
できない。すなわち、熱音響機関9から負荷機関90へ音響エネルギー
を適切に伝達するためには、熱音響機関9側の接続面C1の音響インピ
ーダンスと、負荷機関90側の接続面C2の音響インピーダンスとが、
一致(整合)している必要がある。ただし、本明細書において、二つの
接続面の「音響インピーダンスが一致する」とは、両接続面の音響インピ
ーダンスが完全に一致する場合だけでなく、両接続面を介して音響エネ
ルギーが十分に伝達する程度に各接続面の音響インピーダンスの差が小
さい場合も含む。ところが、各機関9,90の接続面C1,C2の音響
インピーダンスは、該機関9,90の様々な諸元が複雑に絡み合って規
定される値であり、熱音響機関9の接続面C1の音響インピーダンスと、
負荷機関90の接続面C2の音響インピーダンスとが、自然に(すなわ
ち、何らかの調整を行っていないのに)、一致している可能性は非常に
低い。したがって、各機関9,90の接続面C1,C2の音響インピー
ダンスを一致させるために、何らかの調整を行う必要がある。例えば、
非特許文献1には、熱音響機関とこれに接続されるリニア発電機の各接
続面の音響インピーダンスを一致させるための手法が提案されている。
ここでは、熱音響機関側の接続面の音響インピーダンスが、共鳴管の長
さL、および、蓄熱器の高温側の設定温度Tに依存し、リニア発電機側
の接続面の音響インピーダンスが、外部抵抗値Zに依存することに着目
して、両接続面の音響インピーダンスが一致するような組み合わせ(L,
T,Z)を実験により特定している。熱音響機関側の諸元である共鳴管
の長さLおよび蓄熱器の高温側の設定温度Tと、リニア発電機側の諸元
である外部抵抗値Zとを、それぞれ特定された値に変更することで、両
接続面の音響インピーダンスを一致させることができる。

【関連技術情報】
※1.「熱音響発電の基礎」 長谷川真也 日本エネルギー学会誌 92(11),
1111-1116, 2013-11-20
※2.特許第6233835号 熱音響機関及びその製造方法 学校法人東海大学
※3. ❏ 特開2023-28062 熱音響システム、および、熱音響機関の接続
方法 シンフォニアテクノロジー株式会社
【要約】
図1のごとく、熱音響機関である第1機関10と音響エネルギーの供給
を受ける第2機関20とが接続された熱音響システム100であって、
第2機関20が、第1機関10から供給される音響エネルギーを受け面
3pで受けて所定の推力Fを発生する受け部22、を備え、第2接続
面C2pの圧力振幅P2pと受け面C3pの圧力振幅P3pとが同じであり、
受け部22で所定の推力Fが発生し、かつ、第1接続面Cの音響イン
ピーダンスZと第2接続面C2pの音響インピーダンスZ2pとが一致す
るように、第1接続面Cの面積Aおよび第2接続面C2pの面積A2p
の少なくとも一方が決定されている。

図1.実施形態に係る熱音響システムを模式図
【符号の説明】
10 第1機関  11 ループ管  12 共鳴管  13 蓄熱器  14
高温側熱交換器  15 低温側熱交換器 20 第2機関  21 接続管 
22,22d 受け部 221 ピストン 222 ダイヤフラム 23 発電
部 24,24d 連結部 C1 第1接続面 Z1 第1接続面の音響イン
ピーダンス C2p,C2d 第2接続面 Z2p,Z2d 第2接続面の
音響インピーダンス C3p,C3d 受け面 100,100d 熱音響
システム


風蕭々と碧い時代❏


 John Lennon

J-POPの系譜を探る:1991 年代】


曲名:J.Boy   唄・作詞・作曲:浜田省吾
JJ.Boy (ON THE ROAD 2011 "The Last Weekend")


1975年「愛奴」として念願のデビューするも、シングルもアルバムも売
れず、大惨敗。1976年に、シンガーとしてソロデビューを果たすが、ロ
ック志向なのに、ポップな曲作りを求められ、それに流された事で、ス
ランプになり、曲も詞もかけなくなるが、曲が上手作れない。だったら
、もう自分の事を歌おうと。自分の事だったら、少なくとも正直に歌え
るんじゃないかと一つの決断をする。1986年9月にリリースされた12枚目
のアルバムタイトルは「J-BOY」。このアルバムで、初のチャート1位を
獲得。そのアルバムの曲達は、大きな共感を呼び4週間、1位の座を明け
渡すことはなかった。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)未来は善き縁で開かれる。
   Good encounters can lead you to a better future

大原問答とは;大原談義ともいう。1186年(文治2)ころ、浄土宗の開
祖法然(ほうねん)(源空(げんくう))が、のちに天台の座主(ざす)とな
る顕真(けんしん)の懇請によって、京都の大原勝林院(しょうりんいん)
における各宗の学匠(がくしょう)の集会で、その独自の浄土の宗義を説
き、談論したことをいう。東大寺の重源(ちょうげん)、三論宗の明遍(
みょうへん)、法相(ほっそう)宗の貞慶(じょうけい)、天台宗の智海(ち
かい)や証真(しょうしん)ら十数人が集まり、浄土の宗義について論じ
問うた。法然が、中国の道綽(どうしゃく)、善導(ぜんどう)による浄土
の一門の教えを説き、阿弥陀仏(あみだぶつ)の本願念仏の実践のみが悟
りに至りうることを力説すると、顕真、重源はじめ聴衆一同は感銘を深
くしたと伝える。

※念仏とは:ふつう阿弥陀仏を念ずること。仏の実相を観ずる法身念仏
(ほっしんねんぶつ)、仏の功徳や相好を思い浮かべる観想念仏(かんそう
ねんぶつ)、仏の名を口に称える称名念仏(しょうみょうねんぶつ)などが
ある。日本では当初は観想念仏が中心だったが、10世紀頃からしだいに
称名念仏が盛んとなり、観想を否定した法然の登場などによって、念仏
といえば南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)と称えることをさすようになっ
た。浄土宗では専修(せんじゅ)念仏を、浄土真宗では弥陀の本願他力(た
りき)への信を強調し、時宗では名号(みょうごう)至上主義を特色とす
る。他面、民俗社会では早くより、念仏には追善・滅罪や死霊鎮魂の機
能があるとされ、臨終や葬送、追善の仏事、彼岸や盆の行事などに用い
られた。また芸能化した民俗念仏が各地に残留している。
PS. 1,000億万回再生のマリオと任天堂の関係性の濃淡差なのかな?!

 

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特異点真っ直中 ①

2023年05月08日 | 量子電池


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん

          

     
       梅雨蝶 代田に残る カオスかな
                          宇


 温暖化環境下において東南極氷床が融解し得ることを発見
   海面が将来大幅に上昇するリスクへの警鐘
【要点】
1.海面が将来大幅に上昇するリスクへの警鐘
2.この氷床の縮小が海面上昇に影響していることを解明。
3.南極氷床と海面変動の将来予測の高精度化への貢献に期待。
【概要】
 4月18日、北海道大学低温科学研究所らの国際的研究グループは、東南
極沖の海底堆積物コアの解析から、地球表層が温暖化していた最終間氷
期(13–11.5 万年前)において、東南極の一部の氷床*3が後退し 当時
の海面上昇に大きく寄与したことを解明。近年の温暖化で、西南極氷床
の融解は加速しており、今後これが数メートル規模の海面上昇につなが
る可能性がある一方、東南極氷床は西南極氷床に比べて、温暖化に対し
て安定的だと考えられてきたが、近年になり東南極氷床の一部で融解が
観測され始めたため、今後の温暖化により、東南極氷床の著しい融解が
起きるかどうかに注目が集まっている。そこで、この研究では、過去の
温暖な時代(最終間氷期)の東南極氷床の変動を復元し、将来の温暖化
で東南極氷床が縮小する可能性があるのかを検証。
その結果、13–11.5万年前の最終間氷期に、東南極氷床の著しい縮小が
2回発生していたことを解明した。これらの氷床の縮小は 海面を約0.8
メートル上昇させるほどの規模であったと見積もられていた。よって、
地球温暖化が持続した場合、西南極氷床だけでなく東南極氷床の一部も
融解し、より大きな海面上昇が引き起こされる可能性があることが示さ
れた。


図1.南極の岩盤の高さと調査地点の地図。上図は南極の岩盤の高さと
地域名を示した。色付きの地域は岩盤が海面下にあり、海洋性の氷床が
存在している。下図はウィルクス海盆の地域を拡大した地図。破線はウ
ィルクス海盆の位置を示す。赤線は、本研究で得られた最終間氷期のウ
ィルクス海盆の氷床の後退位置。
【展望】
本研究は、東南極氷床が温暖化に対して比較的安定と考えられていたの
に反して、温暖化に対する脆弱性を示すとともに、海面上昇に実質的に
寄与する可能性も示唆。これらの結果は、将来の温暖化による東南極氷
床の縮小とそれに伴う海面上昇に警鐘を鳴らす。最新のIPCC(気候変動
に関する政府間パネル)の報告書では、将来の南極氷床の変動予測は不
確実性が大きいとされている。本研究はそのような予測の高精度化の一
助になると考える。東南極にはウィルクス海盆のほかにも、海洋性の氷
床域(リカバリー海盆やオーロラ海盆:図1)が存在する。それらの地
域の氷床が失われると、海面上昇が数メートル以上引き起こされると推
定。本研究から、そのような他の海洋性の氷床域もウィルクス海盆の氷
床と同様に温暖化に脆弱である可能性が示唆。そのため、温暖化による
将来リスクをより正確に評価するためには、東南極の他の海洋性の氷床
域における氷床の安定性に関する研究も進めていく必要がある。


【論文情報】
論文原題:Multiple episodes of ice loss from the Wilkes Subglacial Basin du-
ring the Last Interglacial
(最終間氷期におけるウィルクス海盆からの複数
の氷床縮小エピソード)
雑誌名 Nature Communications(英科学誌)
DOI 10.1038/s41467-023-37325-y
公表日 2023年4月18日(火)(オンライン公開)

     


【再エネ革命渦論 119: アフターコロナ時代 318】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング
 


❏ 1nm半導体量子細線の作製に成功 
量子の熱帯魚パターンが拓く未来のナノテク
5月4日、京都大学らの国際共同研究グループは、グラファイト基板上に
塩化ルテニウム(半導体)のナノ量子細線を作製する手法を発見。この
量子細線は、厚みと幅が約1ナノメートル(原子数個分)と極めて細い
にもかかわらず、長さが1マイクロメートルを大きく超える。また、ほ
ぼ直線で等間隔に並び、細線の幅や間隔を変えることも可能となる。こ
のような量子細線のパターンは、これまでにはない新しい機構に基づく
もので、熱帯魚のしま模様やキリンのまだら模様が生じるのと同じ原理
で自発的に形成されている可能性が高いことも研究グループは明らかに
した。


【概要】
量子技術の継続的な進歩は、ナノメートル スケールのワイヤの製造に
依存する。いくつかの最先端のナノリソグラフィ技術とボトムアップ合
成プロセスがこれらのワイヤを設計するために使用されてきたが、均一
な原子スケールの結晶ワイヤを成長させ、それらのネットワーク構造を
構築することには重大な課題が残っている。ここでは、ストライプ、X
ジャンクション、Y ジャンクション、ナノリングなど、さまざまな配置
で原子スケールのワイヤを製造する簡単な方法を発見しました。バンド
ギャップがワイドギャップ半導体のバンドギャップに匹敵するモット絶
縁体の単結晶原子スケールワイヤは、パルスレーザー堆積によってグラ
ファイト基板上に自発的に成長します。 これらのワイヤは 1 ユニット
セルの厚さで、正確な幅は 2 および 4 ユニット セル (1.4 および 2.8
nm) で、長さは最大数マイクロメートルです。 非平衡反応拡散プロセ
スが原子パターン形成に重要な役割を果たしている可能性があることを
示唆。この調査結果は、原子スケールでの非平衡自己組織化現象に関す
るこれまで知られていなかった視点を提供し、ナノネットワークの量子
アーキテクチャのためのユニークな道を開く。

【方法及び成果】
今回研究グループは、パルスレーザー堆積法(注 3)を用いて高品質の
塩化ルテニウム(RuCl3 )薄膜をグラファイト基板表面に蒸着した。得ら
れた試料は超高真空下で走査型トンネル顕微鏡(注 4)(STM)に輸送
し、表面を原子分解能で観察した。通常の薄膜成長では、核となる原子
を中心にクラスターが形成される島状成長や、一層ごとに膜が成長する
膜状成長が起きるが、今回得られた結果はそれらとは異なり、幅が原子
数個分のβ-RuCl3 量子細線が周期的にならんだ構造が基板表面に形成
されている(図 1)。驚くべき ことに、この量子細線は幅が原子数個
分であるにもかかわらず、その長さは1マイクロメートル(注 5)以上
にも及びます。また、蒸着時間や基板の温度を変えることで、これらの
量子細線の幅と間隔をチューニングで きます。さらにこの方法では、
縞模様だけではなく、X 字や Y 字のジャンクション・リング・渦巻き
模様も形 成されました(図 2)。これらのパターンはいずれも量子回
路、光感応デバイス、原子コイルなどの応用先が考 えられる、とても
興味深いものである。

研究グループは渦巻き模様を含むいくつかのパターンに注目し、この量
子細線パターンの形成機構は非平衡 プロセス(注 6)である可能性が高
いことを理論的に明らかにしました。このことは、従来考えられていた
限 界を超える、原子スケールのチューリングパターンによる量子細線形
成を示唆。さらに、トンネル伝導 度(注 7)の実験と理論的なバンド計
算(注 8)を比較することで、β-RuCl3の量子細線はモット絶縁体(注
9)であることも明らかにしました。これまでの実験では実現や測定の難
しかった特殊な状態がこの系で生じている可能性がある。
【展望】
従来の限界を超えた、原子数個で構成された量子細線パターン作製の実
現は、新しい超微細加工技術の可能性を拓く。量子細線パターン自身を
回路として使うだけではなく、リソグラフィ用のマスクとし、グラフェ
ンなどの他の物質を微細加工するなどの応用も考えられる。また、得ら
れた量子細線では特異な現象、例えば、朝永・ラッティンジャー液体
呼ばれる電荷とスピンが分離した状態や、トポロジカル量子コンピュー
タの実現に必要なマヨラナ粒子などが出現している可能性がある。今回
の成果は、応用だけでなく基礎研究面でも、新奇物理現象を探索する非
常に興味深い舞台を提供する。
【関連論文】
Growth of self-integrated atomic quantum wires and junctions of a Mott semi-
 conductor”, DOI:10.1126/sciadv.abq5561


❏ カゴメ格子を持つ超伝導体の電子を直接観測
特異な超伝導
状態「カイラル超伝導」実現の可能性
4月26日、東京大学物性研究所附属極限コヒーレント光科学研究センタの
研究グループは、「非従来型超伝導体」の1つとして最近注目を集めて
いる「カゴメ格子」を持つ超伝導体において、その超伝導メカニズムを
解明するための重要な手掛かりとなる「超伝導ギャップ構造」を明らか
にしました。「カゴメ格子」とは、原子が「籠目」状に配列した状態の
ことですが、最近カゴメ格子を持つ超伝導体が、これまでに知られてい
るメカニズムとは異なるメカニズムで超伝導が実現している超伝導体で
ある「非従来型超伝導体」であることが明らかになっていたが、多くの
非従来型超伝導体と同様に、カゴメ格子を持つ超伝導体の超伝導転移温
度が低いため、超伝導状態にある電子の直接観測が難しく、そのメカニ
ズムの実験的な理解については限定的。今回、東京大学物性研究所で開
発された「極低温超高分解能レーザー角度分解光電子分光装置」に、「
深紫外連続波レーザー」を新たに導入することで、カゴメ格子を持つ超
伝導体における電子の直接観測に世界で初めて成功。この研究成果は、
カゴメ格子を持つ超伝導体では「時間反転対称性の破れ」が生じている
極めて特異な超伝導状態である「カイラル超伝導」が実現していること
が示唆されるなど、その超伝導メカニズムの全容解明に繋がる重要な知
見となることを期待する。
【要点】
1.非従来型超伝導体の1つとして注目を集めているカゴメ格子を持つ
 超伝導体中の電子状態を世界で初めて直接観測することに成功。
2.非従来型超伝導体の1つとして注目を集めているカゴメ格子を持つ
 超伝導体中の電子状態を世界で初めて直接観測することに成功。
3.カゴメ格子を持つ物質で実現している非従来型超伝導の特徴とその
 メカニズムの全容解明に繋がる重要な知見となることが期待。


図1.カゴメ格子を持つ超伝導体における電子の直接観測と電子ペアの
 回転により生じる時間反転対称性の破れ
【概要】
カゴメ格子を持つ超伝導体も非従来型超伝導体の一つで、今回研究対象
となった物質であるCsV3Sb5は絶対温度約93度で、物質中の電子の電荷密
度が周期的に変調する「電荷密度波転移」と呼ばれる相転移を示し、約
3度で超伝導を示唆。さらに、電荷密度波転移に伴い時間反転対称性の
破れが生じている証拠が得られていることから、超伝導状態においても
時間反転対称性の破れが生じている可能性があることで注目を集めてい
たが、超伝導を示す温度が低いことから、その超伝導状態の全容解明が
困難。今回、CsV3Sb5におけるバナジウム(V)を少量ニオブ(Nb)や タンタ
ル(Ta)で置換すると超伝導転移温度が上がることに着目(図2)。さらに、
バナジウムの7%をニオブで置換すると超伝導転移温度が5度程度に上が
る一方で電荷密度波転移は残るのに対し、バナジウムの14%をタンタル
で置換すると超伝導転移温度は同程度上がる一方で電荷密度波転移が無
くなる。したがって、両者の超伝導状態の詳細を調べることで、電荷密
度波転移と超伝導の関係について理解できることが期待されます。また、
東京大学物性研究所で開発された、世界最高性能を誇る「極低温超高分
解能レーザー角度分解光電子分光装置」に、今回株式会社オキサイドが
開発した「深紫外連続波レーザー」を導入することにより、これら2種
類の試料の超伝導状態をより高精細に調べることを可能にした。


図2.Cs(V1-xNbx)3Sb5およびCs(V1-xTax)3Sb5の電荷密度波転移温度および
超伝導転移温度バナジウムをニオブで置換すると超伝導転移温度が上が
る一方で電荷密度波転移は無くならないのに対し、バナジウムをタンタ
ルで置換すると超伝導転移温度は上がる一方で電荷密度波転移が無くな
る。
【成果】
世界で初めてカゴメ格子を持つ超伝導体の「超伝導ギャップ構造」を高
精細に測定することに成功した。図3がその結果で、両試料ともに超伝
導状態における電子対のペアリングの強さを示す「超伝導ギャップ」の
大きさが、電子の軌道や運動方向に依らないことを明らかにしました。
さらに、電荷密度波転移が無くなったTa置換試料において、超伝導状態
において時間反転対称性が破られていることを示唆する結果も得ており、
電荷密度波転移の有無に関係なく、これらのカゴメ格子を持つ超伝導体
においては電子のペアが右回りもしくは左回りに回ることで時間反転対
称性の破れが生じる「カイラル超伝導」という特異な超伝導状態が実現
している可能性があることを明らかにした(図4)。

図3.この研究により明らかになった電荷密度波転移と超伝導ギャップ
(電子のペアリングの強さ)の関係電荷密度波転移の有無に関わらず、電
子の軌道や運動方向に依らない等方的な超伝導ギャップとなることを解
明する。
【展望】
今回導入された「深紫外連続波レーザー」により、今後もさまざまな超
伝導体における超伝導状態の詳細が明らかにされるとともに、これまで
に無い超伝導のメカニズムが発見されることが期待されており、中には
より高い温度での超伝導の実現、室温超伝導を実現し得る新たなメカニ
ズムの発見に繋がる。
【関連技術情報及び脚注】
1.カゴメ格子を持つ超伝導体の電子を直接観測 ―特異な超伝導状態「
カイラル超伝導」実現の可能性―, 東京大学物性研究所, 2023.04.27
2.超高分解能角度分解光電子顕微分光装置の開発に成功:Development
of laser-based scanning µ-ARPES system with ultimate energy and momentum
resolutions, Ultramicroscopy Volume 182, November 2017, Pages 85-91,
https://doi.org/10.1016/j.ultramic.2017.06.016
 
3.広島大学放射光科学研究センタ:
http://www.hsrc.hiroshima-u.ac.jp/research/result/44.html#header,
4.極低温超高分解能レーザー角度分解光電子分光装置:紫外線やX線を物
質に照射すると、光電効果により電子が放出されます。単一のエネルギーを
持つ紫外線レーザーを照射して、放出される光電子の放出方向と運動エネル
ギーを測定することで、物質中の電子の運動量とエネルギーの関係、分散関
係が導出できる実験が「レーザー角度分解光電子分光」という実験手法です
。本研究グループは東京大学物性研究所において、より多くの物質が超伝導
状態になる極低温まで温度を下げることを可能にし、さらに電子の運動エネル
ギーをより精密に測定できるようにすることで超伝導ギャップをより高精細に
測定することも可能にした「極低温超高分解能レーザー角度分解光電子分光
装置」を開発しました。

❏ 高分子のモノマー配列を質量分析とAIで決定する解析手法
新たな素材開発やプラスチックのリサイクル・劣化評価のツール
04.28 国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS) は質量分析にAI
を取り入れることで、高分子のモノマ配列を決定する手法を開発。
【要点】
1.高分子 (ポリマ) は、原料である小さな分子 (モノマー) が百~
 数十万個も鎖状につなぎ合わさってできた巨大分子です。中でも、身
 の回りにあふれる高分子材料 (プラスチックや樹脂) の多くは、いく
 つかのモノマを組み合わせたコポリマという高分子を設計することで、
 望みの材料性能を発揮させているが、複数種類のモノマが特徴的な並
 び方をした部分配列 (短い鎖) を構成し、それがランダムに繋がって
 コポリマを形作っている----例えば、同じ種類のモノマが連続する割
 合が高い・低いといった配列の分布は、材料の性能や劣化挙動などに
 大きな影響を与えると考えられている。この様な関係性に基づいて最
 適な高分子材料を分子設計には、配列分布を定量的に決定できる「ポ
 リマ・シークエンサ」の開発が望まれていたが、実験的に配列を決定
 できる汎用的な解析手法はこれまでなかった。
2.今回、研究チームは、質量分析データをAIによって解析することで
 配列分布を定量的に決定する、世界初の実用的なポリマ・シークエン
 サを開発。具体的には、プラスチック材料を室温から徐々に加熱する
 と、鎖状の高分子は切れやすい部分から連続的に分解します。この高
 分子の断片を質量分析すると、元々の高分子に含まれていた部分配列
 の種類とその個数を反映した質量分析データが得られる。この実測さ
 れた質量分析データをAI解析し、元々の高分子を、部分配列ごとに並
 んだ仮想的な高分子として並び替えることで、高分子の中での配列を
 定量化した。ポリマーシークエンサによる配列解析は、モノマの種類
 や成分数に制約を受けず、広範なモノマの組み合わせに対
しても適用
 できる。また断片が気化さえすれば、不溶・不融のサンプルや、無機
 成分を含むコンポジットでも解析できることから、様々な実材料への
 応用が期待される。
3.質量分析データをAIにより解析することで配列分布を定量的に決定
 する、世界初の実用的なポリマ・シークエンサを開発。具体的には、
 プラスチック材料を室温から徐々に加熱すると、鎖状の高分子は切れ
 やすい部分から連続的に分解。この高分子の断片を質量分析すると、
 元々の高分子に含まれていた部分配列の種類とその個数を反映した質
 量分析データが得られる。この実測された質量分析データをAI解析し、
 元々の高分子を、部分配列ごとに並んだ仮想的な高分子として並び替
 えることで、高分子の中での配列を定量化した。ポリマ・シークエン
 サによる配列解析は、モノマの種類や成分数に制約を受けず、広範な
 モノマの組み合わせに対しても適用できる。また断片が気化さえすれ
 ば、不溶・不融のサンプルや、無機成分を含むコンポジットでも解析
 できることから、様々な実材料への応用が期待されている。
4.今後、「ポリマ・シークエンサ」を基軸に、高分子材料における配
 列—物性相関解析や、配列制御重合法の開発を進めることで、高分子材
 料全般の性能向上を図っていく。これにより、機能的なプラスチック
 による環境汚染問題の解決や、サーキュラ・エコノミに資する高分子
 材料の開発への展開できる。
【関連論文】
題目 : A data-driven sequencer that unveils latent “codons” in synthetic copolymers
著者 : Yusuke Hibi, Shiho Uesaka, Masanobu Naito
雑誌 : Chemical Science
掲載日時 : 2023年3月21日
掲載 DOI :10.1039/D2SC06974A


図.高分子鎖の仮想的再配列による部分配列の定量

❏ 固体電解質表面におけるリチウムの移動度を探る
4月28日、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の研究グループは、
電池内部のナノスケール変化----電解質と電極の接合部において、高速
振動がリチウムイオンの移動を遅くしていることを発見し、電池の性能改
善に新たな展望をもたらす可能性を見い出す。




NbFeSbハーフホイスラー合金の粒界相:
  熱電材料の輸送特性を調整するための新しい方法
【要役】
燃料やバイオ燃料を燃やすと、多くのエネルギーが廃熱として失われる。
熱電材料を使用するとこの熱を電気に変換できるがが、現在の材料は技
術的な応用には効率的ではない。Max Planck Institut für Eisenforschung
研究グループは、熱電材料の微細構造の影響を明らかにし、チタンを添
加することで材料の特性を最適化することにより、熱電材料の効率を高
めました。材料の粒界相の化学と原子配列は、粒界を通る電子の伝導を
定義し、チタン添加することで、電気伝導性が向上。
熱電材料は、温度差があると電気電圧が生成されるため、廃熱から電気
を生成することができる。現在の熱電材料は十分に効率的ではないため
熱電材料の最適化により、産業用途に繋げることができる。
同グループは、8%の効率で廃熱を電気に変換できるニオブ、鉄、アン
チモンの合金を研究し、チタンを添加することで効率を最大40%まで高
めることができた。現在の研究は、材料の原子構造と機能的特性を関連
付け、特定の特性を最適化する方法を示す。
 


図1.電気輸送に対する粒子サイズの影響。 粒径 (GS) は焼結温度によ
って調整され、a) 1123 K および b) 1273 K で焼結されたNb0.95Ti0.05
FeSb サンプルと、c) 1123 K および d で焼結された Nb0.80Ti0.20FeSb
サンプルの EBSD マップに示されています。 ) 1273 K. e) 電気伝導度
σ と f) 加重移動度 μw は、Nb0.80Ti0.20FeSb のさまざまな粒径の影響
をほとんど受けないが、Nb0.95Ti0.05FeSb の微粒子では大幅に低下する。
【関連論文及び情報】
1.Grain Boundary Phases in NbFeSb Half-Heusler Alloys: A New Avenue to
    Tune Transport Properties of Thermoelectric Materials, Advanced Energy
      Materials Volume 13, Issue 13 2204321 ,
      https://doi.org/10.1002/aenm.202204321
2.More power from waste heat. Tuning thermoelectric materials for efficient
     power generation, Max-Planck- Gesellschaft, April 28, 2023

❏ 高強度ゲル電解質被膜がリチウム金属負極の寿命を延ばす
リチウム二次電池のエネルギー密度大幅増に期待
4月19日、国立研究開発法人物質・材料研究機構 (NIMS)の研究グループは
非常に高い力学強度をもつ高分子ゲル電解質を創製し、リチウム金属負極の
保護被膜に適用することで、リチウム金属電池のサイクル性能を大幅に向上
に成功。 
【要点】
1.リチウム金属負極は非常に高い理論容量と低い作動電位を持つ反面、充
 電と放電に伴うリチウムの溶解と析出のサイクルが不完全になりやすく、充
 放電サイクルの寿命や安全性に問題があります。そのため、リチウム金属
 負極を用いた二次電池の充放電サイクルの安定性を向上させる技術が求め
 られている。
2.高濃度リチウム塩を含む有機溶媒 (電解液) と水素結合性高分子から形
 成されるゲル電解質を開発しました。このゲル電解質は非常に高い力学強
 度と伸長性を持つことが特長で、これをリチウム金属負極の人工的な保護
 被膜として用いることで、サイクル安定性が大きく向上することが今回実証
 された。
【要約】
濃縮リチウム (Li) 塩電解質の強いインターポリマー水素結合を利用して調製
できる、非常に丈夫で伸縮性のあるゲル電解質が報告されている。 これらの
電解質は、ポリマー鎖、溶媒分子、Li カチオン、および対アニオン間の競合的
な水素結合相互作用を最適化することによって実現できる。 通常、インターポ
リマーの水素結合を妨げる遊離極性溶媒分子は、濃縮電解質にはほとんど
ない。 この機能を利用して、前例のない靭性を備えた水素結合ゲル電解質を
調製できる。 対照的に、遊離溶媒分子は典型的な濃度の電解質に豊富に含
まれており、かなり弱いゲル電解質を生成。 頑丈なゲル電解質は、Li 金属ア
ノードの人工保護層として使用できる。これは、均一な Li の析出/溶解により、
Li 対称セルのサイクル安定性が大幅に向上するためであり、ゲル電解質を
保護層として使用すると、Li||LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2 フルセルのサイクル性能が
大幅に向上する。


【展望】
保護被膜としてのゲル電解質の最適化を進め、広範な電解液系への応用や
次世代正極との組み合わせを検討。

❏  レーザー焼き入れで使用済み歯車を修復、寿命を新品同等以上に延長
4月25日、日立建機株式会社とNIMSは、使用済み歯車の表面にレーザー焼
き入れすることで、摩耗によって損傷した部分を修復する手法を共同で開発。
尚、なお、本手法は、炭素を拡散させて金属の表面を強化する浸炭処理を施
した歯車を対象とする。
【要点】
これにより、従来、廃棄の対象としていた歯車の再生利用率が約25%向上。
20トンクラスの油圧ショベルの場合、毎回の定期部品交換時、新品ではなく再
生された歯車を利用することで、新品部品を製造するときに発生するCO2排出
量1台当たり約13kgの低減が見込まれます。将来的には、鉱山機械の再生部
品への本手法の適用や部品再生を行っている日立建機グループの海外拠点
への導入も計画している。



❏ リチウムイオン電池を超える走行距離を実現するリチウム空気電池
2月22日、・アルゴンヌ国立研究所(ANL)とイリノイ工科大学の共同研究グル
ープが、一回の充電で 1,000 マイル(約 1,600km)の航続距離を可能にするリ
チウム空気電池を開発。
【要点】
1.従来設計の液体電解質に代わる固体電解質を使用した新電池設計で、リ
 チウムイオン電池の最大 4倍のエネルギー密度(1,200Wh/kg)が可能。航空
 機や長距離トラックへの給電も期待できる。また、固体電解質では、液体電
 解質のような過熱や発火の危険性が無く、安全性が確保できる。
2.室温下での電子 4 個による反応を初めて達成したリチウム空気電池設計
 で、空気中の酸素を使用して作動する。初期設計の課題であった酸素タンク
 も不要。
3.リチウム空気電池では、放電時にリチウム金属アノードのリチウムが液体
 電解質中を移動して酸素と結合後、カソードで過酸化リチウム(Li2O2)や超
 酸化物(LiO2)を形成し、充電時にはそれらがリチウムと酸素に分解されるこ
 とでエネルギーを貯蔵・放出。
4.新電池設計の固体電解質は、比較的安価な元素のナノ粒子ベースのセラ
 ミックポリマー材料で構成され、放電時に酸化リチウム(Li2O)生成反応を促
 進する。従来の Li2O2 や LiO2 の化学反応に含まれる電子は酸素分子毎
 に 1~2 個。一方、Li2O では 4 個の電子が含まれるため、より高いエネル
 ギー密度が得られる。
【要約】
リチウム酸化物 (Li2O) の形成に基づくリチウム空気電池は、理論的にはガソ
リンに匹敵するエネルギー密度を提供できる。 酸化リチウムの形成には、そ
れぞれ超酸化リチウム (LiO2) と過酸化リチウム (Li2O2) をもたらす 1 電子お
よび 2 電子反応プロセスよりも達成が難しい 4 電子反応が含まれる。 修飾ポ
リエチレンオキシド ポリマー マトリックスに埋め込まれた Li10GeP2S12 ナノ粒子
に基づく複合ポリマー電解質を使用することにより、Li2O が室温固体リチウム
空気電池の主な生成物であることを発見した。 このバッテリーは、分極ギャッ
プが小さく、1000 サイクルの充電が可能で、高速で動作する。 4 電子反応は、
混合イオン-電子伝導性放電生成物とその空気との界面によって可能となる。
----------------------------------------------------------------------------------------------
【関連特許情報】



❏ WO2016/002277 <多孔質体およびその製造方法、構造体、蓄電装置、触
媒、トランジスタ、センサー、太陽電池、リチウム電池および気化装置 アンヴ
ァール株式会社
【要約】
下図1のごとく、 平均サイズが2μm以下であり、かつ最小サイズが60nm以
上である細孔を有する炭素構造体20を具備する多孔質体。多孔質金属10と
、前記多孔質金属の表面を覆うように設けられた層状構造を有する遷移金属
カルコゲナイド膜24と、を具備する多孔質体。脱合金化により形成された多
孔質金属10を細孔12およびリガメント14のサイズが大きくなるように熱処理
する工程と、前記多孔質金属の表面に、ディラックコーン型の電子状態密度を
有する炭素構造体20を形成する工程と、を含み、前記熱処理する工程は、前
記炭素構造体を形成する工程の前または同時に実施される多孔質体の製造
方法。

図1.(a)から図1(d)は、実施形態1に係る多孔質体の製造方法を示す断面
   図である。
【符号の説明】
10 多孔質金属 12 細孔 14 リガメント 20 炭素構造体 22 細孔 24 層 30、
32 多孔質体 34、36 構造体 40 蓄電装置 42 正極 44 電解質 46 負極
【請求範囲】
【請求項1】 平均サイズが2μm以下であり、かつ最小サイズが60nm以上で
ある細孔と前記細孔を覆うように設けられたグラフェン層とを有する炭素構造
体を具備することを特徴とする多孔質体。
【請求項2】 前記炭素構造体は、ディラックコーン型の電子状態密度を有する
ことを特徴とする請求項1記載の多孔質体。
【請求項3】 前記細孔内は空洞であることを特徴とする請求項1または2記載
の多孔質体。
【請求項4】 多孔質金属を具備し、 前記炭素構造体は、前記多孔質金属の表
面を覆うことを特徴とする請求項1または2記載の多孔質体。
【請求項5】 前記炭素構造体は、触媒となる物質を含むことを特徴とする請求
項1から4のいずれか一項記載の多孔質体。 【請求項6】 前記炭素構造体は、
窒素、ホウ素、リン、硫黄、ニッケルおよびマンガンの少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の多孔質体。
【請求項7】 前記細孔の平均サイズは1μm以下であることを特徴とする請求
項6記載の多孔質体。
【請求項8】 多孔質金属と、 前記多孔質金属の表面を覆うように設けられた層
状構造を有する遷移金属カルコゲナイド膜と、 を具備することを特徴とする多
孔質体。
【請求項9】 請求項1から8のいずれか一項記載の多孔質体を潰した構造を有
することを特徴とする構造体。
【請求項10】 結晶粒の平均サイズが2μm以下である金属と、 前記結晶粒を
覆うように粒界に設けられたグラフェン層と、 を具備することを特徴とする構
造体。
【請求項11】 請求項3記載の多孔質体の炭素構造体を酸化させた構造を有
することを特徴とする構造体。
【請求項12】 請求項1から7のいずれか一項記載の多孔質体の炭素構造体
を酸化および還元させた構造を有することを特徴とする構造体。
【請求項13】 請求項1から8のいずれか一項記載の多孔質体または請求項
9から12のいずれか一項記載の構造体を含むことを特徴とする蓄電装置。
【請求項14】 請求項1から8のいずれか一項記載の多孔質体または請求項
9から12のいずれか一項記載の構造体を含むことを特徴とする触媒。
【請求項15】 請求項1から8のいずれか一項記載の多孔質体または請求項
9から12のいずれか一項記載の構造体を含むことを特徴とするトランジスタ。
【請求項16】 請求項1から8のいずれか一項記載の多孔質体または請求項
9から12のいずれか一項記載の構造体を含むことを特徴とするセンサー。
【請求項17】 請求項1から8のいずれか一項記載の多孔質体または請求項
9から12のいずれか一項記載の構造体を含むことを特徴とする太陽電池。
【請求項18】 脱合金化により形成された多孔質金属を細孔およびリガメント
のサイズが大きくなるように熱処理する工程と、 前記多孔質金属の表面に、
前記多孔質金属を覆うグラフェン層を形成することにより炭素構造体を形成
する工程と、 を含み、 前記熱処理する工程は、前記炭素構造体を形成する
工程の前または同時に実施されることを特徴とする多孔質体の製造方法。
【請求項19】 NおよびSの少なくとも一方がドープされ、平均サイズが2μm以
下であり、かつ最小サイズが60nm以上である細孔と前記細孔を覆うように
設けられたグラフェン層とを有する炭素構造体を含む電極を具備することを特
徴とするリチウム電池。
【請求項20】 前記電極は正電極であり、前記リチウム電池はリチウム空気電
池であることを特徴とする請求項19記載のリチウム電池。
【請求項21】 請求項1から8のいずれか一項記載の多孔質体または請求項
9から12のいずれか一項記載の構造体を含むことを特徴とする気化装置。

尚、下記の特許事例は、リチウム電池及び全固体二次電池で、千回リサイク
ルを条件とし空気電池でない事例で膨大な(135頁)特許である。

❏ 特開2023-22303 複合型単層化学架橋セパレータ 旭化成株式会社
【要約】
図1のごとく、蓄電デバイス用セパレータは、ポリオレフ ィンを含む基材と、そ
の上に形成された一つ又は複数の 層を有する。基材に含まれるポリオレフィ
ンは、蓄電デ バイス内で架橋構造を形成する1種又は2種以上の官能 基を
有する。一実施形態において、層は、無機粒子を含 む層及び熱可塑性ポリ
マーを含む層である。他の実施形 態において、層は、熱可塑性ポリマー含有
層、活性層、 及び耐熱性多孔質層などの表面層であることで、より安全性の
高い蓄電デバイス用セ パレータ、及びこれを用いた蓄電デバイス等を提供す
る 。

図1.図1(A)は、非架橋ポリオレフィン基材層と無機粒子層とを有する蓄電
デバイ ス用セパレータの両端を開放した状態で熱収縮させたときの挙動を示
す模式図である。図 1(B)は、非架橋ポリオレフィン基材層と無機粒子層とを
有する蓄電デバイス用セパレ ータの両端を固定した状態で熱収縮させたとき
の挙動を示す模式図
【符号の説明】
 1a  非架橋ポリオレフィン基材層  1b  架橋ポリオレフィン基材層  2  
無機粒子層  3  熱可塑性ポリマー層  4  応力  5  無機粒子層の座屈
破壊  6  基材層の引張破壊  7  局所短絡  8  圧力  9  島構造  
10  セパレータ  20  固定治具  30  正極  40  負極  100 蓄電
デバイス  d  島構造同士の距離


風蕭々と碧い時代


 John Lennon

J-POPの系譜を探る:1990年代】


曲名:浪漫飛行   唄:米米CLUB
作詞・作曲 米米CLUB

80年代後半から90年代後半を代表するバンドのひとつである米米CLUBは、
数々のミリオンセラーを生み出していが、1982年に結成され、1985年10
月21日にデビュー。アマチュア時代より「謎のパフォーマンスグループ」
としてメディア出演を精力的に行い、当初は奇抜なルックスとお笑い芸
人のようなパフォーマンスで「イロモノ」として活動。音楽ジャンルは
大まかにポップスとされることが多いが、ソウルやファンク、ムード歌
謡など幅広いジャンルをこなす。1990年4月8日にリリースされた10枚目
のシングル『浪漫飛行』。週間オリコンチャートでは堂々の1位を獲得
し後世に語り継がれる、今もなお様々なメディアで使用される楽曲だが、
日本航空のCMソングにも起用され、1996年の紅白歌合戦ではこの楽曲を
演奏した。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)未来は善き縁で開かれる。
   Good encounters can lead you to a better future

『阿弥陀経』は、大乗仏教の聖典の一つ。原題は『スカーヴァティー・
ヴィユーハ』で、「極楽の荘厳」「幸あるところの美しい風景」の意味
である。サンスクリットでは同タイトルの『無量寿経』と区別して『小
スカーヴァティー・ヴィユーハ』とも呼ぶ。略称は、『無量寿経』の『
大経』に対して、『小経』と呼ばれる。まず阿弥陀仏の極楽浄土の荘厳
を説き、次にその浄土に往生するために阿弥陀仏の名号を執持(しゅう
じ)することを勧め、次に六方世界諸仏がこの説を讃嘆・証誠して信ず
ることを勧めていることを話した後、極楽に生まれるように願いを起こ
すべきであることを再び説き、ブッダにとって、この乱れた世界の人々
にこれらのことを信じてもらうことはとても困難な事だったと締め括ら
れる。via Wikipedia

 

コメント
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人口減少時代の地域再生概論 ⑨

2023年05月04日 | #政府会計論#少子化政策論


彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん




【滋賀グルメ探訪:二つのマス親子丼】
朝暫くしてから、牛蒡巻き寿司が欲しいというので、道の駅「アグリの
郷栗東」でかけ買い物。途中、 大津市堅田の「びわ湖大橋米プラザの
」で「ニジマス親子丼定食」(\1,700/上左写真)でランチを頂き、
「でそれにしても道は再開発で広くなりゆったりと運転でき「食・住・
職・遊・交」がバランスよく展開でき快適な環境といえば"オウミ"は、
トップ・スリーに入るんじゃないかなどと話しながら正午に帰宅。



ところで、同じ親子丼生色でもニジマスとビワマスでは異なるジャン!
と気付いたのは券売機にたった時とミスを悔やむも。結局、おいしく頂
き、また別の機会に再チャレンジ(断念)。
ニジマス(虹鱒、学名:Oncorhynchus mykiss、英名:Rainbow trout)は、
サケ科に属する魚。成魚の体長は一般的に約40cm前後であるが、大型の
ものは60-120cmにまで成長することもある。小型のニジマスは一生を淡
水で過ごす陸封型(河川残留型)、大型のニジマスは川から海へ下って
再び川へ戻ってくる降海型で、大きさだけでなく見た目も全く違う。陸
封型をレインボートラウト、降海型をスチールヘッドと別々の名前で呼
ぶのは、かつては別の魚だと考えられていた名残である。川にいる一部
の固体が海へ下るために海洋に適応した形に変態することをスモルト(
銀化)と言って、サケ科の魚に特有の現象(上左図像)。

ビワマス(琵琶鱒、学名:Oncorhynchus masou rhodurus、英: Biwa trout
は、サケ目サケ科に属する淡水魚。日本の琵琶湖にのみ生息する固有亜
種。産卵期には大雨の日に群れをなして河川を遡上することから、アメ
ノウオ(雨の魚、鯇、鰀、江鮭)ともよばれ、体側の朱点(パーマーク)
は、体長20cm程度で消失し成魚にはない。成魚の全長は40- 50cmほどだ
が、大きいものでは全長70cmを超えることもある。サクラマスと同じく
ヤマメの亜種であり、DNAの特徴も外観もサクラマスに近いが、サクラ
マスよりも眼が大きいことと、側線上横列鱗数が21-27でやや少ない事
で見分けられる。琵琶湖固有亜種だが、現在では栃木県中禅寺湖、神奈
川県芦ノ湖、長野県木崎湖などに移殖されている。また、人工孵化も行
われている(上右写真)。

  2023.04.27

村上春樹が新刊をだす(ハードカバー)。時間をかけ読み切ることにし
た。それにしてもひさしぶりであるが、新鮮な感動が生まれるかページ
を捲る。ますは触りから。

 十七歳と十六歳の夏の夕暮れ……川面を風が静かに吹き抜けていく。
 彼の細い指は、私の指に何かをこっそり語りかける。何か大事な、
 言葉にはできないことを――高い壁と望楼、図書館の暗闇、古い夢、
 そしてきみの面影。自分の居場所はいったいどこにあるのだろう。
 村上春樹が長く封印してきた「物語」の扉が、いま開かれる。

 小説にはふたつの世界が存在する。ひとつは私たちになじみ深い現
 実世界だ。生活があり、人間関係がある。そこで生きる十七歳のぼ
 くにもうひとつの世界の存在を教えてくれるのは、十六歳のガール
 フレンドである。彼女は、この現実にいる自分はほんものではなく、
 そのもうひとつの世界、「高い壁に囲まれた街」に暮らしているの
 がほんものの自分だと言う。そしてあるとき、彼女は忽然と姿を消
 す。四十五歳になった「ぼく」は穴に落ち、気づくとそのもうひと
 つの世界にいる。そこでは人は影を持たない。時間が存在せず、音
 楽も映画もなく、図書館には本ではなく古い夢が並んでいて、冬に
 なると街の内外を行き来する単角獣たちは死んでいく。人は夢を見
 ないし涙を流さない。そして死なない。

 かつてのガールフレンドは、だから十六歳のまま、その世界で暮ら
 している。その世界で生きる決意をしたのに、語り手はなぜか現実
 世界に戻ってしまう。第二部には、現実世界に生きる意味を見いだ
 せない(見いだせなかった)人たちが登場する。決意と裏腹に現実
 に帰された「私」もそうだし、「私」がしたしくなるもと図書館長
 もそうだった。現実世界のルールから外れている少年も登場する。
 彼らは現実世界でない場所を求めている。

と、作家、角田光代は誘う(「波」 2023五月号)
    
 その地では聖なる川アルフが
 人知れぬ幾多の洞窟を抜け
 地底暗黒の海へと注いでいった。
 サミュエル・テイラー・コールリッジ
    『クブラ・カーン』

  Where Alph, the sacreed river, ran
  Through caverns measurreless to man
  Down to a sunless sea.
  Samuel Taylor Coleridge  "Kublq Khan"

とは、巻頭のの引用文。

ならば、どのように翻訳されているのか?
サミュエル・テイラー・コールリッジ『クーブラ・カーン』(“Kubla
Khan
”) - 「十夜録」 春日線香(詩人+α?)より

 クーブラ・カーン
 あるいは夢の裡なる王土にて、断章

  クーブラ・カーンは宣り給う
 ザナドゥの地には歓楽の宮が建立されるべきであると。
 聖なるアルフの流れが彼の地を潤し
 人知の及ばぬ洞窟を抜け
 地の底の海へと滾り落ちる。
 斯くて十哩四方の肥沃な土地は
 城壁と塔により劃されることとなった。
 そこでは光に満ちた園を小川がくねり流れ
 花は咲き乱れ、木々は甘く匂う。
 周囲を太古の森と丘に取り囲まれ
 王土はまことに輝ける有様である。

 されど、ああ! 胸を戦慄かせるあの深い裂け目が
 杉木立の丘を斜めに引き裂いて走っているではないか!
 恐ろしい眺めだ! 神々しく、不思議と心惹かれるその光景は
 下弦の月に狂わされて邪悪な恋を求める 
  女の悲嘆の叫びをどこか思わせる!
  そしてこの裂け目からは止むことのない混乱が 
  あたかも大地が苦しみ喘いでいるかのごとく
 力強い泉水の奔流となって刻一刻と湧き立つ。
 その真っ只中で断続的に荒れ騒ぐのは
 木っ端微塵に粉砕された巨岩の欠片、まるで跳ね散る霰のような
 あるいは脱穀機の下で粉砕された籾殻のような礫石である。
 石はさまでに激しい流れに巻かれて跳ね飛び
 聖なる川は盛大に飛沫を散らせていた。
 五哩ばかりもくねくねと迷走を続ける奔流は
 森を洗い、谷間を乱し、やがてあの
 人知の及ばぬ洞窟に流れ込んだと見るや
 命なき地下の大海へと消えていった。
 そしてクーブラ王はその奥処に聞くのだ
 遠い祖先の声、戦いを告げる鬨の声を――  

   おお、歓楽の宮の影が   
   波の間に間に漂う。   
   地下よりの怨嗟の声は   
   宮殿の機構を通して妙なる楽の音に変わる。
 これぞ人の世に二つとない楽器
 氷の喉を備えたクーブラ・カーンの宮殿である。   

   かつて私は夢想の裡に   
   ダルシマーを奏でる乙女に出会った。   
   アビシニア出の娘は   
   楽器の音色に乗せて   
   アボーラの高峰を謡ってみせた。   
   もしも彼女の歌声を   
   もう一度呼び覚ますことができるなら   
   言語を絶した喜びに包まれるだろう
 あの響きを長く留めることができるなら
 私も宙に壮麗なる宮殿を築けるはずだ。
 あの輝かしい宮を! 氷の喉を!
 耳を傾けた誰もが見ることになろう
 そして叫ぶのだ、用心せよ! 心を奪われるな!
 彼の者の炯々たる眼に、青々とした蓬髪に!
 彼の周囲を三重にも取り囲み
 ただ畏怖をもって眼を閉じるがいい。
 彼は甘露を味わい
 楽園の乳を口にしたのだから。

と、ここまできても埒があかない。

  これは〈超自然詩〉の新ジャンルを開拓した英国のロマン派詩人
  であり、批評家、哲学者であるサミュエル・テイラー・コールリ
 ッジと同じく英国のロマン派詩人のウィリアム・ワーズワースと
 の共著『抒情民謡集』を刊行し、英国のロマン主義運動の先駆け
 となる。これに属する詩に、《クブラ・カーン》(1798執筆,1816
 刊)や《クリスタベル》(1797‐1801執筆,1816刊) がある。前者
 は楽園の原型イメージをもつフビライの宮殿と庭を詩人が想像力
 で描いた幻想詩であり,後者は純真無垢なクリスタベルが魔性の
 女ジェラルディーンに誘惑される堕罪がテーマの未完の怪奇詩と
 されている…

ここは、床尾辰男著『「クブラ・カーン」における〈自然》と〈人工〉」
の論文を推理小説を後から読むように安直に、本書を読み進めていくこ
ととする。

  <人工>は荒々しい(自然>にとり囲まれている。この詩にうたわれ
  ている風景の申で<自然>と<人工>は危うい均衡を保らつつ共存して
 いるのである。
 以上、「クブラーカーン」の成立過程および内容の内方において<
 自然>と<人工)とが共存していることを確認した。ただ、その共存
 のしかたは、これらの二つの場合において少々異なっている。前者
 の場合、詩的技巧という<人エ>が夢という<自然>に枠組と形式を与
 え、その放縦な跳梁を抑えているが、後者にあっては、<自然>が<
  人工> の圧力を撥ね返しかねないほどの存在感を主張している。
  <自然>をしっかり抑えこむ<人工>と<人工>を圧倒しかねない<自然>
  -実は、これらは、はからすもコールリッジの詩論を体現している
  のである。彼は芸術活動において想像力に至高の地位を与えると同
 時に、想像力が現実世界から遊離することを警戒した。「自然を精
 神に、精神を自然に化すること」、<自然>とへ<人工>の調和・統一
 をはかること----
これが芸術の目的であるというのが彼の考えであ
 った。

※ロマン主義➲※18世紀末から19世紀前半にヨーロッパで、その後に
 ヨーロッパの影響を受けた諸地域で起こった精神運動。
※床尾達男:1940年、大阪生まれ。1968年、京都大学大学院文学研究科
 博士課程修了。現在、京都府立大学文学部教授。イギリス文学(ロマ
 ン主義文学)専攻
----------------------------------------------------------------

   第一部
  きみがぼくにその街を敦えてくれた。
  その夏の夕方、ぼくらは甘い草の匂いを嗅ぎながら、川を上流へ
 と遡っていった。流砂止めの小さな滝を何度か越え、時折立ち止ま
 って、溜まりを泳ぐ絹い銀色の魚たちを眺めた。二人ともしばらく
 前から裸足になっていた。澄んだ水がひやりと課を洗い、川底の絹
 かい砂地が二人の足を包んだI夢の中の柔らかな雲のように。ぼく
 は十七歳で、きみはひとつ年下だった。
  きみは黄色いビニールのショルダーバッグに、低いヒールの赤い
 サンダルを無造作に突っ込み、砂州から砂州へとぼくの少し前を歩
 き続けていた。濡れたふくらはぎに濡れた草の葉が張り付き、緑色
 の素敵な句読点となっていた。ぼくはくたびれた白いスニーカーを
 両手に提げていた。
  きみは歩き疲れたように無造作に夏草の中に腰を下ろし、何も言
 わず空を見上げる。小さな鳥が二羽並んで上空を素遠く横切り、鋭
 い声で啼く。沈黙の中で青い夕闇の前触れが二人を包み始める。き
 みの隣に腰を下ろすと、なんだか不思議な気持ちになる。まるで数
 千本の目に見えない糸が、きみの身体とぼくの心を細かく結び合わ
 せているみたいだ。きみの朧の一瞬の動きや、唇の微かな震えさえ
 もが、ぼくの心を揺さぶる。
  そんな時刻には、きみにもぼくにも名前はない。十七歳と十六歳
 の夏の夕暮れ、川べりの草の上の色鮮やかな想いIあるのはただそ
 れだけだ。もうすぐぼくらの頭上には少しずつ星が瞬き始めるだろ
 うが、星にも名前はない。名前を持だない世界の川べりの草の上に、
 ぼくらは並んで腰を下ろしている。
 「街は高い壁にまわりを囲まれているの」ときみは語り出す。沈黙
 の奥から言葉を見つけだしてくる。身ひとつで深海に潜って真珠を
 採る人のように。「それほど広い街じゃない。でもすべてを簡単に
 目にできるほど狭くもない」
  その街のことをきみが口にしたのは二度目だ。そのようにして街
 はまわりを囲む高い壁を持った。
  ぼくはそれについて考える。移ろう影のようなもの? でも意見
 は今のところ保留しておくことにする。  
 「で、その街で本当のきみは何をしているの?」  
 「図書館に勤めているの」ときみは静かな声で答える。「什事の時
 間は夕方の五時頃から夜の十 時頃まで」
 「頃?」
 「そこではすべての時刻はだいたいなの。中巾への広場には高い時
 計台があるけれど、針はつ いない」  
  針のついていない時計台をぼくは思い浮かべる。「で、その図昨
 日館には誰でも入れるの?」
 「いいえ。誰でも自由に入れるわけじゃない。そこに入るには特別
 な資格が必要になるの。でも あなたは入ることができる。あなたは
 その資格を持っているから」
 「特別な資格って----どんな資格なんだろう?」  
  きみはそっと微笑む。でも質問には答えない。  
 「でもそこに行きさえすれば、ぼくは本当のきみに会えるんだね?」
 「もしあなたにその街を見つけることができれば。そしてもし----」
  きみはそこで目をつぐみ、顔を淡く赤らめる。でもぼくには声に
 ならなかったきみの言葉を聴 き取ることができる。     
  そしてもしあなたが本当に、本当のわたしを求めているのなら---
 それがそのとききみがあえて口にしなかった言葉だ。ぼくはきみの
 肩にそっと腕をまわす。きみはノースリーブの淡い緑色のワンピー
 スを着ている。きみの頬がぼくの肩にあてられる。しかしその夏の
 夕暮れにぼくが肩を抱いたのは、本当のきみではない。きみが言う
 ように、それはきみの身代わりの影に過ぎない。  
  本当のきみは、高い壁に囲まれた街の中にいる。そこには川柳の
 繁った美しい中州があり、いくつかの小高い丘があり、単角を持つ
 もの静かな獣たちがいたるところにいる。人々は古い共同住宅に住
 み、簡素だが不自由のない生活を送っている。獣たちは街に生えて
 いる本の葉と本の実を好んで食べるが、雪の積もる長い冬にはその
 多くが、寒さと飢えのために命を落とすことになる。と、どれほど
 強くぼくは望んだことだろう。そこで本当のきみに会いた
 「街は高い壁に囲まれていて、中に入るのはとてもむずかしい」と
 きみは言う。「出て行くこと は更にむずかしい」  
 「どうすればそこに入れるんだろう?」  
 「ただ望めばいいのよ。でも心から何かを望むのは、そんなに簡単
 なことじゃない。時間がかかるかもしれない。その間にいろんなも
 のを棄てていかなくちゃならないかもしれない。あなたにとって大
 切なものをね。でも諦めないで。どれほど時間がかかろうと、街は
 消えてなくなりはしないから」  
  ぼくはその街の中で本当のきみに出会うことを想像する。街の外
 に美しく繁った広大な林檎の 林と、川にかかった三つの石の橋と、
 姿の見えない夜啼鳥の声音を思い浮かべる。そして本当のきみが働
 いている小さな古い図書館を。
 「あなたのための場所はいつもそこに用意されているから」ときみ
 は言う。
 「ぼくのための場所?」
 「そう。街にはひとつだけ空いたポジションがあるの。あなたはそ
 こに収まることになる」
  それはどんなポジションなのだろう?
 「あなたは〈夢読み〉になるのよ」ときみは声をひそめて言う。大
 事な秘密を打ち明けるように。
  それを間いて、思わず笑ってしまう。「ねえ、ぼくは自分の見た
 夢さえろくに思い出せないんだ。そんな人間が〈夢読み〉になるの
 は、ずいぶんむずかしいだろうね」
 「いいえ、〈夢読み〉は自分で夢を見る必要はないの。図書館の書
 庫で、そこに集められたたくさんの〈古い夢〉を読んでいればいい
 の。でもそれは誰にでもできることではない」
 「しかしぼくにはできるんだね?」
  きみは肯く。「そう、あなたにはそれができる。あなたはその資
 格を手にしている。そしてそこにいるわたしは、あなたのその仕事
 を手伝う。毎夜あなたのそばについて」
 「ぼくは〈夢読み〉で、街の図書館の書庫で毎夜たくさんの〈古い
 夢〉を読む。そしてぼくのそばにはいつもきみがいる。本当のきみ
 が」、ぼくは示された事実を声に出して反復する。
  ぼくの腕の中で、緑色のワンピースを着たきみの裸の肩が小さく
 揺れる。そしてふとこわばる。
 「そうよ。でもひとつだけ覚えておいてほしい。もしわたしがその
 街であなたに出会ったとしても、そこにいるわたしはあなたのこと
 を何ひとつ覚えてはいないってこと」
  どうして?
 「どうしてか、あなたにはわからないの?」
  ぼくにはそれがわかる。そう、ぼくが今こうして肩をそっと抱い
 ているのは、きみの身代わりに過ぎないのだ。本当のきみはその街
 に住んでいる。高い壁でまわりを囲まれた、遥か遠方の謎めいた街
 に ぼくの手の中にあるきみの肩はとても滑らかで温かく、本当の
 きみの肩としかぼくには思えないのだけれど。

                         この項つづく

 

     


【再エネ革命渦論 119: アフターコロナ時代 318】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング

マルチメディア革命ビジネス渦論 ④:
実験室の機能を数cmサイズに集積したマイクロ流体デバイス
JEITAの「2022年度版 実装ロードマップ」を紹介するシリーズ。今回
は、第2章「注目される市場と電子機器群」から「マイクロ流体デバイ
ス」の展望を考える。
微細加工技術によって数十μm~数百μmサイズの微小な流路や反応容器
などを形成したデバイスを指す。応用範囲は広く、化学、医療、バイオ
テクノロジー、ライフサイエンス、環境、農林水産、食品など広範。
デバイスの外形寸法は光学顕微鏡の観察用標本(プレパラート)と同じ、
75.5mm×25.5mm×1.5mm(「スライドガラス型」と呼ぶ)であることが
多く、幅を約2倍の50mmに拡大したダブルスライド型(75.5mm×50mm×
1.5mm)、さらにサイズを大きくしたマイクロタイタープレート型(127.8
mm×85.5mm)もあり、市販されている。デバイスの材料には樹脂、石英
ガラス、シリコン(Si)などがある。樹脂は材料と加工のコストが低い。
代表的なマイクロ流体デバイス用樹脂はPDMS(polydimethylsiloxane、
リジメチルシロキサン)。デバイスにはさまざまな機能を備える素子
が搭載。素子には液体の流路であるチャンネル、薬液や試薬などの保管
容器であるブリスター、外部と液体をやりとりするインタフェース、複
数の試薬を混合するミキサー、化学反応の容器であるチャンバー、流体
の方向を切り替える回転バルブ、薄膜状の濾過フィルター(メンブレン
フィルター)、液体を送出するポンプなど。
感染症の解析に貢献するPCR検査と遺伝子検査、迅速検査 この項は『ウ
イルス解体新書』として、下記に転出掲載する。

【ウイルス解体新書 169】

序 章 ウイルスとは何か
第1章 ウイルス現象学
第2章 COVID-19パンデミックとは何だったのか
第3章 パンデミック戦略「後手の先」
第1節 新型コロナパンデミックから生まれたもの
1-1 進化する感染判定技術装置
1-1-□ 感染症の解析に貢献するPCR検査と遺伝子検査、迅速検査
(1)COVID-19の流行を契機に感染症の研究が急激に拡大
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が世界的に流行する以前は、感
染症に関する研究論文の数は、非感染症に比べるとごくわずかにとどま
り、その理由は
①国民1人当たりの所得が高い国(先進国と準ずる国)では、感染症に
よる死者の割合が少ないこと
②医療リソースに対する膨大な需要が生じるものの、平常時の需要はほ
とんどなく、事業としては成立しづらく、感染症は研究開発現場におけ
る厳重な感染対策が必須であることから、非感染症に比べて研究
開発の
初期投資と維持コストが高くなる。
このような状況からCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)が世界的に
流行したことで、感染症に関する研究リソースはかなりの拡大を見せた。
例えばコロナウイルス(SARS/MERS/COVID)に関する研究論文は2010年代
前半には数百件/年だったのが、2020年~2021年には数万件/年と激増。
PCR法によるDNA増幅の原理 COVID-19の流行によって一般に広く知られ
るようになった遺伝子検査技術に「PCR検査」。PCRとは「ポリメラーゼ
連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)」の略語で、酵素であるポリメラ
ーゼを使ってDNA(デオキシリボ核酸(DeoxyriboNucleic Acid))の特定
領域を連続して増やす反応である。 PCR増幅の手順を以下に示す。前提
として、温度が化学反応の種類を決めることに要留意。まず、DNAサンプ
ル(通常は2本鎖)を95℃前後に加熱して1本鎖のDNA(鋳型DNA)に分離(
この工程を「熱変性(denaturation)」とも呼ぶ)。  

次に温度を55℃~60℃に下げて1本鎖のDNA(鋳型DNA)にプライマー(
増幅したい核酸に特徴的な塩基配列とその相補配列を両端に備えた短い1
本鎖のDNA)を結合させる(この工程を「アニーリング(annealing)」と
も呼ぶ)。 それから温度を72℃前後に上げ、酵素である耐熱性DNAポリ
メラーゼによるDNA合成反応を起こす。DNAポリメラーゼは反応溶液中か
ら適切なヌクレオチド(dTNP)を選択してプライマーに付加する操作を
繰り返す。このようにプライマーを伸長し、DNAを複製する(この工程
を「伸長(extention)」とも呼ぶ)。伸長は5'(ダッシュ)端子から3’
端子の方向に進む。これで1サイクルのポリメラーゼ連鎖反応が完了。2
本鎖のDNAからは2つの2本鎖DNAが、1本鎖のDNAからは2本鎖のDNAが得ら
れる。つまり、DNAの数が2倍になる。このサイクルを繰り返すことで、
サイクル数をNとすると2のN乗にDNAを増やせる(DNA増幅)。PCR法によ
り、測定限界以下の微量なDNAサンプルを増やし、遺伝子の特定が可能
な量のDNAを得る。新型コロナウイルスの感染検査でPCR検査が高い感度
を有するとされるのは、このDNA増幅工程がある。

(2)DNAに特有の塩基配列を検出
ここでは、「2.ウイルス性感染症とPCR検査、遺伝子検査」の後半部分
を簡単に説明。未知のDNAから塩基配列を読み取る代表的な手法(シー
ケンス法)は「サンガー(Sanger)法(サンガー・シーケンス法)」で
ある。ただし、サンガー法が開発された時点(1977年および1975年)で
はPCR増幅(1983年に考案、実証)が存在しなかった。現在ではPCR増幅
とサンガー法の組み合わせによるシーケンス法(サイクル・シーケンス
法)がサンガー法の主流になっており、またサンガー法自体も継続して
改良される。

(3)次世代シーケンス(NGS)技術が遺伝子検査を普及
サンガー法は、解析対象のサンプル数(総数)が少ない場合や塩基配列
が短い場合は、きわめて有効である。コストが低くて比較的簡便な手法
であり、現在でも広く使われている。一方で解析に一定の時間を要する
こと、感度があまり高くないこと、サンプル数が増えるとコストが大幅
に増加すること、などの課題を抱える。サンガー法の弱点を補うべく、
大量のサンプルを短時間で解析する手法として開発されたのが「次世代
シーケンス(NGS:Next Generation Sequencing)」法である。最初のNGS
製品は2005年に開発され、その後は継続した改良の積み重ねによって性
能は飛躍的に高まり、解析コストは急速に低下した。次世代シーケンス
装置の大手メーカーであるillumina(イルミナ)の資料「NGS超入門」に
よると、次世代シーケンス技術が登場する以前に国際プロジェクトとし
て実施されたヒトの総遺伝子解読プロジェクト「ヒトゲノム計画」(
1990~2003年)では、30億米ドルもの膨大なコストがヒトゲノム(総塩
基数が約30億、遺伝子数が約2万6000)の解読に費やされた。このプロ
ジェクトはヒトゲノムの解読コスト削減に大きく寄与し、2006年にはヒ
トゲノム(個人のゲノム)の解読コストは2000万米ドルと大幅に低下し
た。
そして次世代シークエンス技術による解析装置(次世代シーケンサー)
の登場により、翌年の2007年には解読コストは200万米ドルとさらに大
幅に削減された。次世代シーケンス技術の継続的な改良によって2014年
にはヒトゲノムの解読コストはわずか1000米ドルにまで低下したとする
。次世代シーケンス技術が遺伝子解析のコスト低減と応用範囲の拡大に
とてつもなく大きな貢献を成したことがうかがえる。
                         この項つづく 
終 章 備えあれば憂いなし

【人口減少時代の地域再生概論 ⑪】





地方再生には地方税制を全面変革が肝だと掲載してはいるが。ここは、
税制の基本に立ち返ってみる(ブログ掲載書評『税金の世界史』参考)。
税の極端な考え方として、個人的な自由、経済的な自由の双方を重視す
るロバート・ノージック(主要著書『アナ-キー・国家・ユ-トピア』)
に代表される「リバタリアニズム」に代表される考え方があるが、"固
定的人間関係重視”での"同胞共助"に対し、"流動的人間関係重視”の
インパクトが大きい人たちには受け入れ難い。つまり、流動的人間関係
に最適なリバタリアン的価値観は、内在的に福祉に公金を使うことや景
気対策を行うことが正当化できない。

自己所有権
ジョン・ロックの『統治二論』では「万人が自分の身体の所有権を持っ
ていて、本人以外の誰もそれへの権利を持っていない」とし、日本国憲
法でも第18条で、人身の自由が規定され下、犯罪による刑罰や、容疑者
の逮捕、精神病や感染症の入院の強制などが例外となっているが、リバ
タリアンは、徴兵制にも裁判員制度にも選挙の投票義務化にも反対する
がそれらを踏まえ、私有財産権の根拠となる一方で、土地そのもののた
めに得られる分の特別の収益は、社会共有化される対象となる。
                         この項つづく


河出書房新社(2021/09発売)
サイズ 46判/ページ数 320p/高さ 20cm
商品コード 9784309228303 NDC分類 345.1 Cコード C0022
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第1章 自治会・町内会のお悩み・トラブルQ&A
(11)ご近所トラブルの解決はとこまで?
Q.自治会・町内会には時に地域の困りごとやご近所トラブルの相談が
寄せられることがありますが、どこまで対応する必要があるのでしょう
か。

A.まずは相談が自治会・町内会で対応できることかどうかを判断する
必要があります。たとえば、夜道が暗く危険だから、防犯灯を明るくし
てほしいなどの相談が寄せられた時、自治会・町内会が管理者ならより
明るい電球に変えたり、交換時にLEDにするなどの対処もできます。
一方、不害者が多いから防犯カメラを設置したいという場合などは勝手
に判断できません。地域での合意形成や設置の許可を取るなど、関係機
関との調整も必要となり関や専門機関に任せるなどに留まるでしょう。
 近年増加する児童虐待やDV、認知症の家族の徘徊などの問題では、
相談窓口を紹介したり、民生委員さんへ相談したり、関係機関との仲介
など、地域での連携が求められる役割となるでしょう。

(12)活動で怪我をした場合など、補償はどうなる?
Q.自治会・町内会活動で怪我をしたり、物品の破損があった場合など、
賠償責任を負うことになるのでしょうか。自治会・町内会活動の保険は
あるのでしょうか。

A.自治会・町内会活動の保険は、運動会や旅行などの行事毎に加入す
るケースのほか、年間で契約するタイプの保険商品があります。また、
地域活動の中で怪我をしたり、他人の物を壊した場合に補償する保険を
自治体が契約している場合はそこで補償を受けられます。
 それぞれに適用条件も異なりますので、どんな時にどういった補償が
受けられるか確認して頂く必要があります。自治体が契約している保険
でカバーされないケースもあり、その場合は民間の保険会社の自治会・
町内会向けの保険の利用を検討してみましょう。

(13)行政の下請け、負担の増大にもう耐えられない
Q.自治会・町内会が行政の下請けのようになっていて、いろんな役割
を押し付けられ、負担が増し、本来力を入れるべき自治会・町内会の活
動にも手が回らなくなっています。

A.行政から一方的にかつ、大量に送り付けられる配布物、様々な会議
の出席や行事などへの協力要請、国勢調査など、自治会・町内会には様
々なお願いごとが持ち込まれています。こうしたことに時間をとられ、
本来やるべきこと、本当にやりたいことに手が回らないという声はよく
間きます。
 こうした現状は自治体の担当課では認識されているものの、連切な対
処はなかなかなされず、全庁的な問題意識の共有にも至っていないとこ
ろがほとんどです。単会の自治会・町内会から要望しても改善が図られ
ることはほとんどなく、自治会・町内会連合会などから、自治体トップ
に是正を要請するなど、市民も交え、地域全休でこの問題を考える場を
設けていくなどの取り組みも求められるところです。

(14)連合会は負担、脱会したい
Q.自治会・町内会は単会に加え、自治会・町内会連合会で様々な役割
をさせられています。会費や分担金等も負担していますがメリットは感
じられません。叙勲などの推薦を受けるためにやっている人も多くいま
す。無駄なので脱会して単会の活動に集中したいです。

A.近年、連合会を脱退する団体も出てきています。ご指摘にあったよ
うに、加入率が低下、会費収入が減る中、会費や分担金などの負担感が
増していることなどが理由です。
 本来は今こそ、連合会にこの苦境を説する積極的な取り組みが期待さ
れるところです。形式的な活動になっているなら見直しも必要でしょう。
 脱会するか否かについては、よく話し合って会員の総意により決めて
ください。
                         この項つづく

風蕭々と碧い時代



John Lennon

J-POPの系譜を探る:1989年代】





1989年は世界も、国内も"爆発する欲望の混沌時代"の幕開けであったと
思える。昭和天皇の崩御。天安門事件、ベルリンの崩壊、ジャパン・ア
ズ・ナンバーワン、日本では土地本位制によるバブルを迎え、オ-ム真
理教による坂本弁護士一家殺人事件、デジタル革命渦が拡大する。そし
て、J-POPの全世紀を迎える。今夜は、二曲に絞って投稿。先ずは、シ
ティ-ポップの元祖山下達郎、二曲目は、B'zのBad Communiction
ごとく、”歌は世につれ、ひとにつれ”である。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)未来は善き縁で開かれる。
   Good encounters can lead you to a better future




映画『トップ・ガンⅡ マーベリック』をBDでみる。F-14とF/A
グラマンF-14トムキャットは、遠距離から艦隊を攻めてくる、対艦ミサ
イル装備の爆撃機の脅威から艦隊を護る任務戦闘機で、防空および空対
空戦闘が主体の戦闘機。また、F/A-18ホーネットはF-14とは異なり最初
から空対空と空対地双方の戦闘ミッションに使用。映画では敵基地攻撃
が実行されたが、こちらの被害、敵方の被害想定の模擬想定研究など、
多岐にわたる想定と課題を明確に数値化し定めておくことが重要である
ことは言うまでもない。

 

コメント
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人口減少時代の地域再生概論 ⑧

2023年05月02日 | 日々草々

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救った
と伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦
国時代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと
)の兜(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。愛称「ひこにゃん

    
      ハンカチノキにも舞いたる黄揚羽 

         夏鱗 ホテル龍馬に 手を合わせ
                          宇

                 

高知龍馬ホテルをお選びくださいましたのも、何かのご縁。 

月曜午前7時、家を発ち一路高知の五台山の県立牧野植物園をめだすこ
と6時間、五百キロメートル。まさか滋賀の森林公園にあるハンカチノ
キの綺麗な花を看るなどは思わなかった。また、そこから遙か東には剣
山が見える。予約でとれぬ宿泊先は、ビジネスホテルの「高知龍馬ホテ
ル」。帰りは翌日午前8時に同ホテルを発ち、午後3時、途中、名神大
津サビスエリアで昼食をとり無事帰宅。そして、今朝、俳句を詠む。一
句は「黄揚羽」で日常を繋げ、「夏鱗」で非日常を詠む。「龍馬像」は、
朝、ごく自然に参拝で二拍を奉じる。それ
ほどまでに高知市は龍馬愛、
富太郎愛で溢れていた。


独学で植物学を志し、のちに世界的な植物分類学者となった牧野富太郎
が伸びやかに綴った随筆。和漢洋の典籍を渉猟し、本草書を精査した著
者が、その学識を背景に、植物の名の由来、その生態、日本人と植物の
関わり方の歴史などを明快に説く。「馬鈴薯とジャガイモ」「キャベツ
と甘藍」「楓とモミジ」など身近な植物の分類にまつわる話から、「昔
の草餅、今の草餅」「茶の銘玉露の由来」「中国の椿の字、日本の椿の
字」「海藻ミルの食べ方」といった稀有な蘊蓄まで100題。挿絵多数。

著者、牧野富太郎は1862−1957。現高知県生まれ。植物分類学者。小学校
を中退し、独学で植物学者を志す。東京大学理学部植物学教室で研究、
同大学助手、講師を務める間に全国の植物の採集調査を続けて多数の新
種を発見し、日本の植物分類学の基礎をつくる。『植物学雑誌』『植物
研究雑誌』を創刊。理学博士、第1回文化功労者、没後文化勲章受章。
『日本植物志図篇』(11冊)、『大日本植物志』(4冊)、『牧野植物
学全集』(7冊)、『牧野日本植物図鑑』ほか著書多数。

【高知県立 牧野植物園を訪ねる】





 




ハンカチノキ
ハンカチノキは4月下旬から5月に、前年枝に白いハンカチのような姿の
花を咲かすが、花弁はなく、たくさんの雄花と1個の雌花が1つの球形を
つくり、大型の二枚の苞に抱かれるような形で開花する。ハンカチに見
立てられるのは、この二枚の大きなほう。自生地は標高2000メートルほ
どの高原で、耐暑性が強くはないがが、四国や九州でも栽培され開花
る。開花は樹高3mほど(苗木から10年程度)に育つ必要だが、近年、苗
木のうちから開花する一才性の園芸品種も流通し始めている。また、ハ
ンカチノキ属は本種のみだが、科名については、1980年代ごろから使わ
れていたクロンキスト体系ではミズキ科とされ、遺伝子情報を解析する
方法による「APG植物分類体系」では一度はニッサ(ヌマミズキ)科と
されましたが、現在はミズキ科とされるが、花の構造の進化による分類
法「新エングラー体系」によればハンカチノキ科とされることもある。



オニツクバネウツギ
世界中で高知県と愛媛県だけに分布し、日当たりのよい林緑などに生え
る落葉低木。コツクバネウツギの変種で、若枝や葉、花柄、子房、萼に
長さ1mmになる白い開出毛が密生しビードロ状になることが特徴。4月
から5月に黄白色の花をつける。絶滅危惧1A類 (環境省) 。
土佐の植物生態園ではオニツクバネウツギが、こんこん山広場ではエゴ
ノキが咲き、展示館中庭では、ジャコウアゲハの食草としても知られる
アリマウマノスズクサがユニークな形の花をたくさんつけています。連
絡道では「禁断の花」ケシが白く大きな花を風に揺らし、温室では仏教
三大聖樹のひとつ、ムユウジュが見ごろを迎えています。
新緑に映える花々をお楽しみください。
via 見ごろの植物を更新しました  高知県立牧野植物園

 

     





【再エネ革命渦論 118: アフターコロナ時代 317】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング

マルチメディア革命ビジネス渦論 ③:
「ヒューマンサイエンス」では、「ヘルスケア」「メディカル」「人間
拡張」の3つの項目を選択した。新しく「人間拡張」を設けている点が興
味深い。続く「情報通信」は、「データセンターサーバー」「6G(bey-
ond 5G)」「5G基地局」「モバイルデバイス」「VR/AR/MR」の5つの項目
で構成する。「6G(beyond 5G)」を新しく設ける。また「モビリティー
」は、「自動運転」「コネクテッド」「電動化」「給電・水素」「航空
機・空飛ぶクルマ」の5つの項目で構成する。電動化に関連して「給電・
水素」と「航空機・空飛ぶクルマ」を追加した。最後の「新技術・新市
場・新材料」では、「エネルギー」「次世代ディスプレイデバイス」「
ロボット」「量子技術」「接合技術」を取り上げる。

「ヒューマンサイエンス」とは何か
本ロードマップでは、ヒューマンサイエンスの目的を大きく2つに分け
ている。1つは「ヒトの生命力を維持・増強する」こと。もう1つは「
ヒトの能力を超越する」ことである。前者はさらに、「ヘルスケア(健
康管理)」分野と「メディカル(医療)」分野に分かれる。後者はその
まま「人間拡張」分野となる。各分野には具体的なテーマと、対象とす
る期間が存在する。「ヘルスケア」分野では「ウエアラブルデバイス」
を扱うが、期間は2020~2025年。「メディカル」分野では「手術支援ロ
ボット」、「マイクロ流体デバイス」、「感染症とPCR検査、迅速検査」
「バイオセンサ」を取り上げた。対象期間はテーマによって異なるが、
長くても2030年までの範囲となる。「人間拡張」分野では「五感センシン
グ」、「脳科学」、「遠隔操作」を扱う。対象期間は「五感センシング」
が2030年までである。「脳科学」は2040年前後まで、「遠隔操作」は
2050年までと、この2つはかなり長期にわたる。

最近になって特に増加が著しいのは、「コロナウイルス(SARS/MERS/
Coid)」。2000年代~2010年代前半には数百件/年だったのが、ここ2年
では数万件/年と約100倍に激増。その他の分野では、「エピゲノム・再
生医療」、「液体精検(液体生検(Liquid Biopsy))」、「迅速検査(
PoCT:Point of Care Testing)」、「薬剤耐性(AMR:Antimicrobial
Resistance)」に関連する論文の増加。2000年以降の累積ではタンパク
質と核酸、がん、心疾患に関する論文が多い。

ヘルスケアを支援する多種多様なウェアラブルデバイス
まず頭部に装着するデバイスには、ヘッドマウント型、帽子(ヘルメッ
トあるいはキャップ)型、メガネ型、コンタクトレンズ型、イヤフォン
型、イヤリング型、マスク型などがある。頸部にはネックレス型、手首
・掌部には腕時計(ウォッチ)型、リストバンド型、指輪型、手袋型な
ど、腕・胴体・脚部にはシャツ型、タイツ型、ブラジャー型、ズボン型
、ベルト型などが研究されている。足部には、靴下(ソックス)型や靴
型(靴底、靴裏に装着)などがある。調査対象はApple Watchの「Series
4」(2018年9月発売)、「Series 5」(2019年9月発売)、「Series 6」
(2020年9月発売)、「Series 7」(2021年10月発売)である。本体の
大きさは「Series 4」~「Series 6」が縦40mm×横34mm×厚さ10.7mmで
ほとんど変わらない。「Series 7」は縦41mm×横35mm×厚さ10.7mmとわ
ずかに大きくなった。本体の重さは「Series 4」の39.8g(グラム)か
ら「Series 5」では30.8g、「Series 6」では30.5gと25%ほど軽くなっ
た。「Series 7」は32gとわずかに重い。

手術支援ロボットや5G通信などを駆使して遠隔手術を実現
「手術支援ロボット」(2.3.2.1)では、日本の医療が抱える、社会の
超高齢化や医師の不足、医療負担の増大、医療の地域格差といった課題
の解決に寄与すると期待される技術を記述している。手術支援ロボット
と5G移動体通信システム、人工知能(AI)、高精細カメラなどを組み合
わせることによって、難度の高い手術のサポート、熟練外科医の手技デ
ータ継承、遠隔地でのリモート手術、オンラインでの診療、検査画像の
診断支援などを実現。商用化されている手術支援ロボットの代表は、Intu-
itive Surgical
, Inc.の「da Vinci Surgical System(ダビンチ内視鏡手
術支援システム)」シリーズである。米国カリフォルニア州サニーベー
ル(シリコンバレーの一角)に本社を構えるIntuitive Surgical, Inc.
(以降はIntuitiveと表記)は、1995年に手術支援ロボットの開発企業
として設立された。1999年に初代機の開発が完了。2000年に米国の薬事
承認を受けて最初の「da Vinci(ダビンチ)」手術支援ロボットを出荷
した。2009年には日本でも薬事法の承認を受けて販売を始める。 
以降、日本を含めた世界の手術支援ロボット市場で「ダビンチ」は主導
的な地位を占めてきた。しかし2019年以降、数千件とも呼ばれるIntuitive
の保有する特許が相次いで失効し、2022年末までにはほとんどの特許が
失効する。

内視鏡手術の弱点を補う手術支援ロボット
医療における「外科手術」と言えば、人体の腹部を切開する開腹手術、
頭骨に孔を開けたりする脳外科手術などを想像することが少なくない。
これらの手術は患者の身体に負担をかけ、患者が数週間の入院を強いら
れることがめずらしくない。 これに対して患者の身体に対する負担が
少ない術式として普及してきたのが、内視鏡手術(腹腔鏡手術や胸腔鏡
手術など)である。4個程度の小さな孔に手術器具とカメラを通して手
術するので、出血が少なく、術後の回復が早い(入院日数が数日以内と
短い)。ただし内視鏡手術には開腹手術に比べ、いくつかの弱点がある。
手術の視野が狭い、手術器具の自由度が低い、高度な技術が執刀医に要
求される、想定外の出血が生じたときに対応(止血)が遅くなる。
内視鏡手術の支援ロボットは、このような弱点を補ってくれる。根本的
な違いは、ロボットのアームが人間には不可能な動きをすることにある。
例えば360度の回転操作が可能だ。このため、視野が拡大する、手術器具
の自由度が拡大する、といったメリットが生まれる。第5世代(5G)移
動体通信システムは、高速、大容量、低遅延、高セキュリティといった
特長を有する。遠隔地の医療現場や患者と熟練の医者を5G通信ネットワ
ークで結び付けることで、診断や治療などを支援する「遠隔医療」の実
現が期待されている。

5G通信がもたらす「遠隔医療」
第5世代(5G)移動体通信システムは、高速、大容量、低遅延、高セキ
ュリティといった特長を有する。遠隔地の医療現場や患者と熟練の医者
を5G通信ネットワークで結び付けることで、診断や治療などを支援する
「遠隔医療」の実現が期待されているが、特に、手術支援ロボットシス
テムと5G通信ネットワークを組み合わせることで、遠隔地におけるロボ
ット手術の支援や指導が試みられている。

予防、診断、治療に人工知能(AI)を活用
「手術支援ロボット」(2.3.2.1)から「(5)医療診断におけるAI活用
状況」部分の概要をご説明する。医療には大きく分けて「予防」「診断」
「治療」の3つの段階があり、いずれの段階でも、人工知能(AI)が医
療水準の向上に貢献できる。、「手術支援ロボット」(2.3.2.1)から「
(5)医療診断におけるAI活用状況」部分の概要をご説明する。医療には
大きく分けて「予防」「診断」「治療」の3つの段階があり、いずれの
段階でも、人工知能(AI)が医療水準の向上に貢献できる。例えばオリ
ンパスは2020年3月に、大腸内視鏡の検査画像から病変を検出するAI搭
載ソフトウェア「EndBRAIN-EYE」を同年5月下旬に発売すると発表。同
社の大腸内視鏡と組み合わせることで、内視鏡検査中に病変の候補リア
ルタイムで検出し、医師に警告するシステムを構築できる。病変の発見
作業の負担軽減と病変の見落とし防止につながる。をリアルタイムで検
出し、医師に警告するシステムを構築できる。このほか富士フイルム(
大腸がん)、国立がん研究センターとNECの共同研究グループ(大腸がん
)、コニカミノルタ(肺がん)、エルピクセル(脳動脈瘤)などがAI搭
載の解析ソフトウェアを開発、発売した。
----------------------------------------------------------------
via  EE Times Japan 福田昭のデバイス通信(385) 2022年度版実装技
術ロードマップ(9) 
                                                  この項つづく


❏ 太陽電池の吸水による NH4NO3/H2O の吸熱反応を利用した自己回復型
   パッシブ冷却
【要約】
太陽電池の電力効率はセル温度に大きく影響されるが、ここでは、自己
回復パッシブ冷却ユニットを開発。水飽和ゼオライト13%を太陽電池の
裏面に塗布し、硝酸アンモニウムを層状に分散させて薄膜を形成。熱が
供給されるとゼオライト13%から水が脱離し(潜熱冷却)、硝酸アンモ
ニウムを溶解して吸熱反応冷却を引き起す。これは、夜間に回復する可
逆プロセス。このユニットは、多孔質材料の吸水性能が温度に反比例し
吸熱反応ペアの溶解度が温度に比例して増加する原理に基づき機能。太
陽電池の平均温度は 15.1℃下げることができ、冷却エネルギー密度は
2,876 kJ/kgに達し、平均冷却力は 403 W/m2 です。 太陽電池用の安価
な材料を含む高効率のパッシブ冷却を実現できることを示唆する。



随1.太陽電池(PV)セルと統合された水の脱着(一次潜熱冷却)と硝
酸アンモニウムの水への溶解(二次吸熱反応冷却)の連鎖反応を利用し
た自己回復型パッシブ冷却ユニットの概略図。 b 日射を受けて発電す
る際の冷却力。 c 日中の内部組成を考慮した冷却原理。 d 夜間の自己
回復プロセス。

❏ バイナリ ホール輸送層により、PCE が 24% を超える安定したペ
   ロ
ブスカイト太陽電池を
実現

【要約】
正孔輸送層 (HTL) の吸湿性ドーパントは、水分によるペロブスカイト
劣化と、その結果、時間経過による性能低下に寄与する重要な要因であ
る。これは、ペロブスカイト太陽電池 (PSC) の商業化に障害をもたら
した。ここでは、2つの一般的な正孔輸送材料、すなわち[2,2',7,7'-
テトラキス(N,N-ジ-p-メトキシフェニル-アミン)9,9'-スピロビフルオ
レン] (Spiro-OMeTAD)と ポリ (3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル) (
P3HT)、バイナリ混合 HTL を形成する。疎水性の P3HTコンポーネント
の存在により、混合された HTL は改善された耐湿性を示唆。さらに、
P3HT はドーパントと相互作用する優れた能力を示す。これにより、P3
HT の π-π パッキング方向がエッジオンからフェースオンに変化し、
その結晶性が向上するため、混合 HTL の正孔移動度と正孔抽出能力が
向上。その結果、Spiro-OMeTAD/P3HT 混合 HTL を搭載した PSC は、
最大 24.3% のチャンピオンの電力変換効率 (PCE) と優れた動作安定性
を示します。 カプセル化されていないセルは、暗い周囲条件 (30% RH
) で 1200 時間保管した後、90% の初期効率を維持できる。これらの結
果は、Spiro-OMeTAD/P3HT 混合 HTL の構築が、低コストで優れた効率
とデバイス安定性を備えた将来の太陽光発電アプリケーションの需要
を満たすための有望な戦略であることを示唆。




画像概説:
疎水性ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(P3HT)とSpiro-OM
eTADを混合することにより、バイナリ混合HTL(m-HTL)が提案される。
二元系は、損傷を緩和する優れた疎水性を示し、チオフェン鎖内の高度
な共役、ドーパントとの相互作用によるポリチオフェン鎖のパッキング
と共役の程度の向上を示し、認証された電力変換効率 (PCE) をもたら。
24.3% で、装置内で 1200 時間以上の優れた動作安定性を示す。

【人口減少時代の地域再生概論 ⑧】

水津 陽子【著】 実業之日本社(2019/04発売)NDC分類 318.8 CコードC2076
【内容概説】
自治会・町内会が抱える悩み・課題に対し、実践的なヒントや解決策を満載!
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第1章 自治会・町内会のお悩み・トラブルQ&A
(7)名簿、個人情報の取り扱いトラブル
Q.入会する際、世帯票の記入を求められましたが、個人情報がどのよ
うに取り扱われているか不安です。どういう保管管理がなされているの
か、個人情報の流出などがないか少し心配です。

A.個人情報の取扱いについては、第4章の「今、求められる聞かれた
自治会・ 町内会の運営(基礎)」で詳しく触れますが、平成27年に個
人情報保護法が改正され、平成29年5月より自治会・町内会が作成する
会員名簿もその改正法の対象となりました。よって以降は法に照らした
保管管理が求められています。ただ、講演やセミナーでこのお話をすると
意外と知られておらず、初めて知ったと答える会長や役員の方も少なく
おりません。改正法により現在、集めた情報を目的外で使用することは
できませんが、その目的を明文化していないところも多く、個人情報の
保管、取り扱いのルールを定め、運用していくことが求められます。
勧誘や入会手続きの際には会員に対し、個人情報の取り扱いについて説
明するのはもちろん、できれば個人情報の取り扱いを明文化した文書を
添えましょう。会員の安心はもちろん、団体の信仰性にもつながります。

(8)会費を自動徴収されるなど、集合住宅でのトラブル
Q.賃貸のアパートに住んでいますが、家賃の引き落としの際、自治会・
町内会費が自動徴収されています。しかし、自分がどの自治会・町内会
に入っているかも知らず、これまで活動に参加したことも案内をもらっ
たこともありません。分譲型のマンションに住んでいる友人の中には管
理費とともに自動徴収されているという人もいました。望まないのに勝
手に加入させられるのは納得いきません。

A.アパートやマンションなどの集合住宅で、自治会・町内会費を自動
徴収されているケースで多いのは、デペロッパーや管理会社、大家など
との間で事前協議し、一棟でいくらのようにして加入しているような場
合です。
近年、自治体と宅建築等が協定を結び、新規の住宅建築の情報を早期に
自治会・町内会長に提供。業者等との事前協議などを通じて、加入を促
進する取り組みが行われ、加入促進の効果を上げています。
分譲型の集合住宅の場合、建物の共有部分の維持管理等、ハード面を担
う「管理組合」とは別に、防犯や防災、居住者同士の親睦などのソフト
面を担う自治会を独自に設立したり、隣接する自治会・町内会に加入す
ることもあります。ただ、ここでも加入はあくまで任意で強制はできま
せん。参加するかどうか意思確認する必要があります。
賃貸の場合、自動徴収されているのも問題ですが、そのお金がきちんと
該当自治会・町内会に収められているか定かでないものもあるようです。
最悪の場合、中間搾取されていることも考えられます。
家賃等ともに会費が徴収されている場合は、自分がどの自治会・町内会
に加入しているかを確認してみましょう。自治会・町内会は居住するエ
リアで加入できる団体は決まっています。役所に確認すれば、団体は特
定できます。業者が曖昧な回答をしている場合は、直接団体に問い合わ
せて確認してみるのも良いでしょう。
会費を自動徴収している事業者に関しては居住者に対し、該当する団体
やその活動の情報を提供することも求められるところです。個人の大家
さんの中には居住者から徴収するのではなく、自らの経費の中で負担さ
れている方もおられます。
一方、最近は都心のマンションで入居者を募集する際、自治会・町内会
に加入していることをウリにしているところもあります。

(9)災害時、加入していないと不利益があるのか
Q.自治会・町内会に加入していないと、災害時に不利益があるのでし
ょうか。ざというとき助けてもらえないのでしょうか。

A.もちろん、加入していないからといって不利益になることはありま
せん。少なくとも公助においてはあり得ません。但し、巨大災害が発生
した場合、地域で助け合う共助においては差が出るかもしれません。災
宵待の安否確認や避難所の運営は地域で大きな差が出ます。
阪神淡路大震災では約8割の人が建物の倒壊などにより亡くなりました
が、救助された人の約8割は家族や近所の人等によって助けられました。
地域で顔の見える関係づくりができていれば、「あれ○○さんがいない
けど、大丈夫かしら?」と誰かが気づいて救助を要請してくれるかもし
れません。
避難所に行けば、一定の水や食糧が備蓄されていると思っている方もお
られるようですが、全ての避難所が備蓄品を備えているわけでもありま
せん。災害の規模が大きければ、避難所に駆け付けるはずの自治体職員
が被災したり、交通網の寸断でたどり着けないということもよくある話
です。第3章で紹介している「海風の街自治会」は、阪神淡路大震災の
後に設立され、日頃から安否確認などの訓練を行うとともに、独自に備
蓄や積立をしていたことで、平成23年の東日本大震災の際、大きな力を
発揮しました。
そうしたことがなくても、いざ災害が起きて避難所生活を余儀なくされ
た時、誰一人知り合いがおらず、気軽に声を掛けたり、相談ができる相
手がいなかったらどれほど心細いでしょう。緩やかでも地域とつながり、
顔見知りがいたらお互い助け合うこともできるでしょう。
避難所にもキャパシティがあり入りきらない人が自治会・町内会館や公
民館で臨時の避難所を設置。互いに持ち寄った食糧などを分け合って乗
り越えたなどの話もよく聞くところです。自治会・町内会が、いざとい
う時に助け合える人との出会いや顔の見える関係づくりができる場にな
ることもあります。

(10)負担が大きい回覧板をやめたい
Q.自治会・町内会に入っていると回覧板が回ってきますが、自治体の
広報やホームページを見れば載っている情報も多く、役に立つ情報も少
ないです。次の人に回すのも面倒だし、苦痛です。

A.おっしやるような理由からすでに回覧板をやめるところも出ていま
す。行政から考えもなしに大量に送られてくる様々なお知らせの仕分け
だけでも大変な負担で、回覧板に全て目を通すのにも時間がかかるため、
よく見もせず次へ回す人も増えています。
女性の社会進出も進み、昼間宮に誰もいないことも多く、回っていくの
にも時間がかかります。最後の人に届いた時はお知らせにあったイベン
トの申し込み期間が過ぎていたなんてことも日常茶飯事。
インターネットが普及して多くの人がスマホを持つ時代、ITを活用し
た電子回覧板を試験的に導入する自治会・町内会も出てきました。とは
いえ、高齢者の中にはデジタル機器を持たない方も多く、回覧板を情報
源としている方もおられます。回覧板を廃止すると困る方もおられるで
しょう。そうした場合、希望者だけに回すなどの方法もあるかと思いま
す。
                         この項つづく

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命題:地方住民にとって理想的な税制とは
Ⅰ.国内の現状➲~2021年3月時点/総務省

都道府県や市町村は、学校教育や福祉・衛生、警察・消防、道路、下水
道などの整備といったさまざまな行政分野の中心的な担い手であり、国
民生活に大きな役割を果す。ここでは、個々の地方公共団体の財政の集
合である地方財政について、普通会計を中心として、令和元年度の決算
の状況、地方公共団体の財政健全化への取組(主に、健全化判断比率等
の状況)などを紹介。(上下水道、交通、病院などの公営企業につい
ては、「公営企業」の項で紹介。)

地方公共団体の会計の決算統計上の分類
地方公共団体の会計は、一般会計と特別会計に区分経理されているが、
各団体の会計区分は一様ではないため、決算統計では、地方公共団体全
体の財政の状況を明らかにするとともに地方公共団体相互間の比較を可
能とする観点から、統一的な方法により、一般行政部門の会計を普通会
計として整理し、その他の会計(公営事業会計)と区分している。



1.地方税制の実態
2021年度の地方財政の状況
歳入純計決算額は130兆472億円で、前年度と比べると26.0%増となってい
る。このうち、通常収支分は128兆1,883億円で、前年度と比べると26.8
%増となっており、東日本大震災分は1兆8,589億円で、前年度と比べる
と12.4%減。
公的支出の内訳を最終支出主体別にみると、政府最終消費支出において
は42.0%、公的総資本形成においては51.3%を地方政府が支出。地方政
府は中央政府を上回る最終支出主体であり、国民経済上、大きな役割を
担っている。
 
どのような分野で地方の歳出割合が高い?
国と地方を通じた歳出純計額の目的別歳出について、最終支出の主体に
着目して国と地方に分けると、下図のようになる。地方の歳出の割合が
高いのは、主に、民生費、衛生費、学校教育費などの日常生活に関係の
深い分野。

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風蕭々と碧い時代


John Lennon
ジョン・ウィンストン・オノ・レノン(John Winston Ono Lennon、1940
年10月9日 - 1980年12月8日)、イギリス出身のシンガーソングライタ
ー、ギタリスト、キーボディスト、平和運動家。ビートルズを立ち上げ
たリーダーでボーカル、ギターなどを担当するとともに、ポール・マッ
カートニーと「レノン=マッカートニー」としてソングライティング・
チームを組み、多くの楽曲を作曲。

「イマジン」の歌詞は、1964年に発表されたオノ・ヨーコの詩集『グレ
ープフルーツ』に収録されている詩からインスピレーションを得ている。
とくに、アメリカのキャピトル・レコードから発売されたアルバム『イ
マジン』の裏ジャケットにも掲載された「Cloud Piece」には、「Imagine
the clouds dripping, dig a hole in your garden to put them in
(雲が滴り落ちる
と想像しなさい。あなたの家の庭にそれを受け止める穴を掘りなさい)
」という一文が含まれる]。

J-POPの系譜を探る:1988年代】


曲名: 人生いろいろ 1988年   唄: 島倉千代子
作詞: 中山題三郎 作曲: 浜口藏之助 


ボサノバ Kanoko Hara

「人生いろいろ」は、1987年4月21日に島倉千代子が発表したシングル。
自身最大のヒット・代表曲となる。本曲を歌唱する島倉の姿は往時のフ
ァンを少なからず驚かせる。ポップス調のサウンドに乗せて、全盛期の
歌唱力に比べ豊かとは言えない声量でビブラートを重ねる様子は、一部
からヘタウマ歌手との評も]。1957年の『第8回NHK紅白歌合戦』から1986
年まで『第37回NHK紅白歌合戦』に30回連続で『NHK紅白歌合戦』に出場し
ていた島倉だったが、本楽曲が発表された1987年、「30回という数字を
汚したくない」と卒業宣言をして『第38回NHK紅白歌合戦』への出場を辞
退したが、大ヒットに加え、当時病気療養中だった作曲者の浜口の「歌
う姿を見て元気になって貰いたい」という思いから、翌1988年の『第39
回NHK紅白歌合戦』に2年ぶりに復帰出場し本曲を歌唱する。

● 今夜の寸評:(いまを一声に託す)未来は善き縁で開かれる。
   Good encounters can lead you to a better future

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