高脂質摂取の弊害に苦しむ米国で、“日本人”の長寿命と賢明さに注目し?研究開発されてきたオメガ3脂
肪酸が流行しているというが、脂肪酸の研究が始まったのは、1800 年代に入ってから。 1813 年から
1823 年にかけミシェル・ユージン・シュヴルールによって脂肪の研究が行われ、脂肪は脂肪酸とグリ
セリンのエステル様結合物であることが発見されました。オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸な
どの脂肪酸も発見されその後、脂質分析の技術が進歩し、1844年にリノール酸、188 年にリノレン酸が
発見され、1909 年には肝脂質からアラキドン酸が、日本では 1935年にイワシの抽出油からアラキドン
酸が発見される(脂肪酸研究が進んだ理由:ガスクロマトグラフィー技術が貢献)。さて、脂肪酸は飽
和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられる。不飽和脂肪酸は、その構造からオメガ3(n-3系脂肪酸)、オ
メガ6(n-6系脂肪酸)、オメガ9に分類される。青魚に含まれるDHA・EPAやえごまに含まれる
αリノレン酸は、オメガ3に分類される脂肪酸で、この脂肪酸は細胞が正しく機能するためには不可欠
なものであることがわかってきた。オメガ3脂肪酸は青魚をはじめ、えごま油、シソ油、亜麻仁油、く
るみ、緑黄色野菜、豆類などの食品から摂取できる。このように 体を作るのに欠かせない「必須脂肪
酸」は、高度不飽和脂肪酸(PUFA)とも呼ばれ、動脈硬化の予防やコレステロールの増加による高血
圧、心臓疾患を予防するという優れもの。楽天の田中将大投手を支えた里田まいさいも愛用している「
オメガ3」を含んだ油だとか。この油、日本ではあまり知られていませんが、欧米では広く普及してい
ていたが、日本でも2005年に厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」で増やすべき栄養素として目標値
を設定。オメガ3は、アマニ油やえごま油などの精製された油だけでなく、身近な食品にも含まれていまる。
もっとも、フードファディズムの傾向にあるらしくオールマイティーの食材としての喧伝に戒める批判
もでてきている(「フードファディズムか希少糖」)。ところで、この高度不飽和脂肪酸(PUFA)の
製法技術開発も、盛んに行われていて下記のサントリー社の新規考案が提案されている。
高度不飽和脂肪酸(PUFA)とは、炭素数18以上で二重結合を2個以上持つ脂肪酸である。PUFAは種々
の特異な生理活性を持ち、各種の食品及び動物飼料へ添加してその機能性を高めるために使用される。
主なものとしては、リノール酸(LA)、α-リノレン酸(ALA)、γ-リノレン酸(GLA)、ジホモ-γ-
リノレン酸(DGLA)、ミード酸(MA)、アラキドン酸(AA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘ
キサエン酸(DHA)等が該当する。利用にあっては、遊離脂肪酸型やリン脂質型として用いられることも
あるが、主として、トリグリセライド型として用いられ、そのアシル残基にPUFAが構成々分として含
まれる場合が多い。ところが、PUFA自体の化学合成は難しく、製造コストが高く、また、油糧植物、魚
介類、微生物、微細藻類などから抽出供給するが、これらの生物は、多種類のPUFAを含み単一のPUFA
での構成はない。PUFAをトリグリセライド型の利用には、PUFAの結合位置や結合個数を特定した「構
造脂質」での利用により機能性が高まる。構造脂質を製造する場合、位置特異的な化学的手法もあるが、
多くの場合、食品用途が中心を前提に、リパーゼなどの酵素を用いたアシル基の変換反応で製造するこ
とが多い(国際公開W0 03/004667)。この場合、原料トリグリセライド中の特定位置に結合した脂肪酸
の結合を切断せず、その他の位置に結合した脂肪酸のみを加水分解反応または、アシル基交換反応など
で除去する(下図に反応式を例示:PUFA含有トリグリセライド混合物とカプリル酸とのリパーゼ反応
により、1,3位にカプリル酸を含むトリグリセライドと遊離脂肪酸が生成する場合の例を示す(A~
I:脂肪酸、8:カプリル酸)。
この場合、生成物である構造脂質中の目的のPUFA含量は、原料のトリグリセライド中の、切断しない
脂肪酸残基(この場合は2位)中に含まれる目的のPUFA含量に依存する。副生する遊離脂肪酸の利用
価値が高い場合が多いが、この遊離脂肪酸に含まれる脂肪酸の種類と割合は、原料のトリグリセライド
中の切断する脂肪酸残基(この場合1位と3位)中に含まれる脂肪酸の種類と割合に依存する。特定の
PUFAを特定の位置に含む構造脂質を、そのPUFAを含むトリグリセライドなどを出発原料として、リパ
ーゼなどを用いたアシル基の変換反応で製造するとともに、副成する脂肪酸も利用する時、出発原料が
多種類のPUFAを含んだ混合物である場合には、以下の点が問題となる。(1)グリセロール骨格に結
合した状態で残したいアシル基に、目的のPUFA以外の脂肪酸が混入してしまう。(2)グリセロール
骨格からはずれ副生する脂肪酸、多種類の脂肪酸の混合物になる。
この問題を同時解決するには、トリグリセライドを構成する3つの脂肪酸残基がすべて目的のPUFA1
種類から成るトリグリセライドを出発原料にすればよい。こうすることにより、グリセロール骨格に結
合した状態で残したいアシル基についても、グリセロール骨格からはずれて副成する脂肪酸についても、
すべて目的のPUFA 1種類のみから成る純度の高いものとなり付加価値が高まる。しかし、これまで自
然からや発酵法で得られたトリグリセライドの中で、PUFA1種類で成るトリグリセライドを高い割合
で含むもはなく、モルティエレラ・アルピナ(油糧糸状菌:Mortierella alpine)を培養して得たトリグリ
セライドの約19%のトリアラキドノイルグリセロールのみである。これを、高速液体クロマトグラフィ
ーなどを用いて分離精製することは、トリグリセライドを効率的かつ安定的に製造が難しい。
したがって、実用的には、生物資源からの抽出法に限定され、主な供給源として、リノール酸やα-リノ
レン酸は油糧植物から、アラキドン酸やジホモ-γ-リノレン酸は微生物から、EPAやDHAは魚介類や微細
藻類などが挙げられるものの、そのトリグリセライドには、多種類のPUFAが含まれ、その結合位置も
グルセロール骨格の1位、2位、3位のすべてに分布。このように、トリグリセライドの3個の脂肪酸
残基の種類を区別したトリグリド分子種の観点では非常に多種類の分子種が混在し、トリグリセライド
を構成する3つの脂肪酸残基がすべて目的のPUFA1種類から成るトリグリセライドである分子種が含
まれず、あるいは、も少量存在しているだけに過ぎず、供給源からの分離精製が難しい。グリセロール
の3個のヒドロキシル基に同一の高度不飽和脂肪酸が結合するトリグリセライドの比率が、全トリグリ
セライドに対して20重量%以上の油脂製造方法では、この油脂を産生することが出来る微生物を培養し、
目的油脂を採取し、新規なトリグリセイドを含む油脂、その製造方法、その製造に使用する微生物を提
供する。
今年、めでたく世界文化遺産に登録された"和食"、"一汁一菜"の代表格の味噌にも鰯にも豊富に含まれ
る"パファ"(高度不飽和脂肪酸:PUFA)で来年も無病息災を祈念するとしよう。
ミュージシャンの大滝詠一(おおたき・えいいち、本名=大瀧榮一)が亡くなったことが今夜知る。昨日
午後7時ごろ、東京都瑞穂町の自宅で倒れ病院に運ばれたが帰らぬ人となったという。警視庁福生署な
どによると、大滝さんは当時自宅で、家族と一緒にいてリンゴを食べていたが、とつぜん倒れたという。
119番通報で救急搬送する際には既に心肺停止状態だった。死因は解離性動脈瘤だという。
北欧の空のように、オーシャン・ブルーのように印象的な透明な歌声。カーステレオにはしっかり録音してある。遠出
するとき、ハンドルを握った時、忘れず君のこと思い出しているだろう。
大晦日に合掌