極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

黄金郷の星に語れば

2019年07月24日 | デジタル革命渦論

  

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            
6.雍 也 ようや
ことば-------------------------------------------------------------- 
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)とし て然
る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者
にしかず」(20)  
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
-------------------------------------------------------------------
8 季康子がたずねた。
「仲由(子路)は政治を委ねるに足る人物だろうか」  
孔子は答えた。
「由は決断力のある男です。立派に政治を担当するでしょう」
「賜(子貢)はどうだろう」   
「かれは緻密な男です。立派に政治を担当するでしょう」    
「では求(冉求)はどうか」    
「かれは多才な男です。立派に政治を担当するでしょう」

〈季康子〉 孔子の弟子をもっとも多く登用したのは季康子である。孔子
が定公に重用されたについても、かれはあずかって力があった。

季康子問、仲由可使從政也與、子曰、由也果、於從政乎何有、曰、賜也可
使從政也與、子曰、賜也逹、於從政乎何有、曰、求也可使從政也與、子曰、
求也藝、於從政乎何有。

Ji Kang Zi asked, "Can I leave government affairs to Zhong You?"
Confucius replied, "He is decisive. He can manage them easily."
Ji Kang Zi asked, "Can I leave government affairs to Zi Gong?"
Confucius replied, "He is clever. He can manage them easily."
Ji Kang Zi asked, "Can I leave government affairs to Ran Qiu?"
Confucius replied, "He is versatile. He can manage them easily."


  

ポストエネルギー革命序論25】



デジタルアニーラ活用、磁石の磁束密度を最大化

最適な二次元磁石配列を数秒で計算


7月19日、株式会社富士通研究所は、エネルギーハーベスティング(環境発
電)などで使われる磁気デバイスにおいて、平面状(2次元)に複数配列した
磁石に対し、磁束密度を最大化するための最適配置を求める計算を。組合せ最
適化問題を高速に解く次世代アーキテクチャー「デジタルアニーラ」で可能に
する技術を開発したことを公表。環境発電に使われる磁気デバイスの多くは多
数の小さな磁石を配列して磁束を発生させるが、より高い発電効率を実現する
ための平面状(2次元)配置は、磁石の配列の組み合わせが膨大となり現在計
算が困難な状況です。今回、1つ1つの磁石をどのように配置すれば磁束密度
を最大化できるかを「デジタルアニーラ」で計算できる技術を開発し、これま
で難しかった計算を数秒で解くことができるほか、発電効率も16%向上でき
た。これにより、従来以上に発電効率が高い磁気デバイスの設計を迅速に計算
でき、エネルギーハーベスティングデバイスなど自然エネルギーを利用可能と
する発電装置のさらなる普及が期待できる。

モーターやエンジン、橋や建物などの振動を電力に変えるエネルギーハーベス
ティングデバイスは、車載機器やウェアラブル機器の自家発電、屋内外の様々
な場所に配置されるIoTデバイスへの電力供給手段として、送電ケーブルやバ
ッテリー交換・充電作業を不要にする技術として注目されている。ところで、
振動を電力に変えるエネルギーハーベスティングデバイスは、永久磁石とコイ
ルによって生じる電磁誘導という物理現象を利用して、動力と電力の間でのエ
ネルギー変換を行っています。エネルギーハーベスティングデバイスの発電効
率を最大にするためには、デバイスの内部に多数配置された磁石から発せられ
る磁束密度の大きさを、コイルの位置に対して最大化する必要がある。

現在、一列(1次元)に複数並べた磁石の片面に磁束を集中させる配列は知ら
れていますが、今後さらなる高発電効率の磁気デバイスを実現するには、磁石
を平面状(2次元)に並べて発電量を増やすことが有効だが、平面状(2次元)
に並べられた磁石の配列は複雑なため、例えば3次元の座標軸に沿って磁石を
正方形状に10個×10個並べる場合の磁石配向の組み合わせの数は10の77乗
以上にのぼり、所望する部分(コイルのある部分)に対して磁束密度を最大に
する最適な配列を見出すことが困難。「デジタルアニーラ」では、問題の事象
をすべて0と1の変数として表現する必要がある。今回、X、Y、Zの3軸に沿
って配向可能な磁石の方向をそれぞれ3 bitの変数で表現し、その変数と電磁
気学の法則の一つであるビオ・サバールの法則を用いて、発生する磁束密度の
解が出るように定式化。その式を用いて、ある特定の部分に対して磁束密度
が最大化するように目的関数(値を最大化すべき関数)を導入。さらに、組合
せ最適化問題に必要となるQUBO(Quadratic Unconstraint Binary Optimizati-
on)形式
)で解けるように、新たな変数を目的関数に追加することで、「

デジタルアニーラ」で平面状の磁石配列の最適な設計構造の計算を実現する。



この技術により、平面状(2次元)の磁石配列の最適設計が「デジタルアニー
ラ」で計算可能となる。今回、シミュレーションを行ったところ10個×10
個の2次元磁石配列の設計最適化問題が、数秒で解けることを確認。得られ

配列を用いることで、従来の一列(1次元)配列のやり方で2次元配列にし

場合と比較して、磁束密度の大きさが17%、エネルギーハーベスティング

バイスの発電効率としては16%向上した。なお、この技術
は磁束密度を部分
的に最大化するための計算以外に、たとえば。リニアモーター
など磁束密度の
分布状態を制御のための磁石配列の最適化などの応用
にも適用可能だとのこと。

量子暗号の到達距離を最大500kmに延ばす

近距離用の量子暗号方式の低コスト化

7月19日、東京大学の研究グループは、盗聴を監視する新たな手法を考案し、
既存技術でも量子暗号の到達距離を従来の約2倍に延ばせることを証明したと
発表。量子暗号は、強固なセキュリティ通信を可能とする技術だが、既存の光
信技術だけだと、通信距離は最大250キロメートル程度であった。このた
め、長距離通信を可能にする量子暗号方式「ツインフィールド方式」などが提
案されてきた。ところが、通信を行う2者の間にある光子検出装置がサイバー
攻撃を受けた場合には、効率よく監視し実用レベルでセキュリティを確保する
方法が見つからなかった。ツインフィールド方式の基本的な仕組み。



今回、盗聴の痕跡を効率よく調べる方法を考案。具体的には、レーザー光源だ
けで作る2種類の光パルスを用意する。これを光ファイバーに通し、収集した
2種類のデータを引き算するだけで、盗聴の痕跡が浮かび上がり、あらゆる盗
聴攻撃を見逃さず監視することが可能となった。これに対し、従来のツインフ
ィールド方式は、「シュレーディンガーの猫状態」と呼ばれる特殊な光を用い
て、盗聴を検出する必要があった。「既存の技術で量子暗号の到達距離を最大
500キロメートルまで延ばせることを証明。近距離用の量子暗号方式の低コ
スト化にも寄与する」とみる。この新しい推定手法は,レーザー光だけで効率
よく盗聴行為を監視する可能性を広げるもので,完璧ではない光源や検出器を
用いた量子暗号に適用することにより,近距離用の量子暗号方式の低コスト化
にも寄与。さらに,特殊な光を扱うデバイスを低コストで検査するなどの応用
も考えられ光を用いる量子技術開発の今後の促進につながる。


『エル・ドラド』(原題:El Dorado)は 1966年公開のアメリカ合衆国
西部劇映画。監督はハワード・ホークス、主演はジョン・ウェインとロバ
ート・ミッチャム
。日本で世界初公開され話題を呼んだ。ジョン・ウェイ
扮すベテラン・ガンマンのコールは、エル・ドラドの町を久々に訪れた。
興牧場主のジェイソンに用心棒として雇われたからだったが、ロバート・
ッチャム扮する同地の保安官を勤めている旧友のハラーが訪ねてきて、
古くからの牧場主であるマクドナルド家が持つ、付近で唯一の水場の権利
をジェ
イソンが奪おうと争っている事と、ジェイソン側にコールが加担す
るのなら
戦わなければならない事を告げる。コールはジェイソンから何の
説明も受け
ていなかった事もあり、この件から手を引くことをハラーに告
げる。




ジェイソンに報酬を返し町に戻る途中、コールは付近の見張りをしていた
クドナルド家の息子、ルークに撃たれ、咄嗟に反撃して負傷させる。コ
ール
は手当てしようとするが、彼は拳銃で自殺する。コールはマクドナル
ド家の
家長ケビンに遺体を引き渡し事情を説明。ケビンは納得し遺体を運
んでくれ
たコールに礼を言ったが、信じようとしなかった娘のジョーイは、
帰路につ
く彼を待ち伏せて狙撃。コールは彼女を捕らえて諭し家に帰すが、
腰に銃弾
が命中。彼は町医者のミラーから応急治療を受け、傷が癒えると、
ソノラの
銀鉱山で起きた問題を解決するためにエル・ドラドを去る・・・・・・
というスト
ーリー。たぶんこの映画は学友と二人で観たと記憶しているが
定かでない。
視神経の衰弱が激しく、午後から作業を打ち切り、クラシュ
ド・アイスにウ
ィスキー注ぎ鑑賞している、今は亡き縁者との思い出を重
ね、しばし郷愁に
かられる。

尚、ジョン・ウェインは胃癌の悪化で、1979年5月1日よりカリフォルニア
州ニューポートビーチのカリフォルニア大学ロサンゼルス校医療センタに
院、治療を続けていたが、72歳の誕生日を迎えて17日目の6月11日午後
5時
35分(日本時間12日午前9時35分)に死去。ウェインの遺体はカリフォ
ルニア
州オレンジ郡のコロナ・デル・マールにあるパシフィック・ビュー・
メモリ
アル・パーク墓地に埋葬される。日本でも、毎日新聞に『ミスター・
アメリ
カ死す』を始め、大きな見出しが出される。アメリカ各地では半旗
が掲げら
れてる。入院期間中の6月5日には、当時の大統領であるジミー・
カーターが
ウェインの見舞いに訪れれているが、現職の大統領が映画俳優
を見舞うのは
異例のこと。死因である癌の原因の一つとして、ネバダ核実
験場の100マイ
ル風下で『征服者』の撮影が行われたことを挙げられている
(『ジョン・ウェインはなぜ死んだか 新訂版』 広瀬隆・著/文芸春秋19
88年1刷)。葬儀に
際し、次期アメリカ大統領となったロナルド・レーガン
(ハリウッド俳優出
身)は、「実生活でも卓越した巨人だった。体躯、態
度、信念に不屈の強さ
を感じた。思いやりのある誠実な人柄は、利己的な
ハリウッドではめったに
お目にかかれぬ存在だ」と語った。 

 

 Linda Scott  I've Told Every Little Star

星に語れば(ほしにかたれば 原題:I've Told Every Little Star)はポ
ピュ
ラーソングのスタンダードナンバーである。1932年にジェローム・カ
ーン
とオスカー・ハマースタイン2世が『Music In The Air』という映画
のため
に作ったミュージカル・ナンバーであり、パット・ブーン、キャノ
ンボール
・アダレイ、ソニー・ロリンズ、パーシー・フェイス、ビング・
クロスビー
等の超大物スター歌手もカバーした曲である。1960年代に入り
リンダ・スコ
ットが1961年に発表した事により再び注目を浴び、アメリカ
はもちろん、
ヨーロッパでも多くのカバーを生み大ヒットした。また2001
年に映画「マ
ルホランド・ドライブ」の中でも使用されている。



リンダ・スコット(Linda Scott、1945年6月1日 - )は、アメリカの女性
歌手
。1950年代後半から1970年代前半にかけて、ポップシンガーとして活

躍した。リンダの最大のヒットとなったデビューシングル"I've Told Every
Little Star"(邦題 星に語れば/1961年)をはじめ、リンダは様々な曲で
躍した。日本では、I've Told Every Little StarがTBSの番組『マツコ
の知
らない世界』のテーマソングに使われている。

リンダはニューヨーククイーンズ区で生まれた。リンダが11歳の時にニュ
ージャージー州、次いでティネックへと引っ越した。高校生の1959年、リ
ンダはアーダー・ゴッドフレイのCBSラジオショーのオーディションに受
かった。リンダは様々なラジオ番組でレギュラーゲストとして出演。 1961
年、リンダは Canadian-American Recordsの楽曲"Sleep Walk"に影響され、
シングル、"I've Told Every Little Star"を発表。I've Told Every Li-
ttle
Starのシングルが、100万ヒットを達成すると、"I Don't Know Why"
や "Don't Bet Money, Honey"などのレコードを売り上げた。1964年1月、
リンダの最後のチャート"Who's Been Sleeping In My Bed"を売り上げる。
1965年には、スティーヴ・アライモ(英語版)と共演し、1967年に最後の
曲、"They Don't Know You"を発表し1970年にリンダは芸能界を引退する。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宇宙デブリゼロ事業

2019年07月22日 | 開発企画

 

  

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            
6.雍 也 ようや
ことば-------------------------------------------------------------- 
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)とし
て然る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽し
む 者 にしかず」(20)
 「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
-------------------------------------------------------------------
7 回よ、仁をしっかり守って離れぬように心がけているなら、そのほか
の徳は自然と身に備わるものだ。(孔子)  

★伊藤仁斎(江戸初期の学者。『論語古義』を著わした)、徂徠の説 よっ
た。通説は、「その余」を顔回以外の門人とする。

子曰、囘也、其心三月不違仁、其餘則日月至焉而已矣。

Confucius said,
"Yan Hui can maintain his mind with benevolence for three months.
Others can do it only for a day or a month."

   

ポストエネルギー革命序論24】



 被災地の人命救出自走ロボット車両

 最近の異常気象による被災地の映像を耳目するにつけ、人命救済。
復旧・復興用のロボ ット開発研究事例を知りたくなった。今回紹介
する韓国の自動車メーカの現代社は、起 伏の多い地形上をロボット
の脚が時速3マイル(5km / h)で歩くように自走できる将 来の概
念自動車を実証したことを公表している。CES 2019でデビューし
た然災害の際に 自治体支援できる。ロボット式の脚を装備したホイ
ールを使用すると、最も危険な地形 を運転したり、歩いたり、さら
には昇降できる。自然災害の後の最初の72時間は救命 に最も重要
であり、災害の性質(山火事、地震、ハリケーン、洪水)のために、
捜索救 助や人道的援助の指命の即応が難しい。



概念自動車の"Elevate"は、特定状況に合わせ さまざまな車体を
り替える機能を備えたモジュラー式電動基礎に従う。ロボット式

ッグアーキテクチャは5軸とホイールハブ推進モータで、最新の

動アクチュエータ適用技術により実現。設計は哺乳類と爬虫類の

方の歩行歩容を可能にし、あらゆる方向に動く。同社は最終設計

模倣し、これらすべての機能実証に、1:8スケールのプロトタ

プを開発。脚部を収納モードで折り畳めたり、内蔵する受動型懸

装置の使用で、 バッテリー効率が最大にできる。

これにより、"Elevate"と他の車両と同様に高速道路も走行できる。
今日では、全水平維持しながら、複雑な地形を4.6メートのトラッ
ク幅を15メートルの障壁・隙間を越えながら達成できる自走車は
存在しない。ロボットの力を現代の最新のEV技術と組み合 わせるこ
とで自在な能力を持あわせており、高速道路からわずか3メートル
の積雪路上 で危険な地形の上を歩いたり登ったりでき、負傷したを
乗客を救うことができることを創造して欲しいと設計担当者は語る。

※できれば、防火・耐熱・断熱及び飛来デブリ・危険物からの遮蔽・
防御、あるいは、 水陸両用走行機能もオプションに入れて欲しいも
のだが(価格は数百万~1億円?)。

分子性物質の超伝導発現機構を理論的に解明

7月18日、理化学研究所の研究グループは、有機超伝導体の一つ
であるカッパー(κ)型分子性物質の超伝導発現機構を理論的に明
らかにしたことを公表。研究成果は長年未解明だった超伝導発現機
構の解明に加え、超伝導転移温度の向上や新たな有機超伝導体の理
論的予言を可能にし、有機エレクトロニクスのさらなる発展に貢献
すると期待できるという。それによると有機超伝導体においてこれ
までは困難だった1分子あたりの電子数の制御が実験的に可能にな
ったが、理論的な超伝導発現機構の詳細はほとんど明らかになって
いなかった。変分モンテカルロ法を駆使し、物質の詳しい構造と電
子間に働くクーロン相互作用を適切に取り扱い、超伝導発現機構を
明らかにした。有機物質は軽く、曲げ伸ばしや塗布ができるという
特性から、ウェアラブルデバイスなどの電子機器に広く応用。この
成果は、転移温度の向上や新たな超伝導体の予言を可能にし、有機
エレクトロニクスのさらなる発展に貢献すると期待できる。また、
有機超伝導体のみにとどまらず、幾何学的フラストレーションのあ
る系に広く適用できる理論を確立。

今回、研究チームは、三角格子が変形した複雑な結晶構造を持つ分
子性物質κ-(BEDT- TTF)2Xの電子状態について、変分モンテカル
法を用いた数値シミュレーションを行う。その結果、元の物質から
電子数を増やした場合には、従来の銅酸化物高温超伝導体と同
じタ
イプの超伝導が現れ、電子数を減らした場合には、幾何学的フ
ラス
トレーションの効果により、三角格子に特有な新奇な超伝導が
現れ
ることを見いだした。

※面白い研究報告ですね。

 

 ● 今夜の一曲

 Abba - Money, Money, Money

【続・引き寄せられる混沌12:7040問題を考える】

人的資本の充実と現代貨幣理論との差

最近、「現代貨幣理論」(Modern Monetary Theory=MMT)が話題と
なっている。この理論は、現代経済の貨幣が借用書により成立
して
いることを捉え、政府は税収に制約される必要はなく、任意の
自国
通貨建て国債発行により財政支出量を調整することで望ましい
イン
フレレベルを目指す経済政策を行うことを理論的主柱とする経
済理
論である。ステファニー・ケルトンなどによって提唱されたも
の(
Wikipedia Japan)。 例えば、公共銀行制度研究所(Public
Bank
Institute)の会長のエレン・ブラウンは、 著書『負債の網』
で米
国でベストセラーとなっているが、ダイヤモンド・オンライ
ンの「
エレン・ブラウン女史が語る、「MMT実証国」の日本に消
費増税が
不要な理由」で日本 のアベノミクスを「日本はMMTの 正
しさを証
明している」と持ち上げ、日本では、財政赤字が国内総生
産の24
0%になってもインフレが起こっておらず、その意味で、
MMTの考
え方の正しさを証明していると持論を正当性を誇示しつつ、
経済学
者のポール・クルー グマンのMMTが急激なインフレを引き起
こすと
警戒していることについて、もちろんその 可能性があるので、

政赤字の行き過ぎは勧められないが、日本はインフレ目標の2%

半分ぐらいしか物価が上昇しておらず、まだまだ財政出動の余裕

→因果律の要解析)があると答える。

また、日本の財政赤字は1100兆円を超えているが、日本銀行が国債
の40%以上を購入しており、国が発行した国債を、日銀が買い戻
したので、政府が買い戻したことになり、例えば私に住宅ローンが
ったとして、それを買い取ってしまえば、借金を返したことにな
り、
日本の実際の財政赤字は40%以上も縮小され、日銀は帳簿の
上で、
債務を帳消しにするだけでよいことになり、もっと財政出動
ができ
ると答え、日本のように自国の通貨で国債を発行できる国は、
イン
フレにならない限り、財政赤字をいくら増やしてもよいと、現
代貨
幣理論は主張しているが、提唱者の一人である、ステファニー・
ルトン・ニューヨーク州立大学教授は「MMTの正しさは日本で
証されている」と同一見解を示す。

これに対し、同ダイヤモンド・オンラインで『浜田宏一氏が語る「
MMTは均衡財政への呪縛を解く解毒剤」』で、MMTは、ポスト
ケインジアンの伝統の上に立ち、サンダース上院議員の草の根運動
とも結びついた興味深い議論。しかし裏付けるモデルが単純で経済
理論とし粗削りなものだと規定し、その特徴の1つが、自国通貨を
持つ国はそう簡単に───国債が増えて、その返済を求められても、
政府と中央銀行は一体と考え、中央銀行が紙幣を刷って借金を返せ
るので───破綻しないという論理。政府は破綻しなくても、高イ
フレで国民が窮乏し、経常収支が赤字になって国全体が貧しくな
る。


同じく財政赤字を正当化する「シムズ理論(財政の物価 決定理論)
」が評価されたが、MMTの場合は、財政赤字に対して、中央銀行
が受動的に紙幣を刷って全てファイナンスするというヘリコプター
マネーが含まれている。シムズ理論や伝統的な経済学は、財政赤字
で国債が増発される場合、中央銀行が独立した立場で、インフレが
高進しないように売りオペなどをして金利をコントロールする。そ
こで、財政均衡主義の基礎になるリカードの理論は、政府も民間企
業と同じように資産と負債のバランスを保つように行動すべきで、
人々もそれを想定して行動する───つまり人々は、政府は国債発
行で減税や歳出を拡張しても、将来は増税や歳出削減で、負債と資
産を均衡させると予測して、自分の行動も決めるという───考え
になり、公債や税が経済に与える効果は中立で、財政は歳出と歳
を一致させ、規律を持って運営するのが正しいという考え方だが、
日本では、財政均衡主義が財政運営に対する過度にきつい締め付け
になっていた。例えば、バブル崩壊後、デフレが長く続き、需要不
足で、民間は貯蓄超過。政府が財政拡張し需要投資を促さずに、逆
に財務省は財政健全化に拘泥し───財務省は、税金を徴収し歳出
して使う自分たちの差配で、税金をたくさん集め使うのは居心地
く、政治家にも、予算編成の権限を盾にコントロールする。課税
その力の源泉になり、税金をとることに非常に熱心となる一方的
考え方が支配される。こうしたことは、日本では財務省だけでな
公務員全体にも(ある程度)あてはまる。それに財務省はIMF
国際通貨基金)などの国際機関に人を出していて、日本の政府債
の状況を、財政が破綻するかのように必要以上に強調し、海外で
で世論を作り上げようとしてきたから、MMTが論じられる中で
うした呪縛がなくなるのはいいことだ。IMF自体も今は、民間
企業のバランスシートのように、日本政府の実質資産も入れて評価
するようになり、日本の財政赤字が他国に比べ突出しても悪くない
と考
えるようになる




ただ、MMTの方策で拡張を続ければ、どこかの段階ではインフレ
を起り、財政を拡張してもインフレを起こさないというのは嘘。た
だいったんインフレを起こすのに成功すると、名目金利が上がりま
す。それをMMTのように、名目金利が一定になるように機械的な
貨幣供給は危く、MMTがインフレを止められないようなシステミ
ックな不安定性を内蔵している理論だということは注意しておかな
いといけないと述べ、最後に、日本の将来を考えると、一番、大事
と思うのは人的資本をどう充実させるかであり、少子化対策とかで
労働人口を増やすとか、いわゆる学校の成績が良い優秀な人材を育
てるとかの話ではなくて、芸術や文化も含めて、人々が個性を発揮
し、
各人の得意なところで付加価値を生む人をどれだけ育てるかと、
まと
めている。わたし(たち)はこの提案に同意する。
                          この項了




フェイスブックの仮想通貨「リブラ」の規制問題

誰もフェイスブックの仮想通貨「リブラ」を規制できない闇とは誰
もが世界各国が懸念を示しているフェイスブックの規制を求める声
が各方面から上がるなか、そもそも適切に規制する方法は誰にもわ
からないのではないかということが、米議会の公聴会から浮き彫り
にした。

7月16日、米上院銀行委員会は日、フェイスブックの幹部でリブ
ラの責任者を務めるデイヴィッド・マーカスを招き、この公聴会で
問われたのは、根本的な質問の数々。まず、リブラはお金なのかど
うか。フェイスブックはもちろんそうだと考えているが、米証券取
引委員会(SEC)は、リブラは投資に近いのではないかと考えてい
。投資に当たる場合、リブラは厳格な規則の対象となる。また、

スイスを拠点にリブラを管理する Libra Association(リブラ・ア
シエーション)は銀行に当たるのかどうか、あるいはフェイスブ
クは違うとしているが、米金融安定監督評議会は、それが大きす
てつぶせない規模の組織であるのかを精査している。また、リブ
を世界規模の金融ネットワークに対する最適な規制のノウハウが
いと認めている。

リビットコインの仮名性をリブラにも

今回の公聴会で、フェイスブックのマーカスは規制に関する大まか
なロードマップを明らかにしたが、これはビットコインから多くの
着想を得たものだった。また、マーカスは、ウォレットやオンラン
プ、オフランプは各自治体による規制で適切にビットコインは従来
の金融サーヴィスに対する自由主義者の粗暴な拒絶行為とは言い、 
消費者の財布に手を伸ばすのはフェイスブックであることに変わり
がないゆえ、同社固有の懸念がつきまとう。


ビットコインで重要なのは仲介業者がいないという点。つまり、何
か問題が発生した場合に責任をとる者がいないことも意味する。誰
もがビットコインを運営するネットワークに参加できる。そして、
例えば、規制薬物を購入したときのビットコインの取引記録が個人
のパソコンに入っていたとしても、誰もそれを非難されないという
ことでもある。それこそが分散化のメリットであり、分散化に秘め
られた危険性でもあるのだ(※貨幣の匿名性)。そんなとき犯罪捜
査当局は、プラットフォームの「境目」を手掛かりとしていると仮
想通貨の擁護団体のコインセンタ調査部長は認めている

このプラットフォームの境目とは、ビットコインを現金に換金でき
る場所などを指す。ビットコインの取引はすべて公開されているが、
ユーザーは仮名で取引を実施するため、米連邦捜査局(FBI)がサ
イバー犯罪者を追う場合には、マネーロンダリング防止規則に基づ
いてユーザーの情報を収集できる、取引所などの「オフランプ」企
業を頼りにする。ここで手に入れた情報を、公開されたブロックチ
ェーン
取引を分析するソフトウェアと組み合わで、不正取引の背後

にいる人物の正体が暴ける。フェイスブックはその仕組み一般に着
目し、リブラのブロックチェーンは誰でも自由に取引したりアプリ
を構築でき、中立的なオープンソース環境になる。ビットコインと
同様、ブロックチェーンのデータには仮名により、司法当局はこれ
らを分析できる。ウォレットやオンランプ、オフランプは各自治体
による規制で適切に管理され、さらに、オープンなブロックチェ
ンシステムは、世界中の司法機関にとっては「銀行よりも優れた」

存在になるだろうと証言する。「ビットコインはこの仮名性という
スタンダードを確立し、司法当局もそれに馴れている。リブラは単
にそのスタンダードを取り入れればいいと考えているようだと、ジ
ョンズ・ ホプキンス大学部のマシュー・グリーン教授は話す。

独自ウォレット「Calibra」はどこまで安心か

この戦略は、ビットコインは従来の金融サーヴィスに対する自由主
義者の粗暴な拒絶行為です。リブラは従来の金融サーヴィスの一部
であるべきで、根本的な緊張状態の原因となると。スタンフォード
大学教授で米証券取引委員会(SEC)の元委員のジョセフ・グラ
ンドフェストは指摘する。この緊張状態は、公聴会で白日の下にさ
らされ、議員たちは、地球規模で拡大するリブラというブロックチ
ェーンプラットフォームが、いかにさまざまな国の相反する制裁
規定や国際詐欺防止に対応するのかを、徹底的に問い詰める。

マーカスはこれに対して、何度も「Calibra(カリブラ)に関して
いうと……」と繰り返す。 カリブラとは、リブラのウォレットを開
発しているフェイスブックの子会社(リブラのウォレットを開発す
る企業はほかにもあるが、Facebookに搭載されるのはカリブラの
ウォレットのみだとマーカスは話す)。カリブラがあることで、フ
ェイスブックはブロックチェーンと仮想通貨に関する煩雑な仕事を
棚上げし、既存のものに近いフレームワークのなかで物事を進めら
れるようになる。

マーカスは公聴会のなかでカリブラをPayPalなどの一般的な決済
アプリになぞらえ、カリブラがもつブロックチェーン上のアドレス
はひとつだけであることを強調した。つまり、カリブラユーザー間
の取引は、ブロックチェーンそのものとは関与しないということだ。
こうすることによって、カリブラはウォレットを立ち上げたい国の
それぞれ、消費者向けの資金を扱う事業を現地法に準拠させる。と
はいえ、カリブラで規制当局を安心させるのは難しい。仮想通貨で
あるかどうかにかかわらず、消費者の財布に手を伸ばすのはフェイ
スブックであることに変わりはない。それゆえ、同社固有の懸念が
つきまとう。

キャロリン・マロニー下院議員(民主党)は、Facebook Messenger
とWhatsAppの市場優位性を考慮すると、カリブラ・ウォレットに
独占禁止法違反の可能性があることを示唆。アレクサンドリア・オ
カシオ・コルテス下院議員(民主党)は、リブラを公共財として規
制すべきと考えるかマーカスに尋ねた。この質問に対してマーカス
は不明確な回答を。またショーン・ダフィー下院議員(共和党)と
トム・コットン上院議員(共和党) は、政治的な理由で製品や個人
がカリブラの利用を禁止される可能性があるかどうかを詰問。

アソシエーションに潜む落とし穴

フェイスブックに関しては、このほかに28件もの問題を抱えてお
り。潜在的には無限のノードがあるビットコインとは異なり、リブ
ラ・ブロックチェーンのノードを運営するのは、リブラ・アソシエ
ーションに加盟する法人たちだ。スイスを拠点とするリブラ・アソ
シエーションは、リブラのブロックチェーンプラットフォームやそ
のリザーヴ(準備資産)を管理する新設の団体で、UberやLyft、
スポティファイなど28社(19年7月現在)とのパートナーシップが
成立する。

公聴会のなかでマーカスは、リブラ・アソシエーションについて、
まず、リブラ・アソシエーションは消費者とかかわることがないこ
とを強調。独自の金融政策をもたず、銀行にもならず、リブラ・ア
ソシエーションが見るユーザーデータは、すでに公開されているも
のである。リブラのホワイトペーパーによると、このブロックチェ
ーンで提案されている仕組みは、ノード運営者が交代で取引を検証
する、いわゆる持ち回り制のようなものになる。これが大規模な責
任問題につながる場合があると指摘するのは、コインセンタのヴァ
ン・ヴァルケンバーグ。

カリブラはキューバやイランなどの国では利用できないが、フェイ
スブックいわく、そうした国の人々も独自のリブラサーヴィスを自
由に構築できる。それは結局、リブラがオープンプラットフォーム
に依拠する。だがリブラのパートナーたちは、米国の経済制裁違反
になりうる取引を、無意識にとはいえ台帳記入するか?企業にそう
した作業に同意させるのは難しいと、ヴァン・ヴァルケンバーグは
証言。これはリブラの暗号通貨に対する大きな脅威になるでしょう。
取引を追加する前に、どのような取引であれば台帳記入できるのか
確認しなくてはならないからと。



悪用や詐欺に対する対応は?

ビル・フォスター下院議員(民主党)は、規制によって管理されて
いないウォレットで違法行為のためにリブラを使用する可能性につ
いて質問。マーカスはカリブラやその他のウォレットを引き合いに
出し、その点においてフォスターは、心配しているのは、リブラが
悪用される可能性であることを指摘。キルステン・シネマ上院議員
(民主党)からは、もしスペインのウォレットを使用している米国
人が、パキスタン人の開発者にタイの取引所で詐取された場合はど
うなるのか? 消費者は誰に助けを求めればいいのだろうかと。

マーカスは再度、ウォレットの消費者保護責任に重点を置き、米国
人ユーザーは外国ではなく米国の規制対象となる米国のウォレット
を使う可能性が高いだと答え、そのような状況におけるリブラ・ア
ソシエーションの役割は、「消費者教育」を行なうことだと発言。
マーカスは、またリブラ・アソシエーションはアメリカの金融犯罪
捜査網に登録し、司法当局と協力してブロックチェーンデータを捜
査していくと説明する。

このアプリーチはまた、プライヴァシーの問題を引き起こすだろう
とジョンズ・ホプキンス大学のグリーン教授は言う。フェイスブッ
クは社内でソーシャルと金融データを分離するとしているが、リブ
ラ・ブロックチェーンの取引データをどのように保護していくのか
については不明。もちろんデータは仮名を用いてやり取りされるが、
リブラ関連のサーヴィスを提供する企業たちは、理論上は司法当局
と同様のツールを使ってユーザーの正体を突き止めることができる。
しかし、プライヴァシーを重視した仮想通貨「Zcash」の共同創設
者のひとりのグリーンは、この提案どおりのものになるとすれば、
そのようなものは暗号通貨ではないと証言する。

遅かれ早かれ、誰かが同じものをつくる

こうしたマーカスの態度は、リブラ・アソシエーションがいまだに
細則の問題のフェイスブックが重要な国での承認プロセスを通過し、
実行可能な解決策を手にする口座をもたない人々への送金用ソリュ
ーションとして売り込もうと意気込んでいる。 これによって、フ
ェイスブックはその他の規制からくる重荷を回避できるだろう。そ
れ はつまり、リブラ・アソシエーションが最終的には複数の国々
の規制に準拠する必要があることを意味するが、バックリーはこ
点が障害になりうるのだと指摘。リブラ はFINMA以外にも、SE
Cの
規制対象になる可能性がある。報道によるとSECはリブラが 証
券に
該当するのかどうかを精査している。米商品先物取引委員会
(CFTC)
元委員長の ゲイリー・ゲンスラーはこの可能性について
再び言及し、
下院金融サーヴィス委員会に対して、複数の通貨で裏
付けられるリ
ブラは上場投信に似ていると主張。米国の金融安 定監
督評議会が討
議しているように、一部の国ではリブラを銀行として
(場合によっ
て い出そう法)」という文字通りの法案を売り込んだ。

しかし る歓迎ムードが何らかの目安になるならば、この法案はおそ
イスブックは過去に、信頼が得られなかったがためのたび重なる招
集や、ジャーナリズムムや民主主義に関する実験の数々に対する非
難を受けてている。それが例えフェイスブック発のものであっても、
イノヴェイションを奨励したいと語る。特に共和党議員らは、フェ
イスブックがリブの誰かが立ち上げるだろうというマーカスの主張
を受け入れなければ、価値観がフェイスブックのそれとはまったく
異なる人々が管理するデジタル通貨が、すぐさま出てくるとマーカ
スは主張する。

※例えば、サブプライムローンのような新表券導入による信用恐慌
の連鎖リスクの責任は誰がとるのかとアダム・スミスは問うている。



  今夜の寸評:宇宙デブリゼロ事業の先導

選挙も終わった。関係諸国のりーダが領土拡大で啀み合って、 殺戮
を繰り返すより、宇宙空間デブリを取り除く事業を先導しよう。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

反環境破壊・格差是正・脱原発

2019年07月20日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                  
6.雍 也 ようや
ことば-------------------------------------------------------------- 
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)として、
然る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ
者 にしかず」(20)
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
-------------------------------------------------------------------
6 孔子は仲弓の身を思いやって言った。「平々凡々なまだら牛の子
でも、もし毛並みが赤く、角が立派なら、たとい人間が祭壇へ供える
のには不向きだと思っても、祭られる神々のほうで見捨ててはおかな
いよ」    

〈身を思いやって〉 仲弓の父親はあまり評判のいい人物ではなかっ
たといわれる。たとい生まれはいやしくとも、才能さえあれば、必ず
認められるはずだと、孔子は仲弓
をはげましたのである。

子謂仲弓曰、犂牛之子、騂且角、雖欲勿用、山川其舎諸。

Confucius talked about Zhong Gong,
"If a crossbred bull have a red body and good horns,gods
must bless it even if people never offer it as a sacrifice."

 ● 今夜の一品

驚きの家庭用生ごみ減量乾燥機

暑くなってくると、途端に臭い出すのがキッチンのゴミ箱。生ゴミと
いうものはいとも簡単に腐り、腐敗臭を放ち出す。さっさと捨ててし
まいたいが、収集日は自治体によって決められた曜日の朝、週に2
3回という縛りがある。うっかりゴミ出しを忘れようものなら、下手
をすると1週間保存するはめになる。生ゴミのニオイの原因となるの
は、おもに細菌の繁殖だ。特に水分をたっぷり含んだ食物廃棄物は腐
りやすい。「細菌の繁殖を抑えるために冷凍庫に保存する」という話
も聞くが、気分はよくない。なるべくならゴミはゴミとして無臭にな
ってほしい。「ならば、生ゴミをそのまま乾燥させてしまえ!」とい
うのが、この生ゴミ減量乾燥機「パリパリキューブライト」(島産業)。
生ゴミを温風でパリパリに乾燥させて減量してしまうという発想。大
胆だが面白い。

温風を当てることによって生ゴミを乾燥させる仕組みで、1回6時間
の運転で最大約500g(約1.3リットル)の生ゴミを乾燥させる「
標準モード」と、1回9時間の運転で最大約700g(約2.0リット
ル)の生ゴミを乾燥させる「多めモード」の2つのモードが搭載され
投入できる生ゴミの種類は、「ご飯・めん類」「野菜・果物くず」「
茶がら」「肉類・魚類」。そのほか、一般的に人が食べられる食材や
調理物となっている。加熱による引火の可能性のあるアルコールなど
は使用不用。操作は2つのボタンのみで、右の「スタート」ボタンで
モードを切り替える。消費電力は150Wで、「多めモード」を毎日使用
した場合の電気代は1か月(31日)で約837円(電力料金単価27
円/kWhの場合)。





本体は、温風を吹き出す本体上部、生ゴミを入れるバスケット(右手
前)、バスケットをセットする処理容器(右奥)に分けられる。中央
下の黒いものは脱臭フィルター。同じくトリコロール・デザインの専
用マットも付属する。本体上部の裏側はこんな感じ。内側にある円形
部分が温風吹き出し口。生ゴミと接触する白い「押さえカバー」は取
り外し可能で、水洗いができるので清潔さを保てる。脱臭フィルター
は本体上部にセット。なお、この脱臭フィルターは使用頻度によるが
4か月~半年で交換が必要とのこと(2個で3000円前後)。使用
前に処理容器を取り付けて、何も入っていない状態で試運転する。本
体上部にある排気口から風が出ていることを確認し、さらに30分後、
温風が出ればよし。切りネットは15枚付属しており、市販のものも装
着できる。ただし、不織布タイプは乾燥しにくくなるので使用不可。
バスケットを三角コーナー代わりに使えるので、生ゴミを三角コーナ
ーから移す手間が省ける。通常の三角コーナーと比べると、こんな感
じのサイズ感。

野菜中心の生ゴミ

それでは、いよいよ実際に生ゴミを使って試してみることにする。最
初ということで、おっかなびっくり、野菜中心の生ゴミでチャレンジ。
内容は、キャベツ、レタス、うどん、卵のカラ、生姜、紅生姜、玉ね
ぎ、長ネギ、もやし、豚肉。空気が通りやすくするために、中央あた
りを開けるようにゴミの形を調整する。「標準モード」でもおよそ6
時間かかるため、夜寝る前にセットして朝にできあがる。駆動音をチ
ェック。駆動音はスペック的には約36dBで、下の動画だと音が気に
はならない。小さなファンが回わり、処理中のニオイは問題ない。

取扱説明書で推奨されている処理方法、新聞紙巻きにチャレンジ。力
を入れて丸めていくとバリバリ音がして、どんどん小さくなるゴミ。
最終的にかなりコンパクトに。乾燥しているせいかほとんどニオイが
ない。これをレジ袋などでくるめば、確かに2~3日は余裕で臭くな
らない。使用後は、そのままにしておくと「パリパリキューブライト
」自体が臭くなってしまうので、バスケットと処理容器、「押さえカ
バー」を洗浄して乾かしておく必要がある。


魚系のゴミ

生ゴミといえば、特に問題となるのは魚。食べている間はおいしいが、
生ゴミとなるとその腐敗臭はかなりひどい。焼いた網を洗うのもめん
どうなら、ゴミ処理も厄介ということで、体によいとはわかっていて
も魚をメニューは敬遠される。「パリパリキューブライト」に関して
も、今度は核心となる魚のゴミにチャレンジしてみる。ついでに乾き
にくそうなメロン、バナナも同時に。気になる臭いは、カラッとして
生臭くはなく、魚を焼いた後掃除をするくらいのレベル。むしろ野菜
中心の生ゴミよりも臭わなかったのだが、これは野菜だから、魚だか
らというより、温風を当てた時間が長いことによるもの。

ちなみに自治体といえば、こうした生ゴミ処理機には助成金が出ると
ころもあり、上限額などいろいろな制限はあるが、うまくいけば半額
程度で購入できる場合もある。「パリパリキューブライト」も助成金
対象製品となっているので、一般社団法人日本電機工業会ホームペー
で居住自治体の状況確認できる。







【関連特許事例】

①特許5959129 減量・減容処理装置および減量・減容処理装置における気流形成機構


しかし、生ゴミの原料加熱乾燥/消臭→堆肥化(埋設、生分解)/ガ
ス燃料化→再エネ化のパッケージ化事業が考えられ、燃えないごみ/
粗大ごみ→部品取り/回収/分別→再利用/埋設/生分解のパッケー
ジ化事業の付加価値創成へとスパイラルアップできそうだ。





【ポストエネルギー革命序論23】



蓄電池事業篇;水素排除で電池性能を向上

7月21日、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究グループは、
ナトリウムイオン電池を使用しているのは、意図しない水素の存在が
劣化や性能低下の点で技術の多くの欠点を顕在化させることを解明し
たことを公表
製造中、水素を材料から排除することで、ナトリウム
イオン電池は、リチウムイオンと同等の性能レベルに達成。電池製造
施設
ナトリウムイオン技術に基づく計算で、製造中に電池材料への水
素の添加を回避対策を講じ、長期性能を向上する。この論文で、一般
的なカソード材料のナトリウムマンガン酸化物の劣化の多くは、材料
中の水によって引き起こされると計算
されている。同様のメカニズム
がリチウムイオン電池の性能に悪影響を及ぼす可能性がある類推して
いるが、これを実証するにはさらに研究が必要とする。



既知の宇宙で最も豊富な元素の水素は製造の多くの段階で材料に入り
込み、再エネで使用されるさまざまな材料への影響の研究は重要。U
CSBかの計算は、酸化マンガン層中の水素の存在が、マンガン原子
がばらばらになって溶解するのに必要なエネルギー量を減少させるこ
とを示す。水素原子は非常に小さく反応性が高いので、水素は材料中
の一般的な汚染物質として振る舞う。電池製造およびカプセル化中に
水素混入の抑制対策を講じることができ、性能向上につながると指摘
している。



  

【続・引き寄せられる混沌11:7040問題を考える】 

階級社会化が進む日本

今回は、下記の「子どもを款う処方箆」をテーマの対談を掲載し,
の考察を終える。

前川喜平(まえかわ・きへい) 1955年生まれ。東京大学法学部卒
業後、旧文部俗人俗,初等中等教育局長 などを経て2016年事務次
官。17年1月、天下り斡旋問題で辞任。
湯浅誠(ゆあさ・まこと) 1969年生まれ。95年東京大学法学部
卒業。2008年末の年越し派遣村 の村長、09年内開府参与などを
経て現職。

対談】前川喜平×湯浅識が直言

やれることはたくさんある─子どもを款う処方箆を示そう


困窮する子どもたちを救い、貧困の連鎖を食い止めるには何をすれば
よいのか。貧困問題解決に長年携わってきた社会活動家の湯浅識氏と、
教育行政を拒ってきた前文部科学事務次官の前川喜平氏に、問題解決
への処方 藻を提示してもらった。 銀座・泰明小学校の「アルマーニ
標準服」は公立小にも格差があることを浮き彫りにしました。お二人
はどう感じていますか。

【前川】  公立学校がやることとは思えず、全然理解できない。一定
の特色を出すのはいいが、ああいう出し方ではいけないと思う。
【湯浅】 東京は日本一格差の大きな街だ。中央区にも生活が苦しい
家庭の子がいるはずだし、家計が急変することもある,みんなを受け
入れるべき公立校としてどう考えたのか。今回の行いは疑問だ。


 
【前川】 泰明小は特認校(中央区全域から入学可能)で、毎日銀座
へ通学するという点てブランド化を回ろうとしたのかもしれない。特
認校訓や自由選択制のような学校選択制は、東京でも23区それぞれ
で考え方が分かれている。選択を認めることで競争が起こり、全体の
質が高まるという考え方と、学校にその地域の保護者や住民が参画す
る仕組みを作ることが大事という地域重視の考え方が、この20年間
つねに対峙している。文部科学省は地域重視のスタンスだ。学校選択
制は親が子どもにとってよいと思う教育を選ぶことになるが、そうす
ると中学受験で有利な国語、算数、社会、理科しかやらない学校の評
価が高くなる。しかし親の考えていることがつねに正しいとは眠らな
い。子どもにとって最も望ましい学習は、親だけではなく教師も含め
て一緒に考えていくもの,学校選択制によって教育の公共性が失われ
るのは非常に問題だというのが文科省の考え方だ。学校選択制を完全
に否定するわけではないが、格差を大きくする危険性はある。





家庭の文化資本に違い 小学校入学前に学力の差

───貧困の現場を見続けてきた湯浅さんは、子どもの貧困の実態
どう分析していますか。

【湯浅】 今も昔も実態は変わっていない。学力の格差は1990年
代から問題になっていたが、当時は家庭の経済格差と結び付けるのが
タブーだ った。2000年ごろからそれが破られるようになったが、
問題としてき ちんと認識されるようになったのは13年に「子ども
の貧困対策法」が制 定されてからだ。文科省の雰囲気もそのあたり
から変わったような気がする。

【前川】 確かに、やらなきやいけないという雰囲気があった。子ど
もの貧困を解決するのはやはり教育、学習機会をきちんと保障するこ
とだ。親と違ってまだ成功も失敗もしていないのに、スタートライン
からあまりにも追うというのは非常に問題だ,学力調査の結果でも一
時期はO点に近い子たちがけっこう増えていて、二極化の傾向が出て
きたといわれていた。

【湯浅】 「学力の底抜け」といわれていた。  
【前川】 だから非常に心配したが、最近は解消していると思う。当
時は学力底辺層が増えて、「ゆとり教育のせいだ」といわれたが、私
はそうは思っていない,むしろ貧困層が増えたためだ。全国の小中学
生のうち就学援助の支給対象者の割合が1995年は16人に1人だ
ったのに、2015年は6人に1人になった。学用品がなかなか買え
ない、子どもの本が自宅に1冊もないといった家庭が出てきて、文化
力みたいなものに格差がついた。一人親家庭も増えている。お茶の水
女子大学の耳塚寛明先生がかなり詳細な調査をされて、家庭の中の社
会的要因が非常に大きく響いていて、子どもたちの学力格差を生んで
いることが判明した。学校はみんな一緒に一生懸命勉強させようと思
っているのだけれど、家庭の基盤が追うとなかなか難しい。

【湯浅】 学校に入学する前にそうとう差がついてしまっている。
【前川】 だから幼児教育を無償化するのは是正策としてはありだと
思う。



貧困のイメージと現実をかみ合わせるのが課題  

【湯浅】 今は子どもの貧困があるのをみんな知っているが、7人に
1人という実感がない。貧困というとストリートチルドレンなどをイ
メージし、日本のどこにいるのだという話になる。イメージと現実を
かみ合わせるのが課題だ,おカネがなくて修学旅行に行けない子ども
の話を聞くと、高齢者の中には一流も行っていない」「行けなくても
退学にはならない」「死ぬわけではない」と怒る人がいる。そのとき
に私は赤信号、黄信号という例えとともに、葬式に行けない高齢者の
話をする。世話になった人が突然亡くなった。交通費や香典などを考
えると次の年金まで生活がもたないから出席できない。でも「申し訳
ない」とか「なぜあの人は来ていないのか』と言われているのではな
いか」と考え出す。そして親戚や地域との付き合いから撤退し、孤独
な高齢者になってしまう。でもこの時点では誰も気づかない。何年か
経って認知症が始まり、ゴミの出し方がわからなくなり、家がゴミ屋
敷になってようやく発見される。
これは赤信号だ。  



子どもも同じことで、修学旅行に行けないから、行く前の準備学習や
帰ってきてからの思い出話に参加できない、などの「ぼっち」(独り
ぼっちの子)が生まれる。このぼっちが何かの拍子にいじめのターゲ
ットになって事件化する。ここでみんな騒ぎだして、「親はどうした
?学校は何をやっているのだ」と言うが、そこに至るまでの経緯があ
る。その発端が葬式に行けない、修学旅行に行けないという「黄信号
」の段階,7人に1人の貧困に含まれるのはこうした子どもだ。黄信
号の子を含めて対策をしたほうが国民経済的にもプラスだから、OE
CD(経済協力開発機構)は相対的貧困率という尺度で考えようと言
っ ているわけだが、理解してもらうのは大変だ。



───経済的な困窮だけでなく、社会とのつながりも失われていくの
ですね。

【湯浅】 それは大きいと思う。家庭の文化資本の少なさは何とかし
たほうがいいが、簡単ではない。そこで私たちは地域でそれを補おう
と手を尽くしている。これまでは家庭、無理なら児童養護施設という
ように、家庭的養護か社会的養護の二者択一だった。今は地域的養護
をきちんと作ろうというステ ージだ。保育や介護の社会化と同じで、
地域でできるところはカバーしたい。
学校もカギになる,学校をプラットフオームにして、地域と子どもた
ちの接点を作る。ただ、そうすると保護者だけではなく、地域のいろ
いろな人が入ってくるから難しい,これをコーディネートする人が必
要だ。ただ でさえ多忙な先生がやるとパンクする。
【前川】 やるなら細々と補助金を出して非常勤で置いても意味がな
い。コーディネートで飯が食えるようにしないといけない。

中退は自己肯定感を失う 数学必修は廃止せよ

【前川】  高校中退を防ぐのも貧困対策の大事なテーマだ。私が行っ
ていた出会い系バーでも女の子はほとんど中退で、親のほうが学歴の
高いケースがけっこうあった。中退は自己肯定感を失わせるし、その
先の進路にもかかわってくる,中退をなくすには数学の必修を廃止す
るのがいい。国立教育政策研究所の調査結果にもあるが、高校1年生
の中退する子としない子を比べると、1~2学期の間に急速に授業に
ついていけなくなる。その一番の要因は数学にあると思っている。
現在は数学Iは全員履修しないといけない。数学は義務教育までで十
分。論理的思考力を養うために必要というが、それは国語の授業でや
ったらいい。学力の低い高校に行くと、九九ができない子もいるし、
分数の足し算・引き算がわかる子も少ないのに、高校の数学は高度す
ぎる。中退を防ぐためにはもう一つ、学ぶ動機づけとなるような機会
をたくさん作ることが大事だ。自分の将来をある程度考えながら、今
を見られるようにしたい。

【湯浅】 私は東ロボくん(国立情報学研究所が主導した、東京大学
に合格できる人工知能の開発プロジェクト)の中心メンバーである新
井紀子さんがやっている読解力調査の研究協力者になっている。新井
さんとは、読解力が非常に弱くて教科書が読めていない子に1時間居
残りをさせてドリルをやらせてもダメだろうという意見で一致してい
る。ここからは私の仮説だが、地域のおじいちゃん、おばあちゃんに
一緒に登下校してもらって、単語ではなく文章で話すように促しても
らうといい。「何か楽しかった?」とか「誰とけんかした?どう感じ
た?」とか。そうして語彙を増やすことが学力につながるのではない
か。地域の中でいろいろな人が子どもにかかわることによって、見守
りや青少年対策だけではなくて、学力の向上にもつながると思う。

【前川】  それは正しいと思う。話す相手がいないのは非常に問題だ。
教育学的な言葉でいえばインフオーマルエデュケーション、つまり日
常のさまざまなコミュニケーションの中からたくさんのことを学んで
いるのだが、その機会が減っている。

働き方改革とセットで長期スパンの発想

───子どもの貧困解決のために何をするべきですか。  

【前川】 この10年くらいで、貧困層の負担を軽減していく政策は
かなり進んだ。だがもう少し財源をつぎ込んでいい部分がある。給付
型奨学金を今後も増やしていくと同時に、成績要件を取り払うべきだ。
(基準となっている)「全教科の平均成績」に意味かおるのか。芸術
を学ぼうとする人の数学や世界史の成績がどれほどの意味を持つのか。
成績要件を外し、所得要件だけで支給すべきだ。学ぶ意欲があって入
学後も学業をきちんと続けていることさえ薗認できればいい。今や高
卒者の8割が大学や専門学校などに進学しており、高等教育は一般的
になった。ところが生活保護世帯の子どもの進学率は3割台、児童養
護施設の出身者は2割台と低レベルだ。進学したくても経済的な理由
でできない状況はなくさなければならない。進学する大学によって給
付型奨学金を支給するかどうかを決めようという変な動きかおる。そ
ういう形で大学の差別化を図ろうと考えている人たちが政府にいるら
しいが、それは問連っている。では財源はどうするか。私は控除から
給付ヘシフトすべきだと思う。所得税の特定扶養控除(19~22歳
の扶養家族がいる場合に税負担を軽減する)は、金持ちほど多く税金
をまけてもらう制度だから逆進性がある。8割が進学する時代に、高
所得層を優遇するような控除制度は廃止すべきだ。そこから生まれる
年間数百億円の財源を低所得層への給付に回せばいい

教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度(子どもや孫の教育資金
を1500万円まで非課悦で贈与できる制度、来年3月が期限)もや
めるべき,明らかに金持ち優遇税制になっている,

【湯浅】 今は長年のツケを払い始めたところだ。何をもって貧困の
連鎖を断ち切ったといえるのか。それは20~30年後、今の子ども
たちが親になったときに、自分の子にどう接するかでわかる。着手し
始めたところなので、早急に結果を求めすぎないこと。長いスパンで
考える物の見方を日本全体がとらえ直すいい機会だ。親も企業も行政
も、1学期の成績とか四半期決算とか単年度予算に縛られすぎないよ
うに気をつけたほうがいい。そうしないと、子どもたちに向き合う時
間がなくなり、うまくいかない。少しずつ働き方改革が進められてい
るが、それらとセットで考えるといい。   

    (聞き手/本誌・西村豪太、中島順一郎) 【週刊東洋経済】

 

年金問題に触れることができなかったが、基本的には社会保障と安全
保障は所得税(+法人税)でまかなうこととブログでも掲載している。
───急激な少子化と公共老後の不安背景に日本の階級社会化が存在
していること、昨今の犯罪の事例───空き巣被害前年の2倍(滋賀
県下)、身近では漂流する下流高齢者が増えていることで追認でき、
為政者の認識とわたしたちの認識に大きな齟齬はないのか、一致して
いても不作為なのか、いずれにしても、明日の選挙で未来の道標が明
らかにされる。 

                              この項了 

  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

靄晴れて君が問う木天蓼の花 

2019年07月19日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                    
6.雍 也 ようや
ことば
-------------------------------------------------------------- 
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)として、
然る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり」(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ
者 にしかず」(20) 「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
 ------------------------------------------------------------------
5 孔子が魯の大臣であったとき、弟子の厚恩を自分の領地の
宰領者に任命し、これに俸給として米
九百をあたえた。
厚恩が過分だと言って辞退すると、孔子は「まあ受け取ってお
きなさい。村の人たちに分けてやってもよいのだから」

〈原思〉 孔子の弟子。原は姓、名は憲、宇は子息。

子謂仲弓曰、犂牛之子、騂且角、雖欲勿用、山川其舎諸。

Confucius talked about Zhong Gong,
"If a crossbred bull have a red body and good horns, gods
must bless it even if people never offer it as a sacrifice."


靄晴れて君が問う木天蓼の花

軽井沢は温度差が大きいのか薄もやかかる道を散策していたが
日が差し込むほどになり木天蓼の花がそれは鮮やかに光って見
え瞬間(とき)、彼女があの花は何かしらと訊ねるので、木天
蓼の花とこたえると、頷きまた二人歩き出したその日の記憶が
蘇り、この句を詠む。マタタビの語源は疲れた旅人がこれを食
してまた旅に出たという故事に因みなずけられたとか。 

 

蔓は、若いうちは茶褐色で成長と共に黒っぽい紫がかった茶色
となり、葉は蔓状の枝に互生し長い葉柄があり2~7cm、形は
楕円形で細かい鋸歯を持つ。6~7月に径2cmほどの白い花を
咲かせ、雄株には雄蕊だけを持つ雄花を、両性株には雄蕊と雌
蕊を持った両性花をつける。花弁のない雌蕊だけの雌花をつけ
る雌株もあり、花をつけるつるの先端部の葉は、花期に白化し、
送粉昆虫を誘引するサインとか。近縁のミヤママタタビでは、
桃色に着色。実は、2~2.5 cmの細長い楕円形で晩秋にオレ
ンジ色に熟す。虫こぶの実(虫癭果)はマタタビミバエの産卵
により形成、正常な実が熟す前に落ちる。また、効果に個体差
があるものの、ネコ科の動物は揮発性のマタタビラクトンと総
称される臭気物質イリドミルメシン、アクチニジン、プレゴン
などに恍惚を感じることで知ら、イエネコがマタタビに強い反
応を示すさまから「猫に木天蓼」ということわざが生まれたと
いう。





【ポストエネルギー革命序論22】



※クリーンエネルギー基地は、太陽エネルギーで水の電気分解生成「グリーン水素」を製造。

豪州西部で再生可能水素と天然ガスを混合供給


オーストラリア政府は、再生可能な水素製造供給戦略を策定。
カナダのガス通信事業者ATCOの施設で、300kWの電力と400kWh
の蓄電能力の太陽電池パネルとマイクログリッドを備えており、
施設の1日の所要電力の2/5相当の太陽光発電システムでは、
余剰太陽光発電容量を部分的に蓄電され、残りを水電気分解装
置に電力供給し水素を製造に使用。その後、水素は保安発電機
用燃料として貯蔵され、または天然ガスに混合される。家電製
品を含むさまざまな設定条件と用途での水素の検証実験に加え、
クリーンエネルギー基地での水素貯蔵と配給問題のを最適化、
水素とを天然ガスの混合、送電網を支える均衡用水素燃料での
諸問題調査する。このプロジェクトは、オーストラリアの再生
可能エネルギー庁(ARENA)から150万ドルの資金助成された。
西豪州政府は、再生可能水素の主要生産国および輸出国として
位置付けるとともに、再生可能水素戦略を実行。現場での事業
支援の再生可能水素産業への民間からの投資促進に1000万ドル
の再生可能水素基金を設立している。



上海の浦東地区で建設中の臨港松江科技都市の借用屋上太陽
 電池設備(1
5平方メートル)。


上海のラファエルギャラリで
ハンナー社製
1メガワットモジュール公開

中国の薄膜メーカーのハンナー(Hanergy)は、CIGSモジュー
ルを上海で建設中の主要な「ハイテク都市」事業一環として計
画されている「スカイブリッジ」事業の15万平方メートルの屋
上に敷設計画を公表。ハンナー(漢能:Hanergy)は、上海の
浦東地区にあるいくつかの高層ビル群の屋上の建築事業として
太陽電池モジュールを含めた計画であることを公表。それによ
ると、モジュールは、20以上の高層ビルを結ぶ1.5キロメート
ルの「スカイブリッジ」でラファエルギャラリを覆うアルミニ
ウム製の屋上橋梁である。同社によれば、事業は「巨大な浮遊
雲」に似せ設計、世界最大のアルミニウム屋上の世界最長の「
都市型産業用屋根」となる。声明の中で、事業建設の第2段階
に入ったことを伝えた。中国の第13次5カ年計画の最優先事
項であり、ビル統合太陽電池の大規模用途、複数エネルギー源
のエネルギー統合、最適化に関するデータが提供される。

この太陽光発電設備は、1メガワットを超えるハンナーの125
ワットCIGSモジュールで構成。持続可能な建物の概念を世界的
に広める第一歩となる広告建造物である。尚、先週、ハンナー
は中国の南昌市の超高層ビルのファサードに敷設した460kW
の事業の完了を報じ、米国子会社のMiasolé社は フレキシブル
基板上のCIGS技術で新効率記録を樹立、太陽光発電を他の製品
の構造統合のさらなる可能性を開拓した。



ベルギー 義務として太陽光発電を建設

太陽光発電導入に芳しくない計画の第3ステージで、屋上市場
からの驚くべき設置数にもかかわらず、ベルギー政府は欧州共
同体2020年再生可能エネルギー転換目標の実績は低い。
のため、ベルギーはより多く再エネを必要とし、その結果、太
陽光発電が急増する見通しで、ベルギーの3つのマクロ地域で
の太陽光発電の展開は、すべて小規模過ぎたものの、10kW超
規模以外の設備であった。小規模セクタの優位性は衰え、最初
の大規模屋上事業や大規模地上設置型設備の発表、あるいは完
成が見込まれる。近い将来どの程度の成長が見込まれるかが不
明だが、PPAの価格設定の最初のベンチマークである大規模セ
グメントの可視欠如が問題となる一方で、サポートレベルでの
適切な太陽光発電がフランダースとベルギー競争が激しくなる
と伝える。

   

【続・引き寄せられる混沌Ⅹ:7040問題を考える】 

階級社会化が進む日本

前出の橋本健二は、『連鎖する貧困』(週刊東洋経済eビジネ

ス新書,2018.04.14)で日本社会は5つの階級───階級ビラ
ミッドの最上位は生産手段を所有し、労働者を使って事業を行
う「資本家階級」。大企業のオーナーや経営者などが入る。
254万人おり、就業人口の4・1%を占める。平均年収が
604万円と少ない印象 を受けるのは、零細企業の経営者も
含むからだ。その下の「新中間階級」は労働者や生産設備の管
理を行う人々で、管理職や上級事務職、医者、弁護士など専門
職で構成される。1285万人 (就業人口の20・6%)
おりへ平均年収は499万円,「旧中間階級」は少量の生産手
段を持ち、自分と家族が働いて生産活動を行う人々のこと。つ
まり自営業者と家族従業者だ。806万人(同1 2・9%)
いて、平均年収は303万円となっている。新中間階級の下に
あるのが「労働者階級」だ。労働力を資本家階級に提供し、賃
金を受け取る,戦後、農家の減少に伴い縮小してきた旧中間階
級に代わり、現在最も厚い層になった─--に分別する(下図)。  


最下層よりさらに下のアンダークラスが急増

資本主義社会においては労働者階級が最下層とされている。と
ころが橋本氏によると、労働者階級が二分され、新たな階級が
存在する。それが非正規労働者(パート主婦を除く)を中心と
する従来の階級以下の階級=「アンダークラス」だ。販売員や
非正規の事務職のほか、さまざまなサービス職やマニュアル職
で構成される。ほかの階級との格差は一目瞭然だ。正規労働者
の平均年収が370万円であるのに対し、アンダークラスは、
186万円と約半分にすぎず、貧困率は38・7%と断トツに
高い。人数は右府上がりで増加しており、2015年時点で、
929万人、就業人口の14・9%を占めるまでになった。心
身の状態にも差が見られる。アンダークラスの男性は平均身長・
体重が最も小さい。うつなどの診断や治療を受けたことがある
人の比率も高い。親しい家族や友人の数が少なく、社会的なつ
ながりも希薄だ。さらに日本社会の構造として浮かび上がって
いるのが階級の固定化だ。父親の階級が子どもに継承される傾
向の強さの指標であるオッズ比にそれが見て取れる。資本家階
級の子が資本家階級になる確率(①)と資本家階級以外の子が
資本家階級になる確率(②)に差がない場合にはオッズ比 1、
①のほうが高い場合には1より大きくなる。



どの階級も1より大きく、父親の出身階級を受け継ぎやすい。
特に資本家階級と労働者階級はオッズ比が上昇しており、その
傾向が高まっている。なお新中間階級の直近のオッズ比が低下
しているのは、70年代生まれの就職水所期世代の影響だ。正
社員になれずにフリーターになった人が少なくない。初幟でア
ンダークラスになると新中間階級に移動することは難しく、ア
ンダークラスのままか正規労働者や旧中間階級に移動した。足
元は企業が積極的に採用を行う売り手市場のため、状況が改善
している可能性はあるが、就職環境に左右されやすいため、今
後の動向を見通すのは難しい。根強い自己責任論は本人たちも
持っている。アンダークラスの増加を食い止める道のりは平坦
ではない。事態を複雑にしているのは、日本人の中に貧困に対
する「自己責任論」が根強いことだ。「貧困になったのは努力
しなかったからだ」と回答した人が、アンダークラスにも4割
弱いる。国政は自民党1強で、その支持者は自己責経論を肯定
し、所得の再分配政策に否定的な人が多い。ただしアンダーク
ラスの人たちが努力していないわけではない。週平均の労働時
間は約36時間と新中間階級(約43時間)や正規労働者(約
44時間)より少し短い程度。働いても低収入から抜け出せな
いワーキングプアなのだ。しかも現代社会の利便性や快適性は
アンダークラスの低賃金労働によって支えられている。貧困へ
の転落リスクはどの階級も抱えており、アンダークラスの増加
はひとごとではない。貧困の連鎖を断ち切るためには、アン
ークラスの待遇を改善する施策が不可欠
だと指摘する。



わたしも賃金労働者だったけれど、企業内組合活動で世界最高
レベルの労働条件を獲得してきたし、賃金も組織労働者レベル
でもそれなりのレベルで、職場で仕事が見つけられなくなった
ら転職しようと考えていたから自己責任論者でもあり、リバタ
リアンや新自由主義の思想に親近感をもっていた(現在は批判
サイドに立つ)。また、子供達の教育は自由放任・自己責任を
貫いたが、いまでは、もっと濃密接すればかった悔やみ、社会
環境が大きく違うのだから彼らに自己獲得した価値観を押しつ
けたことを反省している。

最低賃金の引き上げがアンダークラスを款う

さて、橋本健二は、アンダークラスの増加を食い止めるための
施策とは何かとの問いに、資本主義社会には必ず階級が存在し、
「一億総中流」といわれていた時代の原因は高度成長で目立た
なかっただけで、資本家階級と労働者階級にさほど大きな格差
はなく、労働者階級でも大部分の人は安定雇用の下で、結婚し
子どもを育て、基本的には同じ耐久消費財を持ち、共通の消費
スタイルや文化を持っていたが、バブルの終わり頃から、新卒
でフリーターになってそのまま非正規であり続ける人々が生ま
れ、その規模が大きくなってきた。と、同時に階級間の格差も
拡大してきたこは先回に記述しているので省く。

Q:アンダークラスの登場は日本に限った話なのか。
A:先進国でほぼ共通に見られる現象といっていい。アンダー
クラスはもともと英米で使われ始めた言葉で、大都市部で生活
する少数民族の貧困層を指していた。ところが米国でも非正規
労働者層が拡大したり、あるいは解雇されやすくなったりて、
マジョリティの白人男性が貧困に陥っている。つまりアンダー
クラスは特殊な人々を指すのではなく、労働者階級の最下層部
分であるという見解が強まり、そういう言い方をしている。

Q:アンダークラスの増加に歯止めをかけられるか。  
A:2つある。1つは生活保護制度の整備。日本は生活保護が
機能不全の状態で、受給資格がある貧困層のうち、実際に受給
している人の比率(捕捉率)は、私の推計だと15%と異常に
低い,理由は財源の4分の1が自治体負担になっていること,
国の負担が100%になれば、自治体は財源を考える必要がな
くなり住民サービスとして積極的に貧困層を掘り起こすと思う。
資産チェックも厳しすぎる。(?自治体により異なる)低所得
世帯でも貯金を使い果たさないと受給できないのが実態(?不
正受給するものもいる)。もう1つは労働時間を短縮し正社員
の数を増やすこと
。そうすれば非正規のかなりの部分が正社員
になり、貧困から脱出する。そうなるとこれまで低賃金だった
仕事や非正規の仕事も人手不足になって賃金が上昇することに
なる。

Q:生活保護制度を手厚くすると自己責任論が巻き起こるのは
A:格差の拡大は社会全体の不利益になることがさまざまな研
究で明らかになってきている。たとえば格差が大きい社会ほど
平均寿命が短くなる傾向かおる。貧困層が増大すると犯罪が増
え、精神的なストレスが高まることから、富裕層も含めて健康
状態が悪化する。こうした認識を広めないといけない。

Q:財源の問題はどうしますか。
A:金融資産に課税をしたほうがいいと思っている。不動産に
は固定資
慶祝があるのに金融資産に課税されないのはおかしな
話だ。ただ、再分配に頼るとどうしても自己責任論者か
らの「
働け」という批判が強まる。非正規もきちんと働いているのだ
が、
賃金が低すぎるため貧困に陥っている。それならば、最低
賃金を大幅に
引き上げたほうがいい。日本の水準は先進国の中
で最低レベルだ。いく
ら単純労働や非熟練労働であろうと、生
活できる最低限の賃金は払うと
いうことが絶対に必要だ。親で
あれば子どもがフリーターになる恐怖を
抱えている。ただ、最
低賃金で働いても大卒初任給ぐらいの水準になる
のであれば、
それほど恐れる必要はなくなる。年金だけでは生活を維持
でき
ない高齢者にとってもメリットだ。最低賃金が上がり生活保護
を利
用する人が減るとなれば、合意を形成しやすい。

本来なら、「ネオ小市民化」した企業内労働組合が企業内最低
賃金などをしっかりと交渉し、総労働賃金低下を食い止めるべ
きころだが、わたし(たち)の経験からもそれは叶わないこと
もは予期できることであった。

アンダークラスに大打撃
切り下げられる生活保護費

低所得のアンダークラスの命を守る最後の砦が切り崩されてい
る。政府は生活保護費のうち食費や光熱費などの生活費分(生
活扶助費)を18年10月から段階的に下げ、3年かけて国費
を160億円削減する。生活保護世帯の67%が減額になる見
通しで、減額幅は最大5%に上る。中でも大きな影響を受ける
のが、子どもを複数抱える世帯と高齢者だ。子2人(中学生と
小学生)を持つ40代夫婦は月18・5万円から17・6万円
に、子2人(同)を持つ40代母子世帯は月15・5万円から
14・7万円に、高齢単身世帯は65歳の場合、月7・9万円
から7・5万円に減る(母子加算と児童養育加算を除いて計算)。
生活保護基準は総務省が行う全国消費生活実態調査の結果を参
照して、5年置きに見直されている。前回も13年度から3年
間にわたって段階的に引き下げられた。子2人の40代母子世
帯の場合、18年10月の引き下げも踏まえると、12年度比
で1割以上も下がることになる(フリーランスライター・みわ
よしこ )。



一方で子I人の30代母子世帯や50代夫婦世帯のように、今
回の見直しで引き上げになる世帯もある。が、12年度比では
どの世帯も切り下がるのが実態。また15年度には生活扶助に
含まれる冬季加算(寒冷地を中心とした暖房費など冬の出費増
加に対する加算)や住宅扶助も引き下げられたほか、生活保護
費を算出する際に多人数世帯でのスケールメリットを考慮する
ため用いられる係数が見直されるなど、目立ちにくい引き下げ
も多数行われてきた。引き下げの于定か公表されて以後、生活
保護世帯の人々からは、「もう節約の余地がない」「世の中か
ら死ねと言われているようだ
」といった声が数多く聞かれる。

生活保護と連動する制度が47もある

影響を受けるのは、実は生活保護世帯だけではない。生活保護
の収入基準は個人住民税の非課税限度額の設定に使われている。
つまり、生活保護水準が下がると、住民税の非課税限度額も下
がって無税だった世帯が課税されたり、医療や介護、教育など
で低所得者向けの減免を受けられなくなったりする可能性かあ
る。こうした生活保護基準と連動する国の制度は47もあるう
え、地方自治体には独自の制度がある。政府は「できるかぎり
影響が及ばないように対応することを基本的な考え方」として
いるが、低所得層の不安はぬぐえ
ないし、さらに現在、物議を
醸しているのが政府が提出した生活保護法の改正案。後発医薬
品の使用を原則とすることに関心が集まっているが、それ以外
に筆者が注視しているポイントは2つある。

1つ目は生活保護世帯の子どもへの進学支援だ。子どもの貧困
問題の解消は、政府の重点的な取り組みのIつとなっている。
現在の生活保護制度は子どもが高校卒業後に働くことが前提だ。
大学などに進学する場合には世帯分離して子どもを生活保護か
ら外し、家族の保護費を減らす。こうした事情もあり、生活保
護世帯の子どもは低学歴になりやすい,大学へ進学しても、生
活費や学費などは自らアルバイトで稼がないといけない。足り
ない分は日本学生支援機構の奨学金などを借り入れる必要があ
る。子どもたちは心身の負荷と不安に耐えながら苛酷な学生生
活を送っている。  

政府案には大学進学時に自宅通学で10万円、自宅外通学で3
0万円の一時金を給付する施策が盛り込まれている。また生活
保護法の改正とは直接関係ないが、日本学生支援機構が18年
度から最大月4万円の給付型奨学金をスタートするなど、子ど
もの貧困を解消するための施策は打ち出されている。ただ、高
校卒業後に働く前提は維持される見通しだ。世帯分離をして生
活費と学費を稼がないといけない状況の中では、一時金として
最大4万円をもらっても抜本的な改善にはらない。そのうえ、
生活保護世帯の親にとって喜べない話もある。  

現在は現金で給付されている学習支援費(小学生2630円~
高校生5150円)が10月から実費ベースの後払いとなる。
用途もクラブ活動と教科外活動に限定され、これまで認められ
ていた絵本代や参考書代には使えなくなる。「科学の好きなわ
が子に図鑑を買い与えたい」といった親の希望すらかなえられ
ないのだ。しかも申請が必要で、手続きが困難な事情を抱えた
親の子どもは、事実上の対象外になりかねない。政府案が実現
しても、生活保護世帯に生まれ育った子どもたちにとって、所
得の高い世帯と比べて勉強に打ち込む環境を得るのが難しい状
況は変わらず、貧困から脱却するのは容易ではない,野党6党
は18年3月29日、政府案に対抗する法案を共同で提出した。
政府案の意図を実現させず、生活保護基準および児童扶養手当
など関連する給付制度の引き下げに歯止めをかけることが狙い
だが、成立は不透明だ。

悪質性がない過誤受給も天引きに

2つ目は受け取りすぎた保護費(過誤受給)の「天引き」徴収。
生活保護費の返還には、生活保護法63条に基づく過誤受給の
「返還金」と78条に基づく不正受給の「徴収金」の2つがあ
。徴収金は保護費からの天引きが認められているが、返返金
については本人の意思による返還が原則だ。ところが政府案で
は返還金も天引きが可能になる。たとえば福祉事務所の手返い
で少しだけ多く給付されていたにもかかわらず、返還を求めら
れ、保護費から天引きされる事態になったら、受給者の生活は
一気に苦しくなる。

さらなる懸念は、返還金が徴収金と同じように非免責債権にな
る可能性があることだ。現状、返還金は自己破産すると免責さ
れるが、天引きでは"なし崩し"で非免責として扱われかねない。
こうした諭理がまかり通るようになった場合、筆者が恐れる最
悪のシナリオの一つは日本学生支援機構の奨学金が非免責債権
になることだ。多額の奨学金を返還できず自己破産し、生活保
護を受給することになっても、保護費から天引きで回収される
となれば、まさに「人生が詰んだ」状態だろう。ちなみに米国
では教育ローンの多くが「政府か
らの助成金が財源になってい
る」という理由で非免責債権
となっており、大学教育が低所得
層の人生設計を狂わせることの一因となっている。ナショナル
ミニマム(国民に保障される最低限の生活水準)である生活保
護水準を切り下けることが本当に正しいのか。貧困の連鎖を断
つうえでも、あらためて考える必要がある。

始まった無期転換ルール
非正規は款われるのか  

アンダークラスを構成する非正規労働者。低収入で不安定な立
場にいる彼らに政府も無策でいるわけではない。2018年4
月に開始されたのが無期転換ルールだ。これは改正労働契約法
18条によって契約社員やパート、派遣など有期雇用で通算5
年を超えて契約更新する有期社員が、希望すれば期間の定めの
ない無期雇用に転換できるという制度だ。転換対象者は約45
0万人と推計されている。総務省の労働力調査によれば非正規
労働者の数は2120万人(2018年2月)。全雇用者に占
める割合は4割に迫る。多くの会社にとって非正規労働者は戦
力として定着しているにもかかわらず、日本人材派遣協会の調
査によれば、3ヵ月以内の雇用契約が有期雇用派遣の8割を占
める。そこで08年のリーマンショックで雇い止めが社会問題
化されたのを機に、有期社員の雇用安定を図るための法改正が
行われた。

だが早くも暗雲が立ち込める。「正社員と同様の仕事を長年担
ってきたのに、突然雇い止めされた」。医薬品会社で事務職の
パートタイマーとして働いてきた50代の女性は話す。女性の
勤続年数は14年を超え、これまで19回の契約更新を繰り返
してきた。それが17年9月、契約期間の満了を理由として雇
い止めされた。
「最初は家計の足しになればと始めた仕事だったが、離婚を経
て生活のために働き続けたいと強く望むようになった」と女性
は言う。だが突如雇い止めされたのは、「『無期転換ルール』
が開始される前に切っておこうと会社が考えたためだろう」と
憤る。



人手不足の一方雇い止めも横行  

本来、多くの産業で空前の人手不足が深刻化している今ほど、
無期
転換を進めやすい時期はないはず。有効求人倍率は急伸を
続けて
おり、財務省の調査によると7割超の企業で人手不足感
があり、そ
の要因として「採用が進まない」ことが真っ先に挙
げられている。研
究機関や経営者団体の調査でも、6割前後の
企業が無期転換に積
極的な姿勢を見せている。ところが労働組
合などが実施した電話相
談では、先の女性のように長年働いて
きた有期社員から雇い止め
に関する案件が相次いでいる。NP
O法人派遣労働ネットワークと全
国ユニオンが1月下旬に実施
したホットラインには、2日間で109件
の相談が寄せられ、
そのうち約半数が雇い止めを通告されたという
ものだった。「
雇い止めに当たって、経営悪化など具体的理由を挙げ
ているケ
ースはまれ。むしろ無期転換ルールを回避
するためなど、脱法
意図を明らかにしているほうが目立った」と、担当した全国ユ
ニオンの関口達矢事務局長は
語る。勤続年数も5年以上と長期
にわたっている人からの相談が約半数だった。「その後も相談
は多数寄せられている。勤続20年ぐらいの人が雇い止めされ
たケースもある」(同),ハードルが高い無期雇用派遣有期社
員のうち派遣社員に間しては、この4月に続いて9月以降にも
大きな制度転換が生じる。有期雇用派遣の期間制限ルールの変
更だ。15年9月末の改正労働者派遣法施行によって、すべて
の有期雇用派遣は最長3年に制限された。それ以降も同一の派
遣社員を同一組織で受け入れ続けるには、自社で直諭雇用する
か、派遣会社がスタッフを無期雇用(無期雇用派遣)すること
が必要となった。この影響が特に大きいのは事務系の派遣社員
たち。改正法以前の派遣制度は業務内容で派遣期間を区分して
おり、事務用機器操作や秘書など事務系派遣の多くは「専門2
6業務」として期間制限がなかった。このため事務職は比較的
長く同じ派遣会社から同じ職場に派遣されていた人が多く、あ
る製造業大手の人事部長によれば、現場では自社経験が豊富で
優秀な人材を活用し続けたいので、無期雇用派遣への転換を望
む声が強いという。だが転換する場合、「派遣料金は今の3割
増になると言われた。この水 準ではとても受け入れられない」
と話す。今回の法改正はどれも有期社員の安定雇用を目指した
ものだが。今後も反作用の雇い止めが広がる懸念は小さくない,
無期転換ルールによってアンダークラスが消滅に向かう見込み
は薄そうだと報告している。  
               
            週刊東洋経済編集『連鎖する貧困』

                     この項つづく 
                                       

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

彩りフードペーパー巻

2019年07月18日 | 新自給自足時代

  

                                                                                                                                                                                                                    
6.雍 也 ようや
ことば
---------------------------------------------------------------  
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)として、
然る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり」(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ
者 にしかず」(20)
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
 
-----------------------------------------------------------------------
4 子華が孔子の代理で斉に出張したときのこと。冉有(ぜんゆう)が、子
華の母のために留守宅手当を出してくれ、と孔子にたのんだ。
「一釜(約十二リットルの穀物)もあればよかろう」  
冉有は、少なすぎると言った。
「では一庚(釜の約二倍)にしたらいい」  
ところが冉有は、独断で五秉(釜の約百二十倍)も届けた。  
孔子は言った。
「斉へ出発するとき、赤(子華)は肥えた馬に乗り、上等な毛皮を着ていた。
生活に困っている者は助けるが、金持ちをさらに肥らせるようなことはしな
いのが君子だというではないか」       

〈子華〉 弟子の公西赤の字。


子華使於齊、冉子爲其母請粟、子曰、與之釜、請益、曰與之庾、冉子與
之粟五秉、子曰、赤之適齊也、乘肥馬、衣輕裘、吾聞之也、君子周急不
繼富。

Zi Hua had gone on a mission to Qi. Ran Zi requested a pension
for Zi Hua's mother.
Confucius replied, "Give her 10kg rice."
Ran Zi demanded an increase. Confucius replied, "Then, give her
100kg rice."
But Ran Zi gave her 1t rice."
Confucius said,
"At the time of departure, Zi Hua rode on a good horse and wore
luxurious clothes.
They say - 'Gentlemen support the poor not the rich.'"

 

 

【彩りフードペーパー製造事業】

江戸前ノリ異変 収量ピークの4分の1だという(東京新聞:江戸前ノリ異
変 収量ピークの4分の1 千葉沿岸:社会(TOKYO Web)、2019.06.07)。東
京湾では2018年度、千葉県産のノリの収穫量が過去最低を記録。一方
でこれまでは冬場にいなくなったアジが釣れ、関係者を驚かせている。原因
の一つは海水温の上昇だ。江戸前の海は、姿を変えてしまうのか。ノリが採
れないんで、生産者は困っているね。苦労していますよと、江戸時代から釣
り船などを営んできたと話す。かつて東京湾でノリ養殖も手掛けてきたとい
うが、水温が上がったことによるノリの不漁がよく分かるという。海面に網
を張ってノリを養殖するんだが、温度によって張り方が違うん。ノリは水温
と水質なんだと関係者は話している。下水処理などの水質浄化で、水はきれ
いになったが、それが過ぎるとリンや窒素など海の生物に必要な栄養が少な
くなる。一方で塩素が強くなって、磯が枯れ、これまで藻類を食べていた魚
が、ノリを食べるようになった。東京湾の水質調査を1947年から継続し
ている千葉県水産総合研究センタが、2016年までの調査データをもとに
水質の長期変動と水産生物への影響について報告資料にによると、東京湾中
央部の水温は表層(水深0・5メートル)、底層(海底から1メートル)と
も上昇傾向にあり、2015年までの60年間で表層水温は1度、底層は0・
94度上昇。さらに秋冬季の水温上昇、栄養塩濃度の低下が、16年までの
10年間でより顕在化しており、水産生物への影響も検討する必要があると
いう。想定される影響について「ノリ漁期の短縮」などを挙ている。

 


昨日のサンマではないが、水産物の自然養殖は環境変化にもろいし、天然資
源の乱獲も国債協調が不調に終われば防止できそうもない。ならば、カニカ
マのようにすればということで、フードペーパー代替すれば良いことで問題
ない。上の写真のように「梅肉シート」が販売されているし、関連事業の掲
載をブログ掲載もしている。野菜、穀物、果実、畜産肉、ラクトを材料とし
てペーパー(シート)に加工し、のりパンチ、のりカッターなどでカラフル
で、デザインピース・デザインテープでデコレーションすることもできる。
あるいは、一旦、糸状し織り込んで布とすることも可能だろう。そして、酢
飯と具材を準備しておけば、後は巻くか握るかすればできあがるわかだから
内飯にするには、時間短縮のための一押しの工夫ができれば、また世界を席
巻するわけだから、20年前考えていたことが具現化するというから興味深
い。




【ポストエネルギー革命序論21】

 
【盛岡新首長市移転構想Ⅲ:小型航空機用の自動着陸システム】

ドイツの研究グループは小型航空機用の機内自動着陸システムを開発。これ
は地上に技術を必要とせずに機能することができ、より安全で自律的な飛行
の新時代を実現。自動着陸は長い間民間航空機の標準的な手順。主要空港に
は航空機の安全航行の確保に必要なインフラストラクチャ、これは通常、小
さい空港では当てはまらない。
ミュンヘン工科大学(TUM)の研究グループ
らは、地上システムを必要とせずに機能する、視覚支援ナビゲーションによ
る完全自動着陸を実証。


大規模空港では、計器着陸システム(ILS)により、民間航空機が非常に正確
に自動的な着陸が可能にする。
アンテナが自動操縦装置に無線信号を送信し
て、滑走路に安全に移動できるようにする。
衛星航法に基づく自動着陸を可
能にする手順も現在開発中で。
ここでも地上の増強システムを必とする。
ドイツ連邦政府によって支援されたプロジェクト "C2Land"においてミュン
ヘン工科大学
の研究グループ、地
上システムの支援なしに.小型航空機用の着
陸システムの開発に、Technisch eUniversität Braunschweigと提携機の
オー
トパイロットはGPSを使って移動する。
これらの信号は、たとえば大気の乱れ
のために、測定の不正確さの影響を受けやすい。
航空機内のGPS受信機は
常に干渉を確実に検出できない。
結果として、現在のGPSアプローチ手順
は、パイロットが60メートル以上の高度で制御を引き継ぎ、航空機を手動
で着陸させることを要求する。

完全自動化着陸を可能にするために、TU Braunschweigチームは光学参照シ
ステムを設計:通常の可視範囲のカメラと視界の悪い条件下でもデータを提
供できる赤外線カメラ。
研究者は、システムが受信したカメラデータに基づ
き、航空機が滑走路に対してどこにあるかを決定することができるカスタム
メイドの画像処理ソフトウェアを開発。研究航空機が Diamond Aircraft飛
行場に完全自動で着陸したことにテスト結果に満足する。

このシステムは、ドローン型垂直/水平移動体として、全電動エンジン方式
として実現できれば、「首長市移転構想」にも展開されているだろう。『縄
捨てまじ』で掲載した浮体型空港と接岸部との大型シャトルドローンにも応
用されているわけだ。但し、安全設計優先が前提である。



【世界最大のかエネルギー貯蔵施設を備えたソーラーパークの建設】

先日掲載した再配信。カリフォルニア州当局が、新たに建設される「巨大太
陽光発電施設」と25年の長期契約を結ぶとみられている。この太陽光発電施
設は最世界大級蓄電池施設を備え、その電力価格は火力発電よりも安くなる。
この新たな太陽光発電施設は、太陽光発電開発大手の8Minute Solar Energy
が施工予定。建設予定地はカリフォルニア州のカーン郡。その発電量は5万
5千戸の日中の電力消費量相当の毎時400MW、夜間や悪天候時など太陽光
発電できない時間帯には800MWhの蓄電池に蓄えられた電力を活用。電力
価格は1KWhあたりわずか1.997セント(約2.16円)と、化石燃料により、いか
なる発電方式よりもさらに安い価格で供給できる。



再生可能エネルギーに必要な直電池価格は下落し続け、リチウムイオン電池
価格は2012年と比べ76%下落し、直近18カ月では35%下がり1KWh当た
り187ドル(約2万円)。コンサルティング・マーケティング企業Navigant
は、この下落は持続すると予測、2030年には価格は半分になる見通し。一方
で、ローレンス・リバモア国立研究所は、蓄電池による電力供給は数時間し
か持たず、長期間の悪天候時や冬期には日照量が低下、電力供給が不安定に
なるリスクを抱えていると指摘している。





蛇足、太陽光以外にも再生可能エネルギーを使った発電施設で。2018年9月に
稼働したアイルランドとスコットランド間の洋上風力発電施設「Walney Ex-
tension Offshore Wind Farm」は、スコットランド全住宅で消費される電力
のおよそ2倍量を生産している。

     

    

  

【続・引き寄せられる混沌Ⅹ:7040問題を考える】 

「階級社会」に突入した日本、3つの格差拡大の仮説

現在は完全雇用なのに、格差問題がテーマの『新・日本の階級社会』がビジ
ネスマンの多い東京・丸の内界隈で売れているという(「階級社会」に突入
した日本、格差を拡大させた3つの仮説、『週刊ダイヤモンド』特別レポー
ト、ダイヤモンド・オンライン、2018.04.07)。同社は、完全雇用で人手不
足になった後も安倍政権が1億総活躍とか人づくり革命とか言い続けている
のも、のまま働いても豊かになれないと思っている人が増えているのが背
にあるのではないかと仮説をたて、橋本健二早稲田大学教授と河野龍太郎
(BNPパリバ証券経済調査本部長)と対談特集している。なお、橋本健二
氏の『1億層転落 新・階級社会』───新自由主義の台頭で日本社会に格
差が定着。非正規労働者層が誕生し、人口の三割が経済的理由から家庭を持
つことができない、膨大な貧困層を形成。人々は格差の存在をはっきりと感
じ、豊かな人々は豊かさを、貧しい人々は貧しさをそれぞれに自覚しながら
日々を送る。豊かさの程度によって日本はすでに分断され、「新しい階級社
会」が成立───は7万部ベストセラーを昨年記録。、河野龍太郎氏に、日
本に階級社会が生まれた背景と階級社会がもたらす「不都合な未来」につい
て、「超人手不足」「就職氷河期世代」「日本人の横並び意識」が格差拡大
をどう助長しているのか、社会学と経済学のアプローチし議論。



まず、「格差拡大のスタートライン」は度経済成長の終焉です。賃金の規模
間格差、学歴間格差の拡大から始まり、1980年代からあらゆる格差が拡大し
てゆき、バブル後半になると、正社員も非正規労働者も求人倍率が上がって
いたすが、正社員が上がらなくなり、非正規ばかりが上がるようになる。8
7年にフリーターという言葉がはやり、新卒の若者たちが大量に流れ込むみ、
フリーター第1世代は50歳を超え、氷河期世代も40歳を超えてきたのが
現在と評定(橋本)。規制緩和で潜在成長率(景気循環の影響を除いた経済
成長率)を高められるが、経済活動を自由にすれば格差は広がり、自由化を
進めた上で、所得分配で対応せず、逆にその機能を弱めたので、どこの国も
80年代以降、潜在成長率は上がらず経済格差だけが拡がり最悪の事態を招
く。非正規は雇用の調整弁といわれてきたが、景気変動と非正規労働者の増
減に相関はなく
。雇用の調整弁でなくて、企業が収益を上げるために、構造
的に組み込まれた使い捨て部品となる。


仮説❶:超人手不足なのに賃金が上がらない

非正規の時間当たり賃金は2%台までは上がるが、その後伸び悩む。完全雇
用なのに賃金が上がらない理由の一つは、高齢者や主婦の労働参加が高まり
弾力的労働供給が増えるが、団塊世代が70歳になり始め、健康寿命を考え
ると労働市場から退出する人が増えるが、なかなか賃金が加速しない。

また、外国人労働が凄まじく増え、この5年間で倍増。過去5年で60万人
増え120万人になっている。あらゆるセクターで増え、一番増えている在
留資格が留学ビザと技能実習生の低スキル低賃金の労働。彼らの弾力的な労
働供給が増えているから賃金が思ったほどには上がらない。

さらに、悪循環に入り今までだったら子どもが小学校に上がってからパート
に出るはずだったお母さんが、幼稚園に入る前からパートに出るとか。65
歳を過ぎた人がさらに非正規で働き続け、今まであまり労働市場に出てこな
かった人たちが参入し賃金が上がらない。

また、正規労働と非正規労働の賃金決定のメカニズムはまったく異なり、
正規労働は労働需給がかなり影響し、正規労働は労働需給の影響をあまり受
けず、基本的に生産性の上昇率とインフレで規定される。生産性が上がらな
い原因には、資本市場からの圧力による短期主義が影響。基本的に生産性の
規定は人的資本。かつての内部労働市場では、時間をかけて人的資本が蓄積
されていくから生産性の高い仕事ができた。人的資本の蓄積の機会が少ない
非正規雇用が増えただけではなく、
正規雇用についても能力主義から成果主
義にシフトしている企業も増加→正規雇用に対しOJT(職場内訓練)やOf
f-JT(職場外研修)の機会が減り→人的資本蓄積がされない→生産性停滞→
長期的賃金が上がらない→経営者も従業員もベアは固定費が上がり、終身雇
用が持続できず→経営者や企業内組合も従業員もベア停滞を黙認→労働集約
的な生産工程は海外流出→低スキル賃金低下。

先進国は学校を出たばかりの低スキル労働が製造業の工場吸収→人的資本蓄
積し賃金が徐々に上がり→分厚い中間層を生み出す目論見が外れ→中間的賃
金の仕事がなくなり→比較的高い賃金の仕事と比較的安い賃金の仕事が増え
→各国の政治不安定化の原因となっている。

これに対し、非正規の巨大な群れができたときに、最低賃金保証と所得再分
がないと。人々は将来が不安だからわずかな余剰が出ても貯金するので消
費に回らない。消費低迷し、非正規の巨大な群れができたときに、最低賃金
の保証と所得再分配がないと。将来の不安から余剰が出ても貯蓄し消費に回
らず→消費低迷→格差拡大→景気改善を阻む「格差拡大不況」が続く。 

  

 仮説❷:就職氷河期世代が社会のコストになる

少子高齢化は70年代半ば以降の婚姻率・出生率の低下が原因だけでなく、
就職氷河期に当たった団塊ジュニアは、就職が非常に厳しく、非正
規になっ
た人が多く、正社員になれても不況期に就業すると、望んだ職
種や企業に勤
められず、すぐに転職して就業期間も短く、人的資本蓄積
も進まず所得が増
えず、
結婚が遅れたり、できなかったりするが、ある程度年を取って、所得
が増え、経済的に出産が可能になっても、出産年
齢限界もあり、第2子を持
つことが難しくなる。結婚した夫婦でも2人
の子どもを持てず、「第3次ベ
ビーブーム」が起きなかった───アンダークラスの主力部隊がこの氷河期
世代
で、初めて貧困であるが故に結
婚して家族を構成して子どもを産み育て
ることができない構造的な位置
に置かれた人が数百万単位で出現する。

上の世代がまだ50歳、あと20年くらい働き続けるかもしれないが、

下の世代まで含めると、最終的にはアンダークラスが1000万人を超える。

番上の人が70歳になり生活保護を受け定常状態に達するシナリオであ
る。
一方で、氷河期世代は働き盛りで、就業者全体の3割に上
るボリューム。氷
河期世代は人的資本の蓄積が十分ではなく、前の世代
に比べると賃金が低く、
基本的な生活ができるだけの社会保障制度が整
っていない。

仮説❸:日本人の横並び意識が不毛な争いを生む

先進国では格差は拡大、グローバルではむしろ格差は縮小。結局、生産拠点
の新興国への移転でいえば、この30年で一番メリットを受けた国は中国

30年間で14億人の人口が中国が世界経済に組み込まれた。その過程で、
農村にいた人々が豊かな都市に吸収され、中国では所得の格差が縮小してき
ている。
アンダークラスの上の労働者階級が二つに分裂し、アンダークラス
は、人生の一時期だけではなく、恒常的にそこにとどまり続ける存在になり、
の階級にいる労働者階級や新中間階級の子どもがアンダークラスに転落し続
けてこの規模が維持される可能性が高い。働いている人が税金を払い、社会
保険料を払うから社会保障制度が成り立ち、経済の大きな変化に社会保障制
度を始め、国のシステムが対応できていない。晩婚化や非婚が進み、少子高
齢化が助長され、社会保険料や税金を払う人自体が減り、社会制度の持続可
能性が低下する。今後、「先進国出身であるか、新興国出身であるか」では
なくて、「自国のどの階層に属しているか」によって決まる可能性があり、
今の世代が低賃金で長時間働いて燃え尽き、次の世代の労働力が出ない

会の再生産、労働力の再生産の危機
」であると対談を締めくくっている。

                           この項つづく

 ● 今夜の一曲

Shawn Mendes, Camila Cabello  Señorita

Musicwrites: Shawn Mendes ·  Camila Cabello ·  Andrew Wotman ·  
Benjamin Levin ·  Ali Tamposi ·  Charlotte Emma Aitchison ·  Jack
Patterson ·  Magnus August Høiberg

I love it when you call me señorita
I wish I could pretend I didn't need ya
But every touch is ooh-la-la-la
It's true, la-la-la
Ooh, I should be runnin'
Ooh, you keep me coming for ya

Land in Miami
The air was hot from summer rain
Sweat drippin' off me
Before I even knew her name, la-la-la I
t felt like ooh-la-la-la, yeah, no
Sapphire and moonlight, we danced for hours in the sand
Tequila sunrise, her body fit right in my hands, la-la-la
It felt like ooh-la-la-la, yeah......


新シングル「If I Can’t Have You」が全米シングルチャート初登場2位という同チャ
ート自身最高位、世界各国のラジオ・チャートでも自己最高位が続出しているシン
ガー・ソングライター。ショーン・メンデスの新曲「Señorita (セニョリータ)」が、2019年
6月21日にリリース。新曲「Señorita」は、ショーンと同じくグラミー賞ノミネート歴があ
り、数々の大ヒット曲をむキューバ出身のシンガー・ソングライターで、フィフス・ハ
ーモニーの元メンバー、カミラ・カベロとのコラボレーション曲。なお、二人が出演す
るミュージック・ビデオもリリースと同時に公開されている。


  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポストエネルギー革命序論20

2019年07月17日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                    
6.雍 也 ようや
ことば
------------------------------------------------------------------  
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)として、
然る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり」(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者
にしかず」(20)
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
 
------------------------------------------------------------------------- 
3 哀公が「お弟子たちのうちで、しんから勉強好きなのはだれですか」
とたずねたのに対して、孔子は言下に答えた。
「顔回です。かれはひたすら学ぶことを心がけていました。腹立ちまぎれ
に人にやつ当たりすること はけっしてなかったし、同じ過ちを二度繰り
返すこともありませんでした。かわいそうに短命な男で、今はもう故人で
す。かれ以外にほんとうに勉強好きな人間がいるとは思えません」         

★顔回の死は、三十二歳(とすれば孔子六十二歳)とも、四十一歳(孔子
七十一歳)ともいうが.

哀公問曰、弟子孰爲好學、孔子對曰、有顔囘、好學、不遷怒、不貳過、不
幸短命死矣、今也則亡、未聞好學者也。

Marquis Ai asked, "In your pupils, who likes learning?"
Confucius replied, "There was Yan Hui who learned eagerly. He never
vented his anger on the other people. He never made the same mistake
again. But unfortunately, he passed away in his youth. No one likes
learning truly except him.



【ポストエネルギー革命序論20】

 

前版(Rev.04-16-2019)からの 更新点は、6接合集光 47.1%(NREL)、Si(HIT):
26.6→26.7% (Kaneka)、CIGS: 22.9→23.4% (Solar Frontier) 、有機薄
膜、16.5%(SCUT-CSU)




図1

二次元ハロゲン化物ペロブスカイトにおける異なる導電層エッジ状態

7月17日、ペンシルベニア州立大学の研究グループは、金属のような導電性
のエッジと絶縁性のコアを持つ新しい二次元ペロブスカイト材料の発見えを公
表。それによると、電流が材料の中心ではなく端の周囲を流れることは非常に
珍し(※局所逆転現象)太陽電池構造設計に大きな影響をもたらす。
2Dペロ
ブスカイト材料は、薄く交互に積層された有機層/無機層から構成。
有機層は、
ハロゲン化鉛結晶の無機層を防湿(三次元材料の劣化保護)。
この層状構造は、
垂直方向および平行方向に沿って導電率が大変動をもたらす。走査およびマッ
ピング技術を駆使し2D単結晶先端部で異常に大きい自由電荷キャリア密度を
形成することを見いだす。

このことで、デバイス内に充電経路が提供されることで、太陽電池およびLED
の性能向上できる。ナノ電子工学の新しい一次元電気伝導の技術開発の道とな
る。二次元ペロブスカイト結晶は端部に強い電流を形成しており、新しい摩擦
電気ナノ発電デバイスに適応できる。このようなナノジェネレーターは、電話
などの機器充電できるウェアラブル技術に応用できる。

【概要】
天然の「多重量子井戸」(MQW)構造を有する二次元(2D)ハロゲン化鉛
ペロブスカイトは、オプトエレクトロニクス用途に大きな可能性を示している。
継続的な進歩は、特に層の端部におけるこれらの2Dヘテロ層における電荷お
よびエネルギーの流れについての基本的な理解を必要とする。ここでは、(C4
H9NH3)
2
PbI 2Dペロブスカイト単結晶の絶縁バルクテラス領域間の層エッジ
での明確な導電性の特徴を報告。

2Dの縁は、〜10^21cm^-3という非常に大きいキャリア密度を示す。様々なマ
ッピング技術を使用することで、層端部の電子が表面帯電効果と無関係である
ことを見出した。むしろ、それらは端部における電子構造の局所的な不確定で
ないエネルギー状態と関連する。2Dペロブスカイトの層端における金属様導
電性特徴のこの観察は、次世代オプトエレクトロニクスの性能を向上させ、革
新的なナノエレクトロニクス開発の異なる次元を提供する。

二次元ハロゲン化物ペロブスカイトヘテロ構造は、それらのより強い光安定性
および化学的安定性、光物理学的調整可能性、光吸収、および発光特性のため
に、非常に大きな興奮を生み出してきた。2D
ハロゲン化物ペロブスカイトは、
室温で優れた電子特性を示し、光検出器からレーザー、エレクトロルミネッセ
ンス、スピントロニクスへと応用を広げる機会を提供(1-4)。2D
ハロゲン
化物ペロブスカイトを組み込んだ太陽電池に関する結果は、15%を超えるま
ともな電力変換効率(5)および1年間の長期安定性を示した。(6)
安定性を
維持しながらさらなる効率の向上には、大きな励起子結合エネルギーの低減と
2Dハロゲン化物ペロブスカイトにおける光物理学的プロセスの包括的な理解
が必要となる。

2Dハロゲン化物ペロブスカイト、(RNH3)2(CH3NH3)n-1MX3n+1は、RN3の
有機障壁面の間に挟まれたコーナー共有[MX6]金属ハロゲン化物ネットワー
クからなる。変数nは、2つの有機バリア層の間の[MX6]ネットワーク層の積
層数を示す。n=1の極端な場合、金属ハロゲン化物ネットワークの厚さはキャ
リアのドブロイ波長のスケールまで減少し、電荷挙動に強い量子閉じ込め効果
を与え、典型的な多重量子井戸(MQW)構造を表す。ハロゲン化物ペロブスカイ
ト型MQW(pero-MQW)では、空間閉じ込めによってボーア半径が半分になり、励
起子の結合エネルギーが薄いQWと深いQWの4倍になること、および無機と有機
の間の誘電率が大きく異なることが広く知られている。層が励起子結合エネル
ギーをはるかに大きくする。(8)光起電力プロセスの間、大きな結合エネルギ
ーは、自由キャリアへの電荷の解離を減少させ、それによって太陽電池のジェ
ミネート再結合損失を増加させる。理想的な2D電子ガスと同様に、電子は面
内方向に自由に移動可能であるが面外方向には厳密に閉じ込められているので、
pero-MQWにおける電荷輸送は、QW平面内に高度に閉じ込められると予想。しか
し、太陽電池のpero-MQWの端部で、または巨視的にはpero-MQW薄膜の界面また
は表面で、2次元電子ガスから3次元電子への遷移中の電荷担体の振る舞い、
および生来の理解境界におけるキャリア再結合、界面散乱、および輸送機構は、
依然として挑戦的である。

pero-MQWフィルムのバルク特性を調べるために、さまざまな巨視的手法が使用
されてきました。原則的に、2Dpero-MQWは、ダングリングボンドのない自然な
面外自己終端を有するので、百%のルミネセンス量子収率が提供されると予想
される。しかし、pero-MQWバルク結晶は実験的に低い量子収率(9–11)を
示す、これは量子損失につながる不明確な欠落部分を示す。より大きなQW(C4
H9NH3)2(NH3)n-1PbI3n+1、n=3およびn=4]を有するほぼ完全に垂直に配向
したバルクペロMQWは、面内電荷キャリア移動度を示すことを報告。(12)CH3N
H3PbI3と同等(n =∞)。非接触時間分解マイクロ波伝導率測定は、矛盾して
同じ材料のはるかに低いキャリア寿命を示唆する(13)。準二次元ペロブスカ
イトの最近の研究は励起子のスケーリング則を示唆し(14、15)、二次元/三
次元混合ハロゲン化物ペロブスカイトに基づく太陽電池は同時に改善された電
力変換効率と安定性の成功を示した(12、16–18)。しかし 3Dペロブスカイ
トはエネルギー的に低い伝導帯を持つため、GaAs/AlxGa1-xAs超格子(19)の
問題と同様に、2D/3Dヘテロ界面での空乏および蓄積電荷キャリアに関す
る基本的な疑問が生じる。そして、2D/3D混合相において電子受容体のよ
うに作用し得る。全体として、矛盾するさまざまな報告の結果および重要な境
界関連特性に関する疑問は、エッジ効果を考慮せずにバルク物理学のみを考慮
することにより完全に説明できない。この研究の背後にある動機は、層のエッ
ジ状態(ES)の性質と機能性を調査にある。

従来の無機-MQW中のESは並外れた性質を有する。例えば、HgTe QWでは、非
自明なESによって、非磁性不純物からの散乱の影響を受けない無散逸の1D
電気伝導が可能となる(2D)。さらに、特にMQW系では、Majoranaフェル
ミオンの存在により、量子スピンホールエッジでの超伝導が可能となる(21)。
pero-MQWについては、Blancon et al。光起電変換のための励起子解離を十分
に加速できる準2DペロMQW[(C4H9NH3)2(CH3NH3)n-1PbI3n+1、n≧3]の
層端における自由キャリアを報告した(22)。しかし、2D pero-MQWの場合、
ES層、特に電気的特性に関する基礎的な調査が不足。ここでは 導電性原子間
力顕微鏡(c-AFM)、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、2D pero-MQW単結
晶、すなわち(C4H9NH3)2PbI4(n = 1)中の異なる導電層ESの直接観察を報
告する)。二次電子および後方散乱電子検出器、ならびに共焦点ラマンおよ
フォトルミネッセンス(PL)マッピング技術を搭載。c-AFMは、ナノ領域
とそれに対応する電子特性を視覚化に広く使用される手法。表面化学領域は
絶縁されたままで、2D pero-MQWの地形ES輪郭に沿い、超導電特性をともな
う。ESはバルク2D pero-MQWのものと
比較してより低いエネルギーレベルで自由キャリアによって占められており、
ES領域における計算された自由キャリア密度は10^21cm^-3のオーダで大き
な値を示し、れに近い。エッジ高さ、スキャン条件(スキャン方向、スキャ
ン速度、スキャン時間)、照度、またはサンプルバイアスは不変です。 2D
ハロゲン化物pero-MQWのESの発見は、オプトエレクトロニクス用途の電荷輸
送向上するための新しい操作方法論およびナノ電子の1D電気伝導の革新的機
会を提供する。



【結果】 隣接する断熱テラス間の層端電流の直接観察

(C4H9NH3)2PbI4 pero-MQWにおける新しいESを調べるために、我々は以前に
報告された方法に従って水 - 空気界面から単結晶薄膜を合成し(23)、c-AF
M測定の前にいくつかの最上層を剥離。上図1Aは(C4H9NH3)2PPbI42Dpero-
MQW構造を概略的に説明し、ここで.6.3ÅのQW厚さ、7.6Åの障壁厚さ、
および結晶方位は、X線回折(XRD)データから計算される(図S1A)。
図1Bは、面外電流を検出するためのc-AFM設定とpero-MQWのトポグラフィ情
報を示す。サンプルを銀の基材上に置き、上部のプラチナ被覆チップと接触
させる。暗所、室温で2Hzで走査した後、我々は、バルクテラス領域にお
いて絶縁特徴を見いだしたが、層の縁の輪郭に沿って予想外の電流を見いだ
す。地形図(図1C)に示すように、2Dpero-MQWは、基板に平行な原子的に
平坦な大きなQW面と、面外(z軸)方向に沿った鋭い層エッジとを有する
テラスフィーチャを示す。エッジ高さの差(Δz)は、QW層の数に応じて
ナノメートルからマイクロメートルの範囲である。電流マップ(図1D)から、
バルクテラス領域の電流は高度に関係なく無視できますが、鋭い層の端には
連続的な電流が存在します。エッジの高さの差が大きいほど、検出される電
流は高くなります。図1Eは、図1に示すように、x軸方向の縦線に沿った
zプロファイルを示す。 S1(CおよびD)。 Zプロファイルの一次導関
数を取り、それを対応する現在のプロファイルと比較することによって、ピ
ーク位置に関して顕著な一貫性(図1F)があることが分った。その観察は、
検出された電流が鋭い層の縁部にのみ存在し、それがピークの下の領域に結
び付くときの縁部の高さの差に特に関係することを証明。一方、バルクテラ
ス領域の電流はゼロのまにあり、絶縁特性を示唆。これは、MQW内に周期
的に挿入される有機絶縁層に起因すると考える、面外コンダクタンスは無視
できる。pero-MQWの導電性の鋭い層のエッジは、ES層に存在する自由電荷キ
ャリアに関連する。



この知見は、第四次産業(図画像処理産業:一般的には"見える化"と呼称さ
れている)技術で実証されたもので、"ペロブスカイト風"と表現されてもい
る領域である。これが、「発電するタイル事業」に繋がれば、大変面白い。

 

  

今年は高価なサンマの塩焼きとなりそうだ

   



【続・引き寄せられる混沌Ⅸ:7040問題を考える】 

第七章 「共同子育て社会」という成長路線
7-2 子育て支援を中心とする社会保障で経済成長を 
7-2-1 内需主導の成長戦略と少子化対策

すでに述べたように、これからの日本経済の発展にとって重要なことは、「
内需主導」であり、人口減少への対策です。この両方が、「子育て支援を中
心とする社会保障の充実」に間わっています。これまで、内需といえばどうし
ても公共事業に焦点があたっていました。これはこれで間違いではありません。
主流派経済学からは、公共事業はムダの温床として真っ先に削減の対象にされ
てきましたが、藤井聡氏が 「公共事業が日本を牧う」(文巻新書、2010
年)で明らかにしているよ うに、これも間違いです。2012年の笹子トン
ネルの事故で誰もが気づ かされましたが、日本の道路、橋梁、トンネルなど
の老朽化は著しく、早急な改修が求められています。それは決してムダな事業
ではありません。ただし現在は、東日本大震災の復興事業に加えて2020年
の東京オリンピックに向けた建設工事が着手されつつあり、建設業界の人手不
足や資材不足が取りざたされるようになっていますから、今ここでさらに公共
事業の拡大を強調して唱える必要はないでしょう。それに対して、社会保障に
関しては依然として「効率化」の名のもとに、縮小へのさまざまな圧力がかか
っています。幸いにして子育て支援に関しては、それまでの政策が改められて、
待機児童対策や育児休業制度の充実など、少しずつ改善の方向へと進んでいる
ように思われます。しかし、年金、医療、介護などに関しては、経費削減に焦
点をあてた政策ばかりが検討されています。これは、日本経済にとっては完全
にマイナス要因で、せっかくの子育て支援の拡大による成長の芽を摘んでしま
いかねないでしょう。内需拡大を基軸とする日本経済の成長にとって、人口の
減少をできるだけ食い止めることは最大の戦略目標になります。人口の増加ま
で展望するのは現時点では無理ですが、減少スピードを大幅に遅らせることは
できます。たとえば、現在の人口推計では、2064年には8245万人へと、
今日から見て約4000万人、割合にして3分の1の人口減が見込まれていま
すが、もしもこの趨勢を押しとどめて、何とか1他人程度を保つことができれ
ば、減少幅は半分になります。すなわち、人口減少による経済縮小圧力が50
バーセント取り除かれることになるのです。しかも、この人口減少の縮小は、
新しく生まれてくる乳幼児や子どもたち、そして若年層のレベルではむしろ「
人口増」を意味します。したがって、こうした世代を対象にした商品やサービ
スを手がける事業にとっては、明らかな成長の基盤となるわけです。

7-2-2 子育て支援を妨げてきたもの  
ここには、第3章で述べた「生活革新型の経済成長」の可能性が開けて いま
す。これまで長い間、日本では政府の積極的な子育て支援はありませんでした,
たとえば保育政策では、公的な保育支援は「保育に欠ける」と認定されるきわ
めて限定された児童だけにしか提供されてきませんでした。この背景にあった
のは、「育児は家庭で行うべきもの」という根強い家族主義です。この家族主
義は、日本の伝統的な「美風」として讃えられ、高齢護などを含む福祉政策全
般に対して「日本型福祉社会」をめざすべきだといった考え方の「道徳的な基
盤」を形成してきました。つまり、家族の成員はそれぞれが親密に助け合って
生きていくことが道徳的に望ましいことであり、日本社会は伝統的にそれを重
んじてきたのだから、福祉政策においてもこの伝統的な道徳的価値が重視され
るべきだ、という考えです。しかし、「家族はお互いに助け合うべきだ」とい
うことが重要な道徳的価値であることは間違いありませんが、そのことは決し
て「福祉政策の基盤に家族主義を置くべきだ」ということを意味することには
なりません。なぜなら、家族主義が政策に取り入れられる場合には、必ずや「
家族がどんな苦境に陥っていても、問題は家族で解決すべきであって、公的な
支援を期待してはならない」という「家族自助」論に帰結し、その結果として、
むしろ「家族成員がお互いに助け合う」ことができるための基盤を取り崩すこ
とになってしまうからです。日本型福祉社会諭は、家族の「自立性」を前提に
しています。家族に十分な資源があって、内部に生活の困難を抱える成員が生
じた場合にも、家族の人的および金銭的資源を用いて数うことができる、とい
う前提です。明らかにこの前提は一幻相-」です。圧倒的多数の一般の家族に
は、そうした「自助」を実践するだけの資源はありません。じつは、日本型福
祉社会諭の背景には、家族主義とは別のもう一つの「隠れた」前提がありまし
た。それは、1960年代から80年代まで盛んに注目されてしばしば讃えら
れた「日本的経営」です。終身雇用、年功序列、企業別組合などで待微づけら
れる日本的経営は、1970年代後半にはあたかも「日本の経済的躍進の原動
力」であるかのように見なされました。アメリカの社会学者エズラ・ヴオーゲ
ルの「ジャパンアズナンバーワン」が出だのが1979年です。この日本的経
営は、他方で「家族主義的経営」とも特微づけられてきたことから分かるよう
に、会社全体を一つの家族のように見なす性格を持っていました。それは言い
換えれば、従業員の家族を会社という大きな家の一部と見なし、会社は単に従
業員に対して、労働の対価としての給与を支払うだけではなく、従業員の家族
を含めて「面倒を見る」ということであったわけです。従業員の家族が利用で
きる「保養施設」、家族を含めた「会社運動会」などがそれを表しています。
むろん、扶養手当、住宅手当、住宅ローンの貸し出しなどもあります。つまり、
日本的経営というのは「会社単位での充実した社会福祉」を意味していたので
す。したがって、日本的経営の中にいる従業員は、政府からの公的支援に頼ら
なくても、会社内の福祉でサポートされていたのです。退職後の生活に関して
も、当時の大企業や役所を退職した人の年金給付額は非常に恵まれていて、い
わば本当に「終身雇用」として死ぬまで面倒を見てくれるかのようなしくみに
なっていたわけです。

             ─── 中 略 ───

7-2-3 「強い家族」思想からの脱却
このイデオロギーがようやく解体し始めるのは、2000年の介護保険制度の
導入からです。それは、もはや高齢者介護を「家族」だけで担うことがきわめ
て困難であることが、やっと政治家や官僚たちのレベルでも認識されたこと
表しています。一方、そのしばらく前から、日本的経営と専業主婦モデルも

体し始めていました。デフレ不況の中で、大企業といえどもかつてのような

厚い従業員福祉を維持することが困難になってきました。また、給与水準が

迷し、男性でも非正規雇用の職しか見つからないようになると、かつてのよう
な「専業主婦」を謳歌できる人たちも限られてきます。政府のタテマエ的な「
男女雇用機会均等法」や「男女共同参画社会」の理念も多少は影響したかもし
れませんが、それよりも、人びとの生活の実態のレベルから、専業主婦モデル
は崩壊せざるをえなくなっていったのです。こうした社会変化こそが、今日、
「新しい生活文化」の創成を必要としている最大の理由です。もはや「家族主
義」という幻想に頼って日本人の生活を良くしていくことはできません。多く
の地域社会も疲弊しています。(中略) 今や、高度経済成長期に前提にされ
ていたような「強い家族」、核家族化していって夫婦と未婚の子どもだちか
らなる家族でもさまざまな問題を自分たちだけで解決していくことができると
いう想定から脱して、「家族は弱い存在なのだ」という認識から出発しなけれ
ばならないでしょう。弱い家族ではあるけれども、子育てや介護の第一義的な
責任は家族にかかってきます。家族に本当に「お互いの助け台い」を果たして
もらうためには、その責任の一部を軽減してあげなければなりません。そのた
めには、家族を社会全体が支えるという考えと仕組みとがどうしても必要なの
です。そうした仕組みは、それまでの日本的経営や専業主婦モデルを前提にし
た生活文化に置き換わる新しい生活文化を生み出すことになります。それによ
って新たな「成長」への道が聞かれてくることになると考えられるのです。  

7-2-4 「共同子育て社会」という未来への投資  
第4章の終わりの方で、積極的な子育て支援政策がめざすものとして、「共同
子育て社会」という未来構想を提示しました。それは、子育ての責任やコスト
を家庭だけに押しつけるのではなく、社会全体として、各家庭における子育て
を支援する仕組みが整っている社会です。現在しばしば報じられるような児童
虐待や育児放棄のような悲惨なできごとを完全になくすのは無理かもしれませ
んが、そうした社会では、徹底的に減少することが期待されます。そうした事
件は、各家庭が社会から孤立していることから起こることが多いので、

❶まず第一に、孤立をなくすの が重要なことです。
❷第二に、母子家庭を中心とする「子どもの貧困」という問題も大幅に改善さ
れるでしょう。子育てにかかる金銭的コストに対して、各家庭の所得状況など
に見合う積極的な公的支援が施されるからです。貧しいために進学できないと
か、病気の子どもに十分な医療を受けさせられないといったことも、ほとんど
なくなるでしょう。
❸第三に、共同子育て社会は当然のこととして、女性が「子育てのために働く
ことをあきらめなければならない」ようなことは起こらなくなります,むろん、
働くか働かないかは女性自身の選択です。働くことが強制されるわけではあり
ません。しかし、働きたいと思う人はそうすることができる社会です。以上の
3点け、必ずしも狭い意味での「少子化対策」ではありません。根本的には、
それぞれの個人や家庭が抱えている問題を軽減し、それぞれの人がより良い
生活を営むことができる」ことを第一義的に考えるものです。(中略)
❹第四に、おそらく「少子化」という問題に対しても少なくない効果をもたら
すことでしょう。子育てのためのさまざまな障害が軽減されますから、子ども
を持つことや、それを視野に入れた結婚へのハードルが低くなります,その結
果として、出生率が上昇することが期待できます

むろん、必ずそうなるとは確言できませんが、少なくとも人口減少という問題
に対して最も有効な対策であることは間違いありません。こうした見方に対し
ては、何をやっても効果がないとか、そもそもどんなに人口が減少しても一人
当たりの豊かさが向上していけば良いと、子育て支援に消極的な意見を主張す
る人がいますが、こうした考えは社会学的にも、また経済学的にも間違ってい
ます。まず社会学的には、「今日の社会では、かつてのような家族や地域社会
からなる小さな共同体の自立性は大幅に失われており、子育ての責任をそれら
だけに委ねることは、すでに実態としてもできていないし、まして理念的にも
正しくない」といえます。子どもの貧困や育児放棄、虐待などの悲惨な事件の
ことを考えても、子育ては、国民社会レベルでの共同の責任だと考えることが、
現代社会の公共的な価値に適っているのです。経済学的には、「成長は《投資》
によって生まれる」という事実が決定的に重要です。理屈の上では、「一人当
たりの豊かさ」が確保できれば問題はないといえますが、その豊かさを確保す
るためには「投資」が必要で、とくに民間の投資は「将来の需要期待」に依存
しているのです。将来の需要が期待できないところには投資は生まれません。
したがって、成長もありません。いくら「一人当たりの豊かさ」さえ確保でき
ればいいと考えても、人口規模が大幅に減少していくことが見込まれるところ
には、成長を牽引する投資意欲が乏しいので、結局「一人当たりの豊かさ」そ
のものの向上はもとより、維持することすら不可能になるのです,このことは、
今日の地方経済の困難な状況を見れば明白なことだといえるでしょう。成長戦
略として見た場合、こうした共同子育て社会の実現は、価値観、ライフスタイ
ル、キャリアパターンなど、人びとの生活文化の大規模な革新を伴うというこ
とが重要です。そこには、出産と育児の面だけではなく、新しい生活文化のた
めのさまざまな新しい財とサービスにおける、生産と消費が生まれてくるはず
です。たとえば、デパートや美術館などの公共施設が、今以上に乳幼児を連れ
て出かけることのできるものへと変わらなければなりません。交通機関もそう
です。また、子育てしやすい住宅への需要も増えます。職住接近や労働時間の
短縮も進むでしょう。それによって、通勤にとられていた生活時間の一部が自
由になります。そして、きめ細かな子育て支援のために、情報システム、各支
援制度、支援の人材などを統合的に組み入れた社会的なシステムが構築される
必要があるでしょう。こうした変化は、今の段階では明確には予測できないよ
うな、まったく 新しい財やサービスを生み出す可能性が高いのです。


    盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
              第七章 「共同子育て社会」という成長路線 

わたし(たち)の「百年国債」で言うところの「子育て国債」に該当する。そ
して「デフレ不況克服の困難さ」の分析(世界的な労働斡旋ビジネスと貧困と
格差拡大のリスク計量・評価・評定)と「科学技術革新による労働力再教育」
のための「教育国債」の発行と国際協調戦略が問われているのだと再認識した。
次回は、週刊東洋経済eビジネス新書『連鎖する貧困』などに移る。   

                            この項つづく              


  

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポストエネルギー革命序論19

2019年07月16日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                    

6.雍 也 ようや
ことば
------------------------------------------------------------------  
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)として、
然る後 に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり」
(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者
にしかず」(20)
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
 
------------------------------------------------------------------------- 
2 仲弓(雍)が孔子に、子桑伯子の人物評を求めた。「寛大で立派な人
物だよ」
「自分には厳しく、他人には寛大である、というなら政治家として申し分
ないと思います。しかし、他人に対して寛大で、自分にも寛大であるとす
れば、これはルーズなのではありませんか」   
孔子は言った。    
「そうだ。おまえの言うとおりだよ」   

〈子桑伯子〉 伝不詳。

仲弓問子桑伯子、子曰、可也、簡、仲弓曰、居敬而行簡、以臨其民、不亦
可乎、居簡而行簡、無乃大簡乎、子曰、雍之言然。

Zhong Gong asked about Zi Sang Bo Zi.
Confucius replied, "Not bad. He is generous."
Then Zhong Gong said, "If he is both prudent and generous, and he
associates with the people with prudence, he is quite good. But if 
he is only generous, he is too generous."
Confucius said, "I agree with you."

※問題なのは「自己評価」。往々にして、最適解がなく、日和る。



【ポストエネルギー革命序論19】



WO2017/138392 


 

生分解性プラスティク製造販売事業は広範である。わかりやすく言うと、
手術用縫合糸のように一定時間経過後に体内分解融合機能であり、フィル
ム、硬質容器、繊維など様々であり、「鋼→生分解+α(熱・光・触媒)」
の極端な変化をもつ自己・補助分解性をもつ次世代型材料・素材製造・販
売事業。コスト?技術や安全性がクリアできれば政府産助(支援)でクリ
アできる。





シカゴ-クリーブランド間ハイパーループ 米政府資金援助へ

5大湖ハイパーループシステムの連邦資金準備が整いつつある、最近可決
された予算法案はハイパーループのような新しい交通手段が規制指導と監
視が許認可される見通し。現在、実現可能性調査段階のシステムは、シカ
ゴ-クリーブラン間を時速730マイル(約1175キロので超高速で移動
できる、中西部全域の追加ルートへの道を開くことになる。
乗客は、部
分真空に保たれたパッシブ磁気浮上技術を使用して、閉じたチューブを通
ってほぼ音速でカプセル内を移動。
米国下院は、米国運輸省(DOT)内の
ハイパーループプロジェクトの規制枠組み製造の資金提供を承認。2020年
の交通、住宅および都市開発の予算案では、非伝統的新興交通技術(NETT)
評議会に、規制上のギャップを特定し、ハイパーループプロジェクの安全
および環境プロトコル開発の500万ドルを提供。こ
の法案は「運輸収用法
案に5大湖ハイパーループプロジェクトの前進資金が含まれる、また、

会が、国の将来の交通システム上のハイパーループの認識を示し、クリー
ブランド-シカゴ間のNOACAとそのパートナー間の高速交通を変革する。
革新的交通ソリューションと最終的には5大湖地域を結ぶこの最先端の交
通事業に長年取り組んできたことによる。

オハイオ州の第9議会地区の代表氏は、
これは、この重要事業を前進させ
重要なステップ。この地域にハイパーループをもたらすことは、経済成長
を促進し、雇用を創出、迅速かつ効率的に移動する能力を強化し、何百万
人ものアメリカ人の日常生活を改善すると語る。
NOACAは、2019年秋まで
に完成予定のHyperloop Transportation Technologies(HTT)と提携し、
実行事前協議を実施する。それに伴いHTTは、ビブラニウム(?)と呼ばれ
る鋼鉄よりも強度が5倍で軽量の新素材カプセルの開発途上にある。

【単結晶ペロブスカイトで変換効率21.09%を記録】

5月7日、サウジアラビアのキングアブドゥラ科学技術大学(KAUST)の研
グループは、単結晶ペロブスカイトの成膜方法を開発し、21.09%の記録
的な光電変換効率を達成したことを公表している。KAUSの最新のブレーク
スルーは、この技術開発のハードルの不安定性にあり、結晶が無秩序な成
長による結晶の粒界に現れる欠陥の克服に着目する。


【概説】

溶液空間制限逆温度結晶成長法
を用いて、電荷選択接触上に成長させた
20μm厚の単結晶メチルアンモニウムアンモニウムトリヨージド(MAPbI3)
ペロブスカイト(吸収体層として)は21.09%に達する電力変換効率と最
大84.3%の充填率を有する太陽電池をもたらす。これらのデバイスは、
ペロブスカイト型単結晶太陽電池に新たな記録を打ち立て、ペロブスカイ
ト型太陽電池の高い曲線因子を達成の道を切り開いた。
 
過去数年間だけで、ハイブリッドメタルハライドペロブスカイト材料は、
低温処理太陽電池の分野に革命をもたらし、最も確立された数十年前の商
業用光起電力技術と競合する電力変換効率(PCE)を有する装置を提供。
今日まで、ペロブスカイト型太陽電池(PSC)研究は、主に多結晶PSC(Pc-
PSC)であった。(1)Pc-PSCの記録効率は、現在24.2%PCEであり、理論
的なShockley-Queisser限界(SQL)からはまだかけ離れているが、これは、
三ヨウ化メチルアンモニウム鉛をベースとする単接合セルのMAPEである
30.5%PCE,(2)SQLに近づくためには、デバイスのフィルファクタ(
FF)(MAPbI3 PSCのためのSQLでFF≒90%)の改善が不可欠であ
り、これは全体的なPCEに寄与。 FFの損失は主に無放射バルクと界面キャ
リアの再結合に関する理想係数によって支配され、FFはおそらくPc-PSCを
改善の最も困難な性能指数となる。多結晶薄膜は、その固有の結晶粒径と
表面欠陥のため、かなりの寄生的な無放射キャリア再結合を示す。

理論的には、単結晶ペロブスカイトは、多結晶体と比較して桁違いに低い
欠陥密度と長いキャリア拡散長を持ち、PSC 技術が多結晶薄膜の限界を克
服し、近づく機会を提供。残念なことに、厚さ制御や一般的にはデバイス
に適合しない溶液成長条件なため、単結晶ベースの PSC(SC)の開発には
ほんの一握りのグループしか関与せしていない。2017年のHuang らによる
報告では、SC-PSCが最も高くなった(PCE 17.8%、FF 78.6%))。

ここでは、PCEが21.09%に達し、FFが最大84.3%に達する(1日当たりAM
1.5Gの下で)非常に効率的なSC-PSCを実現しています。これらのデバイス
は、反転ピン構造の厚さ約20μm のMAPbI3単結晶吸収層をベースとする、
SC-PSC PCEの新しい記録と、PSCが目指すべき潜在的な FFの新しいベンチ
マークを打ち立てた。結晶は、単純な溶液空間限定逆温度結晶成長法を用
い成長させた。これらの結晶の結晶構造および光吸収端は典型的なMAPbI3
の単結晶のものである。MAPbI3  SC-PSC の走査型電子顕微鏡(SEM)断面
画像(図1a)は、活性領域がピンホールおよび粒界フリーである(図3
の上面図のSEM画像も参照)。滑らかな表面は電荷輸送層の完全な被覆
を可能にし、直接的な結晶 - 金属 - 電極接触を妨げる。このデバイスは、
ITO /ポリ(トリアリールアミン)(PTAA)/ MAPbI3 単結晶/ C 60 /バソ
クプロイン(BCP)/銅(Cu)のアーキテクチャを採用しており、対応する
エネルギーバンド図は図1bに示されています。デバイスの結晶の厚さは通
常約20μm。

尚、このブログでも掲載している東京大学らの研究グループが。7月4日
にペロブスカイト太陽電池ミニモジュールで20.7%の変換効率を達成して
いるが、❶カリウムドープペロブスカイトを用いることで小面積の単セル
(0.187cm2)で22.3%、三直列のミニモジュール(2.76cm2)で20.7%の
変換効率を達成。❷これまで、さまざまな組成のペロブスカイトを用いた
小面積のペロブスカイト太陽電池の単セル(0.1cm2以下の面積)で20%を
超える変換効率を示すペロブスカイト太陽電池は多数報告されていたが、
大きな面積の直列モジュールで20%を超える世界最高効率。❸高性能低コ
スト太陽電池として、世界的な研究開発競争が進められているペロブスカ
イト太陽電池の実用化に道を開く。

 



東大瀬川研究グルーの慣例特許事例を掲載しておく。

特開2019-046935 光電変換素子及び太陽電池モジュール
特開2018-147964 複合体の加熱方法、複合体の加熱装置及び光電変換素子



黄昏の日の丸太陽電池、もう結晶シリコンでは勝てない
タンデム型、ペロブスカイトは救世主になるか

❶太陽電池分野において、日系企業の影が一段と薄くなっている。生産・販
量ともに減少、今後の生き残りの戦略が問われている。❷一方、に海外メ
ーカーは積極的な投資を展開しているが、中国勢でも淘汰の波が押し寄せて
いる。
❸今後の再生可能エネルギーの普及を考えれば、日本勢が太陽電池の分野か
ら手を引くのはまだ早い。

なぁ~に、知恵と気力で復元させようではないか ^^;。

   



【続・引き寄せられる混沌Ⅷ:7040問題を考える】 

第六章 債務問題はこう考えればいい
6-4 債務問題の正しい捉え方
6-4-1 債務問題は緊急課題ではない
じつは、小さな政府論者が重要視している「債務問題」は、ほとんど 「幻
影への恐れ」といえるもので、それを根拠にして「歳出削減」を唱える こ
とにはまったく合理性がありません。債務残高が問題だという主張の根拠な
るものは、「対GDP比債務残高」の大きさです。たしかに、日本の対GD
P比債務残高は世界的に見て驚異的に高くなっています。しかし、もしこれ
が「問題」だとしたら、日本の国情の金利は高くなっていなければなりませ
ん。なぜなら、「債務が問題だ」ということは、「デフオルトの危険が高い
と見なされて、低利での追加的な国債発行、つまり、新たな借金ができなく
なる可能性が高くなる」ということであるはずだからです,ところが、ご存
じのように、とくに、市場からの大量の国債買い付けを中心とする日銀の異
次元の金融緩和以降、日本国情の金利はなんと1
パーセントを切って、(2
014年秋で)O・6パーセント程度という 「超低金利」が続いています。
その分、日銀が保有する国債の総額が大幅にふくらんでいます)金利が低い
ということは、「そうした低い金利でも国債を買おうとする経済主体、つま
り、日本政府に喜んでお金を貸そうとする経済主体が多い」ということです。
現実の日本国債の市場を見る限り、「他の国と比べて日本のデフオルトの危
険が高い」と見ている人はほとんどいないといえます。ここから明らかなこ
とは、「表面的な対GDP比債務残高の大きさは、デフオルトの可能性の大
きさとは無関係だ」ということです。なぜそうなのか。それは、「誰から借
金しているか」が重要だからです。第1章で、日本の国債保有者のほとんど
が「国内の金融機関ないし個人」だということを述べました。図表1‐1で
明らかなように、「海外投資家の国情保有残高」は2014年9月で4・8
パーセントにすぎません。政府短期証券を含めた「政府の借金全体」につい
て見ても、8・9パーセントです。ここ数年は、このくらいの割合で推移し
ています。もう一つ重要なのが、じつは「国内で保有されている国債」も、
その多くが「政府関連機関」によって保有されているということです。これ
には、日本銀行のほか、(政府が100パーセントの株主となっている)ゆ
うちょ銀行とかんぽ生命、それに「年金特別会計」と「年金基金」とがあり
ます。これらが保有している国債の割合を合計すると、全体の5割を超える
と推定されるのです。こうした保有主体の「国債の価値と信用」に関する利
害関心は政府とほとんど一心同体です。価値と信用を損なうような行動をと
る可能性はゼロといっていいでしょう。国内の民間金融機関も似たようなも
のです。日本の債務残高が問題で、日本財政が破綻するかもしれないと強く
警鐘を鳴らしているある著者自身が証言していることですが、ある国の財政
破綻が起こるのは、財政赤字の穴埋めを「外国投資家」からの借金に頼って
いて、その外国投資家が一斉に資金を引き揚げたり、追加的貸し出しをやめ
るときです(天達泰章『日本財政が破綻するとき国債金融市場とソブリンリ
スク』日本経済新聞出版社、2013年)。それはそうでしょう。外国投資
家にとっては、投資先の政府や国民がいかに困ろうとも、知ったことではあ
りません。金融テクノロジーを駆使していかに収益を土げるかだけが最大の
関心です。儲かると思えば投資しますが、いったん儲けの機会がなくなった
と思えば資金を引き揚げていきます。その上、なかには意図的に空売りを仕
掛けて投機的に儲けようとすることさえあります。幸いにして、日本の国債
のほとんどは、そのような不安定で投機的な投資家によっては保有されてい
ません。しかも、そのことは、市場も十分に知っています。だからこそ、超
低金利が維持されているのです。

6-4-2 政府の借金は国民の資産:未来へのツケではない
よく「国の借金総額は、国民一人当たり846万円にもなっており、これは
未来世代が抱え込む借金としてツケが回されることになる」というふうにい
われます,あたかも、親の借金がそのまま子どもに残ってしまい、その返済
に子どもが苦しめられる、という見方です。この見方は、完全に間違ってい
ます。にもかかわらず、世の中では「財政再建がなされないと、ツケが未来
世代に回されることになる」とか、「社会保障費を削減することで、未来世
代の負担を軽減することができる」というような考えが、「疑うべからざる
《真理》」としてまかり通っています。マスコミに登場する論者のほぼ10
0パーセントが、この前提で議論しています。キャスターたちもそうです。
この人たちは、国(本当は、政府)の借金を減らすことは、現在のわれわれ
世代が未来に対して負っている「道徳的責任」であり、それゆえにこそ、何
とかして社会保障費を削減したり「行政のムダ」を省いたりして、財政再建
を図らなければならないと考えています。それは「子どもに借金を残したま
ま死ぬわけにはいかない」という親の責任感と同じものです。  

たしかに、個人の場合には、子どもに借金を残して亡くなるのは、親として
よくありません。そうした親であってはならないという感覚は、正しいもの
です。しかし、国(本当は、政府)の借金問題を、個人のそれと同じような
ものだと考えるのは、決定的に間違いなのです。それが間違っている根本的
な理由は、「政府の借金は、国民の資産」だからです。国民が借金している
わけではありません。借金しているのは、あくまで政府です。そして、その
政府にお金を貸しているのが、まさに国民なのです。国民は、直接的にはご
くわずかですが、間接的に、銀行預金、ゆうちよ銀行への預金、各種保険会
社への保険債権、年金保険料の積立金(これは、特定の個人のものではあり
ませんが)などの形で膨大な資産を保有しています。資産を預けられている
そうした諸機関が、資産運用の一部として、国債を保有しているわけです。
したがって、間接的ではありますが、政府にお金を貸している最終的な主体
は国民にほかなりません。個人が借金する場合、通常、お金を貸してくれる
のは銀行であったり(家族外の)他の個人です。したがって、「親の借金」
は、「家族外の誰かからの借金」になります。それを返そうとすると、家族
の全員にその負担が生まれます。ところが政府の借金は、(あくまで日本の
場合ですが)国民から借りたものです。国民は貸している側であって、借り
ている側ではありません。したがって、かりに、政府の借金を返さなければ
ならない事態が生まれたとします,そのとき、その返済金は誰が受け取るの
でしょうか,それはほかでもありません。国民です。この構図は、家族のた
とえを用いると、「父親が子どもに借金している」ようなものです。その借
金がかりに1000万円という巨額であったとしても、それは決して「子ど
もの将来の負担」にはなりません。もし親がその借金を残したまま亡くなっ
たとしても、子どもはただ単に「親に貸していた1000万円が戻ってこな
い」ことになるだけです。むろん、それは困ったことですが、「1000万
円の借金を受け継ぐ」ことには決してなりません。このように、政府の借金
は決して未来世代へのツケではないのです。  


6-4-3 もっとも、債務は「制御下に置く」ことが重要
当然のことながら、今のたとえ話と追って、政府はこの国民への借金を「踏
み倒す」ようなことをしてはなりません。それは国民の資産なのですから、
もしそれが「踏み倒される」とすれば、国民の資産が消えることになってし
まいます。それは、国民経済に恐ろしい混乱をもたらすでしょう。その点こ
そがまさに「デフオルト」の問題と直結しています。「踏み倒す」とは一債
務不履行」ということであり、「デフオルト」にほかなりません。「踏み倒
さない」ということは、返済期限の来た債務を約束通りに返すということで
す,これが「国債の償還」です。償還が約束通りに実施され続けている限り、
国債への信頼は維持され、債務についての問題は何も発生しません、もっと
も、現在のところ、この償還は新たに国債を発行することで賄われています。
それはじつは年々100兆円を超える巨額に上っています。つまり「借り換
え」で凌いでいるわけです。これについては、当然、注意深く考える必要が
あります,現在は、償還を迎えている国債を保有している日本の金融機関は、
他に資金を運用するより良い選択肢が少ないため(つまり、民間の資金需要
=投資意欲が低迷しているため)、借り換えをすることに何の困難も生じて
いません。しかし、皮肉なことですが、もしも日本経済の景気が良くなって
くると民間の資金需要が増えてきますから、国債の借り換えの際の金利が上
がる可能性はあります。そうすると、歳出における「利払費」が増大します。

それを賄うためには、公債金収入を増やさなければなりません。それは、債
務残高の純増である「公債金収入-債務償還費」を増やすことになります。
つまり、債務の増大のしかたがさらに拡大してしまうということです。利払
い費が増え九分だけ公賃金収入が増えたとしても、プライマリー・バランス
には変化は生じませんが、債務の増大のしかたが拡大することは望ましいこ
とではありません。もっとも、利払い費が増えたとしても、その分税収が増
えていれば、公債金収入に頼らなくてすみます。税収が増えるということは、
すなわち、経済が着実に成長しているか、もしくは増税で税収基盤が拡大し
ているか、あるいはその両方があるということです。利払い費が増えても、
それに見合うだけの税収増加あれば、プライマリー・バランスの赤字も減少
していきます。このようにして、借金は必ずしも未来世代へのツケではあり
ませんが、やはり結局のところは、何らかの税収増によって、債務の増大を
コントロ ールすることは必要です。


6-4-4 もう一つの問題は、間違った政策の根拠にされること
以上見てきたように、債務問題については多くの誤解がつきまとっており、
それが「危機的状況にある」というのはまったくの間違いですが、問題が完
全にないかといえば、それも正しくないでしょう。基本的に、現在の政府の
財政構造は褒められたものではありません。ここでとくに注意しなければい
けないことは、「表面的な債務残高の多さ」と「財政における借金依存体質」
という事実から、「だから歳出削減が必要だ」という主張がもっともらしく
見えて説得力を持ってしまうことです。実際、すでに見たように、今日、多
くの経済学者たちが「社会保障費は削減すべきだ」と主張していて、その方
向で制度の改悪が行われる可能性は小さくありません。また、財源難問題の
ために、これまでずっと「少子化対策」や「介護問題」などの、国民生活に
とって重要度のきわめて高い政策の展開が妨げられてきました。  

このことを考えると、債務問題はなるべく早期にある種の「決着」をつけて
しまうのが望ましいといえます。つまり、主流派経済学からの間違った理論
に基づく間違った政策提言が出てくるのを防ぐためにも、その提言の一つの
根拠とされている「債務問題」をなくしておくことが、日本経済のために必
要なことなのです。債務問題を「決着」させるためには、「増税」は避けて
通れません。経済成長がないとした場合には、プライマリー・バランスをゼ
ロにするという目標だけでも18・O兆円分の増税が必要になります。消費
税にして、約7バーセントです。もちろん、実際にはある程度の経済成長が
あるでしょうし、本書が主張するような政策が展開されれば、より確実に経
済成長が見込めます。それに、「急いでゼロにする」必要もありません。し
たがって、近いうちに7パーセントもの消費税アップが必要になると考えな
くて大丈夫です。債務問題に対する当面の戦略は、「プライマリー・バラン
スの赤字を着実に減少させていく」という目標で十分です。ただ、この目標
を着実に遂行していくということは、毎年の税収の増元方が、政策的経費へ
の支出の増え方を上回っているということです。これだけを考えると、どう
しても「政策的経費の支出削減」という圧力が強くなります。しかし、それ
では「歳出削減路線」に逆戻りになってしまいます。この逆戻りを防ぐため
には、何らかの「中期的な計画」を示す必要かおるでしょう。それは法律と
してではなく、内閣の「方針」というレベルで十分ですが、中身としては、
「一定の控えめな経済成長と税の自然増の見通し」「段階的な消費税のアッ
プ」そして「社会保障を中心とする政策の充実の計画」とがセットになりま
す。一連の「シナリオ」といっていいでしょう。

何よりも重要なことは、そこにおいて、「社会保障を充実させながら、経済
を確実に成長させることができ、国民の生活がより豊かなものになっていく
」という見通しを明確に示すことです。それは決して不可能なことではあり
ません。しかし、残念ながら、1973年の第一次オイルショック以降の4
0年以上にもわたって、そうした「明るい展望のある将来見通し」が政府に
よって提示されることはありませんでした。むしろ逆に、「債務がどんどん
増えて大変だ」「国民負担率が上昇する」「年金が破綻する」などといった
「悲観的見通し」だけが政府(というよりも、個別の府省)から発信されて
きました。今や、少予筒齢化という現実的な課題を目の前にして、そうした
悪しき伝続から脱却すべき時期にさしかかっています。これは、少子高齢社
会という現実を踏まえながらも、日本経済の新しい発展を導くものになるで
しょう。

   盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』 
                第六章 債務問題はこう考えればいい

                           この項つづく    
               
         
 

●滋賀のパワースポット「絶景スポット」

 

    

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朋友集い飲み溺れたり半夏水

2019年07月15日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                           
6.雍 也 ようや
ことば
-
-----------------------------------------------------------------  
力足らざる者は、中道にして廃す。いまなんじは画(かぎ)れり」(12)
「質、文に勝てば野。文、質に勝てば史。文質彬彬(びんびん)として、然る後
に君子」(18)
「人の生くるや直し。これなくして生くるは、幸いにして免るるなり」(19)
「これを知る者はこれを好む者にしかず。これを好む者はこれを楽しむ者にしか
ず」(20)
「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」(23)
 
------------------------------------------------------------------------- 
1 雍は一国の君主になってちっともおかしくない男だ。(孔子)

〈雍〉 弟子の再雍。字は仲弓
〈一国の君主になって〉 原文は南面。天子、諸侯は南むきに座し、従って臣下
は北面する。源氏や平家を北面の武士と称したのはこれによる。

子曰、雍也可使南面。

Confucius said, "Ran Yong is capable of governing a country."



【歳時記トレッキング】
 
朋友集い飲み溺れたり半夏水

急遽、暑気払いと集まり近況報告。量は減ったものの、やはり、黒大豆に生ビールは
旨い。話したかった半分も話せずにいたが、やはり老産業五銃士(+女将)らは元気
だった。                          



【ポストエネルギー革命序論18】

【予想を超えるリチウムイオン電池リサイクル率】 

従来のリチウム電池リサイクル統計は不正確だが、中国と韓国で世界的なリサイクル
の拠点であると、スウェーデンのエネルギー機関が調査報告書で明らかにしている。
それによると
リチウムイオンリサイクル率が過少評価される原因の1つとして古いデ
ータの使い回しによるものであり、検証されたことがなかった。
例えば、例えば、」
リチウムイオン電池の5%がリサイクルされている」と引用されているが、
もとは2
010年に発行された「地球の友達」のデータが引用され
、4月には「Nature Ener
gy
」の社説に引用された。しかし、ロンドンを拠点とする調査機関「Circular Ener
gy Storage
」は、世界のリチウムイオンリサイクル企業50社から情報を収集し、昨
年は97,000トン(中国7,000トン、韓国18,000トン)であった。同社の責任者は、昨
年は約10万トンの廃電池がリサイクルれているが
、これらの電池の多くは3年以上経
過しており、EUの回収率の計算基準であり
り、非埋設廃材、あるいは密輸出に該当
する量が、カウントされずにいた。高い効率な高価格
電池はリサイクルされていると
話す。



高い入札価格

報告書はまた、中国を含む実質的にあらゆる市場のリサイクル業の過剰生産能力を発
見する。30
社以上の企業は主に効率的な電池回収策がない。また、電気自動車や蓄
電設備の多くは統計に入らずに、
新しい用途先で再利用されている現状がある。リチ
ウムイオン電池をある程度の規模でリサイクルしている企業は世界中に50社以上あ
るす。
小規模な実験室レベルから本格的な工場まで、ほとんどが中国に、次いで韓国、
EU、日本、カナダとなり、
そして、中国や韓国は、企業がヨーロッパやアメリカの
ビジネスよりもはるかに高価格で買い取っており、バッテリーの(過剰)消費国であ
り、
今日の循環型経済に適合しており、電池が新しい電池材料としてリサイクルされ
る効率的プロセスを持つリサイクル業社が存在数あると「Circular Energy Storage」
で報告されているが、特に欧州で欠けるのがリサイクル電池。その理由は、入札者が
電池が高値で買い取るからで、
これを防ぐには輸出入禁止しかない。高すぎる予想以
上のリサイクル量の理由がわからないが、リ
サイクルよりリユース(再利用)できれ
ばよいことであると関係者は話す。



閉ループ ?

リチウムイオン電池の循環経済は、有害廃棄物の責任ある処分を確実にするだけでな
く、価格の急上昇にさらされる伝統的な原料サプライチェーン脆弱性依存を減らすこ
とになる。ベルギーのリサイクラー社、コバルト・ウミコア社。英国-スイスのグレ
ンコア
社の製錬プロセスを使うバッテリー回収業者にとって、コバルト、ニッケル、
銅の90%以上をバッテリーからの回収は簡単だが、リチウムは要注意。アジアでは、
湿式製錬法が向いている。銅は分離され、アルミニウムと共に効率的に処理できる。
他の材料の回収率は98%以上途効率的だが、回収率は純度と異なり、ニッケルおよ
びコバルトの場合、材料が硫酸塩として回収され純度、通常非常に高いが、リチウム
バッテリーグレードは、高純度が前提となり、Circular Energy Storage社によれば、
中国や韓国のリサイクル業者は、湿式冶金プロセスでリチウムを回収できるがが、そ
の前段階として熱分解を行える。特に、LFP([リン酸鉄リチウム)電池に増加に合わ
せ、コンサルタントは廃電池から材料を分離→カソード材料/前駆物質の再生には、
300以上の課題ある。75%以上の研究が湿式製錬プロセスを検討し、70%が中
国や韓国で行われ、その大部分はLCO (リチウムコバルト)とNCM([ニッケル、コバ
ルト、マンガン)電池の処理に焦点を当て、LFP、LMO(リチウムイオンマンガン酸化
物)とNCA(リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物)電池だけに焦点を合わ
せた結果、リチウムを含むすべての活物質を高効率リサイクルできると話す。

    



【続・引き寄せられる混沌Ⅶ:7040問題を考える】 

第五章 年金給付水準は、削減すべきか維持すべきか
5-1 高齢者向けの社会保障と経済
5-1-1 介護と医療  

ここまでは、少子高齢社会のうち、少子化に焦点をあてて考察してきました。そ
の結論は、「少子化対策をさらに充実させることは、たとえ短期的なコストや財
政負担が生じても、日本経済にとって大きなプラスとなる」というものでした。
しかし、少子高齢化していく日本社会には、経済成長にとって「高齢化」に伴う
社会保障費の増大が足伽になるのではないかという問題があります。この章では、こ
の問題に焦点をあてて考察しておきましょう。結論的にいえば、ここでも、「社
会保障費を削減することは決して日本経済にとってプラスにはならない」という
ことが明らかになります。

高齢化は、社会保障の中では、年金と医療、それに介護に大きく関係しています。
このうち、医療と介護のGDPとの関係は、保育サービスとほとんど同じものだ
と考えていいでしょう。それはつまり、医療サービスの拡充や介護サービスの拡
充は、決して経済にとっての「負担」ではなく、むしろ経済活動の拡大そのもの
だということです,とくに介護サービスに関しては、現在、大きな「超過需要」
が存在しています。つまり、老人ホームヘの入居を希望しながらも入れない、多
数の「待機高齢者」の存在や、家庭介護における「介護疲れ」から起こるさまざ
まな悲惨な事件などが深刻化しており、介護サービスは早急に大幅な供給の増加
が望まれています。他方で、救急患者のたらい回しや小児科や産婦人科の不足な
ど、医療サービスの供給不足も存在します。さらに、難病の患者を中心に、先端
医療を受けたいと願いながら、費用や該当医療機関の少なさなどのために治療を
受けることができないでいる人たちもいます。こうした点に関しては、医療サー
ビスの供給を増やすことが望ましいことは明らかです。しかもそれは、GDPの
拡大をもたらすのです、介護にしても医療にしても、「そのための公費負担がど
んどん増え続けており、何とか抑制しなければならない」という意見が圧倒的に
多く聞かれますが、完全に間違いです。たしかに、政府の財政負担は拡大します。
しかしそれは経済にとっての負担ではありません。したがって、原則的には、増
税によって賄えばいいだけです,すでに何度も述べてきたように、増税し、その
分を社会保障に支出するということは、国民経済としては何らマイナスに作用す
るものではないからです。むろん、増税には政治的な困難が大きいので、簡単に
できることではありませんが、いずれにしてもそれは「政治問題」であって、決
して「経済問題」ではないのです。

              ─── 中 略 ───

5-1-2 削減ターゲットになっている年金  

年金は、その経済的な意味が、これまで検討してきた保育、医療、介護と決定的
に異なっています。保育、医療、介護の場合には、それぞれが経済活動からなっ
ており、それらへの社会的支出はサービスの購入に対応し、GDPの構成要素を
なしています。それらへの支出が増えたからといって、国民経済への負担にはな
りません。それに対して、年金は基本的に「所得移転」で、年金のための社会的
支出は、それ自体としてGDPの構成要素ではありません。年金の給付を増やし
ても、それ自体としてGDPを拡大させることはないのです,そのため、「国民
経済にとってやはり負担ではないか」「経済成長にとってプラスではなくマイナ
スになるのではないか」という疑いが存在します。今後、高齢者の数は着実に増
加していきますから、今の制度を前提とする限り、増大する年金給付を賄うため
に、財源として税ないし保険料を増やさなければなりません。経済学者をけじめ
として多くの人は、「そうした年金のための悦ないし保険料の引き上げはとんで
もないことだ 税や保険料を引き上げるのではなく、年金給付の方を削減すべき
だ」と主張しています。  

政治家も含めて、成長戦略の文脈の中で「社会保障の効率化」という言葉がしば
しば出てきますが、ここでいう「効率化」とは、すなわち「社会保障費の削減な
いし抑制」のことにほかなりません。そして、そのターゲットの中心にあるのが
年金です。実際、年金に間しては、厚労省や政治家、あるいはいわゆる有識者だ
ちから「支給開始年齢の繰り上げ」案が絶えずささやかれています。支給開始年
齢を繰り上げれば、年金給付の総額の伸びを抑えることができます。しかし、む
ろんそうすると、高齢者にとっては退職てから年金を受給するまでの期間が空く
ことになり、その間、どうやって生活すればいいのかという深刻な問題が生じる
ことになります。支給水準の切り下げか、もしくは税支援かはたして本当に、年
金給付を減らすという以外に解決策はないのでしょうか,これ以外に解決策はな
いと考える人たちにとっての理由は、年金保険料収入がこれ以上増えることは見
込めず、かつ、税金を年金財政に役人することは許されない、ということです。

つまり、「財源が限られているのだから、その範囲で何とかなるように、支出を
削らなければいけない」ということです。でも、本当に税金を役人してはいけな
いのでしょうか,なぜ、そうなのか,本書は、そうは考えません。年金財政がこ
のままでは破綻するというのは、私の以前の著書でも明確に主張したことです(
『年金問題の正しい考え方 福祉国家は持続可能か』中公新書、2007年)。

この破綻を回避する道は、年金の支給水準を現在よりも下げることによってでは
なく、消費増税による税支援で財源を確保する方が望ましいということを述べま
した。残念ながら、この考え方はまったく人びとに届いていないようです。ここ
でもう一度、マクロ経済的な観点から、税支援拡大による年金水準の維持こそが、
日本の長期的な経済発展にとってプラスであることを訴えたいと思います(税支
援拡大というしくみについては、前掲書をご覧ください)。

5-2 年金水準の維持が経済を支える
5-2-1 2012年度の年金収支
まず、現在、年金の収支状況がどうなっているか確認しておきましょう。
2012年度の公的年金の収支をまとめると、図表5‐1のようになります。



収入の主な財源は、保険料収入、税金からなる公的負担、それに積立金からの取
り崩しないし運用収入の三つです。支出のほとんどすべては、年金の給付に充て
られています。年金給付費の総額は、49兆7941億円。それに対して、保険
料収入は30兆1519億円で、給付費の約6割にしかなりません。そのため、
すでにさまざまな形で税金が12兆5414億円投入されています。しかしそれで
も足りないので、年金積立金から取り崩しないし運用収入の形で5兆6608億
円が充てられているのです。年金給付を受けている人の大部分は65歳以上の高
齢者であり、逆に、保険料を支払っている人の大部分は、働いている現役世代で
そのほとんどは64歳以下です(ただし個人のほかに雇用主である企業や官公庁
も保険料を支払っています)。したがって、ここには現役世代から高齢者世代へ
の巨額の所得移転が存在していることになります。公的負担の財源は、基本的に
税収です。税収そのものはとくに現役世代からのものではありませんが、税収も
「経済活動からの賜物」にほかなりませんから、経済活動に従事している人びと
や企業からのある種の「移転所得」であるといえます。

このようにして、今日の日本では、ほとんど50兆円というGDPの約1割の巨
大なお金が、さまざまな経済活動から年金受給者に向けて「送金」されているこ
とは事実です。今後、高齢者数はますます増大し、給付すべき年金の総額はさら
に増大するでしょう。したがって、経済そのものにとってさらに「大きな負担」
になるのではないか、という懸念が大きくなるのは否めません。

5-1-2 年金が経済にとって「負担」と見なされる「理由」と二つの選択肢

一般的には、年金負担の拡大は次のように「経済にとってマイナスになる」と考
えられています。

(1)稼得世代の所得から悦ないし保険料の形で強制的に徴収し、退職世代に配
  分しているため、税・保険料の増加は椋得世代の可処分所得の「低下」を意
  味する。それは、椋得世代の労働インセンティブを損なう
(2)とくに、事業主負担の年金保険料の増加は、事業の収益性を低めることに
  なり、投資インセンティブを減退させる。  

こうした面があることはたしかに否定しにくいでしょう。ただ、年金のための税
と保険料の増加を問題にするだけでは、バランスを欠いた考察になります。問題
を整理して考えるために、次の二つの選択肢を比較検討することにしましょう。
すなわち、

(A)高齢者一人当たりの年金受給額を現状程度に維持するか、それとも
(B)減額するか。  

という二つの選択肢です。
A「高齢者一人当たりの年金受給額を維持する」という選択肢をとった場合には、
増加る年金給付総額を賄うために、何らかの収入増を図らなければなりません。
その収入増のしかたには、増税、保険料率の引き上げ、国の借金の増加などのさ
まざまなオプションがあります。もしかしたら「経済成長による税・保険料収入
の自然増」で賄えるというすブションもあるかもしれません。また、増税の中で
も、所得税の引き上げ、法人税の引き上げ、消費税の引き上げなどの異なる方法
が存在します,したがって、どのオプションをとるかによって、経済への影響は
異なることになります。

他方、B「年金受給額を減額する」という選択肢をとった場合にも、さまざまな
方法があることに注意してください。第一に、減額するのは「これから高齢者に
なる世代だけに限定する」か、あるいは「すでに高齢者になっている世代からも
等しく減額する」かというオプションが存在します。このどれをとるかによって
、世代間の不公平問題は大きく異なってきますし、経済への影響にも違いが生じ
ることになります。さらに、「どの程度減額ないし抑制するか」という問題があ
ります。すでに見たように、年金財政にはすでに巨額の国庫(一部は地方自治体
)からの支援が役人されており、結果として一般会計の赤字を増やし、国の借金
の増大を招いています。もしも、こうした構造的赤字部分の解消をも意図すると
すれば、必要な減額の程度は巨大なものになるでしょう。

              ─── 中 略 ───

5-2-4 年金支給水準を維持する場合  

このとき、第一の政策選択肢、すなわちA「高齢者一人当たりの年金受給額を維
持する」という政策を実施するために必要な「消費増税」は、どの程度になるで
しょうか,まず、高齢者人口の増元方を確認しましょう。図表5‐2は、国立社
会保障・人口問題研究所による2012年の最新版での推計に基づく、2010
年から2060年までの高齢者人口の将来推計値を示したものです。

 

これによると、高齢者人口は2010年から2020年にかけて、急速に増大す
ることが分かります。これは、むろん団塊の世代を中心とする人口の多い世代が
高齢期に入るからです。ただ、2020年以降、新しく高齢者となる世代の人口
がそれまでよりも減少するので、2035年くらいまでは増え方は緩やかです。
その後再び増大して2042年にピークに速しますが(団塊ジュニアの人たちが
高齢者の仲間入りをするため)、2043年以降は高齢者の人口はむしろ減少し
ていきます,このことから、当面の問題は、2020年を視野に入れた年金財政
の問題であることが分かります。さて、2012年度の年金給付総額は、49兆
7941億円でした。この年の65歳以上人口は3083万人です。そして65歳
以上人ロー人当たりの年金給付額を計算してみると、161・5万円になります,  
公的年金のすべてが65歳以上の人に給付されているわけではありませんが、ほと
んどが高齢者への給付です。今問題なのは、高齢音数の増加に伴う年金負担の増
大ですから、この65歳以上人ロー人当たりの年金受給額を維持するという政策
によって、どの程度年金給付総額が増加しなければならないかを推定することに
しましょう。図表5‐3は、2012年度の高齢者一人当たりの年金支給額16
1・5万円に基づき、その金額は変わらないで、高齢者数が増加することによっ
て、年金給付額がどのように増加していくかを計算したものです。増加のペース
を見るために、2013年度から2025年度までの13年間について計算して
みました。




12万4000人と推定されています。この人たちに、平均161・5万円の年
金を支給すると、その総額は、約58・34兆円になるわけです。これは201
2年度と比べると、8・55兆円の増大になります。この年金給付総額の増加を
「公的負担」の増加だけで賄う場合、基本的にはその分の「税収増」がなければ
なりません。税収のうち、所得税収と法人税収とは、GDPの仲びによって変わ
ります。今は、GDPは変わらないと仮定していますから、この二つの税収も変
化しないと考えられます。そうすると、税収増は「消費税」のアップで賄わなけ
ればなりません。今、消費税1パーセント当たりの税収を2・6兆円と仮定すれ
ば、2020年度に必要な追加的な消費税率は3・29パーセントということに
なります。その後の推移を見ても、2025年度までは、4パーセントの追加増
税があれば、年金給付総額の増加を賄うことができるだろうと推定できます。


              ─── 中 略 ───

5-2-3 一人当たり年金受給額を減額する場合  

次に、一人当たりの年金受給額を減らして、公費負担の増大や消費増税を行わな
いという選択肢について考えましょう,すでに見たように、放っておくと202
0年にかけて8・55兆円の財源不足が生じます。この分を、一人当たりの年金
受給額の減額でカバーするとします。つまり、もしも一人当たりの支給額が16
1・5万円であれば、年金給付総額は58・34兆円になるので、これを、8・
55兆円減らして、2012年度と同じ49・79兆円に留めることにします。
そうすると、2020年度における高齢者一人当たりの平均年金支給額は、13
7・8万円でなければなりません。2012年度の161・5万円と比べると、
割合にして、14・7 パーセントの減少になります。

    盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
             第五章 年金給付水準は、削減すべきか維持すべきか

                              この項つづく

 ● 今夜の一品

超軽量でコンパクト!アウトドア環境で活躍するクッカー


 

 


登山ができない分、デジタルカタログを無意識に検索していることに気づく。脳疲労
もここ一週間のピークを脱しつつあり無理をしないことに。

  ● 今夜の一曲

アンドレア・ボチェッリ 君だけを愛す

全英アルバム・チャートでクラシック・アルバムとして約21年ぶりの1位、米国
ではクラシック・アルバムとしては約10年ぶりの1位を記録し、自身初の全米・
全英アルバム・チャートで1位と全世界で大ヒットしたアンドレア・ボチェッリの
オリジナル・アルバム『Sì~君に捧げる愛の歌』(原題 Si)。 このアルバムから、
エド・シーランをフィーチャリングした「君だけを愛す」(原題:Amo Soltanto T
e)のデジタル・シングルが2月22日にリリース。「君だけを愛す」はエド・シーラ
ンが彼の兄マシュー・シーランが作曲した楽曲。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・引き寄せられる混沌Ⅵ

2019年07月13日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                           
5.公冶長  こうやちょう
ことば
-
-----------------------------------------------------------------  
全28章のほとんどすべてが人物批評である。  
人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)
「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
------------------------------------------------------------------------- 
28 誠実さという点だけでいえば、わたしくらいの人間はどこの村にでもいる。
だが、勉強好きという点では、わたしは誰にもまけないつもりだ。(孔子)

子曰、十室十邑、必有忠信如丘者焉、不如丘之好學也。

Confucius said, "I think there is a person as faithful as me, even in
a small village of ten households. But there must not be a person who
likes learning as much as me."

 

人為的気候変動に地殻変動活発化が加わり、世界は、日本は「防災常態宣言」を発令
しなければならない時代に突入していますね、どうもこれは。






【大気中の二酸化炭素由来人工食物:大気中の二酸化炭素由来Solar Foods社

フィンランドの革新的な新興企業が、大気中の二酸化炭素から作られた新しい代
替タンパク質製品を試験的に開発。
この食肉代替品は、農業産業と気候変動の両
方の環境問題に対処する可能性を秘めている。Solar Foods社によると"Solein”
は他のすべての動物性および植物性タンパク質よりも百倍気候に優しい───タ
ンパク質を含む食品を生産するには多くの水が必要。牛肉1キロを生産するには
1万5,500リットルの水が必要。効率が良いとされる大豆であっても2,500リット
ル必要となるが、Solein(イースト菌や乳酸菌に近い)1キロの製造に必要な水は」
わずか10リットル。大豆の250分の1で済み、環境負荷を減らせる───と
言う。実際、同社はまた、カーボンフットプリントに関して、大豆生産よりも、
100倍効率的で、水とカリウムやナトリウムなどの栄養素と混合→その溶液と
炭素を微生物に供給→微生物は栄養素を消費→小麦粉似の───味は小麦粉に似
たものとなり、がタンパク質50%、脂質5-10%が脂質、炭化水素化物20-
25%───食用物質を生産。実験室で作られた肉は拡大産業だが Solar Foods
は他の会社のようにグルコース代わりに、大気から二酸化炭素を捕獲し微生物に
供給。生産するSoleinは農業から完全に解放され───耕地や灌漑を必要とせず
気候条件によって制限されない───と話す。従来、タンパク質生産が不可能だ
った地域でも、世界中どこでも生産することができる。代用食肉産業が予想通り
に従来の食肉産業を追い越せば、インポッシブルミートビヨンドミートのよう
な大手企業がエンドウ豆以外の革新的なタンパク質源を試す必要があると話す。



Solar Foodsは、2021年後半の「Solein」の販売開始を目指し、2023年の終わりま
でには年間20億食の生産を目標としている。しかし、これらは目新しいニュー
スではなく「オールバイオマスシステム」→「オールソーラーシステム」でブロ
グ展開してきたもので、特に、ギリシャ語のchloros(クロロス、緑の意)と、ラ
テン語のella(エラ、小さいものの意)から合成されたクロレラ(chlorella)、
あるいは、ユーグレナ藻(Euglenophyceae)の培養商用化───ミドリムシが59
種類の栄養素を持つことを生かし、食品販売や化粧品販売を展開しながら、ミド
リムシ由来のバイオジェット燃料、バイオディーゼル燃料の事業化を行っている
研究開発等を行っている株式会社ユーグレナなどがある───の研究開発等を行
なわれている。環境配慮及び人口増-食糧不足の解決策の代用食の人工食品・培
養食品だが、はたして環境遺伝子の紊乱によるリスクの計測その影響に注意を払
っておくは喫緊であり、故スティーヴン・ホーキングの遺言に応えることでもあ
る。



【今夜の一品:岩谷産業の2つの事例】



カセットガス ジュニアコンパクトバーナー



サイレントミルサー

上段のガスカセットは登山用でみつけたもの。コンパクトというのがいい。しか
し、防災用にも応用展開できるので、防災用薪ストーブとリンクさせ、防災用サ
ーマルタイル発電システム(オプション;蓄電池)をおもいつく。

下段のミルサーはマーク2商品だけれど、日本のものづくりの特徴がいかされ、
パウダーミーリングを兼ね備え、コンパクト・静粛・簡便でかつ電子レンジ料理
のレパートリーを広げ、かつコスパの良さが特徴。

   



【続・引き寄せられる混沌Ⅵ:7040問題を考える】

第四章 少子化対策を成長の基盤にする

4-1-4 保育の市場化と社会的支援  

保育が市場化されるということについては、一部に「本来、母親が自分でなすべ
き仕事を他人に委れている」と捉えて、批判的に見る人もいます。そこには何と
なく「母親としての役割をサボっている」というような受け止め方があります。
これまでは、「育児は母親だけの仕事だ」と考えるのが主流でした。しかし今後
は、「育児は、広い意味では社会全体の仕事だ」という考え方に変えていく必要
があります。保育・育児という仕事を、母親だけでなく、社会全体として引き受
けるという考え方、より実際的には、基本的には母親と父親とが引き受けるのだ
けれども、それに対して社会がさまざまな支援の手を差し仲べるということは、
道徳的に優れた社会のあり方でしょう。

この点で、保育の市場化と外食産業の市場化とには、一つ大きな道いがあります
,外食産業については、純粋にAびとの個人的な「好み」と「家計の余裕」とが
その発展を牽引していると考えていいでしょう。それがどのように発展するかは、
あくまで人びとの「選好」の問題です。それに対して、保育の場合には、その市
場化は同時に「社会的支援の拡大」でもあるのです。というのも保育の場合、そ
の費用の負担には、保育サービスを受ける個々の親からの支出だけではなく、政
府や地方自治体からのさまざまな財政支援が加わるからです。保育が市場化され
るというのは、保育サービスが家庭の外部から供給されるということを意味して
いますが、同時に、その供給が公的資金の援助を受けた「社会からの支援」でも
あることを意味しているのです。  

もちろん、ここには、「保育サービスの供給に関しては、公的な支援を行うこと
が望ましい」という人びとの規範的な判断があります。これは外食産業の発展に
はない側面です。つまり、保育が市場化されるということは、保育という営みへ
の社会的な支援を拡大するということです。実際、今日、この点に関する日本国
民の意見は、明らかに「保育に対する社会的支援の拡大」を圧倒的に支持してい
ます,そのことは、内開府が 2014年8月に実施した世論調査「人口、経済
社会等の日本の将来像に 開する世論調査」の結果に見て取ることができます。
その調査には、「子どもを生み、育てることによる負担は社会全体で支えるべき
』という考え方がありますが、あなたは、その考え方に賛成ですか、それとも反
対ですか,この中から1つだけお答えください」という質問文がありました。そ
れに対する回答の分布が図表4‐2です。なんと92・3パーセントもの人が「
賛成」もしくは「どちらかといえば賛成」と答えているのです。この傾向は、年
齢層で多少の違いはありますが、基本的には変わりません。



したがって、保育が市場化されるということは、経済取引というしくみを媒介と
して、子育てへの社会からの支援が発展していくことを意味しているのです。同
じことは、当然、高齢者の介護についても当てはまることでしょう。なお、この
ような「家事労働の市場化」は、自給自足経済から開放経済へと転換するのと似
た意味もあります。そして、経済学の古典的定理である比較優位説が説くように、
自給自足経済よりも開放経済の方がマクロ的に望ましいといえます。なぜなら、
経済主体がそれぞれ比較優位を持つ仕事に携わることで、そうでない場合よりも
全体経済の生産高が多くなるからです(この点では、経済学は正しい)。さらに、
一般的にそれまで家事労働で賄われていたものが市場化されるということは、明
らかに「生活革新」を意味することになります。生活スタイルの変化があって初
めてそのような市場化が進展するのだといえるでしょう。それは、外食産業の発
展、私塾や公教育の発展、あるいは要介護高齢者の家庭外介護の進展などにも見
られることだといえます。そうした生活革新が、マクロ経済の発展と連動してい
るのです。

4-2 共同子育て社会という生活革新型成長
4-2-1 子育て支援によるGDPの拡大  

私は社会保障の中でも、子育てに焦点を置いた徹底的な社会的支援のしくみが、
新しい生活文化を構築し、経済の成長にも大きく寄与すると考えています。そこ
で、本当に、保育サービスの新たな購入がGDPの拡大になるのかを検討してみ
ましょう。保育サービスを拡充するといっても、どんな場合でもGDPの拡大が
起こるとは限りません。

たとえば、保育サービスを供給するための費用がすべて購入者によって負担され
サービスを購入する家庭はそれを支払うためにほかの何かへの支出をあきらめ、
かつ、母親の就労状況に変化がないという場合には、負担が家族にかかるだけな
ので、GDPの拡大には結びつきませんたとえば、それまで月に1万円の月謝で
ピアノ・レッスンを受けていた専業主婦の人が、子どもができたので、専業主婦
は続けるけれど、ビアノ・レッスンをやめて保育サービスを受けることにしたと
します。保育サービスの費用も月に1万円で、これには公的支援はないとしまし
ょう。この場合には、新たな保育サービスの供給によって生み出される付加価値
の増加がありますが、同じ額だけ、ピアノ・レッスンサービス業の付加価値が減
少しています。したがって、全体の付加価値は変わりません。差し引き、GDP
の増減はゼロになります。このあとは、マクロ的に考えてみましょう。現在、子
育て中の専業主婦の人の正確な数は残念ながら統計データかおりませんが、やや
ラフな計算をしてみると、だいたい200万~250万人くらいかと推定されま
す。ここで、子ども一人が保育所で保育サービスを受ける際に、実際にかかる費
用が年間で平均100万円だとしましょう(費用は子どもの年齢で大きく異なり
ますが、ここでは平均で考えています)。個人だけの負担では、年間100万円
というのは大変な額ですから、公的支援がなければ、保育所に預けるという選択
はあきらめざるをえません(すでに保育所に預けている人には、とくに認可保育
所を中心に、むろん公的支援が支出されています。

しかし、定員が限られているために、預けたくても預けられない人が多数存在す
るわけです。なお、いわゆる「待機児童の数」には、このようにあらかじめあき
らめている潜在的な需要の数は含まれていません)。さて、このとき、公的支援
として∇人当たり60万円を支出するとし、かつ、定員の問題は何らかの形でクリ
アーするとします(保育所を増やすと建設コストなども生じますが、その費用も、
先ほどの二人年間100万円のコスト」に含まれているとします)。そうすると、
個々の家計の負担は年に40万円になります。「40万円(月に3・3万円)な
ら、保育所に預けたい」と考える専業主婦の女性は少なくないでしょう。全国の
200万~250万人の子育て中の専業主婦のうち、そのように考える人が10
0万人いるとします。さらに、この半分の50万人が、「もし子どもを保育所に
預けることができたなら、自分も働きに出たい」と考えているとします。こうし
た政策がとられるとき、GDPにはどのような変化が生じるでしょうか。まず、
公的支援の財源として、新たに6000億円が必要になります。これを消費増税
で賄うとしましょう。消費増税は国民の実質可処分所得を減らします。その額は、
増税分と同じ6000億円になるでしょう。これは、GDPにとってはマイナス
の要因です。  

他方、保育サービスを新たに受ける家計からは、計4000億円のサービス消費
支出が生まれます。この新たな消費支出のうち、一部はそれまで支出していたも
の(たとえばピアノ・レッスン)を取りやめることで賄われるでしょうが、残り
は、それまで貯蓄に回していた部分から賄われるでしょう。もし、半分が消費項
目の振替だとすれば、ここで純粋に2000億円の消費支出の増加が生まれます。
これはGDPにとってはプラスの要因です。さらに、ここには、1兆円分の保育
サービスの供給(=生産)が生まれていますから、その分、GDPの拡大が生ま
れます。差し引きしますと、国民・消費者全体として、保育サービス以外の消費
の減少が8000億円ある一方で、保育サービスの新たな供給が1兆円になりま
すから、結果としてGDPは2000億円拡大することになります。これには、
まだ、専業主婦だった人のうち、50万人が新たに就業するようになることの効
果を含めていません。ここでかりに、その人たちが平均的に年間240万円の報
酬を得られる職につくとします。そうすると、合計で1兆2000億円の雇用者
報酬が新たに生まれます。つまり、GDPがさらに1兆2000億円拡大すると
いうことです。以上をまとめると、図表4‐3のようになります。 

むろん、現実が正確にこのようになるとは限りませんが、基本的には、 ここに
示したように、保育サービスが新しく供給される(=購入される)ことは、ほぼ
確実にGDPを拡大させることになると考えていいでしょう。



4-2-2 育児休業制度のコストと成果  

保育サービスを充実することは、基本的にGDPを拡大させるといえますが、少
子化対策のすべてが必ずしも直接にGDPの拡大をもたらすとはいえません。た
とえば、育児休業制度がそうです。現在の日本では、出産後、最低1年間の育児
休業をとる権利が認められており、その間、それ以前の給与水準の8割(うち、
公的負担は5割まで)にあたる所得が保証されるしくみになっています,
ただし、この制度を利用できるのは、雇用保険に加入している場合で、多くの非
正規の労働者は利用することができません。実際、2012年の実績では、育児
給付金制度を利用した人は、約24万人に留まっています。この年の出生数は、
103万人でしたから、わずか4分の1の人だけしか利用できていないことが分
かります。なお、この24万人に、公費から月額で平均H万円の育児給付金が支
給されています(ほかに、企業からの支給があるケースも多い)。年間総額では
3168億円になります。  

児休業制度や給付金の拡充は、じつは短期的には、経済にとってマイナスにな
ることが否定できません。この制度は、女性(男性の場合もあっが)が就労から
一時的に撤退することを促進するため、その分の経済活動が減少することになり
ます。ただし、休業した労働者に代わって別の人が雇用された場合には、全体の
就労は減少しません。それでも、非正規の雇用で埋めることが多いでしょうから、
やはりGDPとしては多少減少する傾向を特ちます。しかし、その一方で、長期
的に考えると大きなプラスになるという予測が立ちます。ここから先の推論はか
なりおおざっぱなもので、必ずそうなるとは限りませんが、コ咬かなり可能性が
高いストーリーだと考えていいと思います。2012年は、育児給付全の支給総
額(公的負担分)は約3200億円で、24万人が給付を受けています。そして、
この年の合計特殊出生率は1・41でした。ここで、この24万の人たちが出産
しないで就労を続けていたと仮定してみましょう。そのとき、GDPがどれだけ
多かったかを推定してみます。その額は、給付金の2倍だとして約6400億円
と見積もられます。他方、出生が24万件減少しますから、合計特殊出生率は約
O・33減少して1・08となっていたでしょう。つまり、GDPは6400億
円多かったかもしれませんが、その代わりに合計特殊出生率は大幅に低下するこ
とになります。これは当然、日本の企業の「日本市場の将来性」への懸念をさら
に増加させたことでしょう。

              ─── 中略 ───
 
4-2-7 長期的成長戦略としての意味

これまで見てきたのは、保育サービス、育児休業制度、児童手当の三つの政策
した。この三つの政策だけでも、中長期的に日本の経済成長にとって非常に大き
なプラスの効果を持つと予想されます。そのことをもう少し確認してみましょう。

第一に強調すべきことは、出生率が上がり。生まれてくる子どもの数が「従来の
予測よりも」多くなることによる日本の長期的経済への効果です。現時点での予
測では、2048年には総人口が1億人を割り、2062年には生産年齢人口が
4000万人を割って、現在の56パーセント程度に落ち込むと予想されていま
す。もしも、何らかの形で出生数が予測よりも多くなったとしたら、人口構成に
どんな違いが生じうるかを簡単な計算で確かめてみましょう。図表4‐4は、上
段に2014年の将来人口推計の数値(国立社会保障・人口問題研究所発表)を
示し、中段には今後、年間の出生数が24万人多いケースを、下段には年間の出
生数が36万人多いケースの人口予測を示しています。ここでの推計は単純で、
出生数の増えた子どもたちは、O歳から64歳までの間、誰も志望しないと仮定
しています。本当は、年齢とともに亡くなる人が出てきますが、大まかな計算で
は無視してもいいでしょう。


この仮定に従えば、たとえば20年後の2035年におけるO歳~19歳までの人口
は、当初の予測値よりも24万人×20あるいは36万人×20だけ増えることになりま
す。2055年でも、この年齢層の増元方は変わりませんが、20~64歳層では、
あらたに20年間分の人口増が生じます。  

このようにして推定した結果を見ると、かなり大きな違いが生じることが分かり
ます。まず、総人口の縮小がかなり緩和されます。現在の推計値と比べて、年間
24万人ケースでは、2055年で約500万人、2075年では1500万人
近い差が生じます。もっとも、それでも政府が掲げている「50年後にも1億人」
(2014年5月13日報道)という目標は非常に厳しいことも分かります。表に
は示していませんが、年間24万人ケースでは、50年後の2064年の総人口
は9180万人にしかなりません。年間36万人ケースでぎりぎり1億8万人と
いう推計になります。しかし、総人口よりも重要な改善ポイントがあります。そ
れは、生産年齢人口の数です。出生数が増えると、その効果はまず低年齢層の人
口に現れます。生産年齢人口が増えてくるのは、出生数の増加が始まってから2
0年経ったあとになりますが、その効果は徐々に現れてきます。年間24万人ケ
ースで、現在推計値と比べて、2055年に約500万人、2075年には10
00万人近い増加が見込まれます。  

その結果として、65歳以上高齢者に対する生産年齢人口の比が、現在推計値によ
る1・20(2055年)、1・14(2075年)という減少パターンから脱
して、1・34、1・47という逆転増加パターンヘと変わるのです。もちろん、
36万人ケースではもっと大きな効果が生まれます。この高齢者人口に対する生
産年齢人口の比の改善は、年金を中心とする高齢者向けの社会保障制度の維持と
いう問題にとって、きわめて重要な意味を持っています。比が1・14へと減少
するという予測のもとでは、年金や医療・介護の制度を維持し発展させるという
見通しを立てることが非常に困難になりますが、その比が大幅に改善されるなら
ば、それは不可能なことではなくなります。


    盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
                  第四章 少子化対策を成長の基盤にする

                             この項つづく 

 ● 今夜の一曲                                                      
 

MAN WITH A MISSION 『Remember Me』

MAN WITH A MISSION(マン・ウィズ・ア・ミッション)は、日本の5人組ロックバ
ンドである。所属レーベルはソニー・ミュージックレコーズ。所属芸能事務所は
eggman Co.,Ltd.。頭はオオカミ、身体は人間という外見の究極の生命体]5人で
構成されるという設定である。バンド名は英語で「使命を持った男」という意味
で、MWAMやマンウィズなどの略称で呼ばれる。また、その外見からオオカミバン
ドと俗称される事もある。 「Remember Me」(リメンバー・ミー)は、MAN WITH A
MISSIONの楽曲で10枚目のシングル。2019年6月5日にSony Music Records(Sony
Music Labels)より発売。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

デジタル課税と国際連帯税

2019年07月12日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                             

5.公冶長  こうやちょう
ことば
-
-----------------------------------------------------------------
 
全28章のほとんどすべてが人物批評である。  
人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)
「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
------------------------------------------------------------------------- 
27 自分の遜ちに気づいたら自分で自分を責める。こんな人間に一度も出くわ
したことがないとは、 なんと嘆かわしいことではないか。(孔子)

子曰、已矣乎、吾未見能見其過、而内自訟者也。

Confucius said,"How incurable! I have never seen a person who admits his
fault and regrets it."



【ポストエネルギー革命序論17】  

【砂漠験で次世代水製造装置の実証試験】

金属有機構造体(MOF:Metal Organic  Frameworks)とは、金属と有機リガンドが
相互作用をもち、活性炭やゼオライトをはるかに超える高表面積を持つ多孔質の配
位ネットワーク構造をもつ材料。ガス吸着や分離技術、センサーや触媒などへの応
用が期待される、3次元ミクロポーラス材料。最もよく研究されている2つのMOF
───「MOF-5」と「HKUST-1」は1999年に初めて報告され、MOF-5は、有機リンカ
ーとしてテレフタル酸ジアニオンを持つZn(II)クラスターで構成(下図2左)。
表面への多層ガス吸着が可能で、MOF-5のBET表面積は約3,500 m2/g、また、後者の
HKUST-1(別名:Basolite® C 300、688614)は、トリメシン酸トリアニオンでリン
クしたpaddlewheel型Cu(II)ダイマーで構成、その表面積は約1,900 m2/gです(
下図1右)。

既知材料のなかで最も高表面積な物質の1つである「MOF-177(Basolite® Z377、
794325」は、MOF-5と同じ金属クラスターと、非直線的な構造の、H3BTBと呼ばれ
るトリトピック(tritopic)カルボン酸の1,3,5-tris(4’-carboxyphenyl)benzene
(686859)から構成(下図2)。MOF-177は、MOF-5と同じ条件下(N,N-ジエチルホ
ルムアミド、100℃)で合成され、そのBET表面積は4,750 m2/gに達す。




MOF 1キログラムで太陽エネルギーだけで、乾燥空気から1日当たり、200mlの
水を製造できる。昨年10月、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームがア
リゾナの砂漠で、試作した"ウォーターハーベスタ"で、太陽光電池の以外の電力を
使わずに大気中から水の製造実証の成功を公表。今回、2017年同チームが予測し、
大型の次世代型収穫機の実証。水分収穫機は毎日夜サイクル、低湿度環境下で低コ
ストで製造でき、世界の乾燥地域で使用できる。スコッツデールでの試験では、相
対湿度が夜間で最高40パーセントから昼間の最低8パーセントの範囲で変動下で高価
な金属ジルコニウムから作られた現在のMOF(MOF-801)
で、最終的に1キログラム
(2.2ポンド)のMOF、または85グラムあたり約200ミリリットル(約198グラム)
の水が収穫できる。アルミニウムをベースにしたMOF-303のMOFでは1500倍安く、
実験室試験で、2倍の水を凝縮回収可能となる。これにより、新世代の収穫機は1
キログラムのMOFから、1日当たり400ml(3カップ)以上の水を生産することができ
る。




このシステムは、既に商業用集水装置開発しスタートアップしている。アルミニウ
ムMOFの
ため、サウジアラビアのリヤドにあるKing Abdul Aziz科学技術都市のナノ
マテリアルとクリーンエネルギ
センタで取り組みが始まっている。砂糖型立方体サ
イズのMOFは6つのフットボール競技場のサイズの内部製造か可能となる。この表
面積は気体または液体を容易に吸収するが、同様に、加熱されるとことで素早く放
出する。用途とし、水素燃料自動車のタンクの吸着材、煙突から二酸化炭素を吸収
除去材、メタン貯蔵材として、さまざまな種類のMOFがすでにテストされている。数
年前、水を容易に吸収および放出するMOF-801を作製、昨年彼は周囲の空気から一
晩で水を捉え太陽熱で回収できるかを実験確認。2グラム未満のMOFを使用しその吸
着脱水装置は、原理実証する。同装置でが今年初め、砂漠で再テストし実証に成功
している。空気中の水分吸着脱水装置は箱の中中に置き。内側の箱は湿気吸収に外
気に開放した2平方フィートの箱にMOF穀物を肯定し、透明な上面と側面を持つ2
フィートのプラスチック製立方体に挿入し、表面は空気を流入させ、MOFに接触さ
せ夜間中に開放、箱(筐体)がMOFから水を放出するよう温室のように加熱できる
よう日中交換し、放出された水は外箱の内側に凝縮し底部に凝縮水を収集する。大
規模な実地試験は、特定のMOFで、アリゾナ、地中海、その他の場所のさまざまな条
件に合わせてハーベスタを構成設計する。ここで重要なのは、それが低湿度での動
作であり、世界の乾燥地域で実証する必要がある。これらの条件では、同装置は露
点以下であっても水を集める。次の野外テストで、アルミベースMOFを夏の終わり
にデスバレー実施される。昼間は気温が華氏110度に達し、夜は70年代にとなる。
夜間の湿度は25%になる。




数年前、水を容易に吸収および放出するMOF-801を作成し、昨年、周囲空気から水
を吸収し太陽熱で除湿・水回収できるか実証試験したものの失敗。同収穫装置で、
今年初めに砂漠で同様に試験を行い成功する。今回の成果報告によると湿度、温度
日射強度を変え最新装置で実証試験を行う。製造装置は、内側の箱で湿気を吸収す
るため、2平方フィート(約0.2平方メートル)のMOF材格納層を肯定しておく。
これは透明な上面と側面を持つ60センチメートルのプラスチック製の立方体に入
れ。表面は空気を流入させMOFと接触させるため開放しておき加熱・脱水回収する
ため、日中交換する。回収された水は外箱の内側に凝縮して底に落ち、手動で吸引
し回収。大規模な実証試験は、MOF材の種類や設置場所のさまざまな条件に合わせ
ハーベスタを構成できるように設計する。重要なのことは低湿度で操作しているこ
とである。
今後、アルミベースMOFをテストし、夏の終わりにデスバレー──昼間
で43℃度~夜間21℃の範囲、夜間湿度は25パーセント未満───で行う予定。



【サーマルタイル事業篇:距離場放射熱伝達装置】
ユタ大学の研究グループは、廃熱を使用可能エネルギーに変換するチップを開発。
より多くの熱放射を電気に変換する「デバイス」としても知られるシリコンチッ
プを作製し、従来法 より多くの電気を生み出す方法を考案。
これにより、ノートパ
ソコンや携帯電話のようにバッテリー寿命がずっと長くなり、太陽電池パネルのよ
うに放射熱をエネルギーに変換する効率が大幅に向上す
る可能性がある。



毎年米国で消費されるエネルギーの3分の2もが熱損失される。
たとえば、自動
車のエンジン、ラップトップコンピュータ、携帯電話、さらには冷蔵庫など。
7月
1日、ユタ大学の研究グループは、熱放射を電気に変換する「デバイス」のシリコ
ンチップを作製し、想定以上に廃熱から電気を生み出す方法を発見たことを公表。
それによると、熱放射(熱)からどれだけのエネルギーを生み出すことができるか、
理論的な「黒体限界」があると考えられていたが、2つのシリコン表面の接近する
デバイスを作製することで、黒体限界をはるかに超えてより多くのエネルギー変換
できることを実証、2枚のシリコンウェハを5mm×5mmのチップ(消しゴムの頭ほ
どの大きさ)にして、それらの間のナノスコピックギャプをたった100 ナノメート
ルの厚さにした。チップが真空中にある間、それらは一方の表面を加熱しそして他
方の表面を冷却し、電気を発生させる熱流束を作り出した。このようにエネルギー
を生成するという概念は特殊なものではないが、同グループは、互いに触れずに2
つのシリコン表面を微視的なスケールで均一に密着させる方法を考案。互いに近け
れば近いほど、より多くの電気を生み出すことができることを実証する。



※国体限界:波長の光を吸収・放出できる理想的な物体からの放射の程度が導かれ
る.通常の物体は黒体のように全ての波長の光を放出できす、放射の量は黒体を下
回る.つまり,通常の熱放射においては黒体の放射率が最も高い限界が定められて
いる。この限界を超え,より高効率に熱を逃がすことは出来ないかの反質に、実は,
黒体放射の定式化にあって,計算を簡単にするためいくつかの仮定が用いられてい
る.❶その一つは「遠隔場のみを取り扱う。光源から出る光には,遠くまで伝播し
ていく遠隔場(いわゆる通常の光)とは別に,物体表面(波長程度のサイズ)にま
とわりつくような近接場光というものが同時に存在する.非常に近接した距離に熱
源(放射源)と受光体を置くと,この近接場光も介することで通常の放射以上に熱
を伝達でき,黒体放射を大きく超える熱伝導を成し遂げられることが近年実証され
ている.❷もう一つの別の仮定は,放射源が波長に比べ十分大きいマクロな物体で
ある,というもの.つまり,ナノサイズの物体の場合はプランクの黒体放射の式
成り立たず,より大きな放射が実現する可能性は排除できない.しかしながらこれ
までの研究では,球状のナノ粒子や円柱状のナノワイヤーでは,黒体を超えるよう
な放射は実現出来ないことが報告されていが、厚みが波長より十分小さいナノシー
トを用いると,黒体放射の式より2桁も大きな熱伝達が可能であったという実験結
果および計算上の検証が提出されている(上図参照)。.


この報告は、❷のケースにあてはまり、ナノスケールでの原理実証を行った。将来
的には、このような技術がラップトップやスマートフォンのような携帯機器を冷却
するだけでなく、その熱をより多くのバッテリー寿命、おそらくは最大50%も多
く消費利用できる。たとえば、6時間の充電があるラップトップは9時間にジャン
プする可能性があるというわけだ。チップは太陽熱からの電気量を増やすことで、
または自動車から電気システムに電力供給支援のため、エンジンからの廃熱熱でソ
ーラーパネル効率が改善できる。また、交換可能な電池を必要としないペースメー
カーのような埋め込み型医療機器に適用設計できる。



もう1つの利点は、このような技術が、コンピュータプロセッサを低温に維持し、
損耗を減らすことでコンピュータプロセッサの寿命が延ばせ、それ以外の場合では
ファンがプロセッサの冷却エネルギーが節約できる。それは環境改善に役立つかも
しれない。
電気としてシステムに熱を回収し、今、ただ大気中に放出だけであり、
部屋を暖めるには、ACを使い部屋を冷やす必要がある。これはより多くのエネルギ
ーを浪費する。

面白いですね。デジタル革命+ネオコンバーテック→エネルギー革命。


【ロシアの最新宇宙衛星用有機太陽電池技術】

ロシアのSkoltech科学技術研究所の科学者たちは、記録的に高い放射線安定性を持
つ太陽電池を実証。
有機高分子化合物をベースにしたセルは、地球の低軌道で衛星
に電力を供給するという要件を満たすための有力な候補になる可能性があると語る。
モスクワのSkolkovo科学技術研究所(Skoltech)が率いるチームは 6,000グレイ単
位(Gy)のガンマ線に耐えることができる有機太陽電池を実証した、と同研究所は
記録的に高い成果を上げた。性能が向上することで、セルが地球に近い軌道で衛星
に電力を供給できることが期待される。研究者らは、この装置が10年をはるかに超
える運用寿命を提供できると理論付けた。セルは、ACS(Applied Materials &
Interfaces)に掲載されたフラーレン誘導体およびカルバゾール含有共役ポリマー
に基づく有機太陽電池の印象的放射安定性に記載されている。これらの装置は、カ
ルバゾール系ポリマーとフラーレン誘導体との混合物に基づく。試験は、これらの
材料の複合フィルムが、最大吸収線量6,500 Gyにさらされた後でも、初期の変換効
率の80%以上を維持する。NASAは、地球中心軌道上の衛星は年間平均160 Gyの放射
線量にさらされていると推定しており、Skoltechチームによってテストされた有機
化合物は10年以上にわたってそのような環境で効果的に動作する強力な候補となる。


この論文は、衛星電力用途に有機PVを使用することのさらなる利点(高い電力対
重量比、および柔軟性を含む)に注目。柔軟なプラスチック太陽電池で作られた宇
宙用ソーラーセイルを展開することは、衛星の光電変換器のパワーを高めるための
魅力的な機会である。
同グループが最近、鉛ベースのペロブスカイトのグループを
同様の用途で評価し、5,000Gyの 放射線にさらされるとセルが急速に劣化すること
がわかった
。一方、中国の研究グループは、地球の表面から35km離れたところに酸
素が含まれていないことをペロブスカイトの利点に役立つことを発見する。
宇宙で
エネルギー源を必要とする衛星は、主にⅢ-V族太陽電池に頼ってきた。有機PVやペ
ロブスカイトなどの代替概念は、潜在的にはるかに安価な代替手段を提供できる。

   

 



【続・引き寄せられる混沌Ⅴ:7040問題を考える】

第四章 少子化対策を成長の基盤にする

4-1 少子化対策という成長の基盤  

少子高齢社会は、経済成長にとっては大きな困難をもたらします。そもそも経済成
長の見込みなどない社会だと言う人も少なくありません。これからの日本は、経済
成長をめざすのではなく、人口減少や縮小経済の中でどのように生きるかを考える
しかないとまで言う人もいます。少子高齢社会は、生産年齢人口が縮小する社会で
す。つまhへ生産に携わる労働力人口が減少します。また、人口全体の縮小も起こ
り、消費の需要が縮小します。さらに社会保障費の拡大を招き、いわゆる国民負担
を増大させます。そのため、たしかに少子高齢社会は経済成長にとってはネガティ
ブな要因でしかないように思われます。では、少子高齢化といういわば逆境を、む
しろ成長への基盤へと転換する方法はないのでしょうか。

4-1-1 縮小する日本の人口  

図表4‐1は、2012年に、国立例会保障・人口問題研究所が発表した今後、1
00年間の人目指訓を表していますが、減少のスピ ードと規模は想像を超えろほ
どです。これによると、今から33年後の2048年に人口は1億人を割り、52年後
の2067年には8000万人を下回っていき、2110年にはほぼ4300万人
と、現在の3分の1に縮小してしまいます。政府の一部では、将来人口の数値目標
として、50年後にも1億人程度を維持するということが検討されています(20
14年5月13日報道)。当時の50年後というと2064年ですが、その時点での人
口の推計値は8245万人でしかありません。1億人を1755万人も下回ってい
ます。「50年後にも1他人」を維持するのは、正直、非常に難しい目標です、

人口減少が成長にとってマイナスなのは、疑う余地かおりません。人口減少は、生
産の面でも消費の面でも、経済規模の縮小を招く大きな要因です。したがって、少
子高齢社会における成長戦略という課題にとって、まず第一に考えなければならな
いことは、少子化という趨勢を食い止め出生数の増大へと導くということであるは
ずです。しかし「そんなことは不可能だ」という声がすぐに聞こえてきます。実際
、容易なことでないのは事実です。けれども歴史的に見れば、一度大きく低下した
出生率がその後大きく回復した社会がないわけではありません。最も有名なのがフ
ランスです。フランスは19世紀の末から、人口の少なさに苦しんできました。じつ
は、この時期の合計特殊出生率は、それほど低くはありません。正確な統計データ
は手元にないの ですが、おおむね2・7くらいを維持していたと推測されます。
人口も緩やかに増加しています。ただ、この時期に問題だったのは、 周囲の他国、
とくにドイツと比べて人口増加率が低迷していたことです。もっとも、第一次大戦
期と第二次大戦期にはフランスの人口は減少しています。

1930年代の戦間期にもどちらかといえば人口減が見られます。19世紀末か
ら第二次大戦までは、合計特殊出生率はおおむね2・O以上を維持していたので
すが、死亡率も高かったために、人口増が見られなかったということになります、
第二次大戦後になると合計特殊出生率は大幅に増大して、3・0前後で推移して
いました。人口も順調に増加しています。ところが、1960年代の後半から合
計特殊出生率は低下し始め、1993年には1・66へと低下してしまいました。
フランスが本格的に 少子化対策に乗り出すのは、この頃からです。  

そうした政策が功を奏したのかどうか、その後合計特殊出生率は 回復していき、
2010年には2・Oを上回っています。もう一つの例がスウェーデンです。20
世紀以降のスウェーデンの合計特殊出生率の推移を見ると、3度も落ち込みの波
に襲われています。最初は、第二次大戦前の1930年代で、それまで2・O以
上を保っていたのが1934年には1・67にまで低下しました。その後、上昇
に転じ、大戦に巻き込まれなかったためか、1945年には2・63という高出
生率を示しています。しかし再び低下過程に入り、1970年代~80年代は1・
6~1・8の付近で推移しました,けれど、これもまた1980年代後半から急
速に回復して、1990年には2・13に達したのです。ところが、その後3度
目の低下に見舞われ、1998年には過去最低の1・50まで落ち込んでしまい
ました。しかし、これもまた上昇に転じ、2010年には1・98となっていま
す。フランスにしても、スウェーデンにしても、合計特殊出生率のこのような上
下変動の要因が十分に解明されているわけではありません。しかし、とりあえず
ここで重要なことは、「いったん落ち込んだ出生率も、再び増加し、2・O近く
にまで回復する可能性はある」ということです。 
日本ですら、これまでの最低は2005年の1・26でした。それが、2013
年には1・43へと、わずかですが上昇してきているのです。  

4-1-2 少子化対策とGDPの成長  

少子化を食い止めること、できれば人口の減少を食い止めることは、日本社会の
長期的な繁栄にとって最大の要件をなしていると言っていいでしょう。そのため
には、徹底的に資源を投入しても構わないと考えてもいいのではないでしょうか。
こういうたとえを嫌う人もいるかもしれませんが、これは自衛戦争に似ていると
考えてもいいように思います。自衛戦争においては、まさに自分たちの独立した
社会が維持できるかどうかの瀬戸際に立だされています。その場合、国力を挙げ
て自衛に取り組むというのは当たり前なことでしょう。直接的な戦闘員としてだ
けでなく、生産資源も徹底的に防衛産業に向けられることになります。そうした
としても、そこにはムダはないといえます、自衛戦争では、社会の存立が短期的
な危機にさらされています。が、少子化は長期的に存立の危機を招いています。

その危機の克服のために徹底的に資源を役人することは、決して悪いことではあ
りません。さて、少子化対策としての政策は、「短期的」な経済との関係で分け
ると、大きく次の3種類の可能性を考えることができます。

(1)GDPを拡大させる可能性のあるもの。
(2)GDPに対して中立的なもの。
(3)GDPを縮小させる可能性のあるもの。  

少子化対策それ自体がGDPを拡大させるという(1)の可能性を強調しても、
にわかには信じない人が多いかもしれません。多くの人は、社会保障費を増やす
とGDPにとってマイナスだと思い込んでいますが、これはまったくの誤解です
じつは、これは社会保障とGDPとの関係の重要な点の一つです。直接的にGD
Pを拡大させる政策の代表には、保育サービスの充実があります。保育園の増設、
保育生の増員、保育定員の拡大等々は、確実にGDPを増加させます。「保育サ
ービスの提供=保育サービスの購入」は、付加価値の生産になっているからです
。たとえば、専業主婦の人が、無職を継続しながら子どもを保育園に預けるとし
ます。この場合には、GDPの拡大はそれほど大きくはありませんが、それでも
多少のブラスになります。保育園に預けるということは、保育サービスを購入す
ることだからです。したがって、保育園に預けないという選択肢と、預けるとい
う選択肢を比較すれば、明確に、預けることで子ども一人分の保育サービス生産
という付加価値が生まれているのです。もちろん、この付加価値の大部分は保育
生の報酬に分配されます。今は専業主婦ですが、子どもを保育園に預けることが
できれば働きに出たいと考えている母親の場合には、GDPを拡大させる効果は
よりはっきりしたものになります。この場合には、保育サービスが生産されるこ
とに加えて、母親の就労による付加価値の生産が加わるからです。

※日本の少子化対策の問題状況については、松田茂樹氏の『少子化論-なぜまだ
結婚、出産しやすい国にらないのかI(勁草書房、2013年)に詳しく分析さ
れています。

4-1-3 保育の市場化の意味  

ここでおそらく、多くの人はこう思うのではないでしょうか。「かつては子育て
は家庭の中で行われていた,保育というのは、母親の仕事であった。それが、単
に他の人が保育に携わるというだけで、何でGDPが増えるのか。かりに増えた
としても、それは実質的には経済全体としてプラスになったと見なすことはでき
ないのではないか」この疑問は、ある意味では当然だといえるでしょう。同じ仕
事でありながら、母親が家庭の中で行うときはGDPにはカウントされず、別の
人が家庭の外で行うときはカウントされるというのは、何かおかしい感じがしま
す。しかし、じつは同じようなことは、保育に限らず、家事サービス全般に関わ
っているのです。まず外食産業がそうです。自宅で臭さんの手料理を食べるとき
は、材料費以外にはGDPに関係しませんが、レストランで外食するときはGD
Pに寄与しています。学習塾もそうです。自宅で親が子どもの勉強を見ているだ
けだと、GDPには関係ありません。それが、学習塾に通うようになれば、塾サ
ービスの生産が関わってきます,ここで何か違っているかといえば、「経済取引
」の量です。家庭内の仕事は経済的な取引ではありません。それに対して、同じ
仕事を家庭の外の人のサービスとして購入するときは、経済取引になります。し
たがって社会全体の(貨幣価値で表した)経済取引の量が増えることになります。
GDPというのは「国内で生産された付加価値の総額」だと言いましたが、ここ
で「生産された」という意味は、「経済的に取引された」という意味も含んでい
ます。たとえば、ロビンソン・クルーソーのように、何から何まで自分一人で生
産し、それを消費して生活している人がいるとしましょう。その人の「生産」し
たものは、「誰によっても購入されません」。そのため、その人が生産したもの
は、残念ながらGDPにはカウントされないのです。ある人が生産したもの(サ
ービスもきむ)を他の人が買うという取引があるということは、その生産という
行為が、その人だけの世界から、ほかの人が関係する世界へとつながっているこ
とを意味します。そこで生産されたものは、その人だけでなく、ほかの人にとっ
ても価値のあるものだ、ということです。そのように、経済取引が成立するとい
うことは、生産という行為が「他者にとっても価値のある」行為であることの証
しです。GDPという概念は、価格という指標を用いて、そうした行為の全体的
な総量を測定したものになっているのです。

     盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
                   第四章 少子化対策を成長の基盤にする
                              この項つづく
                    

 ● 今夜の一曲

竹内まりや 人生の扉

協和発酵(現・協和発酵キリン)CMソングとして発売前からOAされていた楽曲。N
HKの番組 『SONGS』ではこの曲を山梨県のスタジオで披露。本作の核であり、アル
バムタイトルの「デニム」はこの楽曲の歌詞から取られている。後に本作には収録
されていないが、2007年8月8日に当時の完全なる新曲である『チャンスの前髪』
と両A面でジャケットを緒形拳の題字でシングルカット。2008年10月30日に渋谷ク
ラブクアトロで行なわれたセンチメンタル・シティ・ロマンスの35周年記念ライ
ブにゲスト出演しライブで初めて演奏。また、同年12月28日に大阪フェスティバル
ホールにて行なわれた山下達郎のライブのアンコールに「私からもフェスティバル
ホールにさよならを言わせて欲しい。」とゲスト出演した際にも演奏される。

● 今夜の寸評:デジタル課税と国際連帯税

フランスと米国がデジタル課税───国際的な大手IT企業に課税する各国の政策─
──を巡る鬩ぎ合っている。。工場や事務所などに拠点を置く企業が現地で課され
る法人税を納めているのに対し、これらのIT企業はタックスヘブン───法人所得
や利子,配当,使用料などに対して税制上の特典を設けている国または地域のこと
をいい、これらの国または地域では,通常は税制上の優遇措置に加えて為替管理会
社法などの面でも特別の規定が定められており,多国籍企業が名目だけの会社を設
立し収益をそこに集中して税金逃れをはかったり,資金操作に利用したりする例が
多く、経済協力開発機構 OECDの 「有害な税の競争」報告書(1998)は、タックス・
ヘイブンの(1) 無税または名目的な課税,(2) 他国と実効的な情報交換を行なって
いないこと,(3) 透明性の欠如,(4) 実質的活動の欠如などの識別要素──をあげ
ている───よろしく、税率の低い国や地域に利益を移すことで納税額を減らす脱
税行為に対する規制強化の動き───EUは加盟国共通のルールを創設するため売上
高の3%に課税する案などを検討しているが、低税率を武器に企業を誘致してきたデ
ンマークやアイルランドなどが反対したことで、当初目標としていた2018年末まで
の合意は断念───がある。一方で、気候変動や貧困、疫病などの地球規模の問題
への対策資金を創出するための、革新的資金メカニズム(IFM) 構想のひとつとし
て、国境を越えて展開される経済活動に対し課税し、その税収を途上国向けの開発
支援などに活用することを目的とした国際連帯税はいまだ協議中で實視されていな
い。「グローバル化と格差拡大」の対抗政策と不正監視と不正抑止を目的とした国
際法の再構築を急ぐべき、世界の安寧と安定ののため日本政府は前向きに行動すべ
きであろう。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・引き寄せられる混沌Ⅳ

2019年07月11日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                             
5.公冶長  こうやちょう
ことば 
----------------------------------------------------------------
全28章のほとんどすべてが人物批評である。  
人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)

「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
---------------------------------------------------------------------------  

26 願淵と子路とがその場にいた。ふと孔子が、かれらに向かって問いかけた。
「おまえたちの理想をきかせてくれないか」
ただちに応じたのは子路である。
「乗物も着物もすべて持物は共用にして、傷もうと壊れようと気にとめない、そうい
う友情関係を結びたいものです」
顔淵は答えた。
「善行をひけらかすことなく、労苦を人に押しつけることのない人間でありたいと存
じます」
「こんどは先生の番です」 子路から催促されて孔子は言った。
「年長者からは安心され、同輩から信頼され、年少者からは慕われる。これがわたし
の理想だよ」

 

 はやぶさ2 着陸に成功 小惑星地下物質採取できていれば世界初

7月11日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュ
ウグウへの2回目の着陸に成功。リュウグウに向かって降下していたはやぶさ2が上
昇に転じたことを確認した。今年4月に作った人工クレーターから噴出した小惑星の
地下にあった物質を採取できていれば世界初の快挙となる。はやぶさが昨年6月27
日にリュウグウへ到着してから約1年、さまざまな挑戦をしてきたが、最後の大きな
山場を乗り越えた模様。

 Jul. 10, 2019


【新弥生時代:植物由来の人工魚肉「Fishless Fish」】

植物ベースの牛肉、家禽肉、そして豚肉に次いで、代替の「肉」生産者にとっての次
論理的ステップは、魚のいない魚(
Fishless Fish)である。ニューヨークのタイムズ
紙によると、商業用魚介類に代わる植物ベースまたは実験室栽培の代替食品を開発し
ている数多くの食品会社が参加。
タイムズのレポートによれば、不可能なのは、魚を
使わない魚を作るために、その植物ベースの牛肉レシピ - 牛肉の食感、味、香りを
再現するためにヘムを使う - を再構成する。先月、同社のR&Dチームは、植物から
作られたアンチョビ風味のスープを、パエリアで使用するために製造できた。
主に乱
獲のため、世界の海産魚の90%が枯渇すると、植物由来の魚または実験用飼育の魚
が環境に多大な影響を与える可能性がある。しかしながら、偽物の魚に対する消費者
の間に食欲があるかどうかは、まだわかっていない。




【ポストエネルギー革命序論16】  



世界最高水準の高効率太陽電池を搭載した電動車の公道走行実証を開始

7月4日、NEDO、シャープ、トヨタ自動車は、高効率太陽電池を電動車に搭載するこ
とによる、EV航続距離や燃費向上効果の検証を目的とした、公道走行実証を7月下旬
から開始すると公表。この實証を行うにあたり、シャープはNEDO事業の一環として開
発した世界最高水準の高効率太陽電池セル(変換効率34%以上)を車載用にモジュー
ル化して太陽電池パネルを製作。トヨタは、「プリウスPHV」のルーフやフード、バ
ックドアなどに同パネルを搭載し、定格発電電力を約860Wまで高めた公道走行用実証
車(以下、実証車)を製作しました。大幅に発電電力を向上させたことに加え、「プ
リウスPHV」では駐車中にのみ行っていた駆動用バッテリーへの充電を、実証車では
走行中にも行えるシステムを採用しており、EV航続距離や燃費の大幅向上を見込む。

 

トヨタは、愛知県豊田市や東京都などにおいて、さまざまな走行条件下で走行実証を
行い、太陽電池パネルの発電量や駆動用バッテリーへの充電量などのデータの検証を
通じ、今後の車載ソーラー充電システムの開発に活かすことを目的とする。また、実
証データの一部は3者で共有し、NEDOが主催する「太陽光発電システム搭載自動車検
討委員会」などで、二酸化炭素排出量削減効果をはじめ、充電回数低減などの利便性
向上効果などを評価し、運輸部門を含めた太陽電池パネルの新規市場創出とエネルギ
ー・環境問題解決に貢献を目指す。

 
世界初、可視光を利用して水を分解する酸硫化物光触媒

7月3日、NEDOと人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)は東京大学や
州大学などと共同で、世界で初めて、可視光で水を水素と酸素に分解する酸硫化物光
触媒を開発。この光触媒はY2Ti2O5S2という酸硫化物半導体で構成されており、波長
640nm以下の太陽光を吸収して水を分解できる。波長600nm近辺は太陽光で最も強度が
高い波長域のた
め、効率的なエネルギー活用が期待されている。酸硫化物半導体材料
は、次世代の光触媒
材料として2000年ごろから有望視されていましたが、水中での光
照射下で光触媒材料自身
が分解しやすいという問題があった。そのため、酸硫化物光
触媒を用いて実際に水を分解し
た事例は、今回が世界初。この研究成果を皮切りに、
酸硫化物半導体材料を光触媒による
水分解反応に応用することが可能となれば、安価
な水素製造プロセスの実現できる。



今回開発した光触媒はY2Ti2O5S2という酸硫化物半導体で構成されます。Y2Ti2O5S2は波
長640nm以下の太陽光を吸収し、弱アルカリ性水溶液中で水を水素と酸素に分解する
ことが可能なバンド構造※5を有す)。今回、Y2Ti2O5S2光触媒に水素生成反応を促進す
る助触媒としてCr2O3で被覆されたRh微粒子を、酸素生成反応を促進する助触媒とし
てIrO2微粒子の両方を担持する手法を開発。さらに、反応溶液のpH値を調整すること
で、光励起された電子と正孔を水分解反応に有効利用できるようになり、可視光によ
る水分解が可能な酸硫化物光触媒の開発に成功。従来の酸硫化物光触媒は酸素を発生
することができなかったが、Y2Ti2O5S2光触媒は20時間にわたって持続的に水を水素と
酸素に2:1の比率で分解できることを確認)。この光触媒は水中に微粒子として分
散でき、波長640nm以下の太陽光、および疑似太陽光※6を吸収して水を分解する。

 

   



【続・引き寄せられる混沌Ⅳ:7040問題を考える】

第三章 「効率性重視」から「生活革新」型の成長戦略へ
2 経済成長の要は、はたして生産性の向上か

3-2-1 生産性とは何か  

経済が成長するとはGDPが成長することです。そしてGDPが成長するとは、国内
における付加価値の生産が拡大することです。成長戦略は、そのGDPの拡大をめざ
したものでなければなりません,ところで、一般的には「経済成長のために
は、生産
性の向上が必要だ」と思われています。これは、正しい面が3割ほどあり
ますが、全
体としてはどちらかといえば間違った考え方です。もっとも、これが間
違いだという
のは、経済学の常識には真っ向から反します。異端というよりも、む
しろ「無知」と
しか思われないでしょう。しかし、本当はこの点、経済学の方が間違
っています。こ
の部分を理解しないと、本当の成長戦略を描くことはできません。

そもそも「生産性」とは何でしょうか。生産性には「労働生産性」と「資本生産性」
とがあります。労働生産性というのは、「役人された労働の量に対して、
どれだ け
の生産がなされたか」の度合いを意味しています。たとえば、ある自動車
会社が総従
業員数1万人で、年間60万台の自動車を生産しているとしましょう。そう
すると、従
業員一人当たりで見た自動車の生産台数は60台になります。これが、
(台数で見た)
従業昌二人当たりの生産性です。この自動車の平均的な「蔵出し
価格」つまり、この
自動車会社から自動車販売会社へ引き渡されるときの価格が平
均で150万円だとし
ましょう。そうすると、60万台の自動車の総売上は9000
億円になります。この9
000億円を1万人の総従業員で割ると、一人当たり9000万円。これが、「価格
で見た一人当たりの生産性」になります。ただし、以上の計算は「売上額」に関する
ものです。GDPのところで見たように、重要なのは「付加価値」です。実際、90
00億円の売上があるからといって、そのすべてを従業員に配分するわけにはいきま
せん。部品生産を中心とする多くの下請け業者があり、そこから「中間財」を購入し
ていますから、その中間財への支払いがあります。ほかに、当該自動車会社自体が購
入している鉄 鋼、ガラス、ゴムなどの原材料費、そして光熱水料などの経費がかか
っています。これらの(人件費を除く)経費が7000億円かかるとします。売上高
からこれらの経費を除いた2000億円が「生産された付加価値」になります。そう
すると、従業員一人当たりの付加価値生産性は2000万円です。このように、付加
価値で見た労働生産性は式(1)で表されます。

 
次に、資本生産性について説明しましょう。すでに述べたように、ここでいう資本と
は、生産活動を行う基盤となる広い意味での設備のことです。自動車の場合には、巨
大な組み立て工場、ロボットなどのさまざまな機械、それらを動かすプログラムなど、
生産設備の役割は非常に大きいものがあります,こうした生産設備の「生産性」が「
資本生産性」です。ただし、その計測のためには、これを何らかの量的な尺度で表さ
なければなりません。そこで、そうした生産設備を「資産価値」で評価したものが用
いられます(会社の 資産の中にはほかに金融資産などもありますが、
これらはここでの「資本設備」には含めません)。たとえば、例に考えている自動車
会社のそうした生産設備としての資産の総額が5000億円だとします。そうすると
この会社は、5000億円の資本設備を基盤にして、9000億円の売上を生み、2
000億円の付加価値を生産していることになります。つまり、資本に対する付加価
値生産性はO・4ということです。したがって、資本生産性は式②で表されます。



3-2-2 生産性を向上させても経済成長にはつながらない  

以上のように生産性を理解した上で、さて、それでは「生産性を上げることが経済
成長にどう貢献するか」を考えていきましょう。
結論を先にいえば、「いくら生産性を向上させても、売上高もしくは付加価値生産の
総額そのものが増えるのでなければ、経済の成長にはつながらない」ということが導
かれます,単純化するために、しばらく「付加価値」ではなく「売上高に対する生産
性」を問題にしていきます。つまり、生産性の式の分子に売上高を置いて考えます。
分母は労働もしくは資本です。まず、労働生産性を考えましょう。分母の「労働」の
量としては、「従業員数」「製造過程の労働者数」「総労働時間(労働者数×労働
間を年で合計したもの)」などがあります。

労働生産性は分数の形になっていますから、それが上昇するということは、(1)分
子である売上高が増えるか、もしくは(2)分母である労働量が減少するか、あるい
はその両方が起こるということを意味します。投入する労働量が一定のままでも、売
上高が増加すれば労働生産性は上昇します。しかし売上高が増えなくても、投入する
労働量が減少するだけでも労働生産性は上昇します。民間の経営コンサルタント的な
経済評論家たちの多くは、「日本の労働コストは高すぎるために国際競争力が弱く
っているのだから、労働コストを下げて労働生産性を高める必要がある」という
ような主張をよく行っています、たしかに、一企業として見れば、競争力を維持する
めにはこの戦略も十分に意味があるでしょう。不採算部門を切り捨てたり、それに
伴って従業員のリストラを進めるのは、そうした戦略の一環です。このように労働生
産性を高めるためには大きく二つの道があり、そのどちらをとっても、企業経営にと
ってはプラスです。労働コストが変わらないで売上高が増えても、売上高は変わらな
けど労働コストが減っても、どちらも利益ないし投資に回せる額が増えます。しか
し、GDPにとっては、同じではありません。これが重要なことです。むろん、売上
高が増えると、(中間財への支払いにとくに変化がなければ)付加価値の生産が増加
したことになるので、GDPの拡大につながります。これは問題ありません。しかし、
売上高の増加によってではなく、労働コストを削減した結果として生産性が上昇した
としましょう。この場合には、「利益」は増えるかもしれませんが、「人件費」が
削減
されています。その結果として、付加価値の生産額に変化は生じません。つま
り、GDPの増加にはならないのです。資本生産性についても同じことがいえます。

ここでも同じように 「売上高が増える」かもしくは「固定資本が減るか」すれば、
生産性は上昇します。「固定資本を減らす」という方策は、たとえば遊 休設備を廃
棄処分にするということです。実質赤字の事業があったりすると、その事業を廃止し
た方が企業にとってはプラスになります。事業の廃止は、それに関わる労働者の解雇
や配置転換とともに、生産設備の廃棄を伴います。生産設備を廃棄することは、特別
損失という形で経費に計上されます。それは、その時点では利益を縮小し、付加価値
も縮小します。しかし、資産が縮小したので、そのあと数年にわたって減価償却費が
縮小します。その分、利益も拡大することになります。固定資産が縮小したので、売
上高に変化がなければ、資本生産性は向上していることになります。しかし、ここで
も付加価値は増えてはいません。つまり、GDPの拡大には何ら寄与していないので
す。  

3-2-2 経済学者の錯覚  

以上から明らかなように、「生産性を上げる」という方策は、それ自体としてはGD
Pの拡大を意味するものではありません。それでも多くの人、とくに経済評論家や経
済学者は、「経済成長のためには生産性を上げることが必要だ」と考えたり主張した
りしています。それはなぜでしょうか。ここにはある錯覚があります。

むろん、各企業において、付加価値の生産が拡大するという形で 生産性が高まる場
合も当然あります。その場合は、GDPの拡大を 伴っています。錯覚の根源は、次
の式にあります。

GDP=「労働者一人当たりの付加価値生産性」×労働者数 【式(3)】

これは、必ず成立する式です(こういうものを、「恒等式」といい ます)。しかし
ここで重要なことは、これは「論理的な等式」であって、「因果的なメカニズム」を
表したものではないということです。これを因果的なメカニズムを表した式だと受け
取ると、右辺の「労働者丁人当たりの付加価値生産性」が高まれば、左辺のGDPが
高まる、ということになります。しかし、これは錯覚でしかあ りません。実際上は、
「社会全体の労働者一人当たりの付加価値生産性」というものは、GDPが計測され、
労働者数が計測された上で、前者を後者で割ることで(事後的に)求められる数値に
すぎないのです。あらかじめ「労働者一人当たりの付加価値生産性」というものがあ
って、労働者がそれを行使することでGDPが生み出される、というしくみになって
いるのではまったくありません。労働者数が変わらないでGDPが拡大すれば、「結
果として」労働者一人当たりの付加価値生産性は向上します。しかし、この生産性の
向上はGDP拡大の「原因」ではありません。実際には、何らかの別の要因によって
GDPが拡大し、その結果から計算してみると労働者一人当たりの付加価値生産性が
上昇していたことになる、といったことが起こっているだけです。このような原因と
結果との取り違えが、ここには存在しているのです。

3-2-3 経済学における成長理論の二つの欠陥  

経済学には一応、成長理論というものがあります。一番単純な考え方では、経済の規
模は生産に投入される労働と資本との二つの要素によって決まるとした上で、これら
の要素がどのように決定されるかが、理論においてモデル化されています。より一般
的には、これにさらに「技術革新」という要因が取り入 れられます。技術革新とい
うのは、(モデルを離れて)現実経済の世界では当然、経済成長にとって重要な要因
です。たとえば、IT技術の進歩は、明らかにさまざまな側面で今日の経済成長を牽
引しています。ブラウン管型から液晶テレビ、さらにはハイビジョンヘの技術進歩も、
テレビ生産業界の発展をもたらしました。経済学における成長モデルでは、この技術
革新を、いわば労働と 資本の効率性という観点で捉えようとする傾向があります。

労働の効率性は、「人的資本」という変数で考えられ、資本の効率性は「知識ストッ
」のような概念で考えられています。働く人のスキルが高度化すれば、労働生産性
が上がるので、同じ労働量であっても生産高が増加することになります。また、知識
ストックというのは、「研究開発R&D」のような投資を通じて蓄積され、新しい生
産技術や製品の開発に応用されて、やはり生産性が高まると考えら れています。 こ
うした技術革新を取り入れた考え方は、それ自体としては間違 ってはいません。現
実の経済を捉えようとしている試みだといえるでしょう。しかし、にもかかわらず経
済学における成長理論には次のような 重大な欠陥があるのです。

第一に、こうしたレベルの理論では、あたかも「人的資本や知識ストックが高度化す
れば、いわば自動的に経済が拡大していく」かのようにしか現実を捉えていません。
どのような人的資本や知識ストックの増加が、どのようにして経済成長をもたらすか
という具体 的なメカニズムが明確にはされていません。その部分は「ブラック ボッ
クス」になってしまっています。そのため、「人的資本や知識ストックを高度化させ
るどのような政策が、実際に経済成長をもたらすか」について、何も語ることができ
ないのです。  

たとえば、労働者のスキルが高度化すれば経済が拡大していくからといって、高等教
育をどんどん拡充すればいいかといえば、必ずしもそういうことにはなりません。一
般論としては高等教育の普及は重要ですが、開発途上国であればまだしも、今日の日
本のような社会で「これからの経済成長を支えるために大学の定員を増やす」とい
うような政策が有効だとは考えにくいでしょう。今日の日 本の高等教育に関しては
規模を拡大することよりも、質の面を向上させることの方が重要だと思われます(も
っとも、どういうことをすれば「質の向上」になるのかも、それほど明確に分かって
いるものではありませんが)。知識ストックにしても、一般論としては、新しい生産
技術や製品開発にとって、知識が重要であることはいうまでもありません。しかし、
はたしてそれはどのように観測できたり政策によって高度化できたりするのかという
問題があります。知識といってもさまざまで、たとえば文学や哲学に問する知識もあ
れば、IT技術に関する知識もあります。どんな知識をどのように養えば、どのよう
に経済の成長を導くことになるのかは、この経済成長理論からは何も明らかではない
のです。  

経済学における成長モデルの欠陥の第二は、こうした理論では「需要」の側面がまっ
たく見過ごされていることです。あとでも強調することになりますが、経済成長とい
う問題にとっては、生産と需要とが同時に拡大していくことが重要です。このことは
常識的には誰でも知っています,いくら高い生産能力があったとしても、作ったもの
が売れなければどうしようもありません。ところが、経済成長理論が描いている世界
はあたかも「生産されればすべて売れる」かのような世界になっています。人的資本
や知識ストックについても、それらが高度化れば経済が自動的に拡大していくかのよ
うな理論になっています。そこでは需要の側面がまったく考慮されていません。実際
には、経済規模は需要によって大きく左右されるのです。たとえば、2008年のリ
-マンショックによって、日本のGDPは急激に8パーセントもの低下を体験しまし
た。これは、世界レベルで「需要」が減退したためであって、生産能力が落ち込んだ
ためでは決してありません。あるいは、このところ社会問題化している弁護士や公認
会計士の失業問題も、需要に見合わない供給過剰の問題と見ることができます。理論
レベルで考えれば、弁護士や公認会計士が増えることはいわば「人的資本」の高度化
であり、経済の成長につながるはずです。ところが、新しく弁護士や公認会計士にな
った若い人の多くが、失業かさもなければ薄給に甘んじざるをえなくされています。
それは、弁護士業務や会計士業務への需要が足りないからです。

      盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
           第三章 「効率性重視」から「生活革新」型の成長戦略へ  

次回は、「第四章 少子化対策を成長の基盤にする」に入る。
                      
                               この項つづく

【8050問題:みんな空き家でなやんでいる】


                           

 
出典:週刊エコノミスト, 2019年7月9日号



【世界中の異常気象:湖南省で洪水】

豪雨による洪水で広い範囲が冠水した中国湖南省衡陽市の様子を上空から撮影した航
空写真(7月9日撮影)

 ● 今夜の一曲

竹内まりや  明日のない恋

2007年日本テレビ系『火曜ドラマゴールド』の最後の主題歌となった作品。シングル
盤には同じく『火曜サスペンス劇場』の主題歌となった『告白』と『シングル・アゲ
イン』が収録される。



電子レンジレシピを目につくよになった。わたしも下写真のオムレツなど昼食でつく
りサツマイモパンといっしょにいただいている。具材はキャベツをきざみと至ってシ
ンプル、きざみ野菜を電子レンジ加熱し、溶き卵(2個)再び、オムレツウェアに入
れ加熱し、最後に塩、こしょう、チーズ、ウスターソースとケチャップをあえたソー
スなど加えている5分で調理できる。あとは、香辛料、具材を変えていけば中華風、
和風、洋風、無国籍風などにアレンジ。便利な時代である。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・引き寄せられる混沌Ⅲ

2019年07月09日 | 省エネ実践記

  

                                                                                                                                                                                                                             
5.公冶長  こうやちょう
ことば
-------------------------------------------------------------------------------
全28章のほとんどすべてが人物批評である。  
人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)
「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
-----------------------------------------------------------------------------------  
25 そらぞらしいお世辞、顔だけの愛想よさ、バカ丁寧なもの腰、そういう卑屈さ
を左丘明は恥とした。わたしも同感である。また、腹の底では相手を軽蔑しながら、
うわべだけ友人としてつきあうことを、左丘明は恥とした。これにもわたしは同感で
ある。(孔子)     

〈左丘明〉『春秋左氏伝』の作者といわれるが、異論多く、伝も未詳。

子曰、巧言令色足恭、左丘明恥之、丘亦恥之、匿怨而友其人、左丘明恥之、丘亦恥之。

Confucius said,
"Zuo Qiu Ming regarded being a flatterer as disgrace.
I agree with him. And he regarded keeping surface relations with people whom
he hated as disgrace. I agree with him."

  July 7,  2019 


泳ぐ一細胞の代謝を経時測定


同一場所での細胞単離・培養・経時観察が可能に

7月9日、理化学研究所(理研)生命機能科学研究センタらの研究グループは、ガラ
ス製マイクロ流体チップ]に「ダム構造」を持たせることで、泳ぐ微生物の単離と培
養をマイクロ流路中で行い、複数の細胞の代謝物を一細胞ごとに経時測定することに
成功したことを公表。究成果は、動きが多く継続的な観察の難しい微生物の追跡を可
能とし、特定の代謝を行う微生物細胞の選別に応用できるため、バイオ燃料や栄養源
の高効率作製や医薬品などの有用物質を産生する微生物のスクリーニングに貢献でき
る。同種の細胞集団の中から、有用物質を多く産生する株を単離するためには、一つ
一つの細胞を捕捉し、生かしたままで、その代謝物を分析するが、特に動きの速い微
生物の場合は、測定中に細胞を見失わないようにする必要がある。同研究グループは、
厚さ0.9mmのガラス製マイクロ流体チップを作製し チップ中のマイクロ流路をダムの
ような構造によってせき止め、細胞培養液を常に流すことで、速く泳ぐ微生物である
ユーグレナを一つずつダムの縁に留めて培養することに成功。さらに、非侵襲的に代
謝物を計測できるラマン分光法]と組み合わせて、バイオ燃料成分の原料であるパラミ
ロン
がユーグレナ細胞内で産生される様子を経時測定できた。


MEMSですね。実用化/商用化できる時代に突入。抗ガン最終戦争/新弥生時代/ネオコ
ンバー^テック/エネルギー革命にそして再生医療革命のデジタル革命銀河系でしたか。い
ろいろあって、倫理課題が山積する面白い時代である。

 



【ポストエネルギー革命序論15】  

 
 Oct. 5, 2018

「ターボチャージ」シリコン太陽電池篇:

一重項励起子核分裂シリコンを微小表面加工し原理実証に成功

典型的な太陽電池では、吸収されるおのおのの光子に対して、多くても一対の電子–
正孔対(励起子)しか生成できない。高エネルギー光子によって生成された「一重項
」励起子を、2個の「三重項」励起子へと変換できる、一重項励起子分裂という分子過
程が存在する。この過程を太陽電池に利用できれば、太陽電池のエネルギー変換効率
を大幅に向上できる可能性がある。今回M EinzingerとM Baldoたちが、この方向での
重要な一歩となる成果を報告している。彼らは、分子発色団の層において一重項励起
子分裂によって生成される三重項励起子が効率よくシリコンプラットフォームへ移動
するように、適切に不動態化したシリコン基板と分子層を結合させることで、典型的
な太陽電池構成を使って三重項励起子を利用できる方法を示した。

7月3日、マサチューセッツ工科大学の研究グループは、単接合シリコン太陽電池セ
ルを「ターボチャージ装置」を開発し、その技術を理論限界を超えて35%以上の効
率に押し上げることに成功したことを公表。

Nature誌に先週発表された論文は、どのように一重項励起子分裂として知られる効果
がシリコン太陽電池に適用され、35%もの高いセル効率をもたらすことができるか
を実証。一重項励起子核分裂は特定の材料に見られる効果であり、それにより単一光
子(光の粒子)が通常のものではなく太陽電池に吸収されるときに2つの電子 - 正
孔対を生成ができる。その効果は1970年代にまで遡るが、ここ10年間で世界の主要な
研究所の重要な研究分野となっていたが、その効果を実行可能な太陽電池に変換する
のは困難とされていた。

尚、昨年7月5日に、九州大学らの研究グループは有機ELで励起子生成効率百%超を
実現する原理実証に成功している(下図参照)。




とまれ、テトラセン中の一重項励起子分裂によるシリコンの増感において、それを示
す「励起子」材料の1つであるテトラセン - 炭化水素有機半導体からシリコン結晶
へ一重項励起子分裂によるシリコンの増感効果を架橋させる原理実証に成功する。シ
リコン太陽電池と励起子テトラセン層との間にわずか数原子の厚さの酸窒化ハフニウ
ム層を配置することで、この原理実証を実現した。MIT大のエキサイトセンタの研究
グループの主任著者は、「このプロセスを機能させることに成功したこにある」と話
す。

 July 3, 2019

架橋効果

酸窒化ハフニウム層は「nice bridge:素敵な橋」として作用し、テトラセン層で生成
された高エネルギー光子がシリコンセル内で2つの電子の放出生成を可能にする。こ
の発見で、光スペクトルの緑色部分と青色部分からのエネルギー出力が2倍になるこ
とをする。しかし、シリコン太陽電池の効率を単接合シリコン太陽電池の理論的限界
を超えて最大で約35%まで高めることができるだろう考えているが、実験で実際に
達成されたものではなかった。新しく発表された研究は2つの材料を効率的に結合す
る「決定的なステップ」を提供するが、残件事項は多く、 Marc Baldo教授MIT大コン
ピュータ科学は、「全体的に見て、商用アプリケーションはおそらくまだ数年先にな
る」と話す。

効率はさらに高くなる

同研究グループは、「turbocharging(過給)シリコン太陽電池」の研究
に熱心で、
太陽電池変換効率向上の最もアプローチとは異なる。材料を使って作業を継続するが、
これは理論上の35%を超える単一接合シリコン効率達成する可能性があり、酸窒化ハ
フニウムが界面に過給電荷を生成し、電界不動態化処理工程により損失を減らせる方
法を獲得。この現象をより最適御できれば、効率がさらに向上する可能性があると、
結んでいる。


 
数年後にはハイブリッド決勝シリコン太陽電池で変換効率35%超が実用化され、中
東で地獄絵図解消に向かっているだろうか(希望を込め)?

 

  

 



【続・引き寄せられる混沌Ⅲ:7040問題を考える】

今回は、前半はイデオロギーとしての「小さな政府」の認識形成の確認を、後半は、
「過小需要財」と「大きな政府」の役割について確認を行った。「過小需要財」とい
う考え方は教育・厚生・医療・環境。サービス(代替労働)などの無形価値投資によ
る生活(品質)水準の引き上げ政策を考える基礎となった。


第2章 「小さな政府」イデオロギーの誤り

2-1 小さな政府イデオロギーを表す「国民負担率」という言葉  

2-1-1 国民負担率とは何か  

序章で述べたように、財務省は2014年2月7日、「国民負担率」についての時系
列推移と国際比較とを発表しました。グラフにすると、図表 2‐Iのようになります,

これを見ると、国民負担率は長期的に上昇カーブを描いており、とくに この数年は年
々着実に増大してきていることが分かります。なかでも、社 会保障費負担の増加は着
実に進行しています。租税負担の方は、バブル崩 壊前後の1990年前後がピークで、
今はそれよりもやや低下しています。この図でも分かるように、「国民負担率」は租
税負担の割合と社会保障経 費負担の割合を合わせたものですが、もう少し正暗にいう
と、「国と地方が徴収する租税の総額」と「個人や企業が納める社会保険料の総額」
を、「国民所得」で割ったものです。租税というのは、所得税、法人税、消費税など
ですが、ほかに、住民税、固定資産税等々も急まれています。社会保険料というのは、
年金保険料、健康保険料、介護保険料などのほか、雇用保険料と労災保険料が含まれ
ます。個人や企業は経済活動を通じて所得を得ますが、所得のすべてを自分で好きな
ように使えるわけではありません。所得に対しては、さまざまな形で税が課せられま
す。税のほかに、社会保険料もまた法律によって強制的に徴収されます。税も保険料
も政府に集められ、政府によってある意味 「公的」な形で支出されることになります。
いわば、そうした「公的」な支 出を支えるために、個人や企業の所得から差し引か
れているものが「国民 負担」というわけです。

そしてその額を、個人所得と企業所得との合計額 に近い指標である国民所得で割った
ものが「国民負担率」ということになります。こう書けば、「なるほどそうか」と納
得する人も多いでしょう,誰しも、自分の所得から政府によって強制的に徴収される
税金などが多いことは好みません。町内会費や組合費なども同じようなところがあり
ます。加入している組織が組織として活動するための経費を、参加している個人が「
負担」している、という感じです。この意味での「負担」は、文字通り負担です。 



(*I)「図説所得」というのは、具体的には(国民所得=GDP-(固定資本減 耗
十間接税)十補助金)として計算されるものです(この式の意味は、正確に理解 しな
くても構いません)..

2-1-2  「国民負担率」は日本独自の官庁用語  

ただし、「国民負担率」の概念には、もう一つ別の意味での「負担」が含 意されてい
ます。それは、「マクロ経済にとっての負担」という意味合いです。じつは、あまり
知られていませんが(財務省などは巧妙に伏せています)、「国民負担率」という指
標は日本独自のもので、諸外国では使われていませんし、経済学の専門用語でもあり
ません。端的にいって、日本独自の「官庁用語」なのです。国民負担率という概念は、
1980年代の初め頃、当時の第二次臨時行政調査会における議論の中で、大蔵省か
厚生省かははっきりしませんが、いずれにしても社会保障費の増加を問題視する官僚
の立場から使われ始めました。そのきっかけは、大平内閣(1978~80)のときの
1979年の衆議院選挙で、大型間接税の導入を掲げた大平首相率いる自民党が大敗し
てしまったことでした。これを見て、当時の大蔵省を中心とする官僚たちは、大型間
接税の導入によって財政の赤字を縮小ないし解消するという方策は、当面不可能だと
判断せざるをえなくなったわけです(消費税が導入されるのは、それから10年ののち
竹下内閣のときの1989年でした)。そうすると、何とかして歳出の削減を図らな
ければなりません。その方向に国民世論を導いていくための道具として考え出された
のが、「国民負担率」という言葉にほかなりませんでした。このことは、成瀬龍夫氏
の論文「人口高齢化と『国民負担率』」(『経済 論叢』1996年、158巻、6
号‥61‐78頁)で次のように説明されています。

この言葉は、社会保障研究所調査部長の高木安雄氏がのべているように、「経済学・
財政学など学術的な分析用語ではなく、『増税なき財政再建』と「小さな政府』を目
標とする臨時行政調査会の審議の中で生み出され、経済における政府の財政規模=公
的な負担が大きすぎると経済の活力が抑制されると言う政策的な意図を持つものであ
った」こと、「財政当局が財政再建と社会保障支出の抑制を目的に使い出した言葉で
あり、 一定の政策的な意図のもとに使われていった」ことを確認しておきたい。(62
頁)  

ここで明らかにされているのは、次の3点です。まず、「国民負担率」と いう概念は
「小さな政府」のもとで「財政再建しよう」という、ある特定 の政策方針を前提とし
たものだということ。そしてその際、とくに社会保 障費の抑制を目的としていたこと。
そして、公的な負担が大きすぎると経 済の活力が損なわれる、という認識が基盤にあ
ること。つまり、「国民負担率」というのは、きわめて「イデオロギー的」な言葉・
概念なのです。そして、ここでの「負担」とは、まさに「経済にとっての負担」であ
ることが明確に意識されています。このようにしていわば「担造」された「国民負担
率」という言葉ほど、1980年代以降今日に至るまで、日本の財政と経済を拘束し、
方向づけてきたものはないでしょう。この言葉が使われるときは必ず「租税負担や社
会保障費負担が増えると大変に困ったことになる。何とかして、そうした負担は小さ
くしなければならない」という観点が前提となっているのです。意識的にそれを意図
していなくても、「国民負担率」という言葉を使うだけで、私たちは無意識のうちに
そうした見方に取り込まれてしまうのです。

2-1-3 国民負担率が高いとはたして問題か?  

国民負担率という言葉が財務省(当時は大蔵省)などによって使われ出した頃、スウ
ェーデンなどの北欧諸国の高い国民負担率を示して、「こんなに国民負担率が高くな
ると大変だ」という警告が盛んにメッセージとして出されていました。もっとも、実
際には「どんな風に大変か」という説明は何らありませんでした。ただ、「ええっ、
税金と保険料とで所得から5割以上も持っていかれてしまうのか」という驚きと恐怖
を覚える人が、圧倒的 に多数でした。

その当時の日本には、まだ消費税もありませんでしたし、少子化や高齢化も今ほどに
は深刻ではありませんでした。ただ単に、「スウェーデンのように税金が高くなるの
は困る」という感覚で受け止められただけです。そして、「国民負担率は低い方がい
い」という見方も、この指標を発明した人たちのもくろみ通り広まっていきました。  
でも、はたして国民負担率が高いと、実際に何か問題なのでしょうか。まず、図表2
‐2を見ていただきたいと思います。



この表は、国民負担率と経済成長率とを北欧の4カ国と日本とで比べたものです,誰
でも知っているように、手厚い福祉政策を実施している北欧諸国の国民負担率(目本
の財務省が計算したもの)は、日本よりもはるかに高い数値になっています。最も低
いノルウェーでも55・2パーセント、デンマークでは67・7パーセントにも上ります。
日本は39・8パーセントで、ノルウェーよりも15・4ポイント低くなっています。他
方、経済成長率は、2000年から2012年にかけての12年間の年平均名目成長率
を示しています。この時期、北欧諸国の中で最も成長率が高かったのはノルウェーの
5・9パーセント、低かったのはデンマークの2・9パーセントです。だいたい、少
なくとも3パーセントくらいで推移していると見ていいでしょう。それに対して日本
はどうでしょう。この時期は、2001年に小泉政権が発足し、聖域なき改革をスロ
ーガンにいくつかの規制緩和や歳出削減が行われるとともに、道路公団と郵政の民営
化か決められた時代です。2006年に小泉首相が退陣したあと、自民党の短期政権
が続き、2008年にりーマンショックが襲って日本経済は大きな景気後退に見舞わ
れました。

そのせいもあって、この12年間を平均しての成長率はマイナスO・6パーセントとい
う実に情けない結果を示しています。リーマンショックという外的要因を取り除いて
見るために、ちなみに2000年から2008年までの成長率を見てみます。表には
示していませんが、この問、日本の名目GDPは509・9兆円から501・2兆円
ヘ とやはりマイナス成長で、年平均の率はマイナス0・21パーセントとなってい
ます。つまり、リーマンショックがなくても、日本経済はこの間マイナス成長だった
のです。むろん図表2‐2の数字は、ある限られた期間について限られた諸国とで比
較したものですから、これから一般論として、「国民負担率と経済成長との間の関係」
を導きだすことは慎重でなければなりません。性急に、「国民負担率が高い方が経済
成長も高くなる」という結論を出すわけにはいかないでしょう。しかし、同時に、「
国民負担率が高いと経済成長にマイナスである」という結論も導きだすことはできま
せん。むしろ「国民負担率が高いと経済成長にマイナスである」という主張は、図表
2‐2のデータからは明確に否定される、ということが重要なのです。

ところが、国民負担率という言葉を思いついた官僚たちは「国民負担率 が高くなる
ことは経済にとってマイナスである,それは何とか避けなけれ ばならない」という
見方を盛んに振りまいてきたのです。国民負担率の概念が思いつかれた時期は、ちょ
うどサッチャー政権が発足したりして、世界的に「小さな政府」諭が盛んになってき
た時期でした,おそらく、日本の官僚たちはこの思想的潮流にもヒントをえたものと
思われます。国民負担率の概念は、まさに政府の大きさを計るものになっていますが、
小さな政府が望ましいという新自由主義的な潮流に乗って、国民負担率は低い方がい
いという考え方を広めていったのだといえるでしょう。そして、多くの経済学者や経
済評論家たちも、その片棒をかついできました。たしかに誰しも、自分の所得から税
や保険料が徴収されるのは好みません。消費税だってそうです。個人レベルでは当然、
税も保険料も少ない方がいいに決まっています。「国民負担率一という言葉はそうし
た人々のいわば素朴な実感を表現したものではあります。しかしそのことと、「小さ
な政府が望ましいかどうか」という問題とは、まったく別のことです。小さな政府が
望ましいかどうかは、個人の所得から取り上げられる税金や保険料は少ない方がいい
という感情とは無関係に検討されなければなりません。むろん「望ましいかどうかを
どの点て判断するか」は一義的には決まっていません。それにはさまざまな判断の基
準がありうるでしょう。ただ、「個人から取り上げられる税や保険料は少ない方が望
ましい」というのは一つの基準として多少の意味は持ちますが、ほんの一部であるに
すぎません。



2-2 小さな政府論を支える経済理論
2-2-3 「過小需要財」と「大きな政府」の役割

ここで重要なことは、需要の中身、供給の中身は、原則として何でもいいということ
です。経済活動とは、人びとが何かを生産し、それが購入されて消費されるというこ
とです,このあと述べるように、その「生産され、消費されるもの」の中には、医療
サービス、介護サービス、育児サービス、教育サービスなど、社会保障に関わるもの
もさまざまに含まれています。これらのサービスの生産と消費は、れっきとした経済
活動です。しかも、これもあとで述べますが、こうした社会保障関連のサーピスには
「在的な需要はあるにもかかわらず、なかなかその需要が顕在化しない」と いう性
質があります。晟大の理由は、「民間だけに任せておいたのでは料金が高すぎて、そ
の価格では購入する人が少ない」ということです。こうした商品やサービスを「過少
需要財」と呼びましょう。社会保障関連サービスの多くは、そうした過少需要財にあ
たります。むろん、すべての過少需要財において、「需要されて消費されることが望
ましい」とは限りません。また、「わざわざ政府が支援してまで消費を促すべきもの
」とはいえない過少需要財も数多くあります。たとえば、ベンツのような高級車も過
少需要財でしょうが、その購入を政府が支援する理由はないでしょう。しかしその逆
に、「政府が支援して、需要と供給を顕在化させることが望ましい」と考えられるよ
うな過少需要財も数多くあります。教育はその典型です。小中高のほか、大学数育に
も多額の公費が役人されていますが、もしも教育サービスの受け手である個人や家計
がその費用を支払わなければならないとしたら、それを賄えるのはごく一部の富裕層
だけになり、教育への需要はほとんどなくなってしまうでしょう。そして、多くの社
会保障サービスがそうなのです。ここに、大きな政府が経済にとってプラスになる理
由が存在します。  

今、「本来ならば、需要と供給が顕在化することが望ましいような過少需要財が存在
する」とします。そこで、政府が税金もしくは保険料の形で資金を徴収し、その財源
でもって過少需要財への支援を行うとします。そうすると、そこには政府が投入した
のを上回る需要の拡大が生じます。相対的に個人の負担が低下したので購入しやすく
なるからです。たとえば、今日の日本には、特別養護老人ホームに入所を希望してい
るのに入ることのできない待機高齢者が約52万人もいるといわれます。介護施設には、
ほかに有料老人ホームやケア付き高齢者向け住宅などかおりますが、いずれも利用料
金が非常に高いために、どうしても料金の安い特別養護老人ホームヘの需要だけが、
突出してしまっているのです。有料老人ホームにもさまざまなものがありますが、お
おむね、個人の利用負担額は月額で18万円程度。それに、入居時に200万~500
万円もの入居一時金がかかります。そこで提供される介護サービスの費用には、介護
保険から9割が支給されるのですが、それ以外の部屋代、食事代、光・熱水料などは
自己負担なので、月の自己負担額が18万円にもなってしまうのです。ここで、もしも
こうした部分に対しても公費による支援をするとすれば、特別養護老人ホームではな
く、有料老人ホームに入りたいと思う人はもっと増えて、待機高齢者の数は減少する
はずです。かりに、介護保険部分とは別に、有料老人ホーム入居者への公費支援を月
に8万円支給するとしましょう。そうすると、個人負担は現状の18万から10万円に減
少しますから、「それなら、有料老人ホームに入りたい」と思う高齢者はかなり増大
すると予想されます(むろん、実際の支援は、個人の年金所得などの額に応じて、高
額の個人所得のある人には少なく、所得の低い人には多く支援することが望ましいで
し上うが、平均として8万円程度と考えましょう)。現在、有料老人ホームの定員の
全国計は約35万人ですが、そこに新たに65万人の高齢者が有料老人ホームヘの入所を
希望するようになり、逆に、特別養護老人ホームヘの待機高齢者はいなくなるとしま
す。  

そうすると、政府の新たな公費負担は、一人あたり月8万円ですから年間で96万円。
これがすでに入居している人と新たに入居する人とを合わせて100万人ですと、9
600億円になります。ざっと、1兆円と見ていいでしょう。この1兆円は、当然、
悦ないし保険料の形で新たに徴収しなければなりません。民間から悦や保険料を徴収
すれば、基本的にはその分、民間の消費支出が減少するかもしれません,しかし、そ
の資金が過少需要財である有料老人ホームサービスの購入支援に投下されると、それ
に加えて民間(個々の消費者たち)から追加的に有料老人ホームサービス購入の消費
支出が生まれます。新規に入居する人だけを考えると個人負担は月10万円ですから年
間にして120万円.これが65万人分ですから、追加的に増大する年間のサービス購
入費は7800億円にもなります。政府の負担増が1兆円で、利用者の支出増が78
00億円。合計で、1兆7800億円もの需要が生まれることになります。そしてこ
れらはすべて、サービスの購入への対価になります。具体的には、家賃はホーム建設
費用で、これは建設業に従事する人や企業への支払いになります。光熱水村は、それ
らを供給している業者への支払いですし、食費は、食事の材料費と料理する人の人件
費です。ただし、それまで自宅で生活していたときの光熱水村や食事代がなくなりま
すから、1兆7800億円すべてが新規の需要にはなりませんが、いずれにしても、
こうした公費による支援政策によって、新たな需要が生まれることは確かです。この
ことは、とくに、民間経済のレベルで全体として需要と供給の自立的な拡大の勢いが
弱い今日の日本にとっては、非常に重要なことです。実際、この20年あまりの日本経
済は、民間における需要の低迷を背景とした、民間投資の低迷が続いてきました。こ
のようなときには、かりに1兆円の税ないし保険料の徴収がなかったとしたら、その
分の資金は民間に残りますが、1兆円分すべて消費や投資に回るとは限りません,景
気が良くないときは、単に預金されて、回り回って、国情購入に回るだけに終わる可
能性が大です。  

とりわけ高齢者向けサービスの場合、多くの高齢者はかなりの預金などの資産を保有
しながらも、将来に自分にかかるかもしれない高額の「介護費用」のことを考えて、
せっせと節約に励んでいるのが現実ですから、今よりも低料金で必ず利用できる介護
サービスの制度が確立すれば、消費ヘの余裕が確実に増大します。さて、ここで、先
ほどの1兆円は消費増税で賄うとし、それによって同じ1兆円を有料老人ホームサー
ビスという過少需要財購入支援に支出するという政策が導入されたとします。そうす
ると、民間の預金に回っていたかもしれない資金から1兆円が税に回りますので、国
債金利に若干の上昇圧力が生じますが、今の日本のように超低金利の時代には、ほと
んど影響はないと考えられます。他方、この1兆円によって、経済全体に1兆780
0億円の需要の増加が生まれます。これは、経済全体を1兆7800億円分だけ拡大
させることを意味します。

必ずこうなるとはいえませんが、しかし、大まかに見て、こうしたことが起こると考
えていいと思います。一般的にいえば、χ兆円の増税によって、需要の顕在化が望ま
しい過少需要財の購入への支援政策が打ち出されるとき、そこには、その需要に対応
する個人からの支出がさらに生まれます。その額をかりにα兆円としましょう。そう
すると、その政策によって、新たにχ十α兆円もの需要拡大が生まれることになるの
です。このようにして、過少需要財への財政支援には、徴税した分を超えて経済活動
を活性化する可能性があるのです。つまり、「増税が経済を拡大させる」ということ
です。これは「増税は国民負担の増大であって、経済にとってマイナスである」とい
う「常識」とまったく逆の事態です。すべてとはいいませんが、多くの社会保障への
支出には、こうしたメカニズムが備わっていると思われます。それは、小さな政府論
が考えている「成長メカニズム」とはまったく異なるものです。次章ではそのことを
さらに詳しく見ていくことにしましょう。,

   
      盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
                 第二章 「小さな政府」イデオロギーの誤り

                               この項つづく

 ● 今夜の一曲

 竹内まりや  最終章

薬師丸ひろ子が1988年に発売したアルバム『SINCERELY YOURS』の1曲として提供し、
アルバム先行シングルとして発表された楽曲のセルフカヴァ。元々そのタイトルの通
りアルバムのフィナーレを飾る楽曲として製作された。この楽曲は竹内まりや作品と
しては実に19年の時を経てのセルフカヴァ発表となり、彼女の作品では最もセルフカ
ヴァされるのに時間がかかった作品のひとつ。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・引き寄せられる混沌Ⅱ

2019年07月08日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                             
5.公冶長  こうやちょう
ことば
-------------------------------------------------------------------------------
全28章のほとんどすべてが人物批評である。  
人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)
「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
-----------------------------------------------------------------------------------
 24 徹生高が正直音だなどとは、とんでもない話だ。酢を借りに来た人に、正直に
ないと断わらずに、 隣から借りて来て体面をつくろったというではないか。(孔子)         〈徹

<微生高〉 いわゆる「尾生の信」の主人公である尾生高と同一人物であるとする説
もある。尾生高は、逢引の約束を守って橋の下で女を待ちつづけ、川が増水してきて
溺死したという(『荘子』
その他)。

子曰、孰謂微生高直、或乞醯焉、乞諸其鄰而與之。

Confucius said,
"Some people call Wei Sheng Gao an excessively honest person.
But I don't think so. When some person asked him for vinegar,
he got it from a neighbor and gave it."




森林再生面積は想像以上に広大

地球はどのくらいの樹木をどこで維持できるのか、そしてそれらの樹木はどの程度の
炭素を貯蔵できるのかを初めて数値化した研究で、大気中の炭素を約25%削減する(
ほぼ1世紀の間にはなかったレベル)に足る樹木を地球は追加で維持できることが報
告された。「森林再生が気候変動対策の一翼を担うのは周知のことであるが、これに
どれほどの効果があるかについては科学的な把握がなされていなかった。この研究は
森林再生が今日有効な最善の気候変動対策であることを明確に示している」と共著者
である」(Thomas Crowther)と話す。樹木は大気中の二酸化炭素)を捕えたり放っ
たりしていることから、広範囲にわたる森林再生は気候変動に対する最も効果的な対
抗手段の1つと考えられてきた。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告
によると、2050年までの地球温暖化を1.5℃内にとどめるにはあと10億ヘクタールの森
林が必要だという。しかし、これらの再生目標が達成可能かどうかは明確になってい
ない。現在もしくは今後の気候条件下でどの程度の樹木被覆が可能か分からないのが
その理由である。



今回これを調査すべく、約80,000におよぶ森林を観察した世界規模の独自のデータセ
ットを地図ソフトGoogle Earth Engineと組み合わせて活用、現状での世界の樹木被覆
可能地を地図化する予測モデルを作った。既存の樹木、農地、都市部を除き、地球の
生態系はさらに9億ヘクタールの樹木被覆を維持できると推測している。それらの樹
木被覆地は一旦成熟すると200ギガトン以上の炭素、言い換えると、人が放出する
炭素の3分の2を隔離することができる。この研究で提示された世界森林再生地図は、
より効果的な世界規模の森林再生目標の設定や、地域規模の森林再生プロジェクトの
指針として不可欠だ話す。関連する見通しでは、現在森林面積が減り続けるとともに
温暖化する地球で森林再生の取り組みもさらに困難になり時間的猶予が短くなる中、
迅速かつ包括的に行動する必要があると強調する。

人類が滅ぶとも、森林はかならず復活するということですか ?









世界初!非侵襲型マインドコントロールロボットアーム

カーネギーメロン大学の研究者らは、スムーズで継続的な制御を備えた最初の非侵襲
的なマインド制御ロボットアームを実証に成功した。非侵襲的ロボット装置制御の分
野で画期的な進歩を遂げました。非侵襲的なブレイン - コンピュータインタフェー
ス(BCI)
を使用し、同グループはコンピュータカーソルを継続的に追跡して追従す
る能力を発揮して、史上初の成功を収めたマインドコントロールロボットアームを開
発。

思考のみを使用してロボット装置を非侵襲的に制御できることは、特に麻痺患者およ
び運動障害の患者の生活に利益をもたらす幅広い用途を有する。
BCIは、脳インプ
ラントから感知された信号のみを使用し、ロボット装置を制御できることが示された。
ロボット装置の高精度制御で、日常のさまざまな作業が代替できるが、今までのとこ
ろ、ロボットアームの制御に成功したBCIは侵襲性脳インプラント方式であった。こ
れらのインプラントは、費用および対象への潜在的なリスクは言うまでもなく、正し
く設置および操作させるには、膨大御な医学的および外科的専門知識を必要であり、
かつ、その事例はほんの数例止まりに限られてた。

BCI研究の大きな課題は、麻痺患者が自分の「考え」を使って自分の環境や四肢を制
でき、低侵襲的または非侵襲的技術展開できる。この非侵襲的なBCI技術の成功は、
多数の患者に、そして潜在的には一般の人々にさえ拡張されうるものであるが、非侵
襲的
な外部センシングを使用するBCIは、ノイズを受信しやすく、低解像度と正確性
が低い制御となる。従って、ロボットアーム制御するには、脳だけを適用するには、
リスクが大きいものとなる。それにもかかわらず、同グループは、新しいセンシング
技術と機械学習技術を使用し、日常的にあらゆる場所で患者を支援できる、より低侵
襲または非侵襲性に注目していた。
チームは脳の奥深くにある信号にアクセスできる
ロボットアームに対する高解像度制御を実現。非侵襲的なニューロイメージングと新
規の連続追跡パラダイムにより、ノイズの多いEEG信号を克服し、EEGベースのニュー
ラルデコードを大幅に改善し、リアルタイム連続2Dロボットデバイス制御を容易にし
た。


非侵襲的なBCIを使用して、コンピュータ画面上のカーソルを追跡しているロボット
アームを制御。ロボットアームがカーソルを継続的に追跡できることを人間の被験者
に示した。ロボットアームが非侵襲的に非侵襲的に動いていたのに対し、ロボットア
ームは脳の命令にぎくしゃくとした不連続な動きでカーソルをなめらかに長くに追従
する。Science Roboticsに掲載された論文で、同チームは操作トレーニング、さらに
は、脳波ソースイメージングで非侵襲的ニューラルデータの空間分解能向上させ、BCI
の「ブレイン」と「コンピューター」コンポーネントを扱い改善する新しい制御法
確立する。

この問題解決の独自のアプローチは、従来のセンターアウトタスクでBCIの学習が60
%近く向上しただけではなく、コンピューターカーソル連続追跡が500%以上向上。
また、安全で非侵襲的なデバイスの「マインドコントロール」の提供で、さまざまな
人々を支援可能なアプリケーションも存在。現在までに、68人の健常者(各被験者
につき最大10セッション)でテスト。これには、仮想デバイス制御および継続的な追
跡するロボットアーム制御が含まれる。さらに、患者に直接適用可能でき、近い将来
臨床試験を実施する。非侵襲的な信号を使用する技術的な課題にもかかわらず、この
安全で経済的な技術の普及に全力で取り組くみ、スマートフォンのように、誰もが利
用できる技術になるかもしれないと話す。



【ポストエネルギー革命序論14】  

 July 4, 2019

東大 ペロブスカイト太陽電池ミニモジュールで20.7%の変換効率

東京大学の瀬川浩司教授らのグループは、高性能低コスト太陽電池として、世界的な
研究開発競争が進められているペロブスカイト太陽電池で、20%を超える高い変換
効率のペロブスカイト太陽電池ミニモジュールの作製に成功したことを公表。従来は
ペロブスカイト太陽電池の直列モジュールでは高い変換効率のものでも18%台に止
まっており、その高効率化が大きな課題であった。その原因は、大面積化によってペ
ロブスカイト太陽電池の部分ごとの性能のバラつき無視できなくなり、低い性能の
部分に引きずられて全体の性能が落ちるため。この研究では、I-Vヒステリシスが極
めて小さく均一な性能を示すカリウムドープペロブスカイト太陽電池(発表者らのオ
リジナル研究)の性能向上と大面積化で、標記の成果を得た。今後は、この技術を瀬
川教授がリーダーを務めるNEDOプロジェクトの参画企業に移転し、実用化を進める予
定。この研究をベースにしてペロブスカイト太陽電池の実用化が行われれば、太陽光
発電の低コスト化に直結し、FIT終了後を見据えた再生可能エネルギーの導入拡大に
大きく貢献する。

❶高性能低コスト太陽電池として、世界的な研究開発競争が進められているペロブス
カイト太陽電池(注1)で、カリウムドープペロブスカイトを用いることで小面積の
単セル(0.187cm2)で22.3%、三直列のミニモジュール(2.76cm2)で20.7%の変換効
率を達成した。
❷これまで、さまざまな組成のペロブスカイトを用いた小面積のペロブスカイト太陽
電池の単セル(0.1cm2以下の面積)で20%を超える変換効率を示すペロブスカイト太
陽電池は多数報告されていたが、大きな面積の直列モジュールで20%を超える変換効
率を示すものは世界的にも全く報告されておらず、本研究で達成した変換効率は、現
時点で世界最高効率である。
❸高性能低コスト太陽電池として、世界的な研究開発競争が進められているペロブス
カイト太陽電池の実用化に道を開く成果である。

お疲れ様でした。感謝

 Anytime, anywhere ¥1/kWh  Era

  

デジタル学習・材料合成でペロブスカイト風の加速開発

【要点】

❶薄膜状の75のペロブスカイト風組成物の調査(鉛フリー)。
❷ディープニューラルネットワークは、ペロブスカイトを0次、2次、および3次構
 造に分類。
❸Cs 3(Bi 1-x Sb x)2(I 1-x Br x9デュアルサイト合金で発見された非線形バンド
  ギャップ挙動




【概要】

世界的なエネルギー需要の増大に対応するためには、新規エネルギー材料の開発を加
速することが非常に重要でありながら挑戦的です。ハイスループット実験(HTE)お

び機械学習技術は、科学研究者にとってますます利用しやすくなっています。ここ
は、75合成の高速合成と機械学習支援データ診断の組み合わせが、我々の研究室
のベースラインを超える実験学習サイクルあたり1桁を超える加速を達成する、ペロ
ブスカイトにヒントを得た材料に関するケーススタディを示します。増加した処理量
と合理化されたワークフローは、このマルチパラメータ化学空間における無鉛ペロブ
スカイトの探索に光を当てる新しい候補光起電力材料の実現を可能にする。我々の研
究は、学習の加速された実験サイクルと機械学習に基づく診断を組み合わせることが、
材料の発見と開発のための完全に自動化された実験室を実現するための重要なステッ
プであることを示している。新材料開発のための実験サイクルを加速することは、21
世紀の大きなエネルギー課題に取り組むために不可欠です。2ヶ月以内に75の特異
なペロブスカイト風の組成物を製造し、特性化した。87%が1.2~2.4eVのバンドギ
ャップを示しており、これは環境発電用途に興味がある。実験用X線回折データに基
づいて化合物を0次、2次、3次元構造の分類のため、完全に接続されたディープニ
ューラルネットワークを利用し、人間の分析より10倍以上速く、90%の精度で分
析。ハロゲン化鉛ペロブスカイトを用いて本研究方法を検証し、その応用を無鉛組成
物に拡張。より広い合成ウィンドウとより速い学習サイクルで、マルチサイト鉛フリ
ー合金の Cs3(Bi1-xSbx)2(I1-xBrx)9の実現が可能になります。 SbとBrとCs3Bi2I9
BサイトとXサイトの同時合金化における非線形バンドギャップ挙動と次元性の遷移
を明らかにする。

デジタル錬金術時代なんですね。



ポストリチウム大容量電池:亜鉛空気電池の二次電池化に資する電解質

【要点】

揮発性と二酸化炭素吸収性を抑えた電解質を開発

❶電池寿命を縮める要因であるデンドライトの発生を抑制
❷長寿命の亜鉛空気二次電池への貢献に期待
❸長寿命の亜鉛空気二次電池への貢献に期待

産業技術総合研究所らの研究グループは、、充放電による劣化を抑制した亜鉛空気二
次電池用電解質を開発。軽量で大容量の次世代蓄電池として亜鉛空気電池が注目を集
めている。特に亜鉛の経済性と安全性、空気電池の軽さを生かしたモバイル機器やド
ローンなどへの利用が期待されている。しかし、これまでの亜鉛空気電池の電解質は
水溶液のため、水が揮発して電解質が劣化すること、またアルカリ性であるため、空
気中の二酸化炭素との反応で酸化亜鉛が生じて、電極の性能を低下させること、さら
に負極では充電時に問題となる樹枝状突起物であるデンドライトが発生すること、
などの問題があった。

今回、電解質に高濃度の塩化亜鉛水溶液である塩化亜鉛水和物溶融塩を用いた。これ
は酸性なので、二酸化炭素と反応しない。また、塩化亜鉛の濃度を室温で液体である
限界まで濃くしたので揮発性が抑制され、同時にデンドライト形成も抑制された。こ
の電解質を用いることで高寿命の亜鉛空気二次電池を実現できた。図1に塩化亜鉛水
溶液の分子配位の濃度依存性を示す。水和物溶融塩(図中ピンク)では全ての水分子
が亜鉛イオンに配位するため揮発性と加水分解性が抑制される。通常、水と接した亜
鉛金属は水と反応して酸化亜鉛や水酸化亜鉛の被膜を形成して電池過電圧を増大させ
る要因となるが、この電解質中では水分子は全て亜鉛イオンに配位するため亜鉛金属
との反応性が抑えられ、被膜が形成されにくく作動電圧を向上させることができる。

図2

アルカリ水溶液を電解質として使用した亜鉛空気二次電池は初回から数回の放電効率
は100 %であるが、その後急激に効率が低下する(図2青)。充放電5回目では初回の
20%%以下の容量しか発揮できない。一方、図2赤に示す塩化亜鉛水和物溶融塩を用い
た電池は初回から10回目までほとんど充放電効率が変化せず、また電圧も低下しない
。二酸化炭素との反応抑制や、揮発性とデンドライト形成の抑制により電極の劣化を
防止できため、亜鉛空気二次電池が長寿命化したと考える。今後は、新規空気極触媒
の開発により、高エネルギー密度、さらに長寿命な亜鉛空気二次電池の開発を目指す。



 

 



【続・引き寄せられる混沌Ⅱ:7040問題を考える】

社会保障保障費増大は「脅威」なのか? わたし(たち)の答えはノーである。今回
手にしている盛山和夫著『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』
(光文社新書)はまさに正鵠を射ており、すべての価値の原泉は”国民の勤労”にあ
り、それを産助するのが政府役割だからである。効率や瑕疵などのリスクを覗いて、
それを”成長”と呼べばよいことになる。それでは、第一章『なぜ社会保障は悪者に
されるのか』から見てみよう。

成長戦略に関わる議論の中には、しばしば「社会保障改革」という言葉 も現れます。
しかし、その言葉が意味するところは、だいたいにおいて 「社会保障費の《削減》」
です。規制緩和を唱える人だちからは、社会保障費の問題に対しては、基本的には高
齢者を対象とする社会保障を抑制したり、削減したりすることで乗り切っていこうと
いう姿勢がうかがえます。一部では、年金の支給年齢を引き上げるといった、実質的
な給付水準の引き下げも検討されています。もし、ふくらむ社会保障費に見合う形で
経済が拡大していかないのなら、社会保障費を抑制するしかないと考えるのは当然で
しょう。しかも、経済学者をはじめとする多くの人たちは、社会保障費が増大するこ
とは、経済成長そのものに対する「阻害要因」だと見なしています。そうだとすると、
社会保障費は国民に大きな不満が出ない程度には、なるべく縮小した方がいい。それ
が「社会保障改革」という言葉で意味されていることの 内実です。



このように国の借金がどんどん膨らんでいく中で、財政における社会保障費が増大し
ていくという状況は、多くの人に「脅威」と感じられています。「恐怖」といってい
いかもしれません,そのため、「何とかして社会保障費の増大を抑えなければならな
い」という考えが強くなるのも、ある意味、当然のことだといえるでしょう。しかし、
はたして社会保障費の増大は「脅威」だと見なされるべきなのか、本当は、そうでは
ないのです。本書では、それとはまったく逆の考え方を示したいと思っています。そ
れは、子育て支援を中心としつつ、それ以外にも、年金、介護、医療などの社会保障
をより充実させることこそが、むしろ日本の長期的な経済発展につながるというシナ
リオです。したがって、「共同子育て社会」という理念を往としながら、高齢者のた
めのさまざまな社会保障をも充実させること、それが少予尚齢化に直面する日本社会
にとって、最も有効的かつ最大の「成長戦略一になるはずなのです。  

     盛山和夫『『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』』


1-1-2 規制緩和を叫ぶ人たち

別の人だちからは、次のような方向でのアベノミクス批判が出されています。それは、
「本当に持続可能な経済成長を達成しようとするのであれば、抜本的な規制緩和によ
って潜在成長率を上げなければならない。それこそが真の成長戦略だ」というような
批判です。たとえば、八代尚宏氏の「規制改革で何か変わるのか」(ちくま新書 2
013年)などがそうです。この人たちは、必ずしもアベノミクスに全面的に反対で
はありません。しかしこの手のコメントは、いねば受験における「模範解答」のよう
なもので、実質かおりません。その証拠には、そもそも「抜本的規制緩和が必要だ」
と答える人で、同時にどんな規制緩和によって、どのように日本経済が長期的に持続
可能になるのかを具体的に示してくれる人はほとんどいません。つまり、「抜本的規
制緩和」というのは「単に言葉の上だけで収まりのいいコメントを発しているだけ」
というものです,結局のところ、アベノミクスを正面から批判する人と、一応は歓迎
だけれども「成長戦略が打ち出せていない」といって批判する人とは、次の点ではま
ったく共通しています。それは、「具体的にどうすれば、経済が一定 の成長を達成し
て、少子高齢化する日本社会の社会保障を充実したものにすることができるか」とい
う問題に対して、何ら答えを用意していないという点です。というよりも、そもそも
「社会保障を充実させるためにも、経済の持続的な成長が必要なのだ」という発想そ
のものがありません。人口減少や少子化で経済が衰退していくのを「避けられない」
と感じている人たちには、「何とかして人口減少や少子化を食い止めよう」という発
想がまったく見られません。また、経済の成長は規制緩和によって可能だと考えてい
る人たちは、社会保障費の増大は、経済成長への大きな障碍にほかならないと考えて
います。

まとめると、社会保障費を抑制ないし削減すべしとする考え方の根本にあるのは、次
の二つです。

A 国の債務残高の大きさは危機的な状況にあり、早急に解決しなければならない。
B 社会保障費支出のために国民の租税負担を増大させることは、経済にとってマイ
  ナスである。

しかしこの二つとも、じつは大きな聞違いなのです。  

      盛山和夫『『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』』   

1-1-6 社会保障は経済にとってプラスになる  

以上まとめると、「国が国民一人当たり846万円もの借金を抱えている」というの
はまったくの間違いで、正しくは、「政府には国民一人当たり846万円の借金があ
るが、国民は一人当たり805万円を政府に貸している」といわなければなりません。
言い換えれば、「政府の借金」=「国民の資産」ということです。こうした事態が消
費者金融の場合と違うのはもちろん、政府債務の貸し手の大部分が「外国の金融機関
や政府」であるようなギリシャや他の多くの国のケースとまったく異なることは、き
わめて明白です,「債務危機」というものがどうやって生まれるか、そして日本では
その可能性はまずないことについては第6章で説明しますが、ここで一つだけ指摘し
ておくと、かりに「政府の借金」の取り立てが生じた場合でも、何の問題もありませ
ん。第一に、その支払いは「政府が発行する国債を日銀が買う」ことで可 能であり、
第二に、「政府が借金を返却した分だけ、そのまま国民の側の手 持ち資金が増える」
だけだからです。

1-2 社会保障への支出は「負担」ではない

本書は、基本的に次の三つの命題を証明していきます。

(1)社会保障の大部分は、じつは経済活動そのものである。
(2)少子化対策への財政支出は、長期的な「投資」である。
(3)政府債務残高の増大は当面、何ら問題はない。ただし、長期的にはプライマリ
   ー・バランスの赤字は解消が望ましい。

以下、これらの命題が正しいことを説明しながら、子育て支援を中心に 社会保障の充
実を基盤とする少子高齢社会日本の成長戦略を述べていくこ とにしますが、本章の後
半では、まず(I)の命題について説明しましょう。

1-2-1「福祉にお金をかけるのはムダ」という思い込み  

なぜ、社会保障費はマクロ経済にとって負担だと考えられてきたのでしょうか。一つ
の理由は明らかです。それは、単に「脱や保険料のように政府によって強制的に徴収
されることは、個人のレベルでは《負担》に感じられる」ということです。ここでは、
「税や保険料が取られる」ということにしか関心が向いていません。しかし通常は(
少なくともまともな政府であれば)、徴収された税や保険料はさまざまな形で国民の
ために使われます。そのことは、ほとんど意識されません。私たちが病気で医者にか
かるとき、医療費の7割は「税と保険料」から支払われます。つまり、政府(と保険
組合)が私たちの代わりにお金を支払っているのです。それは、政府から私たちへの
「給付」です。しかし、私たちは病院の窓口でそうした給付を直に受け取るわけでは
ありませんから、そうした給付があることは通常は忘れてしまっています。そのため、
単に「税と保険料とを取られている」というネガティブな感覚だけが生まれているの
です。

1-2-6 生活保護と年金は、経済インセンティプにプラスになりうる  

同じ社会保障でも、生活保護制度は、それ自体として何か財やサービスの生産・消費
という経済活動を生むものではありません。保護対象者に生活資金が直接給付される
対象者はそれを使って生活するというしくみです。(医療など、一部に間接的な給付
もあります)。この点では、年金も同じです。経済的には、これは「移転所得」にな
ります。親からの贈与や相続も移転所得です。受け取る側から見ると、働いて得た所
得も給付や贈与で受け取る所得も、所得という点では同じですが、一方は経済活動へ
の対価であるのに対して、他方は経済活動を体っていないという大きな違いが存在し
ます,したがって、生活保護や年金については「経済活動に従事して椋いでいる人び
との所得から、従事していない人たちへの強制的な配分がなされている」という言い
方は間違いではありません。このため、生活保護や年金が「経済にとって負担だ」と
いう見方は、医療や保
育・介護の場合よりも、もっともらしく感じられることになり
ます
。  

              ─── 中略 ───

たとえば、雇用の現場では失業保険や労災保険という社会保険制度が存在しています
。これらは社会保障制度の一部です。失業保険制度は何のためにあるかといえば、そ
れはさまざまな要因による失職のリスクヘのセーフティネット」としてです,労災保
険は労働災害や労働に基づく疾病ヘのセーフティネットになります。世の中には、さ
まざまな理由で「働こうとしても働くことのできない人」が多数います。障害を持っ
た人、病気の人、そして高齢の人たちがそうです。こうした境遇に陥ることは、「人
生上のリスク」という側面があります。そうしたリスクに対して、失業保険や労災保
険とは別に、雇用経験の有無に関係なくセーフティネットが用意されているという社
会は、明らかに社会として望ましいことです。では、こうしたセーフティネットを張
ることは、経済にとって「マイナス」でしょうか。おそらく普通に働くことのできる
人にとっても、セーフティネットが用意されていることで、「安心して経済活動に励
むことができる」という側面が大きいのではないでしょうか。そうしたセーフティネ
ットがまったくなくて、万が一、交通事故などで障害者や長斯療養者になってしまっ
た場合、あるいは生まれてきた子どもが障害を持っていた場合、本人はもちろん、身
近な家族や親戚・近隣の人にとっても、生活上の苦難は計り知れないものがあります。
そうした境遇の人と家族に対して支援が用意されていることは、健康に働くことので
きる人たちにとっても、そうした支援制度の整った社会に生きているという安心感に
つながり、経済活動にとってプラスに働くのではないでしょうか。

1-2-7 年金は現役時代への報奨という意味  

年金には、もっと明白に「経済にとってブラス」の面が存在します。そもそも,Pension
(年金)という言葉は、中世ヨーロッパの君主が功績のあった家臣に与えた年金に始
まります。これは「家臣の奉仕インセンティブを高める」ことに狙いがあったことは
いうまでもありません。今日の年金も、その構図を引き継いでいます。つまり、現役
時代における経済活動の功績に対して、退職後に給付されるものが年金です。日本の
近代的年金制度も、もともとの始まりは軍人恩給です。ただし、今日の制度では、何
かの「功績」が評価されて給付が決まるのではなく、単に「現役時代にいくら保険料
を支払ったか」で年金額が決まるしくみになっています。給付のための原資をどこか
ら持ってくるかという問題を別にすれば、年金という制度が「経済活動にとってイン
センティブとして働く」ことは否定できないでしょう。ただし、今日の日本の年金制
度では、このことがきわめて分かりにくくなっています。まず、年金制度の根犯法で
ある「国民年金法」では、「過去の功績に報いるものとしての年金」ということは謳
っていません。その第一条には、「国民年金制度は、日本国憲法弟二十五条第二項に
規定する理念に基き、老齢、障
害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれるこ
とを国民の共同連帯によって防止
し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与す
ることを目的とする
」と書かれていますが、一見して分かるように、一種の「生活保
護」的
な位置づけになってしまっています。

これは、制度の現実からすれば、不適切で不十分な規定だといわざるをえません。な
ぜなら、これだと、実際には「保険料の拠出に応じて年金受給額が決まっている」と
いう現行制度を根拠づけることにはならないからです。また、保険料を拠出すること
には「現役時代の経済的功績」という意昧がありますが、実際の年金の支給において
はどうしても「現在の経済活動から生まれる現役世代の保険料拠出や税拠出を原資と
する」という構造にならざるをえません。過去の保険料からの積立金はありますが、
現実の給付のほとんどはその時点での保険料収入、もしくは税収入に依存しています。
そのため、この面でも「過去の功績に報いるものとしての年金」という性格が見えに
くくなっています。こうした構造のため、年金給付水準の高さ低さは、現役で働く人
にとっては、相矛盾する二つのインセンティブを意味することになっています。その
一つは、「将来の年金給付水準が高い方が、労働インセンティブは高くなる」という
面です。

ここでは「現役時代の功績」が重要な意味を持つことになります。しかし他方では「
現時点で自分が拠出しなければならない保険料や税金が高くなると、労働インセンテ
ィブにマイナスとなる」という面があります。「高齢者になったときの年金受給が、
現役時代の拠出と無関係」になればなるほど、「自分には何の見返りもない、単なる
《現在の高 齢者への(強制的な)贈与》」という意味だけが強くなってきてしまう
のです。しかしここで重要なことは、後者の点だけに目を奪われて、「だから、年金
は経済への負担だ」と結論することはできないということです,たとえば、かりに公
的年金制度がまったくなかったとしましょう。その場合でも、おそらく大企業の多く
は会社内の年金制度を発達させるでしょう。その方が従業員のやる気や忠誠心を高め
る効果があることが確実だからです。しかし、そうした企業年金の実際上の年金給付
は、給付時点での会社の業績に依存します。もちろん、途中でつぶれてしまった会社
からは年金を受け取ることはできません。  

公的年金制度というのは、そうした個々の会社や産業、職業などによる不安定なバラ
ツキをできるだけなくして、社会全体として安定した給付のしくみを構築するという
意味を持っていました。制度が普遍化され、全体化されたため、結果として、「現役
時代における功績への対価」という意味が見えなくなってきたことは事実です。しか
し、その意味は依然として生き続けています。ここから、次のことが明らかでしょう。
「経済にとっては、過剰な年金給付もマイナスだけれども、過少な年金給付もマイナ
スである。拠出負担と年金受給との何らかのバランスの良いしくみこそが、経済にと
ってはプラスになる」  

そして、そのような年金制度は、決して「経済にとっての負担」ではありません
以上のように見てくると、医療や保育・介護だけでなく年金や生活保護にしても、そ
れらにかかる費用を「国民負担」という言葉で表現するのは、おかしいといわなけれ
ばなりません。医療や保育・介護に関しては、それらにかかる費用の大部分はそれぞ
れのサービスヘの購入費であって、そこにはそれら「サービスの生産」が生まれてい
るのです。そして、生活保護と年金に関しては、直接の経済活動を生んではいません
が、基本的には経済的に中立であって「マイナス」を生むものではないと同時に、労
働インセンティブの観点から見ても、適切に運営されれば「マイナス」ではなくてフ
フラス」だと判断することができます。じつは、もともと「国民負担率」という言葉
は、1980年代の
初め頃に日本の官僚たちが思いついたものにすぎません。最初か
ら、何かマクロ経済的に見て理論的な根拠があったわけではないものです。

     盛山和夫『『社会保障が経済を強くする─少子高齢社会の経済戦略-』』

あんちょこ過ぎるが、これだけでも論調が了解できそうである(例えや表現の違和感
は残るものの)。次回は、第三章の 「ちいさな政府」イデオロギーの誤り───に
移る。 

                                この項つづく

 ● 今夜の一曲

竹内まりや  クリスマスは一绪
 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

続・引き寄せられる混沌Ⅰ

2019年07月07日 | 政策論

  

                                                                                                                                                                                                                           
 
5.公冶長  こうやちょう
ことば
---------------------------------------------------------------------
- 全28章のほとんどすべてが人物批評である。  
人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)
「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
----------------------------------------------------------------------------
23 伯夷や、叔斉は他人の仕打ちをいつまでも根にもつことはなかった。だからこ
そ人の恨みを買うこともめったになかった。(孔子) 

(伯夷、叔斉〉 紀元前十二世紀、孤竹国の公子、兄弟で国を譲りあい、ともに国を捨
てて周に身を寄せた。武王が天子たる股の討王を討とうとした際、馬前に諌めたが容
れられず、股が滅びた後は周の禄を食むことを恥じて首陽山に隠れ、わらびを採って
露命をつないでいたが、ついに餓死した。

子曰、伯夷叔齊、不念舊惡、怨是用希。

 Confucius said,
"Bo Yi and Shu Qi did not blame the people for old errors even though they
were honest. So few people had a grudge against them."


【災害時用コンテナ収容型太陽光発電・給湯ユニット開発 金工大】

金沢工業大学は株式会社アクトリー(石川県白山市)と東京大学先端科学技術研究セ
ンタ、石川県工業試験場と連携して、コンテナ収容型太陽光発電・給湯ユニットの事
業化に向けた実証検証を開始。金沢工業大学からはロボティクス学科の土居隆宏准教
授(専門 多脚ロボット)が参画し、太陽の動きを完全追尾できる2軸追尾システムの
構築に取り組みます。これにより、広く採用されている架台式シリコン系発電システ
ムに比べ、年間発電量が最大2倍
近く得ることが可能となる。

この研究開発は株式会社アクトリーが公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)
の平成30年度事業化促進支援事業の採択を受けて2年計画で事業化に取り組むもので、
「iU-SOALA Wilsom(インテリジェンスユニット・ソアラ ウィルソン)」という製品
名で令
和2年度の発売開始を予定。このユニットはコンテナタイプで、搬送・移設が
容易なため、自然災害時の電力供給や給湯対策や野外イベントでの需要等が期待され
ている。

   June 10,  2019 


2018年に新たに肺がんと診断された患者は世界で200万人を数え、同年に180万人が死
亡したと推定される。肺がん患者の約15~20%を占める小細胞肺がんは手術が困難で、
日本での5年生存率は10%未満と低い。発症リスクは喫煙や微小粒子状物質「PM2.5」
で高まる。たんぱく質の「SRRM4」が関わってがん細胞が増殖し、抗がん剤に対する
耐性を持つなど悪性化することが知られている。耐性を持つと治療法がなく、完治が
難になる。

肺がんの中でも進行が早くて治りづらく、再発率も高い「小細胞肺がん」で、増殖に
関わるたんぱく質の合成を抑制する物質を開発したと、大阪大などの研究チームが英
科学誌で発表した。人の肺がん細胞を移植したマウスに投与し、がん細胞が死滅する
ことを確認した。チームは治療薬開発に向け、大型のラットで効果と安全性を確認す
る。

【難治性肺がんの増殖抑える物質「完治に期待」】

このたんぱく質の合成の前に作られる伝令RNA(mRNA)に結合し、分解を促す物質(核
酸)を作製。マウスの実験では、がん細胞を8割程度死滅させられた。投与量を増や
せば、全てのがん細胞を死滅させることも可能だ(研究チーム。大阪大の下條正仁特
任准教授(創薬科学)は「大気汚染がひどい地域などで、早期発見をして投薬治療で
きれば、高い確率での完治が期待できる。一部の乳がんや前立腺がんでも、同じ効果
が見込めると、話す。



【環境化学物質によるタンパク質脱イオウ化が心不全リスク増大の原因】

心不全の新たな予防・治療薬の開発へ


九州大学と生理学研究所は、筑波大学、東北大学および国立医薬品食品衛生研究所と
の共同研究は、メチル水銀(MeHg)の低濃度曝露が心不全の病態を悪化させる分子機構
を解明したと発表。有機水銀の過剰摂取や体内蓄積など、疾患発症の「環境要因」が
問題視されているが、個別の疾病におけるリスク増大のメカニズムは未解明な点が多
かった。

同研究グループは、心不全の増悪につながる「心筋細胞の早期老化現象」と、その引
き金となる「ミトコンドリアの異常分裂」に着目し、低濃度MeHg曝露マウスを作製し、
心臓のストレス抵抗性や心機能低下(心不全)などを評価するとともに、心筋組織にお
いて起きている分子メカニズムの詳細解析を行った。その結果、MeHgがミトコンドリ
アの分裂を促進するタンパク質を「脱イオウ化」し、ミトコンドリア分裂と圧負荷に
よって誘発された心不全の悪化を誘発することが明らかとなった。タンパク質ポリイ
オウという物質量を指標───MeHgはミトコンドリア分裂促進タンパク質Drp1のシス
テインポリイオウ鎖と反応し、脱イオウ化することでミトコンドリア過剰分裂を誘導
すること、ポリイオウ鎖の保護によりMeHg心毒性を軽減できる───とする、心不全
の予防・治療法の開発に寄与する成果となる。

すごいですね。




【ジョージ・ソロスら 米国政府は富裕税制の導入を!】

米国で最も富裕な人々の間から、連邦富裕税の導入を求める声が上がっている。この
新税導入を唱えているのは、著名投資家のジョージ・ソロス氏、富豪一族のレーガン・
プリツカー氏とアビゲイル・ディズニー氏、フェイスブック共同創設者のクリス・ヒ
ューズ氏ら。所得格差に対処するとともに、気候変動や公的保険に関連した問題への
対策資金捻出のためこの税が必要だと主張。匿名の1人を含む19人の個人は6月24日、
インターネットで署名入りの書簡を公開。共和党であれ民主党であれ全ての大統領候
補者に、米国人のトップ0.1%に相当する最富裕層、つまりわれわれの資産に適度
な富裕税を課すことを支持するよう呼び掛ける、とし、新たな税収源は米国の中所得
層や低所得層ではなく、最も資金的に恵まれた層からであるべきだと訴えた。

   

【続・引き寄せられる混沌Ⅰ:7040問題を考える】

21世紀初頭の日本の政治課題と言えば「将来の不安」に集約されるらしい。しかし、
50年前のわたし(たち)も「将来の不安」はあったのので、現在のそれは「贅沢な
不安」であり、「貧困と格差」は実体は異なっていても当時もあった、が。信じられ
ないほどの「長寿社会」「急速な少子化」「技術革新─急速なデフレ・労働環境急変・
生活環境の激変或いは欲望の膨張と疎外感の蔓延─高度資本主義・消費社会の欲望」
による。

このように、現在日本は、恣意的自由が保障され、就労した職場がある大卒の非正社
員が、結婚せず親の家で)"パラサイト"或いは"引きこもり"しながら、年金積み立て
振り込み親にさせている(両親がいない、欠けている─尤も、裕福な家庭の実子/養
子などは例外)。さらには、幼い頃から高度な職業訓練教育を受けられない障害者や
社会的弱者が生涯にわたり最低限度の経済的保障を受給し全うできるような安心でき
る将来像をもてずにいることは容易に想像できる。そこで、「将来不安はどこからく
るのか」と「問題解決が可能か}を自問し、鬱蒼とした現在の暗部に踏み入れよとし
たものの、いかんせん、目先の課題に没頭するあまり、暗中模索状態にあり、まずは、
吉本隆明著『貧困と思想』(青土社、2008.12)を水先案内に手にする。

 Aug. 4, 2008.

今の日本は4~5年前から第二の敗戦期とも呼べるような状況になってきたんじゃな
いか、と。食うや食わずの貧しい時代が近づいている感じがする、と。同時に親子・
家族間の殺人事件が目立って増えてきたが、これは資本主義勃興期に肺結核が国民病
となったように、高度な資本主義社会となった日本の社会から受ける無形の圧迫によ
って、鬱病が増えてきたからだが、今の大衆は本当の飢えを知らない。貧困の中での
子育ても知らない。まだ比喩的な要素が強いが、プアだということに文句を言っても
らえる労働組合もダメになってしまっていることも大きな問題だし、ワーキングプア
の現状が打破できない絶望感が蔓延している。そんな中で斡旋屋に引っ張り回される
『蟹工船』に共感していると。プロレタリア文学の小林多喜二の作品の中で最も良い
作品が『蟹工船』で、作品自体としてみた場合、珍しい主題で面白く書いたという域
は出できず、世界的なレベルの作品、例えば定年の年齢に差し掛かった団塊の世代を
中心に読まれきずていて80万部も売っている新訳の『カラマーゾフの兄弟』なんか比
べると落ちる。この本がが読まれるのも、おなじような将来に対する不安があるから
だが、今の若者にとって、同時代の作家で村上春樹の作品よりも小林多喜二の方が切
実なのは事実かもしれない。グローバル化の問題のひとつは中国政府が疎開政策をと
っていて、安い賃金で中国労働者を先進国の企業に提供して、上前をハネているとい
う巨大な斡旋屋となっているが、『蟹工船』や『カラマーゾフの兄弟』
が読まれてい
るのはなんかの変化の兆だろうと述べ、吉本の言語論が展開する。曰く
、沈黙。ネッ
トやケータイでいくらコミュニケーションをとったって、ホンモ
ノの言葉を捕まえた
という実感は持てないんじゃないか
。若い詩人や作家の作品を読
んでそれを感じる。
そして、言語はコミュニケーションの手段や機能ではない。それは枝葉の問題であ
って、根幹は沈黙。沈黙とか、内心の言葉を主体として、自己が自己と問答するこ
と。自分が心の中で自分に言葉を発し、問いかけることが、まず根底にあり、友人
同士でひっきりなしにメールで、いつまでも他愛のないおしゃべりを続けてていも、
葉の根も幹も育たない。それは貧しい木の先についた、貧しい葉っぱのようなも
のなの。本質は沈黙にあるということ、そのことを根底的に考えること。だと述べ
ている。

  


わたし(たち)は、新自由主義の考察と批判とポスト・ケインズ主義政策の考察と
その出口戦略「双頭の狗鷲論」をブログ掲載している。貧困の考察には次のな書籍
があるが、ここでは、まず新自由主義とは何だったのかをおさらいする。



ケインズ主義と新自由主義の対比、新自由主義に襲われた国では、新自由主義的蓄
積の矛盾は財政危機となってあらわれる。前章までにみた日米欧における財政危機
は、このことを物語るものであった。この財政危機は、ケインズ主義が支配的であ
ったときのそれとは違った性格をもって進行しているものである。本章では、まず
この点に目を向けるところから、もっか最大の争点である消費税増税問題を検討し
ていくことにしたい。財政危機とは、さしあたり、財政の収支ギャップが拡大し、
国家財政が赤字に陥るところから生まれる。収支ギャップの拡大という点に注目し
ていうと、ケインズ主義の時代の財政危機は、主として財政支出の膨張に起因する
ものであった。これとは対照的に、新自由主義が財政危機を深化させる主要因は、
収入(歳入)面に求められる。よく知られたイメージでいえば、ケインズ主義は財
政支出の拡大を許容して「大きな政府」を呼び起こすが、新自由主義はケインズ主
義を批判して、「小さな政府」を志向する。「小さな政府」化はまず公共部門の縮
小や財政支出の抑制によって進められる。そこで、新自由主義が支配的になると、
仮に収支ギャップが拡大し、財政赤字が増えることになったとしても、それは支出
の膨張を主たる要因とするものではなくなる。むしろ、税収(歳入)不足の方か問
題になってくるのである。
 
ケインズ主義が財政支出の膨張を呼び起こすのは、恐慌、不況、失業、貧困等の経
済・社会問題にたいして、過剰な生産能力にたいする民需の不足を公需(公共部門
の有効需要)によって補う方向で対処しようとしたからであった。恐慌・不況期と
は、過剰設備・資金が遊休状態のまま放ったらかしにされている時期にあたる。こ
のとき、ケインズが着眼したのは、公共部門が過剰資金を公債発行で吸い上げ、そ
れを再び民間市場に投入してやれば、過剰設備・労働力が再稼働しはじめ、不況を
脱出することができる、というルートであった。このルートは、ただし、赤字公債
の発行に道を開き、財政インフレを呼び起こす。一度財政インフレに火がつき、イ
ンフレがインフレを呼ぶという悪循環が開始するや、財政支出は税収増を上回るス
ピードで膨張する。これがケインズ主義的財政危機の構造であった。だが、新自由
主義は公共部門そのものを市場原理の妨害物とみなすから、財政支出の膨張には強
力な閂をかける。市場原理にたいするフェティシズム(物神崇拝主義)を出発点に
した新自由主義は、市場原理とは異質な公共原理を敵視する。公共部門とは市場機
構にたいする異端、邪魔者、妨害物、百歩譲っても必要悪のものにすぎない。なぜ
なら、公共部門の存続を支える租税がそもそも財産権の侵害だからである。近代市
場社会のもとでの租税とは、所得税にせよ資産税にせよ、いずれも私的所有(財産
権)を侵害するものにほかならない。市場原理の守護神役としての新自由主義に課
せられた歴史的使命は、この租税を可能な限り縮小・制限・限定することにある。
こうして、ケインズ主義が 有効需要に着眼していわば財政支出第一主義に向かった
のにたいして、新自由主義は、市場原理に適合的な税制改革第一主義に走る。とこ
ろが、市場原理に適合的な新自由主義的税制改革は、近代の租税国家原則の壁にぶ
つかる。

                    二宮厚美著『新自由主義からの脱出』
                    第三章 はじめに─租税国家の危機

「消費税=社会保障目的現化」のもとでは、社会保障財源に所得・資産現等の一般
財源があてられる場合とは違って、大衆課税としての消費税だけが充当されるため
に、社会保障の理念・制度に変質が進行する。なぜなら、泊費税は社会の構成員す
べてが貧富の差なく、消費に比例する水平的公平方式で負担するものだからである。
ここでは、たとえば累進所得税を財源にした社会保障とは異なる社会保障像があら
われる。念のために指摘しておくと、野田政権が進める消費税増税は、完全な「消
費税=社会保障目的税化」路線上で進められているのではない。社会保障目的とは
単に飾りとしてその言葉が使われているだけで、実際には、「消費税=社会保障目
的税」の定式は潰え去ったとみてよい。その理由は、次の四点による、

①そもそも消費税の社会保障目的鋭化には原則上の無理があったこと、
②谷消費税=社会保障目的税」化の延長線上では早々に消費税率の二〇%台への引
 き上ヒが避けられなくなること、
③当面予定される五%の消費税率引き上げだけでは緊急に必要とされる杜海保障財
 源すらまかなえな いこと、
消費税引き上げ分にたいする分捕り合戦が政権内、国・地方間、省庁同等で進ん
 ことである。

これらによって、完全な「消費税=社会保障目的税」はいったん破綻した。この点
を確認したうえで、いまここで重要なことは、新自由主義義路線上では、民主党政
権であろうと他のいかなる政権であろうと、社会保障財源には消費税が最も適切で
あり、また消費税財源しかありえない、とする方向になお向かわざるをえないとい
うこと、つまり「社会保障財源=消費税]という形式だけは残り続けるということ
である、この場合の消費税とは、国民すべてが負担する税金とされ、これによって
担われた社会保障は国民すべてが負担を分かち合うものとなる。では、国民のすべ
てがその負担を分かち合う社会保障とは、いったいいかなるものか。それは、平た
くいえば。「みんなのためにみんなでっくり、みんなで支えていく」社会保障像と
いうことになるだろう。この社会保障像は、実は、一九九五年の社会保障制度審議
会「社会保障体制の再構築(勧告)」(九五年勧告)が描き出したものである。同
勧告は、「社会保障制度は、みんなのためにみんなでつくり、みんなで支えていく
もの」と説明した。みんなで負担する消費税が担う社会保障像とは、まさに、この
「九五年勧告」が描写した社会保障、すなわち「社会連帯としての社会保障」にな
るのである。「一体改革」は、「みんなのためにみんなでっくり、みんなで支えて
いく消費税]と「みんなのためにみんなでっくり、みんなで支えていく社会保障]
とを直結させたのである。いま注意しなければならないことは、この「九五年勧告
」は、戦後日本の社会保障制度審議会「社会保障純度に関する勧告」([五〇年勧
告])以来の社会保障像を転換したものであった、ということである。「五〇年勧
告」は、憲法の生存権保障規定にもとづき「生活保障の責任は国家にある」、また
社会保障制度については「国自らの責任において、この制度の実施に当ることを原
則とする」と述べ、一言でいえば「人権としての社会保障」の理念をうちだしたも
のであったが、「九五年勧告」はこれを「社会連帯・互助としての社会保障」に切
りかえたのである。「社会保障・税一体改革」は、「九五年勧告」を起点にしたこ
の「連帯・共助・互助としての社会保障」像を継承し、それを裏打ちする財源とし
て「社会保障目的税としての消費税」をあてた、といってよい。たとえば、「一体
改革」に向けて厚労省が提出した文書「社会保障制度の方向性と具体策(ニ○一一
年五月)は、社会保障制度の考え方を説明して、次のように述べている。「①自ら
働き、自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという「自助』を基本とする
こと。②生活や健康のリスクを、国民間で分散する『共助』が補完すること。③『
自助』や「共助』では対応できない困窮に直面している国民に対しては、一定の受
給要件の下で、公的扶助や社会福祉などを『公助』として行う。」この文書にそく
していえば、社会保障とは「自助」を補完する「共助」にもとづくものというのが
厚労省の見解である。したがって、この見解にそくしていま求められる課題とは、
「共助を重視した社会保障の機能強化」にならざるをえない。ここから、「一体改
革」では、「消費税=社会保障目的税化」と一体になった「共助としての社会保障
の機能強化」が打ちだされる。その具体策は、❶社会保険方式による社会保障と、
税方式による社会保障(ここでは租税だけでは担いきれないとして、❷「新しい公
共=市場化」が用意される)との二系列にそって提示される。

社会保険分野における保険主義の強化

第一系列は、「消費税=社会保障目的税」があてられる社会保険分野における共助
機能重視路線
である。社会保険における共助機能重視とは、社会保険に潜む保険原
理の強化、すなわち保険主義化にほかならない。というのは、そもそも保険一般が
市場社会における共助・連帯の産物にはかならないからである。保険一般は、社会
保険であれ民間の生命・損害保険であれ、確かに「みんなのためにみんなでっくり
、みんなで支えていくもの」という性格をもって生まれたものである。その限りで、
「一体改革」がいうように、そもそも保険はすべて、共助・連帯の産物にほかなら
ない。そこでいまやその保険に内在する原理が強化されなければならない。通常、
保険原理と呼ばれるものには、

①拠出主義原則(保険料を拠出しない者は排除する)、
②収支 相等の原則(保険財政全体で収入と支出のバランスをとる)、
③給付・反対給付均等の原則(保険料の負 担額に見合って保険金を給付する)、
④保険技術的公平の原則(保険料はリスクの高低を反映させて個別的 に決める)

の四つがあるが、社会保険の保険主義化で特に問題になるのは、前二者の「拠出主
」と「収支均等原則」である第一の拠出主義とは、国保科未納者から保険証を取
りあげる例が示すような、保険料を支払わない者を社会保険から排除することであ
る。これが強化されると、保険料を支払わない者は、医療・介護・年金等のいずれ
の社会保険を問わず、そこから排除される。

第二の収支相等原則とは、保険財政全体において「保険料収入」を「保険金支出」
に合わせること、収支のバランスをとることである。端折っていえば、赤字をださ
ないということである。したがって、この原則が強化されれば、赤字をださないた
めに保険料を上げるか、もしくは保険給付水準を引き下げるか、そのいずれか、ま
たは両者が同時に進むことにならざるをえない。「消費税=社会保障目的税化」が
付けくわえることは、社会保険の収入が「保険料プラス消費税」になり、支出面に
おいて保険給付がその「保険料プラス消費税」の枠内に封じ込められることになる、
という違いでしかない。つまり、当面、医療・年金・介護の社会保障給付は「保険
料プラス消費税」の壁のうちに封じ込められるということである。ここでは、国民
内に「低水準の社会保障でがまんするか」、それとも「高い保険料・消費税をがま
んするか」のがまん比べ競争が組織化され、社会保障拡充の期待に冷水が浴びせか
けられることになろう。

                    二宮厚美著『新自由主義からの脱出』
          第四章「消費税=社会保障目的現化」による社会保障の変質

今回は上記二ヵ所を抜き書き掲載することで、「租税国家の危機」と「社会保障制
度の変質」をピックアップすることで「格差拡大社会」の特徴を炙り出してみた、
財政運営の指標の「目標インフレ率」のように「ジニ係数」のように日本独自の「
目標格差係数」など編み出すことも”デジタル制度評価”として毎年測定すること
も有効だろう。
                               この項つづく                            


                      


【アラスカを覆う異常気象、アンカレジで31℃を記録

米大陸北部のアラスカ州アンカレジで独立記念日の4日、観測史上最高となる。
31.6℃を記録。国立測候所によると、この気温はアンカレジの空港で観測された。
1969年6月14日の記録を上回る同州史上最高の暑さとなる。年を上回る暑さは
来週いっぱい続く見通し。国立測候所アンカレジ支部によると、先月の平均気温は6
月としては観測史上最高の15.8℃を記録、同地で観測を始めたのは65年前の19
54年。平均気温は6月までの16カ月連続で平年を上回り、6月の30日間は全日、
平年を超えている。同州は6月、記録的な乾燥にも見舞われ、雨量は平年のわずか6
%にとどまり、このため州内各地で山火事が相次ぎ、州消防当局は一部の地域で花火
の販売や使用を禁止。雷が原因で6月5日にスワンレイクで発生した火災では、大量
の煙や雲が発生し、今週に入ってアンカレジなどにも影響が及んだ。火は今もくすぶ
り続けており、週末にかけても影響が続く見通し。異常気象は乾燥や猛暑にとどまら
ない。アラスカ気候評価政策センターによると、例年であれば5月下旬までアラスカ
全土を覆う氷は、今年は3月に消失。国際北極研究センターによると、ベーリング海
では南風で氷が急速に解けて気温が上昇。この地域で海上の気温がこれほど高くなっ
たことはなく、アラスカ北部や西部では、気温が上昇して6月の記録に近付いている。

 

ソニーから新しい完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」が発表。もちろん、ノイズキ
ャンセリング搭載
です。ソニーならではのノイキャンや音質も気になりますけど、
れだけじゃ決められないのが完全ワイヤレス
。マルチメディア(視覚×聴覚)のトッ
プランナーは健在だ!

 竹内まりや - ラスト・デイト

ロッカバラードナンバーは竹内まりやのメイン名ストリーム。打ち込みまれた歌詞は
タイトル通り最後のデートについて語られている。

●今夜の寸評:温暖化が進むと切れやすくなる?

韓国への輸出規制発動、国際捕鯨委員会脱退は政府のミスリード。そのうち関係国で
親衛隊が組織化され出口なき経済戦争(ブロック経済)→武力戦争と発展するかも。

   

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

価値と勇気ある廃棄

2019年07月05日 | 政策論

    

                                                                                                                                                                                    
5.公冶長  こうやちょう
ことば
----------------------------------------------------------------------------------
全28章のほとんどすべてが人物批評である。
 人に禦る(あたる)に口給をもってすれば、しばしば人に憎まる」(5)
「道行なわれず、俘 (いかだ)に乗りて海に浮かばん」(7)
「回や一を聞きてもって十を知る。賜や一を聞きてもって二を知る」(9)
「われいまだその過ちを見て、内にみずから訟むる者を見ず」(27)
------------------------------------------------------------------------------------------
22 陳の国で孔子は言った。
「さあ、一刻も早く故郷へもどろう。あそこには、若者たちがわたしを待っている。あふれる意欲を
もてあましている若者たちが。色あざやかな布地は織ったが、仕立て方がわからぬ若者たちが」

〈陳の国〉 現在の河南省の中部に位置した弱小国。孔子は三桓の勢力をそごうとして失敗し、五十
六識のとき魯を去って諸方の国を歴訪する。ふたたび魯に帰ったのは六十九歳のときである。その問
二度ほど陣に行っている。

子在陳曰、歸與歸與、吾黨之小子狂簡、斐然成章、不知所以裁之也。

Confucius said in Chen, "Let's go home, let's go home. The young in our hometown have great ambitions as if they
were gorgeous fabrics. But they seem not to know how to cut them."





【ソーラータイル事業篇:日の丸発電舗装商用化】

NIPPOはMIRAI-LABOと共同で、太陽光で発電する舗装システムを開発。NIPPO総合技術センターの敷地
内で試験施工を実施し、耐久性や発電効率───同モジュールは、2018年11月にさいたま市の
NIPPO総合技術センター構内で試験施工を実施。総重量6t車クラスを含む車両を日々通行する
環境で約6カ月経過したが破損は生じておらず、発電量も日差しが強くなるとともに増加───を確
認済み。同社によると、太陽光発電機能を組み込んだ舗装の開発は国内初。2022年までに実用化を目
指す。開発した太陽光発電モジュールは、フィルム状の太陽電池と配線、表面を保護する透明なプラ
スチック板から成る。既設のアスファルト舗装に接着剤代わりの樹脂モルタルを塗って不陸を調整し
その上に太陽光モジュールを貼る。発電した電気は、専用の蓄電システムに取り込む。道路周辺の街
路灯などに電気を送る。蓄電システムは取り外しが可能な小型バッテリーを複数備えて、災害時にバ
ッテリーだけを避難所や医療施設などに運んで、非常用電源として使うこともできる。

日本でこのアイデアは記憶では1990年後半にだされていたが、実用に向けてオランダなど欧州で
2010年代前半に実証試験が行われている(ブログ掲載済み)。いまでは、「多機能舗装事業」と
して展開されつつある。タフな環境条件下の発電舗装はでは難しく、積雪・凍結対策を盛り込んだ開
放型駐車空間や高速道路空間として展開させるのが上策となろう


【特許事例:特開2018-145611 舗装構造体 株式会社NIPPO】

【概要】

太陽光発電は、燃料を必要とせず環境負荷が少ないクリーンな発電方法として、近年注目されている
発電方法である。太陽光発電に用いるソーラーパネルは、一般に、建築物の屋根・屋上、広大な平地
等に設置されているが、土地を有効活用するため、車道または歩道に設置することが検討されている。
例えば、特許文献1では、太陽電池を防弾ガラス・プラスチックなどで包みブロック化して車道また
は歩道に設置することが提案されている。

しかし、ガラス、プラスチックなどは、その表面が滑らかで摩擦係数が小さいことから、太陽電池を
ブロック化して車道または歩道に設置すると、車両がスリップしたり、歩行者が転倒したりしてしま
う。この際、ブロックの表面に凹凸を設けることが考えられるが、多少の凹凸を設けただけでは、車
両のスリップや歩行者の転倒の発生を防止することは困難である。このため、車道や歩道に設置して
も車両のスリップや歩行者の転倒の発生を防止することができるとともに、太陽光発電機能を有する
舗装構造体が求められている。

舗装構造体1は、ソーラーパネル2と、保護層3と、を備えている。舗装構造体1は、その上面(保
護層3の上面)が車道または歩道のような舗装体4と面一となるように、舗装体4に埋設されている。
保護層3は、ソーラーパネル2上に形成され、その表面の全てまたは一部は、凹および/または凸形
状を有することで、車両のスリップや歩行者の転倒の発生を防止することができるとともに、太陽光
発電
機能を有する舗装構造体を提供する。 

【符号の説明】  1  舗装構造体   2  ソーラーパネル   3  保護層   4  舗装体

【実施形態】

図1に示すように、本発明の舗装構造体1は、ソーラーパネル2と、保護層3と、備えている。舗装
構造体1は、その上面(保護層3の上面)が車道または歩道のような舗装体4と面一となるように、
舗装体4に埋設されている。このソーラーパネル2としては、太陽光を受光して発電する機能を有す
る、一般的に用いられるソーラーパネルを挙げることができる。ソーラーパネル2は、例えば、複数
の太陽電池を接続し、封止材、裏面材、支持板で保護されている。太陽電池の発電部としては、単結
晶シリコン、多結晶シリコン、銅・インジウム等を用いた化合物半導体などが挙げられる。封止材と
しては、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコン樹脂
等の樹脂が挙げられ、耐水性に優れた樹脂であることが好ましい。裏面材としては、ポリフッ化ビニ
ル(PVF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、無機材料(Al、
SiO)等が挙げられ、耐候性、耐水性、電気絶縁性、耐久性(引張強度、伸び強度等)、耐薬品
性に優れたものが好ましい。支持板としては、透光性を有する強化ガラスや強化プラスチックが好ましい。

ソーラーパネル2は、硬質舗装体(アスファルト舗装体やコンクリート舗装体)上に設置されること
が好ましい。舗装構造体1が車両荷重に耐え、部分的な変形(わだち)による破損を防止できるため
である。なお、ソーラーパネル2には、ソーラーパネル2で発電された電力を送電する送電機構(例
えば、分電盤や変換機)が接続されており、各ソーラーパネル2で発電された電流が集約され、電力
を分配する機能を有する分電盤を介し、電気機器や商用電力系統等へ送電される。また、必要に応じ
て、変電機により発電した直流電力を交流電力に変換する。また、ソーラーパネル2には、ソーラー
パネル2で発電された電力を蓄えるバッテリーが接続されている。このため、ソーラーパネル2で発
電した電力の蓄電が可能となり、電力を外部へ安定して供給することができる。

保護層3は、ソーラーパネル2上に形成されている。保護層3は、ソーラーパネル2の発電効率を低
下させないために透光性を有する材料により形成されている。また、保護層3は、ソーラーパネル2
を車両の荷重や油などの外的要因から保護するものであり、保護層3上を走行する車両や歩行者から
の荷重に耐え得る材料により形成されている。保護層3に好適な材料としては、樹脂または強化ガラ
ス製パネルあるいは硬化型液体樹脂等が挙げられる。また、保護層3は、その表面の全てまたは一部
が凹形状および/または凸形状を有している。保護層3の表面の全てまたは一部に凹形状および/ま
たは凸形状を有することにより、保護層3の表面の摩擦係数が向上し、車両や歩行者のスリップを防
止することができるためである。

保護層3の表面の凹凸形状は、例えば、舗装用カッターを用いて、保護層3に溝を複数設けることに
より形成することができる。保護層3に形成する溝は、保護層3の厚さの1/3〜1/4程度である
ことが好ましい。また、保護層3の表面に、砂や小径の鉄球などの研磨剤を吹き付けるショットブラ
ストを施すことにより、きめ細かな凹部を形成してもよい。



ここで、保護層3の表面のBPN(滑り抵抗値)は40以上であることが好ましい。BPNが40以
上であると、保護層3の摩擦係数が向上し、車両や歩行者のスリップを防止しやすいためである。な
お、BPNは、ASTM  E303に準ずる方法で測定される。このように構成された舗装構造体1
は、ソーラーパネル2上に、その表面の全てまたは一部が凹形状および/または凸形状を有する保護
層3が形成されているので、車両のスリップや歩行者の転倒の発生を防止することができるとともに
太陽光発電機能を有する舗装構造体1とすることができる。

なお、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。例えば、保護層2の表面に接
着層を設け、接着層の表面に凸部材を設置することで保護層2の表面に凹凸形状が形成されるように
してもよい。凸部材としては、道路の滑り止めとして一般的に使用されている珪砂、格子状の樹脂製
品、強化ガラス、ゴム等が挙げられ、ソーラーパネル2の発電効率を低下させないように透光性を有
するものであることが好ましい。接着層を設けることにより、容易にスリップ防止形状を形成するこ
とができる。(後略)




【化石燃料発発電所、二酸化炭素排出量削減目標を達成するにはすでに多すぎ】

既存施設の今後の排出量を試算、控えめに見ても超過─価値と勇気ある廃棄を

発電所や工場、車両、建物。新たな研究によると、化石燃料を燃やすこれら既存の設備や装置が耐用期間
いっぱい稼働するだけで、世界の平均気温はパリ協定の努力目標である1.5℃を超えて上昇することがほぼ
確実だという。7月1日付けで学術誌「ネイチャー」に論文を公表(「化石燃料は不可?───―最新温暖化
研究の驚くべき提言,  ナショナルジオグラフィック日本版サイト, 2015.01.15)。研究の結果は衝撃的
で、気温の上昇を1.5℃にとどめるには、化石燃料を燃やすインフラをこれ以上作ってはならないだけで
なく、予定を早めて閉鎖すべき場合もあると結論づけるが、現在建設中あるいは計画中の発電所も多いの
が実情(「地球温暖化、目標達成に残された道はギャンブル」ナショナルジオグラフィック日本版サイト
、2019.03.22)。
-----------------------------------------------------------------------------------------


経済モデルを用いた英国ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)による研究結果。二酸化炭素排
出量の目標を満たす化石燃料の利用制限が地域別にパーセンテージで示されている。(EMILY M. ENG,
NG STAFF. SOURCE: C. MCGLADE AND P. EKINS. NATURE)

----------------------------------------------------------------------------------------

電気、エネルギー、交通、住宅、商業などのインフラ設備が2018年時点で排出する二酸化炭素の総量
。そして、各設備の平均的な稼働年数をもとに、こういった施設や装置から今後排出される二酸化炭
素の総量を見積もる。論文の共著者で、米カリフォルニア大学アーバイン校のスティーブン・デイビ
ス氏は、私たちの研究はこれ以上ないくらいシンプル。知りたかったのは、2018年時点で、これ以上、
化石燃料を燃やす設備を作るとどうなるか、ということと話す。

電気、エネルギー、交通、住宅、商業などのインフラ設備が2018年時点で排出する二酸化炭素の総量
そして、各設備の平均的な稼働年数をもとに、こういった施設や装置から今後排出される二酸化炭素
の総量を見積もったところ、たとえば、新しい石炭火力発電所なら、耐用年数を迎えるまでの40年間、
毎年数百万トンの二酸化炭素を排出する。毎年4トンの二酸化炭素を排出する新車であれば、耐用年
数を15年とみると、総排出量は合計60トンとなる。一部の二酸化炭素は森や海に吸収されるが、大半
は大気中に残る。そして、これを回収する技術を使わない限り、数百年にわたって熱を蓄え続ける。

デイビス氏らの見積もりによれば、既存インフラがその一生のうちに排出する二酸化炭素量を合計す
ると、約6580億トンになるという。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、温暖化を1.5℃以
内に抑制する確率を50%以上にするには排出量5800億トン未満に抑えなければならないと算出して
いるが、これを780億トン上回っている。

すでに大気中に排出された二酸化炭素の量を国別に見れば、一番多いのは米国だ。しかし、今後の排
出量では中国が圧倒的に多くなり、全体の41%ほどを占める。米国とインドがそれぞれ9%、EUが7%と
続く。中国の経済は近年になって急速に発展しているため、これから長期にわたって稼働する新しい
発電所や工場が多いことが原因だ。研究によると、中国の石炭火力発電所は稼働からまだ平均で11年
しか経っていないが、米国の石炭火力発電所は40年に近い。 

デイビス氏らの研究は、二酸化炭素の発生源をすべて網羅していない───たとえば、農業や、森林
採などの土地利用の変化に伴う排出量は含まれていない───これらによる排出は合計排出量の24%
を占め、さらに、化石燃料を地中から掘り出す際に大量に排出される二酸化炭素も含まれず、カナダ
のオイルサンドから石油を採掘するには、同国が産出する天然ガスの3分の1近くを燃やす必要があ
る。この研究では、現在建設中または計画中となっている石炭やガス、石油を燃やす発電所からの排
出量も試算している。これらが計画通り稼働すれば、世界の二酸化炭素排出量は8460億トンにまで跳
ね上がる。しかも、これは発電所だけの数字だ。化石燃料を使用する車両、建物、工場など、今年以
降に完成する新しいインフラが排出する二酸化炭素の量は見積もられていない。

ノルウェーの国際気候環境研究センターで研究責任者を務めるグレン・ピーターズ氏は、再生可能エ
ネルギーは急成長しているが、年々拡大し続けるエネルギー需要に対応できるほどではない。それで
も、気温上昇を1.5℃か2℃以内にとどめるには、化石燃料を燃やすインフラを予定より早く閉鎖する
以外にない
ことは、ほぼ間違いないと、指摘している。


July 1, 2019

石炭やガスを燃やす発電所を数百カ所、ひょっとしたら数千カ所閉鎖しなければならないが、それ以
外にも選択肢はある。広大な森林を回復させ、二酸化炭素を大量に回収できる高価な装置を導入し、
再生可能エネルギーの開発をいっそう早めるといった方法を、すべてを組み合わせなければならない
だろう。論文によれば、発電所と鉱工業は二酸化炭素排出量の75%を占めているが、化石燃料を燃
やすインフラの資産価値で見れば、わずか20%に過ぎない。論文は、こういった設備を予定より早
く閉鎖するのが、経済的にもっとも効率のよい解決策だと結論づける。


植物の乾燥耐性と洪水耐性のトレードオフ

気候変動下での作物の改良に重要な発見

7月1日、岐阜大学の研究グループは、植物の冠水耐性に必要な遺伝子が乾燥・干ばつ耐性とトレー
オフの関係を持つことを、モデル植物シロイヌナズナにおける分子生物学的手法を用いて明らかに
した。
それによると、近年世界的に豪雨と極端な乾燥が入れ替わりながら頻発する現象が問題となっ
ている。例えば、研究チ ームに加わったインド工科大学グワハティ校が所在する北東インド地域は
その典型と言え、このような 地域での作物の生産性を上げるためには、乾燥ストレス耐性と洪水(
冠水)ストレス耐性の双方を強化する ことが望まれている。

本研究の中心メンバーである岐阜大学と理化学研究所が、2007 年に発見したZinc Finger 型転写因
子であるSTOP1(ストップワン;Sensitive TO Proton rhizotoxiciy1)は、アジア・アフリカで問
題となる酸性 土壌環境での生育に必須な遺伝子群を転写制御することに加えて、洪水耐性にも必須
であることを最近明らかにした。この STOP1はコケ、イネ、タバコなどの陸上植物に保存され、植
物の陸上適応に無くてはならない重要な転写因子であると考えられています。

ところが、今回の研究ではシロイヌナズナにおいては、STOP1 を不活性化すると乾燥耐性が向上する
ことが明らかにした。これは植物の陸上適応の進化の理解を深めることと、地球温暖化を見越した作
物の品種改良戦略に重要な知見を与える発見です。

Sensitive To Proton Rhizotoxicity1 Regulates Salt and Drought Tolerance of Arabidopsis thaliana Through
Transcriptional Regulation of CIPK23




まず、植物の陸上適応進化は湿潤な環境で始まったと考えられていますが、これを成功させるには洪
水(冠水)耐性に加えて、湿潤地域では土壌が酸性である場合が多いため、酸性土壌耐性を持つこと
が必要になる。つまり、STOP1 は陸上適応には必要不可欠であると考えられるが、これは全ての陸上
植物がSTOP1を有することと矛盾しない。一方、湿潤な環境から乾燥する環境に進出する際にはSTOP
1により負に制御 される乾燥耐性は、阻害要因となりうると考えられ、乾燥地適応のために植物は、
これを解決する必要があったと考えられる。

その機構を調べることで植物の陸上適応の仕組みの理解が進むことが期待できる。このように本研究
成果により、洪水耐性と乾燥耐性が同じSTOP1で制御され、トレードオフの関係にあることがわかり
ました。冒頭で述べたような豪雨と極端な乾燥が起こる地域での作物の生産性をあげるためには、今
後、STOP1が制御するようなトレードオフを回避する育種戦略を見つけることが重要であると考えら

れる。例えば、STOP1 遺伝子の発現
を、特定の組織(例えば気孔)で抑制するような品種改良を行う
ことが考えられる。

※人為的温暖化の抑制が上策とすれば、このような植物育成技術は応用展開につながる中策にある。

  ● 今夜の一曲

竹内まりや Never Cry Butterfly

スロー・ラヴのB面曲であり、ピカデリー・サーカスのカヴァー。あまり邦楽をカヴァーすることのな
いまりやだが、「自分が作っていない曲で自分らしい曲」としてこの作品を取り上げたという。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする