身の安全を第一に
表紙が漫画なのでこれまで読んでいませんでしたが、暴力や金銭の問題が関係することの多い依存症に
長年関わってきた著者のものらしく、中身はしっかりしたものでした。
河合隼雄氏等のもののように、深い知識でクライアント個人に関わろうとするものとは違い、
実際の関わりで必要性から身につけたらしいことを書いておられました。
「生け簀で自由に泳がせて生け簀ごと望ましい方向に移動させる」というのは、様々な生活上の困難や、
配偶者などの暴力から、クライアントを何とか逃れさせるには必要なスタンスでしょう。
一部の「カウンセラー」の人たちは、周囲の人たちがカウンセラーとして機能すればいいので、
心の専門家は要らないと主張していますが、暴力やお金のことが関わると
大抵の人は関わることを止めますので、いかに生活や治療の両面に関わる専門家が
必要なのかが解ります。
一般的な心理臨床よりも、身の危険にさらされることの多い依存症やDVに長年関わってきた
著者だから書けるものでしょう。