マチンガのノート

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「内省型の精神病理」 湯沢千尋 その2

2015-08-13 01:07:33 | 日記
著者が取り上げる症例は、「当たり前のことが解らない」
周りがなぜそうしているのかが解らない、などだが、
本人は、親などから温かく世話をされて、養育者がそうしているのだから
そうしよう、そうすることで仲良くしよう、という体験なしに
不安と恐怖から周りに言われたことを断片的に取り入れて振る舞い、
行動する以外が無かったので、
著者のように、「運命共感的態度」で、ゆったりと脅かさずに接すると、
周りがなぜ、自然に不安も見せずに、普通に様々なことを
しているのかが解らないと言うのではないのだろうか?
自然に振舞う、というのは、養育者に甘えて、自然に取り入れる
から不安無くできることで、世話をされて安心する体験が少ないと
単に不安と恐怖から行動するのみで、なぜそうしなければならないかは
本人には解らないのではないだろうか?
もちろん養育者が関わろうとしても、小林隆児氏の取り上げているような
親世代自身の愛着の不安定さから養育者も上手く甘えさせることが出来ずに、
安定した関係が成立しないという面があるのだろう。
現在、発達障害の特徴として、自分の興味のある話を一方的にする、
状況に合わない言動、行動をするというのは、発達の初期から、
周りに甘える、仲良くするという体験をしていないために
周囲と安定した関係を作り、ゆったり周りを感じるという部分が
未発達なことが大きな要因だろう。