マチンガのノート

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「レジスタンス」 ドイツ映画 2006年

2014-08-26 23:59:27 | 日記
第二次大戦末期、主人公の少年は14歳で、軍務補助員かなにかで
ドイツ軍に徴兵される。
家族も本人も、ソ連の侵攻をなんとせねば、と考えている。
しかし、ろくに装備も与えられず、まともに組織化もされていない。
そして蛮行をやり放題なソ連に対して降伏をして、飢えているところに、
ソ連軍の将校から
「ソ連軍の士官学校にこないか」と誘われて入る。
その後、軍務を終えてから、西側の情報を集めるためにスパイとして
イギリスに行かないかと勧誘され、ロンドンに行く。
ソ連側の一員として、ロンドンでスパイ活動をしているのだが、イギリスの防諜部もそれを利用し、
「過激派が大規模な事を計画している」などと上部に誇張して報告して
予算を多く得ようとしている。
イギリスの防諜部も、直接的な暴力を使った拷問はしないが、
いろいろエグイ事をやる。
そしてソ連側に「誰それが寝返った」などの偽情報をつかませて、
主人公がイギリス側に亡命せざるを得ない状況に追いやる。
主人公は下宿の経営者の娘のアフリカ系の女性とメキシコに行くが
そこも昔だれかが、ソ連に殺された所なので、見知らぬ男たちが来ると
自分たちを狙ってきたのかと思い、警戒する。
主人公が亡命して、アフリカ系の女性と共にメキシコに来るというのは、
アフリカ系ならソ連の手下ではないだろうとの、差別意識も織り込んでいるのだろう。
 第二次大戦後の状況として、少し位酷い事をしても、
ソ連よりはましだろう、とのことで、様々な事が黙認されてきた。
チリのクーデターなど、その一つだろう。
ソ連が無くなって、「酷い事はとにかく止めよう」とはならずに
状況依存的に何事でも行われる様になった。
ソ連に対して、むやみに理想化したりして、その蛮行を語るというのを
様々なメディア、知識人がしなかったのも、その原因の一つではないのだろうか?