平城京を懐かしむ平城天皇の『萱の御所』、いまの不退寺。
車が行き交う大通りからも南門を望むことができるが、
この門に一歩またいっぽと近づくにつれて徐々にタイムスリップ、
知らぬ間に平城の昔に吸い込まれていくような気分になる。
この寺は通称業平寺で通っている。
平安貴族で六歌仙の1人、在原業平が住まいしたという。
ご本尊の聖観音菩薩立像は、業平の理想の女性像で
自身の手で彫り上げたと、寺の説明に記されている。
また、本堂を真正面から見ると格子柄の幾何学模様が印象的だ。
なぜか親しみを覚える。上段の菱の形に組んだのを“業平格子”と呼ぶそうだ。
そういわれれば浴衣などの柄として使われているお馴染みの格子縞の柄だ。
格子柄には、典型ともいえる碁盤柄や市松模様それに千鳥格子など
いろんな柄があるが、一枚業平格子を加えておけば
スーパープレイボーイの業平と同じように女性にもてもてになるかもしれない。