多くの中国人が住む神戸に、三国志の英雄・関羽を祀る中国寺院がある。
関羽の故郷は塩の産地で、商いをする者ととりわけ縁が深い。
関羽の功績を称える関帝廟は、神戸の華僑にとって拠り所でもある。
しかし、関帝廟案内の小冊子の関東に注目すべき指摘がある。
芥川賞作家の陳舜臣が寄せた巻頭エッセイ。大意を紹介する。
「武運拙く墇水のほとりで敗死した関羽、この世に怨念を持った
悲劇的な武将として知られている。
関羽と戦った呂の総帥・呂蒙は、戦いの直後に病死し、
副将も1ヶ月たたぬうちに死んだ。
同盟軍の曹操が死んだのは、関羽と々日だった。
いずれも怨霊にとりつかれて死んだことになっている」
日本でも“怨霊鎮魂”と指摘される寺は少なくない。
「聖徳太子は丁未の変で殺害した物部守屋の怨霊に悩まされ、
大和朝廷は大国主命の怨霊に怯え、
また東大寺大仏を造った聖武天皇は長屋王の祟りに、
桓武天皇は見殺しにした弟・早良親王の亡霊に苦しんだ」という。
いずれもその祟りを恐れ死霊を抑えるため
巨大寺社が建立され手厚く葬られている。
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