como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

龍馬伝 感想再録 第47話

2010-12-30 23:27:49 | 過去作倉庫07~10
 はい、今週は、日曜日に出かけてたので1日遅れのレビューなんですけど、見終わって、「見なきゃよかった…」と思いました。先週のすばらしい冴えたテンションを記憶に残したまま、最終回につないだらよかったんだわ。個人的に。
 じっさいのとこ、先週がプレ最終回で、本最終回は余韻って感じでも、それなりにまとまったんじゃないかな。大政奉還は、最終回のアバンででも処理して。それなら、この龍馬伝も、名作…とはいわないまでも、まあ、全体ならして平均やや上、くらいの線に落ち着いたかもしれませんのに。
 とかくプレ最終回というのは、1年にわたる作品全体を格上げもするし、ダメにもする。わたしの揺るがぬ持論なんだけど、最終回じゃなくてその一個前がすごーくよく出来てる大河ドラマは、ドラマを貫く背骨がシッカリとした、いい出来のドラマなんです。逆に、大事なプレ最終回がメタメタ、脱力、あるいは、説得力のない主人公マンセーに終始するよーなドラマっていうのは…
 あー、もう、残念。去年の暮れ、あの「天地人」の終盤に付き合いながら、来年は、来年は!ってあんなに期待したのにねえ。まさか1年後の暮れに、「去年の方が笑えるだけマシだったかもな…」などと、肩を落としてプレ最終回を迎えるとはねえ。
 ってことで、もう、見なかったことにしたいのは山々なんですけど、「龍馬伝」プレ最終回は、「大政奉還ぜよ」。…えっ違う? いや、なんか「薩長同盟ぜよ」と甲乙付け難い出来だったもんだから、いっそ「ぜよ」つけて、今週駄作ですって明示してくれりゃよかったと思って。そしたら見なかったのに。
 あーもう、愚痴ばかり無駄に長くなるけど、とりあえずいってみます、プレ最終回、

第47話「大政奉還」

 なんか、今週は、まともに見られたシーンが1秒たりともなかった気がする。全体的に、しょーもねえぇぇぇーーーーっっっ!!と座布団投げたくなる話でした。 …といっても、なにから突っ込んだらいいのかな。困ったな。
 先週、山内容堂様に書いてもらった大政奉還の建白書を、後藤象二郎ちゃんは、永井玄蕃守尚志に提出。これが二条城で大論争を巻き起こし、ちまたでは、ええじゃないかええじゃないかええじゃないか…と民衆が踊り狂い、龍馬は、「やることはやった、あとは野となれ山となれ」と泰然としております…という流れ。
 このへんは、まあいいんだけど、だんだん話が変になっていくんだよね。龍馬が、永井尚志の籠のまえに土下座して、足尾銅山の田中正造みたいに直訴するとか。んで、その直訴の内容がよくって、「山内容堂様に大政奉還を書かせたのはこのワタクシですきっ!」と自己PR。さらに永井様のお籠のまわりを新選組が、それも局長近藤勇(直参旗本若年寄格)が自ら率いて土方・沖田の3トップでボディガードやっちょる。なんじゃこりゃ。
…とまあ、絵的にもう、まともに見られる世界じゃなかったので、せっかくの石橋蓮司の出演も無駄遣いに終わったな、って感じ。
 ここで龍馬のが、永井様は勝麟太郎先生に、沈む船の船長が取るべき行動は乗組員の救助だと教えたはず、沈む徳川の船長たる慶喜公は、徳川家と幕臣のことを考えて行動なさるべきではないか、となんかアツヒメみたいなこと言って説得するわけです。まあ、理屈はわかるけどこれ、とつぜんアツヒメが憑依したのかと思うような失笑もんで、後半でてくる龍馬の理屈と180度矛盾する。行き当たりバッタリも同じ回のなかでコロコロ変わると、なんだかもー、説得力もなにもあったもんじゃないわな。
 こんなヘンな世界じゃなかったら、永井さんが大政奉還についてマジに考え込んで、最後龍馬に「出てけ」っていうとこなんか、渋くて迫力あっただろーにねえ。

 で、龍馬の熱いプレゼンで心を打たれた永井様、上様に大政奉還をオススメします。大政奉還について考え込んだ上様は、二条城に、在京諸藩の家老や重役たちを招集し、大政奉還について具申する…という流れになるんですけども、まあ、突っ込んでもしょーがないと思いつつも、ここでの大政奉還が思いっきり奇麗ごとっつーか…。日本を再生させ、内戦を回避するための上様のご英断、って話になっているのが失笑もんだ。
 いや、べつに、上澄みだけすくえばそー解釈できんこともないけどさ。そこにいたる、たとえば諸侯合議制の構想とか、土佐が大政奉還を建白すればそこで主導権を握れるとか、いっしょに主導権を握るために慶喜を抱きこんだ、みたいな大人の事情のハナシは、一切スルーなんだなこれが。
 んで、二条城での会議のシーン。ここで思いっきりデジャヴったのは、2年前に同じ、二条城大広間で、あの小松ナヨゴローが、目え血走らせて「上様ご英断を!!」とかなんとか大演説をかましたんだ。それを一言一句…とはいわんが、まあほとんど同じよーな奇麗事を、こんどは後藤象二郎がかます。オリジナリティはどこにあるんでしょうね。っていうか、大政奉還が日本の平和と子供たちの明るい未来のため、みたいなオハナシにすり変わるってのが、もはや定番と化したといえばいいのか。なんかヤダなそーゆーの……。

 で、どっちかといえばここは、篤姫のナヨゴローさんのバージョンのほうがはるかにマシだったんではないかと思う。あっちの上様のほうがだいぶ腹黒い、計算してる感じがありましたもんね。かたやこっちの上様は、なんかむちゃくちゃナイーヴで、ガラスのように繊細なお方。大政奉還後の政治的な計算も打算もなーんもなく、ダイレクトに、日本の平和と明るい未来と子供たちのために大政奉還してくだされ、でなきゃあんたは人間じゃない!みたいに迫られて、進退窮まって、脂汗流して決断するわけですよね。んなわけねーだろ…ってか、ある、とゆー世界なんだここは。
 しかもその、大政奉還に揺れる二条城のもようが、逐一実況されて、リアルタイムで巷に流れる。「上様が人ばらいをしたなう!」「後藤象二郎が大政奉還をおすすめしたなう!」ってツイッターのタイムラインみたいに。
 なんか、時代劇がメタメタになっていくのは、こーゆー、時間空間の扱いのぞんざいさもあると私は思うんですけどね。時代が激動しているスピード感とか、臨場感は必要かもしれないけど、そこにいる人たちが、ふつーに携帯とかで連絡とりあってそうに見えたら、やっぱりドラマ世界として失敗だよ。

 そんなことで巷が大揺れになっているとき、龍馬はのんきに、酢屋の二階でとぐろをまきながら報せを待っています。お星様を見上げて「早く船出したいの~」とか言って、唐突にイメージは海に飛び、うっとりと目を閉じて顎を仰のかせるとゆー得意のキメポーズで…。
 はい、お楽しみいただけましたかファンの方。よございましたね。これもその筋むけのサービスかもわからんけど、プレ最終回の貴重な時間をさいて、いまさら見たくもないPV要らん。

 なんかもう、書いていると気持ちがすさむので、このあとの脱力ショーのことは、できるだけ淡々とまとめたいと思います。
 なんか、この後半20分くらいの間に、1年にわたる「龍馬伝」の、しょーもない部分の精華を見たような気がしたな…。ほんとに、良いとことダメなとこの落差が極端なドラマだったけど、その、ダメなところの集大成をプレ最終回で見せられるってのも、感慨深いものがあった。
 龍馬のとこに、チョーお久しぶり、5ヶ月ぶり以上?の勝先生が訪ねてきます。で、大政奉還について、徳川家が無くなるってことは徳川家によっていた二万人(だっけ?)が路頭に迷うってことなんだ、そーゆー責任を考えないのか、というんですが、龍馬はサッパリと「そーゆー人らも百姓町人と一緒に働いて食い扶持を稼いだらええ」。
 それはまあ、それで筋は通ってると思いますが、前述の、永井尚志に言ったせりふと矛盾するよな。でも勝先生は、龍馬が永井様に「徳川家の温存のためですぜ」みたいな二枚舌を使ったことを知らないので、おお~っ、言いやがったね~、みたいにスゴイ感心してくれる。
 そしてそこに、慶喜が朝廷に大政奉還をした、とゆー報せが入るんですね。勝先生は号泣し、龍馬お前はなんてスゴイ奴なんだっっ!!たったひとりでこの大仕事をなしとげちまったぜおい、すげーすげー、と大絶賛。龍馬グダ泣きして、違います先生、仲間が支えてくれたからですきに!!ありがとう、ありがとうみんな!!!
…もう、なんにもいう気しない。龍馬伝のしょーもない精華、とゆーのはここのとこだ。歴史がすべて、福山龍馬のほうをむいて、福山龍馬を支えためにあるものは斃れ、あるものは敗れ、あるものは説得されて改心し、そして、みんなの力で生き残った龍馬は、世界に向かって雄たけびを上げる。
「新しい日本の夜明けぜよーーーーーー!!!」
 これは止めを刺された。そうか。そうなのか。…これがやりたかったんですね要するに。…あああ……。

 まあ、それでも見られたシーンをひとつ上げれば、龍馬の「大政奉還」の言葉を信じて銃の在庫を売りぬいた弥太郎が、大もうけをしながら、「ワシは龍馬を信じてしまったんじゃあ!!!」っつって、悔しさに身もだえするところ、かな。
 あとは…まあ…。このあと、またぞろ新選組がニギヤカシに出てきて、「近藤さん、人斬りはもう止めえ」みたいなこと龍馬が上から目線で言うとことか、勝先生が「こいつを斬ることはオイラが許さねえ!!」かなんか言って、自分は「勝麟太郎安房守だっ」って、その名乗り方はいくらなんでもヘンだろ、とか…いろいろあるけど、もうホントにいいや。
 だってあと一回だもんね。改善の余地があるじゃなし。それにしてもこれ、去年の天地人の大河史を飾る脱力プレファイナル「大坂城炎上」とどっちがマシか、よく考えてみよう!ってなもんですわな。
 できれぱ来週の最終回は、「龍馬伝」の、こんどは逆にすばらしかった部分の精華をみせてくださることを期待したい、と思うけど…。 .