como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

龍馬伝 感想再録 第40話

2010-12-17 19:57:10 | 過去作倉庫07~10
 はい、いよいよ終盤、40話台にはいりましたけど、今週は…今週は…
 す、素晴らしいじゃないのおーーぉーおーーおーおーぉー…(エコー)
 いや~ビックリした。もう、このダラダラペースで近江屋二階まで回をつぶすんだろと思ってあきらめてたから。今週はすごい緊迫感でビシッと決まり、ほとんどツッコミどころもなく、主役の龍馬も文句のつけようがなかったです。
 うれしかったな~これは。しかも、高杉次郎さんのサヨナラ公演が先週じゃないってこともわかったしね。来週、ちゃんと豪華なグランドフィナーレがあるのよ。それもうれしいけど、なにしろ、この清風邸会談の流れが迫力満点、まったく落ちないテンションで、史実的にもまずまずに仕上がっていたのが嬉しかった。
 このクオリティを薩長同盟で出してくれてれば…と思うんですけどね。肝心要の薩長同盟があのザマで、清風邸会談がこのハイクォリティって、やっぱバランス変だけど…まあいい。龍馬伝が、あとは駄作大河の殿堂入りにまっしぐらに進むんじゃないとわかっただけでも、今週は満足。
 それにつけても、今週のめっけものは、後藤象二郎。青木崇高さん。思った以上の大器でしたね、この人は。演技力があり、スケールも大きく目力があって、ヒョロヒョロしたイケメンと一線を画する。渡辺謙や阿部寛の後継者として、NHKさん大事に育ててほしいです。
 
 第40話「清風邸の対決」

 先週で長州戦争が終わり、負けた幕府の威信は地に落ちてます。幕府直轄の長崎奉行所でも動揺は大きくて、長州戦争に参戦したと思われる坂本龍馬と亀山社中を、草の根分けてもひっ捕らえるのだあ!!…と長崎奉行がキレて怒鳴りまくっておりますが、御上に楯突く畏れいったる不届き者坂本龍馬、「何としても捕らえよ!やつには幕府のお膝元長崎の地は踏ません!!」…って矛盾してますけど、言ってることが。とりあえず、長崎の地を踏んでくれなきゃひっ捕らえもできないじゃん(笑)
…っとまあ、幕府関連の描き方は、トップから末端に至るまであいかわらずバカみたいです。今週から15代将軍になった慶喜さん、この「将軍になった」って言い方も、そのへんの零細企業の社長になった程度の軽い扱いで、そこに訪ねてきたフランス公使のレオン・ロッシュが、会計事務所とか銀行屋さんとかみたいだわ、「いまこそフランスの力をかりて、この国を治めるのが幕府だとゆーことを天下に知らしめるのだあ」とか言ってガハハ笑いする慶喜が、しみじみショボいわ…。ま、それはいまに始まったことじゃないけど。このバカ殿っぷりは、消臭プラグ(って覚えてます?)の上を行くわね。
 まあ、幕府と傘下の長崎奉行所の描写がバカっぽいと、龍馬の身に迫る脅威もあんまり感じられず、迫り来る危機感みたいなものも薄くなってしまうという難点はありますわな。主人公を持ち上げるために敵をアホに貶めると、結局こういう逆効果を生みます

 といっても、今週の嘆きどころはそのくらい。
 少し前から、土佐商会の運営を任されている弥太郎は、業績がふるわず、苦悩しているわけです。そんなとこへ、土佐から、大殿・容堂公の密命をうけた後藤象二郎ちゃんが長崎にやってきます。
 この、容堂公が、薩長に接近するために後藤を長崎に差し向けた、ってこれがやっぱり、乱暴な感じはしますわね。流れとしては、容堂公が失脚する前に参加していた列公会議で、幕府とともに列公の合議制で政治を運営していく構想が前提にあって、それが長州戦争後に再浮上するわけですよね。薩摩からのアプローチもあって。そこらへんの政治的な動きがまったく無視され、ただ容堂様が高知城の隠居部屋で酒を飲みつつ、エスパーのように風を読んで行動を起こした、みたいに描かれているのが無理な感じがしますし…なんか、時代の大局みたいなものが感じられない。まあ、そういうのは今までも適当でしたけど。史実は適当に端折れば、ややこしい幕末史が分かり易くなるってもんじゃないというのは、このドラマをみててつくづく思ったことでした。
 ま、それはともかく、象二郎ちゃんです。10キロも目方を増やして貫禄をつけた象二郎ちゃんは、業績不振の弥太郎を怒鳴りまくって、なんとしても方法を考えや!!と無理なことをいうのですが、弥太郎は…龍馬を通せば薩長とのつなぎもうまく行く、とわかっていながら、それを口にできない。やっぱり、プライドもありますからね。この弥太郎の脂汗を流してのプライドとの戦いが、実にもう切々として(笑)。
 まあ、象二郎ちゃんが、町人の小曽根乾堂とか大浦お慶を呼んで、「薩長とつなぎを付けたい、協力しろ」って迫るのもなんだか強引…だけど史実なのかな。わかんないな、そこは。
 そこで、坂本龍馬の名前を聞いて、地雷を踏まれてしまった象二郎ちゃん。その脳裏に、叔父の東洋様暗殺とか、土佐でボコボコにされた屈辱の記憶が蘇ります。どっかーんと地雷大爆発して、さぁかぁもぉとおぉぉぉ~お~お~!!!…ハアハア…と、めちゃくちゃ暑苦しく怒りに震える象二郎ちゃん。恐怖に震える弥太郎。クールに見ている小曽根さんとおお慶さん。このコントラストが絶妙だったな~ここは。

 このように、主役いがいの演技が良いと、このまま龍馬出さないでほしいわ、このクオリティ下がるから、…とかつい癖で思っちゃうところですが、すっすみません、今週は、龍馬出ても下がりませんでした! いやよかった。もう~、やれば出来る子なんじゃないの。
 象二郎ちゃんから「坂本を探せ」と無理なことを言われた弥太郎は、長崎じゅうをくまなく探し回り、グラバーさんやなんかにも聞いてまわるのですが、誰も「知らない、関係ない」の一点張り。キレた弥太郎は、丸山で、お元を座敷によんで自棄酒を飲みます。
 ここでお元の悲しい過去が語られるわけです。貧しい親に置屋に売られ、親は自分を売っても平気だった。こんな世の中は大嫌い。幕府が潰れて世の中ひっくり返ったら面白かですぶぁい!!みたいなことを、ちょっと蓮っ葉な口調で言うお元の色っぽいこと色っぽいこと。
 んで、この場面のBGMが、フラメンコのロンデーニャというメロウな曲調なんですね。そこから「弥太郎~」といって龍馬がヒョコっと登場するとこで、パキッとタイトな4拍子リズムのタンゴに転調します。このBGM使いが、もう、ムイフラメンコで。すっごい痺れた。
 龍馬は、しっぽく料理をバクバク喰いながら、後藤象二郎に会うよ、と言います。象二郎とサシで話をしてみたいし。ヤツが昔のことを根に持つようなチンケな男か、次の時代を背負ってたつ人材かも見極めたい。そういう龍馬がふてぶてしい感じで、ここは大変良かったですね。久しぶりに福山龍馬をイイと思ったわ。

 その間、バカ社中亀山社中が長崎奉行所に事務所を荒らされて大騒ぎしたりとか、まあこれはどうでもいいけど、あと、忘れちゃいけない下関で療養中の高杉さん、愛妾おうの登場シーンもあります。
 あくまで武力倒幕に固執する桂コゴちゃんに、「坂本さんは戦争回避と言ってて…」と龍馬を擁護する次郎さん。そんなとこで血を吐きながら龍馬をヨイショしなくてもいいと思うが…このとき、高杉さんの声が力なく掠れてるのに激萌えしたわ。すごいきめ細かい役作り。もっとこのシーン見てたかったけど(オイ)、あ、でも今週の主題は、このあとの清風邸会談ですので。
 龍馬が清風邸につくと、出張コンパニオンとして借り出された芸者お元が待っています。龍馬とお元に迎えられてドスドス登場したどすこい象二郎は、エラソーな上から目線で、「ホントならおまんは捕らえられて首をはねられてるとこじゃけんど、おまんはに使えるきに勘弁しちゃる。大殿様の御為に、薩長と土佐の橋渡しをせえや」と言うわけですね。
 ですが龍馬は、土佐勤皇党を弾圧して、武市さんや以蔵を殺した大殿様のためになんで骨折らんとならんがですか、お断りします、と。何い~!とブチキレる象二郎ちゃん、そーゆーお前はこの場で命がないぞ!
「いえ後藤様にも命がありません、とゆーのは、亀山社中の連中がいまこのときもこの料亭を取り囲んでいるからで」ということで、抜刀した亀山社中の連中が写るんですけど、このバカ社…いや亀山社中が、いままでそんな殺気を見せたこともない牧歌的なおマヌケ集団だったので、ここで象二郎ちゃんがギクッと青くなるのにイマイチ説得力がない。
 ま、とりあえず亀山社中の威嚇に守られて、ってことで龍馬は悠々と、大政奉還について語り始めます。
 薩長に土佐が加わって徳川家を脅し、朝廷に政権を返上させる。薩長だけだと迫力不足だけど、ここに土佐が加われば迫力は倍増!!…この提案に、びっくらこいた象二郎ちゃんは、「あ、アホかおんしは。慶喜公と大殿様は仲良しながじゃぞ!!!
 仲良しって…(笑)。いや、仲良しかどうかはともかく、藩祖一豊公いらいの恩義が、土佐にとっては最大のネックなのですが、「だからです!!」と龍馬。ここで、伝統的な親幕藩の土佐がくわわれば、武力倒幕を牽制するストッパーになる。そして、平和的に政権が移譲されたあと、土佐は新たな政府で重きを成して、我が世の春を謳歌するでしょう…。
 と、この甘い誘いを深く考えた象二郎ちゃん、抜刀し、にらみ合う上士団と亀山社中の真ん中に仁王立ちし、「刀を納めや!!!」と一喝します。
 いや、この、刀を納めや!!ってね、かつて若き龍馬が、上士VS下士が一触即発のなかで敵陣に乗り込んでいったとき、亡き東洋様が発した一言だったのよね。上士にむかって、下士に向けて抜いた刀を納めろ!という。それを、甥の象二郎ちゃんが再び口にだす。それは、ひとつの理想の達成なんですよね。ドラマの大きな循環を感じ、痺れたシーンでした(そういう意図はなかったかもしれないけど)。

 そして、象二郎ちゃんは、「政権交代した暁には、土佐がいい席を取ると約束しろ」と龍馬に迫り、龍馬はその代償に、亀山社中を土佐藩と対等の扱いの藩関連機関と認めさせ、ふたりはギラギラと目力を戦わせながら「シェイクハンドじゃ!」と手を握るわけです。
 このシェイクハンドじゃ!ってのも、いままでだと寒く感じたところですけど、象二郎ちゃんの目力素晴らしいわ。西欧の握手っていうのは、男ふたりが、友好的な気持ちがあるなしは別に、利き手に武器は持っていませんよ、あなたに害意はないですよという意思表示にやったもんだという、そのルーツも納得できるというね。たいへん良いシーンだったです、はい。
 といっても、まあ、ここで上士と下士がシェイクハンドして、これが龍馬の理想が達成された瞬間じゃった…って? 結局龍馬が目指したのってそーゆーレベルのユートピアってことなのかしら、と…。そこはまあ、多少寒く感じないでもなかったが。

 さあーて来週の龍馬伝は、いよいよ高杉さんサヨナラ公演千秋楽。海に浸かった姿に、予告篇から萌え萌えです。ま、予告だけはスゴげなのは、このドラマの一貫したもんですが…。来週もまた見てくださいねえ~~。