como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

龍馬伝 感想再録 第43話

2010-12-26 16:28:06 | 過去作倉庫07~10
いよいよ最終回にむけて話が煮詰まってきましたけど、今週も良かったです。やっと安心して見られるようになりました。…って遅すぎ…。
思うにこのドラマ、民放だと3ヶ月1クールぶんのテンションを、びろりーんと中伸ばしして1年の尺にした、くらいのボリュームなのかなあ。昔の大河ドラマのように、1年の尺におなか一杯胸いっぱい、詰め込んではいないような感じをうけます。もちろん、龍馬って人の人生がそんなに長くないのも間延びがする理由のひとつなんでしょうが、それならそれで、もっと有意義に詰め込めるはずのものが…。
 今週は、船中八策と薩土盟約の話。女の人はほぼ皆無。それでよかよか。大河ドラマの、とくに史実的に重要な回は、女は黙って物陰、くらいのほうが座りがいいって、やっとわかってきたようね。
 ところで、今週のアバンは、将軍慶喜が薩摩・越前・土佐・宇和島の四候を二条城に呼んで会議を開く場面なんですが、すみません、ボーッと見てたんで確信無いんですけど、ここんとこで「土佐藩主・山内容堂」とか「薩摩藩主・島津久光」とかいうテロップ出なかったですか。ギョッとして思わず目をこすったんだけど…ま、まさかね(今更言うまでもないけど、この四人は誰も藩主じゃないし)。まさかそんな超ベーシックな間違いを、NHK大河ドラマでやるはず無いと思うけど…なんだか、サルでも解る歴史の基本情報さえ信用できない。どうだったんだろう。気になるわ。情報お待ちしてます。(*)
 あと今週の見ものは、最後の呼び物として登場した大久保利通・及川光博なのですが、これがまた…いや、そこはじっくり後述しますよ。

(*) 直後に確認情報頂いてます。テロップの肩書きは「土佐藩」「薩摩藩」などで、「藩主」ではなかったとのこと。あらためて、どうもありがとうございました。

第43話「船中八策」


 えーっ、そんな感じのアバンのために容堂様が二条城に呼ばれているのですが、容堂様は虫歯が痛いのと、眉なし慶喜が兵庫開港の承認を強要するためだけに呼んだ、という会議の性質がわかったので、頭にきてサッサと土佐にかえってしまいます。
 そのころ龍馬は、どすこい象二郎ちゃんと、京都の容堂様に大政奉還を提案するべく京都にむかってまして、その船のなかで、有名な「船中八策」を書き上げるんですね。
「後藤様これを見てください!」といわれて見た象二郎ちゃんは、だんだん目が血走っていき、フルフル震え、肩で息をしたりして…んで、「…もっとキレイな字で書き直せ」というんですが、この一連が良かったねー!なにより、天敵の龍馬と象二郎ちゃんが、なんとなく和解というか、無意識の信頼関係みたいなのが出来ていて、なんだかいい雰囲気なの。
 ところが、京都にきてみると容堂様は土佐に帰っちゃってて、折角の大政奉還構想も、船中八策も、なんの役にもたちません。ガックリする龍馬と象二郎ちゃんのとこに、フィクサーの中岡慎ちゃんからコンタクトがあって、薩摩の要人と会って話をしてみませんか…ということになるわけです。有名な薩土盟約のはじまりです。

 で、長崎にいる弥太郎ですが、先週、紀州のよつば銀行(違)からボッタクった8万3千両をもとでに、さらにでっかく金を呼び込もうと商売にせいを出しているんですが、そんなところにオールト商会から、8万3千両をチャラにしたうえさらに1万8千両という請求書が届いて、弥太郎ひっくりかえります。
 象二郎ちゃんが、勝手に軍艦とか武器とか買ってしまったんですね。いくら商売がんばっても、結局のところ象二郎の尻拭いじゃねーかよ!!!とブチ切れた弥太郎は、もう番頭さんはイヤだ!!独立しちゃる、独立して自己資本で金儲けをしちゃる!!…と発作的に決心するのですが、とりあえず、商人としてのセオリーというものがない。そこで、グラバーのとこにいって、トップからピラミッド式にカンパニーというものが協定し、流通のしくみをつくるという、イギリス流の経済を学ぶんですね。感動した弥太郎は、師匠!!と土下座してグラバーに弟子入りを志願。わ、わしもトップになりたいぜよ!!!
 お~、イイなこのテンション。かつて、土佐の獄中で中延さん(違)の教えで商道開眼して以来の、人生エポックメイキングってやつです。こーゆーの見てると、このドラマ、弥太郎主役…でなくてもいいからせめて龍馬とイーブンの二人主役で、真ん中のダレ場を埋めていたら、ほんとに面白かっただろうにな~…って、いまさら詮無いことを思っちゃう…。

 はてさて、歴史は急速に転がり始めます。薩摩では、外様といっても徳川恩顧の土佐藩が、薩摩と協定して幕府と対立の立場をとるというのが、眉唾に感じられるわけです。早速、久光公と藩士たちが「それって信用したもんかどうか?」と話し合うのですが…ま、久光公と西郷さんが、こんなにフツーに信用しあって和気藹々とした空気出していいのかとか、そーゆー問題はとりあえず置いといてですね、ここで登場するのが、大久保一蔵@及川光博です。
 いや、これは驚きでした。だって、一瞬ミッチーってわかんなかったもん。日焼けした顔、ゴツイ感じ、薩摩弁も板についてて。この人が方言しゃべるっていうのが、まず、ちょっとフシギな感じだけど、違和感もなかった。キリッとした佇まいと鋭い眼光、目から鼻に抜けるようなかんじ、だけど周りの薩摩藩士と同じもの食べて同じように生きてきたといって何のフシギもない自然さ。素晴らしい!!こんなにスッと自然にはまるとは思わなかった。心なしか漂うオーラが鹿賀武史に似ていたりなんかして!!

 っとまあ、こんなに絶賛しといてナンだけど、今週最大の脱力シーンがここで挿入されます。
 薩摩との盟約に臨むまえに、龍馬のとこに、陸奥陽之助がやってきて、京都にも海援隊の事務所を作りたい、ついては木屋町の酢屋って材木問屋を借りることができたから、物件を見に行こうよと(この陸奥陽之助の存在感が、なにか非常にウザく感じるのは、役作りなのか…?)。
 で、貸事務所物件を見に行くために、指名手配されている龍馬は、わざわざ第八具目真の人足にコスプレしていくわけなんですけど…その途中の、京都の街中でですね、新選組に出くわすんです、バッタリと。
 えー、時は慶応3年夏です。新選組は、まだこの時点で直参旗本に成り上がってはいないけど、それを直前に、経済的にも名声の点でも充実しきった絶頂期。それだとゆーのにこのドラマでは、なんで未だに近藤・土方・沖田の3トップでつるんで市中探索やってんの。んなわけねーだろ。なんかさー、新選組が出てくると、突然時間の針が逆戻り、池田屋事件当時くらいに戻ってしまうよ。
 しかもさらに脱力なことに、「久しぶりじゃのお近藤さん」「さぁかぁもぉとぉお~~~!!」と血相変えた近藤が襲い掛かって「オレの仕事はお前を殺すことだあ!!」(ですっけ?)とかゆって、場所は、はいお約束、逃げ場がない袋小路。しっしまった、絶体絶命!!するてそこに風車が、いや、ちゃう、かんしゃく玉みたいなのがパンパンっと飛んできて、ひらりと舞い降りた男は、いや弥七ちゃう、「龍馬ひさしぶりじゃのおー!」、ををっ、慎太郎じゃないかえ!!
…あのね…。こーゆーお粗末なショータイムは、福山のPVでもなんでもいいから、別の物件としてやっていただけないですか。この最終ステージの、せっかくいい具合に緊張しているところに、脱力するよーな時間の無駄は、ほんともうご勘弁願いたい。

 おっと、新選組のことで文句たれてたら字数を食ってしまった。
 いよいよ薩土盟約です。場所は三本木の料亭で、薩摩からは小松帯刀、西郷吉之助、大久保一蔵の3トップと、土佐からは後藤象二郎ちゃんほか二名。ここで、土佐と薩摩は大政奉還のために手を握りましょうと話し合うのですが、はなから武力倒幕を念頭においている薩摩と、土佐とでは、話がかみあいません。
 そのへん詳細を整理すると、薩摩では、ようは、徳川が平和裏に政権を返上するなんてぜったい無理だと見越した上で、大政奉還にむけて協力して運動しましょうと申し出るわけです。ただし、平和的な政権移譲が成らないときは、そのときは土佐にも軍事協力してもらって、倒幕の挙兵をしますよという条件付きで。
 とまあ、けっこうヤヤコシイ話を、それなりにうまく纏めててよかったし、なにより、話の間じゅう龍馬のことをチラチラと、不穏な顔で見ているミッチー大久保の顔つきが非常によくて。この盟約のあやうい雲行きとか、その後の展開なんかも考えると、なかなか迫力のある、よいシーンだったと思います。

 ところが、これが納得いかないのが慎太郎ちゃんなんですね。しんちゃんは、土佐を武力倒幕の仲間に引っ張り込もうと意気込んで、薩摩にも約束してたわけですから。
 酢屋の二階で、しんちゃんは龍馬に噛み付きます。平和的な大政奉還なんかできるわけがない!!既得権益をもっている奴らが手放すわけがないぜよ、あくまで武力倒幕!と主張するしんちゃんに、龍馬は、例の船中八策をみせます。
 それは、日本の将来のビジョンってゆーか、徳川政権が無くなったあとどのよーにして日本を動かしていくのか、ということを具体的に構想した文書だったんですね。で、その一条一条には、龍馬がいままで会ってきた人たちの、教えや知恵が盛り込まれていて…。
 いや、この場面、ベタはベタなんだけど、なんかつい、ジーンと感動しちゃったんですよ、わたし。
 龍馬がいままで、ボーッと空気だったのもまんざら無駄じゃあなかったのね。なんつったら悪いけど。アッサリ過去の人にされた退場者のみなさんも無駄に出たんじゃなかったのね。それに、幕末の歴史を回したのって、やっぱり、名も無い大勢の思いの蓄積もあったんだろうなあ、とか思っちゃって。柄にもない感傷的なことを。
 ですから、ここで慎ちゃんが、うぉうっ、カンドーしたぜよ!!!っつって龍馬を抱きしめるのも、寝待の籐兵衛…ちゃう、籐吉って力士あがりの下男が感動して号泣したりするのも、すなおに、ああエエなー、って思ったし。
「殺されるくらいの覚悟がないと何もできんぜよ」(ですっけ?)という龍馬に、「…たまるか」と応じる慎ちゃんもカッコえかった!!こういう濃い空気はアツヒメには望めなかったんで。うん、やっぱり男の幕末劇はいいなあ。

 で、グラバーの弟子になった弥太郎は、師匠のグラバーまでが、「名も無き若者の熱い思いにカンドーした!わたしもお役に立ちたい!!」なーんて言ってるというのに、こんどはそっちのお株を奪い、「戦争こそビジネスチャンス!戦来いやー!」ってもんで、死の商人の世界にデヴューしようとしております。
 そして薩摩藩邸では、ミッチー大久保が剣を(ちゃんと示現流の剣使いでね)振りながら、「あの男、目障りごわんどな…」と。(きゃあぁ)
 いやー、幕末最終局面。いよいよ面白いわ。何故この面白さがもっと前に…(以下略)
 来週は、あの忍者っ娘、じゃないお元が主役のようですけど、ちょっといやな予感…。できればここへきて、テンション下げないようにお願いしたいものです。 .