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como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

坂・雲 出直し学習会VOL2

2009-12-20 17:01:22 | Cafe de 大河
日清戦争への道…仁義なき極東戦争篇

 今回は、日清・日露戦争にいたる当時の極東の情勢を解きほぐしてみたいと思います。
風林火山からの学習会伝統の「スーパー戦争篇」やろうかと思ったんですけど、ワンパターンですし(笑)、ちょっとうまくはまらない感じでしたので、今回は趣向を変えて、「実録任侠もの」風にやってみます。
…っつっても、わたし極道の世界なんかなにも知らない堅気の人間でございますので(あたりまえだ)あくまでシャレっつうことでご勘弁ねがいます。さらに、これ毎回言ってますけど、余計意味不明になったらホントすみません。スルーしてやってください。

中国・日本の抗争の歴史

 中国は、世界の極道業界ではもっとも歴史が古く、歴代の組長たちが地域の組を従えて、極道界の中心に君臨することで、極東アジア地区を形成してきたという、圧倒的な存在感の組でした。
 なので、東アジア地区の組はみんな中国に仁義をきり、その傘下にはいることで組を運営してきたんですね。たとえば韓国、ベトナム、カンボジア、ビルマなどすべて。中国にとって、ほかの組との対等な力関係なんてありえない。上下関係の上、という感覚しかないわけです。傘下におさめる→上納金もってこさせる、そういう関係しかなかったんですね。極道界のオンリーワン&ナンバーワンの所以です。
 例外が、中国への上納金を拒否して独自の極道を選んだ日本でした。日本のシマは離れ小島で、中国の威嚇が及ばなかったんです。遠いので出入りも面倒ですし、他の組のシマを荒らす怖れもないので、中国は日本の無礼を無視しました。上納金の替わりに「うちの組はライジング・サン、おたくは黄昏組じゃけん!」みたいな超失礼な挨拶状を、日本の若頭(=聖徳太子)が送ってきたりもありましたが、それでも。ようは、相手にしてなかったんですね。

 若頭の無礼な手紙から、なん世代かが経過して、日本では伝説の組長(=豊臣秀吉)があらわれます。このカリスマ組長の号令一下、日本は、中国の傘下にある韓国のシマに進出してきたんですね。
 この日本の成り上がり組長は、極道の世界の礼儀も知らない男であり、急によそのシマに押しかけて、発砲し、事務所に殴りこんで無礼の限りを尽くし、「ウチの傘下に入れ」と威嚇しました。韓国から泣きがはいり、中国では若い者を応援に出します。日本の乱暴はしばらくすると止みましたが、韓国で暴れた日本のお兄さんたちは、組のなかで長く続いたドロ沼抗争を潜り抜けてきたため凶悪で、極道の常識も通用しない。ニュータイプのやくざにみえたんですね。こういうの敵に回すとヤバイのでは…と、中国もちょっとひるむようになったんです。

 そんなわけで中国と日本は、その後しばらく、わりと友好的な、つかず離れずの関係を維持するようになりました。
 日本は、泥沼抗争が終息してから組織的に整然として、ほかの組のシマを荒らすこともなく、どころか交流を拒み、もっぱらシマのなかのシノギで自足する安定した極道生活にはいります。いっぽう中国はというと、北のほうの傘下の組織(清)が急に勢力をのばしてきて、組長を射殺し、組を乗っ取るという下克上劇が起こります。

斜陽の中国、極道界の新たな勢力抗争

 そうこうするうち時代は移り、極道のシノギも昔ながらのみかじめ料とかばかりでなく、兵器の密造・密輸から麻薬の密売とか、凶悪かつビジネスライクに変貌してきます。そういうのになかなかついていけない、昔ながらの極道の中国は、海の向こうのギャングやマフィアやカルテルやコーザノストラその多もろもろに目をつけられて、欧米のアンダーワールドのボスたちが、中国めがけて極東進出してきます。
 イギリスのギャング団が持ち込んだシャブで骨抜きにされた中国は、もともと組織もガタガタなところに、ヤクの利権を巡って内部抗争がおこり、殺された組長の系列が現組長陣営に戦争をおっぱじめるとか、とにかくボロボロに崩壊しだしました。
 で、中国の組長は、危険な道に踏み出してしまいました。組織の崩壊を防ぐため、イギリスのギャングのボスに組の運営を丸投げしちゃったんです。結果、いままで中国という大親分中心の力関係で安定していた極東地域の極道地図は、かなり事情の違うことになったんですね。

 そこでノッソリ登場してくるのが、極東と欧米の二地域の真ん中に位置する、ロシアのマフィア軍団です。この連中は仁義もマナーもへったくれもなくて、組織同士の戦争にはかならず突っ込んで、ドサクサ紛れに人のシマを奪うというのを常道にしていました。
 地理的にも近い中国のシマは、ロシアにとっては垂涎です。内部抗争なんかでガタガタしているところにつけこんで、ドサクサにまぎれて中国のシマを荒らし始めたロシア、このロシアに、ものすごい危機感を持ったのが、はい、極東の辺境で満足していた日本だったんですね。
 日本は、わりと頭がよかったので、比較的スマートに、欧米系の各組織とパートナーシップを結んで、極道界の世界進出を始めることができてました。が、そこに乱暴者のロシアが割り込んで来てはこわい。シマをあらされるのみならず、欧米の組織との友好関係もガタガタになってしまって、それこそ一巻の終わりの危機です。

 ずっと中国に仁義を切ってきた韓国でも、古い体質を忌み嫌う若い兄さんたちが内部抗争を起こします。組長は暗殺の危機に怯えまくり、親分格の中国に救援を求めました。組織的にガタガタになってた中国ですが、これを機会に韓国に恩を売り、昔ながらの支配を強化するのは良いと考え、生きの良い鉄砲玉たちを韓国に派遣します。
 が、ここで黙っていられないのが日本です。というのは日本のシマと韓国のシマは隣接しているもんですから、韓国でシノギをするときは、お互い申し合わせの上でおこなうというのは、中国と日本の合意事項だったんですね。
 これを無視して中国が、韓国の組長救援に鉄砲玉を出したということで、日本はあせります。中国が抜け駆けで韓国の内部抗争を解決しちゃったら、韓国は名実ともに中国の支配下になるわけですからね。そんなのは極道の仁義にもとる、ルール違反じゃけえ!と、日本は、かつて何世代もまえ、似たようなことを韓国のシマでやったことも棚にあげ、中国を非難します。

戦争勃発! そして仁義無き戦いへ…

 じつは、態度には出しませんが日本も韓国のシマは欲しかったのです。韓国のシマというワンクッションが中国との間になくなると、日本にとっては文字通りの背水の陣になってしまいますからね。相手が中国ならまだいいけど、中国のシャブ漬けヘロヘロ状態につけこんだ乱暴者のロシアが、お得意のドサクサ紛れでそこに進出してきたら…。
 そこで日本は、負けじと鉄砲玉を韓国に差し向けますが、僅かの差で、韓国の内部抗争は中国の助力で解決しちゃってました。ますますヤバイ状況です。
 なにがなんでも韓国のシマを中国(ロシア)に取られては困る日本。考えた末、イギリスのギャング団との同盟を強化、イザ戦争の時には、援護射撃の約束をとりつけます。イギリスも、ロシアマフィアが勢力を伸ばしては困るので、日本の要請をのみ、この戦争に一枚かむことになりました。

 そこまで手を回し、日本は韓国のシマに乗り込みます。そして事務所を襲い、組長(太院君)にドスを突きつけ脅迫、「内部抗争が止んでも居座りつづける中国の鉄砲玉を、シマから追放していただきたい」という要請を、強引に出させるわけですね。
 そして、中国と誼を通じて事実上の権力を握っていた組長の妻(閔妃)とその親類を脅してシマから追放(!)。ものすごい乱暴です。姐さんを叩きだした上、日本の保護で内部抗争を抑え、中国の傘下からも独立させてやるとか言って、組長を飴とムチで翻弄したわけですね。

 そして、日本と中国は、韓国を口実に、仁義無き全面戦争に突入する…という次第なのですが、戦争はいつでも世界の極道の注目の的です。注目だけならいいけどドサクサ紛れに、いろんな口を出したり手を出したりしてくる親分衆がいて、この戦争は、なんとなく当初の思惑と違うふうに展開していきます。
 そのへんの事情については……次回に続く(…かも)。


4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (Poncha)
2009-12-24 23:27:20
この任侠路線、めっちゃ面白いデス。
「聖徳若頭」に大爆笑。

極東なのか極道なのか、もう訳がわからなくなってきました。

次回も楽しみにしております。 

4話がいまだ見られず、レビューを読めないでおりますので
こちらにお邪魔させていただきました。

  Merry Xmas !
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伝統企画です(笑) (庵主)
2009-12-27 19:30:58
Ponchaさん

反応していただいてありがとうございます…こんなものでも(笑)。
このパターンのは、「風林火山」からの定番企画ものなので、来年の「龍馬」でもネタがあがったらやりたいと思いますが…しかし我ながら強引ですよね(笑)。

4話・5話とつづけてご覧になるのは相当なボリュームかと思いますが、お正月休みなどに、ゆったりとご覧になってくださいね。
返信する
歴史は繰り返す? (淳子)
2009-12-27 22:19:00
庵主様、こんばんは。
まさか庵主様のブログで広島弁にお目にかかるとは(笑)
私、生まれてからずっと広島に住んでいるんですよ♪
当然、一般市民ですが、この解説は楽しくわかりやすくて、
この頃の時代背景の知識がない私には、ドラマを観る上でも助かりました。
ライジング・サンと黄昏組には爆笑です。

今日の第5話でありましたが、韓国の閔妃を日本が暗殺したんだそうですね。
とんでもない話ですよね。今風に言うと「ありえない」です…。
秀吉の時代から、かなり無茶苦茶をやっていたんですね。
(日本だけではないかも知れませんが…)
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すごい話 (庵主)
2009-12-30 20:48:59
淳子さん

わははは。すみません、広島弁のことはよく知らないのに書いちゃって。単に、菅原文太のイメージだけなんで(笑)

>韓国の閔妃を日本が暗殺したんだそうですね

ドラマのなかではサラッとふれられてますけど、ちょっと信じられない話ですよね。しかも、白昼堂々宮殿に乱入して殺したんだそうですよ。
すごい時代だったんだな~~と思います。
ある意味、朝鮮出兵のころと変わっていなかったりして…。
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