近年、LPレコードの愛好者が増えてきたという事を風の便りに聞いていた。
夫の所有していた千枚弱のレコードをどのような形で処分しようかとまよっていたところ、弟の友人が全部貰って下さることになった。
一件落着で良いのだが、いざ、手放すとなるとなんと寂しいことか!!
並んでいるのを一度だって私はかけたことがない。
夫が半身不随になりレコードは両手で扱わないとかけられないので、毎回、これをかけてくれ、次はこれだ、、、といわれるままに手伝っていた。
夫はモーツァルトが一番好きでベートーベン、ハイドン、ショパンなどをあつめていた。レコード全部をノートに細かく写していた。
モーツァルトの協奏曲は同じものを楽団が違う、指揮者が違うというように十数枚集めていた。
ピアノはリパッティが好きだったようで
33歳で夭折した彼のレコードを全て買ったのかと思うほど集めていた。
昔よくかけて家中を目覚めさせたのは
ハイドンの「ひばり」だった。
これだけはとっておきたいと必死に探したらいろいろな楽団の物が5枚見つかった。いろいろ聴き比べていたらしい。
彼のモーツァルト熱は半端でなく
よくケッヘル何番、、、と話していた。
生きた証の半分以上が、モーツァルトだからこれ以上余計なことは言えない。
レコードのお嫁入り前に何枚かかけてみたが、全てが涙、涙の思い出でつらい。
モーツァルトの場所、ショパンの場所、ベートーベン、、と整理されて並んでいた。
気がついたら夫がレコードを買ってきて棚に並べていた姿は一度もみたことがない。いつの間に、千枚も並べたのだろう?