夫がいなくなってから自分から誰かに声をかけたことはなかった。
外に出なさい、誰かと喋りなさいと言われても電話をかける勇気もなかった。
アクセスを取ったらどうしても悲しい経験を喋ってしまうだろう、又夫の事を聞かれ答えるのもしんどいかなぁ~なんて
思ってしまうのだった。
でもあと数日で車がなくなるから今のうちになんとか会っておきたい人がいた。
激しい、厳しいダンスサークルで知り合ったH子さんだ。彼女も気難しいご主人を介護していて、いつも二人でこぼしあっていた間柄だ。
私はいつの間にか重荷がなくなってしまったけど、彼女の日常の重荷は半分ささえてあげたいと心から思っている。
サークルの終わる時間を見計らって素敵なバスタのレストランにはいった。
お久しぶり、懐かしい、、と言いながら
止まることなくおしゃべりしたが、私は聞くだけで満足で夫の事はほとんど話さなかった。
いや、話す事がなかった。
知らぬ間にか置かれた環境を達観していたのか、我ながら不思議だった。
上手に自分を客観視できないのだがそろそろ三か月になると割り切って涙も枯れてきたのだろうか?