障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

障害年金 慢性疲労症候群の初診日

2018-10-22 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!

最近の秋の陽気は過ごしやすいですね。

いかがお過ごしですか?


社会保険審査会の裁決は、私にとって「情報の宝庫」です。

それは、きっと皆さまも同じはず!と思い、

社会保険審査会の裁決から

参考になるような部分を連載するシリーズの①です。


第一弾は、弊事務所でも取り扱いが多い傷病の

「慢性疲労症候群 (CFS/ME)」です。

内容が濃い裁決なので、2回に分けますね。


今回ご紹介する裁決は、「初診日」が争点です。

「慢性疲労症候群 (CFS/ME)」の初診時が

整形外科受診で「頚椎椎間板症」の診断だったため


整形外科の疾患との相当因果関係が否定され、

「障害厚生年金の初診日が確認できない」として

日本年金機構で却下されたもの。

しかし、相当因果関係はあるとして、社会保険審査会で容認した裁決です。


とても興味深い、かつ、読み応えのある裁決ですから、

厚生労働省のホームページからアクセスして参考にしてください。

※ 私は裁決集を購入して読んでいますが、

この裁決は厚生労働省のホームページでも公開しています。

この裁決 平成26年(厚)第830号は、こちらをクリックしてください。


【CFS/MEの初診時は整形外科だった】

慢性疲労症候群(CFS/ME)の傷病名で、事後重症請求をしたのですが、

初診時はC外科受診、

受診状況等証明書(初診日証明)の傷病名は

「頚椎椎間板症、その後頚椎椎間板ヘルニア」

う〜ん、正直なところ、これだけ見ると

慢性疲労症候群(CFS/ME)の初診日としては

相当因果関係がないように思いました・・・。


整形外科で頚椎椎間板症・頚椎椎間板ヘルニアと診断した根拠は、

MRI検査で第5/第6頚椎間のヘルニアを確認したことです。

裏の傷病に慢性疲労症候群(CFS/ME)があったとは考えづらく、

頚椎椎間板症になった後に必ず、CFS/MEに罹患するとも考えづらいです。

ちなみに、

最近の傾向では、慢性疲労症候群(CFS/ME)・線維筋痛症、共に

「確定診断日を初診日とする」決定が横行していますから、

初診日の確認には注意が必要です。

【医師照会で得た両医師の意見】

裁決に戻りますと、

不服申立をした後、社会保険審査官が

慢性疲労症候群と診断したA医師(診断書作成医)および、

初診時の外科医B医師(受診状況等証明書作成医)に医師照会を行い、

B医師からは

相当因果関係は不明、しかしながらトータルに診て

100%CFSを否定することも不可能と考える」との見解がありました。

一方、診断書作成医のA医師からは

「外科の診療録には外科的症状(痛み、しびれ)、MRI所見の記載のみであるが、

詳細に問診すると、慢性疲労症候群の発症は平成○年○月で

急激な発症と悪化を伴う全身痛と労作後の疲労であり、

同年○月にはc外科にて頭を上げているのも困難、

倒れ込むような疲労感を訴えていたようだが、

その頃は慢性疲労症候群の認知度が低く、無視されたようであり、

その後の経過を考えれば、

慢性疲労症候群の発症を平成○年○月と考えることが妥当である」

との回答がありました。

これらの臨床経過により、社会保険審査会ではc外科の初診日を

慢性疲労症候群の初診日と容認しました。


【この裁決の教訓】

まず第一にお伝えしたいのは、

この平成26年(厚)第830号裁決で

社会保険審査会が容認したからといって、

今の社会保険審査会で同様の事案を扱っても、

同じように「容認」されるとは限りません。

平成26年・平成27年といえば、容認率22.5%の年で(前回のブログを参照してくださいね)

社会保険審査会のメンバーは当時と入れ替わっています。

近いところでは、

平成29年度に弊事務所で不服申立から代理した線維筋痛症の案件で、

初診時の受診が「痺れ」を主訴としていたことから、

医師の意見書や診療録写し(痺れの他に痛みの記載もあり)を提出したにもかかわらず、

障害厚生年金の初診日と認められず(涙)

裁決で棄却された案件がありました。

もちろん納得できず、弁護士さんにバトンタッチして提訴しています。


まあ、それは別にして、

この裁決の教訓としては、医師照会されたような内容の意見書を

前もって準備して、

最初の請求時から提出する

不服申立を行わずに

初診日が認められる可能性は高いと考えます。

転ばぬ先の杖ですね・・・。

上記のような内容の意見書であれば、

容認されるのだなとわかりますね。


次回も、「これは是非お伝えしたい」と考える情報を発信していきますので、

参考にしてくださいね。

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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障害年金 ハードルが高くなった最後の砦

2018-10-18 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!

すっかり秋の気候となり、暑がりの私にとっては過ごしやすい季節ですが、

いかがお過ごしですか?


さて、これからは社会保険審査会の裁決から

一般の皆さまが参考になるような、傷病に関する記事を連載する予定です。

社会保険審査会の裁決は、私にとって「情報の宝庫」です。

それは、きっと皆さまも同じはず!

「これは是非お伝えしたい」と考える情報を発信していきます。


社会保険審査会の裁決に入る前に、

まずはお伝えしなければならないことがあります。

それは、「再審査請求で容認されるハードルが高くなっている」ということです。


不服申立を行って、最後に決定を覆せて「容認された!」という嬉しい知らせが

ここ2年くらいで急激に減少している・・・とは

肌で感じていましたが、数字でも現れています。


【社会保険審査会 年度別(再)審査請求裁決状況】

厚生労働省のホームページに掲載されており、

最新年度は「平成29年度)」です。

直近5年度の「容認」

事実上の容認とも言える「原処分変更による取下げ」

件数は以下のとおりです。

       容認   + 原処分変更による取下げ / 裁決件数(分母) 
平成25年度 209件  +  84件 / 1,987 件
平成26年度 219件  + 233件  / 2,003 件
平成27年度 227件  + 236件 / 2,056件
平成28年度 152件  + 170件 / 2,161 件
平成29年度  99件  + 130件 / 1,848 件

容認件数も原処分変更も、平成28年度からガクッとと減っていることがわかります。

【直近5年度の容認率】

上記を容認率として%にすると、以下になります。

平成25年度 14.7%
平成26年度 22.5%
平成27年度 22.5%
平成28年度 14.9%
平成29年度 12.4%

平成26年度・平成27年度がおよそ4分の1が覆せていたのに、

平成28年度・平成29年度は、容認のハードルが上がり、厳しい限りです。

小職が担当して「なぜこれが認められないのか?」という悔しい案件もありました。


(再)審査請求のご相談を受ける時も、

数年前であれば認められたかもしれませんが、

今の社会保険審査会では、容認されない可能性が高い」と

答えせざるを得ない状況です。

社会保険審査会までは、社会保険労務士も代理できますが、

ここで棄却や却下されると、残された道は提訴しかありません。

そうすると、弁護士さんに代理を依頼することになり、

弁護士費用もかかりますし、なかなか裁判までは踏み込めない方も多いです。


【どうすればいい?何ができる?】

小職は、依頼された方が障害年金の受給権を得られるようにすることが仕事です。

そのために、情報を得たり、経験を積んだりして、精進しているつもりです。

「最後の砦」とも言える社会保険審査会でこんなに容認率が下がっているとなると、

それを踏まえたうえで、

最初の裁定請求(年金事務所への提出)において

ビシッと受給できるように尽力するしかありません。

それが一番確実、かつ、決定や受給開始時期も早いです。


残念だなぁ・・・と思うのは、

自分や家族で書類を提出、または、他の社労士が代理したのに

最初の裁定請求でダメだった方からの相談を受けた時です。

提出書類を見ると、これではダメだと残念でなりません。


数年前ならば(再)審査請求でなんとかなりそうだったものでも

不服申立で覆せる見込みが立てられず、

代理業務を引き受けられないことも多いです(涙)。

そんな時は、他の方法(再度の事後重症請求など)で、

なんとか受給権を得られれば良しとするしかありません。

結論としては、繰り返しになりますが、

もし最初の提出でダメでも、不服申立すればなんとかなる(はず)と期待せずに、

最初からしっかりとした書類を整えて提出する!

今はこれしかないように、私は思います。


次回からは、いよいよ社会保険審査会の裁決から傷病の「情報の宝庫」を連載します。

参考資料:厚生労働省 社会保険審査会 年度別(再)審査請求受付・裁決件数等の推移

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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障害年金 診断書の現症日

2018-09-20 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!

9月も20日となると、秋の気配を感じますね。

北海道の地震により被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

寒くなる前に安全な環境で生活できますように、お祈り申し上げます。


【障害年金の診断書で最も重要な事項とは?】

主治医の先生には、障害年金の診断書を書いてもらうため

重要事項を簡単に説明(文書・口頭で)しています。

診断書に記載する「症状・治療内容・診断」は、

医師の判断事項ですので、

医師でない者が口を挟む余地はないと考えています。

(こういうことを書き足して欲しい・・・ということは、お伝えすることはあります!)

そのため、こちらから最初に説明するのは

最も重要な事項である「診断書の現症日」です。


【診断書の現症日とは?】

どの時点の診断書が必要か」ということです。

「診断書の現症日」は、日本年金機構で診査をするうえで、

その診断書が有効かどうかを判断するために、

一番先にチェックする最も重要な事項です。


【いつの現症日の診断書が必要か?】

障害認定日であれば、障害認定日後3ヶ月以内の現症です。

※ 20歳が障害認定日の場合は、20歳前後3ヶ月です。

請求日(現在)の診断書では、

提出する日の前3ヶ月以内の現症日でなければなりません。

この期間を外れている現症日の診断書は

残念ながら、原則として診査の対象になりません。

俎上にも乗らないということです。

さて、相談を受けて提出書類を拝見すると、

一番悪かった時期の診断書」も提出する方がいます。

気持ちはすご〜くわかります!

でも・・・上記の「障害認定日」「請求日(提出日)」以外の現症日の診断書は

審査の対象にはなりません。参考程度には・・・なるのかも?です。


【診断書チェックも、まずは現症日から】

そして、診断書が出来上がった時に

小職が一番にチェックするのも「現症日」です。

診断書おもて面の真ん中辺り

障害の状態(平成  年  月  日現症)」と赤字で印刷されている項目です。

診断書の種類によっては、裏面にも記入欄があります。
※裏面は記入忘れが多いです。注意してくださいね。

診断書の現症日は、書き漏れや間違えていることが多い項目でもあり、

かつ、補正してもらいやすい項目でもあります。

※現症日を訂正すると、記載内容(検査数値や手術等)も変更になる可能性もあるため
 細心の注意は必要です。

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次回からは、社会保険審査会の裁決例を連載する予定です。

涼しい→寒いと次第に季節が変わりますので、

風邪にはお気をつけくださいね!

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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障害年金 1000人支給停止

2018-06-07 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!

ブログ訪問、ありがとうございます。

今年もあっという間に6月で、東京は昨日から梅雨に入りました。


さて、最近、障害年金支給停止問題が報道されていますね。

報道はこちらをクリックしてください。

障害年金を受給中の方が報道を見て

「自分も停止されるのでは?」と不安になるようですので、

状況をまとめてみます。


【対象者】は、障害基礎年金の受給者で精神疾患以外の方です。

障害厚生年金を受給されている方

障害基礎年金でも精神疾患の方

今回の報道で問題にされている一元化による支給停止の対象外です。


→なぜ、障害基礎年金の受給者のみか?

日本年金機構では、2017年4月に障害年金センターが開設され、

今まで都道府県ごとに認定していた障害「基礎」年金の審査を一元化にしたからです。

障害厚生年金は、元々、審査は一元化していました。


→なぜ、都道府県ごとの審査から一元化で審査することになったのか?

従来の都道府県ごとの審査だと、審査に著しいバラツキが生じていたからです。

端的に言うと、認定が緩い都道府県、厳しい都道府県があったということでしょう・・・。


→なぜ、精神疾患以外が対象なのか?

そもそも都道府県ごとの認定のバラツキは、精神疾患で問題になりました。

そのため、精神疾患はガイドラインが平成28年9月から運用されており、

その時に激変緩和措置として

更新時に従来と同じ診断書だった場合は、

従来と同じ等級に認定すると決められたからです。

ということは、精神疾患で障害基礎年金を受給中の方も

次の更新時にはそのまま支給されますが、

次の次の更新時には、2級に達しない診断書は支給停止になる可能性があります。


→1年猶予で支給停止になるのは20歳前傷病の方だけの恩恵


平成29年4月に審査が一元化され、20歳前傷病は毎年7月が更新月です。

今回「1年猶予で支給停止になるかも」の対象者が1000人と報じているのは、

20歳前傷病で

精神疾患以外の傷病で

障害基礎年金を受給していて

平成29年7月の更新診断書で「2級に達しない」と判断された方々です。

本来であれば、更新時期の3ヶ月後から程度不該当で支給停止になるところ、

1年間は支給を続けるので、

次回診断書で抜けや漏れを修正するようにとのことらしいです。


→なぜ20歳前傷病だけが1年猶予なのか?

この1年猶予措置は、20歳前傷病だけが対象です。

20歳前傷病は福祉的給付であるため、ということです。



ということは、20歳に初診日があり障害基礎年金を受給している方は、

1年猶予でなく、すでに支給停止になっています。

その数が、報道によると2900人だそうです。

なお、20歳後に初診日がある障害基礎年金の場合は、

更新月は毎年7月でなく、誕生月です。


都道府県の審査のバラツキがそもそもの原因であれば、

激変緩和として

20歳後に初診日がある方も同様に1年猶予にするべきではないかな・・・と

私は思いました。


それに、審査を一元化しても、認定する医師が一人でないなら、あるいは合意制でないなら、

認定医の個人差によるバラツキは生じているのですよね。

これも問題だなぁと思っています。


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障害年金 社労士へ依頼するかどうか迷ったら

2018-04-30 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!

GWに入り、過ごしやすい気候ですね。

いかがお過ごしですか?


【障害年金の請求に社労士は必要?】

お問い合わせの中には、

障害年金は、自分や家族で申請できますか?」とか

社会保険労務士に頼まないとダメですか?」と聞かれることがあります。

答えは、Yesであり、Noでもあります。

「事案によります」と答えるしかありませんでした。


【その答えは、お客様の声にあった】

ご家族のご了承をいただき、

「お客様の声」に寄せていただいた文章を掲載します。








「障害年金は社労士が必要か?」

このご質問に的確にお答えしていると思います。


ご依頼者は、お姉さまで都内の会社員です。

請求者(妹さん)は、初診日以降ずっと入院中。

障害の程度は1級に該当する程度です。

初診日も1年6ヶ月前で、もちろんカルテもあり、

納付要件も満たしています。



障害年金を請求する時の難関は、

1 初診日の証明ができない(または納付要件を満たさない)
2 障害の程度が該当しない   

この2つです。


この2つがクリアできて、

年金事務所や病院へ何度か足を運ぶことができるご家族がいれば、

社会保険労務士へ依頼しなくても大丈夫なのかもしれません。



今回、依頼者はフルタイムの会社員ですから、

「年金事務所や病院へ行く時間がない」ということで、

弊事務所でお引き受けしました。

最初は、スムーズに事が運ぶと思っていました。

・・・ところが。


入院先の医師が「診断書を書かない」と言うのです。

入院先の主治医ですから、

他に書いてもらう医師や病院の選択肢はありません。


これには困りました!

病院のソーシャルワーカーにもご協力いただき、

医師の疑問や心配を解決するための資料を提供して、

なんとか診断書を書いていただくことができました。



障害年金の代理業務をしていると、

お引き受けした時は「何の問題もない!」ように思えたのに

業務を始めると初診日が違っていたり(←よくあるケース)

診断書の記載漏れが多かったり・・・。

何事もなくスムーズにいくことの方が稀なのです。


そうすると、

経験のある社労士に依頼した方が

障害年金が支給決定されるまでの道中の心配や不安を

本人や家族が抱え込まなくて済むのかもしれません。



最近では倫理に反する行いをする社労士がいるらしく

都内のメンタルクリニックでは

「社労士からの依頼は受けない」とまで言われることもあります。

本人からの委任状があっても、です。

そんなことを言われると、

正直なところ、やる気が損なわれてしまうこともあります。


でも、このような「お客様の声」をお寄せいただくと

やっぱり必要とされているんだ!」と

単純に嬉しく思うのです。

「お客様の声」を書いていただいたことに感謝しています。

ありがとうございました!


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障害年金の社労士報酬

2018-04-02 | 社労士の障害年金
こんにちは!社会保険労務士の吉野千賀です!

新年度のスタートですね。

九段下 千鳥ヶ淵の桜は今週中くらいまで楽しめそうですよ!


少し前の話で恐縮ですが、

2月22日猫の日に

社労士連合会の倫理研修を受けました。

倫理研修は5年に一度、必ず受けることになっています。

社労士の職業倫理については、

平成27年に「社員をうつ病に罹患させる方法」という

社労士によるブログが「不適切な情報発信」と問題となりました・・・。

障害年金の分野でも職業倫理を問われる問題が多く、

医師への強引な働きかけによる苦情が医師から社労士会へ寄せられたり、

平成28年8月には厚生労働省から社労士会へ申し入れがあったりしています。

とても残念ですし、自分も気をつけようと思っています。


倫理研修で配布された「社労士に求められる職業倫理」という冊子に

【障害年金における社労士の報酬】に関する記載がありました。




少し長くなりますが、引用します(太字や赤字は私がつけたものです)。

———————————-(引用ここから)

障害年金の請求は、

社労士報酬が「着手金の報酬」と「給付時の報酬」で設定されることが多く、

この報酬体系自体が否定されるものではないが、

請求者が経済的に余裕がない場合も多く

「着手金の報酬」は低廉に抑えられやすい傾向にあり、

一方、障害年金の手続きには多くの労力を費やすことが多く、

「給付時の報酬」は高額になりやすい傾向にある。

このことは二つの懸念をはらんでおり、

一つ目は、着手時の報酬が低廉であるため、

社労士が投下した労力を回収するため、

文字通り「成功報酬」を求めて社労士が不正な行為を働いてしまう懸念で、

二つ目は、給付時の報酬を、給付額に応じて定めている場合、

社労士報酬が依頼者の予想を超えて高額となることがあり、

正当な報酬の範囲内であったとしても、依頼者とトラブルになる懸念である。

こうしたトラブルを防ぐためには、

業務委託契約締結時に、書面で十分納得を得ておくことが肝要である。

これらを踏まえても、残念ながら、これまでにも公の場で、

社労士が障害年金の受給手続きに際し、高額な報酬を設定しているために、

障害者の生活を圧迫したとされるケースが報告されている。

助成金や年金の支給額は、

行政機関が受給者の生活を支えるのに必要な金額として定めたものであり、

その給付から報酬を得る社労士は、報酬額についても十分に配慮すべきである。

社労士の報酬は、自由に設定できるという前提はあるが、

上記のような視点で国民からの指摘を受けることがあることを認識しておかなければならない。

———————————-(引用おわり)


社労士の報酬に関する問い合わせで多いのが、

「遡及額の10%(または15%)に加えて、年金2ヶ月分(または3ヶ月分)だった」という

思ったよりも報酬が高額で、不信感を募らせているような内容です。

「契約書で確認したらどうですか」というと

「そもそも契約書がない」というケースもありました。


それを私に相談されても・・・困りますので

「社労士とのトラブルは所属の社労士会へ相談してください」とお伝えしています。


そこで、何件かの問い合わせを受けて、

報酬に関して社労士とトラブルにならないために確認することをまとめてみました。

1 依頼する前に、契約書の有無を確認すること

2 契約書に記載されている報酬規定を、理解して納得したうえで契約すること

3 報酬については、以下の点を確認すること
  ・遡及額の何割が報酬なのか
  ・遡及額の何割 + 年金◯ヶ月分なのか(両方)
  ・遡及額の何割 or 年金◯ヶ月分 の多い方なのか(どちらか一方)



ちなみに、私の事務所では、

面談時にすぐ契約書に押印してもらうことはなく、

後日、契約書を郵送して、家族等と相談してから締結することを勧めています。

契約書を渡されてすぐに読んで理解するのは難しいと感じる方もいると思いますし、

報酬の(両方)(どちらか一方)の違いについても

よく読まないと、一瞥では見逃してしまうのではないかと思います。

※ 私の事務所は(どちらか一方)です。

不明な点は、確認することを躊躇しないで行ってくださいね。



【最後に】

私が長い間働いていた外資系企業では、

「安全に関する規定」と「倫理規定」の遵守が非常に厳しかったです。

どちらも足を踏み外すと、

大きな会社でも信用を失い傾くことを知っていたからでしょう。

半期ごとのパフォーマンス評価時にも

安全規定と倫理規定に対して積極的な態度をとったかどうかも評価されますし、

小さくつまづいたケースが毎日のようにメールで流れてきて(隠蔽はなし)

いつも注意を呼びかけていました。

人間は弱いので、そうやって何度もremindしないと

流されてしまうのかもしれませんね。


社労士も他のあらゆる職業と同様に、

専門的な知識の下に、

がっちりとしたベースとして「安全」「倫理」の意識があるべきと私は思います。



簡単に一言でいうと、私も気をつけようと思っています。


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※名前を名乗らずに、いきなり「聞きたいことだけ聞く」電話が多いです。そのような問い合わせにはお答えできません。

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障害年金 症状に波がある場合(内部疾患)

2018-03-08 | 社労士の障害年金
3月になり、春らしくなったと思ったら、昨日から寒いですね。

花粉症の症状も、今日の雨でひと休みです。


前回のブログから1ヶ月くらい経ってしまいました。

ごめんなさい!

にもかかわらず、先週のブログ訪問者は1,229人もありました。

多くの方にアクセスいただき、ありがとうございます。



前回予告した【症状に波がある場合の診断書】について

途中からこの「認定医の考え方」シリーズにたどり着いた方へ

今、話題にしているのは、

内部疾患の話、その中でも血液・造血器疾患の話です。

精神の疾患や肢体の障害の方は、この限りではありませんよ!

精神の疾患は症状に波があることを前提として、

それを踏まえて認定されているはずです。

内部疾患とは障害認定基準も異なりますから、

同じと思わないでくださいね。



さて、内部疾患で症状に波がある場合、

どのように障害等級を認定しているのでしょうか・・・。

血液・造血器疾患の第一回専門家会合議事録から抜粋します。

——————————————-
(高井構成員)

障害認定というのは、

「固定した状態」ということを基準に私は考えると思いますので、

いい時と悪い時のどちらをとるのか、

悪い時をとるというわけではないと思うんですね。

例えば、一般状態区分でも、診断書によっては、

状態がよければ「イ」であると、

悪い時は「オ」であるという診断書がまれにありまして、

そういった場合にはどちらで固定しているのかというふうにしています。

————————————————————


ここで、おさらい。

「一般状態区分とは、何か?」 ※知っている人は飛ばしてください。

内部疾患の診断書を見てください。

診断書のおもて面の中間あたりに

「一般状態区分表」として

ア〜オのいずれかに◯をする欄があります。

それのことです。診断書では、とっても重要な項目です!
————————————-

一般状態区分表

ア 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの
イ 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの
ウ 歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
エ 身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
オ 身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベット周辺に限られるもの
————————————-


話は前述の、高井構成員の発言に戻ります。

「障害認定とは固定した状態」というのは、

障害の程度は、急性期の状態ではなく、

初診日から1年6ヶ月経過した時点(障害認定日)でみますから、

ある程度、症状が固定した状態で障害認定する

という意味で発言しているものと拝察します。


そして、提出される診断書の中には

一般状態区分を一つ選んで◯をするのでなく、

「イ」と「オ」の2つに◯をしている診断書があるらしいです。

そういう時には、

中間の「ウ」や「エ」として認定はしていない、ということですね。


例えば、

発作等で救急搬送された状態=「オ」

発作がなく通常の生活が行える状態=「イ」 

この場合は、どちらで固定しているのかを考えて認定している、ということです。

発作の頻度が年に数回であれば「イ」と考えたり、

週に数回であれば「オ」とも認定されるのかもしれません。


そうすると、やはり診断書の他の項目である

検査数値や臨床所見(他覚所見)にも目を通し

等級認定すると考えていいと私は思います(障害認定基準通り)。


できれば、「イ」と「オ」の2つに◯でなく、

適切な一つに◯をしてもらう方がいいでしょうね。

たとえば、

発作があるかもしれないから、外出時には付き添いが必要という

日常生活に制限があるのなら

それを考慮して、中間の

「ウ」や「エ」に◯をしてあれば、

極端な認定にはならないのではないでしょうか。


「認定医はこう考える」シリーズは、これで終わりです。

次回は、最近問い合わせが多い「社労士の報酬」について

倫理規定を交えて書こうと思っています。



春は暖かくなり油断しがちですが、

急に冷え込んだりしますから、体調管理に気をつけましょうね!

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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障害年金 グレーゾーンの等級判定

2018-02-07 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!


しつこくも前々回・前回に続き、

血液・造血器疾患の認定基準改正の専門家会合から引用します。

今回は「等級認定の考え方」です。 


グレーゾーン・ボーダーラインにある方からの

相談や依頼も多く、

正直なところ、出してみないとわかりません」と伝えて

お引き受けしています。

今のところ、全ての案件で受給できていますが、

「これはどうかな」と心配な気持ちはいつも持っています。


ウッディ・アレンの「マッチポイント」という映画のラストシーンで

テニスボールがネットに引っかかり、

どちら側に落ちるか・・・で運命が決まるという

象徴的な映像がありました。

そういう偶発的な「時の運」でなく、

実務上は少しでも手がかりが欲しいところです。


血液・造血器疾患の専門家会合議事録からの引用ですので、

内部疾患に共通する考え方です。

精神疾患や肢体などとは、認定基準が異なることを踏まえておいてください。


【一般状態区分のグレーゾーン】

一般状態区分「イ」→「3級または等級非該当」

一般状態区分「ウ」→「2級または3級」

障害認定基準に定められています。

ここが、正に「グレーゾーン、ボーダーライン」です。

——————————————-
(直江座長)

・・・つまり、2級は障害基礎年金がでるという、

しかも2級は「ウ」のときは一応50%以上は起きていて、

軽作業はできないというあたりなんですが、

ここで検査数値がかなり生きてくると。
—————————————————


第一回専門家会合で、

これから検討する課題の「検査数値」の立ち位置

確認した部分です。


一般状態区分で「ウ」の場合、

検査数値が生きてくる。


それを踏まえて、

認定基準に定める検査項目や検査数値を規定するというわけです。


さらに、検査数値でもボーダーラインにあった場合は、どうでしょう?

————————————————-
(高井構成員)

結局、等級を決めるにあたって、

我々が一番悩むのは、ボーダーラインの症例を

どっちに入れるかということであって、

ボーダーラインの項目(ここでは検査項目)が多ければ多いほど

ボーダーラインの幅が広がってきてしまいます。

・・・・どっちをとるかというのは、

結局は認定医の総合判断に頼らざるを得ないわけで、

ですから、一般状態区分においても解離する例というのは

多々あるわけで、その検査所見と一般状態区分がぴっちりいけばいいんですけれど

解離がある場合には、やはり診断書の内容を差し戻して聞いたり、

返戻したりすることはあります。

——————————————————-

結局は「認定医の総合判断に頼らざるを得ない」ということです。


そうすると、

認定医の先生が総合判断するために必要な情報

診断書や病歴・就労等申立書に記載されていなければなりませんね。


したがって、

「検査数値」の他にも

「治療内容や現在の症状 etc」が

きちんと診断書に記載されているかどうか・・・が決め手になるのでしょう。



認定医の先生は、

一般状態区分の評価の根拠や裏付けとなる記載を

診断書から探していく

と私は理解しています。


たとえば、

一般状態区分が「オ」であっても、

整合性がとれる検査結果や治療経過などの根拠がなければ、

自動的に1級にはならないと考えています。


【次回へ続く】

書きたいことがありすぎて、

でも長くなると読むのが辛いでしょうから、

2回で終わらせるはずだった認定医の考え方シリーズは、

3回目もあります(笑)。

次は「症状に波がある場合の診断書」です。

お楽しみに!

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障害年金 認定医は診断書のここを見る!

2018-01-23 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!

昨日は東京も大雪でしたね。

真っ白な景色は、いつもと違って新鮮で美しく感じましたが、

交通機関の混雑にはまいりました。


今日は、前回のつづきで

血液・造血器疾患の認定基準改正の専門家会合から

他の内部疾患や精神疾患にも共通する

認定医の診断書の読み方

等級認定の考え方   です。 

たくさん書きたいことがあって、

長文になってしまったので

2回に分けてお伝えします。


【認定医の診断書の読み方(内部疾患)】

第一回専門家会合の議事録から抜粋します。

——————————————-
(高井構成員)

・・・診断書を見た場合に、読み方があります。

その読み方は、

現在までの患者の状態を読みまして、

その次に、一般状態区分の上から読みます。

そして、最後は検査所見のもろもろになるんですけれども

臨床所見上、他覚所見が大事です。

———————————————-

高井構成員は、認定医の先生です。

診断書の読み方として、

とても参考になる発言でしたので、

ぜひ、ブログで共有したいと思いました。


【ところで、一般状態区分とは?】

症状の状態像」と置き換えることができるかなと思います。

具体的には、診断書に「一般状態区分表」の欄があります。

診断書のおもて面の真ん中あたりですよ。

お手元に内部疾患の診断書がある方は、一緒に確認してみてくださいね。

--------------------------------------
一般状態区分表

 
無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの

軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助が必要なこともあり、軽労働はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助を必要とし、終日就床を強いられ、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

----------------------------------------

【一般状態区分による等級判定】

障害認定基準では、以下のように定めています。

1級 一般状態区分「オ」に該当
2級 一般状態区分「ウ」または「エ」に該当
3級 一般状態区分「イ」または「ウ」に該当

ただし、一般状態区分の◯だけで

等級認定されるわけではありません。

たとえば、

人工透析を受けている方は、

たとえ一般状態区分が「ア」だったとしても

それだけで2級です。


繰り返しになりますが・・・

内部疾患では

 まず一般状態区分のどこに◯がついているかを確認する
 それから検査数値を確認する
 診断書の全体を確認する

という順で認定されると考えていいと思います。


等級認定の考え方」・・・

とくにボーダーラインの等級認定については、

次回に更新しますね!


【さいごに】

障害認定の現場は、どうなっているんだろう?

常日頃から興味を持っていました。


認定する現場を垣間見れるとすると、

認定基準改正の専門家会合で

認定医の先生から「こう認定している」という発言を聞くことだけです。

これは、認定医の先生が公の場で発言しているわけですから

間違いないです。


なので、専門家会合の議事録は、

私たち一般人にとって「情報」という「宝の山」です。


ご興味のある方は、

厚生労働省のホームページで議事録を公開していますから

読んでみてくださいね!

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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障害年金 血液・造血器疾患による障害 認定基準改定

2018-01-10 | 社労士の障害年金
こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です!

2018年も始まりましたね〜。

お正月はどのように過ごされていましたか?

私は北海道へ帰省していました。

両親の具合が芳しくなく、実家へ帰省→ご馳走食べる というよりも

病院や施設へのお見舞いに終始していました。


さて、2017年12月1日に改正になった

「血液・造血器疾患による障害」の認定基準について です。


平成21年の政府統計によると(リンクは下部に記載)

「血液・造血器の疾患」で障害年金を受給しているのは、

わずか2千人(0.1%)です。

受給者全体の0.1%とは、少ないですね〜。

ちなみに、精神疾患では50万人(27.9%)

知的障害では40万人(21.9%)

精神・知的を合わせて、障害年金受給者のほぼ半数です。

私の事務所で扱っている案件も、

統計のとおりで、半分以上が精神・発達・知的障害です。

血液・造血器の疾患は数件で、すべて白血病の案件でした。



ブログを書くにあたり、専門家会合の議事録を読み返しました。
(まとまった時間がとれず、帰省時に読むことができました。)

認定医がどのように判断しているのか、

特に、グレーゾーン(ボーダーライン)の認定についてなど

興味深い意見が出ており、読んでいて、とても面白かったです。

血液疾患についても、勉強になることばかりでしたよ。


【血液・造血器疾患の分類変更】

まずは、疾患の分類が変更になりました。

(改正前)
・難治性貧血群
・出血傾向群
・造血器腫瘍群

(改正後)
・赤血球系・造血不全疾患(再生不良性貧血、溶血性貧血等)
・血栓・止血疾患(血小板検証性紫斑病、凝固因子欠乏症等)
・白血球系・造血器腫瘍疾患(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)


といっても、呼称の変更と具体的な疾患名の追記ですね。

これはスルーでいいと思います。

【赤血球系・造血不全疾患の変更点】

この疾患の分野は、再生不良性貧血などの貧血が主症状で、

日常生活の制限は、輸血によるものだそうです。

そして、輸血するとヘモグロビンの数値は一時的に良くなるため、

障害の指標として信頼できる検査項目は、

「網赤血球数」の絶対数だそうです。


輸血の頻度「ひんぱん」か「時々」か「必要に応じて」かどうか、

貧血「高度」「中度」「軽度」かどうかが

認定基準(A表)になっていますが、

「ひんぱん」か「時々」か「必要に応じて」や

「高度」「中度」「軽度」は

表現として漠然としていますね。

これでいいのかどうか、話し合われました。

頻度の表現方法を、たとえば

ひんぱん=1週間に一度
時々=月に2〜3回
必要に応じて=月に1回以上  と具体的に記載すると

頻度から外れた場合に運用が難しくなるため、

頻度の表現はそのままにして、

その代わり、A 表とセットになるB表に

造血機能の程度を正確かつ客観的に表す指標

「網赤血球数」を追加することになったのです。


改正前はB表の3つ以上該当しなかればなりませんでしたが、

改正後はB表の1つ以上に該当になり、基準としては緩くなりました。

と、こう書いてもA表だのB表だのって、わかりづらいと思います。

実際に自分や家族の傷病が該当するかどうかを

確認したい方は、弊事務所へお問い合わせくださいね。


改正後の再生不良性貧血のポイントとしては、

医師に診断書を記載してもらう時に、必ず網赤血球数を記載してもらうこと!

これにつきます。

ちなみに「網赤血球数」による等級(B表)は、以下のとおりです。

区分I(1級) 網赤血球数 2万/μl未満のもの
区分II(2級) 網赤血球数 2万/μl以上6万/μl未満のもの
区分III(3級) 網赤血球数 6万/μl以上10万/μl未満のもの

自分の網赤血球数がどの区分に当てはまるのをチェックすることも必要です。


なお、認定方法としては、他の内部疾患同様に

検査数値だけで決まるわけではなく、一般状態区分表にしばられます。

以下の3つを順番にクリアしているかどうかをチェックするわけです。

1 貧血の程度や輸血の頻度(A表)
2 網赤血球数(B表) 注:他にも検査項目あり
3 一般状態区分のアからオのどこに該当しているか 

認定基準を読み解いて、該当するかどうかを判断することは、なかなか難しいものですね。
 

【血栓・止血疾患の変更点】

血友病以外の重篤な凝固因子欠乏症に対応するために

新たに「凝固因子活性」の検査数値が、B表に追加されました。

また、インヒビターのある方の生活状況の厳しさは

インヒビターのない方に比べて、より厳しいと認識されているため、

診断書にインヒビターの有無に丸を付ける項目ができました。

この点も、診断書を書いてもらう時には、チェックするポイントですよ!

A表の頻度の表現については、赤血球系・造血不全疾患と同じです。


【白血球系・造血器腫瘍疾患の変更点】

大きな変更点(改善点)は、造血幹細胞移植についての規定が加えられたことです。

移植片対宿主病(GVHD)所見を記載する欄が診断書に新設され、

認定基準にも慢性GVHDの重症度を考慮する旨の項目が追加されました。


白血球系・造血器腫瘍疾患では、

・腫瘍そのものによる症状

・腫瘍があることによって正常造血が障害されて出る症状

・治療そのものによって起こってくる症状

の3つの症状を診断書から読み取って認定されます。


症状の出現は、患者さんにより異なります。

診断書に何も書いていないと「症状はない」と認定されますので、

もし、診断書に書ききれていない場合には、

病歴・就労状況等申立書(本人や家族が作成)で補足する必要があります。

専門家会合でも認定医の先生が

副作用などは病歴・就労状況等申立書も参考にしていると発言していました。


以上が、血液・造血器疾患の改正項目について です。

ザーッと書きましたが、わかりづらいことも多いし、

第一、該当する方が全体の0.1%と少ないので興味を持って読んだくださる方は

少ないと思います。残念なことに・・・。


でも・・・、ですね、

血液・造血器疾患の専門家会合で話し合われたことで、

他の内部疾患や精神疾患にも共通する

認定医の診断書の読み方

等級認定の考え方 について

とても興味深い発言がありましたので、

次回のブログで書いてみますね!

そちらの方が面白いと思います。

とにもかくにも

2018年も始まりました!

ただ年をとるだけでなく、今年も専門性を高めて精進していきたいです。

どうぞよろしくお願い致します!

よい年にしましょうね!!!


平成21年の政府統計のリンクはここをクリック!してくださいね。

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2017年 年末のご挨拶

2017-12-30 | 社労士の障害年金
こんにちは!
社会保険労務士の吉野千賀です。


2017年も残り1日となりました。

ちょっと前に年が明けた!と思ったら、もう年末・・・。

この感覚は、もうありえない速さです。



まだまだ色々やりたいことがあったのに・・・と、

反省や後悔をしたり、

いやいや、それでもできることは確かにやったはず!と

自分で自分を励ましたり、悲喜こもごもです。



来年の教訓としては「やろう・やりたい」と思ったことはすぐやること!

これに限りますね。

先に延ばすと、きっと「もう年末!」になります。



今年もありがたいことに、多くのご依頼を受けることができ、

裁定請求から受けたすべての方へ

障害年金の受給につなげることができました。

不服申し立ては、厳しかったです・・・。



私の仕事は、ご依頼があって初めて成り立つ業務です。

無料のご相談も含めて、

ご縁は大切にしていきたいと思います。

本当にありがとうございました!感謝しています。



来年の事務所の目標は、

ご依頼の案件をしっかり障害年金受給に結びつけることは言わずもがなですが、

障害者雇用の労務管理という分野にも

もっと深く、歩みを進めたいなぁと考えています。

障害者雇用の労務管理で、企業向け雑誌に連載も書きたいです。


そして、ブログでの情報発信は、月に2回はUPできるように頑張ります!


2018年はどういう年になるのでしょうか。

楽しみですね〜。

皆さまが幸せな気持ちで毎日を送ることができますように・・・

願い事が叶いますように・・・

ささやかながら、お祈り申し上げます。

どうぞ良いお年をお迎えください。

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障害年金 納付要件は第一関門

2017-11-02 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です。

ようやく秋の日差しが気持ちのいい日が続いていますね。

私は北海道育ちなので、

ちょっと涼しいくらいのこの時期が一番過ごしやすいです。


さてさて、障害年金を請求するためには、

要件が3つ(被保険者要件、納付要件、障害等級該当要件)あります。


このうちの「納付要件」について・・・。

障害年金は国の社会保険です。

社会保険でも「保険」である以上は、

年金保険料を納付しなければ、給付もありません

これが原則です。


例外として、20歳前(=保険料を納付する義務がない時期)

初診日がある場合は、納付要件は満たす取り扱いをしています。

たとえば、知的障害の方は、初診日は生年月日にする取り扱いをしており、

自動的に20歳前傷病となります。


また、国の社会保険なので、

保険料を払えない状況の方へは「保険料免除」も可能です。

免除手続きをしていれば、

障害年金の納付要件は満たします。


【納付要件の確認方法】

納付要件は、次の2つです。

初診日の前々月から12ヶ月間、納付か免除申請していること(直近1年要件)

20歳から初診日の前々月までの間で3分の2以上、納付か免除申請していること(3分の2要件)


まずは、直近1年要件を満たしているかどうかを確認して、

それがダメであれば、全体の3分の2要件を確認します。

納付要件の確認は、年金事務所で行ってください。


【初診日以降に納付してもダメ】

納付要件にあと1ヶ月分足りない!ということがわかったとして

初診日の後に、慌てて年金事務所で納付しても

障害年金の納付要件は、満たすことができません。
(納付した分は、老齢年金にはもちろん反映されますけれど)


納付の一覧では、一見、納付済みになっていたとしても

初診日の前日までに、納付しているかどうか」を確認したうえで

ようやく「納付要件を満たす」ことになります。

それから、免除の手続きも、初診日の前日までにしていないとダメですよ。


【20代の方は要注意】

さてさて。

納付要件が問題になるケースとして、

20代に初診日がある方が多いのです。

というのも、

私もそうでしたが、

20代の頃は、年金=老齢=ずーっと先のこと という感覚で

年金保険料を納めていない人が多いからです。

学生の場合は、学生納付特例の手続きを行ってくださいね。


たとえば、22歳の時に初診日があった場合。

24月の3分の2以上というと、16ヶ月以上。

8ヶ月の未納でアウトです。

1ヶ月足りない!ために

受給権が発生しない・・・(涙)というケースは、あります。


【20歳前に受診していないか?】

たとえば、22歳に初診日で、納付要件に1ヶ月足りない場合、

19歳の時に同じ病気で受診していれば、

20歳前傷病として納付要件は満たしますから、

20歳前に初診日があったかどうか、

もう一度、家族も交えて、過去の記録を検討して欲しいです。


【敗者復活の道】

納付要件を満たさない場合、

それは、「一見」満たしていないように見えるだけということもあります。

詳しい説明までは載せませんが、以下のケースなどです。


何年間も海外にいた(3分の2を計算する時に分母にも分子にも入れない)

平成3年4月1日前に学生だった期間がある

・昭和61年3月までに初診日がある場合、計算方法が異なる(基準月を用いる)

・初診日の証明を医療機関からとったら、別の日だった!

・年金記録の不備もある→修正して覆った。


上記は、私の事務所で実際にあったことです。

年金事務所で納付要件を満たさないと言われても、

実際にじっくり検討すると、大丈夫だった〜、ホッとした!こともあります。


【社会的治癒】

そして、社会的治癒。

社会的治癒期間があると、初診日を後ろへずらすことができます。

社会的治癒については、個別のテーマで取り上げています。

http://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=585a9c55cb50eb9500f44a39ba09f122&p=3&disp=50



保険料の納付要件は、障害年金請求の第一関門です。

納付要件を満たさない場合は、

本当に残念ながら、次に進めることができません。

どんなに障害の状態が重くて、寝たきりの状態であったとしても・・・です。


年金保険料は、きちんと納付するか、

学生納付特例や免除の手続きをしておいて、

将来に起こりうる病気や怪我に備えておきましょうね!


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医師の紹介は治療とセット

2017-10-25 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!


10月と5月は、過ごしやすくて大好きな月ですが、

今年の10月は連日の雨続き・・・しかも寒いですね。

電車に乗っていても風邪ひきさんが目立ちます。

私はといえば、皆さまと同じく風邪気味なうえに

肌も乾燥して、シワが目立って嫌ですね〜。

まっ、仕方ないですが・・。



事務所の無料相談などに

たま〜にですが、

障害年金の診断書を書いてくれる医師を紹介して欲しい

という問い合わせがあります。


結論から先に申しますと、

問い合わせベースで

医師の紹介はしていません。



なぜなら、

医師の仕事は

患者さんを治療すること

診断書を書くことは

医師にとっては、付随業務だからです。


それに、障害年金の診断書は、

他の用途の診断書よりも作成するのに

多くの時間や労力が かかります。


付随業務のためだけに、

医師を紹介するのは、とても失礼ですよね。


【医師を紹介することも、たまにはあります】

障害年金の代理業務を進めている過程で

ご依頼者(患者さん)に対して

暴言を吐いたり、怒鳴りつけるなどの行為が

あるような医師だった場合など・・・

主治医を変更することが

障害年金の診断書だけでなく

今後の治療のためにも、必要

ご本人やご家族が転院したいと希望されるなら、

その時は、

過去に同じ病気で障害年金の診断書を

書いてもらったことのある医師を

紹介することはありました。

これからも、そういうケースはあるかもしれません。


【まずは治療、そして信頼関係】

医師との信頼関係を築くのは

患者さんやご家族ですよね。


まずは診察。そして治療を始めて

お互いに信頼関係ができて、

それから障害年金の診断書を書けるかどうかを

伺ってみる、というのがいいと思います。


もちろん、急性疾患で症状固定などの場合は

受診してすぐに診断書を書いてくれるかもしれませんが、

そういうケースは稀かなぁ・・・と思います。


特に、精神の疾患や診断の難しい疾患などは、

治療の経過をみてからでないと

障害年金の診断書は書けないでしょう。



同じ診断書でも、

障害者手帳(または精神福祉手帳)の診断書は、

受診してすぐに書ける場合もあるようです。


【さいごに】

ご依頼者が障害年金を受給できて、

さらに

その病院で治療も進んでいるというご報告をきくと

紹介して(転院して)良かったなぁと思います。

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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社会保険審査官(第一審)

2017-08-07 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!


8月の暑さに、もうバテバテです。

早く涼しくならないかなぁ・・・。



前回、不服申し立ての第二審を行う「社会保険審査会」の

統計等を元に、相手を知るシリーズを書きました。



裁判まで行わないとすると

第二審の社会保険審査会は、

不服申し立ての「最後の砦」だからです。



ふと、思いました。

そういえば、第一審の社会保険審査官」について

まともに書いたことがあっただろうか・・・。

・・・ない。

ほとんど、ない。



なぜかというと、

私の中では、第一審は「通過点」

という認識だからです。


そう認識すると、

たとえ棄却だったとしても

第二審へ進む勇気が湧きますよ。



第一審は「通過点」たる所以を

関東信越厚生局で公表している統計を基に

書いてみますね。



【社会保険審査官とは】

社会保険審査官は、

厚生労働省職員の中から

厚生労働大臣によって任命され、

地方厚生局に置かれます。

定員は103人。


障害年金を含む公的年金の

最終責任者は、厚生労働大臣です。


「不支給決定」は

厚生労働大臣が行っています。



自分の所属する組織の長が下した決定に対して、

部下である社会保険審査官が

覆すことは簡単ではないでしょう。



そうであれば、

最初に「棄却」ありきの「決定書」も

致し方ないとスルーして、

第二審へ進むしかないのではと

割り切って、

落ち込まないことです。



【関東信越厚生局の統計】

とはいえ、本当はどれくらい「容認」があるのでしょうか?


第一審で容認されないのは、

私だけなのか(笑)、確認したいと思います。



関東信越厚生局で「審査請求取扱状況」が公開されています。


まずは、過去2年の受付状況です(関東信越厚生局のみ)。

平成26年度  899(繰越)3,504(新規)  4,403件(合計)
平成27年度  749(繰越)3,234(新規)  3,983件(合計)


そして、

関東信越厚生局では、どれくらい認められているか・・・。

平成26年度  78(容認)3,049(棄却)207(却下)
平成27年度  77(容認)2,760(棄却)189(却下)



第一審の社会保険審査官が作成する「決定書」だけの容認率は、

平成26年度 2.3%
平成27年度 2.5%      

低いですね〜。

やっぱり・・・、上司の決定には逆らえないのでしょうかねぇ。


※ご参考に、第二審の社会保険審査会では・・・

平成26年度 12.5%
平成27年度 13.2%

第二審でも10%台の容認率は、低いなぁと思いますが、

第一審の狭き門といったら、なんとも・・・。



しかし!!!

第二審の統計でも書いたとおり、

事実上の容認」というべき

保険者の処分変更による取り下げ」がありましたね!



関東信越厚生局の審査請求取下件数は、

平成26年度 303件
平成27年度 239件  です。


実は、取下げの理由が公開されていないため、

保険者が処分変更したから取下げしたのか、

請求人の心が、途中で折れて取下げしたのか(笑)、

詳細は不明の件数です。


仮に、請求人の心が折れていない場合、

「事実上の容認率」は、

平成26年度 11.4%
平成27年度 10.4%


第二審の社会保険審査会における「事実上の容認率」は、

平成26年度 22.0%
平成27年度 22.5% ですから


第二審の方が2倍、

認められているということですね。


社会保険審査会(第二審)は、

元裁判官や医師などによる合議制であるため、

厚労省の上司がどうのとかは、

もう関係ないからでしょうか。



【障害年金はどうなのか】

関東信越厚生局の統計では、

国民年金、厚生年金保険というカテゴリーでしか

数値が発表されていません。


前回、第二審で障害年金が占める割合

厚生年金保険では 75.3%
国民年金では 89.2%  という結果を前回書きました。


第一審を経ての第二審ですから、

障害年金が占める割合は、第二審とほぼ同じと考えて間違いないでしょう。



【国民年金、厚生年金保険の割合】

関東信越厚生局の統計では、

<厚生年金保険>

平成26年度  24(容認)962(棄却)88(却下)容認率 2.2%
平成27年度  12(容認)875(棄却)92(却下) 容認率 1.2%


<国民年金>

平成26年度  16(容認)1,614(棄却)85(却下)容認率 0.9%
平成27年度  14(容認)1,464(棄却)64(却下)容認率 0.9%


国民年金の容認率が1%を切っているなんて・・・

狭き門にもほどがありませんか!!!



いや、しかし「事実上の容認」というのがありましたね。

そう、保険者が自ら決定を見直した「取下げ」です。


関東信越厚生局での取下げ件数は、

平成26年度 厚生年金保険 217件 国民年金 40件
平成27年度 厚生年金保険 164件 国民年金 38件


これを、さっきの容認率に含めましょう。そうしよう。

そうすると、

<厚生年金保険の事実上の容認率>

平成26年度 18.6%
平成27年度 15.3%


<国民年金の事実上の容認率>

平成26年度 3.2%
平成27年度 3.3%


う〜ん、やはり国民年金の容認率の低さが際立ちます。


それと、厚生年金保険の処分変更(=取下げ)が

やけに多くないですか。

だって、処分変更なしでは 2.2%だったのが、

処分変更されて18.6% に急上昇です。



【結論!第一審の特徴を踏まえて、ぜひ第二審へ】


繰り返しになりますが、

第一審を決定する社会保険審査官は、

厚生労働省の職員で、いわば身内です。

厚労省職員が反旗を掲げた容認率は、2%台前半。



同僚を説得して(?)処分変更になった「事実上の容認率」は、平均して10%くらい。

第一審とは、そういうものだと割り切ってください。



第一審の社会保険審査会の決定が

たとえ「棄却」だったとしても、

そこで心を折って、諦めるのはもったいないです。



第一審で容認されるのは、全体の2%台ですから

98%の方々も、同じようにガッカリな結果なのです。

第二審で決定が覆る可能性は残っています。



決定書の日付から2ヶ月以内に、

第二審(社会保険審査会)へ進みましょう。



第一審の決定書を見せてもらえれば、

第二審で覆るかどうか、

その可能性を判断しています。


相談は無料ですので、

弊事務所へ連絡をしてみてくださいませ。


【参考資料】

関東厚生局 社会保険審査官 審査請求取扱状況

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【関連記事】障害年金請求サポート専門社労士吉野千賀ブログの「社労士の障害年金」記事一覧
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社会保険審査会(第二審)2

2017-07-27 | 社労士の障害年金
こんにちは!

社会保険労務士の吉野千賀です!


戻り梅雨でしょうか。

暑くてバテバテでしたが、湿気もなかなか辛いものですね。

皆さまは体調を崩されていませんか。



前回の続きで、

不服申し立ての第二審を行う機関の

社会保険審査会の統計等を元に、

相手を知るシリーズの続き です。


裁判までは考えていない方にとって、

社会保険審査会は、

不服申し立ての「最後の砦」です。


【社会保険審査会で扱う制度】

社会保険審査会では、障害年金だけでなく、

健康保険(国民健康保険は除く)や

老齢年金・遺族年金も扱っています。


審理される制度は、こんな感じです。

・健康保険   療養費・傷病手当金など
・健保・厚年   保険料・標準報酬など
・厚生年金保険   老齢年金・障害年金・遺族年金など
・船員保険   傷病手当金など

・国民年金   老齢年金・障害年金・遺族年金・保険料免除など



制度としては、多肢にわたっていますね。


【障害年金が占める割合】

扱う制度はたくさんあれど、

主に扱う制度」となると、どうでしょう。


平成27年度の再審査請求の件数です。

・健康保険  138件
・健保・厚年  63件
・厚生年金保険 912件
・船員保険   5件
・国民年金 1,031件

   合計 2,149件


厚生年金保険(42.4%)と 国民年金 (47.9%)

主に扱う制度」であると言えますね。


それでは、

厚生年金保険と国民年金において

障害年金はどれくらいの不服申し立てがあるでしょう

<厚生年金保険>

平成27年度の件数です。

・老齢年金   31件
・障害年金  687件
・遺族年金   66件
・その他    128件
    合計 912件


<国民年金>

・老齢年金  18件
・障害年金 920件
・遺族年金   2件
・保険料免除  73件
・その他   18件
   合計 1,031件



厚生年金保険では 75.3%
国民年金では 89.2%


これが、障害年金の不服申し立て件数です!


不服申し立てのほとんどは、

障害年金に関するものであると

言ってもいい・・・と思います。


【なぜ、そんなに不服申し立てが多いの?障害年金】

ここからは、統計ではなく推測ですが・・・。

社会保険審査会の公開審理を傍聴する限り、

大きく2つにまずは分かれます。

・制度そのものを理解していない不服申し立て
・制度を理解したうえでの不服申し立て



制度そのものを理解していない不服申し立てとは、

たとえば、

納付要件を満たしていないことに対する不服申し立て

請求した傷病名とは別の傷病名で行おうとしている不服申し立て

・・・などが見受けられました。


障害年金の制度は、複雑です。

制度を理解することは、私たち社労士も多くの時間がかかりました。


まずは、「初診日」を確定しないと

初診日において納付要件が満たしているかどうかが

確認できない・・・ということが起こります。


さらに、不服申し立てで主張している初診日が

請求傷病の初診日と認められず、

結果的に納付要件を満たさないということもあります。


初診日はいいとして、次に

等級に該当しないため不支給とか・・・

等級が思ったより低いとか・・・

支給停止になったとか・・・

障害の程度」に関することが待っています。



つまり、

「初診日」と「障害の程度」の両方のハードル

クリアしないと

障害年金は受給することができないのです。



そのために、障害年金に関する不服申し立てが多いのかなと考えています。


【アドバイスできること】


皆さんが 不服申し立てを行おうとする時

私が 相談の電話やメールを受けた時に

まずはっきりさせたいのは、


・「初診日」の不服申し立てなのか、

・「障害の程度(等級)」の不服申し立てなのか、

・両方なのか



ということです。


両方とも問題だからといって

受給できないということはありませんよ!

どちらか一つでも

問題が深くてダメだったということもあります。


一番良くないのは、

論点をはっきりせずに、不服申し立てを行うこと。


次に難しいのは、

(自分が受給できるために)制度を変えてくれないか 

というような懇願かなぁ。

これは公平性という観点から、まず無理だと思います。



アドバイスできることは

まずは、社会保険審査会で公表している裁決を

読んでみること
ですね。


そして、不服申し立ての論点をはっきりさせること。


何度もいいますが、

障害年金でいえば、

「初診日」and/or「障害の程度(等級)」です。


そのうえで、

不服申し立てを扱っている社労士へ

相談してみる、ということを考えてもいいと思います。

少なくとも、不服申し立ての経験がありますから

見通しを立てたアドバイスはできると思いますよ。


参考:

社会保険審査会 統計

社会保険審査会 裁決

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