スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

2020年の削減目標が40%減に...!

2008-02-18 07:24:50 | スウェーデン・その他の環境政策
3月に最終報告を国会に提出することになっている「温暖化対策準備委員会」だが、先週も新たな展開が見られた。


まず、2020年までの削減目標について。それまでの報道では30%減に落ち着くと見られていたのだが、何が起こったのか、40%減という数字が浮上し、この水準を軸に議論が進んでいるというではないか!

30%減から40%減へと削減目標が飛躍的に進んだ背景にあるのは、スウェーデンが外国で取り組んだ排出抑制努力を、スウェーデンの抑制達成量にカウントするかどうか、という議論のようだ。外国での努力とは、おそらく産業・民生部門における技術移転や植林などによる吸収源の拡大などであろう。現在の予想によると7%減に相当する温暖化ガス抑制が2020年までにこれらの取り組みで達成できると考えられている。

与党である保守党・自由党・中央党・キリスト教民主党は、外国での取り組みによる削減分もカウントすれば40%減を達成可能、と考えている。一方、野党である社会民主党・環境党・左党は、あくまで国内だけで40%減を達成すべき、と主張している。ただし、彼らは議論がここまで深まっただけでも十分、と与党側に歩み寄る構えのようだ。

いずれにしろ、各党が30%減から40%減の付近で落とし所を模索しているのはスゴイことだと思う。

もう一つの展開は、原子力発電の位置づけ。先週の会合では、自由党が原発を持ち出し、「委員会の最終報告書の中に、温暖化ガス排出抑制における原発の意義を盛り込むべき」と主張し、議論が紛糾したそうだ。与党の他の3党は「なんでまた今になってそんなことを持ち出すのか!」と苛立ったという。そして、自由党をなだめようと努力し、しまいには環境大臣(中央党)も議論に加わって妥協点を見出そうとしたものの、無理だった。

議論は今週もさらに続く。

なんだか、最終報告書を読むのが今から楽しみになってきた!

<注記>
写真は本文とは直接は関係ありませんが、4年程前にヨンショーピンで撮った写真です。

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