スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

スウェーデンの鉄道

2005-05-19 20:17:21 | コラム


通学のために電車を使うが、ホームで電車を待っていると突然こんなアナウンスが流れてくる。「次の列車は運休となりました。代替バスが20分ほどしたら来るので、×番のバス乗り場に向かってください。」こんなことが去年の秋にはしょっちゅうあった。

ちゃんと予定通り列車がやってきて、乗り込んだとしても油断は禁物。なかなか発車しない。突然のアナウンス:「信号不良のため、これから先には進めなくなりました。代替バスを用意します。」こんなことがよくあると、アナウンスのはじめの「ポーン」というシグナルにも、やけに敏感になってしまう。

ちゃんと鉄道が機能していても、ダイヤよりも10-15分遅れで走っていることは頻繁だ。私の住む町とヨーテボリの間には乗換えがあることが多いから、出だしでつまづくと接続の電車に間に合わず、1時間遅れで大学につくこともあった。

突然の運休の原因は、もちろん技術的なトラブルもあるが、人員的な問題によるものも多いようだ。搭乗予定の運転手・車掌が時間になっても現れない。早朝・週末に職員を確保できない、などなど。始めに挙げた例では、逆方向の電車は動いていたから、技術的なトラブルでは無く、車掌の朝寝坊だろう・・・。ストックホルムの地下鉄は、夏休みの間、職員確保が困難なため、かなり多くの便を運休にした夏もあるらしい。

ウプサラにいた頃に、60km離れた町の老人ホームで夏休みにアルバイトをしたことがあったけれど、早朝、ウプサラ駅に駆け込んで、モニターに出た「運休」の文字には何度泣かされたことか・・・。次の電車が1時間後だから、老人ホームに断りの電話を入れる。老人ホームの職員は、突然の運休は夏休みにはよくあること、というものの、朝の一番忙しいときに職員が一人抜けることには、もちろんいい顔はしない。

そんなことだから、大切な約束がスウェーデンのどこかであるときは、なるべく1本か2本、早い電車で向かうことにしている。(特に日本人との待ち合わせでは)

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去年の秋に国鉄SJ(株式会社化されたものの、全部の株を国が所有)が、広告を発表した。「今では、すべての列車の93%が定刻どおりに動いている!」過去数年の記録を塗り替える、喜ばしい数字だという。で、その広告の隅に書かれた小さな文字を見ると「“定刻どおり”とはダイヤよりも15分以内に到着した場合のこと」・・・唖然。

それでも、SJは列車の遅れを減らすべく、それなりの努力をしてきたようだ。去年の初めから「Resegaranti (=travel guarantee)」といって、目的地への到着が遅れた場合に乗客に補償をする制度を設けた。でも、これまた補償の対象となる「遅れ」の基準には笑っちゃう!

・所要時間1時間以内の場合、20分以上の遅れが補償の対象。
・所要時間1~2時間の場合、40分以上の遅れが補償の対象。
・所要時間2時間以上の場合、60分以上の遅れが補償の対象。


ヨンショーピン・ヨーテボリ間は2時間を少し上回るから、60分遅れないと補償の対象にならない! だから、軽度に遅れ始めたときは、少しでも早く着いてくれと願うけれど、ある程度遅れはじめると、もう少し遅れてくれ、と遅れが60分を超過することを願うばかり:-)

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