スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

ストックホルム「渋滞税」の正式導入

2007-08-06 07:23:05 | スウェーデン・その他の環境政策
ストックホルム市街地で、乗り入れを規制し、中心部での渋滞を解消するために「trängselskatten(渋滞税・乗入税)」が8月1日に正式に導入された。“正式に”と書いたのはなぜかというと、実は以前に試行されたからだ。2006年1月3日から同年7月31日までの半年余り、試験的に導入され、その後、2006年9月のスウェーデン国会総選挙にあわせてストックホルム市および周辺の市において、この「渋滞税」の正式導入、つまり恒久化を問う住民投票が行われたのだ。その結果は・・・、JAともNEJとも明確には判断ができない結果となったが、ゴタゴタの中で最終的には中央議会の政治決定によって「2007年8月から正式導入」が決定されたのだった。ゴタゴタといえば、試験的導入を決定するまでも、社民党を中心とする左派ブロックと、保守党を中心とする右派ブロックの間で、2002年以来、ゴタゴタの政治論争が繰り広げられた。

だから、今から思えば“よくもまぁ、ここまで漕ぎ着けたものだ、天晴れ”と言いたくなるくらいの代物だ。その辺の経緯については、今まとめている最中なので、後ほど。

------
さて、この「渋滞税(乗入税)」の仕組みはこうだ。

車でストックホルムの中心部に乗り入れる際に、時間帯に応じて通行税を支払わなければならない。渋滞税が課せられる「ストックホルム中心部」というのは、以下の地図の通り。

支払わなければならない渋滞税(乗入税)は時間帯に応じて異なり、朝夕のラッシュ時に最大20クローナ(約36円)になる一方、夜や深夜、そして、週末(土・日)や祭日およびその前日は無料だ。(ただ、一日に何度も出入りする人もいるため、一日の最大課金は60クローナという上限がついている。)

「ストックホルム中心部」の入り口の路上18ヵ所にはカメラが取り付けられており、通過する車のナンバープレートを自動的に読み取る。これによって、コンピューターに「乗り入れ」が登録され、渋滞税が請求される。銀行口座からの自動引き落とし制度があるほか、キオスクで14日以内に払うこともできる。試行期間中は「車載器」も利用されていたが、正式導入後は一部(Lidingsöに住む人)を除き、撤廃された。

“環境にやさしい車”、つまり、ハイブリッド車、エタノール車、天然ガス車などには渋滞税が課せられない。また、バスなどの公共交通および、障害者の車などにも課せられない。一方、試行期間中は非課税だったタクシーには今後は課せられることになった。

この「ストックホルム中心部」の左端は高速道路のE4/E20が通過する(通称Essingeleden、上の地図の緑線の部分)。しかし、この部分を通過するだけで、市内に乗り入れないのであれば、渋滞税は課せられない。

------
上の地図で見れば分かるように、ストックホルムの中心部というのは、いくつかの島から成り立っている。だから、乗り入れ可能な通路も限られており、よって、監視も比較的容易だといえよう。広範囲において「域外」と陸続きになっている所(つまり、上の地図の11~14の部分)がどうなっているのか。横道からの勝手な進入を防ぐ工夫がなされているのか、気になるところ。今度、ストックホルムへ行った際に見てきたい。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
レンタカーの場合 (Uppsala invanare)
2007-08-08 04:18:06
単純な疑問なのですが、レンタカーで乗り入れた場合は課税されるのでしょうか?

もしされるのならば支払うのはレンタカー会社?借り手から徴収するのは手間がかかりそうです。
返信する
Unknown (Yoshi)
2007-08-09 05:20:53
大手のスタンドのホームページを見てみたけど、何も書いてなかった。まだ対応を考えていないのかな?

それとも、レンタル料に比べれば、渋滞税なんて小さなもの(最大60kr)だから、レンタル料に含めてしまうのでしょうか・・・?
返信する

コメントを投稿