スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

寒い夏と鬱病、早産の関係・・!?

2007-08-04 11:53:18 | スウェーデン・その他の社会
長くて暗い冬が終わりに近づく2月・3月は、日もだんだん長くなり、太陽がキラキラと輝き始める(雪に映えると何ともいえない美しさ)。すると、人々は待ちわびたように、日向ぼっこを始め、顔全体で太陽を浴びようとする。その光景が、あたかもそれまで冬眠していた動物が這い出してきて、春の到来を祝っているかのようで、面白い。

人間が生きていくのには、それだけ太陽が必要ということだろう。冬の間、日照時間が少なかった分、必死で補おうとする。だから、4月・5月のまだ肌寒いときにも、太陽が出れば、日向ぼっこをするし、6月から8月にかけては、湖水浴や海水浴をしている人が多い。特に、1ヶ月近くある夏休みでは、農村や辺鄙なところにあるサマーハウスなどで過ごす人も多いし、地中海や東南アジアなどのリゾート地でバカンスを楽しむ人もおおい。

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日光を浴びることだけに限らず、夏の間に自然に触れてリラックスすることは、それまでの日々の生活のストレスを解消し、秋が始まる8月後半から再び日常生活を始めていくのに必要らしい。それを裏付ける研究結果が出ている。

心理学におけるスウェーデンとアメリカの共同研究チームは、スウェーデンのそれぞれの月の平均気温と、Apoteket(スウェーデンの薬局)の対鬱(うつ)病薬の売り上げの関係を調査したという。それによると、6月と7月の気温が低い年ほど、対鬱病薬の売り上げが伸びる傾向にあることが分かった。

彼らの推論によると、気温そのものが人々を鬱にするのではなく、天気が悪いことによって、人々が夏休みになっても家から出られないために、太陽を浴びられず、自然に接することができないことが原因だということだ。

さらに興味深いのは、6月・7月の気温と新生児の体重との関係ストレスが溜まっている妊婦ほど、予定よりも早く子供を出産する傾向にあることは、以前から知られていたという。そこで、6月・7月の気温と新生児の体重との関係を調査してみると、やはり夏の気温が低いほど、未熟児や早産の可能性が高く、よって新生児の体重も軽くなる傾向にあることが実証で裏付けられたという。やはり、天気が悪くて寒い夏には、人々がストレス発散のチャンスを逃してしまうからだろう。

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今年のスウェーデンの夏は、実際、雨が多くて寒かった。いつになったら、夏らしい夏が来るのか・・・、と待ちわびていた人々も、7月の後半になっても相変わらず嫌な天気が続くもんだから、7月の後半は国外へのチャーター旅行(主に地中海沿岸、東南アジア)に殺到。どこも満席だという。Sista minutenというと、余った空席を直前に旅行会社が安く売るチケットのことだが、今ではそのSista minutenチケットの値段も暴騰しているとか。みんな、太陽を浴びたいんだね。それから、例年なら7月に落ち込むはずの株や投資信託の取引も、今年は他の月並みに行われていたとか。雨で外に出られないとなれば、株ですか!

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