スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

日本の夕焼けは短い?

2008-04-06 22:36:50 | コラム
まだ京都大学の学部生だったときに、その大学にスウェーデンから来ていた交換留学生Mattias(マティアス)と親しくなった。ある時に彼が言った。「日本の夕焼けはあっという間だ。太陽がすばやく落ちて沈んでいき、その後の黄昏(たそがれ)の時間も短く、すぐに暗くなってしまう。」

日本にいたときには、何のことかさっぱり分からなかった。太陽の沈む速さに日本でもスウェーデンでもあまり違いがあるとは思えなかったから。スウェーデンでは太陽はゆっくりゆっくり動くのか!?と疑問に思っていた。

でも、スウェーデンでしばらく生活してみると、彼の言葉が実感できるようになった。なるほど、こちらでは太陽はゆっくり低下して行き、沈んだ後も地平線付近が長い間、明るいのだ。

このからくりはこういうことではないかと思う。


つまり、太陽の沈む角度がスウェーデンでは日本よりもかなり小さい(浅い)のだ。スウェーデンの太陽はゆっくりと高度を下げて行き(ただ実際は、この間も横方向に大きく移動している)、沈んだ後も、地平線から近いところに長い間居続ける。これに対し、日本の太陽は高いところから急な角度で降下して行き、日没後はすばやく地平線付近から深く遠ざかっていく。だから、黄昏の時間も短い。

スウェーデンの太陽は、一日を通して低空飛行なのだ。下は、春分・秋分の日の太陽の動き。


スウェーデンでも日本でも、この日は太陽が真東から昇って真西に沈むのだけど、スウェーデンの太陽は低空飛行。南中高度も日本と比べて低い。だから、実際の日の入りの時間のかなり前から、夕焼けに近い状態になる。夕焼けが長く感じられるし、日没後の明かりも長く続く。

太陽の動く速度は、日本では移動距離が長い分、スウェーデンよりも若干早く感じられる。

さて、スウェーデンは真夏は日が長いから、夏だったら太陽も高いところを移動するのではないか?と思われるかもしれない。


上の図は、スウェーデンの夏至と冬至の太陽の動きだが、夏至のときは太陽が水平線上に出ている時間が長く、飛行高度も全体的に高くはなるとはいえ、真上に来るなんてことはない。日本と比べれば、夏至のときでも低空飛行と言えるだろう。(二つの曲線は本当は平行になるはずですが下手でゴメンナサイ)

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8 コメント

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白夜 (とおりすがり)
2008-04-07 20:32:43
それこそ白夜があるような国でしょう?
季節によっては「一日中夕焼け」ということもあるのでは。

同様な話として「日本の川は上流ばかりだ」というのもあります。
「美しき青きドナウ」のような「ゆったりとした」川ではなく、
「川下り」ができるような急流が多く、それが川下まで続くことを
指して言ったものらしいです。
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太陽の角度 (tomo)
2008-04-08 04:11:01
青空の青も日本と比べると
淡い色をしてますよね。

空の色が違うのではじめは驚きましたが。

これも太陽の動きが関係しているのかもしれませんね。(単なる推測で、根拠はありません・・・)
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ストックホルムとヨーテボリでも違うのでしょうか? (セロー)
2008-04-08 07:51:08
スウェーデンのたそがれの 青の時間-ブルーモーメント-が好きです。
太陽の角度ですか!目の付け所がすごい。
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Unknown (Kosa%気象予報士)
2008-04-08 08:11:40
こんにちは。
マルメに住んでた頃は、夕焼けが長いことが嬉しくてよく海岸に行って眺めておりました。学生時に地球物理学専攻だったので理屈では分かっていても実際感じてみると少なからず興奮したのが懐かしいです。スウェーデン人同僚達にこの感動を伝えてもポカーンとされましたが^^;
地球が自転をする軸は公転面に対して23.4度傾いているので極に行くほど南中時の太陽高度が低くなります。ただし、太陽が天球を一回転するのは地球上どこでもいつでも一日約360度。そんなことを思い浮かべると太陽の動きもイメージし易いかもしれません。
高緯度の初夏の夕闇によく出現する現象として「夜光雲」というのがあります。夕暮れ後の空に目を凝らしてみるのも中々面白いですよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9C%E5%85%89%E9%9B%B2

太陽光が大気中を通過する距離によって空の色が変わります(湿度や汚染度とも関連しますが)。距離が短い(太陽高度が高い)と青色系の波長が散乱して青く見え、距離が長い(太陽高度が低い)と青色成分が減衰してしまい、赤黄色系の散乱が強くなります。なので、高緯度の北欧の空の色は中緯度の日本のそれとは違ってきます。
現在東京でサラリーマンしてると空の広さを感じられないのが残念ではあります><;
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Unknown (ayako)
2008-04-08 09:59:04
南中高度とか太陽の軌跡とか、小中学校の理科の授業を懐かしく思い出してしまいました。

太陽の高度がずっと低かったせいなのか、ストックホルムに滞在していた時、お天気がいくら良くて明るくても、一日中なんとなく夕方のような気分でした。昼間でも影が長かったり、頭ではわかっていてもいざ経験すると不思議な感覚でした。
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Unknown (Yoshi)
2008-04-09 21:03:56
>季節によっては「一日中夕焼け」ということもあるのでは。

そうですね。空が一日中琥珀色、ということはありませんが、太陽の高度がかなり低く、一つ上のコメントでayakoさんが書いておられるように、昼間でも影が長いことがありますよ。
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Unknown (Yoshi)
2008-04-09 21:09:42
tomoさん

>青空の青も日本と比べると
>淡い色をしてますよね。

下のコメントでkosaさんが太陽光が大気中を通過する距離について説明されていますね。

私はむしろスウェーデンの空のほうが濃い色をしているように感じました。群青色、というのでしょうか。日本ではいつもかすんで白くなった空を見ることが多かったので。地域にもよるとは思いますが、日本では大気中の水蒸気が多いせいかな? と自分で勝手に想像しておりました。
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Unknown (Yoshi)
2008-04-09 21:16:57
セローさん

Kosaさんが説明されているように、太陽の高度と沈む角度は緯度が関係してきます。でも、ストックホルムもヨーテボリもあまり違いはないと思いますが。


Kosaさん
丁寧に説明していただき、ありがとうございます! そうですね、緯度と関係してきますよね。

>スウェーデン人同僚達にこの感動を伝えても
>ポカーンとされましたが^^;

違いを知るものじゃないと、この美しさに対する感動は理解できないのでしょうね。

夜光雲は見たことありますよ。日没後の太陽に照らされて、空高く、淡く光っていました。特別な名前があるとは知りませんでした。パソコンのどこかに写真があると思うので、また紹介して、確認していただきたいと思います。


ayakoさん

>南中高度とか太陽の軌跡とか、小中学校
>の理科の授業を懐かしく思い出してしま
>いました

遠い昔の知識も、意外なところで役に立ったりして・・・。



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