ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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韓国史劇風小説「天皇の母」178(時限爆弾のフィクション)

2015-02-17 07:00:00 | 小説「天皇の母」161-

7月になり、学習院大学のOBによる定期演奏会の日。

本当に久しぶりに鑑賞したノリノミヤの為に演奏されたのは

メンデルスゾーンの「結婚行進曲」

秋に挙式を控えた宮へのプレゼントだった。

この演奏会には皇太子も出席し、ヴィオラの腕を振るったのだが

その後は二人ともよそよそしく挨拶をし、並んで演奏を聴いていても

ほとんど会話をしなかった。

皇太子はどこか上の空で、他の事を考えているように見える。

それがわかるからノリノミヤもあえて会話をしようとしなかった。

皇太子を上の空にしている原因は、あと10日ほどで始まる

万国博覧会だった。

皇太子が名誉総裁である以上、必ず現地へ行かなければならないのだが

皇太子妃の気分が定まらず、予定を組む事が出来ないでいるのだった。

いわゆる「適応障害」の為、予定を立てられると負担だ、時間に追われると

負担だ、決まりごとが多いとプレッシャーになり落ち込む等々

週刊誌等を通じて、「心の病」という錦の御旗を見せつける皇太子妃の

振舞は日々ひどくなる一方だった。

皇后は朝一番で全社の新聞を開き、皇室の記事に関して確かめる。

当然、週刊誌などの見出しも見るわけだが、その見出しに一喜一憂しては

ため息をついている。

 

かつての自分と同じ病である・・・と報道されれば

そうだ。あの頃は本当に苦しかったし悲しかった」と反芻する。

爵位を持たない家の出身であるがゆえに、皇室に入った時から

自分だけ浮いているような感覚を持ったあの日。

一々「これがしきたり」と言われて、でもどこに理があるのか

さっぱりわからず右往左往したあの頃。

皇室は皇后にとって未知の世界そのものだった。

いつまでも慣れるものではない。だからこそ、殊更「皇太子妃」として

必死に振る舞って来たのだ。

だが、どうやら皇太子妃は「必死に振る舞う」事すら出来ないらしい。

もしそうさせたのが自分だったら・・・・と思うと皇后は怖い。

とはいえ、今まで頑張って「戦後皇室の象徴」として完璧な「皇太子妃像」を

作り上げて来た自分の足元が崩されていくような感覚も怖い。

どちらにせよ、うまくいかない事に皇后は激しく傷つき、さらに皇太子妃を

傷つけてはいけないと思うのだった。

そんな母を見ているとノリノミヤは結婚などせずにこのままここにいたいと

いう衝動にかられるのだが、

お前は自分の幸せだけを考えなさい」とアキシノノミヤが言うので

かろうじて何事もないようなふりをしている。

 

最近の皇后は「どうしてもクロちゃんじゃなきゃダメだったのかしらね」と

いうようになった。

あなただったらもっと・・・」といいかけてやめる。

それを口にするのは皇后のプライドが許さないらしい。

家柄のいい所に嫁いだからって幸せだとは限らない」

それは天皇の姉達を見ていればわかるではないか。

しかしとも思う。天皇家の皇女ともあろう者が旧皇族からも旧華族からも

相手にされなかったとあっては、それはそれでさらに傷つく。

だからヨシキとの結婚は娘が望んだ事なのだと皇后は思いたいらしい。

無論、そうなのだが、ノリノミヤとしては母がどうしてそこまであれこれ

細かく考えるのか今一つよくわからないのだった。

小さい頃から「将来降嫁する」という事を前提に育てられてきた。

今、持っている全ては借り物なのだ。

だから全ておいて行こう・・・と宮は考えている。

本当の自分は何も持たないただの人間なのだ。

これからクロダヨシキという人と一緒に一から作り上げる。

サヤコという人間を。

内親王という身分は借り物。だけど祭祀や公務に関して

手を抜いた事は一度もない。

ちっぽけな自分ではあるけれど、皇族として生活をさせて頂いているのだから

と考えてきた。

それなのに、どうしてそういう考えをマサコに伝えられないのだろう。

 

理想の母だったのに、何もかも完璧な母だったのに、

それもこれも表面的な事だったのかなと思い始める。

しかも、皇后は、政府が立ち上げた皇室に関する有識者会議に

非常に期待しているようなのだ。

 

ノリノミヤの婚約直後に立ち上がった有識者会議は

将来、皇統が絶えかねない現状を打破する為にどうしたら

いいかと考える会議だった。

東宮家の一人娘であるアイコには皇位継承権がない。

男子は皇太子と弟のアキシノノミヤである。

男系の男子を貫けばアキシノノミヤの代で皇統は絶える。

アキシノノミヤが天皇になった時、改めて「女帝」を考えても

アイコに皇位は行かない。

ゆえに、今、有識者会議が立ち上がったのだ。

天皇も皇后もこの件に関しては何も話さなかった。

天皇というものは政府の要請なしに動かない」事を理由に

放置しているようにも見えた。

国連のオガタサダコは皇后の友人だった。

彼女が有識者会議メンバーに入った事で、情報はおのずと入って来る。

言葉に出さなくても天皇も皇后も皇室典範の改正には賛成しているようにも

見える。

少し変わるかしらね」と時々皇后が言う。

一体、何を期待しているのだろう。

わかってはいるの。本当にわかってはいるのよ。だけどサーヤは

誰よりも長く私の傍にいてくれて。生まれた時からどんなに大事に大事に

育てて来たか。日本一の貴婦人として立派に育ったあなたが・・・・・

35年もの長い間、内親王だったあなたが」

そこから先が続かない。

 

いくら娘といえど身位の差は無視できない。

これからは御用邸に泊まる事も、御所で深夜まで語らう事も

許されないのだ。

この所、本当に憂鬱な顔をするようになった皇后。

そして、今頃、東宮御所で妻はどんな風に過ごしているのだろうと

やきもきしている皇太子。

「内親王と東宮」としての最後の演奏会なんだから、一緒に来るべきでは

なかったのか・・・などと言っても無駄だ。

ミヤは早く帰りたい衝動にかられて、必死にそれを隠していたのだった。 


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20 コメント

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待ってました (スノウ)
2015-02-17 07:33:36
新作ありがとうございます。

いよいよ、愛知博でのマスコット無視に、披露宴白ドレスが、登場間近ですね。

その直前の兄妹の冷えきった鑑賞シーンが、いいですわあ。

最近、コメントできなくてすみません。
ちょっと、バタバタしていたもので。
いよいよ (どん)
2015-02-17 08:03:44
皇后はクロちゃんのことをそのように考えられていたのでしょうか?華族ではないけど本当の意味で品の良さを持った方に見えますし、小さいときから学習院なので皇室にも理解ありますよね。皇太子妃なんかよりもずっとずっと良いし、皇太子よりも品があるくらいです。
次回のお話が待たれます。

連載再開、お待ちしておりました。 (千菊丸)
2015-02-17 08:46:22
ノリノミヤ様と皇太子様の、冷たくもぎこちない距離感が想像できます。

何だか、これからどんどん皇室がおかしくなるのでしょうか。

Unknown (お昼寝姫)
2015-02-17 09:52:44
ふぶきさま、小説のアップありがとうございます。
どんさんに同意です。
皇室の方と同年代での学習院入学はかなり厳しく調べられると聞いています。華族でなくても、きちんとした家庭の方だと思います。
上品です。
品といえば東宮夫妻はどうしてあんなに品がないのか。
皇太子時代の天皇陛下の映像を見た娘が一言「今の皇太子さまは顔立ちはよく似てるね。でも上品だね。そこは全然違うね。」
きちんとした言葉が使えない娘にさえもわかるものなのですね。
女帝化はすでに (コリン)
2015-02-17 11:07:30
香淳皇后を美智子さんと同じ立場で考えた時、果たしてここまで我を押し付けられたでしょうか。

単なる陛下の嫁に過ぎない立場でありながら、地球、日本、皇室を自分の望むように捻じ曲げられる権力を持てる美智子さんには脱力感でいっぱいです。

控えめなサーヤの立場は美智子さんの玩具のようにも見えてしまいます。
娘の幸せを想えば、色々と動けたはずの美智子さんではないでしょうか?
その点でいえば、久子氏の方が典子女王の降嫁のために母親として正解だったと思います。

そして、いざ降嫁となった時、黒田さんに疑問を投げかけるとは、娘の幸せを何と思っているのでしょう。
きっと、サーヤの降嫁のために美智子さんは動いていないのではないかと思います。
元皇族や華族の方との付き合いは避けたかったのもあるでしょう。
だからと言って、典子女王のように地方の神社関連にはクリスチャンの美智子さんにとっては選択の域ににはなかったでしょうし。
サーヤも好きな方がいらっしゃったけど、相手がいらっしゃることだし、もしかしてその相手の方も皇室と縁のある方だから内情をご存じで、避けられたのではないでしょうか?

美智子さんの私情の影響で、どんどんサーヤの選択肢は狭まれたでしょうが、秋篠宮両殿下ともお友達である黒田さんを伴侶に選ばれたのは、我欲のないサーヤにとって心で繋がった最高の選択であったと思いたいですね。
腹筋が~~ww (重陽)
2015-02-17 12:16:35
ノリノミヤの痛切な心模様に涙が零れそうになっていたのに、ふぶき様ったら~~w
ヴィヨラの ”腕を振るった”って、ヒ~~苦しい。
紀宮様 (そば茶)
2015-02-17 13:10:57
借り物なんて哀しいですね。思いっきり「私のものよ!」なんて方もいるのに~!

こういう御縁のつなぎ方とかには疎い私ですが、いつも「旧皇族、華族の方に頼らないならどうして皇后陛下の華麗なる人脈から探せなかったの?」って思うのです。。

皇后陛下の母校としてプレミア付きになれた聖心の同窓会から雨あられのごとくお話が来るのだろうと、想像していたんだけど・・。何がダメだったのでしょうか?

でも、黒田さんも素敵な方、母上もご立派だし。
清子さまはきっとお幸せな晩年だろうと思います。
できたら、バシッと一言をお願いしたいものですけどね・・。
お婿様選び (しまき)
2015-02-17 18:25:55
清子さんのご結婚に関して、これまた不思議不思議でした。
なぜ、20歳代で嫁ぐことができるよう、ご両親は最大の努力と配慮と目配りをなさらなかったのだろう、と。
私のときとて、親は、下げたくない頭も下げてくれました。私の時代は「クリスマスケーキ」と言われ、25歳になると「価値は半額」なんて、ひどい言われようをしたものです。
「紀宮様」ご自身が、「婚姻」を拒否なさっておられたのならともかく、そんな話も聞かないまま、紀宮様に関しての、ご結婚のお噂は、例の「坊城」氏以外、全く聞かず、「このままずっと、おそばにおいておかれるお気持ちなのだろうか?」と、一般国民の方が、もやもやした気持ちになっていたのでは?

友人に日本女子大卒の方がいます。彼女は、自分で日本女子大のお見合いシステムに申し込んで、現在の旦那様をゲットしました。女子大なら、多かれ少なかれ、そういうシステムはあるのでは?聖心には全くそんなものがなかったのでしょうか。
美智子様には、そういう人脈がおありでなかったのも不思議です。(秘密の?)カトリックつながりでも、緒方さんつながりでも、お友達は大勢おられるはずなのに。

いろいろ批判はあっても、私は高円宮久子妃は、よくやったと思っています。ましてやあの方は、寡婦。そして、長女は、アレレ。そんな中で、よくあれだけの大きなお話をまとめられました。

コリン様の「久子氏の方が典子女王の降嫁のために母親として正解だったと思います。」のご意見に同感です。

Unknown (琵琶)
2015-02-17 18:41:36
皇后陛下は、紀宮さまのご縁談に積極的に動かれた様子はまったくありませんね。
リアルの世界でも。

思春期や娘時代のファッションにも、アドバイスや
心を砕かれた気配がない。
ご自分は、ぶっ飛びのファッションなのに???

現在の秋篠宮家と比べても異常です。
紀子妃殿下と姫君様たちの装いはさりげなくしかもバランスよく配慮されていると感じます。

ずぅ~と謎でした。
どなたか納得できる説があればお願いいたします。
Unknown (猫侍)
2015-02-17 19:42:55
女性は出産を契機にして、
女であることよりも母であることを優先するタイプと、
母であることよりも女であり続けることに固執するタイプがいます。

美智子皇后は、世紀のプリンセスとして世間の注目を浴び続けた上に、明仁皇太子殿下にこよなく愛される女性であるために、お若い頃から現在にいたるまで、母というより女であられるように感じてしまいます。

自分を犠牲にしても子の幸せのために尽くすのが母。
皇后陛下におかれては、紀宮様の幸せを何よりお考えになったとは考え難く、民間出身の皇太子妃として悩み多き自らを支えてくれる存在としての紀宮様を大切になさっているようにお見受けします。

無私の精神とは程遠く、自我の非常に強いお方がお年を召され、頑迷になってゆかれるのは非常に残念です。

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