12345・・・無限大  一粒の砂

「一粒の砂」の、たわごと。
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本質安全

2007年05月25日 07時05分01秒 | Weblog

 NHK TV 「失敗学へようこそ」より(工学院大学教授 畑村洋太郎)。

 新しいことには、「避けられない失敗」・「必然的に起こる失敗」・「通らなくてはならない失敗」がある。

それ故、先生は、「成功する方法」を突き詰めるより、「失敗の方を突き詰めることが大切」とおっしゃる。

数年前、回転ドアに男の子が頭部を挟まれという不幸な事故があった。

小生なども、時たま回転ドアに遭遇すると、とても危険な気味悪いものに思え、別の通常のドアから出入りするのである。

 ヨーロッパ製の回転ドアは、「本質安全」性を備えていると先生はおっしゃるのである。

この「本質安全」という言葉は、小生にはそれほどなじみのある言葉ではなかった。

「本質安全」とは、回転ドアの場合でいえば、たとえ回転羽根に挟まれても、人身事故に結びつかない構造とすることである。

(ヨーロッパ製は、極度に軽量化することにより、ほぼこれを満足している-小さい子供の場合には、問題があるように思えるのだが)

本質安全について、もう少し飛躍した解釈をしてみると、
飛行機が墜落しても、人身事故にならないような安全性を備えているようなものである。

(こんなことは、現在の技術では、荒唐無稽と言われかねないのだが・・・)

事故を起こした回転ドア(日本製)は、様々な事情から
→大型化・重量増加(ヨーロッパ製の3倍の重量)
→「制御安全=安全装置を多重に設置していたのだが」
→「本質安全」を忘れていた。

この結果、「一つの重要な安全装置であるブレーキ作動後でも、30cmも行き過ぎる」+「挿まれると大きな破壊力が発生し、重大な人身事故を引き起こす」ものになっていた。

 では、これを「本質安全」にするための改善対策は?

 現在、研究されているいるひとつのアイディアは、
回転羽根の先端部が、物を挟みそうになると蝶番で折れ曲がる構造、とすることを検討しているのである。

 こうすれば、たとえ回転し続けても、挿まれる危険性は皆無に等しくなる。

これに急速停止ブレーキや各種安全用センサーなどの安全装置を付加すれば、多重安全性を持つことになる。

(このように安全性向上の制御装置を持つ場合を「制御安全」と先生は説明された)

「本質安全の上に制御安全を加えて、本当に安全なものとつくる」べきであると先生はおっしゃる。

小生には思いもつかなかった思想を教えていただいた。

小生世代の多くの考え方には、「安全性とは幾重にも制御安全を備えること」と考えていたのだったが、これでは完璧ではなかったのである。

 もう少し早く、この思想を知りたかったのである。