Y新聞のコラム「編集手帳」からの受け売りである。
電報全盛期の頃のお話。
東京から奈良の恋人へ、「三七五五」と電報が送られた。
万葉集の歌には、番号がついており、
「三七五五」は、次の歌の番号なのである。
「うるわしと 吾が思う妹を 山川を中に隔(へな)りて 安けくもなし」
焦がるる胸の思いを、数字の列に託して送ったのであった。
不自由な制約があればこそ、伝達手段に知恵を絞り、言葉に心を尽くしたのであろう。
南極の昭和基地へある隊員の夫人から、
「アナタ」と打った三文字電文が、
全隊員の深い感動を呼んだとのこと。
言葉や文は、かくありたいものである。