自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

木の「昼寝」

2009年05月26日 | Weblog
 深い森林の上層部を「林冠」という。そこは、枝葉が繁り光合成が盛んだ。林冠の調査研究の先鞭をつけたのは、今は亡き井上民二だった。この調査研究はその後急速に進み、最近分かった面白い事がある。マレーシア・サラワクと北海道・苫小牧の森林での比較調査での事。苫小牧ではイタヤカエデ、ミズナラなど6種、サラワクではナンヨウクスなど2種を調査。日中には光合成が鈍る、木の「昼寝」の仕組みが解明されたという。
 光合成には光、二酸化炭素、水が必要。だが、光が強まると光合成が盛んになり、木の上部への水の供給が追いつかなくなる。葉からの水分蒸発を防ぐために気孔が閉じ、その結果、気孔からの二酸化炭素の摂取量も不足する。こうして、測定された8種すべてで、午前10時から午後3時頃に光合成の量が大きく落ち込んでいた。この現象を木の「昼寝」という。5時間もの「昼寝」。うらやましい。
 うらやましいとばかりは言っておれない。「森林、とくに熱帯雨林の破壊は急激で、現状では研究が追いつかない」そうだ。森林破壊が警告されて何十年経つのだろうか。地球温暖化が進む一方だ。「林冠」研究で分かった事は面白い事だけではなかった。