自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

ツユクサ

2009年05月12日 | Weblog
 「つゆ草を花と思うは誤りである。花ではない。あれは色に出た露の精である」という徳富蘆花の秀逸な感想がある(『みみずのたはごと』)。
 ツユクサの花はまだ朝露の乾かない早朝に開き、昼ごろには閉じてしまう。露のようにはかない命だと言ってもいいかも知れない。ツユクサ科の一年生植物。田圃や用水路の脇のやや湿った路傍によく見られるが、僕んちのすぐ近くにも生え、楽しませてくれる。
 青紫色の花は数個連なって短い花序を作る。この花序は、半分にぴったりと折りたたまれた苞葉の中に収まっており、その日咲く花だけが苞葉の外に出る。このため、まるでたった一輪の花しかつけないように見えるが、二つ折になった苞葉をそっと開けてみると、翌日咲く花がちゃんと用意されていることが分かる。
 ホタルグサ、アイバナ、アオバナ、ツキクサなどの別名がある。ツキクサは衣につける染料の意味。青い花の色素、柔らかい花弁から採る絞り汁はよい染料なんだそうだ。
 放射能の指標植物として有名なムラサキツユクサは、北米が原産の多年性植物。明治に渡来し、近頃では一年生のツユクサを凌ぐほど日本のあちこちに生育地を広げているそうだ。
 僕の個人的感想だが、優しすぎて黙って通り過ぎることの出来ないのがツユクサだ。 今朝、常備薬をもらいに(買いに)病院へ行った帰り、立ち止まって見たが、こちらが恥ずかしくなってしまった。