自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

兄のこと

2009年05月18日 | Weblog
 15歳年上の実兄の17回忌も無事終えた。兄は戦前、学徒動員で工場で働かされていた時に結核になり、戦後サナトリウムで(たぶん)5年間ぐらい療養した。その後は文字通り片肺飛行の生活で、僕が子供のとき見た兄の背中には長くくっきりと手術跡が残っていた。何故か胸は見た記憶がない。苦学して夜間高校を出た後は社会保険労務士をはじめ、いろんな資格をとり、いろんな職場で重宝され、懸命に働き、僕の大学生活を支えてくれた。
 60歳を迎えた頃から家の中での仕事に切り替えたが、65歳で亡くなる半年ぐらい前から呼吸困難になり始め、酸素ボンベを傍に置いていた。残った片肺の機能が弱まったのであろう。たしか亡くなる半月ぐらい前に訪ねた折りには、相当に弱気になっていた。横になったままの応対だった。
 僕の従兄弟や叔父は多くが戦争で亡くなっている。兄も、戦争がなかったら、結核にならなかったと思われる。そういう意味でも戦争が憎い。
 兄に向かって不戦を誓う五月である。近頃、憲法改「正」の動きが陰に陽に強まっているが、その必要は全く無いと思う。日本の憲法の基本を諸外国が模倣すれば良い事である。日本は、我が憲法を諸外国にもっと売り込めば良い話である。かく言う僕は憲法を擁護する団体には入らない。良きにつけ悪きにつけ、徒党を組む事を好まないからだ。団体に入らない事は兄から受け継いだ事であるかもしれない。