○十一月号の編輯後記より
敗戦の痛苦は、いまやっとはじまったばかりである。・・・
一人の義人あるなし、戦いの直前にかく嘆じたわれわれは、この惨憺たる敗戦の今日、再び同じ嘆きを発せずにはおれない。到る所に見る頽然たる人心の荒廃と麻痺なり。
われらは天下の声に和して、率然と「自由」に晏如(アンジョ)たるを得ない。あふれ出るわれらの涙で洗い清め上げられた「自由」を、幽かに光りと仰ぐものなり。
○十二月号の編輯後記より
われら日本国民の忘れんとして忘れ得ざる昭和二十年を旬日のうちに送らんとするに当たり、読者諸氏の感懐や如何に!! 我等編輯同人等しく無限の悲愁と衷情を籠めてこの[註:昭和二十年の]最終号を諸氏の机辺に贈るものである。
痛烈なる自己革新のなきところ、輝かしき前進はない。敗戦以来、我々は何処に痛恨骨を噛む如き残恨と贖罪の文章に接したであろうか。あるものは比比として表層的な民主主義への転身謳歌のみである。かくてわれらは真の民主主義に徹することなく、再び世界の舞台に乗り出し得ると思っているのであろうか。
再建日本に近道はない。日本知識人の叡智と友愛を信じつつ、この新たなる苦難の歳をわれら自らの手によって切り拓くことを、相共に誓い度いと思う。
(戦前と戦後との編輯後記がいかに異質なものか!仕方がなかったとは言え、その変わり身の早さ!変わり身の早さが、戦後5年の朝鮮戦争特需で日本がぼろ儲けし金権体質を露呈しても、無反省につながったのではないか。それ以降、民主主義は日本に根を下ろしたのであろうか。)
敗戦の痛苦は、いまやっとはじまったばかりである。・・・
一人の義人あるなし、戦いの直前にかく嘆じたわれわれは、この惨憺たる敗戦の今日、再び同じ嘆きを発せずにはおれない。到る所に見る頽然たる人心の荒廃と麻痺なり。
われらは天下の声に和して、率然と「自由」に晏如(アンジョ)たるを得ない。あふれ出るわれらの涙で洗い清め上げられた「自由」を、幽かに光りと仰ぐものなり。
○十二月号の編輯後記より
われら日本国民の忘れんとして忘れ得ざる昭和二十年を旬日のうちに送らんとするに当たり、読者諸氏の感懐や如何に!! 我等編輯同人等しく無限の悲愁と衷情を籠めてこの[註:昭和二十年の]最終号を諸氏の机辺に贈るものである。
痛烈なる自己革新のなきところ、輝かしき前進はない。敗戦以来、我々は何処に痛恨骨を噛む如き残恨と贖罪の文章に接したであろうか。あるものは比比として表層的な民主主義への転身謳歌のみである。かくてわれらは真の民主主義に徹することなく、再び世界の舞台に乗り出し得ると思っているのであろうか。
再建日本に近道はない。日本知識人の叡智と友愛を信じつつ、この新たなる苦難の歳をわれら自らの手によって切り拓くことを、相共に誓い度いと思う。
(戦前と戦後との編輯後記がいかに異質なものか!仕方がなかったとは言え、その変わり身の早さ!変わり身の早さが、戦後5年の朝鮮戦争特需で日本がぼろ儲けし金権体質を露呈しても、無反省につながったのではないか。それ以降、民主主義は日本に根を下ろしたのであろうか。)