(朝刊より)
地球温暖化対策の国際交渉が停滞期を迎えている。メキシコでの気候変動枠組み条約の会議(COP16)も、難航が懸念される。
現在の対策の大枠となっている京都議定書には大きな問題がある。2012年までの第1期は先進国だけが削減義務を負うが、最大の排出国である中国も、議定書を離脱した米国も削減義務を負っていない。
昨年、この大問題が解決しそうだった。米国で温暖化対策に積極的なオバマ民主党政権が誕生し、温暖化の国際交渉に復帰した。そして「京都議定書とは別の仕組み」をつくって米国や中国などが相応の規制をもつ方向に議論が進んでいた。
しかし頓挫した。まず昨年末のコペンハーゲン会議(COP15)で前向きの合意ができなかった。オバマ政権は今年、米国内で野心的な排出量取引法の成立をめざしたが失敗し、中間選挙で共和党に負けた。これで米国と世界の熱気が消えた。
背景には世界的な経済危機がある。削減義務を課されることに否定的な中国など新興国は「議定書の延長で先進国はさらに削減を」と唱え、日本やロシア、カナダは「自分たちだけが義務を負う延長には反対」である。
欧州連合(EU)は「米中が入る仕組みができるのなら議定書延長も検討する」との構えだ。米国は「議定書には絶対に戻らない」と繰り返す。
こんなバラバラな状況では13年以降、国際的な削減義務がない「空白期」が生まれることになる。
日本やEUだけが新たな規制数値を受け入れるのでは、地球温暖化阻止の展望が開けない。米中がなんらかの形で削減の義務を担う仕組みをつくり出すために、各国が知恵を絞らねばならない。低炭素型社会をめざす国際協調が必要だ。
(しかし、世界はどうやって低炭素型社会をめざすのか。一つの簡単な方法は、それこそ国際協調をして大から小までの武器生産にかかる巨費の、せめて半分を太陽光発電のコストダウン技術の開発に回せばよい。)
地球温暖化対策の国際交渉が停滞期を迎えている。メキシコでの気候変動枠組み条約の会議(COP16)も、難航が懸念される。
現在の対策の大枠となっている京都議定書には大きな問題がある。2012年までの第1期は先進国だけが削減義務を負うが、最大の排出国である中国も、議定書を離脱した米国も削減義務を負っていない。
昨年、この大問題が解決しそうだった。米国で温暖化対策に積極的なオバマ民主党政権が誕生し、温暖化の国際交渉に復帰した。そして「京都議定書とは別の仕組み」をつくって米国や中国などが相応の規制をもつ方向に議論が進んでいた。
しかし頓挫した。まず昨年末のコペンハーゲン会議(COP15)で前向きの合意ができなかった。オバマ政権は今年、米国内で野心的な排出量取引法の成立をめざしたが失敗し、中間選挙で共和党に負けた。これで米国と世界の熱気が消えた。
背景には世界的な経済危機がある。削減義務を課されることに否定的な中国など新興国は「議定書の延長で先進国はさらに削減を」と唱え、日本やロシア、カナダは「自分たちだけが義務を負う延長には反対」である。
欧州連合(EU)は「米中が入る仕組みができるのなら議定書延長も検討する」との構えだ。米国は「議定書には絶対に戻らない」と繰り返す。
こんなバラバラな状況では13年以降、国際的な削減義務がない「空白期」が生まれることになる。
日本やEUだけが新たな規制数値を受け入れるのでは、地球温暖化阻止の展望が開けない。米中がなんらかの形で削減の義務を担う仕組みをつくり出すために、各国が知恵を絞らねばならない。低炭素型社会をめざす国際協調が必要だ。
(しかし、世界はどうやって低炭素型社会をめざすのか。一つの簡単な方法は、それこそ国際協調をして大から小までの武器生産にかかる巨費の、せめて半分を太陽光発電のコストダウン技術の開発に回せばよい。)