生きるということの辛さ、哀しさ、嬉しさ、素晴らしさ、これらは藤沢周平の作品に共通しているが、『三屋清左衛門残日緑』は彼の作品の中でも珠玉の逸品だと思う。
舞台は 江戸時代 北国の藩
隠居生活に入った清左衛門
隠居するということは
悠々自適の生活ができることだと思っていたが
違った 既に妻は他界していた
孤独感に苛まれ しばし 心が落ち込んだ
だが その落ち込みから立ち直り
新しい人生を生きていく清左衛門
隠居の身でありながら 経験と人柄が慕われて
藩の秘事の相談にあずかる
現職でないから 権力争いに或る程度自由な立場で
重大事に公正に対処できた
封建制度のしがらみの中で
必死に生きる人々の誠実さに打たれ
それを嘲る輩に容赦のない態度で接した
薄幸の女への細やかな心づかい
派閥抗争で犠牲になる若い武士への配慮
中風で倒れた元同僚の歩行訓練を見た時の喜び
この歩行訓練を始めた大塚平八の姿に
清左衛門の心は波打った その時の深い感慨
「人間はそうあるべきなのだろう。衰えて死がおとずれる
そのときには、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに
感謝をささげて終わればよい。
しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、
人間はあたえられた命をいとおしみ、
力を尽くして生き抜かねばならぬ、そのことを
平八に教えてもらったと清左衛門は思っていた。」
表題の「残日」とは
「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」の意である
(今年1年、本ブログを閲覧してくださった方々に深甚の感謝の意を表します。来る年もご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。皆様のご健康を念願して居ります。)
舞台は 江戸時代 北国の藩
隠居生活に入った清左衛門
隠居するということは
悠々自適の生活ができることだと思っていたが
違った 既に妻は他界していた
孤独感に苛まれ しばし 心が落ち込んだ
だが その落ち込みから立ち直り
新しい人生を生きていく清左衛門
隠居の身でありながら 経験と人柄が慕われて
藩の秘事の相談にあずかる
現職でないから 権力争いに或る程度自由な立場で
重大事に公正に対処できた
封建制度のしがらみの中で
必死に生きる人々の誠実さに打たれ
それを嘲る輩に容赦のない態度で接した
薄幸の女への細やかな心づかい
派閥抗争で犠牲になる若い武士への配慮
中風で倒れた元同僚の歩行訓練を見た時の喜び
この歩行訓練を始めた大塚平八の姿に
清左衛門の心は波打った その時の深い感慨
「人間はそうあるべきなのだろう。衰えて死がおとずれる
そのときには、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに
感謝をささげて終わればよい。
しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、
人間はあたえられた命をいとおしみ、
力を尽くして生き抜かねばならぬ、そのことを
平八に教えてもらったと清左衛門は思っていた。」
表題の「残日」とは
「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」の意である
(今年1年、本ブログを閲覧してくださった方々に深甚の感謝の意を表します。来る年もご厚誼のほど、よろしくお願い申し上げます。皆様のご健康を念願して居ります。)