だいぶん以前から原発に関心を持っているので、今回の大事故について記さざるを得ない。
(朝刊より)
津波被害で危うい状態にある福島第一原子力発電所の原子炉を落ち着かせる作業はますます難しく、そして長びく様相を見せている。【巨大地震と巨大津波が原発事故の原因であるが、原因はそれだけだろうか。40年間も稼動させてきた間に沸騰型原発の様々な部品が劣化して、その劣化した全部の部品を取り替えたであろうか。】
強い放射能を帯びた水が建物の地下などに大量にたまって作業の邪魔をする一方で、原子炉や核燃料の貯蔵プールを冷やすには、水を注ぎ続けるしかない。だが、注げばそれだけ汚染された水があふれ出す。1~4号機の現場で、そんなバランスが必要なきわどい作業を根気よく続けながら、放射性物質が外に出るのを抑え込んでいく。それが目下の課題である。時間がかかることを覚悟しなければならない。【どれぐらい時間、日数、年数がかかるのかを責任者は言うべき時期に来ている。】
長丁場の闘いとなれば、この際、しっかり態勢を立て直すことが求められる。なにより忘れてならないのは、現場で働く人たちのことである。【現場で働くことを下請け会社や孫請け会社の人々に任せてはいないか。】
その過酷な状況の詳しい様子が、今週になって原子力安全・保安院によって明らかにされた。発電所の敷地内は高濃度の放射性物質が飛び散っているため、作業する人たちは外気の入らない特別の建物に集まり、床で毛布にくるまって雑魚寝している。食事は1日2回、朝は乾パンと野菜ジュース、夜も非常食のご飯と缶詰だ、という。【こんな食事状況におかれるのは何故?】
放射能レベルが高く、瓦礫も散らばる場所で危険に直面しながらの作業である。現場を離れた時くらいは休息を十分にとれるよう、東京電力と政府は手を打ってほしい。それは、二次被害を防ぎ、原子炉を早く安定させることにもつながる。限度を超えた疲れは、作業ミスの引き金になりかねない。【このことを東電や政府は肝に銘じるべきだ。】
放射性物質が大気や海に出るのをできる限り抑えながら、効率的に作業を進めるための方策を編み出すことも、今後の重要な課題だ。それには、国内外の知恵の総動員が必要である。
四つの原子炉施設で同時並行に、不安定状態の制圧をめざす、世界でも例のない難作業である。
長い闘いは総力戦である。
【残念ながら、スリーマイル島、チェルノブイリ、フクシマという歴史が生まれた。】