Baradomo日誌

ジェンベの話、コラの話、サッカーの話やらよしなしごとを。

来年はアコースティック・トランスだ~Hotel Morocco

2006-12-05 | 今日の「この音」
artist : Blue Asia
title : Hotel Morocco

久保田真琴氏プロデュースによる、グナワをメインに据えて、鍵盤等による空間の補強を行い、さまざまなリズム(ノルデスチまで混じっている)をブレンドして、これでもか!というくらいぶっ飛ばしてくれるトランス音源。
グナワというと、グナワ・デフュジオンが脳裏をよぎるが、あれは伝統に根ざしたミクスチャー音楽と言われている、こちらは多分もっと正統派(?)のグナワなのかな?・・・と考えて、聴き始めたところで思考を停止した。
そんなカテゴライズ自体、無意味だ。
チャカチャ・チャカチャと耳につく金属性カスタネット=カルカベが、妙な訛りを伴ってグルーヴし、ゲンブリ(モロッコの3弦ギター?)の低い音に合わせて自在にテンポを変えていく。
えぇ~?なによそれ?と、バビロンの住人である私の左脳が悲鳴をあげる。
しかし、グナワ・デフュジオンを聴いたときもそうだったように、気付けばこの屈折した反復ビートに身を委ねている自分がいる。
俺の右脳は大歓迎。訛り具合が妙に気持ちイイのだ。

彼の地におけるグナワ演奏は、ゲンブリ、カルカベ、ハンドクラッピング、そして叫び声というシンプルな編成で、同じビート、フレーズを延々と繰り返すそうだ。
まさにトランス。ねじれたビート感。
このビート感、マリのグリオによるコラを使った祈祷のダンス(映画Feel Like Going Homeに出てきたアレです)のそれにもかなり近い感覚だが、もとはスーダンから来た奴隷によってもたらされたものだそう。
マリとはずいぶん離れているんだけどなぁ。アフリカだ、という先入観による錯覚だろうか。
除霊、あるいは神とのコミュニケーションのため、まさにトランス音楽としてモロッコはエッサウィラ周辺で発達。スーフィズムと深く結びつき、もともと音楽を禁じていたはずのイスラムを変容させてしまった、ということらしい。
ジミ・ヘンドリクスやゼッペリン(多分ジミー・ペイジだな)にも影響を与えたそうだが・・・。

・・・とかなんとか思い巡らしていても、やはり耳はカルカベの音に吸い込まれていく。
パターン自体に規則性はあるが、とにかくふらつき、突っかかりながらも二重三重にグルーヴの輪が回っているかのようなこのビート。

久保田氏が様々な音色で装飾してくれているおかげで、非常に聞きやすくなってはいるものの、その装飾を消し去るくらいの勢いで迫ってくるベーシックなビート感。
彼の手による装飾がなければ、間違いなく飛んでいるな、これは。
あ、もしかして、グローバルなダンス音楽として踏みとどまるための抑止力なのか?久保田謹製の音のカーテンは?

しかし、カルカベ。
欲しいな~。
と思っていたら、いいのがあった。

⇒ http://www.fes-de-morocco.com/books-music.html

親指と人差し指でも演奏できるんだ~買っちゃおうかな~。

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