下の写真は北杜市の山林の中の小屋の上の丘に広がる草原です。遥か彼方には雲に覆われた八ヶ岳が横たわっています。
以前は緑豊かな牧草地でした。28頭の乳牛が食べていた牧草が生えていたところです。
数年前に高齢化した牧場主が牧畜を止めて、便利の良い村落へ引っ越してしまったのです。勤勉に働いたので大きな立派な家も建ちました。遊びに寄ると、元気な夫婦が昔と同じ様に歓迎してくれます。
しかし昨日、この草原を散歩してみると牧草が次第に勢いを失い自然の草原へ変わっているのです。
しばし眺めていたら先代の牧場主の老爺が鎌を研ぎながら、牧草を刈っていた光景を思い出しました。いつもニコニコしていました。
その奥さんもとても親切な人で、朝早く絞った牛乳を一升ビンに入れて私達の小屋へよく届けてくれたものです。
春は自分の家の竹藪にクワを担いで行って、竹の子を掘ってくれました。
その先代の牧場主夫妻もとっくに居なくなってしまいました。
足もとを見ると猛毒のトリカブトの花が咲いています。毒キノコも生えています。
下にその写真を示します。
こうして牧草地は自然へと還って行くのです。数十年後にはこの草原は自然林になっていることでしょう。全ての物質界は必ず変化するのです。(終わり)