後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「大きな電気機関車を所有し運転する趣味」

2024年02月16日 | 日記・エッセイ・コラム
近代国家は個人を尊重し、個人の自由を守る社会で出来ています。個人の権利を可能なかぎり拡大し、保護する社会です。
欧米で暮らした経験のある日本人はしみじみと「嗚呼、日本は まだまだだ!」と思い知ることに何度も遭遇します。
今日は大きな電気機関車を所有し運転する趣味を持っているドイツ人をご紹介したいと思います。
先ず写真をご覧下さい。
1番目の写真は大井川沿いを走る蒸気機関車の写真です。
皆様はこの蒸気機関車を買って個人所有をしたいと思いませんか?
自分で運転して日本の各地を走ってみたいと思いませんか?
蒸気機関車を一人で運転するのは難しいものですが、電気機関車なら一人で運転する趣味ができそうです。
そんな究極の趣味を楽しんでいる女の人がドイツにいるのです。バーバラ・ピルヒさんという51歳の女性です。

2番目の写真はバーバラさんが個人所有している電気機関車に似たドイツの電気機関車の写真です。
バーバラさんが持っている電気機関車は1944年製で158-2という番号が付いた機関車です。2008年にドイツ鉄道という大会社から購入しました。
何時もはドイツ鉄道のある駅のレールを借りて、そこに停めています。
そしてドイツ鉄道の委託契約に従って貨物列車を牽引してドイツ中を走り回ります。
それが彼女の趣味なのです。
日本では考えられない趣味です。
それがドイツでは何故可能なのでしょうか?
簡単に言えばドイツでは個人を尊重し、個人の権利と自由を可能な限り尊重する社会だからです。
その上にバーバラさんは以前にドイツ鉄道の機関士だったのです。大会社で働くより個人の機関士として自由に走りたいと思い、2001年に会社を辞めフリーの機関士として独立したのです。
そして2008年にはドイツ鉄道から1944年製の電気機関車を一台購入したのです。
ドイツ鉄道はバーバラさんの貨物列車の正確な牽引技術を信頼して、貨物列車の牽引輸送を契約によって発注しているのです。
バーバラさんはただ走り回るだけが趣味ではありません。この1944年製の古い電気機関車を保守、管理し将来、鉄道遺産として博物館に動態展示されるように情熱を注いでいるのです。
以上は2018年2月20日の読売新聞の朝刊の「マイ機関車、独走」という記事の抜粋です。 なおバーバラさんが実際に運転している動画は下記に出ています。
http://kageno53.cocolog-nifty.com/blog/2018/02/br194-7ffb.html
クリックしてご覧下さい。

この記事はいろいろな事を考えさせます。
近代国家では個人を尊重し、個人の権利と自由を可能な限り尊重する社会から成り立っています。
この記事を見ると日本はまだまだ個人の権利と自由が制限されている社会なのだと新ためて認識されます。
日本では列車の牽引は個人に任せては危険だと考えます。そして個人の権利を自己規制してしまうのです。
個人を信頼しないのです。
日本では危険な場所には看板が立っていて、「立ち入り禁止」と大きく書いてあります。
ドイツの看板は、「危険!入るなら自己責任」と書いてあります。ドイツでは危険な場所に入るのは自由なのです。日本では入るなと命令しているのです。

さてドイツの機関士は自分の子供を運転室に乗せても良いという規則もあります。
昔、ドイツに住んでいた時、運転室に子供が乗った列車と何度も行き違い、吃驚しました。
ドイツでは機関士は職人社会のマイスターなのです。親方なのですす。マイスターは苦しい遍歴徒弟の時代を経てやっとなれるのです。したがってマイスターにはそれなりの特権があります。子供を運転室に乗せるのには、そんな伝統的な背景があるのでしょう。
そしてドイツの職人社会では子供が親の仕事を継ぐことが尊重されます。
今日ご紹介した電気機関車を個人所有しているバーバラさんの父親も機関士だったのです。こんな背景もあって電気機関車の個人所有が可能だったと考えられます。
同じ近代国家と言っても日本とドイツの社会の相違の大きさに驚いています。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)

1 コメント

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custome writting service (OvanovaDop)
2018-08-31 13:00:08
who can do my assignment

-


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