1990年ころアメリカに2年ほど住んでいたことがあります。ある寿司店へよく通っていました。親しくなった若い板前さんが、ある宗教団体の熱心な信者でした。その板前さんは日本男子らしく、サッパリした性格で親切でした。単身赴任の私に同情したのかよく世話を焼いてくれました。帰国する時はその板前さんが幹事になって送別会までしてくれました。
その板前さんは自分の属する宗派の教義をよく話してくれました。また、その宗派では集団結婚式をする話もしてくれました。彼も教祖様の世話でアメリカ人と結婚していました。
よく話を聞くと宗派の世話人が釣り合いのとれた信者の男女を引き合わせ、お互いに気が合ったら交際を経て結婚へと進めるそうです。ただ結婚式だけは集団で挙げるそうです。結婚が神の与えた奇蹟という意味を重用視しているようです。
集団で、お見合いをし、即刻、強制的に結婚式を挙げるのではないのです。釣り合いのとれるカップルを慎重に探し、交際へ進ませ、意見が合ったら結婚式というごく普通のステップを取るようです。離婚率を聞きましたら、言葉を濁して正確な数字は教えてくれませんでした。しかし離婚率はかなり低いようです。恋愛結婚より見合い結婚の方が離婚率が低いのが一般なので低いのでしょう。
日本の新聞では、集団結婚式のことが時々ニュースになり批判的な記事としてマスコミを賑わしています。しかし私はそんな結婚もあっても良いと思っています。
宗教団体が信者の弱みに付け込んで寄付を強要したり、商品を売り付ける行為は宗教の種類に限らず時々あります。それは幹部の経済活動の行き過ぎで、宗教とは何のかかわりもありません。悲しいことですが、そのような事件がマスコミを賑わすことがあります。
宗教が色々と悪い目的に利用されることは、古今東西、数多くありました。宗教に関係したいろいろな事業があるとき、人々は慎重に見分ける習慣がとても重要と思います。
善悪の見分け方は簡単です。「それをすることを釈迦様が教えていましたか?」、あるいは「そんなことをキリスト様が教えていましたか?」と自問すれば明快に分かります。お釈迦様やキリストと自分の間に人間を挟まないで考えることがとても重要になる場合があるのです。
何かご参考になれば嬉しく思います。(終わり)