フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

「能ある鷹は爪隠す」

2011年10月02日 | パリ11区
この若いカップルは、マルチーヌの紹介でやってきた。
マルチーヌが育った家の隣の家のお嬢さんなので、マルチーヌは彼女の小さい時から知っているそうだ。
 
その彼女、仕事でニューカレドニアにいた帰りに日本に寄ることになり、パリ在住の恋人と日本で待ち合わせての旅行と言うことであった。
 
JR奈良駅に着くと言うことで、いつものように待っていた。
だいたいフランス人は見ただけでわかるようになっていたが、さてどんなカップルだろうと楽しみだ。
 
足が長くスリムでロングヘアの彼女が目に留まった!!ラフな格好をしているが、かなり美人である。
隣に目をやると、何やら恥ずかしそうにうつむき加減だが、口元ではニヤニヤとしていて、何とも愛きょうのある相棒だった。
 
そのまま我が家に着くまで、彼女主導で話し続けた。
彼はと言うと、ほとんど口を聞かない。でもニコニコして、時々うなづく。
 
                
 
夜だったので、着いてすぐ夕食にした。
お土産にと多分彼がフランスを発つときに買ったのであろうシャンパンをいただいた。
早速皆で乾杯しようと言ったら、彼女は「これはお土産だから」と遠慮したが、彼はさっとグラスを出し、にっこり微笑んでおいしそうに飲んだ。
彼は口数は少ないが、何でも食べて、シャンパンも注ごうとすると、黙ってグラスをさしだしお代わりをした。
 
とうとう彼女は厳しく叱った!!まるで子供を叱る母親のように。
「お土産なのに、何でそんなに遠慮なく何杯も飲むの!!」と。
それでも彼は、「大丈夫。私はあまり飲めないから一緒に皆で飲む方がいい」との私の言葉に励まされ、よく食べ、よく飲んだ。
 
12月だったと思うが、家の中では彼は暑いと言ってTシャツ一枚だ。
「寒くない?」と尋ねると、彼女は「彼はいつもこんななのよ」と笑う。
不思議なカップルだ。
 
彼女は舞台などのデザイン関係の仕事をしていたと思うが、彼は何と弁護士であると言う。
日本では試験を突破するのもかなりの難関だけどフランスではどうかと尋ねたら、「日本ほど難しくはないから」とさらりと答えたが
後に他のフランス人に聞いたところによると、やはり日本のように難しい資格の一つであると言うことだった。
「能ある鷹は爪隠す」とはまさしく彼のことである。
しかしこの無口な彼が弁護をするとは想像しがたい。
 
彼女に彼の仕事をしている姿を見たことがあるか?と聞いたら、何人かの友達と法廷で見たそうで、さすがに「雄弁に」弁護をし、見違えるようだったとちょっと誇らしげに答えた。「まあ、確かに仕事はしていたわ。」と言うわけだ。
機会があれば、私も是非そんな姿を見てみたいと思っている。
 
 
 
歩くことが好き、自然が好きでハイキングがしたいと言うことで、翌日は二人で山の辺の道を歩くよう勧めた。
JR駅のホームまで見送り、にっこり笑って出発した。
 
                                 
この日は寒い日で、初雪がちらついたそうだが、迷うことなく、三輪神社に到着したそうだ。
 
翌日はいよいよ一緒に奈良観光だ。
 
 
 
 
 


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