ホテルを出て向かったのは、軽井沢タリアセン。
まさか、こんな景色のタリアセンを見ることになるとは・・・ある意味ラッキーかしら。人影もありません。
池の傍に立つと、人懐こい鴨が餌をおねだりして、よちよちとこちらへやって来ます。
ここにはヴォーリズが設計した旧朝吹山荘の「睡鳩荘」やアントニン・レーモンドの「夏の家」、有島武郎の別荘や野上弥生子の書斎、道路を挟んだ向こうには軽井沢高原文庫と堀辰雄が一時期過ごした山荘などがあり、丁寧に観ていたら一日はかかってしまいそうです。
全部はとても回れないので、あの白樺の向こうに見えている睡鳩荘(すいきゅうそう)へ向かいます。
アメリカの建築家ヴォーリズによる設計の山荘は、フランス文学者朝吹登水子の父が昭和6年に建てたもので、1階は広々としたリビング、2階には4つの寝室があります。
太い梁や大きな暖炉がマナーハウスのような重厚さです。長女の登水子がフランスで買い付けたというカーテンも素敵。
2階の寝室のテラス側のドアを開けると、そこにも雪が積もっていました。
午後になって顔を出したお日様が、山荘前の塩沢湖をキラキラと帯状に、対岸へと誘うように光っていました。
塩沢湖の向こうでは、雪の上で、まだ五分咲きの桜が数本。
「タリアセン」とは、直訳するとウェールズ語で「輝ける額」
旧帝国ホテルを設計した建築家フライド・ロイド・ライトによれば、タリアセンとは、芸術の栄光を讃えたウェールズの詩人の名前でもあるそうです。
ライトが自分の工房を建てた時、芸術の理想郷を目指して「タリアセン」と名付けたそうです。
軽井沢タリアセンも、ライトのタリアセンに倣い、培ってきた歴史的文化と自然の理想郷を目指すという願いが込められているそうです。
ozさん作