先月のお彼岸からひと月も経たないのですが、夫の実家のお墓参りに行ってきました。
今月は、義父と義兄の命日があるからです。
三男の義兄が、術後の経過が悪化して亡くなったのは27年前の桜散る頃。
その時義母は
よみじにてまた会う日までわが胸を離れざらなむ吾子のおもかげ
という歌を詠み、墓地が自宅から歩いて行ける距離にあったこともあり、
毎日のようにお参りをしていました。
庭に咲いた季節の花々を摘んで墓前に供え、きっといろいろなお話をしていたのだと思います。
そして8年後の同じ日に、義父が亡くなりました。
義兄亡きあと、西行の辞世の句「願わくば・・・」が口癖の父でしたが、
まさに桜が惜しげもなく散る中で、あっさりと逝ってしまいました。
二人の命日の頃になると、小山のようになっている墓地の斜面にカタクリの花が群れになって咲きます。
墓地の天辺には2本の桜があり、満開を過ぎた桜は、ほんの少しの風にも耐えられないというように花びらを落とし
カタクリの群生に、風花のように降りかかるのでした。
今回は、命日より10日も早いお墓参りでしたので、カタクリはまだ咲き始めたばかり?と思っていましたが
いつにも増してたくさんのカタクリたちが咲いていました。
桜の満開にはまだ間がありました。
風が吹いても花びらは降ってきませんが、枝が揺れるたびに懐かしい香りが漂ってくるようでした。
義父が亡くなった折には
いとし子に手を引かれつつ旅立ちし君がみたまよ安らかならん
と詠んだ義母。
カタクリが咲く向こうに、義父母と義兄が楽しそうに談笑する声が聞こえてきそうでした。
ozさん作
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