あまり鰯が好きではないmintですが、節分に丸干しイワシを焼いていて、
ふと昨年出かけた十月大歌舞伎の『鰯売恋曳網』を思い出しました。
鰯売の猿源氏と位の高い遊女蛍火の恋物語。
蛍火に恋する猿源氏がなんとも可笑しく可愛らしい三島由紀夫のこの作品を、
初めて見たのは、先代勘九郎が18代中村勘三郎を襲名した時で、
7,8年、いえもっと前だったでしょうか、猿源氏を勘三郎さん、蛍火は玉三郎さんでした。
蛍火に恋煩いする猿源氏の役は、勘三郎さん以外にはあり得ないと思うほどぴったりの役どころでした。
その『鰯売恋曳網』を追善興行で上演するのは、勘九郎さんの強い希望だったそう。
勘九郎さんのユーモラスな猿源氏と凛と美しい七之助さんの蛍火はこの時が初演、
これからが楽しみです。
ボケまくる勘九郎さんの猿源氏に笑いながらも、
勘三郎さんの猿源氏が重なり、泣けて仕方が無かった『鰯売恋曳網』でした。
ozさん作
次男とのデートをのんびりし過ぎてしまい、あの真夏日の中(6月1日)を大急ぎでNHKホールへと向かったmint。初めてのNHKホールでしたが、何とか開演前に着くことができました。
席に着いても、なかなか汗が引かず困りました(・_・;)
『ナブッコ』は、ヴェルディの三作目のオペラで、ミラノスカラ座で大ヒットした彼の出世作です。
イタリアオペラといえばヴェルディー、ヴェルディーといえば、ムーティーと言われるほど。
スカラ座公演じゃないのが残念でしたけど、ムーティーが率いるヴェルディーということで
ちょっとお高いチケットでしたが、夫がプレゼントしてくれました。
汗だくになって席に着いたmintですが、ムーティーが登場するなりスーッと汗が引いてきました。
ムーティが登場したというだけで、これまで聞いたことが無いような大拍手の渦!(ホールが大きいせい?)
序曲が始まりました。
初めてのNHKホールは音の響きが気になりましたが、それも初めだけですぐに引き込まれました。
幕が上がり、ヘブライ人たちの合唱が響きわたります。
実は、「ナブッコ」は、レオ・ヌッチがタイトルロールのスカラ座のライブビューを見たことがあるのですが、生の舞台は初めて。しかも、ローマ歌劇場も初めてでした。
ザッカーリア役のドミトリー・ベロセロスキーがとても良かった。
温かみと品格を感じる歌声は、大司祭という役柄にピッタリでした。
ナブッコ役は、ヌッチと比べては酷なのかもしれませんが、少し役不足に感じてしまいました。
そして何よりも残念だったのは、アビガイッレ役のタチアナ・セルジャンが体調不良で降板していたこと。
代役はラッファエラ・アンジェレッティ。アビガイッレ役やマクベス夫人など野心家の女性も演じているようですが、やはりタチアナ・セルジャンの方が豪快でドラマティック。
今回の公演で知っていたキャストが、イズマエーレ役のアントニオ・ポーリとアビガイッレ役のタチアナ・セルジャンだけだったのに、そのタチアナ・セルジャンの歌が聴けなかったのは返す返すも残念でなりません。
とは言え、カーテンコールではアンジェレッティもたくさんの拍手を貰っていました。
代役のプレッシャーに耐えて頑張ったことへの労いでしょうか。
でも、この日一番大きな拍手が注がれたのはムーティでした。
オペラは指揮者、と言われる所以を感じました。
ファイナルのこの日を惜しむかのように拍手は鳴りやまず、最後にはオーケストラもステージに上がり
「ありがとう Grazie」
「マエストロ・ムーティ、ありがとう!皆さんありがとう!」
の、大きな横断幕が・・・
ああ、この空気感。これが生の舞台の素晴らしさ!
些細なことはもうどうでもいいゎ~と言う気になっていました(笑)
高額チケットを奮発してくれた夫にも感謝です
きりりとしたマエストロの横顔、ステキ
マエストロ率いるローマ歌劇場の若手歌手たちが、
これからも、益々活躍できますように・・・
ozさん作
8日から12日、東京の次男の所に行っていました。
上京の目的はこちら↓
IL DIVOの日本公演最終日。写真は、コンサート終了後に振り返ってスマホでパチリ。
チケットJCBの発売開始直後にすぐさま電話を掛けたのに、
2月の東京公演は2日とも電話がつながった時点で既にsold out
3月10日もsold out。11日の追加公演分をやっと手に入れることができました。
IL DIVOの人気の高さがこれほどまでとは~、ちょっと甘く見過ぎていたようです。
震災からちょうど3年が過ぎたこの日のコンサートは、被災地支援イベントでWOWOWが生中継。
各地で映画館ライブビューイングもあり、東北では入場無料というプレゼント付でした。
日本武道館は初体験のmint。
こんな大規模のコンサートは6,7年前に息子と行ったミスチルのライブ以来なので、
あまりの人の多さにビックリ!
迷子にならないかとちょっと不安に・・・
(ミスチルのライブで迷子になり、息子と彼女を心配させた経験あり^^;)
お客の年齢層が高いにもかかわらず凄い熱気と興奮に包まれ、
ちょっとしたカルチャーショックのmintでした
和服をお召しになった綺麗なご婦人方もペンライトを振り、
1曲毎に歓声をあげスタンディングで拍手を送っていました
mintも、手が痛くなるほど拍手は送りましたけど・・・
う~ん、一度ぐらいは「デイヴィッド~、ウルス~」と叫びたかったかも(笑)
今回は公演のタイトルにもあるように、ミュージカルナンバーが中心。
ゲストに「ミス・サイゴン」でキムを演じたレア・サロンガを迎え、DIVOとの素晴らしいコラボ。
「ウェスト・サイド・ストーリー」や「キャッツ」、「南太平洋」「レ・ミゼラブル」などからの名曲の数々にうっとり。
被災地への温かいメッセージを添えて、応援ソング「FLOWERS WILL BLOOM(花は咲く)」も歌われました。
声の美しさ(きっと心も美しい?)はもちろん、その姿も美しいILDIVOの面々
向かって左から、セバスチャン(フランス)、ウルス(スイス)、デイヴィッド(アメリカ)、カルロス(スペイン)と国境を越えてのカルテット。
因みにmintの御贔屓は、テノールが美しいデイヴィッドとウルス。
彼らの美しく力強い歌声には、心が洗われ細胞が再生されるようなエネルギーを感じます。
綺麗な日本語で歌われた「ふるさと」では、不覚にも涙が・・・。
北の丸公園の河津桜
開場の1時間前に着いてしまったので、北の丸公園をぶらぶら歩いていたら満開の河津桜に出会いました。
まだ彩のない公園で、そこだけ灯りを燈したように咲いていた1本の河津桜。
Flowers will bloom ・・・ 復興への応援歌が聞こえてくるようでした。
ozさん作
忙しい最中なのに、映画『利休にたずねよ』を観てきました。私にしては珍しく邦画です。
山本兼一氏の直木賞受賞の同タイトルの小説を映画化した作品ですが、
歴女じゃないmintは山本氏の小説は読んだことがありません。
市川海老蔵の利休を見てみたいというミーハー心と、いろいろな茶道具も出てくるのではという期待感、
5枚綴りで買っているシネマチケットが2枚も残っている・・・というのが理由でした(^_^;)
観終わった後も、ずっと余韻に浸っていたいような、とても美しい映画でした。
利休が切腹するの朝、傍に寄り添う妻が
「あなた様にはずっと想い人がいらっしゃったのでは?」たずねます。
そこから21年前に遡り、利休の審美眼に纏わる断片的なエピソードを繋げながら
わび茶を完成させ、また秀吉の逆鱗に触れ切腹を命じられるまでを描きます。
利休の居士号を与えられる前の、茶人・千宗易としての海老蔵さんは、素晴らしかったです。
70歳の利休に多少無理があるのは、仕方ありませんね~
そして映画に登場したお茶碗が凄いです。
楽家初代・長次郎作の本物の赤楽、黒楽茶碗でお茶を点てるのです。
下世話な話ですが、時価数億円は下らないだろうというお宝だそうです。
他にも、朝鮮王朝時代のものと思われる井戸茶碗や熊川(こもがい)茶碗も登場します。
信長には「美の基準は私が決めること」と言い放ち
秀吉には「私が額ずくのは美しいものだけでございます」とさらりと言ってしまう、美への確固たる信念。
わび茶を極めた利休が秀吉の嗜好と合うはずもないので、いつかは秀吉との間に軋轢が生じるのも仕方が無かったのかもしれません。
映画のパンフレットの表紙にもなっている緑の小さな香合。
そこに秘められた若き日の利休の想いと、美を追求し茶道を究めていく千利休の生き方死に方。
リアリティーには欠けるかも知れませんが、こんなロマンティックな千利休もいいなと思いました。
帰りは夫が迎えに来てくれることになっていたので、
時間までアフタヌーンティールームで一人お茶をしました。
ケーキが不細工なのは、自分でデコレーションしたから・・・・(^_^;)
ozさん作
あれからもう2週間が過ぎて、上京の一番の目的だった記事にようやく到達です
10月15日。
台風26号が心配される中、モーツァルトの歌劇『魔笛』に行ってきました。
今年はヴェルディ生誕200年ということもあり、本当は9月にあったミラノ・スカラ座の『ファルスタッフ』の公演に行きたかったのですが
7月に発症した母の帯状疱疹のため、お流れになってしまいました(T_T)
次に控えていた『魔笛』は何としても行かなければと、早く治るようにと祈る様な気持ちでした。
次男の所から近い、bunkamuraオーチャードホールで鑑賞できると良かったのですが、
座席が端の方になってしまうので、2階席ですが中央寄りの前列が確保できたので東京文化会館にしました。
座席優先で選んだ公演は、台風26号が関東圏に接近していた15日の夜
そういえば、1月のモーツァルト『フィガロの結婚』の時も、東京が記録的な大雪に見舞われましたっけ。
mintは雨女?いや、嵐を呼ぶ女・・・?
モーツァルトの『魔笛』は、ドイツ語でなければ、お子様も楽しめるファンタジー。
囚われの王女を助けに行く王子が、魔法の笛で数々の困難を乗り切ってハッピーエンドを迎えるお話ですが、聴きどころは夜の女王の超絶技巧のアリアです。
今回、夜の女王を演じたのは、ハンガリー出身のエリカ・ミクローシャ。
6月に鑑賞したヴェルディの『椿姫』でも、ヴィオレッタの役に彼女の名前がありました。
私が聴いたのはディミトラ・テオドッシュのヴィオレッタだったので、エリカ・ミクローシャの歌はまだ聞いていないのですが、メトロポリタン劇場では5シーズンにわたり50回以上も夜の女王を演じたという「夜の女王」の歌い手なので、期待が膨らみます。
1幕目は、王子タミーノが、夜の女王に、ザラストロに囚われている娘のパミーナを助けてくれるように頼まれます。
が、この王子、ちょっと頼りない感じ
王子役のマルティン・シュレイマーのテノールも美しすぎて子守唄に聞こえ、不覚にもちょっと居眠りをしてしまいました。
女王から魔法の笛と鈴を授けられ、鳥刺しのパパゲーノと一緒に、ザラストロのお城へパミーナの救出に向かう2人ですが、ザラストロの家来に捉えられてしまいます。
が、悪人と思っていたザラストロが実は善人・・・と、ストーリーが急展開。
ザラストロの地の底から響くようなバリトンは、堂々とした悪人の声なんですけどね~(^_^;)
タミーノとパミーナが結ばれるためには試練が必要と、2人には試練が与えられます。
この辺りが、フリーメイソンの会員だったというモーツァルトの意図が感じられるところかしら。
2幕で、王子タミーノに裏切られたことを知った夜の女王が、娘パミーナの前に現れ、ザラストロの命を奪うよう命じ、かの有名な復讐のアリアを歌います。観客の多くが待っていたアリアです。
圧巻でした。生で聴くと、背筋がゾクゾクします。
夜の女王のアリアを探していたら、ミクローシャによるアリアを見つけたので、よろしかったらお聞きください。
http://www.youtube.com/watch?v=ERsjRsCBlBo
こちらはディアナ・ダムラウの夜の女王。
http://www.youtube.com/watch?v=nZG90IhvGZk
夜の女王のアリアももちろん素晴らしいのですが、『魔笛』の中で一番好きな場面は、パパゲーノとパパゲーナの「パ、パ、パの二重唱」を歌う場面。
幸せに満ちた二人の歌に、こちらまでが楽しくなってきます。
まだ幼稚園だった長男と行った魔笛のミュージカルで、息子がこの歌をとても気に入り、暫くはパパパパパパパゲナ♪、パパパパパパパパゲノ♪と、真似をして、舌足らずで歌っていたのを思い出します。
場面が変わり、夜の女王たちがザラストロの城に攻め入りますが、稲妻に打たれて闇の世界へと消えていき、地上には太陽の光が戻ります。
ザラストロは太陽を讃え、タミーノとパミーナも皆に祝福され、一同で太陽神イシスとオシリスを讃える大合唱になり、幕となります。
モーツァルト自身もとても気に入っていたという『魔笛』は、美しいメロディーがたくさんあってとにかく楽しい。
オペラは、ストーリーの細かいところを突っついてケチをつければ限がないのですが、オーケストラ、歌、時にはバレエも入る総合芸術。
難しいことは考えず、その場のゴージャスな空気を楽しむのが一番かなと思います。
ただ、mintにとって残念なのは、一緒に鑑賞する相手がいないこと。
幕間のシャンペンも一人では寂しすぎますし、終わった後の感動を共有できる相手も欲しいところ。
息子たちも、子どもの頃はそれなりにミュージカルを楽しんだのに、オペラ好きにはならなかったな~(T_T)
ozさん作
連休の1日目は、夫の両親のお墓参りと親戚訪問のため南相馬へ。
そして、友人が通っているソーイング教室にお邪魔して、ランチをしながら次に作ってもらう洋服の生地の下見などをしてきました。
残り2日は夫の仕事があり、合間にmint父のお墓参りと買い物をして、残りはクローゼットの整理をして過ごしました。
暑さ寒さも彼岸まで・・・と言いますが、朝夕の気温は涼しさを通り越して肌寒く感じるほどになったmint地方、雲っている日は、一日中虫の鳴き声がしています。
夏物衣類をしまった後は、CDの整理。
古いCDをどうしたものやら毎年悩むのですが、どれも愛着があり処分できずに困っています。
洋服は処分できるけど(どうせサイズが合わないから^^;)本やレコード、CDが捨てられない・・・
母に言わせると、無くてもいいものばかり・・・確かにそうなんですけど(-_-)
昔、夏によく聴いていた音楽といえば、ビーチボーイズやサンタナ、キューバ音楽、時々サザン。
ここ数年は、ボサノバとオルタナ系(と言うらしい)音楽を聴くことが多いです。
↓のCDジャケットは、アコースティックギターの音色と囁くような歌声がステキなジャック・ジョンソン。
次男のCD棚から拝借して、いつの間にか私のものになってます
http://www.youtube.com/watch?v=u57d4_b_YgI
窓を開け放していてもじっとり汗ばむような熱帯夜に、
窓辺に寄り、レースのカーテンを揺らす風を待ちながら、オンザロックを片手に好きな本を読む、
眠れない夜のナイトキャップ・・・な~んちゃって、ね。
そんな夏も、もう終わってしまいました。
半分ほど開けた窓から入る冷たい空気に、思わず窓を閉めてしまうこの頃です。
夏が大好きなmintとしては、あの猛烈に暑い日々が恋しいなぁ~
もう一人。
よく行くカフェで流れていた曲が素敵で、アーティスト名を教えてもらった“ジィ・アーヴィ”
次男に話したら、ネットで買って送ってくれました(昨年の話)
http://www.youtube.com/watch?v=EpDXra9Zbk4
1曲目が「Bitter Heart」という曲。メロディーも歌声も素朴で癒されますが、歌詞がちょっと切ないです。
Bitter Heartって何と訳せばいいのかな。苦い心?
輸入盤らしく歌詞カードが付いていません。
“日が落ちて、子どもたちは暗くなるまで遊ぶ
私は、もう2時間もあなたを待っている
何処にいるの?食事が冷めちゃった。
あなたはいつも遅れるのね、言いたいのはそれだけ
あなたが、そんな風に待たれるのが嫌いなのは知ってるから
Bitter Heart Bitter Heart 私の中にしまっておくゎ
Bitter Heart Bitter Heart 気付かれないよう隠しておくゎ”
と、傷ついても健気な乙女心・・・
もう、そんな男やめちゃいなさいョ!と思うmintには、歌は作れないな~(^_^;)
草むらに集く虫たちの声と、サラサラと少し前に降り出した雨。
Zee Aviの歌声が、妙にマッチする今夜です・・・
ozさん作
6月から公開されていた映画『華麗なるギャツビー』が、今週で上映が終了してしまうと知り、駆け込みで行ってきました。
フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』の映画版です。
3Dで話題になっていましたが、mint地域の映画館では2Dの上映のみでした。
『グレート・ギャツビー』を初めて読んだのはいつだったのか・・・
確かなことは覚えていませんが、手元にあるのは昭和49年発行の野崎孝訳と2006年発行の村上春樹訳です。
舞台は、禁酒法が布かれていた1920年代のアメリカ、大恐慌前の好景気の時代でした。
大戦から戻ったジェイ・ギャツビーは、若き日の恋を成就するため、短期間に巨額の富を築き上げ、富豪の妻になっていたかつての恋人デイジーの前に現れ、彼女に告白します。
が、結末は・・・
学生の頃に、ロバート・レッドフォードとミア・ファローの『華麗なるギャツビー』も観ましたが、映像にしてみるとフィッツジェラルドの表現の繊細さがイマイチ伝わらず、がっかりした記憶があります。
物語の語り手、ニック・キャラウェイの役どころが私としてはしっくりしませんでした。
ギャツビーを理解するには、ニックの存在がとても大切に思えていたからです。
あれから40年近く経ち、今度の『グレート・ギャツビー』はどうかしら・・・と淡い期待を抱いて雨の中劇場へ向かいました。
バズ・ラーマンの『グレート・ギャツビー』でニックを演じるのはトビー・マグワイア。
実は、『サイダーハウスルール』を観て以来、彼の隠れファンになっていた私は、彼の演ずるニックに興味を持ち『ギャツビー』をもう一度観ようと思ったのです。
バズ・ラーマン監督らしいギラギラしたパーティーシーンが長過ぎて、ちょっとうんざりもしましたが(3Dならば、自分自身もパーティー会場にいるような錯覚を楽しめたのかもしれません)、ここをじっと我慢すれば、なかなか良い映画だったと思います。
原作は、冒頭のニックの語りと、終盤ギャツビーの不慮の死の後のニックの回想と語りがとても良いのです。、
今回の映画は、冒頭が、ニックがアルコール依存症でその回復のため自分の想いを書き綴るという設定で始まり、ニックは物語の語り手であると同時にこの物語の書き手にもなっています。
ギャツビーには作者フィッツジェラルドが投影されているというのは周知のことですが、ニックもまたフィッツジェラルドの一部でもあると思うので、トビー・マグワイアが演じた今回のニックはとても良かったと思います。
ギャツビーの生き方と存在がニックの人生に如何に大きな影響を与えたかを印象付けることによって、ギャツビーの短い人生もまた重さを感じるものになったと思います。
ギャツビーの屋敷を後にする時、心にかかるものがあり、ニックは背後を向き
「誰も彼も、かすみたいなやつらだ」と庭越しに叫びます。
「みんな合わせても、君一人の値打もないね」
思い切ってそう言っておいてよかったと、今でも思っている。
この部分を思い出すと、この言葉が孤独なギャツビーの心を癒したかどうかは分からないけれど、今でも胸の奥がジーンとしてきます。
ギャツビーは最後の最後に、彼が人としてまっすぐであったことを僕に示してくれた。
ニックは、そうギャツビーを振り返ります。
それにしても、ギャツビーの短い人生は悲しすぎます
トビー・マグワイア (ニック・キャラウェイ)
ozさん作
プラハ放送交響楽団の郡山公演に行ってきました。
お目当ては、特別出演のスタニスラフ・ブーニンのショパンだったのですが・・・・・
会場に入ったら、曲目変更のお知らせ。
ショパンの「ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調op.21」がシューマンの「ピアノ協奏曲イ短調作品54」に変わっていました。
シューマンも彼の得意のレパートリーの一つではありますが
やっぱり、ショパンが聴きたかった・・・
若干19歳で髭をたくわえていたブーニンが、
ショパンもひっくり返りそうな個性的なテクニックでショパン国際コンクールに優勝、天才ともてはやされ
普段クラッシックを聴かない人も惹きつけられ、日本中にブーニンフィーバーが起こったのは
もう二十数年前、三十年近く経つでしょうか。
それが、市民音楽祭主催によりブーニンが郡山に来ると知り、急いでローソンへ走りチケットを購入しましたが
既に良い席は無く、2階席の後方端っこでした。
今でもブーニンのチケットが売れるんだな~と、変ですけどちょっと安心したmint(^_^;)
プログラムの中のブーニン、まだ50歳前だと思います。今ならお髭も違和感ありませんね(笑)
プラハ放送交響楽団のスメタナの「モルダウ」のあと、ブーニン登場。
もともと背中の丸い方でしたが、一層丸くなったようす、大股でピアノに近づき、コンサートマスター、指揮者と握手を交わし、着席して演奏を始めました。
が、なんだか少し元気がない様子。
オープニングのメランコリックな旋律のせいでしょうか・・・
いえいえそればかりでは無い様子、渾身の力を振り絞っているような様子にハラハラドキドキ。
第3楽章を終えたときには、さすがにクタクタのご様子でした。
アンコールの拍手が鳴りやまず再登場するも、オーケストラの椅子に寄りかかり立っている姿が痛々しく
体調が思わしくないのは確実でした。
それでも華やかなブーニンはまだまだ健在、と感じさせる演奏でした。
若き日の演奏をYouTubeで見つけたので貼り付けます。
帰りにCD2枚を購入。手前のは、ショパン生誕200年の年のブーニンとワルシャワ・フィルの演奏。
ozさん作
家政婦mintが上京した本当の目的は、オペラ鑑賞のためでした。
前回のオペラは、モーツァルトの「フィガロの結婚」で、東京に記録的な雪が降った日。
今回も梅雨の最中なのでお天気がとても心配でしたが、公演の後に少しの雷と雨に逢った程度で済みました。
今年は、ヴェルディー・イヤー。
生誕200年を記念して世界のあちらこちらでヴェルディー作品がたくさん上演されているはずです。
今回聴いたのは、ハンガリー国立歌劇場の総勢180名による『椿姫』の引っ越し公演。
原作はアレクサンドル・デュマ・フィスの小説『椿姫』、大変有名で何度も舞台化、映画化もされていますね。
ヴィオレッタ役はギリシャ出身のディミトラ・テオドッシュウ、
アルフレードがヤベ・トーメ・フェルナンデス、
アルフレードの父ジェルモンがミケーレ・カルマンディ。
ヴィオレッタ役のベテラン、テオドッシュウの歌は、情感に溢れ泣けてしまうのですが、結核を患う高級娼婦にしては、ちょっと太目なのが難^_^;
アルフレードももう少し軟弱なイケメン風だと良かったのですが・・・
とは言え、そんな突っ込みを入れていたのも第一幕の初めの方だけ。すぐさま舞台に引き込まれてしまいました。
ジェルモン役のミケーレ・カルマンディのバリトンが良かったです~♥
幕間には20分ずつの休憩があるので、お友達同士、あるいはカップル?でシャンパンなどを楽しむ姿が目立ちましたが、おひとり様オペラのmintは、寂しくオレンジジュース(^_^;)
第3幕はハンカチを握りしめながら聴き入りました。
繰り返すカーテンコール。客席にはテオドッシュウの故郷ギリシャの国旗を掲げるファンもいらっしゃいました。
悲しいエンディングに涙しつつ余韻を残しながら東京文化会館を出ると、いきなり稲光が走り雨がポツポツと・・・
あれ~、やっぱり嵐を呼んでしまうのかしらと不安を感じつつ、次男と待ち合わの渋谷へ向かいましたが、たいした雨にはならず、ホッとしました。
そして渋谷で次男と晩御飯。
連れて行ってもらったのは「ビストロ三十五段屋」というチェーン店の居酒屋。
え?ここを入るの?というくらい分かりずらい場所にあるのに、店内は満員御礼状態です。
若者と一緒じゃなきゃ、こういうお店は来れませんねという感じのお店。
たっぷり量のサラダがお通しで、息子生ビール、私は宮城県の浦霞で乾杯。
トマトのフルーティーなマリネが美味しくてお代わりをしたら、4個で一皿なのですが辛うじて2個だけありましたと・・・
アマレットのような香りがするデザートのようなマリネでした。
お店お勧めのおでんもスゴイ!
10㎝はあるかと思う大根にまずビックリですけど、いいお味がしみ込んでとっても柔らかだったのにもビックリ!
もう一つ、お店お勧めの炙り締めサバがあったのですが、
目の前で豪快に炙ってレモンをジュッと絞るパフォーマンスに見惚れ、
写真を撮るのをすっかり忘れてしまいました。
面白いメニューに、つい食べ過ぎてしまった夜でした
ozさん作
遅ればせながら『リンカーン』を観てきました(先週のことです^^;)
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ダニエル・デイ・ルイス(リンカーン)
サリー・フィールド(リンカーンの妻)
誰もが知っているアメリカの大統領、エイブラハム・リンカーンですが、私の知識と言えば、子どもの頃に伝記を読んだことがあるくらいです。
案の定、少しお勉強してから見ればよかったな~とちょっと後悔しました。
リンカーンといえばゲティスバーグの演説「人民の,人民による,人民のための政治・・・」が有名ですが、この映画にその場面は出てきませんし、「奴隷解放宣言」を発令するところも出てきません。
スピルバーグの『リンカーン』は、彼が2期目の大統領選に当選した後から始まります。
1863年に調印された「奴隷解放宣言」は、戦争を早く終わらせるための南部への軍事措置でしかなく、すべての奴隷が解放されるものではありませんでした。また、戦争が終結すれば、その効力を失うという危惧もありました。
すべての奴隷を解放するためには、憲法改正の必要がありました。
リンカーンは、合衆国のすべての奴隷を解放するという条項の、憲法修正第13条案を議会に提出しますが、上院では可決されたものの下院では必要な3分の2の賛成を得ることができませんでした。
再選されたリンカーンは、憲法修正第13条の下院での可決を目指し、閣僚を叱咤激励し、懸命な努力をします。
可決に足りない20票を集めるため、画策し奔走する28日間。
その様子を主軸に描いたのが、今回のスピルバーグ監督の『リンカーン』でした。
「人はみな自由であり、平等である」という大義のために失われた多くの命、流された血と涙。
早く戦争を終結したい思いと、戦争終結前に憲法修正13条案を何としても可決したい思い・・・
それがリンカーンをどれだけ苦しめ悩ませたことでしょうか。
「今、鎖に繋がれている者だけではなく、生まれてくる次の世代すべての命の自由がこの手に委ねられている!」
「決断するのは、今なんだ!」と閣僚を鼓舞するリンカーン。
穏やかで人懐こく、辛抱強いリンカーンですが、時には独裁者のように厳しく主張します。
画面は全編暗く地味なのですが、リンカーンを捉えた映像は、大統領として、家庭人としてのリンカーンの苦悩と優しさがひしひしと伝わり、たった数か月の間の描写なのに、長年アメリカに愛されてきた彼の姿がそこにはありました。
ダニエルルイスが、本物のリンカーンに見えてきてスゴイの一言でしたが、トミーリージョーンズが演じた奴隷解放急進派のタデウス・スティーブンスもまた良かったです。
自由と平等を勝ち取るための彼の捨身の戦いにはホロリ、でした。
ozさん作