京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

エクアドルの「ヤスニ計画:アマゾンの自然を守る逆転の発想」シンポ

2010年09月06日 | ナラ枯れ
5日、京都出町柳の「かぜのね」で
エクアドルの「ヤスニ計画」を考えるシンポがあった。
エクアドル大統領来日に際して、
アタック京都やジュビリー関西の主催したもの。

以下、「生物多様性とヤスニITT」というすごい題で
急な報告を頼まれ、話してきた中身です。
(U さんは大胆な人で、こうゆう題で急にお願いが入ります)

1、普通の生物界の危機
○「生物多様性の危機」は、“希少種の(に限られた)危機”でなく、
「普通の生物界」の危機
生物多様性というと、とかく「希少種」の危機のように捉えられるが(ここに絶滅の危機が起こっているのは勿論)だが、
身の回りの”普通の生物界”で”異常な事態”がおこっていることを
京都の「ナラ枯れ」を例に話しました。

○「ナラ枯れ」-普通の木、コナラの40%が枯死
この間、このブログでも紹介しているように、
京都市左京区北白川瓜生山での調査からは
調査地のコナラ(226本)のうち、94本が枯死(現在)している状況を紹介
数字的に比較してみれば 
新型インフルエンザ”の予測(総人口の25%が罹患、0.5%が死亡)をはるかに超える数値になっていること
この森やコナラ、それに関わる生き物に起こっている事態は
間違いなく”凄まじい事態”であること(ドングリを食べるネズミなど動物・昆虫は大打撃)
こうした”普通の生物”に起こっている身近な事態に着目すべきでないかと話しました。

○こうした事態が引き起こす、「一番危険な予測」は”複合的(重層的)環境破壊”
森が枯れ、異常降雨などと組み合わされれば、山が壊れる可能性がより高まること
また、雷の発生が引き起こす「山火事」が心配されることを述べました。
(今、この調査を始めています)

2、母なる地球に甘えすぎ
○こうした中で、二つの対応(の傾向)があります。
爪楊枝での作業をしていると、「何か良い薬なないですか」の質問をよく受けます。
もう一つは、自然に任せておけばなんとかなるという声
一つは、人の技術への”信頼”
もう一つは、バクとした自然への”信頼”です。
私は、これでいいのかと思っています。

「ナラ枯れ」についても、
「少し乱暴だが、“自然界の遷移”ではないか」ということを言われる人がいますが、
危ないと思うのは、上段で話した「複合的環境破壊」です。
起こらなければいいのですが、
だんだんと
途方にくれるような連続的環境破壊が起こるのではないか
これは拡大すれば、人間の技術力も財力も超えていきます。
その危惧が、
「母なる地球に甘えすぎ」というこの部分のテーマになっています。

レジュメに書いた「 ウラジロガシの植林」の部分は
時間が無かったので割愛しました

3、一番言いたかったこと。
○丹波広域基幹林道建設問題でも、ナラ枯れ問題に取り組みながらも感じる問題
それは、人間の発想に自然への「驕りと侮りの結合」というべきものがあるのではないかという事です。
「薬はないか」という声は善意ですが、これは私たちが今は強く持っている「技術力でなんとかなる」という発想です。
一方で「自然に任せておけば」という発想も、いかにも自然主義のようですが
これも強烈な経験主義で、結局人類が長年過ごしてきた時代
なんとか自然が処理してくれていた時代に私たちが培ってきた
かなり牢固とした私たちの経験主義です。

○人間が、自然の外側から出なく、自然的存在として関わる。これを”人間動物”として関わると書きました。
これは時間も無く、あまり説明ができなかったのですが、
私自身は、人間が何か外側に自然を置くようなしかたで対処するべきでない、
もう、その段階は超えてしまっていると思っています。
薬を撒いたらいいとか、ほっとけばいいとかの考えは、
結局「技術力で何とかなる」
または、
自然界で起こっている(人間が引き起こしている)いまに無関心な状態です。

そうではなくて、
自然の中に身を置いて、そこで何が起こっているかを体と頭で感じ、認識し、
「人間の生物的な存在」の確保のために、
ベクトルを人間社会を変える方向へむけることが大切ではないか。
爪楊枝をカシナガの穴に打ち込んでいると
その重要性を思います。

4、ヤスニ計画の発想
○これは、「油田開発し、地球環境問題や公害問題を引き起こしても、技術力で乗り越えられる」という発想ではありません。
○自然を無視したり、外からの働きかけ(技術力)で乗り越える発想でなく、人間社会を変える方向で圧力をかけ、変化を促す発想です。
前進を、ぜひ期待したいです。
コメント
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