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花椿夕月の『雪*星*さざれ石』

日本映画ネタ、雑ネタなど

☆6月6日 2時間ドラマ「風の息」を見た

2021年06月06日 | この映画見ました

花椿です。

今回はスカパーの日本映画専門チャンネルが先月オンエアした2時間ドラマ「風の息」が

あまりに面白かったので、この作品について紹介させて貰います。


製作年は1982年(昭和57年)で番組はテレビ朝日が毎週土曜日の夜に放映していた

『土曜ワイド』のスペシャル版(3時間枠)だと思う。 原作は松本清張が1972年に

発表した同名(「風の息」)の推理小説だ。


そもそもこのドラマを見たきっかけは、同時に日本映画専門チャンネルがオンエアした

清張原作の長時間ドラマ「球形の荒野」を先に見て、主演の栗原小巻の美貌に圧倒された

からだ。 それならついでに栗原小巻が主演したもう一つの清張作品「風の息」も見てや

るぞ!となったわけ。


で、ブログの方は「球形の荒野」も断トツ!面白かったし、少し悩んだけどストーリーの

簡単な「風の息」に決めた。 いつもは昭和20~30年代の旧作純愛メロ映画一筋の俺

ですが、たまには清張ドラマも良いかなって感じですね。 もちろん主演の栗原小巻と根

津甚八が知り合ってから徐々に惹かれ合う様は「愛がなければダメ」の俺を十分に納得さ

せるものがあったのは事実。


ストーリーを簡単に書くと、サンフランシスコ講和条約が発効する直前の昭和27年4月

に羽田空港を出発した日航の旅客機「もく星」号が三原山に謎の墜落をした事件。 これ

が清張の推理では米軍機の誤射による撃墜だった!という結論。


事故から13年後の昭和40年、三原山を調査する過程で「もく星」号に興味を持った若

い地質学者の根津甚八と根津の前に突如現れた謎の女、栗原小巻の2人が事件の真相に迫

るわけであるが、2人が接触した事件の周辺人物が次々と不審死を遂げて、最後は魔の手

が2人にも迫るというハラハラ、ドキドキのサスペンスが実に面白かった。


事故については確かに上空から残骸を発見したら、すぐに米軍落下傘部隊が三原山に降下

して一部の証拠品を隠した疑い?とか、レーダーや通信記録も米軍が公開拒否したまんま

で確かに謎が多い。 時期的にはまだ朝鮮戦争が継続していて日本も連合軍(実質は米軍)

に占領されていた時代だ。 


それと松本清張のドラマは小倉出身の女がよく登場するけど、このドラマでも栗原小巻が

小倉出身の女の役だった。 兄がこの事故で亡くなり、妹の栗原が東京に出て来て事故に

ついて調べている最中に根津と知り合ったという筋書き。


松本清張は人生の半分を小倉で過ごした人だから、ついつい登場人物を小倉に関連付ける

のがお好きだったのかな。


もっとも突っ込みどころも多くて、事故現場で貴重な遺品が簡単に見つかったり、事故当

時の機内を録音した携帯録音機が出て来たりはちょっと変。 話を盛り過ぎじゃん。 

(昭和27年頃に携帯録音機はないだろ?)


それとあえて言うなら栗原小巻が実年齢で37才の時。 「球形の荒野」の32才の時は

小巻様の美貌に圧倒されたけど、さすがに37才になると美貌の衰えを感じたね。 根津

甚八は寡黙でニヒルな雰囲気がドラマに合っていたと思う。


□写真上

栗原小巻(左)と根津甚八。 @鎌倉。

□写真2番目

「もく星」号遭難碑の前で栗原小巻。

□写真3番目

栗原小巻(左)と根津甚八。

□写真4番目

栗原小巻。 @三原山。


じゃ、またね。

2021年6月7日、午前1時10分記。
コメント (6)
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☆4月19日 映画「あさ潮ゆう潮」を見た

2021年04月19日 | この映画見ました

花椿です。

1956年(昭和31年)の大映作品「あさ潮ゆう潮」を見た。 

ある熱心なコレクターから入手して最初に見たのは昨年(2020年)の初め頃であるが、

ブログに書き残したいと思いつつ果たせなかった。 それを数日前に再視聴したので簡単

にレビューしてみようと思う。

(つい前の日に「女医の診察室」をレビューしたので2日連続のレビューになる)


主演は若尾文子と新人の川口浩。 この2人が主演するのは同じ昭和31年封切の「処刑

の部屋」から2作目になるけど、共演という意味ならば「虹いくたび」「日本橋」もある。


作品そのものは一卵性双生児として生まれた美貌の姉妹が別々の人生を送るが、運命にあ

やつられ偶然にも同じ青年を好きになるという話。 川端康成の「古都」のパクリといっ

ても良い。 美貌の姉妹は若尾文子の一人二役だ。


簡単にストーリーを書くと、瀬戸内海の島で育った幼なじみの川口浩と若尾文子(妹)が

同じ高校を卒業するが将来は結婚するつもりでいた。 若尾(妹)が別府の旅館に、川口

は神戸の造船会社へ就職する。


ところが川口が事故から救った造船会社の社長令嬢が若尾(妹)と瓜二つ。 しかも令嬢

の若尾(姉)が川口を好きになって川口も心が揺れ動くのだ。 ある日、若尾(妹)が

神戸を訪ねるのだが川口が自分そっくりの令嬢といる所を目撃してショックを受ける。


やがて姉(水戸光子)から双子で生まれた姉が神戸にいると知った。 恋人の心を奪っ

た相手が双子の姉だったわけ。 しかし川口が若尾(妹)に会いに行った先へ若尾(姉)

もあとを追うが由布院近くのワインディングロードで事故死した。 若尾(妹)は姉の死

を知り泣き崩れるのだった・・・。


結局、川口は海外へ行く事が決まって若尾(妹)とも別れるのだが、映画は若尾の同級生

の藤田佳子が悲恋の果てに自殺するサブストーリーが並行して描かれメロドラマに厚みが

出ている。 


個人的には若尾ちゃんの一人二役が見られたし、俺の「愛がなければダメ」の評価尺度か

らも十分な合格点。 あとでレビューを見たら「駄作」と評した人もいるが人それぞれだ

ろう。 技法的には顔のどアップがやたら目立った。 佐伯幸三監督ってどアップが好き

な監督なのかも知れない。


1956年(昭和31年)8月封切の大映作品だ。 スタンダードのモノクロ。 俺の

評価はランクA(かなり面白い)だわね。 他の出演者としては若尾ちゃんの肉体を狙う

セクハラ男の役で船越英二、同級生の医学生に川崎敬三、そして上にも書いた水戸光子と

藤田佳子など。 DVDの発売はない。


□写真上

若尾文子。 主役の妹の方。 若尾ちゃんの実年齢は23才だと思う。

□写真2番目

若尾文子。 造船会社の社長令嬢で双子の姉として生まれた。

□写真3番目

海外へ行く川口浩と若尾文子(妹)の別れのシーン。

□写真下

事故で重傷を負い入院した姉を見守る若尾文子(妹)。


じゃ、またね。

2021年4月19日、午前3時55分記。
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☆4月18日 映画「女医の診察室」を見た

2021年04月18日 | この映画見ました

花椿です。

1950年(昭和25年)の新東宝映画「女医の診察室」を見た。 

題名に使われた「女医」の「医」の文字は正確には旧字体になっているが俺のウインドウ

ズ10のPCでは文字が出ないので「医」を使わせてもらう。 ちなみに新東宝キネマノス

タルジアのレーベルで発売されたDVDも「医」の文字になっている。


作品については上原謙(加山雄三パパ)と原節子のメロドラマなら絶対に見なければとの

思いで2月の発売日に買ったけど、いつもの俺らしく2か月間も放置して昨日やっと見た。


珍しく事前に映画情報サイト「キネノート」のレビューを先に見ていて評価が低いのは

承知の上であったけど、他人の評価はともかくメロドラマ一筋で「愛がなければダメ」と

いう俺の評価尺度では満足感の高い作品だったと思う。 


ただ俺の一番好きなパターンはヒロインが恋心を内に秘めたまま好きになった男と別れる

ってのが最高なのだが(このブログに書いた「いとしい恋人たち」や「メスを持つ処女

(おとめ)」がこのパターンの悲恋物)、この作品は原節子がはっきり上原謙にラブラブ

な言葉を発するのでメロドラマとして最高レベルとは言い難いが、まあ、原節子が最後に

死ぬので悲恋物には違いなかったが・・・(笑)。


ストーリーを簡単に再現すると、ヒロインの原節子がある女子医大病院で婦人科医をして

いるんだが、そこへかつての許婚(いいなずけ)でありながら誤解から別れた上原謙が心

臓の専門医として赴任して来たわけだ。 やがて職員全員参加のピクニックに出かけるが

2人だけ道に迷い山小屋で一夜を過ごす決断をした。 


その時に上原は原から「ずっと愛していました」と愛の告白を受けた事で別れた原因が誤

解だったと知る。 しかし上原はすでに既婚者であったため不倫関係(男女の関係)まで

は進まずモヤモヤした状態。


で、後半は実は原節子が心臓を病んでいて残された命が残り数か月と宣告を受ける場面か

ら始まる。 上原への思いもあって生きる事に必死の原であるが、上原の妻が子宮外妊娠

で緊急手術が必要となり原がそのため全力で手術を執刀した。 結果的にそれが原因で

一気に原の病気が悪化した。 上原が病室へ入った時、原はもうこの世の人ではなかった

・・・。


古風と言えば確かに古風な作品だ。 突っ込みどころも多いから作品としての評価は低く

出るかもわからんけど、「愛がなければダメ」が全ての俺の立場では天下のクールビュー

ティ原節子が上原謙との山小屋のシーンを思い出しながら死ぬ場面が見られただけで十分

だね。 

(あえていちゃもん付ければ、女が30才くらいの若さで心臓を病んで死ぬってのはご都

合主義。 純愛メロである以上は原節子に死んで貰うしかなかったのだろうが)


それと情報サイトでは尺が86分または89分となっているが、DVDは85分だ。 最終

シーンでかなり画面が乱れたり、話が飛ぶ所があって原盤の修復不能の部分がカットされ

た疑いが強いね。 評価が低い理由の一つはそのあたりが要因かも。


1950年(昭和25年)4月封切の新東宝作品だ。 スタンダードのモノクロ。 俺の

評価はランクA(かなり面白い)だわね。


□写真上

原節子のアップ。 29才。 「青い山脈」の翌年だし原節子の全盛期だろうな。 身長

は158センチらしいけど163センチくらいの大柄に見える。 共演の女優が小さいの

か、ヒールがかなり高いのか実際よりもガタイが大きい感じ。

□写真2番目

上原謙(左)と原節子。

□写真3番目

上原謙(左)と原節子。 夜の山小屋でラブラブになる場面。

□写真下

上原謙が病室へ入った時、原節子はすでにこの世の人ではなかった。


じゃ、またね。

2021年4月18日、18時45分記。
コメント (2)
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☆3月15日 映画「宝石泥棒」を見た

2021年03月15日 | この映画見ました
花椿です。

1962年(昭和37年)に大映が製作した「宝石泥棒」を見た。 

実はこれ2回目の視聴で1回目は2年前(2019年)の4月ごろ、ある熱心なコレクタ

ーからこの作品の録画データを入手してすぐに見ている。 なにしろ主演が山本富士子の

現代もので俺の好きな野添ひとみも助演で出ているのだから。 


しかも山本富士子が宝石泥棒の役。 ポスター見たら何かゴージャスな感じの「おしゃれ

泥棒」みたいな雰囲気である。 俺の中ではヒッチコック監督の作品でケーリー・グラン

トが宝石泥棒を演じる「泥棒成金」のようなイメージもあった。 ともかくこれは最初に

見なければいけないというわけだよ。


監督と脚本は井上梅次。 テレビの2時間ドラマで天知茂が明智小五郎を演じた「江戸川

乱歩の美女シリーズ」が有名やけど、大映時代はこの作品の少し前にやはり山本富士子の

主演で「女と三悪人」という大傑作も残している。(これも面白かった)


で、ブログに記事を残す意味でもう一回この作品を見る事にした。 結果はやはり最初見

た時と同じくかなり満足感の大きい娯楽作品だった。 


簡単にストーリーを紹介すると、箱根のとあるホテルに山本富士子と野添ひとみが演じる

美女二人組が現れた。 実は彼女達、宝石泥棒なのだ。 お金持ち有閑マダム(角梨枝子)

が所有する20カラットのダイヤを盗む目的なんだが、同様にダイヤを狙う男二人組(船

越英二と川口浩)が来ていたから話がややこしい。


山本と川口は相手が泥棒だとは知らずに惹かれ合うが、ダイヤを盗むため色々な駆け引き

を続けるうちにお互いが宝石泥棒だと知ってしまうわけ。 しかし最後はダイアを盗むの

に成功するが「あなたは私の心を盗んだ恋泥棒よ」とばかりダイアを持ち主に返して山本

と川口の一行がホテルを去るところで終わる。


物語はこの4人に自称・探偵作家、実は保険会社に雇われた探偵を演じる菅原謙二 と有閑

マダムの角梨枝子の6人が演じるドタバタ劇の要素あり、ロマンスあり、サスペンスあり

のおしゃれで上質な娯楽ドラマだと言える。


個人的には山本富士子のゴージャスな衣装とか女優二人のファッションが楽しめた。 俺

の好みの大船調メロドラマとは異なるが、たまにはこんな作品もいいね。 ただこれほど

の作品がDVD化されていないのが何とも不思議な気がする。


1962年7月封切の大映作品だ。 ワイドスクリーンの総天然色。 最近は昭和20年

代の深刻なメロドラマ(もちろんモノクロの)ばかり見ていたので、なんか急にパッと明

るい未来の映画作品を見たような気分になったぜ(苦笑)。 俺の評価はランクA(かな

り面白い)だわね。


■写真上

左から野添ひとみ、川口浩、山本富士子、船越英二(船越英一郎のパパ)。 ホテルのロ

ビーで。

■写真2番目

川口浩と山本富士子。 あなたは私の心を盗む恋の泥棒だわ!みたいな場面。

■写真3番目

野添ひとみと山本富士子。

■写真4番目

同じく野添ひとみと山本富士子。

■写真下

左から菅原謙二 、角梨枝子 、川口浩、船越英二。 ホテルのレストランの場面。 角梨

枝子はドタバタ有閑マダムを演じるが、昭和20年代の美人スタア時代の面影が残ってい

た。


じゃ、またね。

2021年3月15日、午前3時20分記。
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☆12月6日 映画「恋の十三夜」を見た

2020年12月06日 | この映画見ました

花椿です。

1949年(昭和24年)の松竹大船作品の「恋の十三夜」を見た。 

最近の俺は昭和20年代のメロ映画ばかり見ているが、今回の「恋の十三夜」はまさ

にメロ映画の王道と称しても良い作品だった。 


そもそも俺がこの作品の存在を知ったのは割と最近の話。 たまたまヤフオクで好き

な女優の月丘夢路を検索したら膨大な量のアイテムの中に「恋の十三夜」のVHSビデ

オを見つけたわけ。 


で、この初見の作品を調査したら月丘夢路と折原啓子が同時に池部良を好きになると

いう俺好みの話らしいと判明して見たくなったんだが、VHSじゃどうにもならない。

それでVHSのコピーガードキャンセラーを持っている知人の女流マニアに連絡してコ

ピーガードを除去した動画ファイルのみクラウドを通じて入手に成功した。


まず配役が良い。 主演の折原啓子は前にこのブログで書いたメロ映画の最高峰「恋

しかるらん」で竜崎一郎への愛一筋の女を演じた女優だし、月丘夢路は言うまでもな

く昭和の大女優だけども俺好みの熟女だよ。

(しかも広島生まれで学歴が広島県立第一高女は俺の母親と同じじゃん)


池部良も俺好みのスターで個人的には宝田明、山田真二、高橋貞二、竜崎一郎と池部

良の大ファンでございますね。 それと原作が北条誠ならば言う事なし。 まあ、こ

れだけ見たい要素がそろったら見ないわけにはいかないだろう。 動画ファイルを入

手してからすぐに見た。 


ストーリーは簡単。 元の宮様で京大生の池部良と舞子の折原啓子が思いを寄せ合っ

ていた。 しかし池部は貧乏学生でかねてより世話になっていた志村家の支援を受け

ていたため、志村家令嬢である月丘夢路との縁談を持ち込まれて困った立場になった。 

月丘も池部を愛しているのだ。


折原は事情を察していったんは池部をあきらめて、親がすすめる別のひいき筋の男の

求愛を受ける決心をした。 ところが月丘は池部の心が自分ではなくて折原にあると

知って潔く身を引いた。 池部は京都へ戻り折原と固く固く抱擁するのだった、、と

いう話。 


まさに京の町の愛染悲曲。 池部と折原の関係だけならハッピーエンドにパチパチっ

てところだろうが、月丘の立場では大悲恋物語である。 メロ映画に愛染と悲恋の両

方が描かれるのはたまにあるが、折原と月丘が同列の存在だから単純にパチパチとい

うわけにはいかない。 やっぱり愛染悲曲だな、この映画。 めちゃめちゃに感動し

たぜ。 折原啓子と霧島昇が唄う主題曲もまずまずだった。

(折原啓子の曲は「涙の舞扇」だったかな)


俺の評価はランクAA(ウルトラ級に面白い!)だね。 1949年(昭和24年)の

松竹大船作品。 モノクロ。 1時間28分。 なおデイリーモーションにこの作品

の動画がアップしてあるけど1時間弱の短縮版だった。 それと出演者に俺の好きな

高橋貞二の名を発見したけど、出演場面は不明。 わからなかった。

(まあ池部良の何人かの学友にいたのだろうと想像する)


■写真上

池部良と折原啓子。

■写真2番目

舞子姿の折原啓子

■写真3番目

令嬢役の月丘夢路。

■写真下

月丘夢路(左)と折原啓子。


じゃ、またね。

2020年12月6日、21時5分記。
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☆11月19日 映画「メスを持つ処女(おとめ)」を見た

2020年11月18日 | この映画見ました

花椿です。

1951年(昭和26年)に東宝が製作した「メスを持つ処女(おとめ)」を見た。 

最近の俺は昭和20年代のメロ映画を視聴する機会が多いが、見終わってすぐに2回目

を見たのは前にこのブログでも書いた「恋しかるらん」以来かな。

(「恋しかるらん」も竜崎一郎が主演だった)


一口では説明できないが明らかに心の琴線に触れるものがあった。 俺の場合は集中的

に4~5本の作品を視聴するけど、「恋愛特急(1954年)」「若い人(1952年)

」「若い娘たち(1951年)」を見た後でこの作品を選んだ根拠は主演が竜崎一郎と

いうそれだけ。


女優陣は浜田百合子と杉葉子であるが、この年代の東宝映画ならまあまあという感じ。 

河内桃子がデビューする前だし、島崎雪子や月丘千秋ばかりじゃ飽きるわけだし・・。 

で、見始めたらすぐに引き込まれた。


ストーリーを簡単に書けば地方の医大に勤務する竜崎一郎が上京して短期間だけ女子医

大に研究に来るわけだ。 そこで女教授(東山千栄子)の助手を務める浜田百合子や女

子医学生の杉葉子と知り合う。 浜田は竜崎の研究を手伝ううちに段々と竜崎に惹かれ

て女に目覚めてしまった。 一方、杉も竜崎に一目ぼれした状態。 


2人とも互いに竜崎を愛しているのを自覚しているが、浜田は愛に生きるよりも学問へ

の道を優先して内に秘めたまま一歩引き下がった。 やがて夏休みになって竜崎が地方

へ戻る時が来た。 医学生たちは地方研修の旅へ出るため竜崎と同じ青森行きの列車に

乗った。 浜田は竜崎への愛を秘めたまま上野駅で竜崎や杉の一行を見送るのだった・・

・。


映画を見始めた時は杉葉子がヒロインなのだろうと勝手に解釈したんだが、これは俺の

勘違い。 浜田百合子がヒロイン役で明らかに浜田の悲恋物語だった。 愛を秘めたま

ま竜崎一郎を見送る切なさ、悲しみが浜田百合子の後ろ姿を見ただけで伝わって来たね。

俺が感動したのはこの部分じゃわ。 画面見ながらホロホロと泣いたよ、俺。


それはともかく、一方の杉葉子。 青森行きの車内で竜崎の隣に座ったがアクションは

何にもなし。 あとは適当に想像してくれ、、みたいな終わり方であった。 1回目に

見た時はこのエンディングにはやや不満が残ったが、2回目を見たら最後をはっきりさ

せないモヤモヤしたエンディングでかえって良かったと考えが変わった。 悲恋物は余

韻を残す方が良いと思う。


俺の評価はランクA(かなり面白い)だ。 1951年(昭和26年)の東宝作品。 モ

ノクロ。


■写真上

竜崎一郎と浜田百合子。

■写真2番目

同じく竜崎一郎と浜田百合子。 浜田は「恋愛特急」でわがままなダンサー役を見たば

かりなので、ちょっとイメージが違っていた。

■写真3番目

浜田百合子(手前)と杉葉子。 杉も竜崎を愛していると知って浜田がショックを受け

た場面。

■写真下

青森行き列車の車内。 竜崎一郎と杉葉子(手前左)。


じゃ、またね。

2020年11月19日、午前2時50分記。
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☆9月21日 映画「学生心中」を見た

2020年09月21日 | この映画見ました
花椿です。

スカパーで今月オンエアの「学生心中」(日活、1954年)を見た。

前にこのブログで書いた「かくて夢あり」が日活の映画製作再開の第1回作品になるが、

「学生心中」は現代劇として2番目の作品になるらしい。 


個人的に主演の木村功はともかく、ヒロイン役の宮城野由美子が「かくて夢あり」の項

でも書いたように、いまいち華がないのは承知の上。 もっと言えば華のない宮城野が

今度の映画でもどんなに華がないか確かめたいという『怖いもの見たさ』もあったし、

純愛メロ映画一筋の俺にとって、この作品は絶対に見なければいけない使命感も感じる

ところだ。


で、見た結果はやっぱりヒロインがダメの一言に尽きる。 ストーリーはまあまあ面白

い方で決してダメ作品とは思わないが、ヒロインに華がないと感情移入がしずらい。

仮にヒロインを演じた女優が安西郷子や河内桃子だったら、俺の印象はずいぶん違った

はずである。


ストーリーを簡単に書けば、両親を失った木村功が叔父の家で育てられるが、大学生の

時に同じ大学の女学生である宮城野由美子と恋仲になる。 宮城野は下宿先のドラ息子

(金子信雄)から横恋慕されていて、ついに金子はその屈折した心情から木村の頭を殴

打する。


木村はそれが原因で目が見えなくなり、しかも宮城野が親が借金をした相手と望まぬ結

婚を約束したと知り、自らは死ぬつもりで宮城野と知り合った冬の山小屋へこもる。 

宮城野はそれを知って後を追い、ついに山小屋で抱擁するがやがて大雪の中で二人とも

倒れるという話。 サブストーリーとしては木村と同居する叔父の娘が木村を好いてい

て宮城野とライバル関係になるってのがあった。


悲恋物が大好きな俺の立場では凄く感動的なストーリーなんだが、やっぱり華のないヒ

ロインがダメだな。 全体の印象としては親が借金した相手から娘を嫁に要求され断り

切れずに望まぬ結婚を考えるとか、みんな苦しい生活に喘いでいるとか、今じゃ考えら

れない古色蒼然としたストーリー展開じゃあるけど、まあそれは昭和29年という時代

背景から仕方がないところ。 


それと特筆すべきは悪役の金子信雄の名演技が光っていた。 この人はほんと悪い奴を

演じるのが上手だな。 


俺の評価はランクA(かなり面白い)やけど、ヒロインにもっと華があったらランクAA

(ウルトラ級に面白い大傑作!)でも良いと思う。 1954年(昭和29年)の日活

作品。 モノクロ、スタンダードだね。 主題歌と挿入歌は宝塚出身の宮城野由美子が

歌っている。


■写真上

「学生心中」のパンフ。

■写真2番目

木村功と宮城野由美子。

■写真3番目

ラストの山小屋の場面で木村功と宮城野由美子。

■写真下

宮城野由美子。 華はないが長身でスタイルは良い。 宝塚の男役だったのか?


じゃ、またね。

2020年9月21日、18時45分記。
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☆9月16日 映画「蛇精の淫」を見た

2020年09月16日 | この映画見ました

花椿です。

前から絶対に見たかった日本映画作品の一つ「蛇精の淫」(新東宝1960年)がついに

新レーベル『新東宝キネマノスタルジア』の第1弾発売作品としてDVD化された。 こ

の作品は20年くらい前にも発売予告があったらしいが、諸々(もろもろ)の事情によ

り発売中止になっていた。

(社会の闇、つまり差別問題を示唆する場面があるためと思われる)


で、さっそくDVDを買って視聴した。 それでやっと知ったのは、実はこの作品は東宝

が1956年に製作した「白夫人の妖恋」のリメイク版なのだ。(悪く言えばパクリ)


もっとも「白夫人の妖恋」は中国の伝承「白蛇伝」(「白蛇抄」?)の映画化であり、

両作品とも原典は「白蛇伝」である。 ただし「蛇精の淫」は中国の話ではなくて、昭

和前半の日本の山村が舞台であるから、その意味では大幅に脚色してあり事実上は全く

の別作品だといって良い。


題名については上田秋成の江戸時代の怪奇小説「雨月物語」巻四の「蛇性の淫」(「蛇

精」ではなくて「蛇性」)を参考にしていると思われるが、この小説自体が「白蛇伝」

を参照しているようだ。 


思うに、映画「蛇精の淫」はむしろ小説「蛇性の淫」に近似しているような気がするが、

その点については俺自身が上田秋成の原作を読んでいないので何とも言えないね。


ストーリーを簡単に書けば、ある山村(被差別?)の若い男(浅見比呂志)が山中

で美しい娘と出会う。 しかし、この娘、実は前に浅見が傷ついた蛇を救った事があっ

て、その蛇が浅見を好きになり、再び逢いたい一心で人間に化身していたのである。 


やがて庄屋の娘(小畑絹子)に乗り移った白蛇の精と浅見は結ばれるわけだが、小畑の

正体がバレて村から追われる身となる。 美しい娘に化身した白蛇の愛欲と情念を妖し

く描いた作品だ。 最終場面は涙ぼろぼろだよ。


物語の導入部からめちゃめちゃに面白くて一気に見終わった。 そして俺が一番感激し

たのが小畑絹子の侍女役を演じた三田泰子の美貌ぶり。 彼女の存在で俺のこの作品に

対する評価はドカ~ン!とさらに上がったぜ。 


ランクAA(ウルトラ級に面白い大傑作!)と評価しても良いかなと思う。 この作品

に興味があればDVDを買ってちょん。 1960年(昭和35年)封切の新東宝作品

だ。 モノクロ、ワイドスクリーン。 監督は俺の好きな曲谷守平だね。 この人の

作品は面白いのが多い。


なお映画で描かれる山村はロケ地が「九十九本目の生娘」と同じなので、日本のチベッ

トと言われる岩手県の北上山地、あるいは青森県の白神山地あたりを想像していたが、

実際は飛騨の山中という設定らしい。 


■写真上

美しい娘(姫?)に化身した小畑絹子。

■写真2番目

小畑絹子の侍女を演じる三田泰子。 新東宝の大蔵社長(当時)から可愛がられていた

と何かの本で読んだ記憶があるが、はっきりしない。 とにかく美貌。

■写真3番目

小畑絹子と浅見比呂志。

■写真下

三田泰子。 ストーリーには直接関係ないが、この人の存在が物語に厚みを持たせてい

る。


じゃ、またね。

2020年9月16日、午前7時45分記。
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☆9月6日 映画「愛のうず潮」を見た

2020年09月05日 | この映画見ました

花椿です。

例によって巣ごもり生活。 ある親切なマニアから大量の作品を提供してもらったのも

あって、この夏は映画作品を見る時間が長かった。 その中で白眉と言っても良い作品

の一つが「愛のうず潮」(東宝)だわいね。 


視聴する前は主要キャストの三橋達也、平田昭彦はともかくとして、主演女優が新珠三

千代じゃあな、、という思いはあったけど、若い時の若林映子も出ているしで見始めた。

(俺が小学5年の時に見たテレビドラマの「氷点」で意地の悪い母親役を新珠三千代が

演じていて、それ以来、良いイメージは持っていない。 もちろん役の上ではあるけど

子供の頃の印象はなかなか消えないもん。)


だいたい面白い映画ってのは最初の導入部から引き込まれる場合が多いと思うが、

まさに「愛のうず潮」は最初からどんどん集中できた。 しかも最終場面までテンショ

ン高いまま。 不倫映画の決定版!というか、俺の評価は高いね。


ストーリーを簡単に書くと、ある新興の団地で平田昭彦と新珠三千代の夫婦が生活して

いるんだが、平田は同じ会社の専務秘書(草笛光子)と深い関係にあった。 新珠はう

すうす夫の不倫の疑いは感じていたが、それが確信に変わった頃、逆に新珠自身がカル

チャーで知り合ったカメラマンの三橋達也との愛に溺れ始めたわけ。


結局、新珠は家を出て三橋と京都旅行へ行き離婚を考えるようになった。 ところが

平田が草笛の運転する車で事故に遭い重傷という連絡が来たもんだから、新珠はめちゃ

めちゃに心が乱れた。 それで最後は・・・という話。


サブストーリーとしては平田昭彦の妹である若林映子と三橋達也の助手との関係が描か

れるが、これは若林に役を与える意味が濃厚。 作品を盛り上げるキャラとしては団地

の奥様族を演じる塩沢とき、横山道代などが面白い。 園佳代子、岩崎加根子 も秀逸

だな。 上原謙 (加山雄三パパ)が友情出演みたいな感じでチョイ役で出ている。


原作は官能小説の大家、梶山季之だ。 主題歌は松尾和子の曲やけどダンスホールで

三橋と新珠が逢引きする場面で松尾和子本人が歌手として登場する。 

(この場面で歌う曲が主題歌だと思う)


個人的には最終場面がややあっさりと終った感はあるが、評価としてはランクAA(ウル

トラ級に面白い大傑作)でも良いかなと考えますね。 あとで知ったけど、この作品、

もともとはテレビの連続ドラマだったらしい。 なるほど、また次の回を見たい気にさ

せるストーリー上の工夫が細密だ。 残念ながらDVD化はされていないけど、映画会社

の怠慢だろう。


1962年(昭和37年)封切の東宝作品だ。 総天然色、ワイドスクリーン。


■写真上

ヒロインの人妻を演じた新珠三千代。

■写真2番目

ダンスホールで逢引きした三橋達也と新珠三千代。

■写真3番目

平田昭彦と草笛光子。

■写真下

若林映子(007ボンドガール)と草笛光子。 後姿は平田昭彦。


じゃ、またね。

2020年9月6日、午前4時55分記。
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☆9月5日 映画「旅愁の都」を見た(続き)

2020年09月05日 | この映画見ました

花椿です。

昨日、『「旅愁の都」を見た』の本文を書く前に写真を何枚か切り出した中から4枚を

セレクトした。 なんで4枚かというとブログの方で写真はタテ方向が2000ドット

に制限されているからだ。 つまり写真を適度な大きさに揃えるには4枚が限界ってわ

け。


で、今回はせっかく切り出した写真を使わないのは勿体ないと考えて、星由里子の写真

の中でボツにした奴を復活させた。 それぞれ異なるファッションの中から選んでみた。 

一番下の写真はエンディングで使われたシーンだ。 暗い過去を背負っていた時のシー

ンと比較して表情が全然違う。


じゃ、またね。

2020年9月5日、18時5分記。
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☆9月5日 映画「旅愁の都」を見た

2020年09月04日 | この映画見ました

花椿です。

昨日やっと日本映画チャンネルの今月の蔵出し作品「旅愁の都」を見た。 俺の場合は

録画を持っている人がいたら1万円出しても良いから絶対に見たい!と思う作品があっ

て、この作品もその一つ。


ちなみに絶対に見たい作品の中で「蛇精の淫」(新東宝)は今月DVDが発売になったし

「旅愁の都」はついにスカパーがオンエアしてくれたというわけだ。 残るは東宝の

「青い果実」とか、松竹の「哀愁日記」「かりそめの唇」「人妻椿」「あゝ君が愛」、

大映の「貴族の階段」「女の教室」「君を愛す」、日活の「永遠に答えず」など。

これらの作品、メロ映画一筋の俺、死んでも絶対に見たいわぁあああ!!


ま、それはともかく「旅愁の都」。 宝田明主演の「美貌の都」「愛情の都」に次ぐ3

作目の「都」シリーズになるが、相手役が司葉子から星由里子に変わっている。 俺は

小学生の時に怪獣映画を映画館で見た時から星由里子のファンだから、それは良い。


ストーリーを簡単に紹介すると、設計技師の宝田明が職場の近所にある叔母が経営する

レストランで働いている星由里子と交際を始めるんだが、星由里子には病弱な母親を支

えるために青線で働いた暗い過去があった。


ところが元の恋人である藤木悠がたまたま知り合った宝田明にその事実をチクったわけ

だ。 それを知った星は宝田の前から姿を消す。 過去にこだわらない宝田は必死で星

を探すが、顧客の大金持ちの愛人をしている淡路恵子の努力もあって星を探し出せた。


淡路の説得で一人で宝田のいる沖縄に向かった星はようやく過去のわだかまりから解放

されて宝田と抱擁するのだったという話。 サブストーリーとして顧客の大金持ちの娘

(浜美枝)との見合いやら宝田に片思いの淡路の存在が絡む。


前半は確かに面白い。 星由里子の過去がいつばれるのかとハラハラドキドキしながら

見た。 音楽もそれっぽいし、何となくヒッチコックのサスペンス映画の雰囲気だ。

しかし後半が消化不良。 星の暗い過去は藤木悠の口で語られるのみで、その場面がな

いのが不満。 青線で働く星の場面が挿入されていればもっと哀愁感が高まったと思う

ね。

(肝心の場面をさらっと描き過ぎた)


それとエンディングもあっさりし過ぎ。 もっと余韻を残すような終わり方はなかった

のか。 個人的には星由里子の着物姿も欲しいところだよ。


思うに前にブログに書いた「花の慕情」も同じ鈴木監督だし、メロ映画の苦手な監督

のようだ。 俺の評価はランクB(水準作よりは上)だね。 見たい映画をやっと見た

という満足感はあった。 1962年(昭和37年)東宝配給作品だ。(宝塚映画)


■写真上

宝田明と星由里子。

■写真2番目

宝田明。 

■写真3番目

九州のお大尽(志村喬)と浜美枝、宝田明。 後姿は淡路恵子。

■写真下

宝田明と星由里子。


じゃ、またね。

2020年9月4日、22時50分記
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☆7月6日 映画「花の慕情」を見た

2020年07月05日 | この映画見ました

花椿です。

先日、ついに「花の慕情」を見た。 「ついに・・・」と書いたのは今までに必死で

収集した旧作日本映画作品(昭和40年代まで)が2300本近くなって、俺が見たい

と思う作品の8割以上は手元にあるが、まだ「これだけは死んでも絶対見たい!」と思

う未見の作品が30本くらい残っていた。 その中の一本が「花の慕情」なのよ。


で、ある親切なコレクターから入手したその日に盛り上がる気持ちを抑えながら見たけ

ど、その期待はやや裏切られた。 個人的には宝田明と司葉子の全盛期の作品だし、同

じコンビが主演した「美貌の都」とか「愛情の都」は水準作以上の出来映えで、まあ、

良かった。 


それなら「愛情の都」と同じく昭和33年に封切の「花の慕情」も感動するに違いない、

当時の映画ファン誌の紹介記事も悪くないし・・・と勝手に思い込んだ俺の大失敗だ。

駄作とまでは言わないが、盛り上がりに欠ける。 あまり感動もなかった。


そもそもお花の家元の司葉子が歯科医の宝田明との恋に生きるか、それとも別れて家元

として生きて行くか悩むという、ただそれだけの話。 美貌のヒロイン司葉子がそんな

に不幸のどん底へ落ちるわけじゃなし、横恋慕する千秋実のキャラもいまいち。


家元の座を狙う平田昭彦の妨害行為によって花の道をあきらめて、箱根だったか、伊豆

だったかの旅館にこもって部屋の花を生けたら、たまたま旅館を訪問した華道界の大物

に非凡な才能を見込まれて再び花の世界で生きて行くよう勧められるわけ。


で、最後は司葉子が踏まれても倒れても花の世界で頑張ろうと決心して山道を下ってい

たら、そこへ宝田明が現れるところで映画は終わった。 凡作と表現するしかないね、

これじゃあ。 ガッカリじゃん。

(せめてラストは司葉子と宝田明が抱き合うシーンにしたらどうなのよ?)


しかし全部ダメというわけじゃない。 司葉子の美貌は光っていたし、最初から最後ま

で着物で登場だった。 雑誌の紹介記事では豪華な着物が15着も出たらしいが、俺の

ような着物フェチには見ごたえがあった。 


宝田明はいつもの宝田明(のキャラ)で登場であるけど、これも悪くない。 こっちは

宝田明のキャラが好きで見てるのだから。 あえて言えば横恋慕の千秋実がもっともっ

と司葉子をいじめて不幸のどん底へ突き落すとかの展開があれば面白かったと思う。


メロ映画の苦手な監督だったのかも知れない。 ついでに書くと、コロムビアローズの

主題歌も全然良くなかった。


俺の評価はランクC(凡作)だね。 1958年(昭和33年)8月封切。 東宝の総

天然色作品だ。 上に出した写真はすべて宝田明と司葉子です。


じゃ、またね。

2020年7月6日、午前1時20分記。
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☆5月5日 映画「恋しかるらん」を見た

2020年05月05日 | この映画見ました

花椿です。

前に「天上大風」を見た、を書いてから2か月半。 一時はマーケットの歴史的な

大暴落の爆風を浴びて映画どころじゃなくなって、ようやく映画視聴を本格的に再

開したのが先月の終わり頃である。


たまたま旧作の日本映画作品を200本くらい入手する機会があって、その中から

何本か視聴したけど一番良かったのが、今から書く「恋しかるらん」。 この作品

は絶対に俺のブログに残す必要があると直感した。


なにしろ北条誠の原作じゃん。 「この世の花」をはじめ昭和30年前後のメロ映

画はこの人の原作ものが非常に多い。 原作・北条誠の文字を見ただけでワクワク

する。 そして期待どおり面白い。 俺が非常に高く評価している作家だわね。


しかし映画の公開が昭和25年はレトロ映画専門の俺にとってもちょっと古い。 

出演も竜崎一郎、高杉早苗、折原啓子じゃあ俺の親の世代よりも10才くらい上だ

し、もう古色蒼然としたイメージであるが、そんな懸念は見始めてすぐに吹っ飛ん

だ。


まず東宝マークが出た時からの音楽がめちゃ良い。 これ主題歌「恋しかるらん」

(歌:折原啓子)のメロディーらしいけど、コロムビア・ローズ/霧島昇の「君ゆえ

に」に匹敵する超絶的な名曲じゃないかと思う。 原曲をYouTube で探したけどな

かったのが残念だ。

(まあ、俺が必死になるほどの名曲って意味だよ)


ストーリーを一口で書けば、北海道から好きな男(竜崎一郎)に会いたい一心で上

京して来た美貌の女(折原啓子)が、勤務先のダンスホールでつきまとうギャング

(山村聡)を殺してしまい、裁判になった。 


そしてその法廷で向かい合う検事が愛する竜崎であり、さらに折原の弁護人を務め

る女弁護士(高杉早苗)は、なんと竜崎と心の恋人同士であった、、、というよう

な内容。 映画は夫が戦死して未亡人となった高杉と東京地検の検事として北海道

から転勤して来たばかりの竜崎との8年ぶりの再会から始まる。


そこへ北海道で世話になった折原が上京して来るわ、高杉の弟が美貌の折原を好き

になるわ、折原が勤め始めたダンスホールが実は暴力団の店であり竜崎の捜査対象

になるわ、で複雑なストーリー展開になる。


最後は正当防衛で無罪となった折原が北海道へ帰るのだが、そこで何となく竜崎と

高杉が一緒になる可能性が示唆される。 もの凄く余韻を残すエンディングやけど

俺なんか感動のあまり泣きに泣いた。 涙がボロボロと出たぜ。(いや、ほんとに)


俺の作品評価はランクAA(最高クラス)だね。 絶対に面白い!

1950年(昭和25年)6月公開の東宝作品だ。 モノクロ映画。 なんと山村

聰がわき役で出ているのが凄いと思う。 大御所の山村聰もこんな役を演じた時代

があったのだ。


■写真1

竜崎一郎。 この時の実年齢が38才。

■写真2

竜崎一郎と高杉早苗。

■写真3

高杉早苗。 実年齢は32才。

■写真4

高杉早苗(左)と折原啓子(実年齢25才)。 ヘアスタイルが昭和20年代っぽいね。


じゃ、またね。

2020年5月5日、21時20分記。
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☆2月24日 映画「天上大風」を見た

2020年02月24日 | この映画見ました

花椿です。

昨夜、源氏鶏太 の原作を映画化した作品「天上大風」(てんじょうたいふう)を

見た。 この映画作品を巨大コレクターから入手した理由として俺の好きな宝田

明と河内桃子のコンビが出る作品が見たいってのもあるが、そもそも源氏鶏太の

原作モノにハズレなしが俺の考えだ。 


入手した31本の中に島倉千代子のメロもあって迷ったが、まずこちらから先に

見た。 その結果は大正解! 主要目的の宝田明と河内桃子の出番は少ないが、

めちゃめちゃ面白くて一気に見てしまった。


ストーリーを簡単に書くと、ある不動産企業を二代目ダメ社長の千秋実が経営し

ているが、まったくの女好き、ぐうたら社長で経営の実権は専務が握っている。

しかし千秋にとってはこの専務がウザくて、かつての学友だった池部良を九州か

らスカウトして会社の総務部長にした。


池部は会社の不正経理に気が付いて専務を調査するうちに大株主(仕手筋?)の

左卜全と会社乗っ取りを計画していると知った。 そこで、池部は一計を案じて

左を味方に付けて専務の追い出しに成功する。


会社は千秋の美貌の妹である香川京子が専務に就任して、池部は常務として香川

を補佐する職務をするつもりだったが、ここで大逆転。 千秋はだんだんと仕事

の出来る男である池部の存在を疎ましく考えるようになってついに辞職へと追い

やった。


香川は池部を復職させるべく自らが社長となって池部の心変わりを願うが、池部

の決意が固く、しかも結婚を誓う相手がいると知り身を引くのだった。 池部が

九州へ発つ日、東京駅のホームで見送る香川の目に涙が光った・・・・。


千秋実のダメ社長ぶりもひどいが(見る側にはそれも面白いが)、とにかく池部

良がカッコいい! しかも千秋の妹を演じる香川京子が美しいし何かと池部の面

倒を見るのだが、予想に反して香川の愛は悲恋に終わった。 この予想外な展開

はむしろサプライズ。 観客に余韻を残したのではないか。


宝田明と河内桃子のコンビは出番は少ないがストーリーに花を添えたと思う。

あくまで主役は池部良と香川京子。 それに千秋実だろう。 仕手筋の大株主を

演じる左卜全も意外性ありありで良かったと思う。


俺の作品評価はランクAA(最高クラス)だね。 絶対に面白い。 

1956年(昭和31年)11月公開の東宝作品だ。 モノクロ映画。


■写真1

宝田明(右)と河内桃子。

■写真2

香川京子。

■写真3

池部良と恋人役の白石奈緒美 。

■写真4

香川京子、宝田明らが東京を去る池部良を見送る最後の場面。(at 東京駅)

なおモノクロ写真をカラーライズしてあります。 悪しからず。


じゃ、またね。

2020年2月24日、16時55分記。



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☆1月27日 映画「東京の人さようなら」を見た

2020年01月26日 | この映画見ました

花椿です。

映画「東京の人さようなら」を見た。 つい先日、このブログの「山田真二スナッ

プショット」に月刊平凡に掲載された島倉千代子と山田真二が主演したこの作品の

ポートレートを出した。 


その時に勢いが余って「この映画を提供してくれる人がいたら謝礼出します」とつ

い冗談半分に書いたら、その当日に提供者が登場したから本当に驚いた。 早速、

連絡したら関東在住のTさんという非常に親切な方で、すぐに話がまとまってその

2日後にDVDが届いた。 ブルーレイに匹敵するくらいの高画質。 これはもう

生涯忘れられない感動的な出来事で感謝の念に堪えません。 あらためてお礼を申

し上げます。


で、さきほど映画を見終わった。 モノクロ映画だけども切り出した写真をカラー

ライズしてみたら、これが結構使える。 というわけで上に出したのはオリジナル

ではなくて俺が勝手に色彩化した写真なのでお断りしておきます。


簡単にストーリーを書くと、東京で浪人生をしている山田真二がかつて幼少期を過

ごした伊豆大島で静養するためやって来た。 島では幼なじみの島倉千代子が待っ

ていたが、島倉の親は娘が身分の違う山田と親密になるのを恐れて勝手に船乗りの

佐原健二と縁談を進めていた。


一方、山田の家族が後から合流したが、その中にも山田の親が勝手に縁談を進めた

山田の許婚(いいなずけ)がいたのを知って島倉は大いに苦しんだ。 しかし山田

と島倉が相手を思う気持ちは同じであり、山田の「将来、必ず君と一緒になる」と

いう言葉を島倉は信じた。 やがて夏休みが終わり山田は東京に戻るため連絡船に

乗った。 島倉は涙を流しながら、いつまでも手を振るのだった。


島倉千代子の初主演映画らしいが上映時間がわずかに60分だ。 昭和30年代前

半は通常、人気スタアが主演するA級作品(80~90分)と併映のB級作品(6

0~70分)の2本立てで上映される。 この作品はB級の扱いじゃあるけど島倉

千代子と山田真二の人気者が主演するわけだから、興行としては非常に強力な布陣

じゃないかと思う。


ちなみに同時上映のA級作品は鶴田浩二と青山京子主演の「与太者と若旦那」であ

る。 この映画はつい先月スカパーでオンエアあったのを見たけど鶴田浩二の一人

二役で過去最高レベルの面白さ ! よく考えたら奇しくもこの日の東宝2本立てを

58年後の12月と1月に見た事になる。


ま、それはともかく島倉千代子の大ヒット曲が主題歌の歌謡映画になるけど、作品

中でも村祭りのシーンで本格的な楽団をバックに「東京の人さようなら」を歌う場

面があった。 島倉千代子のファンはここで大拍手といったところだろう。 ファ

ンの満足度は非常に高い作品だと思う。


もっとも俺の評価はランクB(水準作)の域を出ない。 端正な二枚目の山田真二

はともかくとして、まだ18才の島倉千代子が子供っぽくてお色気に欠けるのが難。


それと60分に収めるためストーリーに膨らみがなくて話がストレートに進むだけ

じゃ、あまり感動もない。 本来ならば佐原健二と島倉千代子の関係がサブストー

リーになり得ると思うのだが、60分の短い枠ではどうしようもない思う。


1956年(昭和31年)6月封切の東宝作品だ。 監督は「ゴジラ」「わが胸に

虹は消えず」の本多猪四郎ですね。

■写真1

山田真二と島倉千代子。

■写真2

村祭りで島倉千代子が「東京の人さようなら」を歌う場面。

■写真3

山田真二と島倉千代子。 大柄な山田と小柄な島倉じゃあまり絵にならないのも、

メロ映画としてはやや難。

■写真4

山田真二が乗る連絡船に手を振る島倉千代子。 個人的にはこの場面に一番感動し

た。

(いずれもカラーライズしてあります)


じゃ、またね。

2020年1月26日、21時30分記
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