花椿夕月の『雪*星*さざれ石』

日本映画ネタ、雑ネタなど

☆4月19日 映画「あさ潮ゆう潮」を見た

2021年04月19日 | この映画見ました

花椿です。

1956年(昭和31年)の大映作品「あさ潮ゆう潮」を見た。 

ある熱心なコレクターから入手して最初に見たのは昨年(2020年)の初め頃であるが、

ブログに書き残したいと思いつつ果たせなかった。 それを数日前に再視聴したので簡単

にレビューしてみようと思う。

(つい前の日に「女医の診察室」をレビューしたので2日連続のレビューになる)


主演は若尾文子と新人の川口浩。 この2人が主演するのは同じ昭和31年封切の「処刑

の部屋」から2作目になるけど、共演という意味ならば「虹いくたび」「日本橋」もある。


作品そのものは一卵性双生児として生まれた美貌の姉妹が別々の人生を送るが、運命にあ

やつられ偶然にも同じ青年を好きになるという話。 川端康成の「古都」のパクリといっ

ても良い。 美貌の姉妹は若尾文子の一人二役だ。


簡単にストーリーを書くと、瀬戸内海の島で育った幼なじみの川口浩と若尾文子(妹)が

同じ高校を卒業するが将来は結婚するつもりでいた。 若尾(妹)が別府の旅館に、川口

は神戸の造船会社へ就職する。


ところが川口が事故から救った造船会社の社長令嬢が若尾(妹)と瓜二つ。 しかも令嬢

の若尾(姉)が川口を好きになって川口も心が揺れ動くのだ。 ある日、若尾(妹)が

神戸を訪ねるのだが川口が自分そっくりの令嬢といる所を目撃してショックを受ける。


やがて姉(水戸光子)から双子で生まれた姉が神戸にいると知った。 恋人の心を奪っ

た相手が双子の姉だったわけ。 しかし川口が若尾(妹)に会いに行った先へ若尾(姉)

もあとを追うが由布院近くのワインディングロードで事故死した。 若尾(妹)は姉の死

を知り泣き崩れるのだった・・・。


結局、川口は海外へ行く事が決まって若尾(妹)とも別れるのだが、映画は若尾の同級生

の藤田佳子が悲恋の果てに自殺するサブストーリーが並行して描かれメロドラマに厚みが

出ている。 


個人的には若尾ちゃんの一人二役が見られたし、俺の「愛がなければダメ」の評価尺度か

らも十分な合格点。 あとでレビューを見たら「駄作」と評した人もいるが人それぞれだ

ろう。 技法的には顔のどアップがやたら目立った。 佐伯幸三監督ってどアップが好き

な監督なのかも知れない。


1956年(昭和31年)8月封切の大映作品だ。 スタンダードのモノクロ。 俺の

評価はランクA(かなり面白い)だわね。 他の出演者としては若尾ちゃんの肉体を狙う

セクハラ男の役で船越英二、同級生の医学生に川崎敬三、そして上にも書いた水戸光子と

藤田佳子など。 DVDの発売はない。


□写真上

若尾文子。 主役の妹の方。 若尾ちゃんの実年齢は23才だと思う。

□写真2番目

若尾文子。 造船会社の社長令嬢で双子の姉として生まれた。

□写真3番目

海外へ行く川口浩と若尾文子(妹)の別れのシーン。

□写真下

事故で重傷を負い入院した姉を見守る若尾文子(妹)。


じゃ、またね。

2021年4月19日、午前3時55分記。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆4月18日 映画「女医の診察室」を見た

2021年04月18日 | この映画見ました

花椿です。

1950年(昭和25年)の新東宝映画「女医の診察室」を見た。 

題名に使われた「女医」の「医」の文字は正確には旧字体になっているが俺のウインドウ

ズ10のPCでは文字が出ないので「医」を使わせてもらう。 ちなみに新東宝キネマノス

タルジアのレーベルで発売されたDVDも「医」の文字になっている。


作品については上原謙(加山雄三パパ)と原節子のメロドラマなら絶対に見なければとの

思いで2月の発売日に買ったけど、いつもの俺らしく2か月間も放置して昨日やっと見た。


珍しく事前に映画情報サイト「キネノート」のレビューを先に見ていて評価が低いのは

承知の上であったけど、他人の評価はともかくメロドラマ一筋で「愛がなければダメ」と

いう俺の評価尺度では満足感の高い作品だったと思う。 


ただ俺の一番好きなパターンはヒロインが恋心を内に秘めたまま好きになった男と別れる

ってのが最高なのだが(このブログに書いた「いとしい恋人たち」や「メスを持つ処女

(おとめ)」がこのパターンの悲恋物)、この作品は原節子がはっきり上原謙にラブラブ

な言葉を発するのでメロドラマとして最高レベルとは言い難いが、まあ、原節子が最後に

死ぬので悲恋物には違いなかったが・・・(笑)。


ストーリーを簡単に再現すると、ヒロインの原節子がある女子医大病院で婦人科医をして

いるんだが、そこへかつての許婚(いいなずけ)でありながら誤解から別れた上原謙が心

臓の専門医として赴任して来たわけだ。 やがて職員全員参加のピクニックに出かけるが

2人だけ道に迷い山小屋で一夜を過ごす決断をした。 


その時に上原は原から「ずっと愛していました」と愛の告白を受けた事で別れた原因が誤

解だったと知る。 しかし上原はすでに既婚者であったため不倫関係(男女の関係)まで

は進まずモヤモヤした状態。


で、後半は実は原節子が心臓を病んでいて残された命が残り数か月と宣告を受ける場面か

ら始まる。 上原への思いもあって生きる事に必死の原であるが、上原の妻が子宮外妊娠

で緊急手術が必要となり原がそのため全力で手術を執刀した。 結果的にそれが原因で

一気に原の病気が悪化した。 上原が病室へ入った時、原はもうこの世の人ではなかった

・・・。


古風と言えば確かに古風な作品だ。 突っ込みどころも多いから作品としての評価は低く

出るかもわからんけど、「愛がなければダメ」が全ての俺の立場では天下のクールビュー

ティ原節子が上原謙との山小屋のシーンを思い出しながら死ぬ場面が見られただけで十分

だね。 

(あえていちゃもん付ければ、女が30才くらいの若さで心臓を病んで死ぬってのはご都

合主義。 純愛メロである以上は原節子に死んで貰うしかなかったのだろうが)


それと情報サイトでは尺が86分または89分となっているが、DVDは85分だ。 最終

シーンでかなり画面が乱れたり、話が飛ぶ所があって原盤の修復不能の部分がカットされ

た疑いが強いね。 評価が低い理由の一つはそのあたりが要因かも。


1950年(昭和25年)4月封切の新東宝作品だ。 スタンダードのモノクロ。 俺の

評価はランクA(かなり面白い)だわね。


□写真上

原節子のアップ。 29才。 「青い山脈」の翌年だし原節子の全盛期だろうな。 身長

は158センチらしいけど163センチくらいの大柄に見える。 共演の女優が小さいの

か、ヒールがかなり高いのか実際よりもガタイが大きい感じ。

□写真2番目

上原謙(左)と原節子。

□写真3番目

上原謙(左)と原節子。 夜の山小屋でラブラブになる場面。

□写真下

上原謙が病室へ入った時、原節子はすでにこの世の人ではなかった。


じゃ、またね。

2021年4月18日、18時45分記。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする