花椿です。
1956年(昭和31年)の大映作品「あさ潮ゆう潮」を見た。
ある熱心なコレクターから入手して最初に見たのは昨年(2020年)の初め頃であるが、
ブログに書き残したいと思いつつ果たせなかった。 それを数日前に再視聴したので簡単
にレビューしてみようと思う。
(つい前の日に「女医の診察室」をレビューしたので2日連続のレビューになる)
主演は若尾文子と新人の川口浩。 この2人が主演するのは同じ昭和31年封切の「処刑
の部屋」から2作目になるけど、共演という意味ならば「虹いくたび」「日本橋」もある。
作品そのものは一卵性双生児として生まれた美貌の姉妹が別々の人生を送るが、運命にあ
やつられ偶然にも同じ青年を好きになるという話。 川端康成の「古都」のパクリといっ
ても良い。 美貌の姉妹は若尾文子の一人二役だ。
簡単にストーリーを書くと、瀬戸内海の島で育った幼なじみの川口浩と若尾文子(妹)が
同じ高校を卒業するが将来は結婚するつもりでいた。 若尾(妹)が別府の旅館に、川口
は神戸の造船会社へ就職する。
ところが川口が事故から救った造船会社の社長令嬢が若尾(妹)と瓜二つ。 しかも令嬢
の若尾(姉)が川口を好きになって川口も心が揺れ動くのだ。 ある日、若尾(妹)が
神戸を訪ねるのだが川口が自分そっくりの令嬢といる所を目撃してショックを受ける。
やがて姉(水戸光子)から双子で生まれた姉が神戸にいると知った。 恋人の心を奪っ
た相手が双子の姉だったわけ。 しかし川口が若尾(妹)に会いに行った先へ若尾(姉)
もあとを追うが由布院近くのワインディングロードで事故死した。 若尾(妹)は姉の死
を知り泣き崩れるのだった・・・。
結局、川口は海外へ行く事が決まって若尾(妹)とも別れるのだが、映画は若尾の同級生
の藤田佳子が悲恋の果てに自殺するサブストーリーが並行して描かれメロドラマに厚みが
出ている。
個人的には若尾ちゃんの一人二役が見られたし、俺の「愛がなければダメ」の評価尺度か
らも十分な合格点。 あとでレビューを見たら「駄作」と評した人もいるが人それぞれだ
ろう。 技法的には顔のどアップがやたら目立った。 佐伯幸三監督ってどアップが好き
な監督なのかも知れない。
1956年(昭和31年)8月封切の大映作品だ。 スタンダードのモノクロ。 俺の
評価はランクA(かなり面白い)だわね。 他の出演者としては若尾ちゃんの肉体を狙う
セクハラ男の役で船越英二、同級生の医学生に川崎敬三、そして上にも書いた水戸光子と
藤田佳子など。 DVDの発売はない。
□写真上
若尾文子。 主役の妹の方。 若尾ちゃんの実年齢は23才だと思う。
□写真2番目
若尾文子。 造船会社の社長令嬢で双子の姉として生まれた。
□写真3番目
海外へ行く川口浩と若尾文子(妹)の別れのシーン。
□写真下
事故で重傷を負い入院した姉を見守る若尾文子(妹)。
じゃ、またね。
2021年4月19日、午前3時55分記。