花椿夕月の『雪*星*さざれ石』

日本映画ネタ、雑ネタなど

☆6月17日 映画「密会(1959)」を見た

2021年06月16日 | この映画見ました
花椿です。

1959年(昭和34年)の日活作品「密会」(中平康監督)を見た。


最近は中平監督の昭和30年代前半の日活作品を見る機会が多い。 例えば「あの壁を砕

け」「四季の愛欲」「街燈」「牛乳屋フランキー」などは今年初めて見たけど、特に「街

燈」のハイカラな雰囲気とスピーディーなストーリー展開には圧倒された。 そして「四

季の愛欲」は俺が今までに見た全ての映画作品の中で最高の1本と断言しても良いレベル

だ。(これはオススメ)


で、俺の場合はあまり監督の名前で見る方じゃないのだが、中平監督に限っては「凄ぇな」

という印象を持ったわけ。 そこに登場したのが「密会」だ。 伊藤孝雄のデビュー作ら

しいけど、まあ、俺の場合は主演女優が桂木洋子だから録画しながら即刻見た。 この人、

「四季の愛欲」でも堂々と不倫妻を演じていたし、今度は伊藤孝雄演じる若い学生との不

倫じゃん。


ストーリーを簡単に書くと、大学教授(宮口精二 )の妻である桂木洋子がふとしたきっか

けから宮口の教え子である若い学生(伊藤孝雄)と不倫関係に陥る。 たまたま夜中に野

外で密会中に殺人事件を目撃する事になるが、二人は不倫がバレるのを恐れて警察には通

報しなかった。


しかし、しだいに伊藤が罪悪感に悩まされて警察へ行く覚悟を決めて桂木に告白するが、

桂木は「警察だけは堪忍して」とすがりつき絶対に許さない。 結局、桂木が伊藤を駅の

ホームから突き落として口封じに殺してしまうわけだが、それを目撃した人物がいて・・

・・という話。


まあ、今現在の視点ではとっくに使い古されたテーマかも知れないが、めちゃめちゃ面白

かった。 吉村昭の原作だし、すでに2時間ドラマでリメイクされた可能性もある。


あえて難を言えば、冒頭の桂木と伊藤の愛欲シーンが長すぎた。 10分間くらい続いた

と思うが、まあ愛欲中のセリフからこの二人がどういう関係なのか視聴者に説明する意味

があるにせよ、ちょっと長すぎたな。


資料的な価値としては昭和34年の小田急線梅ヶ丘駅とその周辺が登場する。 今現在と

比較したら面白いかもね。


俺の評価はランクA(かなり面白い)だわね。 他の出演者としては中平作品によく登場

する峯品子が今回も伊藤孝雄の妹役で出ていた。


□写真上

不倫した直後に殺人事件を目撃した伊藤孝雄(左)と桂木洋子。

□写真2番目

「四季の愛欲」に続いて人妻役の桂木洋子。 実年齢は29才と思うがちょっと老けて見

える。(役作りの結果かも知れないが)

□写真3番目

小田急線梅ヶ丘駅のホーム。 桂木が伊藤を突き落とす場面。

□写真下

中平監督のお気に入り?女優なのか峯品子。


じゃ、またね。

2021年6月17日、午前0時20分記。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆6月6日 2時間ドラマ「風の息」を見た

2021年06月06日 | この映画見ました

花椿です。

今回はスカパーの日本映画専門チャンネルが先月オンエアした2時間ドラマ「風の息」が

あまりに面白かったので、この作品について紹介させて貰います。


製作年は1982年(昭和57年)で番組はテレビ朝日が毎週土曜日の夜に放映していた

『土曜ワイド』のスペシャル版(3時間枠)だと思う。 原作は松本清張が1972年に

発表した同名(「風の息」)の推理小説だ。


そもそもこのドラマを見たきっかけは、同時に日本映画専門チャンネルがオンエアした

清張原作の長時間ドラマ「球形の荒野」を先に見て、主演の栗原小巻の美貌に圧倒された

からだ。 それならついでに栗原小巻が主演したもう一つの清張作品「風の息」も見てや

るぞ!となったわけ。


で、ブログの方は「球形の荒野」も断トツ!面白かったし、少し悩んだけどストーリーの

簡単な「風の息」に決めた。 いつもは昭和20~30年代の旧作純愛メロ映画一筋の俺

ですが、たまには清張ドラマも良いかなって感じですね。 もちろん主演の栗原小巻と根

津甚八が知り合ってから徐々に惹かれ合う様は「愛がなければダメ」の俺を十分に納得さ

せるものがあったのは事実。


ストーリーを簡単に書くと、サンフランシスコ講和条約が発効する直前の昭和27年4月

に羽田空港を出発した日航の旅客機「もく星」号が三原山に謎の墜落をした事件。 これ

が清張の推理では米軍機の誤射による撃墜だった!という結論。


事故から13年後の昭和40年、三原山を調査する過程で「もく星」号に興味を持った若

い地質学者の根津甚八と根津の前に突如現れた謎の女、栗原小巻の2人が事件の真相に迫

るわけであるが、2人が接触した事件の周辺人物が次々と不審死を遂げて、最後は魔の手

が2人にも迫るというハラハラ、ドキドキのサスペンスが実に面白かった。


事故については確かに上空から残骸を発見したら、すぐに米軍落下傘部隊が三原山に降下

して一部の証拠品を隠した疑い?とか、レーダーや通信記録も米軍が公開拒否したまんま

で確かに謎が多い。 時期的にはまだ朝鮮戦争が継続していて日本も連合軍(実質は米軍)

に占領されていた時代だ。 


それと松本清張のドラマは小倉出身の女がよく登場するけど、このドラマでも栗原小巻が

小倉出身の女の役だった。 兄がこの事故で亡くなり、妹の栗原が東京に出て来て事故に

ついて調べている最中に根津と知り合ったという筋書き。


松本清張は人生の半分を小倉で過ごした人だから、ついつい登場人物を小倉に関連付ける

のがお好きだったのかな。


もっとも突っ込みどころも多くて、事故現場で貴重な遺品が簡単に見つかったり、事故当

時の機内を録音した携帯録音機が出て来たりはちょっと変。 話を盛り過ぎじゃん。 

(昭和27年頃に携帯録音機はないだろ?)


それとあえて言うなら栗原小巻が実年齢で37才の時。 「球形の荒野」の32才の時は

小巻様の美貌に圧倒されたけど、さすがに37才になると美貌の衰えを感じたね。 根津

甚八は寡黙でニヒルな雰囲気がドラマに合っていたと思う。


□写真上

栗原小巻(左)と根津甚八。 @鎌倉。

□写真2番目

「もく星」号遭難碑の前で栗原小巻。

□写真3番目

栗原小巻(左)と根津甚八。

□写真4番目

栗原小巻。 @三原山。


じゃ、またね。

2021年6月7日、午前1時10分記。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする