花椿です。
前に「天上大風」を見た、を書いてから2か月半。 一時はマーケットの歴史的な
大暴落の爆風を浴びて映画どころじゃなくなって、ようやく映画視聴を本格的に再
開したのが先月の終わり頃である。
たまたま旧作の日本映画作品を200本くらい入手する機会があって、その中から
何本か視聴したけど一番良かったのが、今から書く「恋しかるらん」。 この作品
は絶対に俺のブログに残す必要があると直感した。
なにしろ北条誠の原作じゃん。 「この世の花」をはじめ昭和30年前後のメロ映
画はこの人の原作ものが非常に多い。 原作・北条誠の文字を見ただけでワクワク
する。 そして期待どおり面白い。 俺が非常に高く評価している作家だわね。
しかし映画の公開が昭和25年はレトロ映画専門の俺にとってもちょっと古い。
出演も竜崎一郎、高杉早苗、折原啓子じゃあ俺の親の世代よりも10才くらい上だ
し、もう古色蒼然としたイメージであるが、そんな懸念は見始めてすぐに吹っ飛ん
だ。
まず東宝マークが出た時からの音楽がめちゃ良い。 これ主題歌「恋しかるらん」
(歌:折原啓子)のメロディーらしいけど、コロムビア・ローズ/霧島昇の「君ゆえ
に」に匹敵する超絶的な名曲じゃないかと思う。 原曲をYouTube で探したけどな
かったのが残念だ。
(まあ、俺が必死になるほどの名曲って意味だよ)
ストーリーを一口で書けば、北海道から好きな男(竜崎一郎)に会いたい一心で上
京して来た美貌の女(折原啓子)が、勤務先のダンスホールでつきまとうギャング
(山村聡)を殺してしまい、裁判になった。
そしてその法廷で向かい合う検事が愛する竜崎であり、さらに折原の弁護人を務め
る女弁護士(高杉早苗)は、なんと竜崎と心の恋人同士であった、、、というよう
な内容。 映画は夫が戦死して未亡人となった高杉と東京地検の検事として北海道
から転勤して来たばかりの竜崎との8年ぶりの再会から始まる。
そこへ北海道で世話になった折原が上京して来るわ、高杉の弟が美貌の折原を好き
になるわ、折原が勤め始めたダンスホールが実は暴力団の店であり竜崎の捜査対象
になるわ、で複雑なストーリー展開になる。
最後は正当防衛で無罪となった折原が北海道へ帰るのだが、そこで何となく竜崎と
高杉が一緒になる可能性が示唆される。 もの凄く余韻を残すエンディングやけど
俺なんか感動のあまり泣きに泣いた。 涙がボロボロと出たぜ。(いや、ほんとに)
俺の作品評価はランクAA(最高クラス)だね。 絶対に面白い!
1950年(昭和25年)6月公開の東宝作品だ。 モノクロ映画。 なんと山村
聰がわき役で出ているのが凄いと思う。 大御所の山村聰もこんな役を演じた時代
があったのだ。
■写真1
竜崎一郎。 この時の実年齢が38才。
■写真2
竜崎一郎と高杉早苗。
■写真3
高杉早苗。 実年齢は32才。
■写真4
高杉早苗(左)と折原啓子(実年齢25才)。 ヘアスタイルが昭和20年代っぽいね。
じゃ、またね。
2020年5月5日、21時20分記。