花椿夕月の『雪*星*さざれ石』

日本映画ネタ、雑ネタなど

☆10月24日[新東宝の世界#3]花嫁吸血魔

2018年10月23日 | 新東宝の世界!へようこそ

花椿です。

「新東宝の世界!」のその3になります。 今回は「花嫁吸血魔」。 DVDは

すでに廃盤になっているが俺の場合はヤフオクで比較的安く入手した。 今年初

め頃に2500円くらいだったと記憶する。 新東宝の娯楽作品はアマゾンのマ

ーケットプレイスなんかでも5千円~数万円が当たり前の世界であるから、この

値段は安い部類だと思う。 


マニアが欲しがるようなレア作品じゃないのかも知れないが、大きな要素として

はキャストがあると思う。 やっぱり新東宝の娯楽作品は天知茂、吉田輝雄、宇

津井健、三原葉子、万里昌代、三ツ矢歌子、大空真弓らが出ていなければマニア

に与えるインパクトがいまいちだもん。


で、「花嫁吸血魔」の主役は池内淳子。 もちろん大女優として大成した人であ

るけど、まだこの時代ではあくまで新東宝の若手女優の1人に過ぎず、活劇より

も高島忠夫なんかとコンビでメロ映画のヒロインというイメージが強い。 しか

しその池内が復讐に燃える吸血魔を演じたのだから話題性は大きかったんじゃな

かろうか。

◇▲◎▽◆◇■☆●◎◇◆□▼◇★○●□◎◆◇■△●◇◆▽◎■◇▼☆□★

◇花嫁吸血魔(1960年、モノクロ)

ある映画会社に3人の若手女優がいるが、新人の池内淳子が華々しく主演女優

の地位を得たのが悔しくてたまらない。 1人は主演女優の約束を反故にされた

し、別の1人(瀬戸麗子)は恋人(高宮敬二)の気持ちが自分から離れて池内の

方へ行ったのが気に食わない。


ある日、嫉妬に狂った若手女優たちは池内をピクニックに誘った際に池内を崖か

ら突き落とした。 池内は顔に重傷を負って女優として生きる道を失ったのだ。

しかも実家に戻ると病弱な母親が自殺していた。


それで母親の残した遺書に従って山奥の曾祖母を訪問する。 曾祖母の不思議な

妖術によって美しさを取り戻したのは良いが、同時に自分を突き落とした女たち

に復讐するための吸血魔に変身する能力も与えられた。


再び別の名前で映画界へデビューした池内であったが、復讐を果たすべく吸血

魔となって自分に嫉妬した若手女優を襲っては殺害を繰り返す。 しかし最後

の女優を殺害した直後、猟銃に撃たれたのが命取りになった。 森の中深く逃

げて行ったが力尽きた。 全てを知った元の恋人(寺島達夫)が池内の遺骸を

抱き上げ涙ぐむところで終わった。


個人的には面白かった。 B級映画、ゲテモノ映画など様々な批評はあろうが

映画は面白くなくてはダメ。 とくにオープニングからググっと引き込まれた。

80年代の2時間ドラマで人気があった「京都妖怪シリーズ」とか「整形復顔

美女の復讐シリーズ」はこの映画が原点じゃないかと思う。 とにかくB級の

楽しさ満喫した。


あと個人的には瀬戸麗子がいい。 池内を殺そうと企む悪女の役を演じるが、

あの猫顔は俺の好みだね。 男役は新東宝が誇るハンサムタワーズの一角、高

宮敬二と寺島達夫が楽しめる。 2人とも当時としては珍しい180cm以上

の長身だ。 だから身長162cmの瀬戸麗子がハイヒールでも高宮との身長

差が歴然。 新東宝が倒産しなかったら吉田輝雄なみの活躍が出来たんじゃな

いかと思うね。


■写真1

右はDVDのジャケット。 左は封切時のポスターだ。 俺が持っている新東

宝ポスター集から撮影した。 かなりエグイ感じ。 ただセリフも登場回数も

多い瀬戸麗子よりも出番の少ない三田泰子の方がポスターの文字が大きいのが

不思議。

■写真2

池内淳子。 撮影時26才だ。

■写真3

顔面を負傷して涙ぐむ池内。

■写真4

吸血魔に変身した池内であるが他の役者が吹き替えで演じてるんじゃないかと

思う。

■写真5

瀬戸麗子と高宮敬二。


じゃあね、

2018年10月23日、23時10分記。
コメント (9)
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☆10月18日[新東宝の世界#2]スター毒殺事件

2018年10月17日 | 新東宝の世界!へようこそ

花椿です。

「新東宝の世界!」のその2になります。 今回は「スター毒殺事件」。 実は

つい数日前にDVDを入手して17日に見たばかり。 何でか言うとこの作品、

廃盤になっていてずっと入手不可だったのが、アマゾンのマーケットプレイスに

突然2枚出品されたわけ。 しかも3500円とレア作品としては安かったので

即買った。

(残りの1枚は4980円に値上げされて今も健在)


これで新東宝作品で俺が欲しいのは前田通子が主演する「女競輪王」の1作品が

残るのみ。 これはマーケットプレイスに1枚だけ出品されているが24000

円もするので悔しいけど見送っている。

(ちなみに俺が5年くらい前に録画成功した新東宝映画「ハワイの夜」なんかは

マーケットプレイスで24万円!もする。 「スター毒殺・・」の3500円は

レア品にしてはめちゃくちゃ安いのだ。 まさに僥倖だった。)


で、この作品。 新東宝映画の大ファンを自称する作家の桂千穂サンなんかは評

価するに値しない駄作だと本に書いているが俺は結構良かったと思う。 少なく

とも水準作には達している。

◇▲◎▽◆◇■☆●◎◇◆□▼◇★○●□◎◆◇■△●◇◆▽◎■◇▼☆□★

◇スター毒殺事件(1958年、モノクロ)

映画会社で専属俳優をしている天知茂が恋人の万里(ばんり)昌代を女優にしよ

うと考えて会社に紹介する。 会社はもう1人の人気俳優である江見渉とコンビ

で売り出すわけ。 ところが江見が万里に一目ぼれ。


しかもコンビを組むうちに万里も江見の方へ気が移ってしまった。 当然、天知

はこれが気に入らない。 結局、撮影で使うウイスキーの瓶に毒を混ぜて江見を

殺害してしまう。 


ところが助監督と万里がこの真相を知ったためにケンカとなって天知は2人も殺

してしまった。 あとは車で逃げる天知と警察のカーチェイス。 最後は工事現

場に逃げた天知が自害するのか、警察に射殺されたのか記憶にないが、まあ、そ

んなストーリーだった。


サブストーリーとして同じ映画会社の女優をしている三原葉子が天知と同棲する

ってのがあったけど、これは万里を嫉妬させる目的で天知が仕組んだ当て馬だっ

たくさい。 結局、最後は天知に捨てられた。


個人的には1970年代に粗製乱造されたハレンチ系の映画よりも断然面白かっ

たと思う。 天知茂も27才の若い時で「非情のライセンス」や「明智小五郎~

美女シリーズ~」で演じた眉間にシワを寄せるニヒルな探偵とかのイメージは全

くない。 すぐに逆上する純情可憐な天知茂なのだ。(苦笑)


それとバックステージものの楽しさがある。 主役が俳優の役なので映画の撮影

風景とかが楽しめる。 本物のストーリーなのか劇中劇のストーリーなのかわけ

わからん時があった。 もちろん日大に売却する前の当時の新東宝の撮影所が見

られるのも一見の価値だね。


女優陣は大映でも活躍した万里昌代がヒロイン。 それと映画史に燦然と輝くセ

クシー女優の三原葉子が楽しめる。 万里昌代は劇中劇でダンサーの役を演じる

のも見どころだ。

(万里昌代が柔道の有段者ってのは最近知った)


■写真1

DVDのジャケット。 天知と万里だね。 ポスターはド派手やけど新東宝のポ

スターは客寄せパンダのつもりかいつもこんな感じ。 

(だから新東宝=エログロと間違われる)

■写真2

劇中劇でダンサーを演じる万里。 写真でははっきりしないけどブラとパンティ

だけ。 これも新東宝らしいところか。 こんなシーン、俺は大好きやけど、で

きれば総天然色で見たかったね。

■写真3

天知茂。 少し眉間にシワが寄っている?

■写真4

天知と三原。 写真じゃわからないが伝説のセクシー女優らしく胸の谷間が半分

くらいモロ出しの衣装である。 25才の時であるが大柄だし何もかも迫力満点

だ。


じゃあね、

2018年10月17日、23時ころ記。
コメント (5)
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☆10月12日[新東宝の世界#1]嵐に立つ王女

2018年10月12日 | 新東宝の世界!へようこそ
花椿です。 

新東宝の世界!の第1回目になります。 1961年(昭和36年)に倒産する

まで日本中にB級映画を大量にばら撒いた映画会社ですが、その作品は一部で評

価されているに過ぎない。 その割に専属の役者は天知茂、丹波哲郎、菅原文太、

宇津井健、吉田輝雄、中山昭二、高島忠夫などそうそうたる顔ぶれ。 


女優陣は三ツ矢歌子、池内淳子、大空真弓、小畑絹子、万里昌代、高倉みゆき、

前田通子、筑紫あけみ、北沢典子、松浦浪路。 そして日本映画史に燦然と輝く

セクシースターの三原葉子など目もくらむ陣容だ。 これらのスターを見るだけ

でも楽しい。


自分が見た作品で再生可能なものは全部で86本。 そのうち見るだけの価値が

あるのはせいぜい半分くらい。 これを掘り出そうという趣向です。 他愛ない

アマゾンのレビュー程度の内容じゃありますけど順番に書いて行く予定です。 


なお、HDDに録画した作品はテレビ画面を直接撮影するが、正面だと映りこみ

が発生するので斜めの角度になります。

◇▲◎▽◆◇■☆●◎◇◆□▼◇★○●□◎◆◇■△●◇◆▽◎■◇▼☆□★

◇嵐に立つ王女(1959年、モノクロ)

かつてのモンゴリア王国(架空の国家)の王女・芳蘭(高倉みゆき)が、終戦時、

日本陸軍の侍従武官である山科中尉(宇津井健)の指揮で日本に亡命しようとす

るが、どさくさに紛れて行方不明になる。


14年後、会社員となった宇津井がたまたま銀座を歩いていた時に高倉にばった

り出会うわけ。 高倉は別の日本人に連れられて日本に来たと判明するが、肝心

の記憶を失っていた。


やがて宇津井が必死になった結果、高倉は記憶を取り戻す。 その過程でモンゴ

リア王国の秘匿財産をめぐって旧陸軍関係者が謀略活動をしたためにゴタゴタす

るんだが、結局、モンゴリア王国の康殿下が来日して一件落着した。


しかし高倉はモンゴリア王国再興の大義ために意に反して帰国を決めた。 その

ために宇津井との愛を捨てなければならなかった。 宇津井が「永遠の愛を捧げ

てさようなら、芳蘭」と書かれた置手紙を発見した時、高倉は機上の人になろう

としていた。 


簡単に書けばこんなストーリーだけども、実際には宇津井に片思いの令嬢(大空

真弓)がいて宇津井に無視されたと思い込んで自殺を図ったりのサブストーリー

がある。 


またモンゴリア王国で侍従武官を務めたかつての山科中尉と芳蘭の恋心が思い出

のシーンとして挿入してあるが、個人的にはこの場面が好きだね。 決して愛し

ているとは言わないが花言葉でさりげなく伝える場面。 もうこの場面を見ただ

けで俺の評価は断トツだよ!! 愛があるのがいい!! 映画として突っ込みど

ころは当然あるがメロ映画としては秀作だと思うね。 

(まあ俺が宇津井と高倉のファンってのもあるけど)


ヒロインの高倉みゆきが25才の時であるが、もともと老け顔だし俺の目には3

5~40才くらいに見えなくもない。 この人、皇后役が多くて皇后女優といわ

れていたくらいで年齢の割に貫録があり過ぎる。


なお、映像はチャンネルNECO。 2016年2月3日放映だ。 番組説明に「高

倉みゆきと宇津井健による新東宝メロドラマ。 モンゴリア王国の王女と元側近

の恋を描く」となっている。 DVDはない。

■写真1

宇津井健と高倉みゆき。 高倉がスカーフに白い手袋。 文字どおり昭和30年

代チックに見える。

■写真2

宇津井健。

■写真3

モンゴリア時代の山科中尉(宇津井)と王女・芳蘭(高倉)。 このあとで芳蘭

が花を山科中尉に手渡す。 俺は愛の花言葉だと解釈した。

■写真4

宇津井健と大空真弓。


じゃあね、

2018年10月12日朝。
コメント (4)
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