花椿です。
「新東宝の世界!」のその3になります。 今回は「花嫁吸血魔」。 DVDは
すでに廃盤になっているが俺の場合はヤフオクで比較的安く入手した。 今年初
め頃に2500円くらいだったと記憶する。 新東宝の娯楽作品はアマゾンのマ
ーケットプレイスなんかでも5千円~数万円が当たり前の世界であるから、この
値段は安い部類だと思う。
マニアが欲しがるようなレア作品じゃないのかも知れないが、大きな要素として
はキャストがあると思う。 やっぱり新東宝の娯楽作品は天知茂、吉田輝雄、宇
津井健、三原葉子、万里昌代、三ツ矢歌子、大空真弓らが出ていなければマニア
に与えるインパクトがいまいちだもん。
で、「花嫁吸血魔」の主役は池内淳子。 もちろん大女優として大成した人であ
るけど、まだこの時代ではあくまで新東宝の若手女優の1人に過ぎず、活劇より
も高島忠夫なんかとコンビでメロ映画のヒロインというイメージが強い。 しか
しその池内が復讐に燃える吸血魔を演じたのだから話題性は大きかったんじゃな
かろうか。
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◇花嫁吸血魔(1960年、モノクロ)
ある映画会社に3人の若手女優がいるが、新人の池内淳子が華々しく主演女優
の地位を得たのが悔しくてたまらない。 1人は主演女優の約束を反故にされた
し、別の1人(瀬戸麗子)は恋人(高宮敬二)の気持ちが自分から離れて池内の
方へ行ったのが気に食わない。
ある日、嫉妬に狂った若手女優たちは池内をピクニックに誘った際に池内を崖か
ら突き落とした。 池内は顔に重傷を負って女優として生きる道を失ったのだ。
しかも実家に戻ると病弱な母親が自殺していた。
それで母親の残した遺書に従って山奥の曾祖母を訪問する。 曾祖母の不思議な
妖術によって美しさを取り戻したのは良いが、同時に自分を突き落とした女たち
に復讐するための吸血魔に変身する能力も与えられた。
再び別の名前で映画界へデビューした池内であったが、復讐を果たすべく吸血
魔となって自分に嫉妬した若手女優を襲っては殺害を繰り返す。 しかし最後
の女優を殺害した直後、猟銃に撃たれたのが命取りになった。 森の中深く逃
げて行ったが力尽きた。 全てを知った元の恋人(寺島達夫)が池内の遺骸を
抱き上げ涙ぐむところで終わった。
個人的には面白かった。 B級映画、ゲテモノ映画など様々な批評はあろうが
映画は面白くなくてはダメ。 とくにオープニングからググっと引き込まれた。
80年代の2時間ドラマで人気があった「京都妖怪シリーズ」とか「整形復顔
美女の復讐シリーズ」はこの映画が原点じゃないかと思う。 とにかくB級の
楽しさ満喫した。
あと個人的には瀬戸麗子がいい。 池内を殺そうと企む悪女の役を演じるが、
あの猫顔は俺の好みだね。 男役は新東宝が誇るハンサムタワーズの一角、高
宮敬二と寺島達夫が楽しめる。 2人とも当時としては珍しい180cm以上
の長身だ。 だから身長162cmの瀬戸麗子がハイヒールでも高宮との身長
差が歴然。 新東宝が倒産しなかったら吉田輝雄なみの活躍が出来たんじゃな
いかと思うね。
■写真1
右はDVDのジャケット。 左は封切時のポスターだ。 俺が持っている新東
宝ポスター集から撮影した。 かなりエグイ感じ。 ただセリフも登場回数も
多い瀬戸麗子よりも出番の少ない三田泰子の方がポスターの文字が大きいのが
不思議。
■写真2
池内淳子。 撮影時26才だ。
■写真3
顔面を負傷して涙ぐむ池内。
■写真4
吸血魔に変身した池内であるが他の役者が吹き替えで演じてるんじゃないかと
思う。
■写真5
瀬戸麗子と高宮敬二。
じゃあね、
2018年10月23日、23時10分記。