阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

国境離島における土地取り引きの実態調査ー2013年10月に提出した安全保障上重要な土地を規制する法案成立に向けて

2014年04月22日 23時06分48秒 | 政治

 この週末は国境離島における土地の取り引きの状況について調査するため石垣島、与那国島、西表島を訪問しました。

 今、日本の土地は大変に憂慮すべき事態になっています。国境離島や水源地、自衛隊の基地周辺などが外国資本によって次々に買われていて、管理が及ばない状況になっているのです。WTO協定における「サービスの貿易に関する一般協定(通称:GATS)」において、日本は土地の売買に関する留保事項を定めていません。従って、外国資本の参加を制限すべきではないと規定され、外国人の土地取得に関して何の制限もできない世界唯一の
国になっています。

 一般には、外国資本が投資を行い日本の経済活性化に寄与してくれることは歓迎すべきことだと思います。しかし、安全保障上重要な場所において、平和と安心を脅かす行為を行う可能性があるとすれば、歯止めをかけるための措置が必要です。従って、自由な経済活動との調和を図りながら、少なくとも国家安全保障上重要な土地については、外国人、日本人を問わず、その取引について必要最小限の制限を設けるべきとの考えに至りました。

 こんな問題意識を持ち続けていたこともあり、私は国家の安全保障上重要な土地の取り引きの在り方について検討するプロジェクトチームの座長を務めています。党内での議論や海上自衛隊周辺が韓国資本によって買われている長崎県対馬での調査、さらに法制局とのやり取りを経て昨年10月25日には「国家安全保障上重要な重要な土地等の規制等に関する法律案」を国会に提出しました。この法案は、自衛隊などの防衛施設や原発周辺、また、国境離島など、国家安全保障上重要な土地について、自由な経済活動との調和を図りつつ、その取引等について必要最小限の規制を行うことで、我が国の平和と安全に資することが目的です。

 さらに予算委員会において安倍首相に対応を求め、政府としても同じ問題意識を共有しているとの答弁を引き出しましたが、対応は遅々として進んでいません。従って今回の視察では「国境離島」における経済の活性化と安全保障をどのように両立するのか現地の意見を聞くと同時に、売りに出されている国境離島の土地における取り引きの実態を調査することを目的とし、国会における問題提起につなげていきます。

 今回改めて衝撃を受けたことは、登記簿における所有者と実態が大きくかけ離れていること。登記簿を管理する法務局は実態を把握しておらず、もし安全保障上問題のある行動の拠点として利用する目的で反社会勢力が土地を購入しようとしていても何の情報も把握できない状況です。私たちの法案では、現在は事後で良いとされている土地の取り引きについても、国家安全保障上重要と指定した土地については事前届け出を義務付け、国が収用することも可能としていますが、一刻も早くこの法案を成立させる必要性を痛感しました。

 私たちが法案を提出したことがきっかけになり、自民党もまず実態を調査する法案の提出を考えているとのことです。しかし、与党だからこそ様々なしがらみによって法案の中身が後退、骨抜きにされる可能性があります。私たちが「先回りして」法案を提出し、与野党の改革派に賛同を求めていく。そんなモデル法案にできるよう、今後も働きかけていきます。



石垣市にある竹富町役場で竹富町長に土地の取り引きや地域の活性化案についてヒアリングを行いました。


エコツーリズムのメッカ西表島。自然の美しさは抜群ですが、土地の取り引きを巡る様々な問題も存在します


与那国島の自衛隊監視基地開発予定地


340キロのクロマグロ。今年もはえ縄漁のシーズンが始まりましたが、日台漁業取り決めの対象になった海域はトラブルの恐れもあって入れないとの声も聞きました。


与那国島ではあまり観光開発は進んでいませんが、海底遺跡、そして与那国馬の風景などは大きな可能性を感じます。


テレビドラマ「Dr,コトー診療所」の舞台になった場所だそうです。与那国島では医療への備えが不十分なことは大きな課題で、自衛隊への期待は地域経済への貢献だけでなく、医官の駐在やごみ処理場の建設にまで広がっていました。