阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

経営学の視点から和歌山の活性化を語る-民主スクール

2011年01月22日 23時00分18秒 | 政治
 今日の「民主スクールわかやま」は講師にドイツ人の研究者、カロリーナ・グルーンシュロス氏を招いて行いました。グルーンシュロス氏は5年ほど前に知り合った友人でもあるのですが、経営学者の視点でのお話は和歌山の活性化の方向性を考える上で非常に興味深いものでした。

 まず、プレゼンテーションの方法が勉強になりました。まずは、学問上の理論、根拠を示し、論理性を明らかにした上で、フランス、インド、ブータン、そしてドイツの様々な例と日本人の国民性を分析し、和歌山のような地方が何を武器にして活性化を目指すべきなのか、日本を訪問する外国人の思考も分析した上で一緒に考える手法は、参加者を惹きつけるものでした。また、手違いでプロジェクターが使えず、せっかくこの日のために用意してくれたパワーポイントの資料が使えないアクシデントにも「よくあること」と、そのようなケースも想定して準備をしてきたそうです。最初は若い外国人女性の登場に驚いた参加者の方々も、活き活きとした表情で、笑いも取りながら上手な日本語で話す彼女に引き込まれるのがよくわかりました。

 日本やドイツなどの先進国はコスト競争では勝負にならず、自分たちの強みを徹底的に活かした戦略を構築することがますます求められていきます。一方グローバリゼーションが進んだ社会においては、一円でもコストの安い業者が国境を越えて選択されます。ICT技術の発展はコストを下げるためのアウトソーシングを私たちが想像できないレベルまで進化させており、例えば米国においては、ファーストフード店のドライブスルーで注文する業務を、遠く離れたインドにて行っている例もあるそうです。ほんの数メートル先の注文を数千キロ離れた外国の業者が請け負っているなんて考えられないことですが、ICT技術の進化がこれまでの常識を覆しています。特にICTの技術力や英語力を活かして躍進するインドでは新たなビジネスモデルが次々に生まれているそうです。例えば彼女は日本の企業戦略を題材に英語で博士論文を書いたのですが、母国語ではないため文法や語彙の使い方のチェックお願いするために使った業者は一番価格が安いインドの業者だったそうです。

 でも、そんな時代だからこそ、製品はもちろん、地域も、そして個人もブランド化が必要で「他には真似ができない特別な魅力」を磨くことが勝ち抜く条件なのです。例えばフランスのワインは大量生産が可能なカリフォルニアやオーストラリアには価格では太刀打ちできないけれど、地域ごとにブランドを確立し、また、厳しい基準を自らに課すことで、世界中の人を惹きつけるブランドであり続けているのです。

 一方、ブータンは、gross national happiness(国民総幸福)を国家戦略の柱にしています。経済成長も社会福祉も結局は人間を幸せにするための手段。決して経済的に豊かな国ではないけれど、自分たちの文化や歴史、価値観に誇りを持ち、それを守ることが幸せにつながるとの思想、また、それを経済発展にもつなげる発想に私もずっと注目してきました。私はブータンに行ったことはありませんが、「アジア政党会議」ではブータンからの代表団の方々に徹底的に話を伺いました。この国の観光に参加するには一日240ドルを払う必要があり、それは、一般的なツアー旅行が提供するサービスと比較すれば対価に見合うものとは限らないそうです。「でも、人生観が変わるような経験を保証する」と自信を持って言われると行ってみたくなりますよね。

 究極の「スローライフ」の価値を追及している国がブータンなのです。和歌山が目指す方向の一端はここにあるのではと思います。カンボジアやラオスにも共通する魅力ですね。

 彼女は特別なことを言っているわけではないけれど、理論とさまざまなケースを元に分析した話は説得力のあるものでした。和歌山の活性化の方法について、私自身の考えにも根拠と確信を与えて頂きました。



「スタジオ民主なう」2011年1月18日放送


 
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