阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

過疎地域で聞く高齢者の怒り

2008年04月17日 19時45分46秒 | 政治
 今週は雨の日が多いですね。でも、在宅率の高い雨の日こそは訪問活動日和! 今週は、かつらぎ町の四郷、柏木、さらに天野、また高野町の富貴など、山間部の村で訪問活動をしました。過疎地域に行けば、殆どの住民は高齢者の方々です。「本人」が訪問していると知って多くの方は温かく迎えて下さいますが、同時に、後期高齢者医療保険制度についての憤りを聞いて歩く機会にもなりました。

 何といっても最大の不満は、被扶養者ということでこれまでは保険料を払う必要がなかったお年寄り約200万人が新たに保険料を負担することになり、それが年金から天引きされることです。年金は払った分を受け取れるか定かではないのに、保険料はしっかり天引きされていることの矛盾。本当に多くの方が「ワシら年寄りは早よ死ねということや!」と憤懣やるかたない表情でした。

 現在11兆円の老人医療費は、今後も上昇の一途を辿ります。従って、その費用をどのように負担するのか、これは国民的な議論のもとで決められるべきでしょう。郵政選挙の大勝による数の横暴で決めた上に、十分な説明もなく、さらに取りっぱぐれがないように年金から天引きでは、そこに高齢者に対する尊敬や慈しみを感じることはできません。いかにも官僚的な発想で、これでは対象者が怒るのは当然です。

 この問題は、個別の対応で解決するのは難しいと思います。日本として、将来どのような国家を目指すのかというビジョンのもと、これまで日本を背負い、繁栄の礎を築かれた方々にどのように応えるのか、そのための財源の確保をどうするのかということから考えなくてはなりません。同時に環境や食の安全、歯科医療との連携など「病気になりにくい」日本人にして医療費を抑制することも国家プロジェクトで取り組まなくてはなりません。

 こんな風に考えると不要な高コスト道路を作っている余裕など全くありません。この先も、これまでの計画通り道路を作り続けた場合、将来、補修や安全対策にどうしても必要な費用が今よりも遙かに大きなものになります。安全でない道路は使えませんから、医療や教育への予算を駆逐することになっていくのです。

 私は品格・尊厳ある国家は弱い立場の方々に温かい国家でなくてはならないと思っています。これまで頑張って下さった高齢者の方々なら、なおさらです。ですから、生活の安心を担保する医療や介護、年金の信頼回復は政治の最優先課題でしょう。同時に将来国家を支えてくれる世代への投資、すなわち教育や少子化対策に全力を投入すべきと思います。上の世代の方々が作った繁栄の果実を享受することができた私たちの世代こそは、そんな国家を築くため、一番負担を負うべきでしょう。それは、しいては自分たちにも返ってくるのですから…。

 写真:年金・医療など生活の悩みについてお話を伺いました(高野町富貴にて)