朝日:「ネット全履歴もとに広告」総務省容認 課題は流出対策
PDF上の62頁(ノンブルは58頁)より
朝日記事のタイトルは、ミスリーディングではない。
この技術は「ディープ・パケット・インスペクション(DPI)」。プロバイダーのコンピューター(サーバー)に専用の機械を接続し、利用者がサーバーとの間でやりとりする情報を読み取る。どんなサイトを閲覧し、何を買ったか、どんな言葉で検索をかけたかといった情報を分析し、利用者の趣味や志向に応じた広告を配信する。利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会-第二次提言(案)(PDF)
PDF上の62頁(ノンブルは58頁)より
ISP によるDPI 技術を活用した行動ターゲティング広告の実施は、パフォーマンスの高い広告を配信することや、そのために利用者の嗜好を把握することを目的としており、ISP による電気通信役務(電気通信設備を用いて利用者をインターネットに接続させる役務)にとって、必ずしも正当・必要なものとは言い難く、正当業務行為とみることは困難である。基本的にはライフログ活用の文脈でDPIが出てきたようだ。問題は、「利用者の同意」、それも理解した上での合意(=インフォームドコンセントか)が実質的に担保されるかどうか。普通に考えて、広告のためのDPI利用はやり過ぎだと思うし、一度合意したとしても、実際の運用がどうなるのか分からないし、後で撤回できるのか。まあ、無理筋の話だろう。
⑤ 運用基準等の策定
このように、DPI 技術を活用した行動ターゲティング広告の実施は、利用者の同意がなければ通信の秘密を侵害するものとして許されない。利用者の同意が明確かつ個別のものであることが必要なことは、前記②記載のとおりであるから、同意に当たっての判断材料を提供するという意味で、利用者に対してサービスの仕組みや運用について透明性が確保されるべきである。よって、DPI 技術を用いた行動ターゲティング広告については、各事業者は、透明性の確保に向けて運用に当たっての基準等を策定し、これを適用することが望ましい。
朝日記事のタイトルは、ミスリーディングではない。