とうとう迎えた最終予選を前に不安要素は幾つかあった。
ひとつは,所属するウォルフスブルクでほとんど試合に出ていなかった長谷部と,出てはいるがチームの不調を引きずっているように見える今野という,守備においてセンターラインを形成する選手のコンディションがどうか,という点。
もうひとつは,ドルトムントで見せている素晴らしいパフォーマンスをいまだ代表で発揮しきれていない香川が,初挑戦となるW杯予選で,これまで以上にチームにフィット出来るかどうかという点だった。
結果は,課題の解決に関してはギリギリ及第点というレベルではあったが,開幕戦というプレッシャーをはね除けて3点差の完封勝ち,という満足出来る結果を手にすることとなった。ひとまずは最大級の拍手を贈りたい。
先取点は素晴らしい形だった。長友の飛び出しに合わせた前田のスルーパスと,長友の正確なクロス,そして本田の完璧なインサイド。すべてが完璧なタイミングとスピードと落ち着きを伴ったプレーで,本当にバルサの得点を見ているようだった。
2点目はヴィデオで見直すと,完全なオフサイドではあったが,絶妙のタイミングで前田に正確なパスを送った香川の瞬時の判断と技術は,やはり今予選における日本の最大の武器だ,という感を強くした。特に縦への飛び出しという新しいプレーで度肝を抜いた本田といつもながらの長友,そして交替で入った旧友清武とのコンビネーションは,試合を重ねることによってより滑らかになっていくであろうという予感を漂わせていた。左サイドの連携の成熟こそ,日本をブラジルへと導く最短距離なのかもしれない。
一方で課題のもうひとつ,センターラインの守備は,やはり不安が残った。今野の方は,終了間際のルーズボールに被ってしまうという決定的なイージーミスを除けば,及第点の出来映えだったと思うが,問題は想定内のパフォーマンスだった長谷部と,遠藤の精彩を欠いたプレーぶりだった。
二人とも簡単な横パスで何度も不安定さを露呈しただけでなく,攻撃のスイッチとなるべき縦へのパスの精度に,信じ難い劣化が見られた。最後の交代枠を宮市ではなく細貝に使ったのは,ひょっとするとザックも同じようなことを感じた結果なのかもしれない。
柴崎を一度は代表合宿に呼んだ時点で多少の予感はあったが,このままいけば,盤石と思われたボランチの交替という一大事件が,予選の最中に起こるかもしれない。
ザックの慧眼という意味では,最初の交替で内田を酒井に替えたことが挙げられる。清武のシュートにつながった終了間際の突破は,明らかに内田時代の終焉を告げていた。順調に行けば年明けにはU-22組から宇佐見,酒井,清武,そして宮市の4人がレギュラー陣に割って入る可能性があると私は見ているが,ザックには「そのくらいの下克上がなければ,予選の修羅場をくぐり抜けることは不可能」くらいのハッパを若手にかけて欲しい。
という訳で,次のヨルダン戦は,宮市の場慣れをよろしく。
ひとつは,所属するウォルフスブルクでほとんど試合に出ていなかった長谷部と,出てはいるがチームの不調を引きずっているように見える今野という,守備においてセンターラインを形成する選手のコンディションがどうか,という点。
もうひとつは,ドルトムントで見せている素晴らしいパフォーマンスをいまだ代表で発揮しきれていない香川が,初挑戦となるW杯予選で,これまで以上にチームにフィット出来るかどうかという点だった。
結果は,課題の解決に関してはギリギリ及第点というレベルではあったが,開幕戦というプレッシャーをはね除けて3点差の完封勝ち,という満足出来る結果を手にすることとなった。ひとまずは最大級の拍手を贈りたい。
先取点は素晴らしい形だった。長友の飛び出しに合わせた前田のスルーパスと,長友の正確なクロス,そして本田の完璧なインサイド。すべてが完璧なタイミングとスピードと落ち着きを伴ったプレーで,本当にバルサの得点を見ているようだった。
2点目はヴィデオで見直すと,完全なオフサイドではあったが,絶妙のタイミングで前田に正確なパスを送った香川の瞬時の判断と技術は,やはり今予選における日本の最大の武器だ,という感を強くした。特に縦への飛び出しという新しいプレーで度肝を抜いた本田といつもながらの長友,そして交替で入った旧友清武とのコンビネーションは,試合を重ねることによってより滑らかになっていくであろうという予感を漂わせていた。左サイドの連携の成熟こそ,日本をブラジルへと導く最短距離なのかもしれない。
一方で課題のもうひとつ,センターラインの守備は,やはり不安が残った。今野の方は,終了間際のルーズボールに被ってしまうという決定的なイージーミスを除けば,及第点の出来映えだったと思うが,問題は想定内のパフォーマンスだった長谷部と,遠藤の精彩を欠いたプレーぶりだった。
二人とも簡単な横パスで何度も不安定さを露呈しただけでなく,攻撃のスイッチとなるべき縦へのパスの精度に,信じ難い劣化が見られた。最後の交代枠を宮市ではなく細貝に使ったのは,ひょっとするとザックも同じようなことを感じた結果なのかもしれない。
柴崎を一度は代表合宿に呼んだ時点で多少の予感はあったが,このままいけば,盤石と思われたボランチの交替という一大事件が,予選の最中に起こるかもしれない。
ザックの慧眼という意味では,最初の交替で内田を酒井に替えたことが挙げられる。清武のシュートにつながった終了間際の突破は,明らかに内田時代の終焉を告げていた。順調に行けば年明けにはU-22組から宇佐見,酒井,清武,そして宮市の4人がレギュラー陣に割って入る可能性があると私は見ているが,ザックには「そのくらいの下克上がなければ,予選の修羅場をくぐり抜けることは不可能」くらいのハッパを若手にかけて欲しい。
という訳で,次のヨルダン戦は,宮市の場慣れをよろしく。